JP4396355B2 - 水和物スラリ空調システムにおける過冷却解除装置 - Google Patents
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この水和物は、大気圧下において0℃以上の温度で生成でき、しかも潜熱が大きく冷水に比較して数倍の熱量の冷熱を貯蔵することができる。また、この水和物は微細な結晶粒子であり水溶液中に浮遊するため、比較的流動性の高い水和物スラリの形態で存在する。
このため、このような水和物スラリは、空調設備や産業用冷熱利用設備などで利用される冷熱輸送媒体として好ましい特性を有している。
上述した水和物スラリは、1台の熱交換器でゲスト化合物を含む水溶液を、冷水などの冷熱媒体と熱交換させて冷却すると過冷却が起こり、水和物生成温度より低い温度で水溶液として存在していることがある。そして、熱交換器内で水溶液が過冷却された後に、熱交換器内部の伝熱面において水溶液の過冷却が解除されると、生成された水和物が熱交換器内部の伝熱面に付着しやすくなるため、熱交換器の伝熱性能を低下させる。
さらに、熱交換器内で水溶液に大きな過冷却が生じた後に過冷却が解除されると、急激に水和物が生成して水和物スラリの粘性が増加し、流動抵抗および圧力損失が大きくなってポンプ動力が増加するうえ、最悪の場合には熱交換器が閉塞することもある。
以上のように、熱交換器内で水溶液の過冷却が解除されると、システムの運転が不安定になる要因となっていた。
図7の過冷却解除装置は、小型冷凍機41に接続された冷却部42からなっており、冷却部42は外部から図6の水溶液熱交換器32と水和物スラリ熱交換器34との間の配管43中に挿入されている。配管43に設けられた冷却部42は小型冷凍機41により水和物生成温度以下に冷却されており、その表面に水和物が付着している。水溶液熱交換器32で過冷却された水溶液が冷却部42に接触すると、冷却部42の表面に付着した水和物が生成核として作用し過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。
過冷却解除手段として、ペルチェ素子などからなる低温突起を配管43に挿入してもよい。このような低温突起も、図7に示した小型冷凍機41の冷却部42と同様に、予め水和物生成温度以下に冷却されており、その表面に水和物が付着している。過冷却された水溶液が低温突起に接触すると、低温突起の表面に付着した水和物が生成核として作用し過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。
図8の過冷却解除装置は、超音波発振器44に接続された発振部45からなっており、発振部45は外部から配管43中に挿入されている。水溶液熱交換器32で過冷却された水溶液が発振部45に接触すると、振動によって過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。また、超音波の代わりに、数Hz〜数百Hzの低周波振動を用いてもよい。
図9の過冷却解除装置は、配管43内に設けられた流体を反転・混合させるためのねじり板のような機構を有するスタティックミキサー46からなっている。過冷却された水溶液はスタティックミキサー46によって攪拌されて過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。
図10の過冷却解除手段は、配管43の途中に挿入された容器内に収容された、モータ47によって回転する攪拌羽根48からなっている。過冷却された水溶液は攪拌羽根48によって攪拌されて過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。
図11の過冷却解除装置は、配管43の途中に設けられたポンプケーシング内をインペラが回転しているポンプ49である。過冷却された水溶液はポンプ49によって攪拌されて過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。
また、過冷却解除手段として、水和物を注入する手段を設けてもよい。注入された水和物によって過冷却が解除され、容易に水和物が生成する。
