以下に本発明の最良の形態を説明するが、開示される発明と実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。本明細書中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、明細書に記載されている発明の全てを意味するものではない。換言すれば、この記載は、明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出現し、追加される発明の存在を否定するものではない。
本発明によれば、送受信システムが提供される。この送受信システム(例えば、図4の筐体1)は、光を発する光源(例えば、図4の光源31−1)と、光源からの光を反射することにより、データを送信する第1の装置(例えば、図4の基板11−1)と、光源と第1および第2の装置との間に配置され、光源から入射する光を透過し、第1の装置から入射する光を反射する光学部品(例えば、図4のマジックミラー32)と、光学部品により反射された光を受光することにより、データを受信する第2の装置(例えば、図4の基板11−2)とを備える。
図1は、本発明を適用した一実施の形態である、電子機器の筐体1の斜視図である。
筐体1は、高さ方向の幅が、横方向と奥行き方向の幅に比べて狭い、換言すれば、高さが低い直方体となされている。筐体1の前面(正面)となる面には、所定の処理を行う回路が形成されている基板11−1乃至11−3などが、6枚だけ装着可能なように、小さな凹形状のスロット2−1乃至2−6が構成されている。なお、本実施の形態においては、筐体1は、6個のスロット2−1乃至2−6を備えているものとするが、スロットの数は、6個に限らず、1以上の任意の数とすることができる。
筐体1の前面の上側半分の面(領域)には、左側から順に、スロット2−1乃至2−3が配置されている。また、筐体1の前面の下側半分の面(領域)には、左側から順に、スロット2−4乃至2−6が配置されている。なお、以下において、スロット2−1乃至2−6を特に区別する必要がない場合には、スロット2と称する。
図1の筐体1では、スロット2−1乃至2−3に基板11−1乃至11−3がそれぞれ装着される。なお、スロット2−1乃至2−3に装着される基板11−1乃至11−3は、同一の処理を行う基板であってもよいし、異なる処理を行う基板であってもよい。また、スロット2−1乃至2−3のうちのいずれに、基板11−1乃至11−3のうちのいずれを装着してもよい。
以下において、基板11−1乃至11−3を特に区別する必要がない場合には、基板11と称する。また、本実施の形態では、スロット2−4乃至2−6には、基板11は、装着されていないものとするが、スロット2−4乃至2−6に基板11が装着された場合においても以下に記載の同様のことが可能となる。スロット2には、筐体1において行われる処理に必要なだけの枚数の基板11が装着され、1以上のスロット2に装着された基板11それぞれが、所定の処理を行うことにより、ある一定の処理を行うようになされている。
なお、本実施の形態においては、基板11が装着された筐体1が全体として行う処理の内容は、どのような処理であってもよいので、特に限定しない。さらに、筐体1が単独で、特定の処理を行っても良いし、筐体1がさらに、他の装置(図示せず)に一構成部品として組み込まれ、他の装置が行う処理の一部を筐体1が行うようにすることもできる。
図2は、図1のスロット2に装着される基板11−i(i=1,2,3)の構成例を示す上面図である。
図2の基板11−iは、n個の反射部12−1乃至12−n、n個の受光部13−1乃至13−n、受信処理部14、および送信処理部15で構成されている。
図2の矢印Bは、基板11が図1のスロット2に挿入されるときの挿入方向を表している。基板11がスロット2に装着された場合、筐体11の前面(正面)から見て、スロット2の奥(筐体11の背面に近い側)に装着されることになる基板11の面(図面上側)(以下において、基板通信面と称する)には、反射部12−1乃至12−nと受光部13−1乃至13−nが配置されている。
基板通信面の右半分には、反射部12−1乃至12−nが、基板通信面の左半分には、受光部13−1乃至13−nがそれぞれ配置されている。また、基板11のその他の領域には、各種の回路(図示せず)が配置されており、それらの回路の少なくとも一部は、送信処理部11と受信処理部14を構成している。ここで、反射部12−1乃至12−nと受光部13−1乃至13−nの個数であるnは、同一の数である。
反射部12−1乃至12−nぞれぞれは、例えば、DMD (Digital Micromirror Device) (商標)等で構成される。DMDは、電圧の印加状態を変化させることにより、ミラーの角度を変化させ、DMDに入射する光が反射する反射角度を変化させることができるデバイスである。
反射部12−1乃至12−nぞれぞれは、送信処理部15の制御の下、反射部12−1乃至12−nに入射する光が反射する反射角度を変化させることにより、スロット2に装着されている他の基板11−j(j=1,2,3:i≠j)に向けて、光を反射させる。
一方、反射部12−1乃至12−nぞれぞれは、送信処理部15の制御の下、反射部12−1乃至12−nに入射する光が反射する反射角度を変化させることにより、スロット2に装着されている他の基板11−jに向けて、光を反射させないこともできる。
即ち、反射部12−1乃至12−nぞれぞれは、送信処理部15の制御の下、反射部12−1乃至12−nに入射する光が反射する反射角度を変化させることにより、スロット2に装着されている他の基板11−jに対して、光(以下、光信号と称する)を送信する。換言すれば、反射部12−1乃至12−nは、送信処理部15の制御の下、光信号のn個の光スイッチとして機能する。なお、本実施の形態においては、反射部12−1乃至12−nを特に区別する必要がない場合には、反射部12と称する。
例えば、反射部12では、送信処理部15から“1”のデータが供給されたときに、光信号を送信先の基板11−jに送信する(反射する)。この場合、反射部12は、光信号を送信する送信先の基板11−jに光信号が届くような(向くような)角度となる。
一方、反射部12では、送信処理部15から“0”のデータが供給されたときに、光信号を送信先の基板11−jに送信しない(反射しない)。この場合、反射部12は、光信号を送信する送信先の基板11に光信号が届かない(向かない)角度となる。
ここで、反射部12の個数であるnは、基板11が送信するデータの容量に応じて、自由に決定することができる。n個の反射部12−1乃至12−nでは、一度にn本のデータ(パラレルデータ)を送信することができる。従って、nが大きければ大きいほど、一度に送信できるデータの量は大きくなる。逆に言えば、反射部12の個数であるnは、送信するデータの量に依存して決定することができる。
