JP4396076B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気系に付着する燃料付着量を推定し、推定した燃料付着量に応じて燃料噴射量を制御するとともに、前記燃料付着量を制御することができるように構成した内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の制御装置として、例えば特開平9−303173号公報に開示された技術が知られている。上記公報に開示された内燃機関の制御装置は、吸気通路壁面への燃料付着量を燃料挙動シミュレーションモデル(燃料付着モデル)に基づいて推定し、推定した燃料付着量に応じて噴射すべき燃料の量を決定するようになっている。また、この制御装置は、前記燃料挙動シミュレーションモデルで使用する吸気通路壁面への燃料付着率と吸気通路壁面に付着した燃料の燃料残留率(以下、燃料付着率及び燃料残留率を「燃料付着モデルパラメータ」と称呼する。)とを、内燃機関の負荷変化に応じて可変とすることにより、燃料付着量の推定を一層正確に行い、より適正な燃料噴射量を決定するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記推定される燃料付着量の時間的変化量が大きい運転状態では、推定に使用する燃料付着モデルパラメータの時間的変化が大きく、計算遅れ等の要因も加わって、同燃料付着モデルパラメータを精度良く決定することが困難になるため、推定される燃料付着量に含まれる誤差が大きくなって燃料噴射量が適正値から大きく外れ、その結果、狙いとする空燃比が得られないという問題がある。また、排気中の酸素濃度に応じて空燃比を検出し、検出した空燃比に基づいて燃料噴射量に関する学習値を更新する学習制御において、前記推定された燃料付着量の時間的変化量が小さいことを同学習値の更新許可条件としている場合にあっては、同推定された燃料付着量の時間的変化量が大きい状態が頻繁に発生すると、同学習値の更新が遅れ(学習機会が減少し)、その結果、狙いとする空燃比が得られないという問題もある。
【0004】
【本発明の概要】
本発明は、燃料付着量を積極的に調整することにより、上記課題を解決しようとするものであって、その具体的特徴は、燃焼室に接続された吸気通路内にて燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記吸気通路を構成する部材への燃料付着量を推定する燃料付着量推定手段と、前記燃料噴射手段から噴射される燃料量を前記推定された燃料付着量に応じて制御する燃料噴射量制御手段と、前記燃料付着量推定手段によって推定された燃料付着量の時間的変化量を取得する手段と、前記吸気通路内に回動可能に設けられるとともに前記燃焼室に吸入される吸気流を制御する吸気制御弁の開度を「前記取得された燃料付着量の時間的変化量」に基いて制御する燃料付着量調整手段とを備えたことにある。この場合、前記吸気通路を構成する部材は、吸気管(インテークマニホールド)、吸気弁(特に、吸気弁の背面)、吸気通路に設けられるSCV等の吸気制御弁を含んでよい。
【0005】
これによれば、吸気通路を構成する部材への燃料付着量が「前記燃料付着量推定手段によって推定された燃料付着量の時間的変化量」に応じて調整される。従って、必要に応じて、実際の燃料付着量の時間的変化量が過大とならないようにすることで、推定される燃料付着量の時間的変化量が過大とならないようにして、同推定される燃料付着量に含まれる推定誤差の絶対量を小さく維持することができ、その結果、燃料噴射量をより適正な値とすることが可能となる。
【0006】
更に、前記燃料付着量推定手段は、前記取得された燃料付着量の時間的変化量の絶対値が判定値Aより大きく且つ前記取得された燃料付着量が増大している場合には燃料付着量の増加速度を低下させるように前記吸気制御弁の開度を変更し、同取得された燃料付着量の時間的変化量の絶対値が同判定値Aより大きく且つ同取得された燃料付着量が減少している場合には燃料付着量の減少速度を低下させるように前記吸気制御弁の開度を変更するように構成されている。
【0007】
これによれば、推定される燃料付着量の時間的変化量を小さい値に容易に維持することができるので、燃料付着量の推定精度を向上することができる。
【0008】
また、前記吸気制御弁は、内燃機関のスロットルバルブ下流の吸気通路に配置された周知のスワールコントロールバルブ(SCV)や特開平8−109836号公報に開示された燃焼室に生じる乱流を制御するための吸気制御弁等を含んでいる。
【0009】
かかる吸気制御弁は、特に低吸入空気量領域において、吸入空気量を大きく変化させることなく燃料付着量を調整することができるので、内燃機関のトルク変動を小さく維持しながら、且つ簡単な構成で、燃料付着量を調整することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による内燃機関の制御装置の実施形態について図面を参照しつつ説明すると、図1は、同制御装置を火花点火式多気筒(4気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。
【0012】
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース、及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
【0013】
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
【0014】
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38、及び燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
【0015】
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットルバルブ43、及びスワールコントロールバルブ(以下、「SCV」と称呼する。)44を備えている。スロットルバルブ43は、DCモータからなるスロットルバルブアクチュエータ43aにより吸気管41内で回転駆動されるようになっている。SCV44は、前記スロットルバルブ43よりも下流で前記インジェクタ39よりも上流の位置にて前記吸気管41に対し回動可能に支持されるとともに、DCモータからなるSCVアクチュエータ44aにより回転駆動されるようになっている。なお、本明細書においては、インテークマニホールドを含む吸気管41、吸気ポート31、吸気弁32、及びSCV44等を吸気通路を構成する部材(吸気通路構成部材)と称呼する。
【0016】
図2は、一つの気筒(特定の気筒)の燃焼室25、及び同燃焼室25の近傍部分の概略平面図である。図2に示したように、前記吸気ポート31は、実際には各気筒に一対ずつ設けられた吸気ポート31a,31bからなっている。吸気ポート31aは、燃焼室25内にスワール(旋回流)を発生させるようにヘリカル状に形成され所謂スワールポートを構成し、吸気ポート31bは所謂ストレートポートを構成している。吸気管41のサージタンクから各燃焼室25に至る部分(即ち、インテークマニホールドの一部)には、吸気管41の長手方向に沿って伸びる隔壁41aが形成されていて、これにより吸気管41は吸気ポート31aに連通する第1インテークマニホールド45と、吸気ポート31bに連通する第2インテークマニホールド46とに区画されている。隔壁41aの適宜個所には第1,第2インテークマニホールド45,46を連通する連通路41bが形成されていて、前記インジェクタ39は同連通路41bの近傍位置に固定され、吸気ポート31a,31bに向けて燃料を噴射するようになっている。
【0017】
