JP4398545B2 - インキ容器収納装置及び印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、着脱可能なインキ容器を備えたインキ容器収納装置及び印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷装置では、印刷用のインキを内部に収納するインキ容器の交換を容易にするために、インキ容器収納装置のインキ容器保持手段に対してインキ容器が着脱可能に装着されている。印刷装置では、インキ容器内のインキをインキポンプによって吸引してインキ容器の口金部から吐出させて版胴の内部に供給している。
【0003】
印刷に使用されるインキは、印刷物や版胴に巻装されるマスタあるいは気候等の特性も考慮して様々な色や種類が開発されており、印刷物の特性やマスタの種類や装置の使用地域によって異なっている。このようなインキは、同じシリーズの印刷装置や、異なる種類の印刷装置との間においても部品の共通化を図るため、インキの種類にかかわらず同一形状のインキ容器内に収納されている。このため、同一形状のインキ容器であっても、収納されているインキの種類が異っており、これらを識別するのに、インキ容器や、これを収納するケースにインキの色や種類、対応機種等を表示したり、識別シールを貼付けたり、あるいは型番を違えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
インキ容器のインキがなくなると、印刷装置のユーザやサービスマンは、新たなインキ容器を購入して交換するが、その際に、インキ容器やケースに表示されたインキの種類や対応機種、識別シール、型番によって所望のインキ容器か否かを目視で判断しなければならず、注文や配送の際に、インキの種類が違ったり、印刷装置に不適合のインキ容器を手配し、不適性なインキの使用によって思わぬ不具合を発生させるおそれがあった。この不具合には、インキの色やインキの種類の間違えによる画像品質の低下、適正なインキ供給が行われないことに起因する画像抜けや版胴からのインキ漏れ等の機能的な障害の他、版胴に供給された不適正なインキを取り除くために、版胴やその周部を分解清掃しなければならず、修復に多大な時間を要するというサービス上の問題等がある。
【0005】
本発明は、適合しないインキ容器の誤装着を防止できるインキ容器収納装置や印刷装置を提供することを目的とする。
本発明は、適合しないインキ容器が装着された場合でもインキ容器からのインキの吐出を妨げ、不適性なインキが印刷装置に供給されることにより発生する不具合を防止できるインキ容器収納装置や印刷装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部に収納されるインキの種類に応じて選択されるインキ容器に設けられた口金部が、インキポンプの吸引側につながるインキ吸引口に接離可能なインキ容器収納装置を備えた印刷装置において、インキ容器収納装置は、インキ吸引口との間に間隔を持って設けられ、口金部をインキ吸引口に向かって突出するように係止する係止部が形成された側板を有し、口金部がインキ吸引口と接合する吸引接合面を備え、インキ吸引口の端から口金接合面までの長さと、側板から吸引接合面までの口金部の長さとが、インキの種類または印刷装置の種類に応じて異なる長さにそれぞれ設けた。
【0015】
本発明は、インキ吸引口が吸引接合面と接合する口金接合面を備え、口金部の長さと、インキ吸引口の端から口金接合面までの長さとの和が所定の長さのときに、口金部がインキ吸引口と接合する接合位置にインキ容器を保持するロック部材をインキ容器収納装置が備えている。このような構成によると、口金部の長さと、インキ吸引口の端から口金接合面までの長さとの和が所定の長さとならないと、口金部がインキ吸引口に接合する接合位置でインキ容器をロック部材で保持することができなくなるため、インキ容器内のインキをインキポンプで吸引することができなくなる。
【0016】
発明は口金部の長さと、インキ吸引口の端から口金接合面までの長さとの和が所定の長さとならないと、インキ容器の口金部とインキ吸引口とを接合することができないため、装置に適合するインキ容器しか装着できなくなるととともに、たとえインキ容器が装着されたとしてもインキを吸引することができなくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明にかかる実施の形態を説明する。
図1、図2は、印刷装置の要部を示す図である。図1において符号1で示すインキポンプは、印刷装置本体内に収納されている。インキポンプ1は、その吸引口1a及び吐出口1bを備え、それぞれが中空状のドラム軸2に接合されている。ドラム軸2は、版胴3の回転中心であるとともに、その内部がインキ経路となっており、図示しない固定手段によって印刷装置本体側の側板17に固定されている。吸引口1aと吐出口1bとの間に位置するドラム軸2の内部には、インキ経路を分断する遮蔽栓4が設けられており、これによりドラム軸2を吸引側と吐出側とに隔てている。ドラム軸2の吸引側端部には、インキ容器6に設けられた口金部8が接合されるインキ吸引口5が形成されている。
