JP4396852B2 - 火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼 - Google Patents

火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼 Download PDF

Info

Publication number
JP4396852B2
JP4396852B2 JP2005104424A JP2005104424A JP4396852B2 JP 4396852 B2 JP4396852 B2 JP 4396852B2 JP 2005104424 A JP2005104424 A JP 2005104424A JP 2005104424 A JP2005104424 A JP 2005104424A JP 4396852 B2 JP4396852 B2 JP 4396852B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strength
less
steel
fire
soundness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005104424A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006283118A (ja
Inventor
友弥 川畑
和茂 有持
秀治 岡口
正道 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2005104424A priority Critical patent/JP4396852B2/ja
Publication of JP2006283118A publication Critical patent/JP2006283118A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4396852B2 publication Critical patent/JP4396852B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Description

本発明は、火災による熱の影響を受けても強度、特に降伏点の低下の小さい高張力鋼およびその製造方法に関する。本発明の鋼材は、強度クラスとしては780MPa級以上で、溶接用構造用鋼材として使用されるものであり、建築構造の健全性に寄与する。
現在までに、490MPa級鋼の耐火鋼がすでに開発されている(例えば、特許文献1参照)。耐火鋼とは、600℃における耐力が常温耐力の2/3以上であることを保証する鋼である。つまり、火災中の構造物の全体崩壊を防止するために用いられる鋼である。
建築基準法では、火災時の構造物の健全性を確保するために、構造物に耐火鋼を使用すること、および鋼材に耐火被覆することにより鋼材の火災時の温度上昇を350℃以下にすることが規定されている。
一方で、溶接構造物の大型化の傾向は顕著になってきており、それに対応してこれら構造物に使用される鋼板への高強度化の要求が高まっている。例えば、揚水型発電所の水圧鉄管や、海洋構造物のジャッキアップ型掘削リグのラック材等に、厚肉の780MPa級の高張力鋼板が使用されるようになっている。厚鋼板の高強度化は、単に構造物の重量低減にとどまらず、溶接施工費用の大幅な低減をもたらすので、その高強度化の要求には根強いものがある。
このような傾向は建築分野においても例外ではない。例えば、特許文献2には鋼を880〜1050℃に加熱して焼入れした後、730〜800℃に再加熱して焼入れし、次いで500から650℃で焼戻すことを特徴とする建築用低降伏比高張力鋼とその製造方法が開示されている。
一般に、高張力鋼は、焼入れ処理を含む熱処理工程を経て製造されることが多い。このことは、熱を受けた場合に変質する可能性を示している。つまり、焼入れにより変態強化された組織は、後続の熱サイクルを受けた場合、焼戻しされて強度の低下を招く可能性がある。
強度低下の度合いは、熱サイクルのピーク温度や保持時間によって変化するが、高温、長時間であればあるほど強度の低下幅は大きくなる。鋼材を製造する際に、焼入れを行った後に焼戻しを実施しておけば、その焼戻し温度以下の熱サイクルを受けても、鋼材の強度は殆ど変化しない。しかしながら、建築構造物の火災を想定した場合は、高温、長時間の熱サイクルとなることが予想され、高張力鋼の場合、強度が低下する可能性がある。
この強度低下を防止する方法としては、火災時の鋼材の昇温想定温度よりも高温の熱処理を実施しておく方法がある。しかし、その方法では高温の焼戻し処理が必須となり、そのため合金成分のコスト高を招くだけでなく、製造コストや製造リードタイムの増大等、経済性を損なう多くの難点がある。
特開平06−192730号公報 特開平07−207407号公報
