JP4399725B2 - ステアリングシャフトおよびこれを備えるステアリング装置ならびにステアリングシャフトの製造方法 - Google Patents
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また、伸縮可能なステアリングシャフトとして、互いに嵌め合わされる中実軸と中空軸とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。具体的には、中実軸は、軸端側から順に、太径の外歯状部と細径の細径軸部とを有している。また、中空軸は、内周に内歯状部を有している。
一方、かしめ突起に代えて、中空軸の外周に、薄板からなる有端環状の板ばね(輪ばね)を別途取り付けることが考えられる。この場合、中実軸と中空軸を嵌め合わせた後に、板ばねを拡径しながら中空軸に取り付け、中空軸と中実軸との重なり部分に配置する。これにより、中空軸および中実軸を所定の締め付け力で締め付け、両軸間の周方向のガタを除去することができる。しかしながら、上記の締め付け力を一定にするには、板ばねの寸法管理を厳密に行う必要があり、手間がかかってしまう。しかも、部品点数が多い。
図1は、本発明の一実施の形態にかかるステアリング装置1の概略構成を示す模式的な断面側面図である。図1を参照して、本ステアリング装置1は、ステアリングホイール2に加えられる操舵トルクを伝達するステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3を内部に通して回転自在に支持するステアリングコラム4とを備えている。
ステアリングコラム4は、アッパシャフト11を同心に取り囲むアッパコラムチューブ13と、ロアシャフト12を同心に取り囲むロアコラムチューブ14とを備えている。アッパコラムチューブ13とロアコラムチューブ14とは、同軸上に並んでおり、軸方向に相対摺動可能に嵌め合わされている。なお、以下では、アッパシャフト11の軸方向Sを単に「軸方向S」といい、径方向Rを単に「径方向R」という。
アッパコラムチューブ13およびロアコラムチューブ14には、それぞれ、対応するアッパ固定ブラケット15およびロア固定ブラケット16が固定されている。ロア固定ブラケット16は、車体10に固定されている。アッパ固定ブラケット15は、車体10に所定の保持力で保持されている。
図2および図7を参照して、アッパコラムチューブ13の内周面の一部が、ロアコラムチューブ14の外周面の一部に嵌合されている。
雌セレーション部17は、アッパシャフト11の端部領域Cに設けられており、雌セレーション歯19と欠け歯領域Dとを有している。なお、端部領域Cとは、アッパシャフト11の開口端20から所定長さの領域(例えば、開口端20から40mm〜100mmの領域)をいう。雌セレーション歯19は、アッパシャフト11の端部領域Cの内周面の一部に形成されており、この内周面の周方向に沿って連続的に並んでいる。
雄セレーション歯18は、ロアシャフト12の端部領域Eの外周面の全周に形成されている。なお、端部領域Eとは、ロアシャフト12の一端から所定長さの領域(例えば、一端から40mm〜120mmの領域)をいう。アッパシャフト11の端部領域Cの内周面に、ロアシャフト12の端部領域Eの外周面が嵌め合わされており、雌セレーション歯19および雄セレーション歯18が互いに噛合している。
加圧用突起21の先端部は、ロアシャフト12の雄セレーション歯18の外周面の相対向する部分を加圧(押圧)している。加圧用突起21の先端部は、雄セレーション歯18の外周面を例えば弾性変形させつつ加圧する。
スリット22の長手方向の中間部には、介在物としての工具23を挿通するための幅広部24が形成されている。なお、工具23は、アッパシャフト11の周方向に関するスリット22の幅広部24の幅Wを拡大するためのものである。スリット22の相対向する縁部22a,22bに、相対向する一対の凹部25,26がそれぞれ形成されており、これら一対の凹部25,26間に上記の幅広部24が区画されている。
ステアリングコラム4のアッパおよびロアコラムチューブ13,14には、工具23を挿通可能な孔27,28がそれぞれ形成されている。径方向Rに関して、各孔27,28は、スリット22の幅広部24に対向して配置されると共に、互いの周縁が概ね重なっている。各孔27,28の内径は、工具23の外径よりも大きく設定されている。
