JP4395985B2 - 車両の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の変速制御装置に係り、特に、回転センサ故障時の変速制御をバックアップする車両の変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタヘッドにトレーラを連結する形式の大型のトラックなどでは、トレーラに荷を満載している場合、トレーラが空の場合、トラクタヘッド単体の場合などで、総重量負荷が大きく異なるが、どの場合の運転でも良好なエンジン状態を保ちつつ快適運転を行うために、普通の荷台付きトラックよりも変速段数をかなり多くしてある。例えば、4段変速が可能な主変速機の前段・後段に、比較的変速比の小さい2段変速のスプリッタと比較的変速比の大きい2段変速のレンジとを挿入し、これらスプリッタ、主変速機、レンジの組み合わせにより、総合で16段変速が可能な構成としたものがある。このように多段変速を採用することにより、広い速度範囲にわたり良好なエンジン状態が得られるギア段選択を可能にすると共に無理のない加減速を行うことができる。
【0003】
ギア段の切替えは、コンピュータ等からなる変速制御部を介しアクチュエータで行われるが、そのシフトチェンジ操作は、変速制御部が自動で行う自動変速操作と、マニュアルチェンジ操作とが可能である。チェンジレバーは、安定位置であるDポジション(=Hポジション)から瞬時的に前傾・後傾させることが可能に構成されており、マニュアルチェンジの場合、チェンジレバーをHポジションから前傾させるとシフトアップ操作、後傾させるとシフトダウン操作が運転者の要求として変速制御部に認識される。そして、変速制御部が現在のギア段をそれより高速(または低速)のギア段に切り替える。このシフトアップ操作(またはシフトダウン操作)を繰り返すことで現状のギア段より順次高い(または低い)ギア段に変速できる。チェンジレバーがHポジションに保持されていれば、現状のギア段が維持される。自動変速の場合、チェンジレバーは操作することなくDポジションのままで、変速制御部がエンジン状態や車速を考慮して最適のギア段を選択し、実行する。自動変速の場合でも、運転者がチェンジレバーをDポジションから前傾、後傾させると、変速制御部は現在選択しているギア段からのシフトアップ・シフトダウンを受けつけるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように変速制御部は、車速に基づいて最適のギア段を選択するが、この車速には、実際の車速ではなく、変速機の出力軸の回転数を用いている。変速機より後段には変速要素がなく、出力軸の回転数と車速とが比例するので、出力軸の回転数をギア段選択のための車速信号としても問題はない。また、後述する電子シンクロ制御では出力軸の回転数が必要になるため、出力軸に回転センサを設けることになる。よって、この回転センサからギア段選択のための車速信号を得ることができる。
【0005】
しかしながら、回転センサになんらかの異常があって実際の車速には比例しない車速信号が検出された場合、変速制御部は、その車速信号から最適のギア段を選択するため、実際には最適でないギア段への自動変速が行われてしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、センサ故障時の変速制御をバックアップする車両の変速制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、変速機の出力軸に回転センサを設け、検出された回転数に基づき目標ギア段を設定し、この目標ギア段への変速を行う変速制御部を設けた変速装置において、前記回転センサの出力信号に異常が検出されたときにカウンタをインクリメントし、前記回転センサの出力信号に異常が検出されないとき前記カウンタをデクリメントし、上記カウンタの値が0でない場合には、いったん変速を禁止した後、前記カウンタの値が設定値より大きければ前記回転センサが故障であると断定して車速表示用の車速センサから検出された回転数を基に前記出力軸の回転数を算出することにして変速禁止を解除し、前記カウンタの値が設定値未満であれば前記回転センサの故障断定を保留して変速禁止を続行するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0010】