受光部13−1乃至13−nそれぞれは、例えば、CCD (Charge Coupled Device)等で構成され、受光部13−1乃至13−nに入射する光信号を受光して光電変換し、その光電変換の結果得られる電気信号を受信処理部14に供給する。なお、以下において、受光部13−1乃至13−nを特に区別する必要がない場合には、受光部13と称する。また、受光部13の個数であるnは、反射部12と同一の値とされる。
受光部13の受光面には、反射部12で反射された光信号が拡散し、受光部13に入射することを考慮して、光信号を反射する反射部12の反射面に相当する面積よりも大きな面積を持たせるようにすることができる。
また、受光部13の受光面の面積を、光信号を反射する反射部12の反射面の面積よりも大きな面積とした場合、所定の受光部13(目的受光部13と称する)に入射するべき光信号が、隣接する上下左右に位置する他の受光部13(周辺受光部13と称する)に入射し、周辺受光部13において、自分に向けた本来の光信号ではない、いわば漏れた光信号を、自分に向けた光信号であると判断(誤認識)してしまうことが考えられる。この場合には、受光部13の積分特性を利用した閾値を受信処理部14に設定し、受信処理部14において、受光部13が受光した光信号が、その閾値以上であれば、目的受光部13に対する光信号であると判断し、受光部13が受光した光信号が、その閾値より小さければ、周辺受光部13に対する光信号であると判断することにより、誤認識を回避することができる。
なお、受光部13の積分特性とは、所定の面積を有する受光面に入射した光信号は、その面積単位で、空間方向および時間方向に積分(蓄積)されて1つの値(電気信号のレベル)に光電変換されることをいう。従って、漏れた光信号が、受光部13の受光面の一部のみに入射したり、あるいは、拡散された弱い光信号であるために、そのような光信号が光電変換された結果得られる値は、目的受光部13が受光して光電変換された値より小さな値となる。受信処理部14では、目的受光部13が受光して光電変換された値(レベル)と周辺受光部13が受光して光電変換された値(レベル)の間に閾値が設けられる。
受信処理部14は、受光部13から供給される電気信号としてのデータを受信し、そのデータに基づいて、所定の処理(データ処理)を行う。また、送信処理部15は、所定の処理(データ処理)を行った後のデータを、スロット2に装着されている送信先の他の基板11−jに対して、光信号として送信するように反射部12を制御する。
以上のように構成される基板11−iでは、受信処理部14は、受光部13により受光された光信号がデータに復調され、そのデータに基づいてデータ処理(受信処理)を行う。また、送信処理部11は、反射部12に入射する光信号の反射を制御することにより、所定のデータ処理を行った後のデータを光信号として、送信先の他の基板11−jに送信(送信処理)する。
なお、図2では、基板11は、送信処理と受信処理の2つの処理を行うものとするが、基板11は、送信処理または受信処理のいずれか一方のみを行うように構成することも可能である。基板11が送信処理のみを行う場合、基板11には、反射部12と送信処理部15とだけを設ければよく、基板11が受信処理のみを行う場合、基板11には、受光部13と受信処理部14とだけを設ければよい。
また、図2では、基板11の基板通信面を左右に2分して、その片側に反射部12、他方の片側に受光部13というように、反射部12と受光部13とを分けて配置したが、反射部12と受光部13は、混在するような配置としてもよい。
図3は、反射部12を構成するDMD21の動作を説明する図である。
DMD21は、DMDベース22、ポスト23、ミラー24で構成される。DMDベース22上には、ポスト23が配置され、ポスト23は、その上部に配設されるミラー24を支えている。
DMDベース22は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等で構成され、電圧の印加状態を変化させることにより、ミラー24の角度を、図3左側に示す水平状態を正位置として、図3右側に示すように図面左方向または図面右方向などに変化させる。即ち、DMD21は、ミラー24の角度を変化させる(傾かせる)ことにより、ミラー24に対して入射する光信号を所望の方向に反射させることができる。
なお、DMD21では、図3左側の正位置を0度として、プラス10度(図3右上)またはマイナス10度(図3右下)に傾かせる動作速度は毎秒5000回以上と高速であり、800×600のSVGA(Super Video Graphics Array)の解像度をもつDMD21は、0.7インチ程度のチップサイズである。
図4は、筐体1の複数のスロット2に装着された基板11間の光通信の実施の形態を示している。なお、図4は、図1の筐体1を上方から見た断面図である。
筐体1の前面側に配置されているスロット2−1乃至2−3それぞれには、基板11−1乃至11−3が装着されている。
筐体1の内部の背面側には、光を発する光源31−1乃至31−3が設けられている。光源31−1乃至31−3それぞれは、図示せぬプリズム等を用いて、基板11−1乃至11−3それぞれの反射部12に対して、垂直に光を入射させる。なお、以下において、光源31−1乃至31−3を特に区別する必要がない場合には、光源31と称する。
図4では、基板11−1乃至11−3に対して、それぞれ1対1となるように、3個の光源31−1乃至31−3が筐体1内部の背面側に設けられているが、光源31の数は、1または2個で構成されてもよいし、4個以上であってもよい。
筐体11の内部の、背面側に配置されている光源31と、前面側に配置される基板11との間には、いわゆるマジックミラー(One way mirror)(光学部品)32が設けられている。マジックミラー32は、図4に示すように、光源31から基板11の方向に入射する光信号33を透過させ、基板11から光源31の方向に入射する光信号33を反射させる。
例えば、図4に示すように、光源31−1が発した光信号33は、マジックミラー32を透過して、基板11−1の反射部12に垂直に入射する。基板11−1の反射部12は、基板11−1の送信処理部15の制御の下、自身の角度(図3のミラー24の角度)を変化させることにより、その入射した光信号33(光源31−1からの光信号33)を、図面右方向に反射させる。基板11−1の反射部12により反射(送信)された光信号33は、マジックミラー32に入射して反射され、基板11−2の受光部13に入射する。基板11−2の受光部13は、基板11−1が、データと基板11−2の位置とに応じて光源31−1からの光信号33を反射部12で反射することにより入射する光信号33を受信する。換言すれば、基板11−2の受光部13が受光する光信号33は、光源31−1からの光信号33が、基板11−1の反射部12で反射され、さらに、マジックミラー32で反射された光信号33である。このようにして、基板11−1と基板11−2との間で光信号33の送受信(以下、光通信とも称する)が行われる。
