JP4397523B2 - シゲラ様トキシンのエピトープならびにワクチンとしてのおよび診断におけるその使用 - Google Patents

シゲラ様トキシンのエピトープならびにワクチンとしてのおよび診断におけるその使用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シゲラ様トキシン(シゲラ様毒素)(Shigella-like toxins : SLT)、特に大腸菌(E. coli)O157:H7のシゲラ様トキシンの免疫原性エピトープ、免疫原としてのおよび治療または診断におけるその使用、それらを特異的に中和する薬剤(作用物質)(例えば、抗体および抗原結合性フラグメント)、治療および診断におけるそれらの使用、ならびにそのための方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
シゲラ様トキシン〔志賀様(Shiga-like)トキシンおよびベロトキシンとしても知られている〕は、周知であり(Schmitt, C.K.他、1991, Infection and Immunity, 59(13) : 1065-1073)、大腸菌O157:H7を含む広範囲の病原体によって産生され、感染すると血液性の下痢および急性の腎臓不全を引き起こし、多くの患者(特に若年者や老人)を死に至らしめる。発生は、散発的ではあるが、規模が大きく医療関係機関に多くの負担を与えることになる(Berkelman, R.L.他、1994, Science, 264 : 368-370 ; Slutsker, L.他、1997, Ann. Intern. Med., 126 : 505-513)米国だけでも、1年間に推定で20,000例の大腸菌O157:H7の感染が起こっている。感染は、汚染された食品(特にハンバーガーのような粉砕ビーフ製品)を消費し、そして、子供の保育施設における個人間接触によって起こることが多い。感染発生は、この他、スコットランドおよび日本(1996, BMJ, 313 : 1424)北西太平洋地域(Antibiotic-Resistant Bacteria, Office of Technology Assessment, Congress of the United States, pp 150-151)ならびにカナダ(Slutsker, L. 他、1997, Ann. Intern. Med, 126 : 506-513)からも報告されているが、発生はこれらの地域に限定されるものではない。
【0003】
感染性病原体の多くは後天的な多重薬剤耐性を有し、そして、抗生物質治療によってバクテリアがシゲラ様トキシンの産生を増大させ得るようになることが見出されている(Antibiotic-Resistant Bacteria, 上述)。シゲラ様トキシンを発現する病原体に対する新しい治療法の必要性が長年にわたって論じられている(例えば、上述のAntibiotic-Resistant Bacteria参照)。大腸菌O157:H7のシゲラ様トキシンに対して特異的な抗体は治療効果があるだろうということは示唆されている(Antibiotic-Resistant Bacteria,上述)が、今日まで抗体が治療に用いられたことはない。
【0004】
各種のシゲラ様トキシンがクローニングされ配列決定が行われている(Meyer, T. 他、1992, Zbl. Bakt., 276 : 176-188, Schmitt, C.K. 他、1991, Infection and Immunity, 59(3) : 1065-1073, Ramotar, K. 他、1995, J. Clin. Microbiol., 33(3) : 519-524)。しかし、該トキシンの免疫原性領域、特に、特異的エピトープは明らかにされていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このたび本発明者は、大腸菌のシゲラ様トキシン由来の多数のエピトープ、特に、大腸菌O157:H7のエピトープを明らかにすることに成功した。該エピトープは広範囲の用途を有する。例えば、ワクチンのような免疫原として治療に使用することができ、あるいは、該エピトープに特異的に結合する作用物質(例えば、抗体)を検出して診断を行うこともできる。さらに、該トキシンを中和する中和薬剤(例えば抗体)を産生するのに用いることもできる。該エピトープに結合する作用物質は治療および診断の両方に使用することができる。
