JP4398675B2 - 親水性フッ素樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性フッ素樹脂粒子及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フッ素樹脂が本来有している化学的安定性、低摩擦性、耐候性などを損うことなく、後工程や成型品に悪影響を及ぼさない、表面の濡れ特性を向上させた、無電解めっき添加剤、塗料フィラー、顔料、潤滑剤などとして有用な親水性フッ素樹脂粒子、及び、該親水性フッ素樹脂粒子を工業的に容易に得ることができる親水性フッ素樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレンに代表されるフッ素樹脂の粉体は、撥水性、化学的安定性、耐熱性、低摩擦性、耐光性などの多くの優れた特性を有し、さまざまな分野で利用されている。しかし、このようなフッ素樹脂粉体は、非常に高い撥水性を有するために、フッ素樹脂粒子を水や水溶液に分散させることは困難であり、一般には多量の界面活性剤の使用が必要になる。このような多量の界面活性剤は、分散液自体を汚染するとともに、泡が立ちやすくなり、その気泡によるトラブルも発生する。また、その他の後工程や、成型品に加工されたとき、種々の悪影響を及ぼす場合が多い。このために、フッ素樹脂粒子の表面を親水化するために、さまざまな試みがなされている。
例えば、幅広く表面特性を変化させることができるフッ素樹脂粉体材料として、フッ素樹脂粉体粒子を芯材として、その表面を熱硬化性樹脂、金属、セラミック又はこれらの混合物で被覆したフッ素樹脂粉体材料が提案されている(特許文献1)。このような方法では、フッ素樹脂粉体表面は確かに親水化されるものの、フッ素樹脂が本来有している撥水性、化学的安定性、耐熱性、低摩擦性、耐光性などの優れた特性を十分活かすことができない。
また、フッ素樹脂が本来有する化学的安定性、熱安定性、低摩擦性、耐候性などを損うことなく、親水性化し、表面の濡れ特性が向上した親水性フッ素樹脂粉体として、フッ素樹脂粉体の表面を、含フッ素界面活性剤で被覆してなる親水性フッ素樹脂粉体が提案されている(特許文献2)。この方法によれば、フッ素樹脂粉体の表面は親水化される上に、含フッ素界面活性剤を使うために、フッ素樹脂が本来有する優れた特性はあまり損われない。しかし、フッ素樹脂に対して2〜6重量%という多量の含フッ素界面活性剤を含むために、分散液は非常に泡が立ちやすく、しかも成型品とした場合、低分子である含フッ素界面活性剤がブリードしやすく、使用状況によっては悪影響を及ぼす可能性が高い。また、多量の含フッ素界面活性剤を用いるので、コストも割高になる。
さらに、フッ素樹脂の表面に、親水性、導電性、高硬度化、接着性などの特性を付与する方法として、含フッ素溶剤に溶解してなるシランカップリング剤などのプライマーを塗布するフッ素樹脂の表面改質方法が提案されている(特許文献3)。この方法によれば、比較的耐久性のある親水性の膜をフッ素樹脂表面に形成することができるが、含フッ素系溶剤を用いるために、コストが割高になると同時に、作業工程から含フッ素溶剤が漏洩し、環境に対して悪影響を与えるおそれがある。
【特許文献1】
特開昭64−51454号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開平5−39360号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開平8−134243号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フッ素樹脂が本来有している化学的安定性、低摩擦性、耐候性などを損うことなく、後工程や成型品に悪影響を及ぼさない、表面の濡れ特性を向上させた、無電解めっき添加剤、塗料フィラー、顔料、潤滑剤などとして有用な親水性フッ素樹脂粒子、及び、該親水性フッ素樹脂粒子を工業的に容易に得ることができる親水性フッ素樹脂粒子の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フッ素樹脂粒子の表面を、疎水基が炭化水素基であり、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有するHLB10以下の非イオン界面活性剤で被覆することにより、少量の界面活性剤を用いて容易にフッ素樹脂粒子の表面を親水化し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)フッ素樹脂粒子の表面を、一般式[1]、一般式[2]、一般式[3]又は一般式[4]で表されるHLB10以下の非イオン界面活性剤で被覆してなることを特徴とする親水性フッ素樹脂粒子、
R1O[CH2CH2O]nH ・・・[1]
R2COO[CH2CH2O]nH ・・・[2]
R3O[CH2CH(CH3)O]mH ・・・[3]
R4COO[CH2CH(CH3)O]mH ・・・[4]
(ただし、式中、R1は炭素数8〜22の炭化水素基であり、R2は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R3は炭素数8〜22の炭化水素基であり、R4は炭素数7〜21の炭化水素基であり、nは1〜5であり、mは1〜3である。)、
(2)フッ素樹脂粒子の表面を、炭素数8〜22のアルコール又は炭素数8〜22の脂肪酸のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム又はブロック共重合付加物であるHLB10以下の非イオン界面活性剤で被覆してなることを特徴とする親水性フッ素樹脂粒子、
(3)フッ素樹脂粒子の平均粒子径が、0.1μm〜1mmである第1項又は第2項記載の親水性フッ素樹脂粒子、
(4)フッ素樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン粒子である第1項又は第2項記載の親水性フッ素樹脂粒子、