本発明に係る変速制御装置は、自動変速の機能と共に、回転センサの状態に応じてギア段切替えを禁止/許可し、代替えのセンサから回転数を得る自動変速補助機能とを備える。自動変速補助機能が行う基本的処理、出力信号異常検出処理、アウトプットシャフト回転数算出処理を図1、図2、図3に示す。
【0011】
本発明を適用するに好適な車種として、トラクタヘッドにトレーラを連結し、多段変速を採用したデイーゼルエンジン車両を例にとる。以下、その車両の要部を説明する。
【0012】
図4に示されるように、クラッチ504(図5に示す)を介してエンジンに結合された多段変速機構401、多段変速機構401のアクチュエータを構成する空圧シリンダ系402、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサ403、多段変速機構401の出力軸の回転数を制御用の車速信号として検出するアウトプット回転センサ404、多段変速機構401のギア段切替えを制御する変速制御部とクラッチ位置を制御するクラッチ制御部とを構成するコントローラ(多段T/Mコントロールユニット)405、アクセルペダルの踏み込み量から要求アクセル開度を検出するアクセルセンサ406、運転者の変速操作をコントローラ405に伝えるチェンジレバー407、変速操作における自動変速/マニュアル変速を選択するA/M切換スイッチ(図示せず)、非常時等の特別な場合にギア段を強制的に設定する非常用変速スイッチ408、マニュアル操作でのクラッチ断接を行うクラッチペダル409、現在選択されているギア段を数字で表示する集合計器コンソール内のギア表示部410、エンジンに制御アクセル開度や燃料噴射時期を指令するエンジン制御部を構成するコントローラECU(エンジンコントロールユニット)411、クラッチの断接用アクチュエータ412、その断接用アクチュエータ412の位置検出に使用するストロークセンサ(図示せず)などを備えている。コントローラ405は、エンジン回転センサ403、アウトプット回転センサ404、その他からの運転状態を示す信号を入力し、内蔵されたシフトアップマップおよびシフトダウンマップ等のデータを読み出すと共に、多重タイマ割り込みにより数十ms等の時間間隔で各種の処理を実行することができる。コントローラ405とコントローラECU411とはバスケーブル等により接続されており、相互に連絡可能である。チェンジレバー207は、後進 (R)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)またはホールド(H)の安定ポジションと、シフトアップ操作要求(UP)、シフトダウン操作(DOWN)の瞬時的ポジションとを有し、レバー頂部に前記A/M切換スイッチを配置したものである。
【0013】
多段変速機構及び空圧シリンダ系の詳細を図5に示す。
【0014】
多段変速機構401は、4段変速が可能な主変速機501の前段に比較的変速比の小さい2段変速のスプリッタ502を挿入し、主変速機501の後段に比較的変速比の大きい2段変速のレンジ503を挿入したものである。
【0015】
スプリッタ502は、高速(H)、低速(L)、ニュートラルの3ポジションを有し、図4の断接用アクチュエータ412を作動させてクラッチ504を断・接させたとき、クラッチ504内のドリブンプレートが取り出したインプットシャフト505の回転をカウンタシャフト506にHまたはLの変速比で伝達するかまたは遮断するものである。
【0016】
主変速機501は、1st、2nd、3rd、4th、Revの各メインギア及びニュートラルの6ポジションを有する。スプリッタ502がL側のときインプットシャフト505の回転を4thのメインギア518を介して取り込み、また、スプリッタ502がH側のときはインプットメインギアとインプットカウンタギアを介して取り込み、カウンタシャフト506と一体のカウンタギア517に常時噛合するメインギア518と一体の複数のドグギア515に対し、適宜のスリーブ516を空圧シリンダ系303の作動によりスライドさせることにより、いずれかのドグギアの回転を前進4段に変速、または反転してメインシャフト507に取り込むかまたは遮断することができる。
【0017】
レンジ503は、遊星歯車機構の中心に位置するサンギア508をメインシャフト507に固定し、サンギア508の外側に位置するプラネタリギア509を同軸保持するキャリア510をアウトプットシャフト511に固定して構成され、プラネタリギア509の外側に位置するリングギア512の結合をハウジング側のスプライン519またはアウトプットシャフト511側のスプライン520に切り換えることでメインシャフト507の回転をアウトプットシャフト511にLまたはHの変速比で伝達することができる。