本発明は、耐火被覆を施して用いる780MPa級以上の溶接構造用鋼材を対象とし、火災などにより熱を受けた場合に、降伏応力の低下を抑制できる高張力鋼およびその鋼を安価に製造する方法を提供することを目的とする。
具体的には、下記の諸性能を有する高張力鋼の提供および商業的観点から十分実現可能な上記高張力鋼の製造方法の提供を目的とする。
(1)降伏強さ:685MPa以上、
(2)0℃での衝撃エネルギー:100J以上、
(3)火災により350℃の熱にさらされた場合においても前記(1)、(2)の特性を維持できること。
なお、引張試験を実施する際には圧延方向に採取した丸棒試験片を用いる。そして、降伏比を算出する場合、明瞭な降伏現象を伴う場合には下降伏点を降伏応力とし、それを伴わない場合には0.2%耐力をもって降伏応力とする。
本発明者らは、火災等により熱を受けても強度(特に降伏応力)が低下しない780MPa以上の引張強さを有する建築構造用高張力鋼と、商業性を損なわずにその高張力鋼を製造する方法を開発するため鋭意実験と検討を重ねた。その結果、次の知見を得るに至った。
(1)火災時に高温にさらされると、マルテンサイトの高強度の担い手であるマトリックスの転位密度が低下し、組織としての強度が低下するが、これを補う手段としては下記の2つの手段が有効である。
(2)低炭素鋼を焼入れしたときに生成するマルテンサイトでは、その後の焼戻し温度を低下させることにより、セメンタイト(Fe3C)の析出が抑制され、また可動転位の濃度が高くなると推定される。この場合、鋼材の降伏比を低く抑えることができる。また、火災時には過飽和に固溶しているCが主にセメンタイトとして析出するため、強度が上昇する。
そこで、そのキーポイントとなるセメンタイトの量を定量化するため、抽出残さ法を用いて調査を行った。抽出残さ法とは、鋼中の析出物および介在物をマトリックスとともに溶融して分離し、さらにその残さに対し発光分光分析により組成分析を実施する方法である。この方法では、セメンタイトを定量化するためには残さ中のFeの比率を求めればよいことになる。正確には、残さ中のFeの定量は、セメンタイト以外にも他の元素を含む析出物(Fe23(C、B)6など)もカウントしていることになるが、この場合には、ほぼ全量がセメンタイトであると考えても差し支えがない。そのうえ、他の析出物もセメンタイトと同様に後に詳述する引張載荷時の転位運動の障害物となることから、降伏点を上昇させる働きを有すると考えられる。これらの理由から降伏比を制御するパラメータとしてマルテンサイト中の析出物に占めるFe量を採り上げた。
(3)マルテンサイト組織中に固溶している元素を、火災時やその後の降温時に析出物粒子として析出させることにより、火災後の強度を確保することができる。ここで重要な元素は、MoとNbである。両元素とも主に炭化物を生成する能力が高く、当初の焼入れ時には固溶状態で存在していても、火災時あるいは火災後の降温過程で炭化物として析出する。つまり、セメンタイトと同様、マトリックスの強度低下を析出強化で補うことができる。
以下、これらの諸因子がどのように火災後の降伏強さの確保に繋がるかをさらに詳述する。
(A)マルテンサイト組織中の析出物の働きについて
セメンタイトにせよMoやNbの炭化物にせよ、いずれもマルテンサイトの相内に析出する。マルテンサイト組織では、変態機構から多数の転位が絡まった状態になっており、その転位密度は、焼戻したフェライトの104〜107倍にもなるとの報告がある。このことが、マルテンサイト組織の高強度の原因となっているのであるが、火災時の温度上昇により、転位密度は減少し、マトリックスの強度は著しく低下する。このことが火災後の建築構造物としての健全性に影響を及ぼすのである。
マルテン相内にセメンタイトやMo、Nbの炭化物が析出すると降伏点が上昇する。即ち、析出物粒子の大きさが転位よりもはるかに大きいため、転位の運動が妨げられ、マクロな塑性変形がもたらされる時の応力、つまり降伏点は上昇するのである。つまり、マトリックスの強度低下を補うためにセメンタイトやMo、Nbの炭化物の析出が必要なのである。
(B)マルテンサイト組織の転位密度とセメンタイト析出の関係について
低炭素マルテンサイト組織に対して焼戻しを施していくと、焼戻し温度に応じて組織には変化がもたらされる。特に火災時に想定される昇温温度でもある300℃を超える温度で焼戻し処理を施すと、マトリックスの転位密度は大きく減少する。この転位密度の減少は、過飽和に固溶しているCを排出し、炭素濃度の低いフェライトが変化することを意味しているため、過飽和に固溶しているCが十分に存在していれば、マトリックスの強度低下を補うことが可能である。
しかしながら、過飽和に固溶しているCが少ない場合には、温度上昇に伴いマトリックスの強度低下があるだけで、単調に強度は低下してしまう。つまり、火災後にも高い降伏強度を確保する条件として、素材の固溶C量を規定することが重要である。後述するように、本発明では全C量と析出しているC量の比(量的には殆どセメンタイトであるという考えから抽出残さ中のFe量を採用)を規定することとした。