なお、基板11間の光通信(以下、基板間通信とも称する)は、となりあう基板11間のみに限定されるものではない。
そこで、図5は、基板11間の光通信のその他の実施の形態を示している。なお、図4と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明を適宜省略する。
図5では、光源31−1が発した光信号33は、マジックミラー32を透過して、基板11−1の反射部12に垂直に入射する。基板11−1の反射部12は、基板11−1の送信処理部15の制御の下、自身の角度を変化させることにより、その入射した光信号33を、図面右方向に反射させる。図5で基板11−1の反射部12が反射させた光信号33は、図4の場合と比べて、マジックミラー32のより右側の位置に照射するように出射される。基板11−1の反射部12により反射(送信)された光信号33は、マジックミラー32に入射して反射され、基板11−3の受光部13に入射する。このようにして、基板11−1と基板11−3との間で光信号33の送受信(光通信)を直接行うことができる。即ち、図5では、1枚の基板11−2を隔てた、基板11−1と基板11−3との間の光通信が行われている。
また、基板11間の光通信は、送信側の基板11と受信側の基板11が光信号33を直接送受信(通信)することによって行う他に、送信側の基板11と受信側の基板11が他の基板11を介して、光信号33を間接的に送受信(通信)することによって行うことも可能である。
図6は、送信側の基板11−1と受信側の基板11−3が、他の基板11−2を介して、光信号33を間接的に送受信(通信)する実施の形態を示している。なお、図4と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明を適宜省略する。
図6では、光源31−1が発した光信号33は、マジックミラー32を透過して、基板11−1の反射部12に垂直に入射する。基板11−1の反射部12は、基板11−1の送信処理部15の制御の下、自身の角度を変化させることにより、その入射された光信号33を、図面右方向に反射させる。基板11−1の反射部12により反射された光信号33は、マジックミラー32により反射され、基板11−2の反射部12に入射する。そして、基板11−2の反射部12に入射した光信号33が、マジックミラー32に向けて、さらに反射される。基板11−2の反射部12により反射された光信号33は、マジックミラー32により反射され、基板11−3の受光部13に入射する。従って、基板11−1と基板11−3との光通信が、基板11−2を介して行われる。この場合、基板11−2には、基板11−2の反射部13に入射する光信号33を、基板11−3の受光部13に入射するように、基板11−2の反射部12の角度を調整する旨の光信号33が、予め送信される。
図6において、基板11−1から送信された光信号33は、基板11−2にとっては必要のない信号であるため、基板11−2は、基板11−1から送信されてくる光信号33を基板11−3に、単に伝送しただけである。図6のように、他の基板11−jから送信されてくるデータの光信号33をデータ処理せずに、伝送するだけの基板11−iを伝送基板11−iと称する。
また、図6では、3つのスロット2−1乃至2−3それぞれに3つの基板11−1乃至11−3が装着されており、1つの伝送基板11−2を介して、基板11−1と基板11−3との基板間通信が行われたが、例えば、4つのスロットが1列に配置されている場合、2番目と3番目に配置されている2つの基板を伝送基板として、両端の基板11どうしが基板間通信を行うこともできる。即ち、基板間通信において、送信側の基板11と受信側の基板11との間の伝送基板11の数は、いくつであってもよい。
一方、基板11−1から送信される光信号33が、基板11−2と基板11−3の両方に必要な信号(データ)である場合もあり得る。
図7は、そのような場合の、基板11−1から送信される光信号33が、基板11−2と基板11−3の両方で受信される光通信の実施の形態を示している。
光源31−1が発した光信号33は、マジックミラー32を透過して、基板11−1の反射部12に垂直に入射する。基板11−1の反射部12は、基板11−1の送信処理部15の制御の下、自身の角度を変化させることにより、その入射した光信号33を、図面右方向に反射させる。基板11−1の反射部12により反射(送信)された光信号33は、マジックミラー32に入射して反射され、基板11−2の受光部13に入射する。このようにして、基板11−1と基板11−2との間で光信号33の光通信が行われる。
また、光源31−2が発した光信号33は、マジックミラー32を透過して、基板11−2の反射部12に垂直に入射する。基板11−2の反射部12は、基板11−2の送信処理部15の制御の下、自身の角度を変化させることにより、その入射した光信号33を、図面右方向に反射させる。基板11−2の反射部12により反射(送信)された光信号33は、マジックミラー32に入射して反射され、基板11−3の受光部13に入射する。このようにして、基板11−2と基板11−3との間で光信号33の光通信が行われる。
基板11−2の受信処理部14は、基板11−2の受光部13が受信した光信号33に対応するデータが基板11−3にも必要である場合には、基板11−2の送信処理部15がそのデータ(基板11−1から受信したデータと同一のデータ)を、光信号33として、光源31−2からの光信号を反射させることにより、基板11−3の受光部13に送信する。
従って、基板11−2および11−3ともに、基板11−1から送信された光信号33に対応するデータを受信することができる。
図4乃至図7で示した基板11間の光通信の実施の形態では、データを送信する先の基板11を変更する場合には、反射部11の反射角度を変化させるだけで、所望の基板11にデータ(光信号33)を送信することができる。また、複数の基板11に対して、いわゆるバケツリレーの要領で同一のデータを送信することができる。
従って、従来の、予め固定された配線とされるバスの通信のように、バスの規格が変更された場合、またはバスに接続されたIC(Integrated Circuit)のピン数が変更された場合、通信できないということはなくなる。つまり、配線(データを送受信するルート)の自由度が大きくなる。換言すれば、拡張性の高い通信を行うことができる。
また、光信号33によりデータを送受信するため、通信の高速化を図ることができる。
さらに、導線のような配線を必要とせず、また、DMDやCCDなどで構成される反射部12や受光部13は、非常に小さいものを採用することができるので、低コスト化、コンパクト化を実現することができる。