【0006】
本発明に従えば、SEQ ID NO(配列番号)1〜7から成る群のいずれか1つから選択される配列を有するシゲラ様トキシンのエピトープが提供される。該エピトープは、SEQ ID NO : 1および3のいずれかから選択される配列を有するものとすることもできる。さらに、本発明のエピトープは、シゲラ様トキシンを含むペプチドとして表すこともできる。
【0007】
SEQ ID NO:1〜7のエピトープは、これまで確認(同定)されたことも無ければ示唆されたことも無いものである。各種のSLT(シゲラ様トキシン)の配列が知られてはいるが、特定のエピトープは明らかにされていない。
【0008】
さらに、本発明のエピトープは、該エピトープのアナログ(類縁体)を包含するものとする。アナログは、例えばミモトープの形態で容易に作製することができ(Geysen, H.M. 他、1987, Journal of Immunological Methods, 102 : 259-274 ; Geysen, H.M. 他、1988, J. Mol. Recognit, 1(1) : 32-41 ; Jung, G.およびBeck-Sickinger, A.G., 1992, Angew. Chem. Int. Ed. Eng., 31 : 367-486)、これには商業的に利用できるミモトープ設計技術を用いればよい。
【0009】
シゲラ様トキシンは、例えば大腸菌由来のものであり、そして、例えば、O157:H7、O157:HおよびO26:H11から成る群より選ばれる大腸菌O157由来のものである。別の態様として、シゲラ様トキシンは、例えば、シゲラ・ソンネイ(Shigella sonnei)、シゲラ・ボイディ(Shigella boydii)、シゲラ・フレキシネリー(Shigella flexneri)およびシゲラ・ディゼンテリエ(Shigella dysenteriae)から成る群より選ばれるものである。
【0010】
本発明に従うエピトープは、ヒトまたは動物の身体の治療法または診断法に用いることができる。
【0011】
本発明に従うエピトープは、例えば、免疫源(例えばワクチン)として使用することができる。
【0012】
本発明に従えば、さらに、本発明に従うエピトープに対して特異的な結合剤(結合性薬剤)が提供される。そのような結合剤には、本発明に従うエピトープを認識する能力を有するいずれの分子も包含される。例えば、結合剤は、抗体またはその抗原結合性フラグメント(断片)である。
【0013】
抗体についてはよく知られている(Harlow, E.およびLane, D., "Antibodies-A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Press, New York, 1988参照)。本発明に従う抗体は、全抗体であってもよく、あるいはその抗原結合性フラグメントであってもよく、そして、一般に、いずれの免疫グロブリンクラスに属するものでもよい。すなわち、例えば、IgMまたはIgG抗体である。抗体またはそのフラグメントは、動物性、例えば哺乳動物由来のものでもよく、例えば、マウス、ラット、ヒツジまたはヒト由来のものである。また、抗体は、天然の抗体またはそのフラグメントでもよいが、所望に応じて、組換えによる抗体フラグメント、すなわち、組換えDNA技術を用いて産生された抗体または抗体フラグメントであってもよい。
【0014】
組換えによる抗体または抗体フラグメントとして特に挙げると以下のようなものがある:(1)抗原結合性部位を有する抗体であって、少なくともその一部が別異の抗体に由来するもの、例えば、或る抗体の超可変領域または相補性決定領域が第2の別異の抗体の可変フレームワーク領域に結合された抗体(例えば、ヨーロッパ特許明細書第239400号に記載されているもの);(2)非Fv配列が他の別異の抗体由来の非Fv配列により置換された組換え抗体またはフラグメント(例えば、ヨーロッパ特許明細書第171469、173494および194276号に記載されているもの);または(3)実質的に天然のイムノグロブリンの構造を保有している組換え抗体またはフラグメントであって、ヒンジ領域のシステイン残基の数が天然のイムノグロブリンとは異なり、該組換え抗体またはフラグメントの表面ポケットの1個またはそれ以上のシステイン残基が天然のイムノグロブリン中に存在する他のアミノ酸残基と置換しているもの(例えば、国際特許出願PCT/GB88/00730およびPCT/GB88/00729に記載されているもの)。
