JP4397550B2 - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性液晶化合物の中間体あるいは歯科治療に用いられる接着剤の添加剤として有用な芳香族カルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子液晶は、重合性液晶化合物の重合反応により合成されている。重合性液晶化合物については、Makromol. Chem. 誌、第179巻、273頁(1978年)および同誌、第183巻、2311頁(1982年)に記載がある。
液晶化合物には、棒状液晶化合物とディスコティック液晶化合物とが含まれる。重合性液晶化合物にも、重合性棒状液晶化合物と重合性ディスコテイック液晶化合物とが含まれる。
重合性棒状液晶化合物については、米国特許5087672号明細書に記載がある。重合性棒状液晶化合物は、一般に、下記式(VIII)で表される:
【0003】
【化8】
【0004】
[式中、L1 は、アルキレン基であり;R1 は、水素原子またはメチルであり;そして、R2 は、低級アルコキシ基、シアノまたはフルオロ置換アアルコキシ基である]
【0005】
重合性ディスコティック液晶化合物は、光学補償フイルム(特に、TFT−LCDの視野角拡大用の光学補償フイルム)の製造に利用されている。重合性ディスコティック液晶性化合物を用いた光学補償フイルムについては、「光を制御する次世代高分子・超分子」、高分子学会編(2000年)、41頁;および日本液晶学会誌、第1巻、45頁に記載がある。
重合性ディスコティック液晶化合物については、特開平7−306317号公報に記載がある。重合性ディスコティック液晶化合物は、一般に、下記式(IX)で表される:
【0006】
【化9】
【化10】
【0007】
[式中、L1 は、アルキレン基である]。
【0008】
重合性液晶性化合物の合成においては、下記式(X)で表わされる芳香族カルボン酸が重要な中間体である:
【0009】
【化11】
【0010】
[式中、Lは、二価の連結基であり;Rは、水素原子またはメチルであり;Yは、酸素原子または硫黄原子であり;そして、ベンゼン環は1乃至3個の置換基を有していてもよい]。
【0011】
芳香族カルボン酸は、歯科医療における接着剤の接着力強化のための添加剤としても使用されている(特開昭59−70643号公報記載)。歯科医療用接着剤の添加剤として使用される芳香族カルボン酸は、下記式(XI)で表される:
【0012】
【化12】
【0013】
[式中、R3 は、メチルまたは水素原子であり;L2 は、炭素原子数が2乃至4のアルキレン基であり;そして、mは、1、2または3である]。
【0014】
前記式(X)または(XI)で表されるような(メタ)アクリロイルオキシ基を有する芳香族カルボン酸は、高い収率で合成することが難しい。
【0015】
前記のMakromol. Chem.誌、第179巻、273頁(1978年)、同誌、第183巻、2311頁(1982年)には、水酸化ナトリウムを塩基として、p−ヒドロキシ安息香酸とω‐ハロゲノアルキル−1−アルコールとを反応させ、p−(ω−ヒドロキシアルキルオキシ)安息香酸を製造した後、アクリル酸と酸性条件で縮合させて式(X)においてYが酸素原子である化合物を製造する方法が開示されている。しかし、その方法では、p−(ω−ヒドロキシアルキルオキシ)安息香酸の製造過程においてエーテル化とエステル化の選択性が低い。また、ω‐ハロゲノアルキル−1−アルコール(例、2−ブロモエタノール、4−ブロモ−1−ブタノ−ル)の種類によっては、実用的な収率が得られない場合がある。
【0016】
「光を制御する次世代高分子・超分子」、高分子学会編(2000年)、41頁、特開平7−306317号公報、およびMakromol. Chem. 誌、第190巻、2255頁(1989年)には、p−ヒドロキシ安息香酸エチルとω‐ハロゲノアルキルアルコールとを反応させてp−(ω−ヒドロキシアルキルオキシ)安息香酸エチルを製造した後、アルカリ加水分解によりp−(ω−ヒドロキシアルキルオキシ)安息香酸を製造し、塩化アクリロイルあるいは塩化メタクリロイルと反応させる方法が開示されている。しかしながら、この製造法も、用いる塩化アクリロイルあるいは塩化メタクリロイルの催涙性が強く、取り扱いが困難であるとの問題がある。さらに、反応の副生成物として、塩酸付加体が生成する点が問題となる。また、前記と同様に、ω‐ハロゲノアルキルアルコールの種類によっては、実用的な収率の得られない場合がある。
【0017】
特開昭59−70643号公報には、下記式(XII)で表される化合物を、塩基存在下にハロゲン化アクリロイルまたはハロゲン化メタクリロイルと反応させるか、あるいは下記式(XIII)で表される化合物を、アクリル酸またはメタクリル酸のアルカリ金属塩と反応させることにより、下記式(XIV)で表される化合物を得て、次いでこれを酸化することにより前記式(XI)で表される化合物を製造する方法が開示されている:
【0018】
【化13】
【0019】
[式中、L2 は、炭素原子数が2乃至4のアルキレン基であり;mは、1、2または3であり;そして、Aは、メチルまたはホルミルである]
【0020】
【化14】
【0021】
[式中、L2 、mおよびAは、式(XII)と同じ定義を有し;そして、X2 は、ハロゲン原子である]
【0022】
【化15】
【0023】
[式中、L2 、mおよびAは、式(XII)と同じ定義を有し;そして、R3 は、メチルまたは水素原子である]。
【0024】
特開昭59−709643号公報には、L2 がエチレンまたはブチレンであり、Aがホルミルであり、mが1である式(XII)で表される化合物の製造法が参考例として例示されている。しかし、反応経路が長く、それぞれの出発物質となるヒドロキシベンズアルデヒドからの収率が低いことが問題である。また、用いる酸化剤としては、ジョーンズ試薬、過マンガン酸カリウムが例示され、実施例中ではジョーンズ試薬が用いられている。しかしながら、ジョーンズ試薬は実用的な製造になると、環境に適していないことが問題である。また、過マンガン酸カリウムを酸化剤として用いた場合、実際にはアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基の二重結合が開裂し、実用的な収率を得ることが困難である。
