JP4397202B2 - 軽量気泡コンクリートパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
と石灰質原料およびアルミニウム粉末を主原料とする水性原料スラリーを流し込み、この水性原料スラリーを半硬化状態として脱型させた半硬化体を、前記複数枚の補強鉄筋に対応して切断した後、これをオートクレーブ養生させる方法が従来からとられている。
なかでも前記補強鉄筋を型枠内に水平に配置することからなるいわゆる水平切断方式(例えば、特許文献1参照)が、大型のパネルを製造できるという利点を有することから、主に採用されている。
この問題は、型枠内に流し込こまれた水性原料スラリー内における温度分布に起因して発生する。
通常、水性原料スラリーが水和反応により半硬化状態となるときは、その内部温度が80〜90℃まで上昇する。
ところが、実際に型枠内に流し込まれた水性原料スラリーは、型枠内壁面付近から離れたスラリー(以下、スラリー内部という。)の温度が80〜90℃まで上昇する一方で、型枠内壁面付近のスラリー(以下、スラリー外周部という。)では型枠を介して外気(温度:5〜45℃)に接して熱が放散してしまうため、その温度が約60℃までしか上昇しない。
その結果、スラリー内部(半硬化体内部)に比べてスラリー外周部(半硬化体外周部)の温度が低い半硬化体が形成される。
すなわち、半硬化体内部はトバモライト生成に必要な温度(約180℃)まで上昇するが、もともと温度が低い半硬化体外周部ではトバモライト生成に必要な温度まで上昇しない。
このため、半硬化体内部に比べて半硬化体外周部では、少量のトバモライトしか生成されない軽量気泡コンクリートが製造されるようになる。
オートクレーブ養生では、通常、真空減圧を行った後、高温高圧の水蒸気を送り込んで養生している。
これは、真空減圧を行うと、その気圧減少に伴って沸点が下がる。そして、温度の高い半硬化体内部の気泡内で水分が沸騰し始め、その圧力により半硬化体内部の気泡内の空気や水素ガスが追い出され、気泡内は水蒸気で満たされる。
即ち、空気や水素ガスは水蒸気に比べて熱伝導が小さいため、半硬化体外周部の気泡内は、半硬化体内部の気泡内と比べて、熱が伝わり難くなる。
このため、高温高圧の蒸気を送り込んでオートクレーブ釜内の温度を180℃まで上昇させても、半硬化体内部はオートクレーブ釜内の温度に追随して上昇して180℃になるが、半硬化体外周部では温度上昇が遅れて180℃までに達しない。
この結果として、半硬化体外周部はトバモライト生成に必要な温度まで上昇しないため、十分な量のトバモライトが生成されない軽量気泡コンクリートが製造され、その圧縮強度が小さくなるという問題点があった。
その理由は、型枠底面を介してスラリーの熱が外気に放散されてスラリー温度が上昇しないとともに、ピアノ線の切断による最下段パネルの上側表面が上方に積層されたパネルの重量により圧迫されて、その切断面から空気や水素ガスが抜け難くなるとともに、水蒸気も入り難くなるためである。
そして、オートクレーブ養生後に、このパネル表面に形成された傷を切削仕上により表面から除去する必要があり、この表面仕上げの作業は大型パネルにおいて特に多大の時間とコストを要していた。
なお、スラリーの最上層部においても熱の放散は同様に発生するが、オートクレーブ養生前に切除してしまうとともに、最下段パネル部と比べて最上層部付近は発泡により組織が粗となるため水蒸気が入り易く、上記不具合は発生しない。
しかし、この場合、ブロック部の厚みを少なくとも40mm以上、特に45mm以上とする必要があり、このブロック部は製品とならないため廃棄され、経済的なロスが大きいという問題があった。
しかも、厚みの大きいブロック部を設けた場合には、ブロック部の厚み分だけ補強鉄筋の位置が型枠の底板から離れてより高くなる。
これにより、半硬化体の発泡時にスラリーの上表面が上昇移動する距離がさらに高くなり、それに起因してスラリーが上方の補強鉄筋を通過する際に、補強鉄筋の上側に大きな空洞部が形成するようになる。
その結果、オートクレーブ養生後の軽量気泡コンクリートパネルの表面に空洞跡が形成されて、製品の表面外観が阻害されるという好ましくない傾向があった。