前記SCV44は、第2インテークマニホールド46内において回動可能に支持され、第2インテークマニホールド46の開口断面積を変更し得るようになっている。インジェクタ39から噴射された燃料は、その一部が前記吸気通路構成部材に付着するとともに、吸気制御弁(吸気制御部材)であるSCV44にも付着する。なお、SCV44に付着する燃料の量は、吸気弁と排気弁のバルブオーバーラップ角度が大きくなるにしたがって、インジェクタ39から噴射された燃料が燃焼室からより多く吹き返されるため、増大する。また、SCV44に付着する燃料の量は、SCV44の開度に応じて変化する。換言すると、SCV44は、燃料付着量を積極的に調整する燃料付着量調整手段の一部を構成する。
【0018】
再び図1を参照すると、排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51に接続されたエキゾーストパイプ52、及びエキゾーストパイプ52に介装された触媒コンバータ(三元触媒装置)53を備えている。
【0019】
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、吸気温センサ62、大気圧センサ(スロットルバルブ上流圧力センサ)63、スロットルポジションセンサ64、SCV開度センサ65、カムポジションセンサ66、クランクポジションセンサ67、水温センサ68、O2センサ69、及びアクセル開度センサ81を備えている。
【0020】
エアフローメータ61は、概略斜視図である図3に示したように、吸気管41内を流れる吸入空気の一部をバイパスさせるバイパス通路と、このバイパス通路にバイパスされた吸入空気の質量流量を計測する熱線計量部61aと、計測された質量流量に応じた電圧Vgを出力する信号処理部61bとからなっている。熱線計量部61aは、その拡大斜視図である図4に示したように、白金熱線からなる吸気温計測用抵抗(ボビン部)61a1と、同吸気温計測用抵抗61a1を前記信号処理部61bに連結して保持するサポート部61a2と、加熱用抵抗(ヒータ)61a3と、同加熱用抵抗61a3を前記信号処理部61bに連結して保持するサポート部61a4とを備えている。信号処理部61bは、吸気温計測用抵抗61a1と加熱用抵抗61a3とで構成されたブリッジ回路を備え、このブリッジ回路により吸気温計測用抵抗61a1と加熱用抵抗61a3との温度差を常に一定に維持するように同加熱用抵抗61a3に供給する電力を調整するとともに、この供給する電力を前記電圧Vgに変換して出力するようになっている。
【0021】
吸気温センサ62は、エアフローメータ61内に備えられていて、吸入空気の温度を検出し、吸気温度THAを表す信号を出力するようになっている。大気圧センサ63は、スロットルバルブ43の上流の圧力(即ち、大気圧)を検出し、スロットルバルブ上流圧力Paを表す信号を出力するようになっている。スロットルポジションセンサ64は、スロットルバルブ43の開度を検出し、スロットルバルブ開度TAを表す信号を出力するようになっている。SCV開度センサ65は、SCV44の開度を検出し、SCV開度θivを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ66は、インテークカムシャフトが90°回転する毎に(即ち、クランク軸24が180°回転する毎に)一つのパルスを有する信号(G2信号)を発生するようになっている。クランクポジションセンサ67は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、エンジン回転速度Neを表す。水温センサ68は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。O2センサ69は、触媒コンバータ53に流入する排ガス中の酸素濃度に応じた信号(空燃比が理論空燃比よりもリッチであるか、又はリーンであるかを示す信号)を出力するようになっている。アクセル開度センサ81は、運転者によって操作されるアクセルペダル82の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
【0022】
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するプログラム、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、及びADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。インターフェース75は、前記センサ61〜69,81と接続され、CPU71にセンサ61〜69,81からの信号を供給するとともに、同CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、イグナイタ38、インジェクタ39、スロットルバルブアクチュエータ43a、及びSCVアクチュエータ44aに駆動信号を送出するようになっている。
【0023】
次に、上記のように構成された制御装置による物理モデルを用いた燃料噴射量の決定方法について説明する。以下に述べる処理は、CPU71がプログラムを実行することによりなされる。
【0024】
(要求燃料噴射量fcの決定方法の概要)
この制御装置は、吸気行程にある気筒の吸気弁32が閉じる前に同気筒に対して燃料を噴射しなければならないので、吸気弁32が閉じた時点で(即ち、吸気弁閉時に)同気筒内に吸入されているであろう吸入空気量(筒内吸入空気量)を予測する必要がある。一方、吸気弁閉時の吸気管圧力PMFWDは、燃焼室25に吸入されている空気量と比例関係にある。従って、吸気管圧力PMFWDを予測することができれば、実際の筒内吸入空気量を推定することができる。そこで、本制御装置は、吸気弁閉時の吸気管圧力PMFWDを予測・推定し、推定した吸気管圧力PMFWDを一気筒の排気量と空気密度の積で除することにより一気筒当たりの吸入空気量に相当する値KLFWDを求め、下記数1に基づいて要求燃料噴射量(基本噴射量)fcを決定する。数1において、kは設定空燃比に応じて変化する係数、FAF、及びFGは、それぞれ後述する空燃比フィードバック補正係数、及び空燃比学習値である。
【0025】
【数1】
fc =k・KLFWD・FAF・FG
【0026】
なお、エアフローメータ61の出力電圧Vgと吸入空気量mtAFMとの関係を規定した図5に示したVg−mtAFM変換テーブルと、エアフローメータ61の実際の出力電圧Vgとに基づいて現時点での吸入空気量mtAFMを求め、下記数2により要求燃料噴射量fcを簡易的に求めてもよい。
【0027】
【数2】
fc =k・mtAFM・FAF・FG
【0028】
上記数1により要求燃料噴射量fcを求める本実施形態の制御装置は、以下のようにして吸気弁閉時の吸気管圧力PMFWDを予測する。即ち、図6に示したように、吸気弁閉時のスロットルバルブ開度TASを予測するとともに、同予測したスロットルバルブ開度TAS及びエンジン回転速度Ne等から吸気弁閉時の吸気管圧力Pm1を所定のモデルを用いて推定する。また、現時点においてスロットルポジションセンサ64が検出する実際のスロットルバルブ開度TARとエンジン回転速度Ne等に基づき、エアフローメータ61が現時点で出力するであろう値を推定し、この推定値に基づいて現時点の吸気管圧力Pm2を推定する。同時に、現時点においてエアフローメータ61の実際の出力電圧Vgに基づいて現時点の吸気管圧力Pm3を推定する。最後に、下記数3にしたがって吸気弁閉時の吸気管圧力PMFWDを求める。これにより、スロットルバルブ開度の予測値TASに基づく推定値である吸気管圧力Pm1に含まれる定常的な誤差を、エアフローメータ61の実際の出力電圧Vgにより補正し、吸気弁閉時の吸気管圧力PMFWDを精度良く推定する。
【0029】
【数3】
PMFWD=Pm3+(Pm1−Pm2)
【0030】
なお、スロットルバルブ開度が一定に維持されていて内燃機関10が定常状態にある場合、吸気管圧力Pm1と吸気管圧力Pm2は等しくなるので、上記数3から理解されるように、吸気管圧力PMFWDは吸気管圧力Pm3と等しくなる。換言すると、定常運転状態では、実質的にエアフローメータ61の出力電圧Vgに基づいて吸気弁閉時の吸気管圧力PMFWDが決定されることになる。
