JP4399604B2 - 荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法 - Google Patents

荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて、誘導電圧の発生タイミングを制御することにより、荷電粒子ビームを設計軌道に維持することのできる荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法に関する。
ここで、荷電粒子とは、元素の周期表のある種の元素が一定の正または負の電価状態にあるイオンおよび電子に始まる「電荷を持った粒子」の総称をいう。また、荷電粒子には、化合物、タンパク質などの構成分子数の大きな粒子も含む。
シンクロトロンには、高周波シンクロトロン、誘導加速セルを用いたシンクロトロンがある。高周波シンクロトロンは、入射機器により真空ダクト内に入射した陽子などの荷電粒子を、高周波加速空洞によって、高周波シンクロトロンを構成する、ビーム周回軌道を維持する偏向電磁石の磁場励磁パターンに同期した高周波加速電圧を印加して、加速しながら荷電粒子を真空ダクト中の荷電粒子ビームが周回する設計軌道を周回させる円形加速器である。
一方、誘導加速セルを用いたシンクロトロンは、高周波シンクロトロンと加速方法が異なり、誘導加速セルによって誘導電圧を荷電粒子ビームに印加して加速する円形加速器である。
図8に誘導加速セルによる荷電粒子ビームの加速原理と、誘導電圧の種類について示した。誘導加速セルには、荷電粒子ビームを進行軸方向に閉じ込めるための閉込用誘導加速セル(以下、閉込用誘導加速セルという。)と、荷電粒子ビームを進行軸方向に加速するための誘導電圧を印加する誘導加速セル(以下、加速用誘導加速セルという。)がある。
なお、閉込用誘導加速セルに代えて、荷電粒子ビームを進行軸方向に閉じ込めるために高周波加速空洞を用いることもある。
図8(A)は、閉込用誘導加速セルによる荷電粒子ビームの閉じ込めの様子を示している。閉込用誘導加速セルによって荷電粒子ビームに印加する誘導電圧をバリアー電圧22という。
特に、荷電粒子群(以下、バンチ3という。)の先端に印加する荷電粒子ビームの進行軸方向と逆向きの誘導電圧のことを負のバリアー電圧22aといい、バンチ3の尾部に印加する荷電粒子ビームの進行軸方向と同一方向の誘導電圧を正のバリアー電圧22bという。これは、従来の高周波と同様に荷電粒子ビームに位相安定性を与えるものである。
なお、横軸tは、加速用誘導加速セル内の時間的変化であり、縦軸vは、印加させるバリアー電圧値(図8(B)においては、加速用の誘導電圧値)である。
図8(B)は、加速用誘導加速セルによる荷電粒子ビームの加速の様子を示している。加速用誘導加速セルによって荷電粒子ビームに印加する誘導電圧を加速用の誘導電圧8という。特に、バンチ3の全体に印加する荷電粒子ビームの進行軸方向の加速に必要な加速用の誘導電圧8のことを加速電圧8aといい、その電圧値を加速電圧値8iという。
また、加速用誘導加速セルにバンチ3が存在しない時間に、加速電圧8aと異極の加速用の誘導電圧8をリセット電圧8bという。このリセット電圧8bは、加速用誘導加速セルの磁気的飽和を回避するためのものである。
これら加速用の誘導電圧8、及びバリアー電圧22によって、従来の高周波シンクロトロンのように、陽子や一定の荷電粒子に限らず、任意の荷電粒子を一台の円形加速器でシンクロトロンを構成する偏向電磁石の磁場強度が許す任意のエネルギーレベル(以下、任意のエネルギーレベルという。)に加速することができると考えられている。
さらに、誘導加速セルを使用することにより、従来の高周波シンクロトロンで加速していた荷電粒子ビームの長さ比べて数倍から10倍の時間幅を持つ、1マイクロ秒もの長さをしたバンチ3(スーパーバンチ)を加速することも可能になる。これにより原子核物理・高エネルギー物理の実験が飛躍的に進歩すると考えられている。
日本物理学会誌 vol.59,No.9(2004)p601−p610
ここで誘導加速セルとは、これまで作られてきた線形誘導加速器用の誘導加速セルと原理的には同じ構造である。誘導加速セルは、内筒、及び外筒からなる2重構造で、外筒の内に磁性体が挿入されてインダクタンスを作る。荷電粒子ビームが通過する真空ダクトと接続された内筒の一部がセラミックなどの絶縁体でできている。
磁性体を取り囲む1次側の電気回路にDC充電器からパルス電圧を印加すると、1次側導体には1次電流(コア電流)が流れる。この1次電流は1次側導体の周りに磁束を発生させ、1次側導体に囲まれた磁性体が励磁される。
これによりトロイダル形状の磁性体を貫く磁束密度が時間的に増加する。このとき絶縁体を挟んで、導体の内筒の両端部である2次側の絶縁部にファラデーの誘導法則にしたがって誘導電場が誘導される。この誘導電場が加速電場となる。この加速電場が生じる部分を加速ギャップという。従って、誘導加速セルは1対1のトランスであるといえる。
誘導加速セルの1次側の電気回路にパルス電圧を発生させるスイッチング電源を接続し、前記スイッチング電源を外部からオンおよびオフすることで、加速電場の発生を自由に制御することができる。
ここで、スイッチング電源、及び加速用誘導加速セルの等価回路について説明する(図9)。加速用誘導加速装置の等価回路23は、DC充電器5bから常時給電を受けるスイッチング電源5aが、伝送線を経由して加速用誘導加速セル7に繋がったものとして表すことができる。加速用誘導加速セル7は誘導成分L、容量成分C、抵抗成分Rの並列回路で示す。並列回路の両端電圧がバンチ3が感じる加速用の誘導電圧8である。
図9の回路状態は、第1スイッチ24a、及び第4スイッチ24dがゲート信号パターン13aによりオンになっており、バンクコンデンサー24に充電された電圧が加速用誘導加速セル7に印加され、加速ギャップ7aにバンチ3を加速するための加速電圧8aが生じている状態である。
次にオンになっていた第1スイッチ24a、及び第4スイッチ24dがゲート信号パターン13aによりオフになり、第2スイッチ24b、及び第3スイッチ24cがゲート信号パターン13aによりオンになって、前記加速ギャップ7aに前記誘導電圧と逆向きであるリセット電圧8bが生じ、加速用誘導加速セル7の磁性体の磁気的飽和をリセットする。
そして、第2スイッチ24b、及び第3スイッチ24cがゲート信号パターン13aによりオフになり、第1スイッチ24a、及び第4スイッチ24dがオンになる。このような一連のスイッチング動作をゲート信号パターン13aにより繰り返すことで、荷電粒子ビームの加速に必要な加速用の誘導電圧8を発生させることが可能となる。
前記、ゲート信号パターン13aは、スイッチング電源5aの駆動を制御する信号であり、バンチ3の通過シグナル9aを基に、デジタル信号処理装置12、及びパターン生成器13からなる加速用誘導電圧制御装置でデジタル制御される。
なお、バンチ3に印加された加速電圧8aは、回路中の電流値とマッチング抵抗25との積から計算された値と等価である。従って、電流計である誘導電圧モニター26などで電流値を測定することで印加した加速電圧8aの値を知ることができる。
既に、発明者等は高エネルギー加速器研究機構(以下、KEKという。)の陽子高周波シンクロトロン(以下、12GeVPSという。)内に加速用誘導加速セル7を設置し、高周波加速空洞と加速用誘導加速セル7とを組み合わせることにより、一定間隔で発生させる加速用の誘導電圧8によって、運動エネルギー5億電子ボルトで入射された陽子ビームを80億電子ボルトまで加速することに成功している。
ここで電子ボルトとは、電圧の単位であるボルトに電子の単位電荷を乗じたものを1電子ボルトとして与えられるものである。1電子ボルトは1.602×10−19ジュールに等しい。
Phys.Rev.Lett.Vol.94,No.144801−4(2005).