【0015】
抗体または抗体フラグメントは、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれでもよい。それらは、少なくとも1つのエピトープに特異的なものである。
【0016】
抗原結合性の抗体フラグメントとしては、例えば、全抗体のタンパク質加水分解に由来するフラグメント、例えば、F(ab')2、Fab'もしくはFabフラグメント、または組換えDNA技術によって得られたフラグメント(例えば、国際特許出願PCT/GB88/0747に記載されているもの)が挙げられる。
【0017】
本発明に従う抗体は、周知の免疫学的手法により調製することができる。すなわち、例えば、タンパク質を適当な宿主(ホスト)に注入し、その血清を集めて、適当な精製および/または濃縮(例えば、アフィニティ媒体として固定化タンパク質を用いるアフィニティクロマトグラフィ)を行うことにより所望のポリクローナル抗体を得ることができる。別の方法として、例えば、Kohler他の方法(1976, Eur. J. Immunol., 6 : 511)の方法を用いて、タンパク質が感染した宿主から脾細胞またはリンパ球を回収し不死化させ、得られた細胞を集めてモノクローナル抗体を産生する単一の遺伝学的細胞系を得るようにしてもよい。抗体フラグメントは、従来の手法、例えば、ペプシンやパパインを用いる酵素分解によって得ることができる。本発明に従う組換え抗体を得ることが所望される場合には、該抗体は、例えば、ヨーロッパ特許出願第171469号、173494号、194276号および239400号明細書に記載されている方法を用いて得ることができる。
【0018】
本発明に従う抗体には、従来から知られた手法を用いて、検出可能なラベルで標識したり、または、エフェクター分子、例えば、薬剤(例えば、抗菌剤)、トキシンまたは酵素と結合(複合化)してもよく、本発明は、そのような標識化抗体または抗体複合体も含むものとする。すなわち、本発明に従う結合剤は、シゲラ様トキシンに結合するのみでなく、該トキシンの中和も行う(すなわち、その細胞毒性を抑制する)ものである。
【0019】
かくして、本発明に従う結合剤は、ヒトまたは動物の身体の治療法および診断法に用いることができる。
【0020】
本発明に従えば、さらに、シゲラ様トキシンに起因する疾病を治療するための薬剤の製造に、本発明に従うエピトープまたは結合剤を使用する。さらに、シゲラ様トキシンに起因する疾病の治療用薬剤の製造方法であって、本発明に従うエピトープまたは結合剤を使用することを含む方法が提供される。
【0021】
このように、本発明は、治療又は診断に使用され得るシゲラ様トキシンのエピトープ、ならびに該エピトープに由来する結合剤であって、それ自身も診断または治療のいずれにも使用することができる結合剤を提供する。
【0022】
さらに、本発明に従えば、本発明に従うエピトープを示すシゲラ様トキシンの診断試験方法であって、
i)本発明に従う結合剤をサンプルと反応させる工程;
ii)結合剤−エピトープ結合反応を検出する工程;および
iii)該結合反応の検出をシゲラ様トキシンの存在と相関させる工程、
を含む方法が提供される。
【0023】
結合剤は例えば抗体であり、診断試験方法として、
i)本発明に従う抗体をサンプルと反応させる工程;
ii)抗体−抗原結合反応を検出する工程;および
iii)該結合反応の検出をシゲラ様トキシンの存在と相関させる工程、
を含む方法が提供される。
【0024】
結合剤が抗体またはその抗原結合性フラグメントである場合は、エピトープは抗原とみなすことができる。
【0025】
さらに、シゲラ様トキシンに対して特異的な抗体の診断試験方法であって、
i)本発明に従うエピトープをサンプルと反応させる工程;
ii)抗体−抗原結合反応を検出する工程;および
iii)該抗体−抗原結合反応の検出をシゲラ様トキシンに対して特異的な抗体の存在と相関させる工程、
を含む方法が提供される。
【0026】