【0018】
カウンタシャフト506には、カウンタシャフト506に一体のカウンタギア517と、回転を制動するカウンタシャフトブレーキ513と、ギア歯をカウントして回転数を検出するカウンタシャフト回転センサ514とが設けられている。メインシャフト507上には、カウンタシャフト506に常時噛合してメインシャフト507の周囲を回る複数のメインギア518と、そのメインギア518に一体のドグギア515と、メインシャフト507に一体の複数のスリーブ516とが設けられている。
【0019】
ドグギア回転数検出手段は、カウンタシャフト回転センサ514が検出したカウンタシャフト回転数を主変速機501内の目標ギア段のギア比で換算してドグギア回転数を求めるものである。また、スリーブ回転数検出手段は、アウトプット回転センサ404が検出したアウトプットシャフト511の回転数をレンジ503内のH側またはL側のギア比で換算してスリーブ回転数を求めるものである。ドグギア回転制御手段は、コントローラ405内の変速制御部にあり、ドグギア回転を低下させるカウンタシャフトブレーキ制御と、主としてドグギア回転を高めるダブルクラッチ制御及びエンジン制御とを行うものである。
【0020】
空圧シリンダ系は、3つの電磁バルブ531,532,533でストローク制御されるスプリッタ用シリンダ530と、3つの電磁バルブ541,542,543でストローク制御されるセレクト用シリンダ540と、2つの電磁バルブ551,552でストローク制御されるスリーブシフト用シリンダ550と、2つの電磁バルブ561,562でストローク制御されるレンジ用シリンダ560と、1つの電磁バルブ571でオンオフ制御されるカウンタシャフトブレーキ513とを有し、これらの電磁バルブを組み合わせ動作させて、多段変速機構401の各部を切り替えるようになっている。580はエア源である。
【0021】
スプリッタ用シリンダ530は、シリンダ基底部に電磁バルブ531(以下、MVHという)、シリンダ胴部に電磁バルブ532(MVF)、シリンダ頭頂部に電磁バルブ533(MVG)をそれぞれ接続し、シリンダ胴部には両側にロッド534,535を備えたヘッド536を収容し、シリンダ基底部にはロッドを持たない単体ヘッド537を収容したものである。
【0022】
MVFのみ動作させると、ヘッド536がシリンダ頭頂部方向(図5の右側方向)に移動するので、ロッド535に連結されたスプリッタ502内のスプリッタスリーブがLポジションに移動する。MVGのみ動作させると、ヘッド536がシリンダ基底部方向(図5の左側方向)に移動するので、前記スプリッタスリーブがHポジションに移動する。MVGとMVHとを動作させると、単体ヘッド537がシリンダ胴部方向(シリンダの中央側)に移動するので、ヘッド536のシリンダ基底部方向への移動はロッド534が前記単体ヘッド537によって規制されて中間位置で止まり、スプリッタスリーブはニュートラルポジションに止まることになる。
【0023】
セレクト用シリンダ540は、シリンダ基底部に電磁バルブ541(MVE)、シリンダ胴部に電磁バルブ542(MVD)、シリンダ頭頂部に電磁バルブ543(MVC)をそれぞれ接続し、シリンダ胴部には両側にロッド544,545を備えたヘッド546を収容し、シリンダ基底部にはロッドを持たない単体ヘッド547を収容したものである。
【0024】
MVDのみ動作させると、ヘッド546がシリンダ頭頂部方向(図5の下側方向)に移動するので、ロッド545に連結されたセレクタ591がN3ポジションのシフタ592まで移動する。N3ポジションでは主変速機501を3rdか4thにギア入れすることができる。MVCのみ動作させると、ヘッド546がシリンダ基底部方向(図5の上側方向)に移動するので、セレクタ591がN1ポジションのシフタ593まで移動する。N1ポジションでは主変速機501をRevにギア入れすることができる。MVCとMVEとを動作させると、単体ヘッド547がシリンダ胴部方向(シリンダの中央側)に移動するので、ヘッド546はシリンダ基底部方向への移動がロッド544の前記単体ヘッド547への突き当たりによって規制されて中間位置で止まり、セレクタ591がN2ポジションのシフタ594の位置に止まる。N2ポジションでは主変速機501を1stか2ndにギア入れすることができる。
【0025】