(C)セメンタイト以外の析出物の効果
セメンタイト以外の析出物もマトリックスの強度低下を補う働きをする。析出物形成の重要な元素としてMoとNbが挙げられるため、両元素の含有量を規定することが重要である。
以上のことから、本発明者らは、高価な化学成分を用いることなく、また高温熱処理などの経済性を損なう製造法を採らずに、マルテンサイト組織中のセメンタイトなどの析出物量を規定することにより、火災後の強度健全性に優れた高張力鋼を開発することに成功した。
本発明は、下記の高張力鋼およびその製造方法を要旨とする。
(1)質量%で、C:0.02〜0.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.4〜2.5%、Cr:0.1〜1%、Mo:0.1〜1%、B:0.0003〜0.005%、Nb:0.001〜0.02%、Al:0.001〜0.1%で、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP:0.05%以下、S:0.008%以下、N:0.01%以下で、かつ下記の式(a)で示される値が110以下、マルテンサイト比率が面積率で80%以上であり、引張強さが780MPa以上、降伏強さが685MPa以上であることを特徴とする火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼。
100−886×Nb−12×Mo+2.44×(RFe/C) ・・・・・(a)
ただし、(a)式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)、RFeは抽出残さ法で測定した析出物として存在するFe量(質量%)である。
(2)Feの一部に代えてさらに、質量%で、Cu:2%以下、Ni:3%以下、V:0.1%以下、Ti:0.01%未満のうちの1種以上を含有する上記(1)に記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼。
(3)Feの一部に代えてさらに、質量%で、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下、REM:0.002%以下、Zr:0.02%以下のうちの1種以上を含有する上記(1)または(2)に記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼。
(4)上記(1)から(3)までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼片を1000〜1200℃に加熱して熱間圧延した後、空冷し、再加熱後に焼入れ温度を950℃以下として水焼き入れを行い、その水冷停止温度を300℃以下、復熱時の最高温度を350℃以下とすることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼の製造方法。
(5)上記(1)から(3)までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼片を1000〜1200℃に加熱して熱間圧延した後、引き続きAr点以上の温度から水冷する焼入れを行い、その水冷停止温度を300℃以下、復熱時の最高温度を350℃以下とすることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼の製造方法。
(6)焼入れ後、350℃以下で焼戻しを行う上記(4)または(5)に記載の建築構造用高張力鋼の製造方法。
1.本発明の建築構造用高張力鋼について
まず、本発明の建築構造用高張力鋼の化学組成を前記のように定めた理由について述べる。なお、以下の記述において、成分含有量に関する%は「質量%」を意味する。
C:0.02〜0.2%
Cは、鋼の強度を確保するために添加される。含有率が0.02%未満では焼入性不足となり、引張強さ780MPaを確保することが難しく、また靭性も十分ではない。一方、0.2%を超えると母材の靭性および脆性亀裂伝播停止性能が低下するだけでなく、HAZ(溶接熱影響部)の硬さが上昇し、溶接低温割れ感受性が高くなって実際の使用に適しない。
Si:0.01〜0.5%
Siは、その脱酸作用のために最終脱酸におけるAlの歩留まり向上を目的として添加される。本発明鋼において「鋼中に含まれるSi」というのは、脱酸に働いた量を超えて鋼中に残存したSiを指す。その量が0.01%未満では必要とする強度を確保することができない。鋼中に残存したSiは強度上昇に有効であるが、0.5%を超えると、母材およびHAZの靭性低下をもたらすので、意図的に残存させる場合でも0.5%以下とする。
Mn:0.4〜2.5%
Mnは、鋼の焼入性を向上させ、強度を高めるために添加する。その含有量が0.4%未満では、強度を確保することが困難である。一方、2.5%を超えると、母材およびHAZともに靭性が低下する。