【0025】
また、米国特許5087672号明細書には、p−ヒドロキシ安息香酸とω‐ハロゲノアルキルアルコールとを反応させてp−(ω−ヒドロキシアルキルオキシ)安息香酸を得て、さらにアクリル酸と縮合して式(V)においてYが酸素原子である化合物を製造する方法が開示されている。また、p−ヒドロキシベンズアルデヒドとω‐ハロゲノアルキルアルコールとを反応させてp−(ω−ヒドロキシアルキルオキシ)ベンズアルデヒドを得て、次いでアクリル酸と縮合した後に酸化する式(XI)で表される化合物の製造方法も開示されている。同明細書記載の方法では、重合性基に作用しない酸化剤が用いられている。そのような酸化剤としては、過酸(例、過安息香酸、過酢酸、過トリフルオロ酢酸)、過マンガン酸塩、クロム酸、臭素、酸化銀、亜塩素酸ナトリウムが例示されており、リン酸緩衝液中で亜塩素酸ナトリウムを用いる方法が特に好ましいことが開示されている。しかしながら、この製造方法も用いるω‐ハロゲノアルキル−1−アルコールによっては、実用的な収率を得ることが困難である。
【0026】
さらに、WO00/05189号明細書には、p−ヒドロキシベンズアルデヒドと、アクリロイルオキシアルキル−1−クロリドとを反応させて、p−(アクリロイルオキシアルキルオキシ)ベンズアルデヒドを得て、次に上記刊行物と同様にジョーンズ酸化により、前記式(XI)で表される化合物を製造する方法が開示されている。しかし、前述したようにジョーンズ試薬は、実用的な製造になると、環境に適していないことが問題である。
【0027】
さらにまた、ドイツ特許出願19716822A1号明細書には、(メタ)アクリル酸エステルにホスゲンを作用させてクロロホルメートを得て、次にジメチルホルムアミドを触媒として、アクロイルオキシアルキル−1−クロリドに変換する方法が記載されている。しかし、ホスゲンは、毒性があり、系中に一当量の塩酸ガスと炭酸ガスを発生する問題がある。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
従来の芳香族カルボン酸の製造方法では、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する芳香族カルボン酸を高い収率で合成することは難しい。
また、従来の芳香族カルボン酸の製造方法は、いずれも取り出し工程が多く、より効率的な製造方法の実現が望まれている。
【0029】
本発明の目的は、汎用性に富む効率的な方法で、芳香族カルボン酸を製造することである。
また、本発明の目的は、従来の方法では合成が困難であった連結基(式(V)に示されるL)を有する芳香族カルボン酸を製造することでもある。
さらに本発明の目的は、芳香族カルボン酸の製造方法を、芳香族アルデヒドの製造に応用することでもある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(10)の芳香族カルボン酸の製造方法により達成された。
【0031】
(1)式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、スルホニル供与体との反応により、式(II)で表されるスルホン酸エステルを合成する工程;式(II)で表されるスルホン酸エステルと、式(III)で表される芳香族アルデヒドとの反応により、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを合成する工程;そして、酸化剤として亜塩素酸塩を用い、さらに過酸化水素を添加して、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを酸化することにより、式(V)で表される芳香族カルボン酸を合成する工程からなる式(V)で表される芳香族カルボン酸の製造方法:
【0032】
【化16】
【0033】
[式中、Lは、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−、−S−、−CO−、−NH−またはそれらの組み合わせで連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基であり;そして、R1は、水素原子またはメチルである]
【0034】
【化17】
【0035】
[式中、Lは、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−、−S−、−CO−、−NH−またはそれらの組み合わせで連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基であり;R1は、水素原子またはメチルであり;そして、R2は、脂肪族基または芳香族基である]
【0036】
【化18】
【0037】
[式中、Yは、酸素原子または硫黄原子であり;そして、Arは、二価の芳香族基である]
【0038】
【化19】
【0039】
[式中、Lは、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−、−S−、−CO−、−NH−またはそれらの組み合わせで連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基であり;R1は、水素原子またはメチルであり;Yは、酸素原子または硫黄原子であり;そして、Arは、二価の芳香族基である]
【0040】
【化20】
【0041】
[式中、Lは、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−、−S−、−CO−、−NH−またはそれらの組み合わせで連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基であり;R1は、水素原子またはメチルであり;Yは、酸素原子または硫黄原子であり;そして、Arは、二価の芳香族基である]。
【0042】