なお、水溶液熱交換器32と水和物スラリ熱交換器34との間の配管43に対してバイパス配管を設け、このバイパス配管に図7〜図11に示すような過冷却解除装置を設けてもよい。また、過冷却解除装置は1個所に限らず、複数個所に設けてもよい。さらに、複数の種類の異なる過冷却解除装置を併用してもよい。
また、前記過冷却解除装置本体を通過した水溶液を、過冷却解除装置本体と前記タンク間に設けた流入管を経由して前記タンク内に導入し、前記タンクに設けた排出管により排出するように構成するとともに、前記流入管の途中から前記タンク内に接続するバイパス管を設け、前記バイパス管を通して前記タンクに供給した温かい水溶液により前記タンク内に堆積した水和物を融解するようにしたものである。
そして、水溶液熱交換機1で冷熱媒体と熱交換された過冷却状態の水溶液に対して、過冷却解除装置本体3により水溶液中に水和物を生成させるための核を発生させ、次いで、管路4において水和物のさらなる成長を促進させることにより、水和物スラリ熱交換器5に入る前の水溶液の過冷却状態を一定の水準まで解除させるようにしている。
L=300×1000/100=3000cm=30m
となる。
そして、水溶液熱交換機12で冷熱媒体と熱交換された過冷却状態の水溶液に対して、過冷却解除装置本体13により水溶液中に水和物を生成させるための核を発生させ、次いで、過冷却解除用タンク14において水和物のさらなる成長を促進させることにより、水和物スラリ熱交換器15に入る前の水溶液の過冷却状態を一定の水準まで解除させるようにしている。
そして、タンク21の排出管23やバイパス管24を接続した位置よりもやや高い位置には、中央部に開口27aを設けた中間底板27が設けられている。
2 水溶液熱交換器
3 過冷却解除装置本体
4 管路
5 水和物スラリ熱交換器
11 過冷却解除装置
12 水溶液熱交換器
13 過冷却解除装置本体
14 タンク
15 水和物スラリ熱交換器
21 タンク
22 水溶液流入管
23 水溶液排出管
24 バイパス管
25 遮断弁
26 遮断弁
27 中間底板
Claims (3)
- 水溶液を過冷却状態まで冷却する水溶液熱交換器と、該水溶液熱交換器で過冷却された水溶液の過冷却状態を解除して水和物スラリに転移させる過冷却解除装置と、過冷却解除装置で生成された水和物スラリの熱密度を向上させる水和物スラリ熱交換器とを具備した水和物スラリ空調システムにおける過冷却解除装置であって、水溶液中に水和物を生成させるための核を発生させる過冷却解除装置本体と、水溶液の過冷却状態を所定の程度まで解除する解除手段とを備え、
該解除手段は、前記過冷却解除装置本体と前記水和物スラリ熱交換器を接続する管路であり、水溶液が前記過冷却解除装置本体を出て前記水和物スラリ熱交換器に入るまでの時間を、核を含む過冷却状態の水溶液から水和物を生成させ水溶液の過冷却状態を所定の程度まで解除した水溶液を水和物スラリとして水和物スラリ熱交換器に流入させるために十分な長さの時間とすることのできる長さの管路であることを特徴とする水和物スラリ空調システムにおける過冷却解除装置。 - 水溶液を過冷却状態まで冷却する水溶液熱交換器と、該水溶液熱交換器で過冷却された水溶液の過冷却状態を解除して水和物スラリに転移させる過冷却解除装置と、過冷却解除装置で生成された水和物スラリの熱密度を向上させる水和物スラリ熱交換器とを具備した水和物スラリ空調システムにおける過冷却解除装置であって、過冷却解除装置本体と、水溶液の過冷却状態を所定の程度まで解除する解除手段とを備え、該解除手段が前記過冷却解除装置本体と前記水和物スラリ熱交換器との間に設けた一定容量のタンクであることを特徴とする水和物スラリ空調システムにおける過冷却解除装置。
- 前記過冷却解除装置本体を通過した水溶液を、過冷却解除装置本体と前記タンク間に設けた流入管を経由して前記タンク内に導入し、前記タンクに設けた排出管により排出するように構成するとともに、前記流入管の途中から前記タンク内に接続するバイパス管を設け、前記バイパス管を通して前記タンクに供給した温かい水溶液により前記タンク内に堆積した水和物を融解するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の水和物スラリ空調システムにおける過冷却解除装置。
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