図10に、荷電粒子ビームの軌道と磁場による水平方向の閉じ込めの様子を示した。シンクロトロンはシンクロトロンを構成する偏向電磁石による磁場強度3aによって、バンチ3を設計軌道2上に維持している。
偏向電磁石による磁場強度3aがなければ、バンチ3は、荷電粒子ビームがもつ遠心力3bにより、真空ダクトの壁面に衝突して失われる。この磁場強度3aは、加速時間とともに変化する。その変化を磁場励磁パターン(図5)という。この磁場励磁パターンは、一旦加速する荷電粒子の種類、加速エネルギーレベル、円形加速器の周長を決定すると、荷電粒子ビームの周回周波数バンド幅が一意に定まる。
従って、加速用の誘導電圧8を、高周波加速電圧と同様に、この磁場励磁パターンに同期して進行軸方向に加速する電圧を荷電粒子ビームに印加しなければならない。
荷電粒子ビームの軌道は、シンクロトロンの真空ダクト中心2aではなく、シンクロトロンを構成する偏向電磁石の配置によって定められた、真空ダクト中心2aより外側、又は内側の周回する設計軌道2である。なお、ρは円形加速器の中心から、真空ダクト中心2aまでの平均半径2dである。
ここで、同期とは、シンクロトロンを構成する偏向電磁石の磁場強度3aに基づくローレンツ力と、荷電粒子ビームの加速により外向きに働く遠心力3bとのバランスを取るよう、磁場励磁パターンの変化に合わせて加速電圧8aを荷電粒子ビームに印加することをいう。
しかし、バンチ3の周回毎に印加する加速電圧値8iは一定ではなく、多少の増減がある。これは、バンクコンデンサー24の充電電圧が理想値からズレることなど種々の要因に由来する。
その結果、磁場励磁パターンに同期するため理想的な加速電圧値8iより、実際に印加された加速電圧値8iが過小であった場合は、荷電粒子ビームは設計軌道2から内側2bにズレることとなる。一方、理想的な加速電圧値8iより、実際に印加した加速電圧値8iが過剰であった場合は、荷電粒子ビームが設計軌道2から外側2cにズレる。
従来の高周波シンクロトロンにおいては、高周波の位相を加速方向、減速方向にずらすことで、荷電粒子ビームを加速および減速し、荷電粒子ビームを設計軌道2上に加速中維持することが可能であった。
しかし、閉込用誘導加速セルにおいては、バリアー電圧22の発生時間をずらすことは可能であるが、一端、設計軌道2から外側2cにズレたバンチ3を、すなわち磁場励磁パターンに同期できなくなったバンチ3を設計軌道2に戻すことはできない。
また、従来からステアリング磁石などによって、実際の陽子ビームの周回する軌道を設計軌道2上に補正することも行われている。しかし、ステアリング磁石による補正は、設計軌道2よりズレたバンチ3を局所的に補正するものである。
上述のように、磁場強度3aでは、荷電粒子ビームに運動エネルギーを与えることができないため、荷電粒子ビームの周回速度3cと磁場励磁パターンとを一致させることができない。従って、荷電粒子エネルギーが設計値から外れたバンチ3をステアリング磁石を用いて設計軌道2に修正することはできない。
さらに、荷電粒子ビームを設計軌道2に修正する方法としては、加速電圧値8iの大きさを変更することが考えられる。しかし、加速電圧値8iを発生する装置(以下、加速用誘導加速装置という。)は、加速用誘導加速セル7が必要とする数十kWの安定した出力電力を得るために、パルス電圧の振幅を定めるスイッチング電源5aの高圧充電部には大きなバンクコンデンサー24(静電容量)を装荷しなければならない。
このバンクコンデンサー24の充電圧はパルス電圧の出力安定を目的とするため、高速に変化できない。このため現実的にはパルス電圧の振幅を高速に制御させることができない。
従って、使用するDC充電器5b、バンクコンデンサー24が定まれば、出力電圧は一意に定まるため、電圧値を大きく、短時間で変化させることはできない。このためパルス電圧の振幅を変化させる方法では、加速電圧8aを磁場励磁パターンに同期させることができない。
或いは、高周波加速空洞を荷電粒子ビームの軌道制御用として併用することも考えられる。しかし、任意の荷電粒子を一台のシンクロトロンで任意のエネルギーレベルに加速するためには、高周波加速空洞を使用することは現実的に不可能である。
なぜなら、磁場励磁パターンに荷電粒子ビームの周回周波数を同期させる必要があるが、特に重い荷電粒子では、入射直後から加速終了時点までの周回周波数が極低周波になる。
全ての高周波加速空洞では、インダクタンスとコンデンサーの共振原理によって高周波電圧を発生させるが、高周波電圧の周波数はインダクタンスのほぼ−1/2乗に比例するため、発生できる高周波加速電圧の周波数に限界がある。このため高周波加速空洞では必要な高周波加速電圧を印加することができないからである。
また、高周波を使用する原理的限界から、高周波加速空洞を用いたシンクロトロンでは、加速できる荷電粒子の質量番号Aと電価数Zの比であるZ/Aが異なる場合、加速中の周波数変化自体を変えなければならない。
上述した印加させる加速電圧値8iの誤差を解消しなければ、誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいては、一端必要な加速電圧値8iよりも高い、加速電圧値8iを荷電粒子ビームが受けてしまうと、荷電粒子ビームのもつ遠心力3bによって、設計軌道2の外側2cにズレてしまい、荷電粒子ビームを加速することができない。
そこで、本発明は上記問題を解決するため、理想的な加速電圧値8iに対し荷電粒子ビームの所定周回数の中で、理想的な加速電圧値8iと等価的な加速電圧値8iを与える単位(以下、制御単位(図6)という。)において、理想的な加速電圧値8iと等価な加速電圧値8iを発生する、制御単位中の加速電圧の発生頻度(以下、パルス密度(図7)という。)を、リアルタイムで補正して、補正したパルス密度に基づく加速電圧8aを荷電粒子ビームに印加することで、荷電粒子ビームの軌道のズレを修正する軌道制御装置及びその制御方法を提供することを目的とするものである。
誘導加速セルを用いたシンクロトロン1において、磁場励磁パターン19を基に計算される理想的な可変遅延時間パターン18aに対応する必要な可変遅延時間パターン18bを格納し、前記必要な可変遅延時間パターン18bに基づき可変遅延時間18に相当する可変遅延時間シグナル14aを生成する可変遅延時間計算機14と、バンチ3が周回する設計軌道2にあるバンチモニター9からのバンチ3の通過シグナル9a、前記可変遅延時間計算機14からの可変遅延時間シグナル14aを受けて、可変遅延時間18に相当するパルス15aを生成する可変遅延時間発生器15と、磁場励磁パターン19を基に計算される理想的な加速電圧値パターン8cに対応する等価的な加速電圧値パターン8dを格納し、前記可変遅延時間発生器15からの可変遅延時間18に相当するパルス15a、及び設計軌道2にある荷電粒子ビームの設計軌道2からのズレを感知する位置モニター11からの位置シグナル11aを受けて、加速用の誘導電圧8のオンオフを制御するパルス16aを生成する加速電圧演算機16と、及び前記加速電圧演算機16からのパルス16aを受けて、パターン生成器13に適したパルスであるゲート親信号12aを生成するゲート親信号出力器17からなるデジタル信号処理装置12、及び前記デジタル信号処理装置12で生成されたゲート親信号12aを基に誘導加速セルを駆動するスイッチング電源5aのオンおよびオフ制御するゲート信号パターン13aを生成するパターン生成器13からなることを特徴とする荷電粒子ビームの軌道制御装置6の構成とした。
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて、荷電粒子ビームの軌道のズレを修正することで、安定かつ確実に任意の荷電粒子を任意のエネルギーレベルに加速することができることとなった。
さらに、誘導加速セルによって荷電粒子ビームの軌道のズレを修正することができるため、高周波加速空洞を用いる必要がなく、閉じ込め機能を閉込用誘導加速セルに行わせることが可能となり、その結果、従来の高周波シンクロトロンの装置を利用して、任意の荷電粒子に対応した誘導加速セルを用いたシンクロトロンを低コストでつくることが可能になった。
また、あらゆるシンクロトロンの運転方式、すなわち、あらゆる偏向電磁石の磁場励磁パターンに同期させて、荷電粒子ビームの軌道のズレを修正することができる。
加えて、荷電粒子ビームを、設計軌道2に対して、内側2b、又は外側2cの任意の軌道を周回させることもできる。
誘導加速セルを用いたシンクロトロン1において、磁場励磁パターン19を基に計算される理想的な可変遅延時間パターン18aに対応する必要な可変遅延時間パターン18bを格納し、前記必要な可変遅延時間パターン18bに基づき可変遅延時間18に相当する可変遅延時間シグナル14aを生成する可変遅延時間計算機14と、荷電粒子ビームが周回する設計軌道2にあるバンチモニター9からのバンチ3の通過シグナル9a、前記可変遅延時間計算機14からの可変遅延時間シグナル14aを受けて、可変遅延時間18に相当するパルス15aを生成する可変遅延時間発生器15と、磁場励磁パターン19を基に計算される理想的な加速電圧値パターン8cに対応する等価的な加速電圧値パターン8dを格納し、前記可変遅延時間発生器15からの可変遅延時間18に相当するパルス15a、及び設計軌道2にある荷電粒子ビームの設計軌道2からのズレを感知する位置モニター11からの位置シグナル11aを受けて、加速用の誘導電圧8のオンオフを制御するパルス16aを生成する加速電圧演算機16と、前記加速電圧演算機16からのパルス16aを受けて、パターン生成器13に適したパルスであるゲート親信号12aを生成するゲート親信号出力器17からなるデジタル信号処理装置12、及び前記ゲート親信号12aをスイッチング電源5aの電流路のオンおよびオフの組み合わせであるゲート信号パターン13aへと変換するパターン生成器13により、制御単位21のパルス密度20から過剰な加速電圧8aの印加を停止することを特徴とする荷電粒子ビームの軌道制御方法によって実現した。