Cr:0.1〜1%
Crは、焼入性を向上させ、焼戻しの際の析出硬化によって強度と靭性を向上させる。0.1%未満ではその効果は十分ではない。一方1%を超えると強度を過度に高め、母材とHAZの靭性を損なう。より望ましい上限は0.5%である。
Mo:0.1〜1%
Moは、同じ量で比較してCrよりも焼入性向上効果および析出硬化が大きく、とくにBと共存した場合、焼入性向上効果が顕著に現れる。0.1%未満では厚肉鋼板の中心部まで“焼き”を入れ、かつ780MPa以上の引張強さを得るには不十分であり、一方、1%を超えると表層部で“焼き”が入りすぎて表層部の靭性が劣化する。
B:0.0003〜0.005%
Bは、溶接性と高強度化を両立させるための重要な元素である。Bは焼入れ性を向上させて強度を高める作用がある。この効果を確実に得るには、Bの含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。その含有量が0.005%を超えると、強度を高める効果が飽和するし、母材、HAZともに靱性劣化の傾向が著しくなる。したがって、Bの含有量の上限を0.005%以下とした。
Nb:0.001〜0.02%
Nbは、微量含有させると、オーステナイトの低温域で微細なNb炭窒化物を形成することにより、オーステナイト粒を微細化し、微細なマルテンサイト組織を厚肉鋼板の表層部から中心部にわたって形成させる。従って、高張力鋼板の靭性、および脆性破壊伝播停止特性を向上させる。また、固溶状態のNbは火災時に炭化物として析出し、強度を確保するのに有用である。所望の効果を得るには0.001%以上含有させるのが望ましい。しかし、Nbの含有量が0.02%を超えると、比較的高温域にてNb炭化物が生成してマルテンサイトに過飽和に固溶しているC量が少なくなり、火災時のNb炭化物の析出が期待できない。また、0.02%を超えると母材の靭性劣化をきたす。したがって、Nb含有量の上限を0.02%とした。
Al:0.001〜0.1%
Alは、脱酸剤として添加され、鋼中に0.01%以上残存する。Al含有量が、0.1%を超えると、特にHAZにおいて靱性が劣化しやすくなる。これは、粗大なクラスター状のアルミナ系介在物粒子が形成されやすくなるためと考えられる。このため、本発明の鋼においては、脱酸のために添加する場合でも、Al含有量は0.1%以下に抑えることとした。
本発明の建設構造用高張力鋼の一つは、上記の成分のほか、残部がFeおよび不純物からなるものである。不純物のうち、P、SおよびNは、下記のとおりその含有量を規制する必要がある。
P:0.05%以下
Pは、不純物として鋼中に不可避的に存在する。その量が0.05%を超えると、粒界に偏析して靭性を低下させるのみならず、溶接時に高温割れを招くため0.05%以下とする必要がある。
S:0.008%以下
Sは、不純物として鋼中に不可避的に存在する。多すぎると中心偏析を助長したり、延伸したMnSが多量に生成したりするため、母材およびHAZの機械的性質が劣化する。従って、その上限を0.008%とする。Sは少ないほど好ましい。
N:0.01%以下
Nは、不可避的不純物であり、その含有量は少ないほどよい。0.01%を超える場合には母材およびHAZの靭性低下が著しくなるため0.01%以下とする。
本発明の高張力鋼のもう一つは、下記の第1群および第2群の少なくとも1群から選んだ少なくとも1種の成分を含有する鋼である。
第1群:2%以下のCu、3%以下のNi、0.1%以下のVおよび0.01%未満のTi
第2群:0.004%以下のCa、0.002%以下のMg、0.002%以下のREMおよび0.02%以下のZr
以下、これらの成分の作用効果と含有量の限定理由を述べる。
Cu:2%以下
Cuは、特に添加しなくてもよい。しかし、Cuは焼入性を向上させる効果があるので、この効果を得たい場合は添加する。その場合、0.1%以上の含有量とするのが望ましい。しかし、2%を超えると、母材およびHAZの靭性を損なうだけでなく、熱間延性も大きく低下させるので、2%以下とする。
Ni:3%以下
Niも特に添加しなくてもよい。しかし、Niは、高強度厚肉鋼の低温靭性、脆性破壊伝播停止性能および溶接性を改善するので、この効果を得たい場合には添加する。その場合、含有量は0.1%以上とするのが望ましい。一方、3%を超えるとコスト上昇の割に効果の向上が小さくなる。
V:0.1%以下
Vも特に添加しなくてもよい。しかし、Vは焼入れ性を上昇させ、高強度化に寄与する元素である。従って、この効果を得たい場合には添加してもよい。その場合、0.01%以上の含有量とするのが望ましい。ただし、0.1%を超えるとスラブ冷却時に析出物を生成し、靭性や降伏比を損ねる。
Ti:0.01%未満