サンプルは例えば患者由来のものであり、例えば血清サンプルまたは腹腔透析液であるが、シゲラ様トキシンを含有しまたは含有すると予測される他のいずれのサンプルも勿論使用され得る。
【0027】
さらに、本発明の別の側面に従えば、本発明に従う診断試験方法を実施するための診断試験キットも提供される。診断試験キットはよく知られており、例えば、WO88/08534に従うようなディップスティックを含んでいてもよい。該試験キットには、本発明に従う診断試験方法に用いられる説明書が含まれるようにしてもよい。
【0028】
本発明に従えば、さらに、ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法であって、本発明に従うエピトープまたは結合剤を使用することを含む方法が提供される。
【0029】
本発明に従う薬剤および治療方法は当業者に明らかな手法によって実施される。例えば、薬剤上許容される担体(キャリア)、稀釈剤または賦形剤を用いて薬剤を調製することができる(Remington's Pharmaceutical Sciences and US Pharmacopeia (1984) Mack Publishing Company, Easton, PA, USA参照)。薬剤および治療の実施に当たっては、製薬学的に有効量のエピトープまたは結合剤を使用する。適正な用量は当業者には明らかであり、例えば用量−反応実験により容易に決定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに明らかにするため、以下に本発明に従うエピトープおよびそれらを含むペプチドについて説明するが、これは単なる例示のためのものである。
【0031】
【実施例】
大腸菌O157:H7(1996, MBJ, 313 : 1424)感染したいろいろな患者から感染段階の異なる血清を入手した。この血清についてエピトープマッピングを行い(下記)、比較を行うことにより、大腸菌により発現されたSLTのサブユニットAについて誘導されたアミノ酸配列(Verotoxin, Meyer, T. 他、1992, Zbl. Bakt., 276 : 176-188)に含まれるエピトープを明らかにした。
エピトープマッピング
上記の誘導アミノ酸配列に含まれ互いにオーバーラップする一連のノナペプチドを合成した。合成は、以前にGeysenらにより報告された手法(1987, Journal of Immunological Methods, 102 : 259-274)に従い、エピトープスキャンニングキット(米国CambridgeのCambridge Research biochemicals社製)の試薬を用いてポリウレタンピン上で行った。ペプチド1(ウエル1)は残基1から9で構成され(SEQ ID NO : 8)、ペプチド2(ウエル2)は残基2から10で構成され(SEQ ID NO : 9)、その他も同様にした。これを、大腸菌O157由来のベロトキシンについて実施した。患者血清(1000倍稀釈)に対する各クローンの反応性をELISAによりIgGについて測定した。データは、インキュベーションから30分後のA405として表した。
【0032】
3人の患者から、感染の初期段階(感染から3日)および感染の後期段階(感染後6週)における血清対を入手した。各ウエルに関し、3人の患者の結果を合計することにより初期血清および後期血清の双方について平均値を算出した。初期血清の結果から後期血清の結果を差し引いた。少なくとも3つの連続するウエルが陽性(少なくとも0.19)である領域をエピトープが形成しているものとみなした。次に、感染により後に死亡した患者由来の単一の血清(感染から3日目に採取)についても調べた。得られた値を、上述の生存患者の初期血清の平均値から差し引いた。少なくとも3つの連続するウエルが陽性(少なくとも0.19)である領域をエピトープが形成しているものとみなした。
【0033】
この結果、7種類のエピトープ(それぞれ、SEQ ID NO : 1〜7)が明らかにされた。この7種類のエピトープは、上述の基準の少なくとも一方を満たした。エピトープ1および3は、該基準の両方を満たした(表1参照)。
【0034】
【表1】
Figure 0004397523
互いにオーバーラップする既述したのと同じ一連のノナペプチドを用いて以下のように更にエピトープマッピングを行った。