以下に、添付図面に基づいて、本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法について詳細に説明する。図1は本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6を含む誘導加速セルを用いたシンクロトロンの概略図である。
本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6を利用するシンクロトロン1は、前段加速器により一定のエネルギーレベルまで加速され、入射された荷電粒子ビームが周回する設計軌道2を覆う真空ダクト、周回するバンチ3に強収束を保証する収束電磁石、偏向電磁石4など、バンチ3にバリアー電圧22を印加する閉込用誘導加速装置、バンチ3に加速用の誘導電圧8を印加する加速用誘導加速装置5、バンチ3の通過を知るためのバンチモニター9、バンチ3の加速速度をリアルタイムで測定するための速度モニター10、荷電粒子ビームが設計軌道2からどれだけ水平方向の内側2b、または外側2cにズレているかを検出する位置モニター11などからなる。
偏向電磁石4は、荷電粒子ビームの軌道を円形状に維持するために使用する装置である。偏向電磁石4は鉄心、あるいは空芯に導体をコイル状に巻きつけた構造をしており、導体に電流を流すことで荷電粒子ビームの進行軸と垂直な磁場強度3aを発生させる。偏向電磁石4に発生している磁場強度3aは導体に流れる電流と比例関係にあるため、この比例係数をあらかじめ求めておき、電流量を測定して換算することで磁場強度3aを求めることができる。
バンチモニター9は、バンチ3の通過を検出してパルスを出力する装置である。バンチモニター9は設計軌道2内に設置された導体、あるいは磁性体内を荷電粒子ビームが通過する際に生じる電磁エネルギーの一部を電圧または電流のパルスに変換するもので、バンチ3が通過する際に真空ダクトに誘起する壁電流を利用するものと、磁性体コアにコイルを巻きつけた形状の装置内をバンチ3が通過して生じる誘起電圧を利用する方法などがある。
速度モニター10は、バンチ3の周回速度3cに応じた電圧値あるいは電流値、あるいはデジタル値を発生させる装置である。速度モニター10はバンチモニター9のように荷電粒子ビームが通過した際に発生する電圧パルスあるいは電流パルスを、コンデンサーに蓄積して電圧値に変換するアナログ構造のものと、電圧パルスの数自体をデジタル回路で計数するデジタル構造のものが存在する。
位置モニター11は、バンチ3の設計軌道2に対するズレに比例した電圧値を出力する装置である。位置モニター11は、例えば、進行軸方向3dに対して斜めのスリットを持つ2枚の導体によって構成されており、荷電粒子ビームが通過した位置によって2枚の導体が荷電粒子ビームを感じる時間が異なり、結果として2枚の導体に誘起される電圧値に差が生じることを利用する。
例えば、バンチ3が位置モニター11の中心を通過した場合、誘起される電圧は等しいため、二つの導体に発生した電圧を差分した出力電圧値は0であり、設計軌道2の外側2cを通過した場合には中心からのズレに比例した正の電圧値、同様に内側2bを通過した場合には負の電圧値を出力する。
従って、偏向電磁石4、バンチモニター9、速度モニター10、位置モニター11は、高周波シンクロトロンの加速において用いられるものを利用することができる。
加速用誘導加速装置5は、バンチ3が周回する設計軌道2が中にある真空ダクトに接続され、バンチ3を進行軸方向3dに加速するための加速用の誘導電圧8を印加する加速用誘導加速セル7、前記加速用誘導加速セル7にパルス電圧5cを与える高繰り返し動作可能なスイッチング電源5a、前記スイッチング電源5aに電力を供給するDC充電器5b、前記スイッチング電源5aのオンおよびオフの動作をフィードバック制御して荷電粒子ビームの設計軌道2からのズレを修正する荷電粒子ビームの軌道制御装置6などからなる。
本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6は、設計軌道2に設けられた各種検出器でリアルタイムに検出された荷電粒子ビームの情報である各種シグナルを受けて加速用の誘導電圧8の発生タイミングを計算するデジタル信号処理装置12、及び前記デジタル信号処理装置12より出力されたゲート親信号12aを基にスイッチング電源5aのオンおよびオフを駆動するゲート信号パターン13aを生成するパターン生成器13からなる。
ゲート親信号12aは、通過シグナル9aと同様に、荷電粒子ビームと加速用の誘導電圧8のタイミングを合わせるための可変遅延時間(図3)を経過した瞬間にデジタル信号処理装置12から出力される矩形の電圧パルスである。パターン生成器13はゲート親信号12aであるパルスの立ち上がりを認識することで動作を開始する。
パターン生成器13は、ゲート親信号12aをスイッチング電源5aの電流路のオンおよびオフの組み合わせへと変換する装置である。
スイッチング電源5aは一般に複数の電流路を持ち、その各枝路を通過する電流を調整し、電流の方向を制御することで負荷(ここでは加速用誘導加速セル7)に正と負の電圧を発生する(図9)。
ゲート信号パターン13aとは、加速用誘導加速セル7の加速用の誘導電圧8を制御するパターンである。加速電圧8aを印加する際に、加速電圧8aの印加時間と発生タイミング、リセット電圧8bを印加する際に、リセット電圧8bの印加時間と発生タイミングを決定する信号と、加速電圧8aおよびリセット電圧8bの間の休止時間を決定するための信号である。従って、ゲート信号パターン13aは加速するバンチ3の長さにあわせて調節が可能である。
加速用の誘導電圧8の発生タイミングの制御に使用される具体的シグナルは、偏向電磁石4から荷電粒子ビームが前段加速器から入射された瞬間に偏向電磁石4(円形加速器の制御装置を介して)から出力されるサイクルシグナル4a、さらにリアルタイムの磁場励磁パターンであるビーム偏向磁場強度シグナル4b、バンチモニター9から荷電粒子ビームが該バンチモニター9を通過した情報である通過シグナル9a、バンチ3の周回速度3cである速度シグナル10a、及び位置モニター11から周回する荷電粒子ビームが設計軌道2からどれだけズレているかを示す情報である位置シグナル11aなどである。
図2は、デジタル信号処理装置の構成図である。デジタル信号処理装置12は、可変遅延時間計算機14、可変遅延時間発生器15、加速電圧演算機16、及びゲート親信号出力器17からなる。
可変遅延時間計算機14は、可変遅延時間18を決定する装置である。可変遅延時間計算機14には、荷電粒子の種類に関する情報、後述の磁場励磁パターン(図5)を基に計算される可変遅延時間18の定義式が与えられている。
荷電粒子の種類に関する情報とは、加速する荷電粒子の質量と電価数である。上述したように、荷電粒子が加速用の誘導電圧8から得るエネルギーは電価数に比例し、これによって得られる荷電粒子の周回速度3cは荷電粒子の質量に依存する。可変遅延時間18の変化は荷電粒子の周回速度3cに依存するため、これらの情報を予め与えておく。
可変遅延時間18は、荷電粒子の種類、磁場励磁パターンが予め定まっているときは、予め計算し、必要な可変遅延時間パターン(図4)として与えることができる。
しかし、予め計算しておく場合は、荷電粒子ビームが設計軌道2から内側2bまたは外側2cに外れた場合には、荷電粒子ビームの軌道の修正ができない。そこで、予め可変遅延時間18を計算した場合は、後述の加速電圧演算機16で加速電圧8aの修正を行うこととなる。
また、可変遅延時間18をバンチ3の周回毎に、リアルタイムで計算する場合は、シンクロトロン1を構成する偏向電磁石4(円形加速器の制御装置を介して)からその時の磁場強度3aをビーム偏向磁場強度シグナル4bとして、可変遅延時間計算機14が受け取り、荷電粒子の種類に関する情報を与えることによって、予め計算する場合と同様に可変遅延時間18をバンチ3の周回ごとに計算すればよい。
さらに、荷電粒子ビームの周回速度3cを測定する速度モニター10を使用し、リアルタイムで荷電粒子ビームの周回速度3cである速度シグナル10aを可変遅延時間計算機14に入力すれば、後述の式(6)、及び式(7)に従って、荷電粒子の種類に関する情報を与えることなく、リアルタイムで可変遅延時間18を計算することもできる。
リアルタイムで可変遅延時間18を計算することにより、加速用誘導加速装置5を構成するDC充電器5b、バンクコンデンサー24等に起因して、印加する加速電圧値8iが所定の設定値から変動した場合、何らかの外乱によって、バンチ3の周回速度3cに突発的な変化が起こった場合であっても、加速電圧8aの発生タイミングを補正することで、荷電粒子ビームの軌道を修正することが可能となる。これを荷電粒子ビームの軌道制御という。