(5)無電解めっき添加剤、塗料フィラー、顔料又は潤滑剤として用いる第1〜4項のいずれか記載の親水性フッ素樹脂粒子、
(6)フッ素樹脂粒子の表面を、一般式[1]、一般式[2]、一般式[3]又は一般式[4]で表されるHLB10以下の非イオン界面活性剤、あるいは、炭素数8〜22のアルコール又は炭素数8〜22の脂肪酸のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム又はブロック共重合付加物であるHLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液に浸漬したのち、表面に付着した過剰の界面活性剤を水洗により除去することを特徴とする第1項又は第2項記載の親水性フッ素樹脂粒子の製造方法、及び、
(7)HLB10以下の非イオン界面活性剤水溶液の濃度が、0.001〜10重量%である第6項記載の親水性フッ素樹脂粒子の製造方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の親水性フッ素樹脂粒子は、フッ素樹脂粒子の表面を、疎水基が炭化水素基であり、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有するHLB10以下の非イオン界面活性剤で被覆してなるフッ素樹脂粒子である。HLB10以下の非イオン界面活性剤であっても、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有しない界面活性剤は、フッ素樹脂粒子の表面を親水化することができない。
本発明に用いるフッ素樹脂粒子に特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−トリフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などの粒子を挙げることができる。本発明方法によれば、撥水性が最も高いポリテトラフルオロエチレン粒子にも、良好な親水性を付与することができる。本発明の親水性フッ素樹脂粒子の平均粒子径に特に制限はないが、平均粒子径が0.1μm〜1mmであることが好ましい。
本発明に用いる疎水基が炭化水素基であり、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有する非イオン界面活性剤は、HLB(hydrophile-lipophile balance、親水親油バランス)が10以下、より好ましくはHLBが8以下である。界面活性剤のHLBは、グリフィンの式、
HLB = 20 ×(親水基の重量分率)
により算出することができ、親水基がオキシエチレン基のみである非イオン界面活性剤のHLBは、
HLB = 20 ×(オキシエチレン基の重量分率)
により算出することができる。本発明において、非イオン界面活性剤のHLBが10を超えると、フッ素樹脂粒子の表面に十分な親水性が付与されないおそれがある。
【0006】
本発明に用いる疎水基が炭化水素基であり、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有するHLB10以下の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(5モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(4モル)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルエーテル、ジエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3モル)オキシプロピレン(2モル)ラウリルエーテル、ジエチレングリコールモノラウリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテル、ジエチレングリコールモノオレイルエーテル、ポリオキシエチレン(3モル)オキシプロピレン(3モル)ミリスチン酸エステル、ジエチレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリルエーテルなどを挙げることができる。
【0007】
本発明においては、HLB10以下の非イオン界面活性剤の中で、一般式[1]、一般式[2]、一般式[3]又は一般式[4]で表される構造を有する非イオン界面活性剤を好適に用いることができる。
R1O[CH2CH2O]nH ・・・[1]
R2COO[CH2CH2O]nH ・・・[2]
R3O[CH2CH(CH3)O]mH ・・・[3]
R4COO[CH2CH(CH3)O]mH ・・・[4]
ただし、式中、R1は炭素数8〜22の炭化水素基であり、R2は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R3は炭素数8〜22の炭化水素基であり、R4は炭素数7〜21の炭化水素基であり、nは1〜5であり、mは1〜3である。R1、R2、R3又はR4で表される炭化水素基は、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。一般式[1]〜[4]で表される構造を有する非イオン界面活性剤を用いることにより、フッ素樹脂粒子に高い親水性を付与することができる。
本発明においては、HLB10以下の非イオン界面活性剤の中で、炭素数8〜22のアルコール又は炭素数8〜22の脂肪酸のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム又はブロック共重合付加物を好適に用いることができる。炭素数8〜22のアルコールは、飽和アルコールであっても、不飽和アルコールであってもよい。炭素数8〜22の脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であってもよい。炭素数8〜22のアルコール又は炭素数8〜22の脂肪酸のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム又はブロック共重合付加物を用いることにより、フッ素樹脂粒子に高い親水性を付与することができる。
【0008】
本発明の親水性フッ素樹脂粒子の製造方法においては、フッ素樹脂粒子を、疎水基が炭化水素基であり、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有するHLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液に浸漬したのち、表面に付着した過剰の界面活性剤を水洗により除去する。HLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液の濃度は、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜1重量%であることがより好ましい。HLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液の濃度が0.001重量%未満であると、フッ素樹脂粒子の表面が非イオン界面活性剤によって完全に被覆されず、付与される親水性が不十分になるおそれがある。HLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液の濃度が10重量%を超えると、フッ素樹脂粒子の表面に非イオン界面活性剤が大過剰に付着し、水洗により除去することが困難となるおそれがある。
本発明方法において、フッ素樹脂粒子を浸漬するHLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液の温度は、10〜80℃であることが好ましく、30〜70℃であることがより好ましい。フッ素樹脂粒子を水溶液に浸漬する時間は、5〜60分間であることが好ましく、10〜45分間であることがより好ましい。フッ素樹脂粒子を浸漬した非イオン界面活性剤の水溶液は、撹拌することが好ましい。水溶液を撹拌することにより、フッ素樹脂粒子への非イオン界面活性剤の吸着を促進し、処理時間を短縮することができる。
【0009】
本発明方法において、フッ素樹脂粒子を、疎水基が炭化水素基であり、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を有するHLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液に浸漬することにより、非イオン界面活性剤の疎水基がフッ素樹脂粒子の表面に吸着され、フッ素樹脂粒子の表面に非イオン界面活性剤の単分子膜が形成されると推定される。飽和吸着量を超えて水溶液中に過剰に存在する非イオン界面活性剤は、フッ素樹脂粒子の表面に付着する。本発明方法においては、フッ素樹脂粒子の表面に付着した過剰の非イオン界面活性剤を水洗により除去する。付着した過剰の非イオン界面活性剤を除去することにより、親水性フッ素樹脂粒子には安定に吸着された非イオン界面活性剤のみが存在する状態となり、親水性フッ素樹脂粒子を利用する後工程や、成型品などの製品が、残存する遊離の非イオン界面活性剤による悪影響を受けるおそれがない。
本発明方法に用いるHLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液は、必要に応じて水溶性の有機溶媒を添加し、非イオン界面活性剤の溶解度を高めた水溶液とすることができる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、親水性フッ素樹脂粒子の濡れ性は、翼径40mmのファン型撹拌羽根を取り付けた撹拌機と容量200mLのビーカーを用い、ビーカー中に蒸留水100mLを入れ、乾燥した親水性フッ素樹脂粒子5gを投入して、直ちに回転速度100rpmで撹拌を開始し、水に対するフッ素樹脂粒子の分散状態を観察し、下記の基準にもとづいて評価した。
A:フッ素樹脂粒子が完全に水中に分散する。
B:フッ素樹脂粒子が水中に分散するが、一部凝集する。
C:フッ素樹脂粒子が水面上に浮く。
実施例1
ラウリルアルコールのエチレンオキシド2モル付加物(HLB6.4)の0.2重量%水溶液50gに、ポリテトラフルオロエチレン粉体[ダイキン工業(株)、POLYFLON PTFE M−393、平均粒子径500μm]10gを添加し、60℃で30分間撹拌したのち、処理した粒子をろ過、水洗し、室温で3時間真空乾燥して、親水性フッ素樹脂粒子を得た。この親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例2
ステアリルアルコールのエチレンオキシド2モル付加物(HLB4.9)の0.02重量%水溶液500gに、ポリテトラフルオロエチレン粉体[ダイキン工業(株)、POLYFLON PTFE M−33、平均粒子径300μm]10gを添加し、60℃で60分間撹拌したのち、処理した粒子をろ過、水洗し、室温で3時間真空乾燥して、親水性フッ素樹脂粒子を得た。この親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例3
ステアリルアルコールのエチレンオキシド4モル付加物(HLB7.9)の2.0重量%水溶液50gに、ポリテトラフルオロエチレン粉体[ダイキン工業(株)、POLYFLON PTFE M−393、平均粒子径500μm]10gを添加し、60℃で15分間撹拌したのち、処理した粒子をろ過、水洗し、室温で3時間真空乾燥して、親水性フッ素樹脂粒子を得た。この親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例4
非イオン界面活性剤として、オレイルアルコールのエチレンオキシド2モル付加物(HLB4.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例5
非イオン界面活性剤として、ラウリルアルコールのプロピレンオキシド1モル付加物(HLB0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、水中に分散したが、一部凝集した。
