JP4399958B2 - 演奏支援装置および演奏支援方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、楽譜を表示するとともに、演奏者の演奏を入力し、テンポずれを検出して修正を指示する演奏支援装置および演奏支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
楽譜の画像を電気的にディスプレイに表示する楽譜表示装置(電子楽譜)が提案されている。この種の電子楽譜において、複数ページの楽譜を表示する場合に演奏者の演奏位置を自動検出して表示するページを更新(ページめくり)できるようになっているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の電子楽譜でも、演奏の音高データ等を入力して演奏位置を自動検出し、これに基づいてページめくりする機能を備えたものが提案されていたが、演奏者のテンポずれを指摘して修正を指示するような演奏支援機能を備えたものがなかった。
【0004】
この発明は、演奏者の演奏位置を検出して楽譜の表示位置を更新する機能を用いて、構成的に複雑化させずにテンポずれの修正を指示できる演奏支援装置および演奏支援方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る演奏支援装置は、楽曲の音符を表す音符データ列を含む楽譜データを記憶する記憶手段と、楽音データから音高データを抽出して入力する入力手段と、前記入力手段から入力された音高データに基づいて音高列を生成し、該音高列と前記音符データ列とを比較して該音符データ列における現在の演奏位置を推定するとともに、前記音符データ列と前記音高データの入力タイミングとの差に基づいて演奏のテンポを推定し、この推定された演奏位置および演奏のテンポに基づいて、次に入力されるべき音高データの入力タイミングを予測し、次に音高データが入力されたとき、現在の演奏位置を決定して、前記楽譜データのうち表示手段に表示する箇所を決定するとともに、その実際の入力タイミングと前記予測された入力タイミングとのずれに基づいてテンポずれを割り出す制御手段と、前記楽譜データに基づく楽譜画像および前記テンポずれの量を表す指標を含む修正指示画像を合成して表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、この発明に係る演奏支援方法は、楽曲の音符を表す音符データ列を含む楽譜データを記憶した装置において、楽音データから音高データを抽出して入力する手順、この音高データに基づいて音高列を生成し、該音高列と前記音符データ列とを比較して、該音符データ列における現在の演奏位置を推定する手順、前記音符データ列と前記音高データの入力タイミングの差に基づいて演奏のテンポを推定する手順、この推定された演奏位置および演奏のテンポに基づいて、次に入力されるべき音高データの入力タイミングを予測する手順、次に音高データが入力されたとき、現在の演奏位置を決定して、前記楽譜データのうち表示する箇所を決定する決定手順、その実際の入力タイミングと前記予測された入力タイミングとのずれに基づいてテンポずれを割り出す手順、前記決定手順で決定した表示する箇所の楽譜画像および前記テンポずれの量を示す指標を含む修正指示画像を合成する手順、を有することを特徴とする。
【0007】
音符データ列は、複数の音符データからなっており、各音符データは、少なくとも各音符の音高を表す音高情報や音長を表す音長情報を含んでいる。音高情報は例えば、C3、D3など音名+オクターブの形式で表現されていてもよく、また、C1=0、C2=12、C3=24とする半音数で表現してもよい。また、演奏の音高データも上記音高情報と同様の形式で入力され、これらの一致/不一致が比較可能になっている。
【0008】
入力された音高データが音符データ列におけるどの音符に対応しているかを検出する方式として、以下のようなノートトレース+タイムスケールトレースの方式がある。まず、入力された音高データと音符データ列上で一致する箇所を検索するノートトレース処理を行う。演奏によって複数の音高データが入力されるが、このうち全てが一致しなくても一致するものが多ければその位置を演奏位置の候補の一つとする。すなわち、入力された音高データと音高が一致する確率の高い音符データ列上の位置を候補とする。このように音符データ列の全体を検索することにより、どの位置から演奏がスタートした場合でも対応することが可能になり、演奏にミスタッチ等があっても正しい演奏位置の検出が可能になる。