すなわち、荷電粒子ビームの軌道制御を行うことによって、的確に加速電圧8aをバンチ3に印加することが可能となる。その結果、より効率的に荷電粒子ビームを加速することができることとなる。つまり、誘導加速セルによって、任意の荷電粒子を任意のエネルギーレベルに加速することが可能となる。
上述のようにして与えられた可変遅延時間18は、デジタルデーターである可変遅延時間シグナル14aとして、可変遅延時間発生器15に出力される。
なお、可変遅延時間計算機14には、偏向電磁石4(円形加速器の制御装置を介して)からサイクルシグナル4aが入力される。サイクルシグナル4aとは、荷電粒子ビームがシンクロトロン1に入射される際に偏向電磁石4(円形加速器の制御装置を介して)から発生するパルス電圧であり、加速開始の情報である。通常、シンクロトロン1は、荷電粒子ビームの入射、加速、出射を何度も繰り返す。
従って、予め可変遅延時間18を開始している場合には、可変遅延時間計算機14は、加速の開始であるサイクルシグナル4aを得て、予め計算された可変遅延時間18に基づいて、可変遅延時間シグナル14aを可変遅延時間発生器15に出力する。
可変遅延時間発生器15は、バンチモニター9からの通過シグナル9a、及び可変遅延時間計算機14からの可変遅延時間シグナル14aを受けて、バンチモニター9を通過したバンチ3毎に、次回のバンチ3の周回における加速用の誘導電圧8を発生させるタイミングを計算して、加速電圧演算機16に可変遅延時間18の情報であるパルス15aを出力する。
可変遅延時間発生器15は、ある周波数を基準とするカウンターで、通過シグナル9aをデジタル信号処理装置12内に一定時間保持したのち通過させる機能を持つ装置である。
例えば、1kHzのカウンターであれば、カウンターの数値1000は、1秒と等価である。すなわち、可変遅延時間発生器15に、可変遅延時間18に相当する数値を入力することで、可変遅延時間18の長さの制御を行うことができる。
具体的には、可変遅延時間発生器15は、前記可変遅延時間計算機14によって出力された可変遅延時間18に相当する数値である可変遅延時間シグナル14aを基に、ゲート親信号12aの発生を可変遅延時間18に相当する時間の間停止する制御を行う。その結果、加速電圧8aの発生タイミングをバンチ3が加速用誘導加速セル7に到達した時間に合わせることができることとなる。
例えば、可変遅延時間計算機14によって、150という数値の可変遅延時間シグナル14aを上記1kHzのカウンターである可変遅延時間発生器15に出力した場合、可変遅延時間発生器15は、0.15秒の間パルス15aの発生を遅らせる制御を行う。
ここで、通過シグナル9aとは、バンチ3がバンチモニター9を通過した瞬間にあわせて発生するパルスである。パルスはそれを伝送する媒体あるいはケーブルの種類によって、適切な強度を持つ電圧型、電流型、光型などがある。
前記通過シグナル9aは、デジタル信号処理装置12に荷電粒子ビームの通過タイミングを時間情報として与えるために用いられる。荷電粒子ビームの通過により、発生したパルスの立ち上がり部によって、設計軌道2での荷電粒子ビームの進行軸方向3dでの位置が求められる。すなわち、通過シグナル9aは、可変遅延時間18の開始時間の基準である。
加速電圧演算機16は、加速用の誘導電圧8を発生(オン)させるか、発生させない(オフ)かを決定する装置である。
例えば、ある瞬間に必要な加速電圧値8iが0.5kVである場合、1=パルス16aを発生させる、0=パルス16aを発生させないと定義し、1.0kVの一定値の加速電圧8aを用いて、バンチ3が10周回する間に周回毎に加速電圧8aを印加する、しないを、[1、0、・・・、1](1が5回、0が5回)とすると、バンチ3が10周回の間に受けた平均的な加速電圧値(図6)は0.5kVとなる。このようにして、加速電圧演算機16が加速電圧8aをデジタル制御する。
ある時間に必要な加速電圧値8iは、荷電粒子の種類、磁場励磁パターンが予め定まっているときは、磁場励磁パターンから予め計算される理想的な加速電圧値パターン(図5)に対応する等価的な加速電圧値パターン(図5)として与えることができる。
例えば、等価的な加速電圧値パターンとは、1秒間に加速電圧値8iを0Vから1kVまで変化させ、0.1秒間隔で制御する場合、等価的な加速電圧値パターンは、加速開始から0.1秒間は0kV、0.1〜0.2秒間は0.1kV、0.2〜0.3秒間は0.2kV・・・0.9〜1.0秒間は1.0kVとする等のデーターテーブルである。
制御単位あたりの荷電粒子位ビームの周回数がn周であるとき、その間に加速電圧8aをm回荷電粒子ビームに与えた場合、荷電粒子ビームが制御単位の内に受ける等価的な加速電圧値は、加速用誘導加速セル7の出力する加速電圧値8iのm/n倍になる。
なお、mはnより必ず小さくなることは明らかである。この条件は荷電粒子ビームの軌道が変化する速さに比べて、制御単位内に含まれる荷電粒子ビームの周回数が十分少ない場合に成り立つ。この制御単位中の荷電粒子ビームの周回数は、制御単位中の荷電粒子ビームの周回数を少なくすることで電圧精度が下がり適切な電圧を与えられなくなる下限から制御単位中の荷電粒子ビームの周回数を多くすることで軌道の変化に反応できなくなる上限の範囲内において、任意に選択することができる。
例えば、制御単位を10周回とし、加速電圧値を とすると、加速電圧値を0.1・Vごとに10段階に制御することができる。制御単位をバンチ3の20周回とすると、0.05・Vごとに20段階に等価的な加速電圧値パターンを制御することができる。
しかし、上述のように、加速電圧8aが一定でないこと、また加速中の突発的なトラブルにより、荷電粒子ビームが設計軌道2よりズレた場合に軌道を修正するために、加速電圧8aの発生の停止、すなわちパルス密度(図6)の変更を行う必要がある(図7)。
加速電圧演算機16で、荷電粒子ビームの軌道を修正するためには、予め、修正のための基礎データーとして、どれだけの加速電圧値8iを荷電粒子ビームに与えると、どれだけ荷電粒子ビームの軌道が設計軌道2から外側2cへ移動するかの情報を加速電圧演算機16に与えておく必要がある。
次に、加速電圧演算機16は、設計軌道2にある位置モニター11から、加速中のある時点において、荷電粒子ビームがどれだけ設計軌道2からズレているかを位置シグナル11aとして受け、荷電粒子ビームの軌道を修正するための計算をバンチ3の周回毎にリアルタイムで行う。
荷電粒子ビームの軌道を制御単位の周回数nで修正するために必要な1周当たりの加速電圧は、現在の軌道半径をρ、その時間微分をρ’、磁場強度3aをB、その時間微分をB’、及び円形加速器の全長をCとすると、次式(1)によって近似的に求められる。
V=C×(B’×ρ+B×ρ’)・・・式(1)
このVは、制御単位における誘導加速セルで印加される平均的な加速電圧値である。
V=(m/n)Vacc(m<n)・・・式(2)
ここで、Vaccは、後述の式(12)によって求められる、理想的な加速電圧値(図7)である。
ρ’およびB’は、1周当たりのバンチ3の周回時間をt、制御単位内の軌道半径をΔρ、及び制御単位内の磁場強度3aの変化をΔB、tを周回数nだけ足し合わせた量をΣtとすると、次式(3)、式(4)によって求められる。
ρ’=Δρ/(Σt)・・・式(3)
B’=ΔB/(Σt)・・・式(4)
なお、これらのρ’、B’は、リアルタイムで加速用の誘導電圧8を制御する場合は、加速電圧演算機16で計算する。
1周当たりのバンチ3の周回時間tは、速度モニター10などから得られた周回速度3cをv、及び円形加速器の全長をCとすると、次式(5)で求められる。
t=C/v・・・式(5)
このtは、バンチ3の周回ごとに異なる値をとる。
これらの過程より加速電圧値を計算して、その計算結果に基づいて、必要な加速電圧8aを印加する、又は、過剰な加速電圧値に相当する加速電圧8aの印可を停止する。
加速電圧8aの印加を停止するとは、次回に予定されていた加速電圧8aの発生自体を行わないことをいう。
荷電粒子ビームの軌道が設計軌道2から外側2cにズレるのは、荷電粒子ビームに印加された加速電圧値8iがその瞬間に必要な加速電圧値8iより過剰であるため、偏向電磁石4の磁場励磁パターンと同期がとれないことによる(図10)。
従って、予め、又はリアルタイムで磁場励磁パターン(図5)から計算される等価的な加速電圧値パターン(図5)と、位置シグナル11aによってえられる軌道のズレから、過剰な加速電圧値8iを計算し、予め与えられている等価的な加速電圧値から過剰な加速電圧値8iを減じたパルス密度(図7)に修正する。
パルス密度を修正するとは、予め与えられていた、その瞬間に必要な加速電圧値8i、及び制御単位におけるパルス密度から、過剰分の加速電圧値8iに相当する加速電圧8aの印加を停止することによって可能である。
なお、予め与えられる等価的な加速電圧値パターンとは別に、例えば、少しでも荷電粒子ビームが設計軌道2から外側2cに外れた場合は、「大きく修正する」、「緩やかに修正する」などの荷電粒子ビームの軌道修正用のパルス密度などを予め与え、適宜必要なパルス密度を選択する方法で、荷電粒子ビームの軌道を制御することも可能である。
なお、式(1)の右辺を現代制御理論などから求められた、数値計算式によって表される任意の式に拡張することができることは当然である。
このような制御法を採用することにより、円形加速器の大きさによって異なる荷電粒子ビームの軌道変動の様子に対しても適切な軌道制御が可能になる。
なお、磁場励磁パターン、或いは等価的な加速電圧値パターン、修正用の基礎データー、修正用のパルス密度は書き換え可能なデーターとして、選択した荷電粒子の種類、磁場励磁パターンによって変更できる。
これらデーターを書き換えるだけで、本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6を、任意の荷電粒子を任意のエネルギーレベルに加速することにも利用することができる。
又は、荷電粒子ビームの軌道を制御するためには、ある時間に必要な加速電圧値8i、バンチ3の周回毎にリアルタイムで計算することが必要である。ある時間に必要な加速電圧値8iをリアルタイムで計算する場合は、誘導加速セルを用いたシンクロトロン1を構成する偏向電磁石4(円形加速器の制御装置を介して)からその時の磁場強度3aをビーム偏向磁場強度シグナル4bとして受け取り、予め計算する場合と同様な演算式により計算すればよい。
リアルタイムで、ある時間に必要な加速電圧値8iを計算することにより、加速用誘導加速装置5を構成するDC充電器5b、バンクコンデンサー24等に起因して、印加する加速電圧値8iが所定の設定値から変動した場合であっても、加速電圧8aの発生タイミング、及び加速電圧値8iを補正することが可能となり、的確に加速電圧8aを荷電粒子ビームに印加することが可能となる。その結果、より効率的に荷電粒子ビームを加速することができることとなる。
なお、図9で示した電流計である誘導電圧モニター26で得られる誘導電圧値である誘導電圧シグナル26aをデジタル信号処理装置12の可変遅延時間計算機14、及び加速電圧演算機16の一方、或いは両方にフィードバックすることでも、可変遅延時間18、理想的な加速電圧値8iに対応する等価的な加速電圧値8iを計算することもできる。
また、位置モニター11と誘導電圧モニター26とを併用することで、より精度よく荷電粒子ビームの軌道のズレを知ることができるため、荷電粒子ビームの軌道制御をより精度よく行うことができる。
上述のようにして与えられた荷電粒子ビームの加速中のある時間に必要な加速電圧値8iを基にして決定された、ゲート親信号12aの発生を制御するパルス16aをゲート親信号出力器17に出力する。
従って、加速電圧演算機16は、バンチモニター9から送られてくる通過シグナル9aを用いて、単にバンチ3の周回ごとに加速電圧8aを毎回出力するのではなく、リアルタイムで荷電粒子ビームの軌道修正に必要な加速電圧値8iを測定し、加速電圧演算機16に予め与えられた等価的な加速電圧値パターン(図6)に基づくパルス密度を修正するためにパルス16aを間欠出力する機能を持つものである。
ゲート親信号出力器17は、デジタル信号処理装置12を通過した可変遅延時間18と加速用の誘導電圧8のオンオフの両方の情報を含んだパルス16aをパターン生成器13に伝達するためのパルス、すなわちゲート親信号12aを発生させる装置である。
ゲート親信号出力器17から出力されるゲート親信号12aであるパルスの立ち上がりが、加速用の誘導電圧8の発生タイミングとして用いられる。また、ゲート親信号出力器17は、加速電圧演算機16から出力されるパルス16aを、パターン生成器13に伝送する媒体あるいはケーブルの種類によって、適切なパルス強度を持つ電圧型、電流型、光型などに変換する役割を持っている。
上述のようにしてなるデジタル信号処理装置12は、荷電粒子ビームが周回する設計軌道2にあるバンチモニター9からの通過シグナル9aを基に、スイッチング電源5aの駆動を制御するゲート信号パターン13aの基となるゲート親信号12aをパターン生成器13に出力する。つまりデジタル信号処理装置12が加速用の誘導電圧8のオンおよびオフをデジタル制御しているといえる。
リアルタイムで可変遅延時間18、必要な加速電圧値8iを計算することにより、何ら設定を変更することなく、シンクロトロン1の磁場励磁パターンに対応して、荷電粒子ビームの周回周波数に同期した加速電圧8aを印加することが可能になった。
図3は、荷電粒子ビームの周回と加速電圧8aの発生とタイミングを取るための可変遅延時間についての説明である。バンチモニター9からの通過シグナル9aが可変遅延時間発生器15に入力されてからゲート親信号12aが出力するまでの間の時間が可変遅延時間18である。
この可変遅延時間18を制御することは、加速電圧8aの発生タイミングを制御することと同じである。ゲート親信号12aの発生から加速電圧8aの発生までは、常に一定時間であるためである。
加速用の誘導電圧8で荷電粒子ビームを加速するためには、バンチ3が加速用誘導加速セル7に到達した時間に合わせて加速電圧8aを印加しなければならない。
さらに、加速中の荷電粒子ビームは、加速時間の経過とともに、単位時間当たりに設計軌道2を周回する回数(周回周波数(fREV))が変化する。例えば、KEKの12GeVPSにおいて陽子ビームを加速する場合、陽子ビームの周回周波数は、667kHzから882kHzまで変化する。
従って、荷電粒子ビームを意図した通りに加速するためには、加速時間とともに変化するバンチ3の移動時間3eに合わせて加速電圧8aを印加させ、また、バンチ3が加速用誘導加速セル7に存在しない時間帯にリセット電圧8bを発生させなければならない。
また、誘導加速セルを用いたシンクロトロン1を含む円形加速器は広い敷地に設置させるため、円形加速器を構成する各装置間を接続する信号線のケーブルを長く引き回す必要がある。そして信号線を伝播する信号の速度は有限の値を持っている。
従って、円形加速器の構成を改変した場合、信号が各装置を通過する時間が、改変する前と同じである保証がない。そのため、誘導加速セルを用いたシンクロトロン1を含む円形加速器では構成要素の改変の都度、印加時間のタイミングを設定しなおさなければならない。
そこで、上記問題を解決するため、デジタル信号処理装置12を用いて、バンチモニター9の通過シグナル9aの発生から加速電圧8aを印加するまでの時間を調整することとした。具体的には、デジタル信号処理装置12の内部で、バンチモニター9からの通過シグナル9aを受けてから、ゲート親信号12aの発生までの可変遅延時間18を制御することとした。
上述の条件下でも荷電粒子ビームが加速用誘導加速セル7を通過するタイミングに合わせ、加速電圧8aを印加しなければならない。可変遅延時間発生器15を使用することにより、バンチ3の通過に合わせて加速電圧8aを印加することが可能となる。
可変遅延時間18であるΔtは、バンチ3が設計軌道2のいずれかに置かれたバンチモニター9から、加速用誘導加速セル7に到達するまでの移動時間3eをt、バンチモニター9からデジタル信号処理装置12までの通過シグナル9aの伝達時間9bをt、及びデジタル信号処理装置12から出力されたゲート親信号12aを基に加速用誘導加速セル7で加速電圧8aを印加するまでに要する伝達時間9cをtとすると次式(6)で求められる。
Δt=t−(t+t)・・・式(6)
例えば、ある加速時間でのバンチ3の移動時間3eが1マイクロ秒であるとし、通過シグナル9aの伝達時間9bが0.2マイクロ秒、ゲート親信号12aが発生してから、加速電圧8aが発生するまでに要する伝達時間9cが0.3マイクロ秒であるならば、可変遅延時間18は、0.5マイクロ秒となる。
Δtは、加速の経過とともに変化する。荷電粒子ビームの加速に伴ってtが加速の経過とともに変化するためである。従って、加速電圧8aを荷電粒子ビームに印加するためには、Δtをバンチ3の周回ごとに計算する必要がある。一方、tおよびtは、一端誘導加速セルを用いたシンクロトロン1を構成する各装置を設置すれば、一定の値である。
は、荷電粒子ビームの周回周波数(fREV(t))、及びバンチモニター9から加速用誘導加速セル7までの荷電粒子ビームが周回する設計軌道2の長さ(L)から求めることができる。また、実測してもよい。
ここで、tを荷電粒子ビームの周回周波数(fREV(t))から求める方法を示す。荷電粒子ビームが周回する設計軌道2の全長をCとすると、tは次式(7)によってリアルタイムで計算することができる。
=L/(fREV(t)・C)[秒]・・・式(7)
REV(t)は次式(8)によって求められる。
REV(t)=β(t)・c/C[Hz]・・・式(8)
ここで、β(t)は相対論的粒子速度、cは光速(c=2.998×10[m/s])である。β(t)は次式(9)によって求められる。
β(t)=√(1−(1/(γ(t)))[無次元]・・・式(9)
ここで、γ(t)は相対論係数である。γ(t)は次式(10)によって求められる。
γ(t)=1+ΔT(t)/E[無次元]・・・式(10)
ここで、ΔT(t)は加速電圧8aによって与えられるエネルギーの増加分、Eは荷電粒子の静止質量である。ΔT(t)は次式(11)によって求められる。
ΔT(t)=ρ・C・e・ΔB(t)[eV]・・・式(11)
ここで、eは荷電粒子が持つ電荷量、ΔB(t)は加速開始開始からの磁場強度3aの増加分である。
荷電粒子の静止質量(E)、荷電粒子の電荷量(e)は、荷電粒子の種類によって異なる。