Tiも特に添加しなくてもよい。しかし、添加する場合には主に脱酸元素として利用し、Al、TiおよびMnからなる酸化物相を形成させる。従って、この効果を得たい場合には添加してもよい。その場合、0.001%以上の含有量とするのが望ましい。しかしながら、Tiは同時に炭化物生成能も高く、過剰なNbと同様、Ti炭化物の生成によりマルテンサイト中に過飽和に固溶するC量を少なくしてしまう。また、多量に含有させると母材の靭性を低下させる。このため、Ti含有量は0.01%未満でなくてはならない。より好ましいのは0.008%以下である。
Ca:0.004%以下
Caは、鋼中のSと反応して溶鋼中で酸・硫化物(オキシサルファイド)を形成する。この酸・硫化物は、MnSなどと異なって圧延加工で圧延方向に伸びることがなく圧延後も球状である。従って、延伸した介在物の先端などを割れの起点とする溶接割れや水素誘起割れが防止される。このような効果を得たい場合には、Caを添加する。その場合、0.0002%以上の含有量とするのが望ましい。ただし、その含有量が0.004%を超えると靱性の劣化を招くことがある。
Mg:0.002%以下
Mgは、酸化物を生成し、TiNの発生核となり、TiNを微細分散させる効果がある。この効果を得たい場合には添加する。添加する場合はその含有量を0.0002%以上とするのが望ましい。一方、0.002%を超えると、酸化物が多くなりすぎて延性低下をもたらす。
REM:0.002%以下
REMは、溶接熱影響部の組織の微細化や、Sの固定に寄与する。この効果を得たい場合には添加する。その場合、0.0002%以上の含有量とするのが望ましい。しかし、過剰なREMは介在物となって清浄度を低下させる。REMの添加によって形成される介在物は、比較的靱性劣化への影響が小さいため、0.002%以下であれば含有させても母材の靱性の低下は許容できる。なお、REMとはLaからLuまでの15元素にYとScを加えた17元素の総称である。これらの中の1種または2種以上を複合して添加する。
Zr:0.02%以下
Zrは、鋼中で窒化物を微細分散析出し、強度を向上させる効果がある。この効果を得たい場合には添加する。その場合は含有量を0.001%以上とするのが望ましい。ただし、0.02%を超えると粗大析出物を形成し、靭性を劣化させる。
次に、下記の(a)式で示される指数について説明する。
100−886×Nb−12×Mo+2.44×(RFe/C) ・・・・・(a)
この(a)式で示される値が110以下でなければならない。その理由は下記の通りである。
前記のように(a)式のRFeは、抽出残さ法で測定した析出物(介在物と呼ばれるものを含む)として鋼中に存在するFe量(質量%)である。(a)式の値は、火災時に析出強化の働く度合いを表す指数である。その値が小さいほど析出強化の余地を素材として有していることになる。つまり、鋼中にNbやMoを多く含有する場合は、(a)式で算出される値が小さくなり、火災時にはより大きな析出強化が望める。また、鋼中のC含有量に対する析出Fe量の比率が大きければ、火災時に析出できる余地が小さいと考えられ、この比率が小さい方が火災時の析出強化はより多く期待できることになる。
したがって、火災時の析出強化を確実にするためには、各々の元素の上下限値を規定するだけでは不十分であり、Nb、MoおよびRFe/C(%)で構成される上記(a)式で定義される指数をも適正に制御する必要がある。この指数が110を超えると、析出強化の余地が減少し、火災時の強度健全性が確保できない。したがって、110以下と規定した。
さらに、マルテンサイト比率を面積率で80%以上とすることは、高強度を確保するためには必須である。マルテンサイト比率が面積率で80%未満であれば、本発明の目的とする780MPa以上の強度を確保できない。したがってマルテンサイト比率は面積率で80%以上と規定した。
2.本発明の製造方法について
本発明の製造方法は、前記のとおり圧延および熱処理の条件に特徴がある。それらの限定理由を以下に説明する。
(1) 圧延および熱処理の条件
スラブ加熱温度が1000℃未満ではオ−ステナイト化が不十分なため、後に圧延および熱処理の条件を変化させても十分な特性改善が達成できない。一方、加熱温度が1200℃を超えるとオ−ステナイト粒が細粒化せず、鋼材の母材靭性は著しく低下する。したがって、圧延前のスラブ加熱温度は、1000〜1200℃とする。
(2) 圧延後の熱処理
熱間圧延により所望の板厚まで減厚した後は、空冷して再加熱焼入れ処理を実施してもよいし、圧延終了温度からそのまま直接焼入れを実施してもよい。
空冷してから再加熱焼入れ処理を行う場合には、再加熱焼入温度は十分に全体をオーステナイト化させる温度である必要があるが、950℃よりも高い温度になるとオーステナイトの粗大化が著しく、製品での靭性を損なう原因となるため、950℃以下とした。
直接焼入れを実施する場合には、オーステナイト一相の状態から焼きを入れる必要がある。即ち、焼入れ開始温度はAr3点以上である必要がある。したがって、圧延終了温度をAr3点以上とする。
上記のいずれの方法でも、焼入れ温度からの冷却は、水冷とする。そして、焼入れ時の冷却停止後にオートテンパーと呼ばれる現象で析出物が生成するのを抑えるため、析出温度域を大きな冷却速度で冷却する必要がある。このことから、水冷停止温度は300℃以下とした。