【0009】
そして、このうち最も確率の高い1つの候補または確率の高い複数の候補についてタイムスケール処理をする。タイムスケール処理は、候補としてあげられた演奏位置で次に演奏されるべき音符データの音高情報で入力を待ち受け、これと一致する音高データが入力された候補の位置を演奏位置であると確定する処理である。候補が1つの場合にはその候補の正誤を判断し、候補が複数の場合にはそのうちどの候補が正しいかを判断する。そして、入力されたタイミングがそれまでに推定されていたテンポに基づいて予測される入力タイミングからどの程度ずれていたかによりテンポずれを算出し、さらに今回の入力タイミングを考慮して新たに演奏のテンポを算出する。このように、演奏位置の検出は、表示手段に表示する楽譜のページめくりなどのために用いられると同時に、演奏者のテンポずれを検出するためにも用いられる。
【0010】
またこの音高データの入力は、楽音をマイクから入力し、この楽音から音高データを抽出してもよく、MIDIインタフェースなどのインタフェースから、音高データを直接入力してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施形態である演奏支援装置のブロック図である。また、図2は同演奏支援装置が記憶している楽譜データの例を示す図である。楽譜データ記憶部5は、演奏される曲を表す楽譜データを記憶している。楽譜データは、図2に示す構成になっており、装置はこの楽譜データを用いて演奏のタイミングずれを判定するとともに、楽譜の画像を表示部7に表示する。
【0012】
図2において、楽譜データは、各音符の音高と音長を示す音符データと楽譜に表現される音符以外の各種記号を示す記号データを、その表示位置とともに時系列に配置したものである。表示位置は、テンポクロックを単位とする時間軸で表され、上下の位置は、音符データの場合音高で決定され、記号データの場合その記号の種類に応じて予め決められた位置に表示される。楽譜データは複数ページからなっている。
【0013】
楽譜データは、マッチング検出部4および楽譜画像生成部9に出力される。マッチング検出部4には、演奏者の演奏から音高をリアルタイムに抽出した音高データが入力される。
【0014】
マイク1は、楽器の演奏音、歌唱者による歌唱音声などの音声を入力し、この音声信号をADコンバータ2に入力する。ADコンバータ2はこの音声をデジタルの音声データに変換し、分析部3に入力する。分析部3は、入力された音声データを短い区間のフレームに分割し、各フレーム毎にその音声信号の音高データを抽出する。音高データは、入力された楽音信号が12音階のどの高さであるかを表すデータであり、C3、D4などの音名+オクターブとして表現しても、処理音域の全音高をそれぞれ個別の数値で表してもよい。また、楽音信号の多少の周波数ずれはいずれかの音高に収束させる。抽出された音高データが、マッチング検出部4に入力される。
【0015】
また、マッチング検出部4には、MIDIインタフェース11が接続されている。MIDIインタフェース11にはMIDI出力機能を有する電子楽器が接続される。MIDIインタフェース11から入力されるMIDIデータは、そのまま音高データとして用いることができるため、直接マッチング検出部4に入力される。
【0016】
マッチング検出部4は、分析された音高データと楽譜データ中の音符データとを比較して演奏箇所を特定するとともに、音高データの入力タイミング(または変化タイミング)に基づいて演奏テンポのずれを検出する。マッチング検出部4は、演奏箇所を特定した演奏箇所情報を楽譜画像生成部9に出力し、演奏テンポのずれを検出したテンポずれ情報を指示画像生成部10に出力する。
【0017】
楽譜画像生成部9は、マッチング検出部4から入力された演奏箇所情報に基づいてその前後の楽譜データを楽譜データ記憶部5から読み出し、この楽譜データに基づいて楽譜の画像データを生成する。生成された画像データは表示制御部6に入力される。
【0018】
指示画像生成部10は、テンポずれ情報に基づき、演奏者に演奏テンポを修正するように指示する指示画像を生成する。その画像の例を図3に示す。現在の演奏の進行位置(カレントポイント)が楽譜上どこであるかを縦線50で示し、今の演奏テンポが全体の演奏テンポに比べて速すぎるか遅れているかを矢印51で示す。今の演奏テンポは、直前の音符の演奏タイミングで推定され、全体の演奏テンポはいままでの全ての音符の演奏タイミングに基づいて推定される。さらに、その速すぎるまたは遅れている程度を数値および文言52で表示する。