患者の血清の採集
HUS(溶血性尿毒症候群)に罹っていることが確認された患者から6つの血清を入手した。また、大便サンプルから大腸菌O157が分離されたがHUSまでには進行していない患者から3つの血清を入手し、さらに、陰性コントロールとして白血病患者から1つの血清を入手した。すべての血清についてIgGを測定した。
結果
HUS患者由来の6つの血清および便サンプル陽性の患者由来の3つの血清について平均吸光度値を加え、そして陰性コントロールを差し引き、連続した3つ以上のウエルにおいてカットオフが0.5よりも大きい吸光度を有した場合にエピトープが形成されているものとした。この基準により合計で7種類のエピトープが明らかにされた。それらが生じたエピトープおよびペプチドの番号は表4に記している。Bサブユニットにおいては、エピトープは示されなかった。
【0035】
更に追加の実験を以下のように行った。
【0036】
材料および方法
マルチプルペプチド合成装置BT7400(英国LutonのBiotech Instruments社製)により短鎖ペプチドとして5種類の領域を合成した。これを間接ELISAに用いた。ペプチドの番号とアミノ酸配列の関係は、ペプチド1〜5が、それぞれSEQ ID NO : 10〜14である。ペプチド1は、SEQ ID NO : 2のエピトープを有する。ペプチド2は、SEQ ID NO : 3のエピトープを有する。ペプチド3は、SEQ ID NO : 4のエピトープを有する。ペプチド4および5は、SEQ ID NO : 5のエピトープを有する。
【0037】
臨床歴の異なる25の血清、すなわち、大腸菌感染が認められない患者由来の3つの血清、溶血性尿毒症候群と診断されて入院し培養便が大腸菌O157に関して陽性であった患者由来の20の血清、および、大腸菌O157関連疾病から回復した患者から4週間後に採集した2つの血清について試験した。対をなす血清については、それぞれ、1と2および3と4と番号をつけた。コントロール血清は23〜25と番号をつけた(表2参照)。
間接ELISA
マイクロタイタープレートにペプチドを吸着させ、各ペプチドについて次のような操作を行った。ペプチドを0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.2)の2mlに溶かし、同じ緩衝液中で100倍稀釈して10μg/mlの濃度にした。
(1)ペプチド(0.01MのPBS中10μg/ml)のアリコート150μlをFalcon3912マイクロアッセイプレートのウエルにピペットで注入し4℃で1晩インキュベートした。
(2)0.01MのPBS(pH7.2)に溶かした0.05%Tweenを用いて4回(4×10分)洗浄することにより非結合ペプチドを除去した。
(3)0.01MのPBSに溶かした2%スキムミルク‐10%FCSを用いて37℃で1時間、プレートのブロッキングを行った。
(4)0.01MのPBSに溶かした0.05%のTween20を用いて4回(4×10分)プレートを洗浄し、マイクロアッセイプレートのウエル内に被検血清(ブロッキング溶液中で100倍稀釈)を添加し(各血清について3個のウエルを使用)、37℃で2時間インキュベートした。
(5)0.01MのPBSに溶かした0.05%のTween20を用いてプレートを4回(4×10分)洗浄し、二次抗体として抗ヒトIgM(またはIgG)ペルオキシダーゼ複合体(ブロッキング溶液中で1000倍稀釈)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。
(6)0.01MのPBSに溶かした0.05%のTween20を用いてプレートを4回(4×10分)洗浄した後、0.001MのPBSを用いて更に洗浄を行った。次に、0.01%(w/v)の過酸化水素を含むpH4.0のクエン酸緩衝液に溶かした調製直後の2,2−アジノ−ビス[3−エチルベンズ−チアゾリン−6−スルホン酸]ジアンモニウム(ABTSタブレット)の0.5mg/ml中で室温下に攪拌しながらプレートを45分間インキュベートした。
(7)各プレートにコントロール用ウエルを使用した。ABTS溶液のみを有する3つのウエル、および、ABTS溶液+抗ヒトIgGまたはIgMセイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体を有する3つのウエルを使用した。