【0018】
印刷装置は、内部に収納されるインキの種類に応じて選択されるインキ容器6を着脱可能に保持するインキ容器保持手段40を有するインキ容器収納装置30を備えている。インキの種類とは、インキの色や粘性、水分と油分との混合率等を指す。
【0019】
インキ容器収納装置30は、口金部8がインキ吸引口5に接合(密接)する接合位置と、口金部8がインキ吸引口5から離間した離間位置とにインキ容器保持手段40を変位可能とするスライドレール15と、インキ容器保持手段40を接合位置に保持するロック部材12とを備えている。
【0020】
インキ容器6は、図1に示すように、厚紙やプラスチック等から形成された外箱6Aと、この外箱6A内に収納されたインキが充填されるプラスチックシートからなる図示しないインキ袋とから構成されており、その形状を保持し得るように比較的堅固に形成されて、インキ容器保持手段40の一構成を成すインキ容器受け台7に着脱可能となっている。外箱6Aの一側面6aには、口金部8がその外方に向かって突設されている。口金部8は、インキ袋内に連通していて、その内部のインキを吐出するようになっている。インキ容器6は、口金部8がインキ吸引口5に向かって位置するように、インキ容器受け台7にセットされる。口金部8の周面には、インキ容器受け台7の側板7Aに形成された係止部としての切り欠き部7aで係止される係合部8aが設けられている。
【0021】
インキ容器保持手段40は、インキ容器6を着脱可能に支持するもので、インキ容器受け台7と、これを摺動可能に支持するスライダー9と、加圧スプリング10と、段ネジ11とを備えている。インキ容器受け台7は、スライダー9との当接面に摺動方向へ延びる長孔7fが複数形成されていて、これら複数の長孔7fにそれぞれ段ネジ11を挿通することで、スライダー9に対して長孔7fの隙間SLだけ摺動可能に支持されている。加圧スプリング10は、インキ容器受け台7に設けたバネ掛け部20と、スライダー9に設けたバネ掛け部21との間にその両端がそれぞれ懸架されていて、インキ容器受け台7とスライダー9とを互いに引き合う方向に所定の力で付勢している。このため、インキ容器受け台7は、両者を懸架する加圧スプリング10の張力以上の力が両者を引き離す方向に作用しない限り、スライダー9と一体で摺動変位するようになっている。
【0022】
スライダー9は、図2に示すように、印刷装置本体側に設けた一対の側板23,23に締結されたスライドレール15によって、図2に矢印Dで示す横方向への位置が定められつつ、図1に示すドラム軸2の軸線方向、すなわち、図1において矢印Aで示す装着方向(以下、「装着方向A」と記す)と、矢印Bで示す離脱方向(以下、「離脱方向B」と記す)とへ変位可能に支持されている。スライドレール15には、スライダー9の上方への抜け止め部材としてのガイド部材16がネジ22によって締結されている。これにより、インキ容器保持手段40は、スライドレール15上を装着方向Aと離脱方向Bに移動し、図1に示す口金部8とインキ吸引口5とが密接する接合位置と、口金部8とインキ吸引口5とが離間してインキ容器6を着脱する図示しない離間位置とを占めるようになっている。ガイド部材16には、インキ容器6がインキ容器受け台7に装着されていない時に、インキ容器受け台7の先端部と当接する受け台ストッパー16aが形成されている。
【0023】
離脱方向Bに位置するスライドレール15の端部は、図2に示すように、上方に折り曲げられてストッパ15aを構成しており、スライダー9が離脱方向Bに引き出されたときに、スライダー9の端部を折り曲げて構成したストッパ9aと係合することで、インキ容器6を離間位置に保持するとともに、スライダー9がスライドレール15から脱落するのを防止している。スライダー9には、ロック部材係合部9bと押圧部9cとが設けられている。ロック部材係合部9bはロック部材12に向かって、押圧部9cは離脱方向Bに位置するスライダー9の端部を上方に向かってそれぞれ屈曲形成されている。
【0024】
ロック部材12は、スライダー9の下方に配置されていて、側板23,23に固定された支軸13によって、図1に示すロック方向C1と解除方向C2とへ回動自在に支持されている。ロック部材12の先端12d及び側板17に固定されたブラケット19には、リターンスプリング14の両端がそれぞれ係止されていて、ロック部材12にロック方向C1への回動習性を与えている。ロック部材12は、離脱方向Bに位置するロック部材12の端部を操作部12cとし、この操作部12cと支軸13との間に、離脱方向Bに向かうに従い下方に傾斜する傾斜部12aと、ロック部材係合部9bと係脱可能な段差部12bとが連接して形成されている。