実施例6
非イオン界面活性剤として、ラウリルアルコールのエチレンオキシド3モル、プロピレンオキシド2モルランダム共重合付加物(HLB6.1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例7
非イオン界面活性剤として、ラウリルアルコールのプロピレンオキシド4モル、エチレンオキシド2モルブロック共重合付加物(HLB3.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例8
非イオン界面活性剤として、ステアリン酸のエチレンオキシド2モル付加物(HLB4.7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例9
非イオン界面活性剤として、オレイン酸のエチレンオキシド2モル付加物(HLB4.8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
実施例10
非イオン界面活性剤として、ミリスチン酸のエチレンオキシド3モル、プロピレンオキシド3モルランダム共重合付加物(HLB4.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性フッ素樹脂粒子を得た。得られた親水性フッ素樹脂粒子は、完全に水中に分散した。
比較例1
非イオン界面活性剤として、ラウリルアルコールのエチレンオキシド5モル付加物(HLB10.8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、非イオン界面活性剤で処理したフッ素樹脂粒子を得た。得られたフッ素樹脂粒子は、水面上に浮いた。
比較例2
非イオン界面活性剤として、ステアリルアルコールのエチレンオキシド10モル付加物(HLB12.4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、非イオン界面活性剤で処理したフッ素樹脂粒子を得た。得られたフッ素樹脂粒子は、水面上に浮いた。
比較例3
非イオン界面活性剤として、ステアリン酸のエチレンオキシド10モル付加物(HLB12.2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、非イオン界面活性剤で処理したフッ素樹脂粒子を得た。得られたフッ素樹脂粒子は、水面上に浮いた。
実施例1〜10及び比較例1〜3の結果を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
第1表に見られるように、HLBが3.5〜7.9の非イオン界面活性剤の水溶液に浸漬して処理した実施例1〜4と実施例6〜10の親水性フッ素樹脂粒子は、濡れ性が良好であり、完全に水中に分散する。HLBが0の非イオン性界面活性剤の水溶液に浸漬して処理した実施例5の親水性フッ素樹脂粒子も、一部凝集するが水中に分散する。これに対して、HLBが10.8〜12.4の非イオン界面活性剤の水溶液に浸漬して処理した比較例1〜3のフッ素樹脂粒子は、濡れ性が不良であり、水中に投入して撹拌しても水面上に浮く。
【0013】
【発明の効果】
本発明の親水性フッ素樹脂粒子は、フッ素樹脂が本来有している化学的安定性、低摩擦性、耐候性などを保持したまま、表面の濡れ特性が著しく向上したフッ素樹脂粒子であり、無電解めっき添加剤、塗料フィラー、顔料、潤滑剤などとして有用である。本発明方法によれば、このような親水性フッ素樹脂粒子を工業的に容易に製造することができる。
Claims (7)
- フッ素樹脂粒子の表面を、一般式[1]、一般式[2]、一般式[3]又は一般式[4]で表されるHLB10以下の非イオン界面活性剤で被覆してなることを特徴とする親水性フッ素樹脂粒子。
R1O[CH2CH2O]nH ・・・[1]
R2COO[CH2CH2O]nH ・・・[2]
R3O[CH2CH(CH3)O]mH ・・・[3]
R4COO[CH2CH(CH3)O]mH ・・・[4]
(ただし、式中、R1は炭素数8〜22の炭化水素基であり、R2は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R3は炭素数8〜22の炭化水素基であり、R4は炭素数7〜21の炭化水素基であり、nは1〜5であり、mは1〜3である。) - フッ素樹脂粒子の表面を、炭素数8〜22のアルコール又は炭素数8〜22の脂肪酸のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム又はブロック共重合付加物であるHLB10以下の非イオン界面活性剤で被覆してなることを特徴とする親水性フッ素樹脂粒子。
- フッ素樹脂粒子の平均粒子径が、0.1μm〜1mmである請求項1又は請求項2記載の親水性フッ素樹脂粒子。
- フッ素樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン粒子である請求項1又は請求項2記載の親水性フッ素樹脂粒子。
- 無電解めっき添加剤、塗料フィラー、顔料又は潤滑剤として用いる請求項1〜4のいずれか記載の親水性フッ素樹脂粒子。
- フッ素樹脂粒子の表面を、一般式[1]、一般式[2]、一般式[3]又は一般式[4]で表されるHLB10以下の非イオン界面活性剤、あるいは、炭素数8〜22のアルコール又は炭素数8〜22の脂肪酸のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム又はブロック共重合付加物であるHLB10以下の非イオン界面活性剤の水溶液に浸漬したのち、表面に付着した過剰の界面活性剤を水洗により除去することを特徴とする請求項1又は2記載の親水性フッ素樹脂粒子の製造方法。
- HLB10以下の非イオン界面活性剤水溶液の濃度が、0.001〜10重量%である請求項6記載の親水性フッ素樹脂粒子の製造方法。
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