(8)ELISAプレートリーダー(Titertek-Multiscan)を用い405nmの波長における光学密度(OD)測定を行った。
(9)患者血清毎に3つのウエルのそれぞれについて平均示度を求めた。
結果
結果を表2にまとめている。カットオフODをIgMについては0.2およびIgGについては0.3とすると、ペプチド4が最も免疫反応性が大きかった。但し、コントロール血清の1つがIgMについて陽性であった。カットオフODが0.25(IgM)および0.35(IgG)に上昇するとペプチド5が最も免疫反応性であった(表3参照)。
【0038】
カットオフの感度を高くし、そして、IgMおよび/またはIgGが陽性であれば血清は陽性であると定義すると、ペプチド1は症例において、ペプチド2は6症例において、ペプチド3は12症例において、ペプチド4は16症例において、そしてペプチド5は9症例において陽性であった。症例6,7および15由来の血清は、5種類のペプチドのいずれについても陰性であった。症例1由来の血清対は、ペプチド1,3,4および5に対してはIgMの上昇が示されたが、IgGのレベルは一定のままであった。症例2由来の血清対は、ペプチド1,2,3および4に対してIgMの上昇、およびペプチド2および3に対してIgGの上昇を示した。
【0039】
結論
大腸菌O157のトキシン由来のペプチドに対する抗体を作製し、これを用いてエピトープマッピングの結果を確認し、また、分子内のこれらの領域が抗体治療の標的となり得ることを確認した。ペプチド4および5は同じエピトープ(SEQ ID NO : 5)を含有したが、ペプチド4においては、これは大腸菌由来の相応する配列に結合され、一方、ペプチド5においては、これはシゲラ・ディゼンテリエ(Shigella dysenteriae)のホロトキシン(Fraser他、Nature Structural Biology, 1(1) : 59-64)由来のもとの等価であった。シゲラ・ディゼンテリエ由来の配列に対する免疫原性が低くなっていることは、大腸菌O157由来のエピトープに対する反応の特異性を明らかにするものである。
【0040】
【表2】
Figure 0004397523
【0041】
【表3】
Figure 0004397523
【0042】
【表4】
Figure 0004397523

Claims (9)

  1. SEQ ID NO:1〜7またはSEQ ID NO:10〜14から成る群のいずれか1つより選ばれる配列からなるペプチド。
  2. ヒトまたは動物の身体を診断する方法に使用される、請求項1記載のペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドに対して特異な抗体またはその抗原結合性フラグメント。
  4. ヒトまたは動物の身体を診断する方法に使用される、請求項記載の抗体またはその抗原結合性フラグメント。
  5. 請求項1記載のペプチドを示すシゲラ様トキシンの診断試験方法であって、
    i) 請求項記載の抗体またはその抗原結合性フラグメントをサンプルと反応させる工程;
    ii) 該抗体または抗原結合性フラグメントと該ペプチドの結合反応を検出する工程;および
    iii)該結合反応の検出をシゲラ様トキシンの存在と相関させる工程、を含む方法。
  6. シゲラ様トキシンに対して特異的な抗体の診断試験方法であって、
    i)請求項1記載のペプチドをサンプルと反応させる工程;
    ii)抗体−抗原結合反応を検出する工程;および
    iii)該抗体−抗原結合反応の検出をシゲラ様トキシンに対して特異的な抗体の存在と相関させる工程、を含む方法。
  7. サンプルが患者由来のサンプルである、請求項または記載の診断試験方法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の診断試験方法を実施するための診断試験キット。
  9. 請求項1記載のペプチドまたは請求項3記載の抗体もしくはその抗原結合性フラグメント結合剤を使用することを含む、生体外[ex vivo]でシゲラ様トキシンを検出する方法。
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