【0031】
以下、各吸気管圧力Pm1,Pm2,Pm3の推定方法について、同推定に使用するモデルとともに説明する。
【0032】
(Pm1の求め方)
図7に示したように、吸気管圧力Pm1は電子制御スロットルモデルM1、スロットルモデルM2、吸気弁モデルM3、及びインテークマニホールドモデルM4により推定される。
【0033】
(1)電子制御スロットルモデルM1
電子制御スロットルモデルM1は、現時点までのアクセルペダル操作量Accpに基づいて吸気弁閉時のスロットルバルブ開度TASを推定するモデルである。本実施形態においては、スロットルバルブ電子制御ロジックA1にて、アクセル開度センサ81により検出されたアクセルペダル操作量Accpと、図8に示したアクセルペダル操作量Accpと目標スロットルバルブ開度θrとの関係を規定するテーブルとに基づいて暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1が求められ、この暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1を所定時間T(例えば、64msec)だけ遅延させた値が最終的な目標スロットルバルブ開度θrとして決定される。そして、スロットルバルブ電子制御ロジックA1(電気制御装置70)は、実際のスロットルバルブ開度TAが目標スロットルバルブ開度θrとなるようにスロットルバルブアクチュエータ43aに対して駆動信号を送出する。
【0034】
このように、目標スロットルバルブ開度θrは、現時点から所定時間Tだけ前の時点におけるアクセルペダル操作量Accpに応じて決定されるから、現時点から吸気弁閉時までの時間をtとすると、吸気弁閉時の目標スロットルバルブ開度θrは、現時点から時間(T−t)前における暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1と等しい。また、目標スロットルバルブ開度θrは、スロットルバルブアクチュエータ43aの作動遅れ時間を無視すれば、スロットルバルブ開度TASと等しい。このような考えに基づき、電子制御スロットルモデルM1は、検出されるエンジン回転速度Neと、内燃機関10の運転状態に応じて別途定められる吸気弁の開閉タイミング(進角量)VT(上記信号Neと上記G2信号とにより求めた実際の開閉タイミングVTでも良い。)と等に基づいて現時点から吸気弁閉時までの時間tを求め、同時間tと、現時点から所定時間Tだけ前の時点から現時点までのアクセルペダル操作量Accp(又は、暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1)の変化の経緯とに基づいて吸気弁閉時のスロットルバルブ開度TASを推定する。なお、スロットルバルブアクチュエータ43aの作動遅れ時間を考慮に加えて、吸気弁閉時のスロットルバルブ開度TASを推定してもよい。
【0035】
(2)スロットルモデルM2
スロットルモデルM2は、スロットルバルブ43を通過する空気量(スロットル通過空気量)mtを、エネルギー保存則、運動量保存則、質量保存則、及び状態方程式に基づいて得られた下記数4及び下記数5に基づいて推定するモデルである。下記数4及び下記数5において、μは流量係数、Atはスロットル開口面積、νはスロットルバルブ43を通過する空気の流速、Paはスロットルバルブ上流圧力、Pmは吸気管圧力、Taは吸気温度、ρmは吸気密度、Rは気体定数、及びκは比熱比(以下、κを一定値として扱う。)である。
【0036】
【数4】
mt=μ・At・ν・ρm=μ・At・{Pa/(R・Ta)1/2}・Φ(Pm/Pa)
【0037】
【数5】
【0038】
ここで、上記数4は、k1を所定の係数(=μ・At・{Pa/(R・Ta)1/2})、mtsを吸気弁閉時のスロットル通過空気量とするとき下記数6に書き換えられる。また、数6において、内燃機関10が定常状態にある場合(スロットルバルブ開度が一定である場合)のスロットル通過空気量をmtsTA、及び吸気管圧力をPmTAとすると、下記数7が得られるので、数6及び数7から係数k1を消去して下記数8を得ることができる。
【0039】
【数6】
mts=k1・Φ(Pm/Pa)
【0040】
【数7】
mtsTA=k1・Φ(PmTA/Pa)
【0041】
【数8】
mts={mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}・Φ(Pm/Pa)
【0042】
上記数8の右辺における値{mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}は、スロットルバルブ開度TAが一定であるときの吸入空気流量(スロットル通過空気量)に関する値であり、スロットルバルブ開度TA、エンジン回転速度Ne、吸気弁の開閉タイミングVT、及びスロットルバルブ上流圧力Paが決定されると、実質的に一意に定まる値である。スロットルモデルM2は、スロットルバルブ開度TA、エンジン回転速度Ne、吸気弁の開閉タイミングVT、及びスロットルバルブ上流圧力Paと、値{mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}との関係を規定したテーブルをROM72内に記憶していて、このテーブルと吸気弁閉時の推定スロットルバルブ開度TAS、実際のエンジン回転速度Ne、実際の吸気弁の開閉タイミングVT、及び実際のスロットルバルブ上流圧力Paとに基づいて値{mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}を求める。
【0043】
また、数8の右辺における値Φ(Pm/Pa)は、上記数5から理解されるように、比熱比κが一定であるとき、吸気管圧力Pmとスロットルバルブ上流圧力Paにより決定される値である。スロットルモデルM2は、吸気管圧力Pm及びスロットルバルブ上流圧力Paと、値Φ(Pm/Pa)との関係を規定したテーブルをROM72内に記憶していて、このテーブルと、後述するインテークマニホールドモデルM4が現時点で既に演算している最新の吸気管圧力Pm、及び実際のスロットルバルブ上流圧力Paとに基づいて値Φ(Pm/Pa)を求める。以上により、吸気弁閉時のスロットル通過空気量mtsが求められる。
【0044】
(3)吸気弁モデルM3
吸気弁モデルM3は、吸気管圧力Pm、吸気管内温度Tm、及び吸気温度THA等から筒内吸入空気流量mcを推定するモデルである。吸気弁閉弁時の気筒内圧力は吸気弁32の上流の圧力、即ち吸気弁閉時の吸気管圧力Pmとみなすことができるので、筒内吸入空気流量mcは吸気弁閉時の吸気管圧力Pmに比例する。そこで、吸気弁モデルM3は筒内吸入空気流量mcを、経験則に基づく下記数9にしたがって求める。
【0045】
【数9】
mc=(THA/Tm)・(c・Pm−d)
【0046】
数9において、値cは比例係数、値dは筒内に残存していた既燃ガス量である。吸気弁モデルM3は、エンジン回転速度Ne、及び吸気弁の開閉タイミングVTと、比例係数c、及び既燃ガス量dとの関係をそれぞれ規定するテーブルをROM72内に格納していて、前記電子制御スロットルモデルM1によって推定された吸気弁閉時のスロットルバルブ開度TASと、実際のエンジン回転速度Neと、実際の吸気弁の開閉タイミングVTと前記格納しているテーブルとから比例係数c、及び既燃ガス量dを求める。また、吸気弁モデルM3は、演算時点において、後述するインテークマニホールドモデルM4により既に推定されている直前(最新)の吸気弁閉時の吸気管圧力Pmと直前の吸気管内空気温度Tmとを上記数9に適用し、吸気弁閉時の筒内吸入空気流量mcを推定する。
【0047】
(4)インテークマニホールドモデルM4