また、セメンタイトなどの析出物粒子の生成を抑制するために、焼入れ後の復熱は極力抑制する必要がある。このため、冷却後の復熱時の最高温度は350℃とする必要がある。さらに、場合により焼戻しをしてもよいが、350℃を超える温度での焼戻しは、顕著な析出物の生成と可動転位密度の減少を伴うため、焼戻し温度は350℃以下と規定した。なお、焼戻しは、強度と靱性のバランスを調整する必要がある場合に実施する。
表1および表2は、本発明の実施および比較に用いた鋼の化学組成を表す一覧表である。これらの鋼を70トン転炉にて溶製し、Ar雰囲気中で鋳込み、600mm厚さ×1000mm幅×2500mm高さの鋼塊とした。
表3および表4の「製造条件」の欄は、これら鋼塊に施した圧延および熱処理の条件を示すものである。この表に示す圧延および熱処理により厚さ25mmの厚鋼板を作製し、各鋼板から試験片を切り出し、機械的性質の評価を行った。
引張特性は、試験片(JISZ2201−4号試験片)を圧延方向に採取し、JISZ2241に従って実施し評価した。前述のように、降伏点については、明瞭な降伏現象が見られる場合には、下降伏点を採用し、明瞭な降伏現象が見られない場合には0.2%耐力を降伏応力とした。
靭性はシャルピー衝撃試験(JISZ2242:試験片JISZ2202−Vノッチ試験片)における0℃での吸収エネルギーにより評価した。
母材の引張試験およびシャルピー衝撃試験は、(1/4)t部(板厚の1/4の位置)にて評価した。組織は光学顕微鏡と薄膜法を用いた加速電圧が100〜200kVの透過電子顕微鏡を用いて観察した。マルテンサイトの面積率の測定を、表層、(1/4)t、および(1/2)tの各位置において薄膜を作製して透過電子顕微鏡による組織観察で実施し、それらの測定値の平均値をマルテンサイト比率とした。
さらに、抽出残さ法を用いて析出物・介在物として鋼中に含まれるFe量の評価を行ったが、詳細は下記のとおりである。
(1)鋼材の(1/4)tの位置から圧延方向に15mmφ×70mmLの丸棒試験片を採取する。その際には試験片表面のスケールを落としておく。
(2)石油ベンジンによる試験片の洗浄。
(3)試験片秤量(電解前の重量、これをV1とする)。
(4)電解。電解液はテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)1%−アセチルアセトン10%−メタノール溶液。試験片の表面積1cm2当たり20mAの電流を流す。
(5)濾過により残さを得る。フィルターの目の粗さは0.2μm。
(6)試験片秤量(電解後の重量、これをV2とする)。
(7)残さの酸分解。用いる酸は、硝酸10mlと、過塩素酸5mlと、混酸(水5ml+硫酸5ml+リン酸5ml)15mlとの混合液である。
(8)白煙処理。加熱して、有機物を除く。
(9)酒石酸(20%)10mlを添加。Nbなどの析出を防ぐ。
(10)イットリウム溶液(1mg/ml)5mlを添加。ICP分析時の時間変動要素補正用。
(11)残さ溶液全量を100mlにする。
(12)高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)法により、残さ溶液に含まれるFe元素の量(Xn)を測定。
(13)Fe量を「Xn/(V1−V2)」で求める。
以上に示した供試材を用いて火災を想定し、350℃に加熱した後、常温まで空冷した。この供試材から引張り試験片を採取して引張り試験を実施し、引張特性の評価を行った。
引張試験はいずれも丸棒試験片(JISZ2201−4号試験片)とし、長さ方向に板厚の1/2部分の位置から採取した。評価は、降伏点応力(YS)と引張強さ(TS)の二つとし、下降伏点が明瞭に現出している場合には下降伏点を降伏応力とし、それを伴わない場合には0.2%耐力をもって降伏応力とした。
供試材番号1〜41は本発明で規定する範囲内のものであり、火災想定の加熱後のYS、TSが低下しないばかりか、特にYSに関しては、比較例の鋼に比べて顕著な向上が見られた。また、シャルピー衝撃特性も優れている。
方、供試材番号102は、Siが規定上限値を上回っているものであり、シャルピー衝撃特性が不良である。供試材番号103は、Mnが規定限値を下回っているものであり、降伏強度が目標である685MPaに満たない。火災想定の加熱後にはYSのみならず、TSも目標に未達となっている。
供試材番号104は、Crが規定上限値を上回っているものであり、シャルピー衝撃特性が不良である。供試材番号105はMoが規定上限値を上回っているものであり、シャルピー衝撃特性が不良である。供試材番号106は、Nbが規定上限値を上回っているものであり、シャルピー衝撃特性が良くない。供試材番号107はTiが規定上限値を上回っているものであり、シャルピー衝撃特性が良くない。供試材番号108は、Nが規定上限値を上回っているものであり、これもシャルピー衝撃特性が不良である。