上述の一連の可変遅延時間18であるΔtを求める式を定義式という。可変遅延時間18をリアルタイムに求める時は、定義式をデジタル処理装置8dの可変遅延時間計算機14に格納する。
従って、可変遅延時間18は、バンチモニター9から加速用誘導加速セル7の距離(L)、荷電粒子ビームが周回する設計軌道2の長さ(C)が定まれば、荷電粒子ビームの周回周波数によって、一意に定まる。さらに、荷電粒子ビームの周回周波数も、磁場励磁パターンによって、一意に定まる。
また、荷電粒子の種類、誘導加速セルを用いたシンクロトロンの設定が定まれば、ある加速時点での必要な可変遅延時間18も一意に定まる。従って、バンチ3が、磁場励磁パターンにしたがって理想的な加速をするとすれば、予め可変遅延時間18を計算しておくこともできる。
図4は加速エネルギーレベルと可変遅延時間の関係を示す図である。図4(A)は、陽子ビームのエネルギーレベルと可変遅延時間18の出力時間の関係を示している。なお、KEKの12GeVPSに本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6を組み込み、誘導加速セルを用いたシンクロトロン1に陽子ビームを入射19cしたときの値である。
横軸MeVは陽子ビームのエネルギーレベルであり、単位はメガ電子ボルトである。1MeVは、1.602×10−13ジュールに相当する。
縦軸Δt(μs)は、バンチ3がバンチモニター9を通過した時間を0として、加速用誘導加速セル7に発生させる加速電圧8aを制御するゲート信号パターン13aの出力タイミングの遅れ(可変遅延時間18)であり、単位はマイクロ秒である。可変遅延時間18は、バンチモニター9からの通過シグナル9aを受けて、前述のようにデジタル信号処理装置12によって計算される。
陽子ビームのエネルギーレベルは、周回速度3cによって一意に定まる。また、陽子ビームの周回速度3cは、シンクロトロン1の磁場励磁パターンに同期している。従って、可変遅延時間18は、リアルタイムで計算しなくとも、周回速度3c、或いは磁場励磁パターンから予め計算しておくことも可能である。
図4(A)のグラフは、理想的な可変遅延時間パターン18aと、理想的な可変遅延時間パターン18aに対応する必要な可変遅延時間パターン18bである。
理想的な可変遅延時間パターン18aとは、陽子ビームの周回スピードの変化に合わせて、加速電圧8aを印加するために、陽子ビームのバンチ3の周回毎に調節されたとしたならば、バンチ3がバンチモニター9を通過した時間から、デジタル信号処理装置12がゲート親信号12aを出力するまでに要する、エネルギーレベルの変化に対応した可変遅延時間18のことをいう。
必要な可変遅延時間パターン18bとは、エネルギーレベルの変化に対応した可変遅延時間18のことをいう。必要な可変遅延時間パターン18bは、理想的には、荷電粒子ビームの周回ごとに、可変遅延時間18を制御することが望ましいが、可変遅延時間発生器15の可変遅延時間18に対応したパルス15aの制御精度が±0.01μ秒であること、バンチ3の周回ごとに可変遅延時間18を計算制御しなくとも、荷電粒子を損失することなく十分効率的な加速を行うことができることから、理想的な可変遅延時間パターン18aと同様に、加速電圧8aを荷電粒子ビームに印加することができる。
従って、可変遅延時間18は、一定時間の時間単位で制御することとなる。この単位のことを、制御時間単位18cという。ここでは、0.1μsである。
図4(A)のグラフから、エネルギーレベルの低い入射19cの直後の陽子ビームは、KEKの12GeVPSでの加速においては、約1.0μsの長さの可変遅延時間18を必要とする。さらに、陽子ビームは加速時間とともに、エネルギーレベルが増加し、それに伴って、可変遅延時間18も短くなる。特に、約4500MeV以上から加速終了の付近では、可変遅延時間18はほぼ0に近くなる。
図4(B)は加速時間とともに、デジタル信号処理装置12で計算され、出力されるゲート親信号12aの可変遅延時間18が短くなっている様子を示している。横軸Δt(μs)は可変遅延時間18であり、単位はマイクロ秒である。図4(A)の縦軸に対応する。
例えば、入射19cの直後に1μsの可変遅延時間18を要する陽子ビームは、2000MeV付近のエネルギーレベルの時間帯では、0.2μsの可変遅延時間18でよい。
バンチモニター9より得られる通過シグナル9aを基に、デジタル信号処理装置12によって、ゲート親信号12aの可変遅延時間18を制御することで、入射19cの直後の低いエネルギーレベルから、加速後半の高いエネルギーレベルまで、バンチ3の周回周波数に合わせ得て加速電圧8aを印加することが可能であることを意味する。
従って、誘導加速セルを用いたシンクロトロン1において、本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6を用いることで、任意の荷電粒子の周回周波数に対しても、可変遅延時間計算機14の磁場励磁パターンから計算される等価的な加速電圧値パターン8dを、選択した荷電粒子に対応した磁場励磁パターンに書き換えること、又は磁場励磁パターンから計算される理想的な可変遅延時間パターン18aに対応した必要な可変遅延時間パターン18bに書き換えることで、任意の荷電粒子を任意のエネルギーレベルに加速することができることなる。
図5は、遅い繰り返しと理想的な加速電圧値、及び等価的な加速電圧値の関係を示す図である。なお、図5はKEKの12GeVPSによる陽子ビームを加速する場合の磁場励磁パターン19である。
横軸tは誘導加速セルを用いたシンクロトロン1に荷電粒子ビームが入射19cされた時間を基準にした運転時間である。第1縦軸Bは誘導加速セルを用いたシンクロトロン1を構成する偏向電磁石4の磁場強度3aである。第2縦軸vは加速電圧値8iである。
遅い繰り返しとは、荷電粒子が前段加速器から入射19cされた時間を基準に、加速を経て、出射し、さらに次回の入射19cができるまでの時間である1周期が約数秒程度の遅い繰り返しのシンクロトロン1の磁場励磁パターン19による加速のことをいう。
この磁場励磁パターン19は、荷電粒子ビームが入射19cされた直後から、磁場強度3aを徐々に高め、出射の時点で最大磁場励磁状態になる。特に、荷電粒子ビームの入射19cの直後から、磁場強度3aは指数関数的に増加する。この時間帯の磁場励磁パターン19を非線形励磁領域19aという。その後、加速終了までは、一次関数的な増加になる。この時間帯の磁場励磁パターン19を線形励磁領域19bという。
従って、荷電粒子ビームを誘導加速セルを用いたシンクロトロン1によって加速するためには、この磁場励磁パターン19に同期して、加速電圧8aを発生させることが必要である。そのときのシンクロトロン1の磁場励磁パターン19に同期する理想的な加速電圧値(Vacc)は、次式(12)に示す関係がある。
Vacc∝dB/dt・・・式(12)
すなわち、ある時間での必要な加速電圧値8iは、当該時間での磁場励磁パターン19の時間変化率と比例関係にある。
よって、非線形励磁領域19aでは、磁場強度3aが二次関数的に増加していることから、必要となる誘導電圧値は、加速時間の時間変化の一次に比例して変化することとなる。
一方、線形励磁領域19bでの理想的な加速電圧値8kは、加速時間の変化に関係なく一定である。先の非特許文献2の内容は、この線形励磁領域19bおいて、一定電圧値の加速電圧8aを一定間隔で印加するによって、陽子が加速できることを実証したものである。また、加速電圧8aは上述したように、印加し続けることはできないので、加速電圧8aを印加した次回は、リセット電圧8bが必要である。
従って、加速電圧8aをこの非線形励磁領域19aの磁場励磁パターン19に同期するためには、加速電圧値8jを時間変化とともに増加させることが必要である。
しかし、加速用誘導加速セル7自体は、誘導電圧調整機構をもっていないため加速電圧値8iは、一定の値でしか得られない。一方、加速用誘導加速セル7で発生させるバンクコンデンサー24の充電電圧を制御することにより加速電圧値8iを変化することも考えられるが、バンクコンデンサー24は本来、出力変動に伴う充電電圧の変動を制御する目的で装荷されているものであるため、現実的にはバンクコンデンサー24の充電電圧を変化させる方法は、加速電圧値8iを速やかに制御する目的にには使用できない。
そこで、図6に示すパルス密度を採用し、荷電粒子ビームの軌道制御装置6を用いて、加速電圧8aの発生タイミングを非線形励磁領域19aの磁場励磁パターン19に同期させることとした。
制御単位における加速電圧8aの印加回数を0から、バンチ3の周回毎に印加するよう、段階的に増加させることで、理想的な加速電圧値パターン8cと制御単位においては、等価な加速電圧値8iを与えることができる。この等価な加速電圧値8iの集まりを等価的な加速電圧値パターン8dという。
例えば、4.7kVの加速電圧8aの制御単位を10周回と設定すると、加速電圧値8iは0kVから4.7kVまで0.47kV間隔で段階的に調整することができる。その結果、非線形励磁領域19aでの等価的な加速電圧値パターン8dを10段階の加速電圧値8iに分割できることとなる。
さらに小さい加速電圧値8iが要求される場合には、バンチ3の周回数に対する加速電圧8aの印加回数の比を調整すればよい。例えば、加速電圧値8iとして0.093kvを必要とする場合は、バンチ3の100周回毎に2回加速電圧8aを印加すればよい。