【0025】
ブラケット19には、ロックレバー12の回動を規制するロック部材ストッパー18が形成されている。このロック部材ストッパー18は、図1において実線で示すように、略水平状態をなして段差部12bとロック部材係合部9bとが係合するロック位置と、同図に仮想線で示すように、操作部12c側が下方に傾斜した状態をなしてロック部材係合部9bと段差部12bとの係合を解除する解除位置とでロック部材12の回動を停止させている。
【0026】
このような構成のインキ容器収納装置30に対するインキ容器6の着脱動作とインキ容器収納装置30の動作を説明する。
インキ容器6は、インキ容器保持手段40の離間位置において、口金部8の係合部8aをインキ容器受け台7の切り欠き部7aに係合、本形態では嵌合させることでインキ容器保持手段40に装着される。
【0027】
押圧部9cを装着方向Aに押してインキ容器保持手段40をインキ吸引口5側に向かって移動させると、スライダー9のロック部材係合部9bと、ロック部材12の傾斜部12aとが当接する。引き続き押圧部9cを押すと、ロック部材係合部9bと傾斜部12aとの摺接によりロック部材12に垂直方向分力が働いてリターンスプリング14の力に打ち勝ち、ロック部材12が、図1に実線で示すロック位置から仮想線で示す解除位置に向かって支軸13を中心に回転しつつ押し下げられる。このため、インキ容器保持手段40は、口金部8がインキ吸引口5に当接する地点まで移動する。
【0028】
口金部8がインキ吸引口5に当接すると、図3に示すように、口金部8の係合部8aを嵌合しているインキ容器受け台7は、それ以上の変位を阻害されるが、この時点において、未だロック部材係合部9bは、傾斜部12a上に当接しているため、ロック部材12に係止されない。インキ容器6がインキ容器受け台7に装着されていない時に同様の操作を行った場合には、インキ容器6が装着されている時にインキ容器受け台7が係止される位置よりも僅かにインキ吸引口5側に設けられた受け台ストッパー16aがインキ容器受け台7の先端部と当接し、インキ容器受け台7のそれ以上の変位を阻止する。
【0029】
押圧部9cをさらに押し込むと、既にインキ容器受け台7は、変位不能となっているので、押し力がインキ容器受け台7とスライダー9とを懸架する加圧スプリング10を押し広げる方向に加わり、加圧スプリング10の張力にスライダー9を押し込む力が勝った時点で、スライダー9のみがインキ吸引口5側(装着方向A)に移動し、ロック部材係合部9bが傾斜部12aを乗り越える。ロック部材12は、リターンスプリング14によってロック方向C1への回動習性を与えられているので、ロック部材係合部9bと傾斜部12aとの摺接が解除されるや否や、支軸13を中心にロック方向C1に回動変位し、図1に示すロック位置で停止する。
【0030】
押圧部9cから手を離すと、スライダー9は加圧スプリング10の反力により装着方向A(押し込み方向)とは逆の離脱方向Bに押し戻されるが、既にロック部材12がリターンスプリング14により変位してロック部材ストッパー18に当接するロック位置に復帰しているため、ロック部材係合部9bが段差部12bと係合し、口金部8とインキ吸引口5とを密接させた状態とする接合位置でインキ容器保持手段40が保持される。
【0031】
インキ容器保持手段40の解除時には、ロック部材12の操作部12cを手で解除方向C2へ押し下げる。すると、加圧スプリング10の反力によって、インキ容器保持手段40が、図1においてインキ吸引口5と反対方向の離脱方向Bに、ロック部材係合部9bが傾斜部12aと摺接する位置まで押し出される。操作部12cから手を離すと、リターンスプリング14の張力によりロック部材12がロック方向C1に回動変位して傾斜部12aがロック部材係合部9bに当接する。ロック部材係合部9bと傾斜部12aとが当接すると、リターンスプリング14の張力によりインキ容器保持手段40を離脱方向Bに向かって押し出す水平方向分力が働き、ロック部材係合部9bと傾斜部12aとを離間させる位置まで押し戻す。
【0032】
押圧部9cを持ってインキ容器保持手段40を離脱方向Bに引き出せば、インキ容器6を着脱できるインキ吸引口5から大きく離間した離間位置に変位させることになる。なお、離間位置は、インキ容器6の交換時の作業性を考慮すると、インキ吸引口5と口金部8とが十分に離間するばかりでなく、印刷装置本体からインキ容器6が突出する位置であるのがより望ましい。
【0033】
次に、インキ容器6に設けられた口金部8の形態と、口金部8を支持する支持構造の形態について説明する。
(第1の形態)