インテークマニホールドモデルM4は、質量保存則とエネルギー保存則とにそれぞれ基づいた下記数10及び下記数11にしたがって、吸気弁閉時の吸気管圧力Pmと、吸気弁閉時の吸気管内温度Tmとを求める。なお、Vは吸気管の容積、Rは気体定数、mtはスロットル通過空気量、Taはスロットルバルブ通過空気温度(即ち、吸気温度THA)である。
【0048】
【数10】
dPm/dt=κ・(R/V)・(mt・Ta−mc・Tm)
【0049】
【数11】
d(Pm/Tm)/dt=(R/V)・(mt−mc)
【0050】
図7に示したように、インテークマニホールドモデルM4は、スロットルモデルM2により推定されたスロットル通過空気量mtsを上記数10,数11におけるスロットル通過空気量mtとして使用し、吸気弁モデルM3により推定された吸気弁閉時の筒内吸入空気流量mcを上記数10,数11の筒内吸入空気流量mcとして使用する。このインテークマニホールドモデルM4により推定された吸気管圧力Pmが、前記吸気弁閉時の推定吸気管圧力Pm1となる。
【0051】
(Pm2の求め方)
上記エアフローメータ61が現時点で出力するであろう値に基づく吸気管圧力Pm2は、上記スロットルモデルM2と同じモデルであるスロットルモデルM5、エアフローメータモデルM6、上記吸気弁モデルM3と同じ吸気弁モデルM7、及び上記インテークマニホールドモデルM4と同じインテークマニホールドモデルM8により求められる。
【0052】
(5)スロットルモデルM5
具体的に述べると、スロットルモデルM5は、上記数8を書換えた下記数12に従って、現時点におけるスロットル通過空気量mtTHRを推定する。
【0053】
【数12】
mtTHR={mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}・Φ(Pm/Pa)
【0054】
スロットルモデルM5は、上記数12の右辺における値{mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}を、スロットルバルブ開度TA、エンジン回転速度Ne、吸気弁の開閉タイミングVT、及びスロットルバルブ上流圧力Paと、値{mtsTA/Φ(PmTA/Pa)}との関係を規定した前記テーブルと、スロットルポジションセンサ64が実際に検出したスロットルバルブ開度TA(以下、「実スロットルバルブ開度TAR」と称呼する。)、実際のエンジン回転速度Ne、実際の又は計算された吸気弁の開閉タイミングVT、及び実際のスロットルバルブ上流圧力Paとに基づいて求める。
【0055】
また、スロットルモデルM5は、数12の右辺における値Φ(Pm/Pa)を、吸気管圧力Pm及びスロットルバルブ上流圧力Paと値Φ(Pm/Pa)との関係を規定した前記テーブルと、後述するインテークマニホールドモデルM8が既に計算している最新の吸気管圧力PmR、及び実際のスロットルバルブ上流圧力Paとに基づいて求める。以上により、現時点におけるスロットル通過空気量mtTHRが求められる。
【0056】
(6)エアフローメータモデルM6
エアフローメータモデルM6は、スロットル通過空気量が所定の量αである場合に、エアフローメータ61が出力するであろう値を推定し、この推定値に基づいてスロットル通過空気量mtRを推定するモデルである。この場合、上記所定の量αは、スロットルモデルM5が推定したスロットル通過空気量mtTHRである。
【0057】
エアフローメータモデルM6は、先ず、スロットル通過空気量mtTHRに対する完全放熱量W1,W2を、同完全放熱量W1,W2とスロットル通過空気量mtとの関係を規定するテーブルと、前記求められたスロットル通過空気量mtTHRとに基づいて求める。完全放熱量W1、及び完全放熱量W2は、図3に示した熱線計量部61aのボビン部61a1、及び同熱線計量部61aのサポート部61a2にそれぞれ対応した放熱遅れを含まない放熱量である。
【0058】
次に、エアフローメータモデルM6は、ボビン部61a1、及びサポート部61a2にそれぞれ対応する放熱量であり、完全放熱量W1,W2に対してそれぞれ一次遅れの特性を有する応答遅れを含む放熱量(応答放熱量)w1,w2を下記数13及び下記数14にしたがって求める。数13,数14における添え字iは今回の演算値、添え字i−1は前回の演算値を表し、Δtは前回の演算値を求めてから今回の演算値を求めるまでの時間である。
【0059】
【数13】
w1i=Δt・(W1i−w1i-1)/τ1+w1i-1
【0060】
【数14】
w2i=Δt・(W2i−w2i-1)/τ2+w2i-1
【0061】
上記数15,数16において、τ1、及びτ2は、ボビン部61a1、及びサポート部61a2にそれぞれ対応する上記一次遅れ特性の時定数であり、下記数15及び下記数16により求められる。数15,数16中の値k10,k20、及び値m1,m2は、実験的に求められた値である。また、値uはエアフローメータ61の熱線計量部61aにバイパスされた単位断面積当たりの通過空気量であり、図5に示したエアフローメータ61の出力電圧Vgと実測された吸入空気量mtAFMとの関係を規定するVg−mtAFM変換テーブルと、エアフローメータ61の実際の出力電圧Vgとに基づいて求められた吸入空気量mtAFMを、前記熱線計量部61aのバイパス流路断面積Sで除した値(mtAFM/S)である。
【0062】
【数15】
τ1=k10・um1
【0063】
【数16】
τ2=k20・um2
【0064】
そして、エアフローメータモデルM6は、応答放熱量w1,w2の和(w1+w2)とエアフローメータ61が出力するであろう値に基づくスロットル通過空気量mtRとの関係を規定した図9に示したテーブルと、上記数13〜数16により求められた応答放熱量w1,w2の和(w1+w2)とに基づいて、現時点でエアフローメータ61が出力するであろう値に基づくスロットル通過空気量mtRを求める。
【0065】
(7)吸気弁モデルM7
吸気弁モデルM7は、上記吸気弁モデルM3と同様に、上記数9にしたがって現時点における筒内吸入空気流量mcRを求める。但し、吸気弁モデルM7は、後述するインテークマニホールドモデルM8により既に求めらている現時点の吸気管圧力PmR、及び現時点の吸気管内温度TmRを、上記数9における吸気管圧力Pm、及び吸気管内温度Tmに適用する等、必要なパラメータを全て現時点のものとして数9の計算を行う。
【0066】
(8)インテークマニホールドモデルM8
インテークマニホールドモデルM8は、インテークマニホールドモデルM4と同様に、上記数10,数11を用いて現時点における吸気管圧力Pmを求める。但し、インテークマニホールドモデルM8は、上記エアフローメータモデルM6により求められたスロットル通過空気量mtR、及び上記吸気弁モデルM7により求められた現時点における筒内吸入空気流量mcRを、それぞれ数10,数11におけるスロットル通過空気量mt、及び筒内吸入空気流量mcとして使用する。このインテークマニホールドモデルM8により推定されたPmが、前記エアフローメータ61が現時点で出力するであろう値に基づく吸気管圧力Pm2となる。
【0067】
(Pm3の求め方)
上記エアフローメータ61の現時点における実際の出力電圧Vgに基づく吸気管圧力Pm3は、上記インテークマニホールドモデルM4,M8と同じモデルであるインテークマニホールドモデルM9により求められる。
【0068】
(9)インテークマニホールドモデルM9
具体的に述べると、インテークマニホールドモデルM9は、エアフローメータ61の出力電圧Vgと図5に示したVg−mtAFM変換テーブルとにより求められる現時点の実測された吸入空気量mtAFMを上記数10,数11におけるスロットル通過空気量mtとして使用するとともに、上記吸気弁モデルM7により求められた現時点での筒内吸入空気流量mcRを同数10,数11の筒内吸入空気流量mcとして使用し、吸気管圧力Pmを求める。このインテークマニホールドモデルM9により推定された吸気管圧力Pmが、エアフローメータ61の現時点における実際の出力電圧Vgに基づく吸気管圧力Pm3となる。以上により、吸気管圧力Pm1〜Pm3が求められ、上記数3にしたがって要求燃料噴射量fcが求められる。