非線形励磁領域19aが0.1秒間あるとすると、制御単位を10と設定した場合の各段階の時間は、0.01秒となる。
パルス密度変化によって加速電圧8aの発生タイミングで制御することで、一定値の加速電圧8aでも、理想的な加速電圧値パターン8cに対応する等価的な加速電圧値パターン8dによって、一定時間19dでは、理想的な加速電圧値パターン8cを与えたことになる。
なお、大きく変化するシンクロトロン1の磁場励磁パターン19に同期させ、荷電粒子ビームを加速するためには、まず、前提として線形励磁領域19bで必要な加速圧値9kを印加できる加速用誘導加速セル7によって、陽子ビームのバンチ3の周回毎に一定電圧値である加速電圧8aを印加することが必要である。
図6はパルス密度変化による加速電圧値の制御方法を示した図である。記号tおよびvの意味は、図5と同じである。
図6に示す加速用の誘導電圧8の発生タイミング群をパルス密度20という。このようなパルス密度20をある周回数ごとにまとめて制御するバンチ3の周回数を、ここでは、制御単位21という。
t1は、非線形励磁領域19aの制御単位21が10周回であるときの制御単位21に要する時間を意味する。t2は線形励磁領域19bの制御単位21が10周回であるときの制御単位21に要する時間を意味する。
パルス密度20は、等価的な加速電圧値パターン8dとして、上述したように、加速電圧演算機16に予め与えることも、加速電圧演算機16でリアルタイム計算することができる。
は、t1の間にバンチ3に印加された平均的な加速電圧値8hである。 の値は、t1の間、すなわちバンチ3が10回、加速用誘導加速セル7を通過する時間の内の7回の通過に対して、一定電圧値 の加速電圧8aを印加したとき、 =7/10・ =0.7 として計算できる。
点線で示した加速電圧8fは、バンチ3が加速用誘導加速セル7に到達しても、加速電圧8aを印加されないことを意味する。同様に点線で示したリセット電圧8gも印加されないことを意味する。
このようにパルス密度20を荷電粒子ビームの軌道制御装置6で制御することで、一定電圧値の加速電圧8aのみしか印加できない加速用誘導加速セル7によっても、理想的な加速電圧値パターン8cに対応する等価的な加速電圧値パターン8dを与えることで、大きく変動する非線形励磁領域19aの磁場励磁パターン19に同期することが可能になった。
当然に、線形励磁領域19bで要求される一定値である理想的な加速電圧値8kにも同期することが可能である。その場合の、平均的な加速電圧値8hである は、加速用誘導加速セル7を通過するバンチ3に対して、毎周回、一定電圧 の加速電圧8aを印加する。すなわち =10/10・ である。
従って、前記制御単位21に荷電粒子ビームに印加された加速電圧値(Vave)は、加速用誘導加速セル7によって印加される一定値の加速電圧値(V)、及び前記制御単位21の加速電圧8aの印加回数(Non)と停止した加速電圧8fの回数(Noff)から、次式(13)によって計算できる。
Vave=V・Non/(Non+Noff)・・・式(13)
なお、連続して印加する加速電圧8aと加速電圧8aを印加する時間(以下、パルス間隔20aという。)を徐々に短くすることで、バンチ3の周回時間の短縮に対応することができる。
図7は加速電圧発生の停止による荷電粒子ビームの軌道制御方法を示す図である。図7は図5における線形励磁領域19bの制御単位21(10周回)に実際に印加された加速電圧8aのパルス密度20bである。横軸Tは荷電粒子ビームの周回数を示す。縦軸vは加速電圧値8iである。
線形励磁領域19bでの理想的な加速電圧値8kは、時間変化に関係なく一定である。従って、理想的な加速電圧値8kを印加できる加速用誘導加速セル7によって、バンチ3の周回毎に一定電圧値である加速電圧8aを印加すればよいこととなる。
しかし、例えば、式(12)により計算される線形励磁領域19bでの理想的な加速電圧値8kが時間変化に関係なく一定であったとしても、一定電圧の加速電圧値8iを印加することはできない。
印加する実際の加速電圧値8iは、ある程度の幅で高くなったり、低くなったり加速電圧の設定値8eからズレる。これは、バンクコンデンサー24の充電電圧が理想値からズレることに由来する。
従って、加速電圧演算機16に予め計算した等価的な加速電圧値パターン8dを格納し、等価的な加速電圧値パターン8dに基づく、パルス密度20bにより加速電圧8aを印加したとしても、いずれ荷電粒子ビームは設計軌道2からズレることとなる。
例えば、実際に印加した加速電圧値8iが、理想的な加速電圧値8k(一定時間19dにおける等価的な加速電圧値)より低い場合には、荷電粒子ビームは、設計軌道2より内側2bの軌道を周回し、いずれ偏向電磁石4の磁場励磁パターン19と同期することができず、真空ダクト壁面に衝突し、消失してしまう。
一方、実際に印加した加速電圧値8iが、理想的な加速電圧値8k(一定時間19dにおける等価的な加速電圧値)より高い場合には、荷電粒子ビームは、設計軌道2より外側2cの軌道を周回し、いずれ偏向電磁石4の磁場励磁パターン19と同期することができず、真空ダクト壁面に衝突して、同じく消失してしまう。
そこで、誘導加速セルを用いたシンクロトロン1で、荷電粒子ビームの損失を低減し、効率的な加速を繰り返すために、予め計算した等価的な加速電圧値パターン8dに基づくパルス密度20を修正することで、荷電粒子ビームを設計軌道2に維持することを可能にした。
パルス密度20の修正は、第1に制御単位21当たり、予め計算した等価的な加速電圧値パターン8dに対して、過剰分に相当する点線で示した加速電圧8lの発生を停止することによって可能である。
具体的には、加速電圧演算機16が、位置モニター11から、荷電粒子ビームがどれだけ外側2cにズレているかの情報である位置シグナル11aを受けて、予め加速電圧演算機16に格納された等価的な加速電圧値パターン8dに基づくパルス密度20の過剰分の加速電圧値に相当するパルス16aの発生を停止する方法である。
他に、上述した、等価的な加速電圧値パターン8dのある時間の制御単位21のパルス密度20を、加速電圧演算機16に格納した別のパルス密度20に置換することでも荷電粒子ビームの軌道を設計軌道2に維持することができる。
また、リアルタイムで、可変遅延時間18、加速電圧8aのオンおよびオフを制御する場合においては、バンチ3の周回毎に加速電圧8aを制御することにより、結果的に荷電粒子ビームの軌道は設計軌道2に位置することができる。
なお、非線形励磁領域19aにおいても、線形励磁領域19bと同様に荷電粒子ビームの軌道制御が必要であるが、ビーム偏向磁場強度シグナル4bの値から、式(1)によって加速用の誘導電圧8の値が自動的に計算される。
従って、外側2cにズレた荷電粒子ビームは、過剰分に相当する加速電圧8lの発生を停止することで、設計軌道2に維持させることが可能であるから、加速電圧の設定値8eは、理想的な加速電圧値パターン8cに対応する等価的な加速電圧値パターン8dより、高い加速電圧値8iを得られるように設定することが望ましい。
その結果、実際の加速電圧値8iは、理想的な加速電圧値パターン8cより大きくなる。そこで、磁場励磁パターン19に同期させるためには、一定の制御単位21において、加速電圧8aの発生を上述した方法により停止し、パルス密度20を修正すればよい。
本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6を用いて、上述のように制御単位21のパルス密度20を修正することによって、ほぼ一定の電圧値(V)の加速電圧8aしか印加することができない加速用誘導加速セル7であっても、遅い繰り返しのシンクロトロン1の磁場励磁パターン19に同期して、加速電圧8aを陽子ビームに印加することが可能である。
さらに、過剰な加速電圧値を受け、設計軌道2から外側2cにズレた荷電粒子ビームは、本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6により、リアルタイムでパルス密度を修正することで、外側2cにズレた荷電粒子ビームを、基の設計軌道2に位置させることができることとなった。
また、この荷電粒子ビームの軌道制御装置6及びその制御方法によれば、速い繰り返しのシンクロトロン1の磁場励磁パターンであっても、制御単位21当たりのパルス密度20を修正して、一定電圧値の加速電圧8aを印加することで、速い繰り返しのシンクロトロン1の磁場励磁パターンに同期して、加速電圧8aを荷電粒子ビームに印加することが可能となる。
さらに、外側2cにズレた荷電粒子ビームの軌道を基の設計軌道2に位置させることもできることとなる。
速い繰り返しとは、荷電粒子ビームを前段加速器からの入射から開始し、加速を経て、出射し、さらに次回の入射ができるまでの時間である1周期が約数十ミリ秒程度の速い繰り返しのシンクロトロン1の磁場励磁パターンによる加速のことをいう。
速い繰り返しの磁場励磁パターンに同期させるためには、遅い繰り返しのシンクロトロン1の磁場励磁パターン19に比べ、要求される理想的な加速電圧値パターンは時間とともに著しく増減する。
しかし、本発明による荷電粒子ビームの軌道制御装置6及びその制御方法を用いることで、荷電粒子ビームの軌道を基の設計軌道2に位置させることができる。