本形態は、インキ容器6の口金部8や、インキ容器受け台7の切り欠き部7aの形状や大きさに関するものである。図4に示すように、インキ容器6は、口金部8に設けた係合部8aの直径が口金部8の外径よりも小径に形成されていて、収納するインキの種類に応じて、直径aが、a1>a2>a3の如くそれぞれ異なるように形成されている。インキ容器受け台7は、図5に示すように、係合部8aを嵌合(係止)する切り欠き部7aが、係合部8aを嵌合できるように円弧状に形成されている。ここでは印刷装置の種類に応じて、切り欠き部7aの切り欠き幅bが、b1(≒a1)>b2(≒a2)>b3(≒a3)の如くそれぞれ異なるように形成されている。直径a及び切り欠き幅bの大小関係はそれぞれ逆であっても構わない。
【0034】
例えば、直径a1なる係合部8aを備えたインキ容器6には、その大きさが略等しい切り欠き幅b1なる切り欠き部7aを有するインキ容器受け台7が、直径a2になる係合部8aを備えたインキ容器6には、その大きさが略等しい切り欠き幅b2なる切り欠き部7aを有するインキ容器受け台7が、直径a3になる係合部8aを備えたインキ容器6には、その大きさが略等しい切り欠き幅b3なる切り欠き部7aを有するインキ容器受け台7だけが、それぞれ適合するようになる。このため、切り欠き幅b2なる切り欠き部7aを有するインキ容器受け台7に、直径a1になる係合部8aを備えたインキ容器6を装着しようとしても、互いの大きさが異なっているため、切り欠き部7aに係合部8aが入らず、インキ容器受け台7に対する誤ったインキ容器6の装着を防止することができる。つまり、印刷装置に対して適合しないインキ容器6が装着できなくなる。なお、図5において、符号7c,7d,7eは、インキ容器受け台7上でのインキ容器6の位置決めを行う位置決め部材としての側板をそれぞれ示す。
(第2の実施の形態)
図6に示すインキ容器6は、口金部8の係合部8aの一部に突起8bを設けたものである。この突起8bは、図6(a)に示すように、口金部8の中心から外端までの長さをc、図6(b)に示すように、その幅をdとしたとき、インキの種類に応じて、例えばc1>c2>c3及びd1>d2>d3の如くなるようにそれぞれ異なる大きさに形成されている。この場合、突起8bの幅dの広いものから順に、突起8bの長さcを短くして組み合わせて、長さと幅の異なる突起8bとする。これらの組み合わせを例示すると、c1とd3、c2とd2、c3とd1が挙げられる。このため、係合部8aは、突起8bの形態によって、その形状がインキの種類に応じておのおの異なる形状となる。
【0035】
図7は、図6に示す突起8bを備えた口金部8に適合するインキ容器受け台7を示す。このインキ容器受け台7は、図6に示す突起8bと係合する溝部7bが切り欠き部7aに形成されている。この溝部7bは、切り欠き部7aの中心から端部までの長さをe、その幅をfとしたとき、例えばe1(≒c1)、e2(≒c2)、e3(≒c3)及びf1(≒d1)、f2(≒d2)、f3(≒d3)の如くそれぞれ異なる形状に形成しておく。この場合、溝部7bの幅の広いものから順に溝部7bの長さの短いものを組み合わせて、印刷装置の種類に応じて長さと幅の異なる溝部7bを形成する。これら組み合わせを例示すると、e1とf3、e2とf2、e3とf1が挙げられる。
【0036】
このように係合部8aに突起8b、切り欠き部7aに溝部7bを形成した場合、例えば突起8bの幅dの広いインキ容器6は、溝部7bの幅fの狭いインキ容器受け台7には装着することができず、逆に突起8bの幅dの狭いものを溝部7bの幅fの大きなインキ容器受け台7に装着しようとした場合、突起8bの長さcが溝部7bの長さeよりも長いため、突起8bが引っかかり装着することができない。したがって、突起8bと溝部7bのそれぞれの幅と長さが同一でない限り、すなわち、係合部8aと切り欠き部7aの形状や大きさが一致しない限り、インキ容器6をインキ容器受け台7に装着することができず、インキ容器受け台7に対する誤ったインキ容器6の装着を防止することができ、印刷装置に対して適合しないインキ容器6が装着できなくなる。
(第3の実施の形態)
本形態は、図8、図9、図10に示すように、インキ容器6に形成された口金部8とインキ容器受け台7との間隔を、インキの種類や印刷装置の種類毎に変化させたものである。
【0037】
図8において、インキ容器6は、厚紙などから形成され、自身の形状を保つのに十分な比較的堅固な外箱6Aを有している。インキ容器6は、口金部8の取付面となる一側面6aから口金部8の係合部8a先端までの突出量となる間隔g、または係合部8a先端から一側面6aと反対側に位置する外箱6Aの他側面6bまでの間隔h、あるいは間隔g,h双方が、インキの種類に応じて異なる長さとなるように形成されている。
【0038】