【0069】
(燃料付着量推定、燃料付着量制御、及び燃料噴射量制御の概要)
次に、本制御装置が行う燃料付着量の推定方法、燃料付着量の制御方法、及び燃料噴射量決定方法の概要について説明する。図10に概念的に示したように、インジェクタ39から噴射された燃料は、その一部が吸気管41の壁面部、及び図10において図示を省略した吸気弁等からなる吸気通路構成部材に付着する。
【0070】
より具体的に述べると、特定の気筒に着目した図11に示したように、fiをインジェクタ39から同特定気筒の一吸気行程に対して噴射される燃料噴射量、fwを吸気通路構成部材にすでに付着している燃料の量、Pを吸気通路構成部材にすでに付着している燃料のうち一吸気行程を経た後に同吸気通路構成部材に付着したまま残留している燃料の割合(残留率P)、Rをインジェクタ39から噴射された前記燃料のうち吸気通路構成部材へ付着する燃料の割合(付着率R)、添え字kを今回の演算値(今回の吸気行程に対する値)、添え字k+1は次回の演算値(次回の吸気行程に対する値)とすると、今回噴射された燃料のうち吸気通路構成部材に新たに付着する燃料量はR・fi(k)であり、吸気通路構成部材にすでに付着していた燃料のうち同吸気通路構成部材に残留する燃料量はP・fw(k)であるから、燃料付着量fw(k+1)について下記数17が成立する。下記数17は、燃料付着量の燃料付着モデルを記述したものであって、この演算を行う手段が燃料付着量推定手段に相当する。
【0071】
【数17】
fw(k+1)=R・fi(k)+P・fw(k)
【0072】
従って、一吸気行程において、今回噴射された燃料のうち吸気通路構成部材に付着せず筒内に直接吸入される燃料量は(1−R)・fi(k)となり、吸気通路構成部材に付着していた燃料のうち同吸気通路構成部材から離脱して筒内に吸入される燃料量は(1−P)・fw(k)となるから、筒内に吸入される燃料量fc(k)は下記数18により表すことができる。
【0073】
【数18】
fc(k)=(1−R)・fi(k)+(1−P)・fw(k)
【0074】
数18の計算に必要な燃料付着量fw(k)は、数17から順次求めることができるので、同数18の燃料量fc(k)を上記数1又は数2により求められる筒内吸入空気量に基づく要求燃料噴射量fcと置くことにより、燃料噴射量fi(k)を決定することができる。このように、数18を利用して、燃料噴射量fi(k)を演算する手段が、燃料噴射量決定手段を構成する。
【0075】
(作動)
以下、上記内燃機関の制御装置の作動について、CPU71が実行するルーチン(プログラム)をフローチャートにより示した図12乃至図18を参照しながら説明する。
【0076】
(スロットルバルブ制御)
CPU71は、図12のスロットルバルブ制御ルーチンの処理を所定時間(2msec)の経過毎にステップ1200から開始し、ステップ1205に進んでアクセルペダル操作量Accpを読み込む。次いで、CPU71はステップ1210に進み、同ステップ1210にて図8と同じテーブルを用いることにより上記読み込んだアクセルペダル操作量Accpに基づく暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1を求める。
【0077】
次に、CPU71はステップ1215に進んで変数Iを「64」に設定し、続くステップ1220にて記憶値θr(I)にθr(I−2)の値を格納する。現時点では、変数Iは「64」であるから、記憶値θr(64)に記憶値θr(62)の値が格納される。次いで、CPU71はステップ1225に進み、変数Iが「2」と等しくなったか否かを判定する。この場合、変数Iの値は「64」であるから、CPU71はステップ1225にて「No」と判定してステップ1230に進み、同ステップ1230にて変数Iの値を「2」だけ減少し、その後上記ステップ1220に戻る。この結果、ステップ1220が実行されると、記憶値θr(62)に記憶値θr(60)の値が格納される。このような処理は、変数Iの値が「2」となるまで繰り返し実行される。
【0078】
その後、ステップ1230の処理が繰り返されて変数Iの値が「2」となると、CPU71はステップ1225にて「Yes」と判定してステップ1235に進み、同ステップ1235にて前記ステップ1210にて求めた現時点における暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1を記憶値θr(0)に格納する。以上により、現時点からImsec前(0msec≦Imsec≦64msec)の暫定的な目標スロットルバルブ開度θr(I)(I=64,62,・・・,4,2,0)がRAM73内に記憶されることになる。
【0079】
次に、CPU71はステップ1240に進み、同ステップ1240にて記憶値θr(64)を最終的な目標スロットルバルブ開度θrとして設定し、続くステップ1245にて実際のスロットルバルブ開度が目標スロットルバルブ開度θrと等しくなるように、スロットルバルブアクチュエータ43aに対し駆動信号を出力し、その後ステップ1295にて本ルーチンを一旦終了する。
【0080】
以降においても、上記ルーチンの処理は2msecの経過毎に実行される。この結果、実際のスロットルバルブ開度が、64msec前のアクセルペダル操作量Accpに基づく目標スロットルバルブ開度θrと等しくなるように制御される。これにより、上記電子制御スロットルモデルM1による吸気弁閉時のスロットルバルブ開度TASの推定が可能となる。
【0081】
(吸気弁開閉タイミング制御)
CPU71は、図13の吸気弁開閉タイミング制御ルーチンを所定時間(例えば、2msec)の経過毎にステップ1300から開始し、ステップ1305に進んクランクポジションセンサ67の出力に基づくエンジン回転速度Neを読み込むとともに、ステップ1310にて前述した筒内吸入空気量に相当する値KLFWD(即ち、エンジン負荷)を読込む。なお、筒内吸入空気量に相当する値KLFWDは、所定時間毎に繰り返し実行される前述した要求噴射量の決定方法(図7に示したモデル)に従う図示しないルーチンにより求められている。
【0082】
次に、CPU71はステップ1315に進み、同ステップ1315内に示したテーブルと上記読み込んだエンジン回転速度Ne及び筒内吸入空気量相当値KLFWDとに基づいて吸気弁の開閉タイミング(進角量)VTを決定し、続くステップ1320にて実際の進角量が前記決定した進角量VTとなるように、アクチュエータ33aに駆動信号を出力し、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。。なお、ステップ1315に示したテーブルにおいては、VT1,VT2,VT3の順に進角量が大きくなるように設定されている。
【0083】
以降においても、上記処理は2msecの経過毎に実行される。この結果、実際の吸気弁開閉タイミングの進角量が、エンジン回転速度Neと筒内吸入空気量相当値KLFWDに応じた値に変更される。
【0084】
(燃料付着量の推定、及び燃料噴射量の決定)
CPU71は、特定気筒のクランク角が、その気筒の吸気上死点から所定クランク角度だけ前の角度(例えば、BTDC90°)になると、図14の燃料噴射量決定ルーチンの処理をステップ1400から開始してステップ1405に進み、同ステップ1405にて、図7に示したモデルに従って別途計算されている上記吸気弁閉時の筒内吸入空気量に相当する値KLFWD、後述されるルーチンにより求められている空燃比補正係数FAF、及び空燃比学習値FGと、上記数1とにしたがって今回の要求燃料噴射量fc(k)を算出する。
【0085】
次いで、CPU71はステップ1410に進んで、SCV開度センサ65が検出するSCV開度θiv、クランクポジションセンサ67の出力に基づくエンジン回転速度Ne、水温センサ68が検出する冷却水温THW、吸気弁開閉タイミング(進角量)VT、及び上記筒内吸入空気量相当値KLFWDを推定する際に求めた吸気管圧力Pm(PMFWD)等のパラメータ(以下、このパラメータを「引数パラメータ」と称呼する。)を読み込む。