従って、本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6及びその制御方法を用いて、可変遅延時間18、誘導電圧のパルス密度20を制御することで、あらゆる磁場励磁パターンに対しても、荷電粒子ビームが設計軌道2を外れることなく、設計軌道2に維持させることが可能になった。
本発明である荷電粒子ビームの軌道制御装置6及びその制御方法は、上記効果が得られることから、従来のサイクロトロン、高周波シンクロトロンでは不可能であった重い荷電粒子を含む任意の荷電粒子を、任意のエネルギーレベルまで効率的に加速することができることとなる。特に、医療分野、物理分野において、自動で荷電粒子ビームの軌道維持を行う運転が容易な円形加速器として幅広い応用が期待できる。
本発明を含む誘導加速セルを用いたシンクロトロンの概略図である。 デジタル信号処理装置の構成図である。 可変遅延時間の説明図である。 加速エネルギーレベルと可変遅延時間との関係を示す図である。 理想的な加速電圧値と等価的な加速電圧値の説明図である。 パルス密度変化による加速電圧の制御方法を示す図である。 加速電圧発生の停止による荷電粒子ビームの軌道制御方法を示す図である。 誘導電圧による加速の原理を示す図である。 加速用誘導加速装置の等価回路である。 荷電粒子ビームの軌道と磁場による水平方向の閉じ込めの様子を示す図である。
符号の説明
1 シンクロトロン
2 設計軌道
2a 真空ダクト中心
2b 内側
2c 外側
2d 平均半径
3 バンチ
3a 磁場強度
3b 遠心力
3c 周回速度
3d 進行軸方向
3e 移動時間
4 偏向電磁石
4a サイクルシグナル
4b ビーム偏向磁場強度シグナル
5 加速用誘導加速装置
5a スイッチング電源
5b DC充電器
5c パルス電圧
6 軌道制御装置
7 加速用誘導加速セル
7a 加速ギャップ
8 加速用の誘導電圧
8a 加速電圧
8b リセット電圧
8c 理想的な加速電圧値パターン
8d 等価的な加速電圧値パターン
8e 加速電圧の設定値
8f 加速電圧
8g リセット電圧
8h 平均的な加速電圧値
8i 加速電圧値
8j 加速電圧値
8k 加速電圧値
8l 加速電圧
9 バンチモニター
9a 通過シグナル
9b 伝達時間
9c 伝達時間
10 速度モニター
10a 速度シグナル
11 位置モニター
11a 位置シグナル
12 デジタル信号処理装置
12a ゲート親信号
13 パターン生成器
13a ゲート信号パターン
14 可変遅延時間計算機
14a 可変遅延時間シグナル
15 可変遅延時間発生器
15a パルス
16 加速電圧演算機
16a パルス
17 ゲート親信号出力器
18 可変遅延時間
18a 理想的な可変遅延時間パターン
18b 必要な可変遅延時間パターン
18c 制限時間単位
19 磁場励磁パターン
19a 非線形励磁領域
19b 線形励磁領域
19c 入射
19d 一定時間
20 パルス密度
20a パルス間隔
20b パルス密度
21 制御単位
22 バリアー電圧
22a 負のバリアー電圧
22b 正のバリアー電圧
23 加速用誘導加速装置の等価回路
24 バンクコンデンサー
24a 第1スイッチ
24b 第2スイッチ
24c 第3スイッチ
24d 第4スイッチ
25 マッチング抵抗
26 誘導電圧モニター
26a 誘導電圧シグナル

Claims (3)

  1. 1次側電気回路にスイッチング電源からパルス電圧を受けて、2次側絶縁部に誘導され、荷電粒子ビームに印加される誘導電圧を生成する誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて用いられる荷電粒子ビームの軌道制御装置であって、
    前記シンクロトロンの設計軌道にある荷電粒子ビームの設計軌道からのズレを感知する位置モニターからの位置シグナルを受け予め格納された制御単位中のパルス密度を必要に応じ過剰な加速電圧値を減じる修正又は予め与えられた軌道修正用のパルス密度を選択する修正をし、バンチの通過を感知するバンチモニターからの通過シグナルを受けてゲート親信号を生成するデジタル信号処理装置と、
    前記ゲート親信号を基に前記誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のオンオフを制御するゲート信号パターンを生成するパターン生成器とからなり、
    前記ゲート信号パターンにより、スイッチング電源のオンオフを制御し、前記誘導電圧の発生タイミングを制御単位のパルス密度に基づき荷電粒子ビームの周回毎に制御することを特徴とする荷電粒子ビームの軌道制御装置。
  2. 前記デジタル信号処理装置が、荷電粒子ビームの周回軌道を維持する荷電粒子ビームの加速に伴い変動する偏向磁石の磁場強度の変化パターンである磁場励磁パターンを基に計算される誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるため、下記式(6)で求められる理想的な可変遅延時間パターンに対応する必要な可変遅延時間パターンを格納し、前記必要な可変遅延時間パターンに基づき可変遅延時間シグナルを生成する可変遅延時間計算機と、荷電粒子ビームが周回する設計軌道にあるバンチモニターからのバンチの通過シグナル、前記可変遅延時間計算機からの可変遅延時間シグナルを受けて、可変遅延時間に相当するパルスを生成する可変遅延時間発生器と、磁場励磁パターンを基に計算される理想的な荷電粒子ビームの加速段階で変化する加速に必要な誘導電圧の電圧値の変化パターンである加速電圧値パターンに対応する等価的な加速電圧値パターンを格納し、前記可変遅延時間発生器からの誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるための可変遅延時間に相当するパルス、及び設計軌道にある荷電粒子ビームの設計軌道からのズレを感知する位置モニターからの位置シグナルを受け、荷電粒子ビームの周回毎に磁場励磁パターンに同期するために必要な誘導電圧値の過不足を計算し、必要に応じ予め格納されたパルス密度から過剰な誘導電圧分に相当する誘導電圧の発生を停止又は不足する誘導電圧分に相当する誘導電圧を発生させる修正をし、加速用の誘導電圧のオンオフを制御するパルスを生成する加速電圧演算機、及び前記加速電圧演算機からのパルスを受けて、パターン生成器に適したパルスであるゲート親信号を生成するゲート親信号出力器からなることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビームの軌道制御装置。
    Δt=t−(t+t)・・・式(6)
    Δt:可変遅延時間
    :バンチモニターから誘導加速セルに到達するまでのバンチの移動時間
    :バンチモニターからデジタル信号処理装置までの通過シグナルの伝達時間
    :デジタル信号処理装置から出力されたゲート親信号を基に誘導加速セルで誘導電圧を印加するまでに要する時間
  3. 1次側電気回路にスイッチング電源からパルス電圧を受けて、2次側絶縁部に誘導され、荷電粒子ビームに印加される誘導電圧を生成する誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて、
    誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるため、下記式(6)で求められる可変時間に相当する可変遅延時間シグナルを生成する可変遅延時間計算機と、荷電粒子ビームが周回する設計軌道にあるバンチモニターからのバンチの通過シグナル、前記可変遅延時間計算機からの可変遅延時間シグナルを受けて、可変遅延時間に相当するパルスを生成する可変遅延時間発生器と、前記可変遅延時間発生器からの誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるための可変遅延時間に相当するパルス、及び設計軌道にある荷電粒子ビームの設計軌道からのズレを感知する位置モニターからの位置シグナルを受け予め格納されたパルス密度を必要に応じ過剰な加速電圧値を減じる修正又は予め与えられた軌道修正用のパルス密度を選択する修正をし、加速用の前記誘導電圧のオンオフを制御するパルスを生成する加速電圧演算機と、前記加速電圧演算機からのパルスを受けて、パターン生成器に適したパルスであるゲート親信号を生成するゲート親信号出力器からなるデジタル信号処理装置、及び前記ゲート親信号を前記誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のゲート信号パターンへと変換するパターン生成器により、
    前記誘導電圧の発生タイミングを制御単位のパルス密度に基づき荷電粒子ビームの周回毎に制御することを特徴とする荷電粒子ビームの軌道制御方法。
    Δt=t−(t+t)・・・式(6)
    Δt:可変遅延時間
    :バンチモニターから誘導加速セルに到達するまでのバンチの移動時間
    :バンチモニターからデジタル信号処理装置までの通過シグナルの伝達時間
    :デジタル信号処理装置から出力されたゲート親信号を基に誘導加速セルで誘導電圧を印加するまでに要する時間
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