図9は、図8に示すインキ容器6に適合するインキ容器受け台7を示す。このインキ容器受け台7は、インキ容器6の一側面6a及び他側面6bとに僅かな隙間を持って対面する位置決め部材としての側板7c,7dが形成されていて、切り欠き部7aを形成された側板7Aから位置決め部材7cまでの間隔i(≒g)、または切り欠き部7aを形成された側板7Aから位置決め部材7dまで間隔j(≒h)が、印刷装置の種類に応じて異なる長さとなるように形成されている。側板7c,7dの間隔s1は、図8に示す外箱6Aの長さとなる一側面6aから他側面6bまでの間隔sと略同じか、やや広く形成されている。
【0039】
間隔g及び間隔hを違えるためには、図8に示すように、インキ容器6の外箱6Aの形状、つまり間隔sは変えずに、一側面6aに対する口金部8の取り付け部となる台座8gの一側面6aからの長さ(突出量)kを、インキの種類に応じてk1>k2>k3としたインキ容器6とする。
【0040】
例えば、図10に示すように、長さk2の台座8gを有するインキ容器6には、側板7Aから側板7cまでの間隔i2、および側板7Aから側板7dまでの間隔j2なるインキ容器受け台7とする。この間隔i2なる長さに設定されたインキ容器受け台7に、長さk1(>k2)の台座8gを備えたインキ容器6を装着する場合には、間隔h1>h2(≒j2)となるため、側板7dにインキ容器6の他側面6bが当接して装着することができない。また、距離j2なる長さを設定したインキ容器受け台7に、長さk3(<k2)の台座8gを備えたインキ容器6を装着する場合には、距離h3<h2(≒j2)となるため、側板7cにインキ容器6の一側面6aが当接して装着することができない。
【0041】
このように、間隔g,hを有するインキ容器6には、それに対応した間隔i,jを有するインキ容器受け台7以外は適合しないため、誤ったインキ容器6の装着を確実に防止することができ、印刷装置に対して適合しないインキ容器6が装着できなくなる。
(第4の実施の形態)
本形態は、図11、図12に示すように、インキ容器6に設けた口金部8の形状と、インキ吸引口5の形状とをインキの種類や印刷装置の種類に応じて異なる形状にしたものである。具体的には、図11、図12に示すように、口金部8の内側あるいは外側の何れか一方に、インキ吸引口5と接合する第2接合面として斜面8cまたは斜面8dをそれぞれ形成し、インキ吸引口5の外側あるいは内側の何れか一方に、斜面8cまたは斜面8dに適合する第1接合面として接合斜面5aまたは接合斜面5bをそれぞれ形成する。斜面8cまたは斜面8d、あるいは接合斜面5aまたは接合斜面5bは、両者の接合時に互いに密接する形状とされている。これは、両者がそれぞれ密接しないと、極微小な隙間からでもインキよりも遥かに流動性に富む空気が吸い込まれてインキポンプ1でインキの吸引ができなくなるからである。
【0042】
このように構成すると、インキ容器6が装着方向Aに移動して、口金部8とインキ吸引口5とが接合した時に、斜面8cと接合斜面5a、または斜面8dと接合斜面5bとがそれぞれ密接されるので、図1に示すインキポンプ1の吸引力の漏れがなくなる。このため、インキ容器6のインキは、口金部8から漏れることなくインキ吸引口5へ吐出され、インキポンプ1を介して版胴3内へ供給されることになる。
【0043】
図11に示す斜面8cを有するインキ容器6を、図12に示す内側に接合斜面5bを有するインキ吸引口5に接合した場合や、図12に示す斜面8dを有するインキ容器6を、図11に示す外側に接合斜面5aを有するインキ吸引口5に接合した場合には、それぞれの接合面同士の形状が異なるので、両者の接合が阻まれて密着されない。このため、インキ容器6内のインキをインキ吸引口5から吸引することができず、不適合なインキ容器6がインキ容器受け台7に装着された場合でも、版胴3に対して不適性なインキが充填されることがなく、印刷物の不良や印刷装置の動作不良を防止できるとともに、分解などの不要な作業をしなくて済み、作業性も向上することになる。
【0044】
図13(a)、図13(b)に示すように、斜面8cを内側に形成した口金部8を備えたインキ容器6においては、口金部8の外側に複数本のスリット8eを設け、図14(a)、図14(b)に示すように、斜面8dを外側に形成した口金部8を備えたインキ容器6においては、口金部8の内側にリブ8fを設けても良い。
【0045】
図11に示す口金部8の外周部の径に対して図12に示すインキ吸引口5の係合斜面5bの径が大きい場合、口金部8の外周部に斜面が無くとも、インキ容器6が装着方向Aに向かって移動して口金部8の外周部が係合斜面5bに圧接したときに、口金部8が変形して両者が密着されることが考えられる。しかし、本形態のように、口金部8にスリット8eやリブ8fを形成すると、両者が仮に圧接状態となっても、スリット8eやリブ8fによって、インキ吸引口5と口金部の接合面に隙間が形成されるので、インキの吸引ができなくなる。すなわち、両者の接合面の密着が阻まれるので、不適合なインキ容器6がインキ容器受け台7に装着された場合でも、版胴3に対して不適合なインキが充填されることがなく、印刷物の不良や印刷装置の動作不良を防止できるとともに、分解などの不要な作業をしないで済み、作業性も向上することになる。
(第5の実施の形態)
本形態は、図15に示すように、切り欠き部7aが形成された側板7Aからインキ吸引口5までの長さpと、切り欠き部7aからインキ吸引口5との吸引接合面80までの口金部8の長さ(突出量)nとに着目したものである。図15において、インキ容器保持手段40を所定の位置である接合位置に係止するロック部材12は、支軸13に回動可能に支持され、インキ容器保持手段40を係止する段差部12bからインキ吸引口5の端となる端面50までの長さLが、常に一定となるように設けられている。吸引接合面80は口金部8の端面である。
【0046】
ロック部材12によって係止される時のスライダー9のロック部材係止部9bからインキ吸引口5の端面50までの長さqは、ロック部材係合部9bからインキ容器受け台7の切り欠き部7aが形成された側板7Aまでの長さmと、口金部8の長さ(突出量)nと、インキ吸引口5の端面50から口金部8との口金接合面51までの長さoからなる。口金接合面51は、本形態では、インキ吸引口5の端面50よりも口金部8に向かって突出している突出部の端面である。長さLと、長さqとが等しい場合のみ、インキ容器保持手段40は、口金部8とインキ吸引口5を密接した状態でロック部材12により係止される。長さq中、長さmは機械の種類によらず一定に設けられている。このため、長さnと長さoとの和である長さpが一定であれば、インキ容器保持手段40はロック部材12により係止されることになる。
【0047】
本形態において、インキ容器6は、口金部8の長さnがインキの種類に応じて数種類、例えばn1>n2>n3となるようにそれぞれ形成されている。印刷装置本体側に設けられるインキ吸引口5は、印刷装置の種類に応じてインキ吸引口5の端面50から口金接合面51までの長さоが数種類、例えばо1<о2<о3となるようにそれぞれ形成されている。各インキ容器6の口金部8と、各インキ吸引口5は、同じ種類同士で組み合わせられ、それぞれ長さpが一定となるように、すなわち、
P=n1+о1=n2+о2=n3+о3となるように、各長さがそれぞれ定められている。このため、どの組み合わせにおいても、長さqは一定で、インキ吸引口5から段差部12bまでの距離Lに等しくなる。よって全ての組み合わせで、口金部8とインキ吸引口5とを密接させた状態で、インキ容器保持手段40をロック部材12で接合位置に係止することができる。
【0048】
図15に示す形態において、誤って違う種類のインキ容器6を装着しようとした場合、例えば、図16に示すように、口金部8の長さn1が長さnより長いときには、スライダー9を最大限押し込んでも、ロック部材係合部9bが傾斜部12aと当接したままであり、ロック部材12はインキ容器保持手段40を係止することができない。然る後、加圧スプリング10の反力によりインキ容器6はインキ吸引口5から離間する離脱方向Bに変位されるので、口金部8とインキ吸引口5は接合せずインキ供給が不能となる。逆に、図17に示すように、長さn2が長さnより短い場合には、口金部8がインキ吸引口5に当接する前にインキ容器受け台7の先端部が受け台ストッパー16aに当接し、それ以上の変位を阻害されるため、口金部8とインキ吸引口5とが当接することはなく、インキを吸引することができない。
【0049】
このように、誤ったインキ容器6が装着された場合でも、インキを吸引することができないので、版胴3に対して不適合なインキが充填されることがなくなり、印刷物の不良や印刷装置の動作不良を防止できるとともに、分解などの不要な作業をしないで済み、作業性も向上することになる。
【0050】
本形態では、図15に示すように、長さpが長さnと長さоとの和であるが、長さоが0(ゼロ)の場合も有り得る。このような場合には、長さp=長さnとなるので、例えば長さnをインキの種類に応じてn1>n2>n3となるようにそれぞれ形成し、長さpを印刷装置の種類に応じてp1(≒n1)>p2(≒n2)>p3(≒n3)となるように形成する。
【0051】
このような構成とすると、誤ったインキ容器6が装着された場合でも、長さp=長さnとならないと、口金部8とインキ吸引口5との間に隙間ができてしまいインキを吸引することができないので、版胴3に対して不適合なインキが充填されることがなくなり、印刷物の不良や印刷装置の動作不良を防止できるとともに、分解などの不要な作業をしないで済み、作業性も向上することになる。
(第6の実施の形態)
本形態は、図18、図19に示すように、切り欠き部7aを形成された側版7Aを有するインキ容器受け台7に、この切り欠き部7aと協働してインキ容器6の外箱6Aを、その一側面6aと直交する方向で保持する位置決め部としての一対の側板7e,7eを形成し、一側面6aに対する口金部8の取り付け位置と、側板7e,7eと切り欠き部7aの位置関係を、インキの種類または印刷装置の種類に応じて異なるようにそれぞれ設けたものである。
【0052】
口金部8は、図18に示すように、インキ容器6に収納されるインキの種類に応じて一側面6aと直交する方向に位置する外箱6Aの一方の側面6cから口金部8の中心までの間隔rが異なり、例えばr1>r2>r3の如くそれぞれ形成されている。図19において、インキ容器受け台7に設けた側板7e,7eは、その間隔uを、外箱6Aの側面6c,6cの幅v(インキ容器6の幅)と略等しくなるように形成されていて、インキ容器6を側板7e,7e間で保持できるように構成されている。一方の側板7eから切り欠き部7aの中心までの間隔tは、印刷装置の種類に応じて異なり、例えばt1(=r1)>t2(=r2)>t3(=r3)のようにそれぞれ形成されている。
【0053】
外箱6Aに対する口金部8の取り付け位置は、インキ容器受け台7の側板7eに対する切り欠き部7aの位置と、それぞれ1対1の関係、すなわち、r=tで適合するように設けられている。このため、インキ容器受け台7に対して、これら位置関係、すなわち、左右方向への位置関係が異なるインキ容器6を装着することはできず、インキ容器6の誤装着を防止することができ、印刷装置に対して適合しないインキ容器6が装着できなくなる。
(第7の実施の形態)
本形態は、図20、図21に示すように、切り欠き部7aを形成された側版7Aを有するインキ容器受け台7の、インキ容器6を装着する装着部7fから切り欠き部7aの中央までの間隔xと、装着部7fにセットされるインキ容器6の装着面6dから口金部8の中心部までの間隔wとが、インキの種類または印刷装置の種類に応じて異なるようにそれぞれ設けたものである。側板7e,7eの間隔uは、側面6c,6cの幅vと略等しく、インキ容器6を側板7e,7e間で保持できるように構成されている。
【0054】
口金部8は、図20に示すように、インキ容器6に収納されるインキの種類に応じて装着面6dから口金部8の中心までの間隔wが異なり、例えばw1>w2>w3の如くそれぞれ形成されている。図21において、装着部7fから切り欠き部7aの中央までの間隔xは、印刷装置の種類に応じて異なり、例えばx1(=w1)>x2(=w2)>x3(=w3)のようにそれぞれ形成されている。
【0055】
外箱6Aに対する口金部8の取り付け位置は、インキ容器受け台7の装着部7fに対する切り欠き部7aの位置と、それぞれ1対1の関係、すなわち、w=xで適合するように設けられている。このため、インキ容器受け台7に対して、これら位置関係、すなわち、上下方向への位置関係が異なるインキ容器6を装着することはできず、インキ容器6の誤装着を防止することができ、印刷装置に対して適合しないインキ容器6が装着できなくなる。
【0056】
本形態では、インキ容器6に対する口金部8と、これに適合する切り欠き部7aの位置を、左右方向、上下方向でそれぞれ異なるように設けているが、インキ容器6に対して上下左右両方向でインキの種類や印刷装置の種類に応じて異なるように設けても良い。
【0057】
各形態において、インキ容器6は、インキ容器受け台7に対して、その上方から着脱するようになっているが、インキ容器受け台7が、例えば図21に示す装着部7fを下部とした状態から略90度回転させて一方の側板7eを下部となるように設けたり、あるいは、図21に示す状態から180度反転させて装着部7fを上部とするように設けて、インキ容器受け台7に対して左右方向や下方から着脱するようにしても良い。
【0066】
【発明の効果】
請求項記載の発明によれば、係止部からインキ吸引口までの長さと、係止部から吸引接合面までの口金部の長さとが一致しないと、口金部とインキ吸引口とを接合することができず、両者の間に隙間が形成されるため、インキ容器内のインキをインキポンプで吸引することができなくなり、適合しないインキ容器が装着された場合でもインキ容器からのインキの吐出を妨げ、不適性なインキが印刷装置に供給されることにより発生する不具合を防止できる。
【0067】
発明によれば、口金部の長さと、インキ吸引口の端から口金接合面までの長さとの和が所定の長さとならないと、口金部がインキ吸引口に接合する接合位置でインキ容器をロック部材で保持することができなくなるため、インキ容器内のインキをインキポンプで吸引することができなくなり、適合しないインキ容器が装着された場合でもインキ容器からのインキの吐出を妨げ、不適性なインキが印刷装置に供給されることにより発生する不具合を防止できる。
【0068】
発明によれば、適合しないインキ容器の誤装着を防止したり、適合しないインキ容器が装着された場合でもインキ容器からのインキの吐出を妨げ、不適性なインキが印刷装置に供給されることにより発生する不具合を防止できる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインキ容器収納装置と印刷装置の要部構成を示す一部破断断面図である。
【図2】図1に示すインキ容器収納装置と印刷装置の要部構成を離脱方向から見た一部破断断面図である。
【図3】図1に示すインキ容器保持手段の動作を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示すインキ容器の口金部近傍の部分拡大側面図である。
【図5】図4に示す口金部を係止する係止部を備えたインキ容器受け台の一構成を示す一部破断正面図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施の形態を示すインキ容器の口金部近傍の部分拡大側面図、(b)は(a)の正面図である。
【図7】図6に示す口金部を係止する係止部を備えたインキ容器受け台の一構成を示す一部破断正面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示すインキ容器と口金部との関係を示す側面図である。
【図9】図8のインキ容器に対応するインキ容器受け台の一構成を示す側面図である。
【図10】第3の実施の形態におけるインキ容器とインキ容器受け台との対応関係を示す平面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態を示す口金部近傍及びインキ吸引口近傍の部分拡大断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態を示す口金部近傍及びインキ吸引口近傍の部分拡大断面図である。
【図13】(a)は図11に示すインキ容器の口金部近傍の変形例を示す側面断面図、(b)は(a)の正面図である。
【図14】(a)は図12に示すインキ容器の口金部近傍の変形例を示す側面断面図、(b)は(a)の正面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態を示すインキ容器収納装置の要部断面図である。
【図16】第5の実施の形態におけるインキ容器の口金部とインキ吸引口との対応関係を示す一部破断断面図である。
【図17】第5の実施の形態におけるインキ容器の口金部とインキ吸引口との対応関係を示す一部破断断面図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態を示すインキ容器収納装置の要部断面図である。
【図19】図18のインキ容器に対応するインキ容器受け台の一構成を示す側面図である。
【図20】本発明の第7の実施の形態を示すインキ容器収納装置の要部断面図である。
【図21】図18のインキ容器に対応するインキ容器受け台の一構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 インキポンプ
5 インキ吸引口
5a,5b 第1接合部
6 インキ容器
6A 外箱
6a 外箱の一側面
6c 外箱の側面
6d 装着面
7a 係止部
7c,7d,7e 位置決め部
7f 装着部
8 口金部
8a 係合部
8c,8d 第2接合部
12 ロック部材
30 インキ容器収納装置
40 インキ容器保持手段
50 インキ吸引口の端
51 口金接合面
80 吸引接合面
g 一側面からの係合部の突出量
i,t 位置決め部から係止部までの間隔
n 口金部の長さ
о インキ吸引口の端から口金接合面までの長さ
p 係止部からインキ吸引口までの長さ
r 外箱の側面から口金部までの間隔
s 外箱の長さ
x 装着部から係止部までの間隔
w 装着面から口金部までの間隔

Claims (1)

  1. 内部に収納されるインキの種類に応じて選択されるインキ容器に設けられた口金部が、インキポンプの吸引側につながるインキ吸引口に接離可能なインキ容器収納装置を備えた印刷装置において、
    上記インキ容器収納装置は、上記インキ吸引口との間に間隔を持って設けられ、上記口金部を上記インキ吸引口に向かって突出するように係止する係止部が形成された側板を有し、
    上記口金部は上記インキ吸引口と接合する吸引接合面を、上記インキ吸引口は上記吸引接合面と接合する口金接合面を備え、
    上記インキ吸引口の端から上記口金接合面までの長さと、上記側板から上記吸引接合面までの上記口金部の長さとが、インキの種類または印刷装置の種類に応じて異なる長さにそれぞれ設けられているとともに、
    上記口金部の長さと、上記インキ吸引口の端から上記口金接合面までの長さとの和が所定の長さのときに、上記口金部が上記インキ吸引口と接合する接合位置に上記インキ容器を保持するロック部材を上記インキ容器収納装置が備える印刷装置。
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