(2)式(I)、(II)、(IV)および(V)におけるLが、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−または−S−で連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基である(1)に記載の製造方法。
(3)式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを入れた反応容器に、スルホニル供与体、式(III)で表される芳香族アルデヒド、そして酸化剤を順次投入することにより、反応を連続して進行させる(1)に記載の製造方法。
(4)スルホニル供与体が、下記式(VI−a)で表されるハロゲン化スルホニル化合物または下記式(VI−b)で表されるスルホン酸無水物である(1)に記載の製造方法:
【0043】
【化21】
【化22】
【0044】
[式中、Xは、ハロゲン原子であり;そして、R2は、脂肪族基または芳香族基である]。
(5)式(VI−a)および(VI−b)におけるR2が、アルキル基である(4)に記載の製造方法。
(6)式(III)、(IV)および(V)におけるYが、酸素原子である(1)に記載の製造方法。
【0045】
(7)式(III)、(IV)および(V)におけるArが、p−フェニレンまたは置換p−フェニレン基である(1)に記載の製造方法。
(8)亜塩素酸塩を、式(IV)で表される芳香族アルデヒドに対して0.5乃至10当量の範囲で用いる(1)に記載の製造方法。
(9)過酸化水素を、式(IV)で表される芳香族アルデヒドに対して0.5乃至50当量の範囲で添加する(1)に記載の製造方法。
(10)少なくとも一つの工程を重合禁止剤の存在下で実施する(1)に記載の製造方法。
【0047】
【発明の実施の形態】
第一工程では出発物質として、下記式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを使用する。
【0048】
【化23】
【0049】
式(I)において、Lは、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−、−S−、−CO−、−NH−またはそれらの組み合わせ(例、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−O−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−)で連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基である。
本発明は、Lの炭素原子数が2または4である場合に特に有効である。従来の方法では、Lの炭素原子数が2または4であると、式(V)で表される化合物を合成することが非常に困難であった。
【0050】
本明細書において、二価の脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。
アルキレン基は、環状アルキレン基よりも鎖状アルキレン基の方が好ましい。鎖状アルキレン基は、分岐を有していてもよい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換アルキレン基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、芳香族基および−O−Rが含まれる。Rは、脂肪族基または芳香族基である。脂肪族基および芳香族基の定義および例は、後述する。
【0051】
アルケニレン基は、環状アルケニレン基よりも鎖状アルケニレン基の方が好ましい。鎖状アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換アルケニレン基の置換基は、置換アルキレン基の置換基と同様である。
アルキニレン基は、環状アルキニレン基よりも鎖状アルキニレン基の方が好ましい。鎖状アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換アルキニレン基の置換基は、置換アルキレン基の置換基と同様である。
本明細書において、二価の芳香族基は、アリーレン基または置換アリーレン基を意味する。
アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンであることが好ましく、フェニレンであることがさらに好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。
置換アリーレン基のアリーレン部分は、上記アリーレン基と同様である。置換アリーレン基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、脂肪族基、芳香族基および−O−Rが含まれる。Rは、脂肪族基または芳香族基である。脂肪族基および芳香族基の定義および例は、後述する。
【0052】
Lは、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−または−S−で連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2乃至20の二価の連結基であることが好ましく、炭素原子数が2乃至20のアルケニレン基または二個のアルケニレン基を−O−で連結した炭素原子数が2乃至20の二価の連結基であることがさらに好ましく、炭素原子数が2乃至20のアルケニレン基であることが最も好ましい。
式(I)において、R1 は、水素原子またはメチルである。R1 は、水素原子であることが特に好ましい。
【0053】
第1工程では、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルとスルホニル供与体とを反応させる。スルホニル供与体は、脂肪族または芳香族スルホニル基を有する。脂肪族または芳香族スルホニル基は、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの末端水酸基と反応して、スルホン酸エステルを形成できる。
スルホニル供与体としては、下記式(VI−a)で表されるハロゲン化スルホニル化合物または下記式(VI−b)で表されるスルホン酸無水物が好ましく、ハロゲン化スルホニル化合物がさらに好ましい。
【0054】
【化24】
【化25】