【0019】
表示制御部6は、楽譜画像生成部9から入力された楽譜画像、および、指示画像生成部10から入力された指示画像を合成して表示部7に表示する。
【0020】
操作部8は、予め演奏をスタートする箇所をマッチング検出部4に指示する操作子であり、楽譜の小節番号やページ番号などが入力される。
【0021】
マッチング検出部4の動作について説明する。マッチング検出部4は、入力された音高データとテンポに基づいて、楽譜データ上の現在演奏されている箇所を検出する。この検出作業を、入力された音高データに基づいて音符データ列をサーチして一致箇所(候補)を見つけるという演奏→楽譜のマッチング検出作業であるノートトレース、および、音符データのうちもうすぐ演奏されるであろう音符データを割り出し、この音符データに対応する楽音(音高データ)の入力を待ち受けるという楽譜→演奏のマッチング検出作業であるタイムスケールトレースの双方向について行う。
【0022】
図4はマッチング検出部4が行う演奏箇所の特定、テンポずれの検出を説明する図である。
【0023】
先ず図4を参照して演奏位置の特定の方式について説明する。演奏位置の特定は、ノートトレースおよびタイムスケールトレースで行う。まず、ノートトレースについて説明する。これは、入力された音高データに基づいて音高列を生成し、これをパターンとして楽譜データの音符データ列とのマッチングを検出するものである。図4の例では、楽譜データの音符データ列がドレミドミレド、ミレミソファレドと並んでいるものとする。同図は第5音のミから弾きはじめられミスタッチなく演奏された場合の例である。すなわち「ミレド…」と演奏された場合の例である。この実施形態では、演奏を練習する場合などで途中から弾きなおしされた場合でも演奏箇所を検出できるようにしている。
【0024】
まず最初の音高データとしてミが入力される。ミと一致する音符データを楽譜データから検索すると、第3音、第5音、第8音、第10音がこれに該当する。この第3音、第5音、第8音、第10音の位置をそれぞれ現在位置の候補21、22、23、24として記憶する。この候補は入力された音高データが次の音符データ(第4音、第6音、第9音、第11音)と一致したとき、その位置に移動する。
【0025】
各候補の候補データは、「音符位置/一致ノート数/不一致ノート数/連続一致数/連続不一致数」で構成され、新たな音高データが入力されるごとに更新される。音符位置は、この候補が現在どの音符データ上にあるかを示すものである。一致ノート数は入力された音高データのうち音符データ列と一致したものの数である。不一致ノート数は入力された音高データのうち音符データ列と一致しなかったものの数である。連続一致数は、入力された音高データが音符データ列と一致したときこれで連続していくつ一致しているかを示す数である。連続不一致数は、入力された音高データが音符データ列と一致しなかったときこれで連続していくつ不一致であるかを示す数である。
【0026】
上記候補21〜24は、最初の1音のみの一致であるため、候補データは、それぞれ、「第3音/1/0/1/0」、「第5音/1/0/1/0」、「第8音/1/0/1/0」、「第10音/1/0/1/0」である。
【0027】
次の演奏の音高データとしてレが入力される。前記候補21〜24の各々について次の音符がレであるかを検査する。そうすると、候補22および候補23の次の音符がレであるため、これらの候補の音符位置をこの音符データの位置に移動して候補データを更新する。候補22は「第6音/2/0/2/0」、候補23は「第9音/2/0/2/0」となる。一方、候補21、24は、次の音符データがレでないため音高データと不一致となり、候補21は「第3音/1/1/0/1」となり、候補24は「第10音/1/1/0/1」となる。
【0028】
次に、既存の候補が移動してこなかったレの音符データを検索すると、第2音、第13音が存在する。これらを新たな現在位置の候補として候補25、26とする。候補25は「第2音/1/0/1/0」、候補26は「第13音/1/0/1/0」となる。
【0029】
さらに次の音高データとしてドが入力されるので、候補21〜26について次の音符データがドであるかを検査する。候補21、候補22および候補26の次の音符データがドであるため、これらの候補の音符位置をこの音符データの位置に移動して候補データを更新する。候補21は「第4音/2/1/1/0」、候補22は「第7音/3/0/3/0」、候補26は「第14音/2/0/2/0」となる。