供試材番号109は、化学成分は規定範囲内であるが、(a)式の値が規定範囲を外れており、素材のYSは目標を満足するが、火災想定の加熱後にはYSが目標を下回っている。供試材番号110は焼入れ性が乏しく、焼入れ後のマルテンサイト比率が60%であり、かつ強度が目標である780MPaに未達である。
Figure 0004396852
Figure 0004396852
Figure 0004396852
Figure 0004396852
本発明の建築構造物用高張力鋼は、降伏応力685MPa以上、引張強さ780MPa以上の強度特性を有し、火災による加熱を受けた後にも同様の強度特性を維持することができる高張力鋼である。この鋼は、火災を受けた後もリユースが可能となり、建築構造物のメンテナンスコストの低減に寄与する。本発明の鋼は、本発明の製造方法により安価に製造することができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.4〜2.5%、Cr:0.1〜1%、Mo:0.1〜1%、B:0.0003〜0.005%、Nb:0.001〜0.02%、Al:0.001〜0.1%で、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のPが0.05%以下、Sが0.008%以下、Nが0.01%以下で、かつ下記の式(a)で示される値が110以下、マルテンサイト比率が面積率で80%以上であり、引張強さが780MPa以上、降伏強さが685MPa以上であることを特徴とする火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼。
    100−886×Nb−12×Mo+2.44×(RFe/C) ・・・・・(a)
    ただし、(a)式中の元素記号はその元素の含有量(質量%)、RFeは抽出残さ法で測定した析出物として存在するFe量(質量%)である。
  2. Feの一部に代えてさらに、質量%で、Cu:2%以下、Ni:3%以下、V:0.1%以下およびTi:0.01%未満のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼。
  3. Feの一部に代えてさらに、質量%で、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下、REM:0.002%以下およびZr:0.02%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼片を1000〜1200℃に加熱して熱間圧延した後、空冷し、再加熱後に焼入れ温度を950℃以下として水焼き入れを行い、その水冷停止温度を300℃以下、復熱時の最高温度を350℃以下とすることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼の製造方法。
  5. 請求項1から3までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼片を1000〜1200℃に加熱して熱間圧延した後、引き続きAr点以上の温度から水冷する焼入れを行い、その冷停止温度を300℃以下、復熱時の最高温度を350℃以下とすることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼の製造方法。
  6. 焼入れ後、350℃以下で焼戻しを行う請求項4または5に記載の高張力鋼の製造方法。
JP2005104424A 2005-03-31 2005-03-31 火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼 Expired - Fee Related JP4396852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005104424A JP4396852B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005104424A JP4396852B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006283118A JP2006283118A (ja) 2006-10-19
JP4396852B2 true JP4396852B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=37405327