【0055】
式(VI−a)において、Xは、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)である。Xは、塩素原子(Cl)であることが特に好ましい。
式(VI−a)および(VI−b)において、R2 は、脂肪族基または芳香族基である。
【0056】
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基を意味する。
アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、芳香族基および−O−Rが含まれる。Rは、脂肪族基または芳香族基である。
【0057】
アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。
置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、置換アルキル基の置換基と同様である。
アルキニル基は、環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましい。鎖状アルキニル基は、分岐を有していてもよい。
置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、置換アルキル基の置換基と同様である。
本明細書において、二価の芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。
アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることがさらに好ましい。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、脂肪族基、芳香族基および−O−Rが含まれる。Rは、脂肪族基または芳香族基である。
【0058】
R2 は、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基または置換アルケニル基であることがより好ましく、アルキル基または置換アルキル基であることがさらに好ましく、アルキル基であることが最も好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至6であることがより好ましく、1乃至4であることがさらに好ましく、1(メチル)または2(エチル)であることがさらにまた好ましく、1(メチル)であることが最も好ましい。
【0059】
第1工程では、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルとスルホニル供与体とを反応させることにより、式(II)で表されるスルホン酸エステルを合成する。
【0060】
【化26】
【0061】
式(II)において、L、R1 およびR2 の定義は、式(I)、(VI−a)および(VI−b)と同様である。
スルホニル供与体が式(VI−a)で表されるハロゲン化スルホニル化合物である場合、第1工程は下記の反応で表される。
【0062】
【化27】
【0063】
上記反応式において、L、X、R1 およびR2 の定義は、式(I)および(VI−a)と同様である。
スルホニル供与体が式(VI−b)で表されるスルホン酸無水物である場合、第1工程は下記の反応で表される。
【0064】
【化28】
【0065】
上記反応式において、L、R1 およびR2 の定義は、式(I)および(VI−b)と同様である。
R2 がトリルである第1工程の反応については、新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応III (丸善、1978年)、1793頁に記載がある。R2 がメチルである第1工程の反応については、同誌、1797頁に記載がある。
第1工程は、有機溶媒中、塩基の存在下で実施することが特に好ましい。
有機溶媒としては、エステル(例、酢酸エチル)、炭化水素(例、トルエン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン)、ニトリル(例、アセトニトリル)あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。エステルおよび炭化水素が好ましく、酢酸エチルおよびトルエンが特に好ましい。
【0066】
塩基としては、無機塩基(例、炭酸カリウム)と有機塩基(例、トリエチルアミン)のいずれも使用できる。有機塩基が好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
スルホニル供与体の使用量は、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに対して0.5乃至3当量の範囲であることが好ましく、0.8乃至1.5当量の範囲であることがさらに好ましい。
第1工程の反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、氷冷下から室温が好ましい。反応時間は、通常10分〜3日間であり、好ましくは1時間から1日間である。
【0067】
第2工程では、第1工程で得られた式(II)で表されるスルホン酸エステルに、式(III)で表される芳香族アルデヒドを反応させる。
【0068】
【化29】
【0069】
式(III)において、Yは、酸素原子または硫黄原子である。酸素原子の方が硫黄原子よりも好ましい。
式(III)において、Arは、二価の芳香族基である。二価の芳香族基の定義および例は、前述した通りである。
Arは、フェニレンまたは置換フェニレン基であることが好ましく、p−フェニレンまたは置換p−フェニレン基であることがさらに好ましい。
二価の芳香族基の置換基は、第2工程または第3工程の反応に対して不活性である基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子)であることが好ましい。
第2工程では、式(II)で表されるスルホン酸エステルに、式(III)で表される芳香族アルデヒドを反応させることにより、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを合成する。