【0030】
また、候補23〜25は、それぞれ、候補23は「第9音/2/1/0/1」、候補24は「第10音/1/2/0/2」、候補25は「第2音/1/1/0/1」となる。次に、既存の候補が移動して来なかったドの音符データを検索すると第1音が存在する。これを新たな現在位置の候補として候補27「第1音/1/0/1/0」となる。
【0031】
このように、正しい演奏位置であるカレントポイントを示している候補22は一致数、連続一致数とも大きな値となり、不一致数は少ない(0)。このように候補データを検査することによって正しいカレントポイントを割り出すことができる。また、不一致の場合でも、候補を即座に削除しないで不一致数を記憶しながら残しておくのは、演奏者がミスタッチして間違った音を入力した場合に対応するためである。すなわち演奏者がミスタッチをした場合でも不一致数が1つ増加する程度であり、正しいカレントポイントを割り出す大きな妨げにはならない。たとえば、「ミレド…」と演奏すべきところを「ミレレド…」と演奏した場合でも、候補22は「第7音/3/1/2/0」となり、やはり有力なカレントポイントの候補である。また、演奏者が音を間違えた場合や音を飛ばした場合には、その次の音からこの図に示した正しい候補の割り出しが開始される。
【0032】
上記のノートトレースによって現在の演奏位置の候補が絞り込まれると、タイムスケールトレースによって現在の演奏位置を最終的に決定するとともに、演奏のテンポずれを検出する。以下、タイムスケールトレースについて説明する。上記のノートトレースによってカレントポイントの候補が幾つかに絞り込まれると、各カレントポイント候補の直後に存在する音譜データをそれぞれ1つずつ抽出し、どの音符データと一致する音高データが次に入力されるかを待ち受ける。このとき入力された音高データに基づいてどの候補が実際のカレントポイントであるかを決定するとともに、この音高データの入力タイミングに基づいてテンポずれ量を割り出すとともにテンポの修正を行う。
【0033】
抽出を行い、楽譜データの拍子と合わせることでカレントポイントの表示を予測的に進行させる。
【0034】
図5は、テンポ推定の方法を説明する図である。楽譜上の音符タイミングをX軸にとり、実際の音高データ入力タイミングをY軸にとると、演奏が一定のテンポで演奏されている場合は原点を通る直線になる。同図の直線は楽譜が指示するテンポと演奏テンポが同じ場合の傾き1の直線を示している。実際の演奏テンポは、音符タイミング、すなわちその音符に対応する音高データが入力されたタイミング毎に離散的に検出されるため、最小二乗法などの演算手法によりこれらの点近傍を通過する直線を描いてテンポを推定する。全ての音符タイミングを同じ重みにしてテンポを推定すると演奏者が意図したテンポ変化に追従できない、また、現在の音符タイミングのみでテンポを推定するとミスタッチやイレギュラータッチの影響が大きくなる。そこで、過去の音符タイミングになるほど重みを小さくして、または現在の音符タイミングほど重みを大きくしてテンポを推定する。そして、このテンポに基づいて次の音符の音高データの入力タイミング(次の音符タイミング)を推定し、この推定されたタイミングと実際の音高データの入力タイミングとの前後をテンポずれ量とする。
【0035】
また、音符タイミング毎にテンポを推定しないで、同図に示すように所定の周期毎にテンポを推定(評価)するようにしてもよく、この場合には、この評価周期毎を重みづけの区分に利用して、直近の周期の音符タイミングに最大の重みを持たせ、さかのぼるにしたがって軽くすればよい。
【0036】
なお、図3に示した指示画像は、音符の音高データが入力した直後にその音符データの入力タイミングに基づいてテンポずれを検出したとき表示されるものである。遅れている場合には、図示のように、カレントポイント50から楽譜の進行方向に向いた矢印51と(速く)の文字を表示し、その程度をパーセントで表示する。走っている(速過ぎる)場合には楽譜の進行方向とは逆向きの矢印と(遅く)の文字を表示し、その程度をパーセントで表示する。表示態様はこれに限定されず、たとえば、矢印の長さで遅れている或いは走っている程度を表示するようにしてもよい。また、このパーセント表示は、必ずしも正確なテンポずれの量を表すものである必要はなく、ずれ量を表す指標として用いればよい。したがって、単位がパーセントである必要はない。