このときに、オートクレーブ養生後のブロック部の厚みが大きいと、そのブロック部の切削、切除、または剥がす等の作業に非常に手間がかかっていた。
前記ブロック部の厚みが10〜35mmであること、
前記突起部の高さが5〜30mmであること、
前記突起部が連続したレール状であること、
前記突起部が棒状であること
前記突起部が断続的な島状であること、および
前記ブロック部をオートクレーブ養生後に除去すること
が、いずれも好ましい条件とした。
そして、この型枠1内にケイ酸質原料と石灰質原料とを主原料とする水性原料スラリーを流し込み、半硬化状態まで養生して脱型することで半硬化体4を形成する。
なお、ロッドピン3を抜いた後に半硬化体4に形成される孔(図示せず)は、オートクレーブ養生時に蒸気の導通孔としても機能することになる。
前述したように通常、このブロック部6では十分な量のトバモライトが生成されないとともに、養生ムラや養生亀裂を発生しやすい部分である。
そのため、この部分を補強鉄筋を配置しないブロック部6として、製品となる軽量気泡コンクリートパネル部分から積極的に除外することにより、製品の歩留まりを改善していた。
そこで、本発明においては、この補強鉄筋を配置しないブロック部の下側表面に突起部7で複数の導気用凹部(図示せず)を形成して、ここからの真空引きや蒸気の侵入を容易にし、その部分の温度を容易に上昇させて最下段パネル5aにおける結晶性の高いトバモライトの生成を促進させる。
さらに、このブロック部の下側表面に形成された複数の導気用凹部(図示せず)によりトバモライト生成が促進されるため、従来40mm以上必要であったブロック部6の厚みを、より薄くすることが可能となった。
また、突起部7の形状は、図1および図2に示したような連続したレール状であっても、図3に示したような断続的な島状、あるいは棒状であっても水蒸気の導気機能を果たす導気用凹部が得られる。
棒状の突起部の場合、直径20〜50mmであると導気孔として十分に機能する導気用凹部が形成されて好ましい。
この突起部7の高さは、ブロック部6の厚み6hの50%〜厚み6hの範囲内において、通常は5〜30mm、特に10〜27mmとすると、蒸気の導通孔として十分に機能を発揮する導気用凹部が形成されて望ましい。
そして、突起部7の上端と最下段パネル5aの下側表面5a´との間の隙間Sは3mm以上設けておくことにより、振動するピアノ線で半硬化体の下側表面5aを切断したときに、その切断面が突起部7の方に振れて飛び出し、パネル表面に凹凸を形成することがなくなり好ましい。
また、突起部7は型枠1内に並列されるロッドピン3間に配置されると、パネルの全面に対して蒸気が供給されるようになり非常に好ましい。
そこで、半硬化体4においてこの部分を製品部分から除去しておくことにより製品の歩留まりが改善できる。
このように除去された部分については、廃棄してもよいが、場合によっては再び粉砕して水性原料スラリーに添加して再利用してもよい。
また、このブロック部はオートクレーブ養生後に除去することが好ましい。
それは、半硬化体4からブロック部6を除去した状態でオートクレーブ養生釜に配設すると、オートクレーブ釜内の床またはパレット表面の凹凸が最下段パネル下側表面に転写されてしまい、そこに傷が形成されてしまうことがあるためである。
半硬化体のピアノ線による切断時に、最下段パネル5aの下側表面が切断されているとともに、ブロックの下側表面に形成された導体用凹部がブロックの切れ目として機能するため、オートクレーブ養生後であっても、ブロック部を容易に剥がして除去することが可能となる。
従来、真空減圧工程終了後に半硬化体の気泡中に空気や水素ガスが残っていると、昇圧工程でオートクレーブ釜内が180℃の高温に達しても、空気や水素ガスが気泡内にある半硬化体外周部、特に型枠床面付近は温度上昇が遅れてしまい180℃に到達しない。
そして、このオートクレーブ釜内の温度を180℃の状態で4時間保持(保持工程)しても、空気や水素ガスを含む半硬化体外周部では180℃に到達しておらず、十分な量のトバモライトが生成されない。