図4および図5で示したような、送信元の基板11(送信元基板11とも称する)と送信先の基板11(送信先基板11とも称する)との、伝送基板11を介さない1対1の光通信をシングルキャストと称し、図6および図7に示したような、送信元基板11から、1つ以上の基板11を介して、送信先基板11へ送信する、1対2以上の光通信をブロードキャスト(ブロードキャストする)と称する。
さて、上述したように、図2の基板11−iは、送信処理または受信処理のいずれか一方のみを行うように構成することも可能である。そこで、初めに、基板11−iがシングルキャストの送信処理または受信処理のいずれか一方のみを行う場合の基板11−iの構成と動作について、図8乃至図11を参照して説明する。
図8は、基板11−iが送信処理を行う場合の、送信処理部15の機能的なブロック図(実施の形態)を示している。
送信処理部15は、光源制御部51、データ処理部52、S/P(Serial/Parallel)変換部53、およびミラー制御部54で構成されている。
光源制御部51は、基板11の反射部12に対向して筐体1の背面側に配置される光源31を、必要に応じて制御する。即ち、光源制御部51は、光源31をオンまたはオフする(光源31を操作する)。
データ処理部52は、所定の処理を行い、他の基板11−jに送信するべきデータ(以下、実データと称する)が生じた場合、その実データをS/P変換部53に供給する。なお、データ処理部52からS/P変換部53に対して、各種のデータ(信号)が供給される場合には、各種のデータが、所定のフォーマットに変調された(エンコードが行われた)後で、S/P変換部53に供給される。また、データ処理部52がS/P変換部53に供給する実データは、シリアルデータである。
また、データ処理部52は、送信先データを生成し、ミラー制御部54に供給する。ここで、送信先データは、自分(基板11−i)が実データを送信する他の基板11−jを表すデータである。
S/P変換部53は、データ処理部52から供給されたシリアルデータである実データを、反射部12の数と同一のn本のパラレルデータに変換し、そのパラレルデータをミラー制御部54に供給する。
ミラー制御部54には、S/P変換部53からパラレルデータとされた実データが、データ処理部52から送信先データが、それぞれ供給される。ミラー制御部54は、図4に示したように、光源31から発せられる光信号33を、S/P変換部53から供給される実データと、送信データが表す他の基板11−jの位置とに応じて、反射部12の反射角度を制御する。即ち、反射部12−1乃至12−nが、送信する基板11−jの位置、およびn本のパラレルデータそれぞれに応じて、制御される。ミラー制御部54は、例えば、データに応じて、オン・オフ信号などを反射部12に供給することにより反射部12の反射角度を制御する。例えば、ミラー制御部54が反射部12にオン信号を供給した場合、光源31から発せられる光信号33が、送信先データが表す基板11−jに入射するように、反射部12の反射角度を制御する。一方、ミラー制御部54が反射部12にオフ信号を供給した場合、光源31から発せられる光信号33が、送信先データが表す基板11−jに入射しないように、反射部12の反射角度を制御する。送信先データが表す基板11−jに入射しない反射部12の反射角度としては、例えば、光源31から入射された光信号33が光源31にそのまま反射される角度(図3の正位置)、または、他の光信号33に干渉を及ぼさない方向(例えば、自分の基板11−iの受光部13など)の角度などがある。従って、実データに対応する光信号33が、送信先データが表す他の基板11−jに対して送信される。
図9のフローチャートを参照して、基板11−iの送信処理部15が行う送信処理について説明する。この処理は、データ処理部52が他の基板11−jにデータを送信するときに行われる。
初めに、ステップS1において、光源制御部51は、基板11−iに対向する光源31−iを制御し、光源31−iをオンにして、ステップS2に進む。これにより図4の筐体1の光源31−iは、光を発する。
ステップS2において、データ処理部52からS/P変換部53に、シリアルデータである実データが、データ処理部52からミラー制御部54に、送信先データが、それぞれ供給される。また、ステップS2では、S/P変換部53は、データ処理部52から供給されたシリアルデータである実データを、n本のパラレルデータに変換(S/P変換)し、そのパラレルデータをミラー制御部54に供給して、ステップS3に進む。
ステップS3において、ミラー制御部54は、送信する基板11−jの位置、およびS/P変換部53から供給されるn本のパラレルデータ(実データ)に応じて、n個の反射部12−1乃至12−nそれぞれの反射角度を制御する。即ち、ミラー制御部54は、S/P変換部53から供給されるn本のパラレルデータ(実データ)に対応する光信号33が、マジックミラー32を介して、送信先データが表す送信先の基板11−jに向けて反射されるように、n個の反射部12−1乃至12−nの反射角度を制御する。これにより、ステップS3では、光源31−iから発せられた光信号33が反射部12で反射され、実データに対応する光信号33となって、送信先の基板11−jに送信される。
ステップS3の処理の後、ステップS4に進み、送信先の基板11−jに送信すべき実データ(以下、送信データとも称する)が終了したか否かが判定される。ステップS4で、送信データが終了していないと判定された場合、即ち、データ処理部52から、S/P変換部53を介してミラー制御部54にパラレルデータがまだ供給されている場合、ステップS3に戻り、ミラー制御部54は、S/P変換部53から供給されるn本のパラレルデータに応じて、n個の反射部12−1乃至12−nそれぞれの反射角度を制御する。
一方、ステップS4で、送信データが終了されたと判定された場合、即ち、データ処理部52から、S/P変換部53を介してミラー制御部54にパラレルデータが供給されていない場合、ステップS5に進み、光源制御部51は、光源31−iを制御し、光源31−iをオフにして、処理を終了する。
以上のように、図9の送信処理では、光源31から発せられる光信号33によって、データが送信される。
図10は、基板11−iが受信処理を行う場合の、受信処理部14の機能的なブロック図(実施の形態)を示している。
受信処理部14は、データ受信部71、P/S変換部72、処理判定部73、およびデータ処理部74で構成される。