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005104424A Expired - Fee Related JP4396852B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4396852B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103060715B (zh) * 2013-01-22 2015-08-26 宝山钢铁股份有限公司 一种具有低屈服比的超高强韧钢板及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006283118A (ja) 2006-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4538094B2 (ja) 高強度厚鋼板およびその製造方法
JP5728836B2 (ja) 耐硫化物応力割れ性に優れた油井用高強度継目無鋼管の製造方法
CA2599868C (en) Steel for oil well pipe having excellent sulfide stress cracking resistance and method for manufacturing seamless steel pipe for oil well
JP6418358B1 (ja) 高Mn鋼板およびその製造方法
US7670547B2 (en) Low alloy steel for oil country tubular goods having high sulfide stress cracking resistance
JP4542624B2 (ja) 高強度厚鋼板およびその製造方法
JP4379550B2 (ja) 耐硫化物応力割れ性と靱性に優れた低合金鋼材
WO2012133911A1 (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法
EP3239327A1 (en) High-strength steel plate for pressure vessel having excellent toughness after post weld heat treatment and manufacturing method thereof
JP5439973B2 (ja) 優れた生産性と溶接性を兼ね備えた、pwht後の落重特性に優れた高強度厚鋼板およびその製造方法
JP4848966B2 (ja) 厚肉高張力鋼板およびその製造方法
JP5659758B2 (ja) 優れた生産性と溶接性を兼ね備えた、PWHT後の落重特性に優れたTMCP−Temper型高強度厚鋼板の製造方法
JP4207334B2 (ja) 溶接性と耐応力腐食割れ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法
JP4396851B2 (ja) 冷間加工後の塑性変形能に優れた高張力鋼およびその製造方法
JP2010121191A (ja) 耐遅れ破壊特性および溶接性に優れる高強度厚鋼板およびその製造方法
JPH06116635A (ja) 耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度低合金油井用鋼の製造方法
JP5223706B2 (ja) 大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材およびその製造方法
JP4344919B2 (ja) 予熱なしでの溶接性に優れた高強度鋼板とその製造方法及び溶接鋼構造物
JP6277679B2 (ja) 耐ガス切断割れ性および大入熱溶接部靭性が優れた高張力鋼板
JPWO2019050010A1 (ja) 鋼板およびその製造方法
JP4396852B2 (ja) 火災後の強度健全性に優れた建築構造用高張力鋼
JP2014029004A (ja) 溶接性および耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼板の製造方法
JP2006241508A (ja) 溶接部の耐亜鉛めっき割れ性に優れたHT490MPa級溶接構造用耐火鋼とその製造方法
JPS58199813A (ja) 耐hic性に優れた高張力鋼板の製造法
JP6519025B2 (ja) 油井用低合金高強度継目無鋼管

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090603

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090722

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090930

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4396852

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091013

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees