JP4397676B2 - 自動車用熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、フィンを共通化したコンデンサとインタークーラとの結合型熱交換器に関する。
従来、フィンを共通化した2つの熱交換器の結合体として、下記特許文献1が知られている。この熱交換器は、エンジン冷却用のラジエータと車内空調用のコンデンサとを一体化したものであり、夫々多数のチューブと一対のヘッダを有するラジエータコアと、コンデンサコアとを厚み方向に並列し、夫々のチューブ間を跨ぐようにコルゲートフィンを配置し、両コアを一体化したものである。そして両コアを跨ぐコルゲートフィンの中間部に熱伝達阻止用のスリットを設け、両者のコア間にフィンを通じ熱が伝達することを防止するものである。
この一体型熱交換器は、フィン部材をラジエータとコンデンサとで共有することにより、部品点数が減少すると共に、自動車への取付けが容易である特徴を有する。
実公平6−45155号公報
エンジン冷却用のラジエータは、エンジンが高温である間には、その冷却水が高温となり、アイドリング時,低速走行時,中速走行時,高速走行時,何れのときも一定以上の熱交換量を必要とする。
また、夏季であれば車内冷房用のコンデンサは常に一定以上の熱交換能力を必要とし、コンプレッサーにより圧縮され、高温となった冷媒がコンデンサのチューブ内を流通している。そのため、共有するフィンは何れか一方側のチューブの熱が他方のチューブに伝熱されるので、それを遮断するスリットが必要であった。
このスリットは、熱遮断のためには比較的大きく開口する必要があり、フィンの製造が難しくなる欠点があった。
さらにスリットの分だけ伝熱面積が少なくなり、放熱性に影響を及ぼすものとなる。
また、フィンの一部にスリットが存在するためコルゲートフィンの曲折成形を均一に行い難いと欠点がある。
そこで本発明は、スリットの存在しない共有フィンを用い、それが存在しなくても複数の熱交換器コア間に伝熱が起こり難い性能の良い自動車用熱交換器を提供することを課題とする。
請求項1に記載の本発明は、内部に冷媒を流通させる多数のコンデンサ用チューブ(1) が並列され、夫々のコンデンサ用チューブ(1) の両端が一対のコンデンサ用タンク(2) に連通された車内空調用のコンデンサコア(3) と、
内部に加圧された過給気を流通させる多数のインタークーラ用チューブ(4) が並列され、夫々のインタークーラ用チューブ(4) の両端が一対のインタークーラ用タンク(5) に連通されたインタークーラコア(6) と、を具備し、
両コア(3) (6) が夫々の厚み方向に二列に並列され、
両列の各チューブ(1) (4) 間に跨がって共通の多数のフィン(7) を配置して、両コア(3) (6) が一体的に結合され、
夫々のフィン(7) は、両チューブ(1) (4) の熱が互いに伝熱可能に、そのフィン(7) の前記両列の中間には伝熱阻止用のスリットが存在しないものであり、
起風用ファンおよび自動車の走行に伴う冷却風が、フィン(7) および両チューブ(1) (4) 外面を通過し、
自動車の低速走行時およびアイドリング時には、前記過給気の加圧が小さくなり、中速及び高速走行時には、前記過給気の加圧が大きくなって、低速走行時に比べてその過給気温度が高温となり、
前記冷却風に対して、前記車内空調用のコンデンサコア(3) が、インタークーラコア(6) の上流側に配置された自動車用熱交換器である。
本発明の自動車用熱交換器は、コンデンサコア3とインタークーラコア6が夫々厚み方向に二列に並列され、夫々のコアのコンデンサ用チューブ1,インタークーラ用チューブ4間に跨がってフィン7が配置され、そのフィン7の中間には伝熱阻止用のスリットが存在しないものである。
このようにコンデンサコア3とインタークーラコア6とを組み合わせて共通のフィン7を設けることにより、アンドリングまたは低速走行時から高速走行時まで不都合の無いインタークーラとコンデンサとの一体型自動車用熱交換器を提供できる。
即ち、低速走行時およびアイドリング時は、インタークーラ用チューブ4に流通する過給気温度が低く、インタークーラのための熱交換を殆ど必要としない。従って、低速走行時およびアイドリング時にはフィン7はコンデンサの放熱を充分に行うことができる。
次に、高速走行時および中速走行時には自動車の走行に伴う冷却風が強く働き、熱交換容量が高くなるので、このとき過給気の加圧が大きくなり、その過給気温度が高くなっても、走行風により過給気の冷却を充分行うことができる。それと共に、コンデンサに流通する冷媒も充分冷却することができる。
また、本発明のフィン7は伝熱阻止用のスリットが中間に存在しないものであるため、その製造が容易で且つ、フィン7とコンデンサ用チューブ1,インタークーラ用チューブ4との組立てが容易である。
さらにスリットが中間に存在しなくても、高速および中速走行時には冷却風の風量が多く流速が速いため、熱が冷却風に急速に伝熱され、コンデンサ用チューブ1とインタークーラ用チューブ4間に伝熱が行われることはなく、冷却風によってフィン7の熱を外部に持ち去ることができる。
さらに、冷却風に対してコンデンサコア3をインタークーラコア6の風上側に位置したので、中速および高速走行時に、冷媒温度より高い過給気の熱的影響をコンデンサ側に与えることがない。即ち、冷却風によって過給気の高温度を背後に導きコンデンサに熱的影響を与えることがない。
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の自動車用熱交換器の要部分解斜視図であり、図2はその組立て状態を示す一部破断斜視図、図3は図2の III− III矢視断面略図である。
この自動車用熱交換器は、コンデンサコア3とインタークーラコア6とを一体化し、そのコンデンサ用チューブ1,インタークーラ用チューブ4間に共通のフィン7を配置して一体にろう付け固定したものである。
コンデンサコア3は、内部に冷媒を流通させる多数のコンデンサ用チューブ1が並列され、夫々のコンデンサ用チューブ1の両端が一対のコンデンサ用タンク2に連通されたものであって、車内空調装置に使用されるものである。
また、インタークーラコア6は内部に加圧された過給気を流通させる多数のインタークーラ用チューブ4が並列され、夫々のインタークーラ用チューブ4の両端が一対のインタークーラ用タンク5に連通されたものである。
このようなコンデンサコア3とインタークーラコア6とを厚み方向に二列に並列させ、両列のコンデンサ用チューブ1,インタークーラ用チューブ4間に跨がって、共通の多数のフィン7を配置し、フィン7とコンデンサ用チューブ1およびインタークーラ用チューブ4との接触部間を一体にろう付け固定したものである。
このフィン7はコルゲート型のものであるが、それに代えてプレート型のものを使用することもできる。なお、フィン7は、前記従来技術と異なり、コンデンサ用チューブ1,インタークーラ用チューブ4の熱が互いに伝熱可能に、そのフィン7の両列の中間には伝熱阻止用のスリットが存在しないものである。
そして、両者の前方側にコンデンサコア3が位置し、後方側にインタークーラコア6が配置される。そして図示しない起風用のファンが配置され、その起風用のファンおよび自動車の走行に伴う冷却風14がフィン7およびコンデンサ用チューブ1,インタークーラ用チューブ4の外面を通過して、コンデンサ用チューブ1内を流れる冷媒との間に熱交換を行うと共に、インタークーラ用チューブ4内を流れる過給気との間にも熱交換を行うものである。
なお、この例のコンデンサ用チューブ1およびインタークーラ用チューブ4は共に偏平チューブからなり、そのコンデンサ用チューブ1は図1の如くアルミニュームの押出材からなる多穴管で形成されている。そしてコンデンサ用タンク2は丸パイプの一側に多数のチューブ挿通孔11を並列すると共に、パイプの上下両端を蓋13で閉塞したものである。
また、インタークーラ用タンク5は浅い溝型のチューブプレートとそれを被嵌する深い溝状の本体とが嵌着され、その長手方向両端を蓋により閉塞したものである。そしてそのチューブ挿通孔12にインタークーラ用チューブ4を嵌着し、各チューブとチューブ挿通孔との間を一体にろう付け固定したものである。
なお、インタークーラ用タンク5およびコンデンサ用タンク2は上記実施の形態に拘わらず、公知の各種タンクを採用できる。そして各インタークーラ用タンク5には夫々過給気出入口パイプ10が取付けられ、コンデンサ用タンク2には冷媒出入口パイプ9が取付けられる。そして一方の冷媒出入口パイプ9から流入した高温の冷媒は、各コンデンサ用チューブ1内を流通し、他方のコンデンサ用タンク2から冷媒出入口パイプ9を介して図示しない車内冷房装置の冷媒循環路を循環する。
また、ターボチャージャー等により空気を加圧して高温になった過給気が一方のインタークーラ用タンク5の過給気出入口パイプ10から流入し、各インタークーラ用チューブ4内を流通して、他方のインタークーラ用タンク5の過給気出入口パイプ10よりそれがエンジンに供給される。そして図示しないファンまたは走行により生じた冷却風14が、フィン7の外面およびインタークーラ用チューブ4およびコンデンサ用チューブ1の外面を流通し、それと冷媒および過給気との間に熱交換が行われるものである。
過給気は、自動車の低速走行時およびアイドリング時には圧力は小さく比較的低温であり、中速および高速走行時には加圧が大きくなり過給気温度は高温となる。しかしながら、中速および高速走行時には冷却風14の風量および風速が大きく、過給気を効率良く冷却し、それを自動車の後方側に放出することができる。そのため過給気の熱がフィン7を介してコンデンサコア3側に伝達されるおそれはほとんどない。
また、低速走行時およびアイドリング時には過給気は比較的低温であるため、その熱的影響をコンデンサコア3に与えることがない。そしてアイドリング時および低速走行時には、ファンによる冷却風14によって冷媒を冷却し、車内を充分空調することができる。
本発明の自動車用熱交換器の要部分解斜視図。 同熱交換器の組立て状態を示す一部破断斜視図。 図2の III− III矢視断面略図。
符号の説明
1 コンデンサ用チューブ
2 コンデンサ用タンク
3 コンデンサコア
4 インタークーラ用チューブ
5 インタークーラ用タンク
6 インタークーラコア
7 フィン
8 サポート
9 冷媒出入口パイプ
10 過給気出入口パイプ
11,12 チューブ挿通孔
13 蓋
14 冷却風

Claims (1)

  1. 内部に冷媒を流通させる多数のコンデンサ用チューブ(1) が並列され、夫々のコンデンサ用チューブ(1) の両端が一対のコンデンサ用タンク(2) に連通された車内空調用のコンデンサコア(3) と、
    内部に加圧された過給気を流通させる多数のインタークーラ用チューブ(4) が並列され、夫々のインタークーラ用チューブ(4) の両端が一対のインタークーラ用タンク(5) に連通されたインタークーラコア(6) と、を具備し、
    両コア(3) (6) が夫々の厚み方向に二列に並列され、
    両列の各チューブ(1) (4) 間に跨がって共通の多数のフィン(7) を配置して、両コア(3) (6) が一体的に結合され、
    夫々のフィン(7) は、両チューブ(1) (4) の熱が互いに伝熱可能に、そのフィン(7) の前記両列の中間には伝熱阻止用のスリットが存在しないものであり、
    起風用ファンおよび自動車の走行に伴う冷却風(14)が、フィン(7) および両チューブ(1) (4) の外面を通過し、
    自動車の低速走行時およびアイドリング時には、前記過給気の加圧が小さくなり、中速及び高速走行時には、前記過給気の加圧が大きくなって、低速走行時に比べてその過給気温度が高温となり、
    前記冷却風(14)に対して、前記車内空調用のコンデンサコア(3) が、インタークーラコア(6) の上流側に配置された自動車用熱交換器。
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