データ受信部71には、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が光電変換されることによって得られる電気信号としてのデータが供給される。データ受信部71は、上述した積分特性を考慮した閾値処理等を行うことにより、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が、自分に向けた信号(受信信号)であるかどうかを判定する。受光部13−1乃至13−nから供給されたデータが、自分に向けた信号であると判定された場合には、データ受信部71は、受光部13−1乃至13−nから供給されたデータを復調(デコード)し、その結果得られるn個の受光部13−1乃至13−nに対応するn本のパラレルデータ(実データ)を、P/S(Parallel/Serial)変換部72に供給する。即ち、データ受信部71は、受光部13で受光された光信号33を、対応するデータ(実データ)に復調(デコード)して、P/S変換部72に供給する。例えば、データ受信部71は、受光部13に入射した光信号33が自分に向けた信号であると判定した場合を“1”、受光部13に入射した光信号33が自分に向けた信号ではないと判定した場合を“0”として復調する。
P/S変換部72は、データ受信部71から供給されたパラレルデータである実データをシリアルデータに変換して、処理判定部73に供給する。
処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データが、後述するデータ処理部74で処理すべきもの(データ)であるかどうかを判定する。処理判定部73が、P/S変換部72から供給される実データは、データ処理部74で処理すべきデータであると判定した場合、処理判定部73は、データ処理部74で処理すべきデータである旨のコマンドとして、データ処理指令をデータ処理部74に供給する。
後述するブロードキャストの通信の場合には、どの基板11−jで処理すべき実データであるかを表す後述する送信先基板設定用信号が、送信先の基板11に予め送信されてくるので、処理判定部73は、それを基に、P/S変換部72から供給される実データが、データ処理部74で処理すべきデータであるかどうかを判定する。一方、シングルキャストの通信の場合には、その送信先基板設定用信号が送信元の基板11から送られてこない。その場合、処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データを、データ処理部74で処理すべきデータであると判定し、データ処理指令を、P/S変換部72から供給される実データとともに、データ処理部74に供給する。
データ処理部74は、処理判定部73からデータ処理指令が供給された場合に、実データを用いて所定のデータ処理(光信号33の信号処理)を行う。
図11のフローチャートを参照して、基板11の受信処理部14が行う受信処理について説明する。この処理は、例えば、一定の周期で常に行われている。
初めに、ステップS21において、受光部13−1乃至13−nは光信号33を受光する。そして、データ受信部71は、上述した閾値処理等を行うことにより、受信信号があるか、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した(受光部13−1乃至13−nが受光した)光信号33が自分に向けた信号であるかどうかを判定する。ステップS21で、受信信号がない、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が自分に向けた信号ではないと判定された場合、受信処理を終了する。
一方、ステップS21で、上述した閾値処理等を行うことにより、受信信号がある、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が自分に向けた信号であると判定された場合、ステップS22に進み、データ受信部71は、その受信したデータ(実データ)を復調し、その結果得られるパラレルデータとなっている実データをP/S(Parallel/Serial)変換部72に供給する。
また、ステップS22では、P/S変換部72は、データ受信部71から供給されたパラレルデータとなっている実データをシリアルデータに変換して、ステップS23に進む。
ステップS23では、処理判定部73は、P/S変換部72から供給されるシリアルデータが、データ処理部74で処理すべきデータかどうかを判定する。上述したように、送信先基板設定用信号が送信元の基板11から送信されてこない場合、処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データを、データ処理部74で処理すべきデータであると判定し、データ処理指令を、実データとともにデータ処理部74に供給して、ステップS24に進む。
ステップS24において、データ処理部74は、処理判定部73からデータ処理指令が供給されたか否かを判定する。ステップS24で、データ処理指令が供給されていないと判定された場合、ステップS25をスキップして、受信処理を終了する。
一方、ステップS24で、データ処理指令が供給されたと判定された場合、ステップS25に進み、データ処理部74は、ステップS23で処理判定部73が供給する実データを処理して、受信処理を終了する。
以上のように、図11の受信処理では、受光部13が受信した光信号33に対応するデータ(実データ)を用いて、所定のデータ処理を行うことができる。
次に、基板11−iがブロードキャストの光通信を行う場合の、基板11−iの構成と動作について、図12乃至図15を参照して説明する。
図12は、図2の受信処理部14と送信処理部15の機能的なブロック図(その他の実施の形態)を示している。なお、図8の送信処理部15および図10の受信処理部14と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明を適宜省略する。
データ処理部101は、図8で示した送信処理部のデータ処理部52が行う処理と同様の処理を行う。また、データ処理部101は、図10で示した受信処理部14のデータ処理部74が行う処理と同様の処理も行う。
データ受信部71は、受光部13−1乃至13−nから供給されたデータ(受信信号)を復調(デコード)し、その結果得られるn個の受光部13−1乃至13−nに対応するn本のパラレルデータ(実データ)を、P/S(Parallel/Serial)変換部72に供給する。
P/S変換部72は、データ受信部71から供給されたパラレルデータである実データをシリアルデータに変換して、処理判定部73に供給する。
処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データをデータ処理部101に供給する。また、処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データが、データ処理部101で処理すべきもの(データ)かどうかを判定する。P/S変換部72から供給される実データが、データ処理部101で処理すべきデータであると判定された場合、処理判定部73は、データ処理指令をデータ処理部101に供給する。