【0086】
次に、CPU71はステップ1415に進んで、上記引数パラメータと付着率Rとの関係を規定する予めROM72に記憶したテーブルと、上記ステップ1410にて読み込んだ引数パラメータとに基づき、現時点での付着率Rを決定し、同様に、ステップ1420に進んで、上記引数パラメータと残留率P(これら、付着率Pと残留率Rは、「燃料付着モデルパラメータ」と称呼される。)との関係を規定する予めROM72に記憶したテーブルと、上記ステップ1410にて読み込んだ引数パラメータとに基づき、現時点での残留率Pを決定する。次いで、CPU71はステップ1425に進み、上記数18を変形して得た同ステップ1425に示した式、上記ステップ1405にて求めた要求燃料噴射量fc(k)、及び上記ステップ1415、及び上記ステップ1420にて決定した燃料付着モデルパラメータに基づいて今回の燃料噴射量fi(k)を算出し、続くステップ1430にて上記数17にしたがって燃料付着量fw(k+1)を求める。
【0087】
次に、CPU71はステップ1435に進んで燃料付着量fw(k+1)から燃料付着量fw(k)を減じた値を燃料噴射量の時間的変化量Δfwとして求める。なお、前記時間的変化量Δfwを、その時点のエンジン回転速度Neから求められるエンジン1回転当たりの時間で除すことにより、単位時間当たりの燃料付着量の時間的変化量を変化量Δfwとして設定してもよい。また、ステップ1435は、内燃機関の運転状態を取得する運転状態取得手段を構成している。そして、CPU71はステップ1440に進み、同ステップ1440にて燃料付着量fw(k+1)を次回の演算のために燃料付着量fw(k)に置き換え、次のステップ1445にて上記1425にて決定した今回の燃料噴射量fi(k)だけ燃料を噴射するように前記特定気筒に対するインジェクタ39に駆動信号を送出し、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0088】
以上により、上記特定の気筒に対する燃料噴射量が、燃料付着量、従って筒内流入燃料量に基づいて決定され、同燃料噴射量の燃料が同特定気筒に対するインジェクタ39から噴射される。なお、CPU71は、他の気筒に対しても、図14のルーチンと同様なルーチンを同様なタイミングで実行する。
【0089】
(燃料付着量調整手段としてのSCV(吸気制御弁)制御ルーチン)
CPU71は、図15の吸気制御弁制御ルーチンの処理を所定時間の経過毎にステップ1500から開始し、ステップ1505に進んで上記演算により求めた燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が所定の正の判定値Aより大きいか否かを判定し、同時間的変化量Δfwの絶対値が判定値Aより大きい場合には、ステップ1510に進んで同時間的変化量Δfwが正であるか否かを判定する。そして、時間的変化量Δfwが正である場合には、燃料付着量fwが急増していることを意味するので、CPU71はステップ1515に進んでSCVの目標開度θivrをΔθ1だけ増大させる(即ち、第2インテークマニホールド46の開口断面積を増大する)ことにより、燃料付着量fwの増加速度を低下させ、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0090】
他方、ステップ1510にて時間的変化量Δfwが負であると判定される場合には、燃料付着量fwが急減していることを意味するので、CPU71はステップ1520に進んでSCVの目標開度θivrをΔθ2だけ減少させる(即ち、第2インテークマニホールド46の開口断面積を減少する)ことにより、燃料付着量fwの減少速度を低下させ、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0091】
このようにして、本制御装置は、燃料付着量制御手段であるSCV44の開度θivを増大又は減少させることにより、燃料付着量fwが一定値にて安定するまでの時間(収束時間)を長くし、実際の燃料付着量の時間的変化量の絶対値が過大とならないようにすることで、推定される燃料付着量の時間的変化量Δfwが過大となることを防止する。これにより、燃料付着パラメータの精度が向上するので、推定される燃料付着量fwに含まれる推定誤差の絶対量を小さくすることができる。
【0092】
次に、燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が所定の正の判定値Aより小さく、空燃比の学習が十分に実施されてなく、且つ前記燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が前記正の判定値Aより小さい正の判定値Bよりも大きい場合について説明する。
【0093】
この場合、CPU71は所定のタイミングにてステップ1505に進んだとき、同ステップ1505にて「No」と判定してステップ1525に進み、後述する空燃比の学習が十分に実施されているとき値「1」、十分に実施されていないとき値「0」となるフラグXFGの値が「0」であるか否かを判定する。前述の仮定に従えば、現時点では学習が十分に実施されていないから、フラグXFGの値は「0」である。従って、CPU71はステップ1525にて「Yes」と判定してステップ1530に進み、同ステップ1530にて燃料噴射量の時間的変化量Δfwの絶対値が判定値Bより大きいか否かを判定する。
【0094】
この場合、前述の仮定により、燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値は判定値Bより大きい。従って、CPU71はステップ1530にて「Yes」と判定してステップ1535に進み、同ステップ1535にて燃料付着量の時間的変化量Δfwが正であるか否かを判定する。そして、時間的変化量Δfwが正である場合には、燃料付着量fwが緩増していることを意味するので、CPU71はステップ1540に進んでSCVの目標開度θivrをΔθ3だけ減少させ、燃料付着量fwの増加速度を増大させ、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0095】
他方、ステップ1535にて時間的変化量Δfwが負であると判定される場合には、燃料付着量fwが緩減していることを意味するので、CPU71はステップ1545に進んでSCVの目標開度θivrをΔθ4だけ増大させ、燃料付着量fwの減少速度を増大させ、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、上記Δθ3、及びΔθ4は、燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が上記判定値Aより大きくならないように選択される。
【0096】
このようにして、本制御装置は、燃料付着量制御手段であるSCV44の開度を増大又は減少させることにより燃料付着量fwの変化速度を同燃料付着量fwの変化方向において増大する。これにより、燃料付着量fwが一定値にて安定するまでの時間(収束時間)を短くすることができるので、後述する空燃比の学習機会を増大することができる。
【0097】
次に、空燃比の学習が十分に実施されている場合、又は、燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が判定値Bより小さい場合について説明すると、CPUはステップ1505に進んだとき、同ステップ1505にて「No」と判定してステップ1525に進む。そして、CPU71は、ステップ1525にて「No」と判定するか、又は、ステップ1530にて「No」と判定して、ステップ1595に直接進む。即ち、この場合、SCV44の開度θivは変更されない。
【0098】
(空燃比フィードバック制御ルーチン)