【0070】
【化30】
【0071】
式(IV)において、L、R1 、YおよびArの定義は、式(II)および(III)と同様である。
第2工程は、下記の反応で表される。
【0072】
【化31】
【0073】
上記反応式において、L、R1 、R2 、YおよびArの定義は、式(II)および(III)と同様である。
第2工程は、有機溶媒中、塩基の存在下で実施することが好ましい。
有機溶媒としては、エステル(例、酢酸エチル)、炭化水素(例、トルエン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン)、ニトリル(例、アセトニトリル)あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。エステル、炭化水素、アミドおよびこれらの混合溶媒が好ましく、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合溶媒がさらに好ましい。
【0074】
塩基としては、無機塩基(例、炭酸カリウム)と有機塩基(例、トリエチルアミン)のいずれも使用できる。無機塩基が好ましく、炭酸カリウムが特に好ましい。
式(III)で表される芳香族アルデヒドの使用量は、式(II)で表されるスルホン酸エステルに対して0.5乃至3当量の範囲であることが好ましく、0.8乃至1.5当量の範囲であることがさらに好ましい。
第2工程の反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、好ましくは80℃以上である。反応時間は、通常10分〜3日間であり、好ましくは1時間から1日間である。
【0075】
第3工程では、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを酸化することにより式(V)で表される芳香族カルボン酸を合成する。
【0076】
【化32】
【0077】
式(V)において、L、R1 、YおよびArの定義は、式(II)および(III)と同様である。
第3工程は、下記の反応で表される。
【0078】
【化33】
【0079】
上記反応式において、L、R1 、YおよびArの定義は、式(II)および(III)と同様である。AOは酸化剤であり、Aは酸化剤の還元体(酸化終了後の酸化剤)である。
酸化剤(AO)は、(メタ)アクリロイルオキシ基の二重結合に作用しない化合物を選択して使用することが好ましい。酸化剤の例には、亜塩素酸塩および過ホウ素酸塩が含まれる。亜塩素酸塩が好ましく、亜塩素酸のアルカリ金属塩がさらに好ましく、亜塩素酸ナトリウムが最も好ましい。
【0080】
第3工程の反応は、有機溶媒中で、pHを調整しながら実施することが好ましい。
有機溶媒としては、エステル(例、酢酸エチル)、炭化水素(例、トルエン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン)、ニトリル(例、アセトニトリル)あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。エステル、アミド、ニトリルおよびこれらの混合溶媒が好ましく、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルおよびこれらの混合溶媒がさらに好ましい。
反応pHは、約4に調整することが好ましい。pH調整には、リン酸緩衝液を用いることが好ましい。有機溶媒とリン酸第二水素ナトリウム水溶液との混合液中で、第3工程の反応を実施することが特に好ましい。
酸化剤として亜塩素酸塩を使用する場合、反応系にさらに過酸化水素を添加することが好ましい。亜塩素酸塩と過酸化水素とを併用する場合の第3工程の反応を以下に示す。
【0081】
【化34】
【0082】
上記反応式において、L、R1 、YおよびArの定義は、式(II)および(III)と同様である。Mは、亜塩素酸塩の対イオンである。
過酸化水素は、過酸化水素水として反応系に添加することが好ましい。過酸化水素水の濃度は、0.1乃至50質量%であることが好ましく、3乃至40質量%であることがさらに好ましい。
酸化剤の使用量は、式(IV)で表される芳香族アルデヒドに対して0.5乃至10当量の範囲であることが好ましく、0.8乃至5当量の範囲であることがさらに好ましい。過酸化水素水の使用する場合、その使用量は、式(IV)で表される芳香族アルデヒドに対して0.5乃至50当量の範囲であることが好ましく、3乃至20当量の範囲であることがさらに好ましい。
第3工程の反応温度は、通常−20℃から用いる溶媒の沸点までであり、好ましくは氷冷下から室温の範囲である。反応時間は、通常10分〜3日間であり、好ましくは1時間から1日間である。
【0083】
少なくとも一つの工程は、重合禁止剤の存在下で実施することが好ましい。少なくとも第3工程を重合禁止剤の存在下で実施することがより好ましく、第2工程と第3工程とを重合禁止剤の存在下で実施することがさらに好ましく、全ての工程を重合禁止剤の存在下で実施することが最も好ましい。なお、第1〜第3工程を反応容器内で連続して実施する場合、各工程毎に重合開始剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤の例には、縮合芳香族複素環化合物(例、フェノチアジン)、縮合芳香族炭化水素化合物(例、フルオレン)、ニトロ置換芳香族炭化水素化合物(例、ニトロベンゼン、ニトロフェノール)、ハロゲン置換芳香族炭化水素化合物(例、クロロベンゼン)およびハイドロキノンモノアルキルエーテル(例、ハイドロキノンモノメチルエーテル)が含まれる。ニトロ置換芳香族炭化水素化合物およびハイドロキノンモノアルキルエーテルが好ましく、ニトロベンゼンおよびハイドロキノンモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0084】
第1工程(式(II)で表されるスルホン酸エステルを合成する工程)を実施し、式(II)で表されるスルホン酸エステルを精製することなく使用して第2工程(式(IV)で表される芳香族アルデヒドを合成する)工程を実施し、そして、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを精製することなく使用して第3工程(式(V)で表される芳香族カルボン酸を合成する工程を)実施することが好ましい。「精製することなく使用」とは、晶析、蒸留や活性炭処理のような取り出し工程や精製工程を経ずに反応を連続して実施することを意味する。第1〜第3工程を一貫工程で実施することが好ましい。このように一貫工程で実施すると、芳香族カルボン酸を高収率で製造することができる。
第1工程、第2工程および第3工程は、同一の反応容器内で連続して実施することもできる。すなわち、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを入れた反応容器に、スルホニル供与体(第1工程)、式(III)で表される芳香族アルデヒド(第2工程)、そして酸化剤(第3工程)を順次投入することにより、反応を連続して進行させることができる。
【0085】
【実施例】
[実施例1]
4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の製造
【0086】
【化35】
【0087】
4−アクリロイルオキシブチルアルコール(5.0g)、5.3mLのトリエチルアミンを30mLの酢酸エチルに溶解し、氷冷下において3.77gのメシルクロリドを5mLの酢酸エチルに溶解した液を滴下した。30分間室温で攪拌した後、反応液を0.2N塩酸(20mL)で洗浄した。
次に、4.02gのp−ヒドロキシベンズアルデヒドを40mLのジメチルホルムアミドに溶解した液を添加し、続けて9.58gの炭酸カリウムを添加した。100℃にて2時間攪拌した後、40mLの水で反応液を洗浄した。
さらに、反応液を加熱留去により40mLまで濃縮した後、室温に戻して66mLのアセトニトリル、1.06gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を13.2mLの水に溶解したリン酸緩衝液、および4.2mLの過酸化水素水(35質量%)を添加し、続けて4.16gの亜塩素酸ナトリウムを33mLの水に溶解した水溶液を添加した。5時間室温で攪拌して8時間静置した後、0.1N塩酸90mLを加え、得られた沈殿を集め、4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸を得た。
収量:7.07g
純度:99.2%
収率:81.8%(メシルクロリド(=p−ヒドロキシベンズアルデヒド)を基準)
【0088】
[実施例2]
4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸の製造
【0089】
【化36】
【0090】
2−アクリロイルオキシエチルアルコール(11.61g)、14mLのトリエチルアミンを60mLの酢酸エチルに溶解し、氷冷下において12.60gのメシルクロリドを10mLの酢酸エチルに溶解した液を滴下した。30分間室温で攪拌した後、反応液を0.2N塩酸(50mL)で洗浄した。
次に、12.21gのp−ヒドロキシベンズアルデヒドを100mLのジメチルホルムアミドに溶解した液を添加し、続けて34.50gの炭酸カリウムを添加した。80℃にて4時間攪拌した後、100mLの水で反応液を洗浄した。
さらに、反応液を加熱留去により100mLまで濃縮した後、室温に戻して200mLのアセトニトリル、3.20gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を40.0mLの水に溶解したリン酸緩衝液、および12.5mLの過酸化水素水(35質量%)を添加し、続けて12.60gの亜塩素酸ナトリウムを30mLの水に溶解した水溶液を添加した。6時間室温で攪拌して8時間静置した後、0.1N塩酸20mLを加え、得られた沈殿を集め、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸を得た。
収量:20.50g
純度:98.7%
収率:78.9%(メシルクロリドを基準)
【0091】
[実施例3]
4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸の製造
【0092】
【化37】
【0093】
6−アクリロイルオキシヘキシルアルコール(8.60g)、8.35mLのトリエチルアミンを30mLの酢酸エチルに溶解し、氷冷下において6.30gのメシルクロリドを10mLの酢酸エチルに溶解した液を滴下した。1時間室温で攪拌した後、反応液を0.2N塩酸(25mL)で洗浄した。
次に、6.11gのp−ヒドロキシベンズアルデヒドを50mLのジメチルホルムアミドに溶解した液を添加し、続けて13.80gの炭酸カリウムを添加した。100℃にて4時間攪拌した後、50mLの水で反応液を洗浄した。
さらに、反応液を加熱留去により50mLまで濃縮した後、室温に戻して100mLのアセトニトリル、1.60gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を20.0mLの水に溶解したリン酸緩衝液、および6.25mLの過酸化水素水(35質量%)を添加し、続けて6.30gの亜塩素酸ナトリウムを10mLの水に溶解した水溶液を添加した。6時間室温で攪拌して8時間静置した後、0.1N塩酸10mLを加え、得られた沈殿を集め、4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸を得た。
収量:13.40g
純度:98.5%
収率:83.3%(メシルクロリドを基準)
【0094】
[実施例4]
4−(2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルオキシ)安息香酸の製造
【0095】
【化38】
【0096】
2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルアルコール(16.01g)、14mLのトリエチルアミンを60mLの酢酸エチルに溶解し、氷冷下において12.60gのメシルクロリドを10mLの酢酸エチルに溶解した液を滴下した。30分間室温で攪拌した後、反応液を0.2N塩酸(50mL)で洗浄した。
次に、12.21gのp−ヒドロキシベンズアルデヒドを100mLのジメチルホルムアミドに溶解した液を添加し、続けて34.50gの炭酸カリウムを添加した。80℃にて4時間攪拌した後、100mLの水で反応液を洗浄した。
さらに、反応液を加熱留去により100mLまで濃縮した後、室温に戻して200mLのアセトニトリル、3.20gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を40.0mLの水に溶解したリン酸緩衝液、および25.0mLの過酸化水素水(35質量%)を添加し、続けて12.60gの亜塩素酸ナトリウムを30mLの水に溶解した水溶液を添加した。6時間室温で攪拌して8時間静置した後、減圧下において反応液を100mLまで濃縮し、0.1N塩酸50mLを加え、得られた沈殿を集め、4−(2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルオキシ)安息香酸を得た。
収量:23.55g
純度:96.4%
収率:76.4%(メシルクロリドを基準)
【0097】
[実施例5]
4−(4−メタクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の製造
【0098】
【化39】
【0099】
4−メタクリロイルオキシブチルアルコール(15.82g)、14mLのトリエチルアミンを60mLの酢酸エチルに溶解し、氷冷下において12.60gのメシルクロリドを10mLの酢酸エチルに溶解した液を滴下した。30分間室温で攪拌した後、反応液を0.2N塩酸(50mL)で洗浄した。
次に、12.21gのp−ヒドロキシベンズアルデヒドを100mLのジメチルホルムアミドに溶解した液を添加し、続けて34.50gの炭酸カリウムを添加した。80℃にて8時間攪拌した後、100mLの水で反応液を洗浄した。
さらに、反応液を加熱留去により100mLまで濃縮した後、室温に戻して200mLのアセトニトリル、3.20gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を40.0mLの水に溶解したリン酸緩衝液、および12.5mLの過酸化水素水(35質量%)を添加し、続けて12.60gの亜塩素酸ナトリウムを30mLの水に溶解した水溶液を添加した。6時間室温で攪拌して8時間静置した後、0.1N塩酸50mLを加え、得られた沈殿を集め、4−(4−メタクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸を得た。
収量:25.87g
純度:98.9%
収率:84.5%(メシルクロリドを基準)
【0100】
[実施例6]
4−(3−メタクリロイルオキシプロピルオキシ)安息香酸の製造
【0101】
【化40】
【0102】
実施例5における4−メタクリロイルオキシブチルアルコール(15.82g)を3−メタクリロイルオキシプロピルアルコール(14.42g)に変更した以外は、実施例5と同様にして4−(3−メタクリロイルオキシプロピルオキシ)安息香酸を得た。
純度:98.2%
収率:82.8%(メシルクロリドを基準)
【0103】
[実施例7]
3−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の製造
【0104】
【化41】
【0105】
実施例1におけるp−ヒドロキシベンズアルデヒドをm−ヒドロキシベンズアルデヒドに変更した以外は、実施例1と同様にして3−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸を得た。
純度:97.6%
収率:82.3%(メシルクロリドを基準)
【0106】
[実施例8]
4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)−3−メトキシ安息香酸の製造
【0107】
【化42】
【0108】
4−アクリロイルオキシブチルアルコール(14.42g)、0.12gのニトロベンゼン、14mLのトリエチルアミンを60mLの酢酸エチルに溶解し、氷冷下において12.60gのメシルクロリドを10mLの酢酸エチルに溶解した液を滴下した。1時間室温で攪拌した後、反応液を0.2N塩酸(50mL)で洗浄した。
次に、15.22gのバニリンを100mLのジメチルホルムアミドに溶解した液を添加し、続けて34.50gの炭酸カリウムを添加した。80℃にて4時間攪拌した後、100mLの水で反応液を洗浄した。
さらに、反応液を加熱留去により100mLまで濃縮した後、室温に戻して200mLのアセトニトリル、3.20gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を40.0mLの水に溶解したリン酸緩衝液、および12.5mLの過酸化水素水(35質量%)を添加し、続けて12.60gの亜塩素酸ナトリウムを30mLの水に溶解した水溶液を添加した。6時間室温で攪拌して8時間静置した後、0.1N塩酸20mLを加え、得られた沈殿を集め、4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)−3−メトキシ安息香酸を得た。
収量:23.64g
純度:97.8%
収率:73.0%(メシルクロリドを基準)
【0109】
[実施例9]
4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)−3−メチル安息香酸の製造
【0110】
【化43】
【0111】
実施例8における15.22gのバニリンを、13.62gの4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒドに変更した以外は、実施例1と同様にして4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)−3−メチル安息香酸を得た。
純度:97.9%
収率:76.2%(メシルクロリドを基準)
【0112】
[比較例1]
4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸の製造
特開昭59−70643号公報に記載の方法に従って、4−(4−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸を得た。
収率:31.2%(p−ヒドロキシベンズアルデヒドを基準)
【0113】
[比較例2]
4−(4−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸の製造
特開昭59−70643号公報に記載の方法に従って、4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸を得た。
収率:29.8%(p−ヒドロキシベンズアルデヒドを基準)
【0114】
[比較例3]
4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ベンズアルデヒドの製造
米国特許5087672号明細書に記載の方法に従って、4−クロロ−1−ブタノ−ルとp−ヒドロキシベンズアルデヒドを出発物質とし、4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の中間体となる4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ベンズアルデヒドを得た。
収率:11.7%(p−ヒドロキシベンズアルデヒドを基準)
【0115】
[実施例10]
4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の製造工程
4−アクリロイルオキシブチルアルコール130Kg、ニトロベンゼン0.54Kgおよび酢酸エチル765リットルを反応釜に投入した後、トリエチルアミン114Kgを加えた。0℃においてメタンスルホニルクロリド110Kgを滴下し、その後に4℃で1時間攪拌した。反応終了後、水630リットルを導入し、分液を行った。
一方、p−ヒドロキシベンズアルデヒド99Kg、炭酸カリウム94Kg、ニトロベンゼン0.54Kgおよびジメチルホルムアミド500リットルを別の反応釜に投入して溶液を得た。次いで上記の反応釜の反応液を加えた。温度90℃に昇温し、5時間攪拌した。冷却後、水1080リットルを投入して分液した。有機相を水720リットルで洗浄した。25℃において一夜放置した後、分液した。ハイドロキノンモノメチルエーテル0.54Kgおよびアセトニトリル480リットルを投入し、攪拌した。続けて、水540リットル、9.1質量%リン酸一ナトリウム水溶液275リットル、30質量%過酸化水素水184Kgを順に投入した、25質量%亜塩素酸ナトリウム水溶液380Kgを滴下し、続けて4時間攪拌した。反応終了後、20℃で水1800リットルを投入した。遠心濾過により4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の粗体を白色結晶として分離した。
【0116】
4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の精製工程
アセトニトリル1300リットル、水172リットルおよび濃硫酸4Kgを反応槽に投入した後、得られた4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸の粗体を投入し、70℃にて溶解した。防塵濾過の後に晶析し、得られた白色結晶を遠心濾過で分離し、乾燥して、131Kg(得率:61%)の4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸を得た。
【0117】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、公知の方法では収率の低かった重合性の安息香酸誘導体を容易に製造することができる。特に、従来の方法では合成の難しかった、式(V)においてLで表わされる二価の連結基が炭素数2、あるいは炭素数4である化合物を合成するときに特に有用である。また、得られる化合物の純度、収率が非常に高い。
Claims (10)
- 式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、スルホニル供与体との反応により、式(II)で表されるスルホン酸エステルを合成する工程;式(II)で表されるスルホン酸エステルと、式(III)で表される芳香族アルデヒドとの反応により、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを合成する工程;そして、酸化剤として亜塩素酸塩を用い、さらに過酸化水素を添加して、式(IV)で表される芳香族アルデヒドを酸化することにより、式(V)で表される芳香族カルボン酸を合成する工程からなる式(V)で表される芳香族カルボン酸の製造方法:
- 式(I)、(II)、(IV)および(V)におけるLが、二価の脂肪族基および複数の二価の脂肪族基を−O−または−S−で連結した基からなる群より選ばれる炭素原子数が2または4の二価の連結基である請求項1に記載の製造方法。
- 式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを入れた反応容器に、スルホニル供与体、式(III)で表される芳香族アルデヒド、そして酸化剤を順次投入することにより、反応を連続して進行させる請求項1に記載の製造方法。
- 式(VI−a)および(VI−b)におけるR2が、アルキル基である請求項4に記載の製造方法。
- 式(III)、(IV)および(V)におけるYが、酸素原子である請求項1に記載の製造方法。
- 式(III)、(IV)および(V)におけるArが、p−フェニレンまたは置換p−フェニレン基である請求項1に記載の製造方法。
- 亜塩素酸塩を、式(IV)で表される芳香族アルデヒドに対して0.5乃至10当量の範囲で用いる請求項1に記載の製造方法。
- 過酸化水素を、式(IV)で表される芳香族アルデヒドに対して0.5乃至50当量の範囲で添加する請求項1に記載の製造方法。
- 少なくとも一つの工程を重合禁止剤の存在下で実施する請求項1に記載の製造方法。
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