データ処理部101は、処理判定部73からデータ処理指令が供給された場合に、処理判定部73から供給される実データを用いて所定のデータ処理(光信号33の信号処理)を行う。そして、データ処理部101がデータ処理を行うことにより得られたデータを、他の基板11−jに送信する必要が生じた場合には、データ処理部101は、そのデータ処理を行うことにより得られたデータを、S/P変換部53に供給する。また、処理判定部73から供給された実データを他の基板11−jに送信する必要がある場合には、データ処理部101は、処理判定部73から供給された実データをS/P変換部53に供給する。
また、データ処理部101は、データ処理部52と同様の送信先データを生成し、ミラー制御部54に供給する。
S/P変換部53は、データ処理部101から供給されたシリアルデータである実データを、反射部12の数と同一のn本のパラレルデータに変換し、そのパラレルデータをミラー制御部54に供給する。
ミラー制御部54は、基板11−iに対向する光源31−iから発せられる光信号33を、送信先データが表す基板11−jの位置、およびS/P変換部53から供給される実データに応じて、反射部12の反射角度を制御する。即ち、ミラー制御部54では、反射部12に入射して反射される光信号33(実データに対応する光信号33)が、データ処理部101から供給される送信先データが表す基板11−jに入射するように、反射部12の反射角度が制御される。
以上のように構成される受信処理部14と送信処理部15では、受信した実データを用いてデータ処理が行われる。また、受信した実データや、実データを処理して得られたデータを他の基板11−jに送信する必要がある場合には、受信処理部14で受信した実データや、実データを処理して得られたデータが、他の基板11−jに送信される。
図13は、図7に示したような、基板11−1から、基板11−2と基板11−3に実データがブロードキャストされる場合の、実データの流れ(処理)を説明する図である。なお、図13の垂直(縦)方向は、基板11−1乃至11−3を表し、図13の水平(横)方向は、時間を表している。また、図13では、基板11−1乃至11−3それぞれは、基板#1乃至#3として図示されている。
基板11−1(基板#1)のデータ処理部101において、所定のデータ処理が行われ、基板11−2と11−3に送信すべき実データが生成される。そして、基板11−1のデータ処理部101は、その実データを基板11−1のS/P変換部53に供給する。基板11−1のS/P変換部53は、基板11−1のデータ処理部52から供給されたシリアルデータである実データを、パラレルデータに変換し、基板11−1のミラー制御部54に供給する。基板11−1のミラー制御部54は、基板11−1の反射部12が、基板11−2(基板#2)に光信号33を反射するように、基板11−2の位置(受光部13の位置)と実データとに応じて、基板11−1の反射部12を制御する。これにより、実データに対応する光信号33が、基板11−1から基板11−2に送信される。
基板11−2(基板#2)では、基板11−2の受光部13で基板11−1からの光信号33が受光され、光電変換されて、その光電変換によって得られる、基板11−1が送信した実データが、データ受信部71に供給される。基板11−2のデータ受信部71は、基板11−1から送信されてくる実データを受信し、基板11−2のP/S変換部72に供給する。
基板11−2のP/S変換部72では、基板11−2のデータ受信部71から供給されたn本のパラレルデータである実データが、シリアルデータである実データに変換され、基板11−2の処理判定部73に供給される。
基板11−2の処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データを、そのまま基板11−2のデータ処理部74に供給する。
基板11−2のデータ処理部101は、基板11−2の処理判定部73から供給された実データを用いて所定のデータ処理を行うとともに、その実データ(基板11−2の処理判定部73から供給された実データ)を、基板11−2のS/P変換部53に供給する。
基板11−2のS/P変換部53は、基板11−2のデータ処理部101から供給された実データ(シリアルデータ)を、n本のパラレルデータに変換し、パラレルデータである実データとして、基板11−2のミラー制御部54に供給する。
基板11−2のミラー制御部54は、基板11−2の反射部12が、基板11−3(基板#3)に光信号33を反射するように、基板11−3の位置(受光部13の位置)と実データとに応じて、基板11−2の反射部12を制御する。これにより、実データに対応する光信号33が、基板11−2から基板11−3に送信される。
基板11−3(基板#3)では、基板11−3の受光部13で基板11−2からの光信号33が受光され、光電変換されて、その光電変換によって得られる、基板11−2が送信した実データが、データ受信部71に供給される。基板11−3のデータ受信部71は、基板11−2から送信されてくる実データを受信し、基板11−3のP/S変換部72に供給する。
基板11−3のP/S変換部72では、基板11−3のデータ受信部71から供給されたn本のパラレルデータである実データが、シリアルデータである実データに変換され、基板11−3の処理判定部73に供給される。
基板11−3の処理判定部73は、P/S変換部72から供給される実データを、そのまま基板11−3のデータ処理部74に供給する。
基板11−3のデータ処理部101は、基板11−3の処理判定部73から供給された実データを用いて所定のデータ処理を行う。
以上のように、基板11−1は、実データを基板11−2に送信する。基板11−2は、その実データを受信し、受信した実データを用いてデータ処理を行う。また、基板11−2は、基板11−1から受信した実データを基板11−3に送信する。基板11−3は、基板11−2からの実データを受信し、その実データ(基板11−1が送信した実データ)を用いてデータ処理を行う。
図14のフローチャートを参照して、図7で示した基板間通信における、基板11−1がデータ処理部101で処理した実データを、基板11−2と11−3にブロードキャストする、基板11−1の送信処理について説明する。
初めに、ステップS41において、光源制御部51は、基板11−1に対向する光源31−1を制御し、光源31−1をオンにして、ステップS42に進む。
ステップS42において、データ処理部101は、基板11−2が記載された送信先データを生成する。そして、データ処理部101は、生成した送信先データをミラー制御部54に供給する。その送信先データは、自分(基板11−1)が実データを送信する直接の送信先の基板11−jを指定する信号(データ)である。
また、ステップS42では、データ処理部101は、送信先基板設定用信号を生成する。ここで、送信先基板設定用信号は、これから送信する実データを処理すべき基板11−jについて記載された信号(データ)であり、図7の例では、基板11−2と11−3を表す信号(データ)となる。データ処理部101は、生成した送信先基板設定用信号をS/P変換部53に供給する。S/P変換部53において、送信先基板設定用信号がパラレルデータに変換され、ミラー制御部54に供給される。ミラー制御部54は、データ処理部101から供給された送信先データが表す基板11−2の位置、および送信先基板設定用信号に応じて、反射部12を制御する。即ち、ミラー制御部54は、基板11−2に、送信先基板設定用信号を送信して、ステップS43に進む。