CPU71は、図16に示した空燃比フィードバック制御ルーチンの処理を所定時間の経過毎にステップ1600から開始し、ステップ1605に進んで空燃比フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。この条件の例としては、O2センサ69が活性化していることを挙げることができる。空燃比フィードバック制御条件が成立していない場合、CPU71はステップ1605にて「No」と判定し、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0099】
一方、空燃比フィードバック制御条件が成立していて、O2センサ69により検出された空燃比がリッチであり、前回の本ルーチン実行時において同検出された空燃比がリーンであった場合には、CPU71はステップ1605にて「Yes」と判定し、検出された空燃比がリッチであるか否かを判定するステップ1610にて「Yes」と判定するとともに、前回検出された空燃比がリーンであったか否かを判定するステップ1615にて「Yes」と判定してステップ1620に進む。そして、CPU71は、ステップ1620にて空燃比フィードバック補正係数FAFをスキップ量SKIPだけ減少し、続くステップ1625にて空燃比フィードバック補正係数FAFをリッチ反転時補正係数FAFRとして格納した後、ステップ1695にて本ルーチンを一旦終了する。
【0100】
また、上記ステップ1615の判定時において、前回の空燃比がリーンでなかった場合、CPU71は同ステップ1615にて「No」と判定してステップ1630に進み、同ステップ1630にて空燃比フィードバック補正係数FAFを、前記スキップ量SKIPより小さい積分量KIだけ減少した後、ステップ1695にて本ルーチンを一旦終了する。
【0101】
他方、空燃比フィードバック制御条件が成立していて、O2センサ69により検出された空燃比がリーンであり、前回の本ルーチン実行時において同検出された空燃比がリッチである場合には、CPU71はステップ1605にて「Yes」、ステップ1610にて「No」と判定するとともに、前回検出された空燃比がリッチであったか否かを判定するステップ1635にて「Yes」と判定してステップ1640に進む。そして、CPU71は、ステップ1640にて空燃比フィードバック補正係数FAFをスキップ量SKIPだけ増大し、続くステップ1645にて空燃比フィードバック補正係数FAFをリーン反転時補正係数FAFLとして格納するとともに、ステップ1650にて先のステップ1625にて格納したリッチ反転時補正係数FAFRと、先のステップ1645にて格納したリーン反転時補正係数FAFLとの平均値を空燃比補正係数平均値FAFAVEとして格納し、その後、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0102】
また、上記ステップ1635の判定時において、前回の空燃比がリッチでなかった場合、CPU71は同ステップ1635にて「No」と判定してステップ1655に進み、同ステップ1655にて空燃比フィードバック補正係数FAFを、前記積分量KIだけ増大した後、ステップ1695にて本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
以上の処理が繰り返されることにより、空燃比フィードバック補正係数FAFがO2センサ69により検出される空燃比に応じて修正されるとともに、空燃比補正係数平均値FAFAVEが算出される。
【0104】
(フラグXFGの初期化)
フラグXFGは、前述したように、空燃比の学習が十分に実施されているとき値「1」、十分に実施されていないとき値「0」となるように設定される。図17に示した初期化ルーチンは、このフラグXFGの値を「0」に設定するルーチンである。即ち、CPU71は、車両の図示しないイグニッションスイッチがオフからオンへと変更されたとき、バックアップRAM74に格納している後述する学習値FGの値が正常であるか否かを判定する。バックアップRAM74に格納されている値は、例えば、車両のバッテリが取り外されて同バッテリから電気制御装置70への電力供給が完全に遮断されたとき、何らかの異常が生じたとき、工場出荷時、或いは図示しない電気制御装置70のリセットボタンが押圧されたとき等に正常時にとり得る値以外の値となるように設定されている。
【0105】
そして、CPU71は、バックアップRAM74の値が正常であると判定すると、そのままステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了し、バックアップRAM74の値が異常であると判定すると、ステップ1710に進んでフラグXFGの値を「0」に設定し、続くステップ1715にて学習回数を示すカウンタCNの値を「0」に設定する。このように、バックアップRAM74の値が異常であって、学習が十分行われていない状態であると判定されると、フラグXFGの値、及びカウンタCNの値が「0」に設定される。
【0106】
(空燃比学習値FGの学習(更新))
CPU71は、図18に示した空燃比学習値FGの学習ルーチンの処理を所定時間の経過毎にステップ1800から開始し、ステップ1805に進んで上記燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が所定値Δf1より小さいか否かを判定する。
【0107】
いま、内燃機関の運転状態が、スロットルバルブ開度の急変等による過渡状態にあるとすると、燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が所定値Δf1以上である。このような過渡状態においては、空燃比学習値FGを更新すべきでない。従って、CPU71はステップ1805にて「No」と判定してステップ1895に進み、同ステップ1895にて本ルーチンを一旦終了する。
【0108】
他方、燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が所定値Δf1より小さい場合、CPU71はステップ1805にて「Yes」と判定してステップ1810に進み、同ステップ1810にて空燃比補正係数平均値FAFAVEが所定値Cより大きいか否かを判定し、「Yes」と判定される場合はステップ1815にて空燃比学習値FGの値を所定値αだけ増大し、ステップ1820に進む。また、ステップ1810にて「No」と判定される場合、ステップ1810からステップ1820に直接進む。
【0109】
次に、CPU71は、ステップ1820にて空燃比補正係数平均値FAFAVEが所定値Cよりも小さい所定値Dより小さいか否かを判定し、「Yes」と判定される場合はステップ1825にて空燃比学習値FGの値を所定値αだけ減少し、ステップ1830に進む。また、ステップ1820にて「No」と判定される場合、ステップ1820からステップ1830に直接進む。このようにして、CPU71は空燃比学習値FGを更新する。
【0110】
次いで、CPU71はステップ1830に進み、同ステップ1830にてカウンタCNの値を「1」だけ増大し、ステップ1835に進んで同カウンタCNの値が所定値C1以上となったか否かを判定する。カウンタCNの値が所定値C1以上であるときは、空燃比学習値FGの学習(更新)が十分実施されたことを意味する。従って、カウンタCNの値が所定値C1以上であるとき、CPU71はステップ1835にて「Yes」と判定してステップ1840に進み、同ステップ1840にてフラグXFGの値を「1」に変更する。他方、カウンタCNの値が所定値C1より小さいとき、CPU71はステップ1835にて「No」と判定してステップ1895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0111】