【0037】
また、このテンポずれの指示画像を見てどの程度テンポを修正するかは演奏者によって異なる。そこで、演奏者がテンポを修正する程度を見て、表示内容を変更するようにしてもよい。すなわち、標準では図6(A)のように表示されるテンポずれであっても、テンポの修正の程度が小さい(フィードバックが小さい)演奏者に対しては同図(B)のように表示し、テンポの修正の程度が大きい(フィードバックが大きい)演奏者に対しては同図(C)のように表示するようにする。
【0038】
図7,図8は同演奏支援装置の動作を示すフローチャートである。図7は前記ノートトレース動作を示すフローチャートである。まず、楽譜画像生成部9が楽譜データ記憶部5から第1ページの楽譜データを読み出して楽譜の画像を合成して表示制御部6に出力する。表示制御部6はこれを表示部7に表示する(ステップ101:以下単に101という)。こののち音高データが入力されるか(102)、操作部8から表示ページ変更の指示が入力されるか(103)を検出する。表示ページ変更の指示が入力されると(103)、その指示されたページの楽譜データを楽譜データ記憶記憶部5から読み出して表示部7に表示する(104)。そして、カレントポイントの候補が記憶されている場合にはこれをクリアする(105)。
【0039】
音高データが入力されると(102)、この音高データで楽譜データの音符データ列を検索してカレントポイントの候補を検索する(106)。この検索処理は、図4を参照して説明した処理であり、既に設定されている候補の更新も含まれる。そして、設定されている各候補のマッチングの程度を判定する(107)。マッチングの程度はノート一致率や連続一致/不一致数などで判定される。ノート一致率は、ノート一致数/(ノート一致数+ノート不一致数)で算出される。107ではノート一致率を各候補について算出し、ノート一致率が所定値m1以下の候補および連続不一致数が所定値m2以上の候補はカレントポイントである確率が極めて低いとして候補から外し、候補データを削除する(108)。また、ノート一致数が所定値m3以上であり且つノート一致率が所定値m4以上の候補のカレントポイントとして確率の高い候補を決定し(109)、これをタイムスケールトレースに送信する(110)。
【0040】
図8はタイムスケールトレースおよびテンポずれ検出動作を示すフローチャートである。ノートトレース動作からカレントポイントの候補を受け取る(120)。複数の候補がある場合には、その複数の候補を全て受け取る。受け取ったカレントポイント候補のそれぞれについて次に入力されるべき音高データとそのタイミングを予測する(121)。次に入力されるべき音高データは、楽譜データ上における次の音符の音高データであり、そのタイミングは、楽譜データ上の次の音符までのインターバルをそのとき推定されているテンポで進行した場合の音高データの入力タイミングである。テンポの推定は、直前のこのタイムスケールトレース動作で推定されたものを用いる。そして音高データが入力されるまで待機する(122)。音高データが入力されると、この音高データと上記予測した音高データ、タイミングとの一致/不一致を判定する(123)。すなわち、予測したのと同じ音高データが予測したタイミングに入力されたかを判定する。ただし、実際の演奏ではテンポずれやミスタッチがあるため、入力タイミングについてはある程度の時間的な幅をもたせて一致を判定し、音高データは、入力されるべき音高データに対してミスタッチしやすい音高もタイムスケールトレースでは正しい入力と認める(ノートトレースでは誤り入力とする)などの許容度をもって判定するようにすればよい。複数の候補がある場合には、最も一致の確率の高いものを決定する。一致するものがあった場合には(124)、この位置がカレントポイントであると決定し、音高データの入力タイミングに基づいて演奏のテンポずれを計算する(125)。そして、このテンポずれ情報を指示画像生成部10に出力する。指示画像生成部10はこのテンポずれ情報に基づいて図3に示すような指示画像を生成し、表示制御部6に出力する。表示制御部6はこの指示画像を楽譜画像生成部9が生成した楽譜画像に合成して表示部7に表示する(126)。
【0041】
つぎに、今回の入力に基づいて演奏のテンポを再計算する(127)。このテンポ計算は図5で説明した方式で行う。検出されたカレントポイントデータおよび算出されたテンポで演奏が進むとして楽譜画像生成部9に対して楽譜データ記憶部5から読み出す楽譜データの箇所を指示する(128)。