ステップS43において、データ処理部101は、データ受信部71、P/S変換部72、処理判定部73を介して、ステップS42で送信した送信先基板設定用信号に対する基板11−2からの返答であるACK信号(後述する図15のステップS74で送信されるACK信号)を受信したか否かを判定する。ステップS43で、ACK信号をまだ受信していないと判定された場合、ステップS44に進み、データ処理部101は、ACK信号を送信してから(予め設定されている)所定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS44において、ACK信号を送信してから所定時間が経過していないと判定された場合、ステップS43に戻る。即ち、ステップS43およびS44では、データ処理部101は、送信先基板設定用信号を送信してから所定時間だけ、ACK信号の受信を待機する。一方、ステップS44において、ACK信号を送信してから所定時間が経過したと判定された場合、ステップS48に進む。ステップS48では、光源制御部51により光源31−1がオフされる。従って、実データは送信されない。
また、ステップS43において、ACK信号を受信したと判定された場合、ステップS45に進む。ここで、ステップS45乃至S48の処理は、図9のステップS2乃至S5の処理と同様である。
即ち、ステップS45において、データ処理部101からS/P変換部53に、シリアルデータである実データが、データ処理部101からミラー制御部54に、基板11−2を表す送信先データが、それぞれ供給される。また、ステップS45では、S/P変換部53は、データ処理部101から供給される実データを、n本のパラレルデータに変換(S/P変換)し、ミラー制御部54に供給して、ステップS46に進む。
ステップS46では、ミラー制御部54は、送信先データが表す基板11−2の位置、およびS/P変換部53から供給されるn本のパラレルデータ(実データ)に応じて、光信号33が、マジックミラー32を介して、基板11−2に向けて反射されるように、n個の反射部12−1乃至12−nの反射角度を制御する。ステップS41でオンされた光源31−1からの光信号33が、反射部12で反射され、さらに、マジックミラー32で反射されて、送信先データが表す基板11−2の受光部13に入射する。これにより、実データが、基板11−1から基板11−2に送信される。
ステップS46の後、ステップS47に進み、基板11−1から基板11−2に送信すべき実データ(送信データ)が終了したか否かが判定され、送信データが終了したと判定されるまで、ステップS46とS47の処理が繰り返される。
一方、ステップS47で、送信データが終了されたと判定された場合、ステップS48に進み、光源制御部51は、光源31−1を制御し、光源31−1をオフにして、送信処理を終了する。
以上のように、図14の送信処理では、基板11−1は、初めに、実データを処理すべき基板11−2と11−3について記載された送信先基板設定用信号を基板11−2に送信する。そして、基板11−1は、その送信先基板設定用信号に対するACK信号を基板11−2から受信した後、実データを基板11−2に送信する。
次に、図15のフローチャートを参照して、図14の送信処理で基板11−1から送信された送信先基板設定用信号を受信する、基板11−2の受信処理について説明する。従って、図15で説明する処理も、図14と同様に、図7で示した基板間通信における処理である。
初めに、ステップS71において、受光部13−1乃至13−nは光信号33を受光する。そして、データ受信部71は、受信信号があるか、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した(受光部13−1乃至13−nが受光した)光信号33が自分に向けた信号であるかどうかを判定する。ステップS71で、受信信号がない、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が自分に向けた信号ではないと判定された場合、受信処理を終了する。
一方、ステップS71で、受信信号がある、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が自分に向けた信号であると判定された場合、ステップS72に進み、データ受信部71は、基板11−1からの光信号33が受光部13で受光され、光電変換されて、その光電変換によって得られるデータを復調し、その結果得られるパラレルデータとなっているデータをP/S(Parallel/Serial)変換部72に供給する。ここで、データ受信部71が受信するデータは、上述したように、送信先基板設定用信号である。
また、ステップS72では、P/S変換部72は、データ受信部71から供給されたパラレルデータとなっている(送信先基板設定用信号を表す)データをシリアルデータに変換して、処理判定部73に供給し、ステップS73に進む。
ステップS73において、処理判定部73は、P/S変換部72から供給された送信先基板設定用信号から、これから送信されてくる実データがデータ処理部101で処理すべきデータかどうかを判定する。
図14のステップS42の処理で説明したように、図7の例では、送信先基板設定用信号に、基板11−2が含まれて基板11−1から送信されてくるので、基板11−2のデータ処理部101で処理すべきデータである旨のコマンドとして、処理判定部73は、データ処理指令をデータ処理部101に供給する。また、送信先基板設定用信号には、基板11−3を表す信号も含まれて基板11−1から送信されてくるので、処理判定部73は、基板11−3への基板出力指令をデータ処理部101に供給する。
ステップS74の後、ステップS75に進み、データ処理部101は、送信先基板設定用信号を送信してきた送信元基板11−1に対するACK信号を生成し、S/P変換部53に供給する。また、データ処理部101は、基板11−1を送信先とする送信先データを生成し、ミラー制御部54に供給する。S/P変換部53は、ACK信号をパラレルデータに変換し、ミラー制御部54に供給する。ミラー制御部54は、基板11−1の位置、およびACK信号に応じて、反射部12を制御する。即ち、ミラー制御部54は、ACK信号を送信して、送信処理を終了する。
次に、図16のフローチャートを参照して、図14の送信処理で基板11−1から送信された実データを受信する、基板11−2の受信処理について説明する。