以上説明したように、本発明による内燃機関の制御装置の実施形態によれば、吸気制御弁であるSCV44を回転駆動することにより、実際の燃料付着量を制御する。従って、燃料付着量の変化量が必要以上に大きくなることがなく、燃料付着量の推定値に含まれる誤差が小さい値に抑制されるから、同燃料付着量の推定値により補正される燃料噴射量が適正な値となり、空燃比の変動を抑制することができる。また、定常運転状態における空燃比の学習が必要である場合等においては、燃料付着量を早期に安定させることができるので、同空燃比の学習機会を増大することができる。
【0112】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態における燃料付着量制御手段は、ストレートポートに設けられたSCV44を含んで構成されていたが、このSCV44に代えて、各気筒の燃焼室25に対して並列に、且つ互いに略同一形状に形成された一対の吸気通路の何れか一方に回転可能に配設された吸気流制御弁(特開平8−109836号公報を参照。)を用いることもできる。また、燃料噴射手段としてのインジェクタ39に加わる燃料圧力を調整する手段を燃料付着量制御手段として採用してもよい。この場合、燃料圧力を上昇することで燃料が微粒子化されるので、燃料付着量を減少させることができる。また、燃料圧力を低下することで燃料粒子の径が大きくなるので、燃料が吸気管壁等に付着し易くなり、燃料付着量を増大することができる。
【0113】
また、上記実施形態においては、燃料噴射量の時間的変化量Δfwに基づいて、燃料付着量制御手段による燃料付着量の制御を行っていたが、前回の燃料付着量fw(k)と今回の燃料付着量fw(k+1)の差が所定値以下である状態が所定時間以上継続した場合の燃料付着量fwを定常時の燃料付着量fwstとして随時記憶しておき、新たに算出された燃料付着量fw(k+1)と前記記憶された定常時の燃料付着量fwstとの差を上記Δfwに置き換え、これに応じて燃料付着量制御手段による上記燃料付着量の制御を行ってもよい。また、スロットルバルブ開度TAの時間的変化量ΔTAやエンジン回転速度Neの時間的変化量ΔNe等の上記引数パラメータの時間的変化量(即ち、推定される燃料付着量に相当する値)に基づいて燃料付着量制御手段の制御を行ってもよい。更に、上記空燃比に関する値の学習は燃料噴射量の学習であったが、例えば、特開平9−184444号公報に開示されているようなエバポパージ量の学習であってもよい。また、これらの空燃比に関する値の学習における学習値の更新許可条件は、上記推定された燃料付着量の時間的変化量Δfwの絶対値が所定値Δf1以下であることに代え(又は、加え)、スロットルバルブ開度TAや吸気管圧力PMFWD等のエンジン負荷の時間的変化量が所定値より小さいこと等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による内燃機関の制御装置を火花点火式多気筒内燃機関に適用したシステムの概略構成図である。
【図2】 図1に示した特定の気筒の燃焼室、及び同燃焼室の近傍部分を概念的に示した平面図である。
【図3】 図1に示したエアフローメータの概略斜視図である。
【図4】 図3に示したエアフローメータの熱線計量部の拡大斜視図である。
【図5】 図1に示したCPUが参照するエアフローメータの出力と吸入空気量(吸入空気流量)との関係を規定したテーブルを表した図である。
【図6】 吸気弁閉時の吸気管圧力を予測する方法を説明するために、スロットルバルブ開度の変化と各種のモデルにより計算される吸気管圧力の変化を示したタイムチャートである。
【図7】 図1に示した制御装置が吸気弁閉時の筒内吸入空気量に相当する値を推定するために採用した各種モデルの接続関係を示す機能ブロック図である。
【図8】 図1に示したCPUが参照するアクセルペダル操作量と目標スロットルバルブ開度との関係を規定したテーブルを表した図である。
【図9】 図1に示したCPUが参照する応答放熱量の和とエアフローメータが出力するであろう値に基づくスロットル通過空気量との関係を規定したテーブルを表した図である。
【図10】 図1に示した制御装置による燃料付着量の推定方法を説明するために、インジェクタから噴射された燃料が吸気通路に付着する様子を概念的に示した図である。
【図11】 図1に示したインジェクタから噴射された燃料量と、吸気通路を構成する部材への燃料付着量、及び筒内に流入する燃料量の関係を説明するための図である。
【図12】 図1に示したCPUがスロットルバルブ開度を制御するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図13】 図1に示したCPUが、吸気弁開閉タイミングを制御するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図14】 図1に示したCPUが燃料付着量を推定するとともに、燃料噴射量を決定するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図15】 図1に示したCPUがSCVを制御するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図16】 図1に示したCPUが空燃比フィードバック補正係数を演算するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図17】 図1に示したCPUが空燃比の学習が十分に行われているか否か示すフラグXFGの値を操作するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図18】 図1に示したCPUが空燃比学習値FGを更新(学習)するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…火花点火式多気筒内燃機関、20…シリンダブロック部(エンジン本体部)、25…燃焼室、31…吸気ポート、32…吸気弁、33…可変吸気タイミング装置、39…インジェクタ、41…吸気管、43…スロットルバルブ、44…スワールコントロールバルブ(SCV)、44a…SCVアクチュエータ、70…電気制御装置、71…CPU。
Claims (2)
- 燃焼室に接続された吸気通路内にて燃料を噴射する燃料噴射手段と、
前記吸気通路を構成する部材への燃料付着量を推定する燃料付着量推定手段と、
前記燃料噴射手段から噴射される燃料量を前記推定された燃料付着量に応じて制御する燃料噴射量制御手段と、
前記燃料付着量推定手段によって推定された燃料付着量の時間的変化量を取得する手段と、
前記吸気通路内に回動可能に設けられるとともに前記燃焼室に吸入される吸気流を制御する吸気制御弁の開度を、前記取得された燃料付着量の時間的変化量に基いて制御する燃料付着量調整手段と、
を備えた内燃機関の制御装置において、
前記燃料付着量調整手段は、
前記取得された燃料付着量の時間的変化量の絶対値が判定値Aより大きく且つ前記取得された燃料付着量が増大している場合には燃料付着量の増加速度を低下させるように前記吸気制御弁の開度を変更し、同取得された燃料付着量の時間的変化量の絶対値が同判定値Aより大きく且つ同取得された燃料付着量が減少している場合には燃料付着量の減少速度を低下させるように前記吸気制御弁の開度を変更する内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
前記燃料付着量推定手段は、
前記吸気通路を構成する部材である吸気通路構成部材にすでに付着している燃料のうち一吸気行程を経た後に同吸気通路構成部材に付着したまま残留している燃料の割合である残留率Pと、前記燃料噴射弁から噴射された燃料のうち前記吸気通路構成部材へ付着する燃料の割合である付着率Rと、を燃料付着パラメータとして使用する燃料付着モデルによって前記燃料付着量を推定するように構成されるとともに、少なくとも前記吸気制御弁の開度に基いて前記残留率P及び前記付着率Rを取得するように構成された内燃機関の制御装置。
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