【0042】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、テンポずれを検出してこれを楽譜上に表示することにより、演奏者はこれに基づいてテンポを修正して正しいテンポで演奏をすることができる。また、テンポずれの検出は、電子楽譜においてページめくり制御に用いられる演奏箇所・テンポの検出結果を利用して行うことができるため、電子楽譜において新たな検出手段を設ける必要がなく、装置を複雑化することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である演奏支援装置のブロック図
【図2】同演奏支援装置に記憶される楽譜データを示す図
【図3】同演奏支援装置が表示する指示画像の例を示す図
【図4】同演奏支援装置のノートトレース処理を説明する図
【図5】同演奏支援装置のテンポ推定処理を説明する図
【図6】同演奏支援装置が表示する指示画像の変形例を示す図
【図7】同演奏支援装置の動作を示すフローチャート
【図8】同演奏支援装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1…マイク、2…ADコンバータ、3…分析部、4…マッチング検出部、5…楽譜データ記憶部、6…表示制御部、7…表示部、8…操作部

Claims (6)

  1. 楽曲の音符を表す音符データ列を含む楽譜データを記憶する記憶手段と、
    楽音データから音高データを抽出して入力する入力手段と、
    前記入力手段から入力された音高データに基づいて音高列を生成し、該音高列と前記音符データ列とを比較して該音符データ列における現在の演奏位置を推定するとともに、前記音符データ列と前記音高データの入力タイミングとの差に基づいて演奏のテンポを推定し、
    この推定された演奏位置および演奏のテンポに基づいて、次に入力されるべき音高データの入力タイミングを予測し、次に音高データが入力されたとき、現在の演奏位置を決定して、前記楽譜データのうち表示手段に表示する箇所を決定するとともに、その実際の入力タイミングと前記予測された入力タイミングとのずれに基づいてテンポずれを割り出す制御手段と、
    前記楽譜データに基づく楽譜画像および前記テンポずれの量を表す指標を含む修正指示画像を合成して表示する表示手段と、を備えた演奏支援装置。
  2. 前記制御手段は、前記入力手段から入力された音高データに基づいて前記音符データ列を検索して候補データを検出し、前記音高列と該候補データとを比較して、その一致率に応じて現在の演奏位置を推定する請求項1に記載の演奏支援装置。
  3. 前記制御手段は、過去に入力された音高データを、新しいほど大きく、古いものほど小さく重みづけして演奏のテンポを推定する請求項1又は請求項2に記載の演奏支援装置。
  4. 前記制御手段は、前記演奏のテンポを所定の周期毎に推定して、該周期毎に重みづけを区分し、直近の周期の音高データの入力タイミングに最大の重みを持たせ、さかのぼるにしたがって軽くする請求項1又は請求項2に記載の演奏支援装置。
  5. 前記入力手段は、演奏されている楽器からインタフェースを介して音高データを含む演奏データを入力する手段を含む請求項1請求項のいずれかに記載の演奏支援装置。
  6. 楽曲の音符を表す音符データ列を含む楽譜データを記憶した装置において、
    楽音データから音高データを抽出して入力する手順、
    この音高データに基づいて音高列を生成し、該音高列と前記音符データ列とを比較して、該音符データ列における現在の演奏位置を推定する手順、
    前記音符データ列と前記音高データの入力タイミングの差に基づいて演奏のテンポを推定する手順
    の推定された演奏位置および演奏のテンポに基づいて、次に入力されるべき音高データの入力タイミングを予測する手順、
    次に音高データが入力されたとき、現在の演奏位置を決定して、前記楽譜データのうち表示する箇所を決定する決定手順、
    の実際の入力タイミングと前記予測された入力タイミングとのずれに基づいてテンポずれを割り出す手順、
    前記決定手順で決定した表示する箇所の楽譜画像および前記テンポずれの量を示す指標を含む修正指示画像を合成する手順、
    を有する演奏支援方法。
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