初めに、ステップS81において、受光部13−1乃至13−nは光信号33を受光する。そして、データ受信部71は、受信信号があるか、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した(受光部13−1乃至13−nが受光した)光信号33が自分に向けた信号であるかどうかを判定する。ステップS81で、受信信号がない、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が自分に向けた信号ではないと判定された場合、受信処理を終了する。
一方、ステップS81で、受信信号がある、即ち、受光部13−1乃至13−nに入射した光信号33が自分に向けた信号であると判定された場合、ステップS82に進み、データ受信部71は、基板11−1からの光信号33が受光部13で受光され、光電変換されて、その光電変換によって得られるデータ(以下のステップでは、実データと称する)を復調し、その結果得られるパラレルデータとなっている実データをP/S(Parallel/Serial)変換部72に供給する。
また、ステップS82では、P/S変換部72は、データ受信部71から供給されたパラレルデータとなっている実データをシリアルデータに変換して、処理判定部73に供給する。さらに、ステップS82では、処理判定部73は、P/S変換部72から供給された実データを、そのままデータ処理部101に供給して、ステップS83に進む。
ステップS83において、データ処理部101は、上述した図15のステップS73で、処理判定部73からデータ処理指令が供給されたか否かを判定する。ステップS83で、処理判定部73からデータ処理指令が供給されていないと判定された場合、ステップS84をスキップして、ステップS85に進む。
一方、ステップS83で、処理判定部73からデータ処理指令が供給されたと判定された場合、ステップS84に進み、データ処理部101は、上述のステップS82で処理判定部73から供給された実データを処理して、ステップS85に進む。
ステップS85では、データ処理部101は、上述のステップS82で処理判定部73から供給された実データを他の基板11−3に送信する必要があるか否かを判定する。即ち、データ処理部101は、基板11−3の基板出力指令を処理判定部73から受信したか否かを判定する。
ステップS85において、上述のステップS82で処理判定部73から供給された実データを他の基板11−3に送信する必要がないと判定された場合、ステップS86乃至S90をスキップして、受信処理を終了する。
一方、ステップS85で、上述のステップS82で処理判定部73から供給された実データを他の基板11−3に送信する必要があると判定された場合(図7の例の場合)、ステップS86に進む。
ステップS86乃至S90の処理は、図9のステップS1乃至S5の処理と同様であるので、その説明を省略する。即ち、ステップS86乃至S90では、ステップS81で受信された実データが、基板11−3に送信される。
以上のように、図14の送信処理によれば、基板11−1は、ミラー制御部54が反射部12の反射角度を制御することにより、実データに対応する光信号33を、基板11−2に送信することができる。
また、図16の受信処理によれば、基板11−2は、基板11−1から光信号33として送信されてくる実データを受信して、データ処理することができる。また、基板11−2は、基板11−1から受信した実データを、さらに他の基板11−3に送信することができる。
基板11−2から実データを受信した基板11−3は、その実データが自分の(基板11−3の)データ処理部101で処理すべきものであることを判定し、データ処理する。なお、基板11−3の受信処理は、図11で説明した処理と同様であるので、その説明を省略する。
以上では、図7で示したブロードキャストの通信を例に、図14の送信処理および図15と図16の受信処理を説明したが、図6で示したブロードキャストの通信についても、受信処理部14および送信処理部15は、同様にして、受信処理と送信処理を行うことができる。
図6で示したブロードキャストの通信の場合、基板11−2は、実データを送信してくる送信元の基板11の情報(図6では、基板11−1を表す情報)と、その送信元の基板11から受信した実データを送信する先の送信先の基板11の情報(基板11−3を表す情報)とで構成される送信情報を受信する。そして、基板11−2のミラー制御部54は、データ処理部101から供給される送信情報に基づいて、反射部12による光信号33の反射角度を制御する。即ち、基板11−2のミラー制御部54は、基板11−1から送信されてくる光信号33が基板11−3に入射するように、反射部12の反射角度を制御する。これにより、基板11−2の反射部12は、基板11−1からのデータに対応する光信号33をマジックミラー32に向けて反射させる。
上述した実施の形態では、基板11−iは、反射部12の反射角度を変化させることにより、データの送信先とする基板11−jを容易に変更することができ、かつ、複数の基板に対する送信も可能である。従って、通信の自由度が大きくなり、拡張性の高い通信を行うことができる。
また、上述した実施の形態では、光信号による通信を基板間で行うようにしたが、基板の代わりにLSIなどのいわゆるチップとしたチップ間の通信にも、上述の光信号による通信を適用することができる。
また、上述した例では、横方向に隣り合う基板間について光通信を行う例で説明したが、基板間の光通信は、例えば、上下左右に並ぶ基板間や、直方体の2面以上の位置関係と同様に配置された基板間において行ってもよい。即ち、通信を行う基板間の配置関係は、問題とならない。
図8や図12の送信処理部15では、送信先データは、実データまたは送信先基板設定用信号とは別に、データ処理部52(101)からミラー制御部54に供給されるようにしたが、実データや送信先基板設定用信号と同様に、S/P変換部53を介して、ミラー制御部54に供給するようにしてもよい。また、送信先データを生成せずに、ミラー制御部54が、送信先基板設定用信号のなかから、最初の送信先を選択して送信先データとするようにしてもよい。
また、シングルキャストの送信処理および受信処理においては、送信処理部15は、送信先データを送信しないようにしたが、シングルキャストの送信処理および受信処理においても、ブロードキャストの場合と同様に、送信先データを送信するようにしてもよい。
なお、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
1 筐体, 2−1乃至2−6 スロット, 11−1乃至11−3 基板, 12−1乃至12−n 反射部, 13−1乃至13−n 受光部, 14 受信処理部, 15 送信処理部, 31−1乃至31−3 光源, 32 マジックミラー, 33 光信号, 51 光源制御部, 52 データ処理部, 53 S/P変換部, 54 ミラー制御部, 71 データ受信部, 72 P/S変換部, 73 処理判定部, 74 データ処理部 101 データ処理部