しかし、本発明によれば、ブロック部の下側表面に形成された複数の導気用凹部(図示せず)が、そこからの半硬化体の真空引きや蒸気の侵入を容易にする。そして、ブロック部の温度上昇を容易にして、最下段パネル5aにおける結晶性の高いトバモライトの生成を促進している。
また、温度の低い半硬化体外周部の最上段パネル5dの上側部分7、および両サイド部分8、9は、オートクレーブ養生前に予め除去されていると、製品パネルの周縁部のおいて養生ムラや養生亀裂がなく結晶性の高いトバモライトが十分に生成された軽量気泡コンクリートパネルが製造されて良い。
すなわち、従来の型枠内に水平にパネルを積層する製造方法では、ロッドピンが水蒸気の導通孔として重要な機能を果たしていたため、それら相互の距離を40cm以上離間させることができなかった。
珪石粉末65重量部、早強セメント20重量部、生石灰粉末11重量部、石膏4重量部、およびこれらの固形分に対して外割で70重量部の水とアルミニウム粉末0.06重量部とを添加して十分に混合して水性原料スラリーを得る。
なお、ロッドピン3は、型枠1の幅方向に4本、長さ方向に6本となるように配置した。
また、カゴ状補強鉄筋2は、その横鉄筋2aおよび縦鉄筋2bが型枠底面1aと平行になるようして、型枠幅方向に1枚、長さ方向に1枚、高さ方向に水平に4枚積層させて型枠1内に配置した。
すなわち、24本のロッドピンにより4枚積層されたパネルがつり下げられている。
そして、ブロック部6をオートクレーブ養生後に除去した。
その結果を表1に示す。
一方、ブロック部6のみを設けたの比較例1、2では、実施例と比べてトバモライトの回析ピーク強度値が小さく、トバモライトの生成量が少ない軽量気泡コンクリートパネルとなった。
1a 型枠底面
2 補強鉄筋
2a 横鉄筋
2b 縦鉄筋
3 ロッドピン
4 半硬化体
5a パネル(最下段)
5b パネル
5c パネル
5d パネル(最上段)
5e 上側除去部分
6 ブロック部
6h ブロック部6の厚み
7 突起部
7h 突起部7の高さ
8 サイド除去部分
9 サイド除去部分
10 上側部分
S 突起部の上端と最下段パネルの下側表面との隙間
Claims (7)
- 複数枚の補強鉄筋をロッドピンで吊り下げて型枠内に水平に積層配置し、この型枠内にケイ酸質原料、石灰質原料およびアルミニウム粉末を主原料とする水性原料スラリーを流し込み、この水性原料スラリーを半硬化状態として脱型させた半硬化体を、前記複数枚の補強鉄筋に対応して切断した後、これをオートクレーブ養生させることにより、前記補強鉄筋を埋設した軽量気泡コンクリートパネルを製造する方法において、
前記半硬化体の最下段パネルの下側表面から前記型枠の底面へかけて前記半硬化体にブロック部を設けるととともに、前記型枠の底面に前記ブロック部の厚み以下の高さを有する複数の突起部を設けることにより、前記ブロック部の下側表面に複数の導気用凹部を形成する軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。 - 前記ブロック部の厚みが10〜35mmであることを特徴とする請求項1に記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
- 前記突起部の高さが5〜30mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
- 前記突起部が連続したレール状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
- 前記突起部が棒状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
- 前記突起部が断続的な島状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
- 前記ブロック部をオートクレーブ養生後に除去する請求項1〜6のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
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