本ステアリング装置1の製造方法は、以下の工程を含む。すなわち、アッパシャフト11の端部領域Cを弾性的に拡径させる第1の工程(図4参照)と、第1および第2のサブアッセンブリ29,30を並べる第2の工程(図5参照)と、第1および第2のサブアッセンブリ29,30を互いに組み付ける第3の工程(図6参照)と、アッパシャフト11の端部領域Cを弾性的に縮径させる第4の工程(図7参照)とを含んでいる。
より具体的には、アッパおよびロアコラムチューブ13,14を同軸上に並べると共に、アッパおよびロアシャフト11,12を同軸上に並べる。同時に、アッパコラムチューブ13の周方向に関するアッパおよびロアコラムチューブ13,14の孔27,28の位置を互いに一致させておく。なお、スリット22の幅広部24とアッパコラムチューブ13の孔27とは、第2のサブアッセンブリ30の形成時に、径方向R(図5において、紙面に垂直な方向)に相対向させておく。
第4の工程において、例えばペンチ等の第2の工具(図示せず)を、アッパおよびロアコラムチューブ13,14の孔27,28に通して工具23を掴み、この工具23をスリット22から引き抜く(抜脱する)(図7参照)。これにより、アッパシャフト11の端部領域Cの拡径を解除し、弾性的に縮径させる。これに伴い、加圧用突起21は、回避位置から径方向Rの内側(図7において、下側)に移動し、ロアシャフト12の雄セレーション歯18の外周面を加圧可能な加圧位置に至る。すなわち、加圧用突起21は雄セレーション歯18の外周面を加圧する。スリット22から引き抜かれた工具23は、アッパおよびロアコラムチューブ13,14の孔27,28を通ってステアリングコラム4の外に出される。
スリット22を欠け歯領域Dに設けているので、仮に、スリット22の近傍にアッパシャフト11の内方へ突出するバリ等が生じていたとしても、摺動時にバリ等がロアシャフト12と干渉することが無い。したがって、摺動抵抗が増加するおそれがない。また、多少のバリは許容できることから、バリ取り作業を簡素化でき、製造コストを安くすることができる。
例えば、アッパシャフト11がロアシャフト12内に挿入される構成でもよい。また、アッパコラムチューブ13がロアコラムチューブ14内に挿入される構成でもよい。さらに、加圧用突起21を、雌セレーション部17の欠け歯領域Dに設けてもよい。また、アッパシャフト11の周方向に関する加圧用突起21とスリット22の幅広部24との位相差は、90°未満でもよいし、90°より大きくても良い。さらに、第1の工程と第2の工程とを入れ替えても良い。また、スリット22を複数設けても良い。
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングコラム
11 アッパシャフト(外軸)
12 ロアシャフト(内軸)
17 雌セレーション部
20 開口端
21 加圧用突起
22 スリット
23 工具(介在物)
27,28 孔
C 端部領域
D 欠け歯領域
S 軸方向
W (スリットの幅広部の)幅
Claims (4)
- 内軸と、
内軸にセレーション嵌合する筒状の外軸と、
上記外軸の端部領域の内周面に突出形成され内軸の外周面を加圧するための加圧用突起と、
上記外軸の端部領域に形成され外軸の軸方向に延びるスリットとを備え、
上記外軸は、スリット幅を強制的に拡大することにより加圧用突起による内軸の加圧を回避可能な内径に弾性的に拡径可能であることを特徴とするステアリングシャフト。 - 請求項1において、上記外軸のセレーション部は、外軸の開口端から軸方向に延びる欠け歯領域を含み、上記スリットはこの欠け歯領域に設けられることを特徴とするステアリングシャフト。
- 請求項1または2に記載のステアリングシャフトと、
ステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングコラムとを備え、
ステアリングコラムはステアリングシャフトのスリットに対向する孔を含むことを特徴とするステアリング装置。 - 軸方向に延びるスリットを有し内周面に加圧用突起を有する外軸のスリットに介在物を挿入することにより、スリット幅を強制的に拡大して外軸を加圧用突起による内軸の加圧を回避可能な内径に弾性的に拡径する工程と、
上記弾性的に拡径された外軸内に内軸を挿入して外軸および内軸を互いにセレーション嵌合させる工程と、
上記スリットから介在物を抜脱することにより外軸を弾性的に縮径させて、外軸の加圧用突起によって内軸の外周面を加圧する工程とを含むことを特徴とするステアリングシャフトの製造方法。
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