スリーブシフト用シリンダ550は、シリンダ頭頂部に電磁バルブ551(MVB)、シリンダ基底部に電磁バルブ552(MVA)をそれぞれ接続し、シリンダ胴部にロッド553を備えたヘッド554を収容したものである。
【0026】
MVAのみ動作させると、ヘッド554がシリンダ頭頂部方向(図5の左側方向)に移動するので、ロッド553に連結されたセレクタ591がシフタ592,593,594からなるシフタ群のRev,2nd,4th側に移動する。MVBのみ動作させると、ヘッド554がシリンダ基底部方向(図5の右側方向)に移動するので、ロッド553に連結されたセレクタ591がシフタ群の1st,3rd側に移動する。MVAとMVBとを動作させると、ヘッド554は中立状態となり、セレクタ591は中立状態となる。
【0027】
各シフタ592,593,594は主変速機501の該当段のスリーブ516に連結されているので、セレクト用シリンダ540によりセレクタ591をN1,N2,N3のいずれかのポジションに移動させ、スリーブシフト用シリンダ550によりセレクタ591を移動させると、所望のスリーブ516を所望のドグギア515に噛合させて主変速機501を前進4段及び後進段に変速することができる。また、セレクタ591を中立状態とすることで主変速機501をニュートラルにすることができる。
【0028】
レンジ用シリンダ560は、シリンダ頭頂部に電磁バルブ561(MVI)、シリンダ基底部に電磁バルブ562(MVJ)をそれぞれ接続し、シリンダ胴部にロッド563を備えたヘッド564を収容したものである。
【0029】
MVIのみ動作させると、ヘッド564がシリンダ基底部方向(図5の右側方向)に移動するので、ロッド563に連結されたレンジ503内のレンジスリーブがHポジションに移動する。MVJのみ動作させると、ヘッド564がシリンダ頭頂部方向(図5の左側方向)に移動するので、レンジスリーブがLポジションに移動する。
【0030】
以上の空圧シリンダ系の各電磁バルブを組み合わせてオンオフすることにより、多段変速機構401を前進16段(図8参照)及び後進2段に切り替えることができると共に、スプリッタニュートラル及び主変速機ニュートラルの2つのニュートラル状態を得ることができる。
【0031】
次に、クラッチを移動させるアクチュエータ系を図9に示す。
【0032】
このアクチュエータ系は、断接用アクチュエータ412を構成するクラッチブースタ901、このクラッチブースタ901に空圧でストローク量を与える比例バルブ902、この比例バルブ902の上流で空気供給を遮断するオンオフバルブ903、クラッチを強制的に完断する非常用バルブ904、クラッチブースタ901のリレーピストン905を油圧で駆動するクラッチペダル409などからなる。911はエア源、912はダブルチェックバルブである。クラッチブースタ901は、供給された空気量に比例して部材906をストロークさせるもので、この部材906がクラッチ504のプレッシャープレートに連結されている。
【0033】
コントローラ405は、車両のキースイッチにより主電源が投入されたときにオンオフバルブ903をオンにして比例バルブ902への空気供給を可能にする。主電源が切られたときには、オンオフバルブ903をオフにして比例バルブ902からの空気抜けによるエア源911の圧力低下を防止する。クラッチ断接の際には、コントローラ405より比例バルブ902に制御電流を与える。比例バルブ902は電流に比例した空気圧をクラッチブースタ901に供給するので、クラッチ完接から完断までの任意のクラッチ位置が電流で制御できることになる。従って、半クラッチ等の繊細な制御もコントローラ405によるクラッチ位置制御で行うことができる。非常用バルブ904は、クラッチ504を急速に完断することができ、車両の異常時に飛び出しを防止するために使用される。非常用バルブ904のオンオフはコントローラ405から指令する他に、図示しない非常用スイッチよって手動操作することもできる。クラッチペダル409が踏まれた場合には、油圧によって部材906がストロークされると同時に、リレーピストン905が駆動されてクラッチブースタ901にエアーが供給され、部材906のストロークが支援される。
【0034】
図6に示されるように、車両は、前述した変速制御部、クラッチ制御部、エンジン制御部とは独立に車速メータ系を備える。車速メータ系は、アウトプットシャフト511の回転数を検出する車速専用回転センサ601、この車速専用回転センサの検出値からタイヤ径等の最終的な車速要素を考慮して実際の車速を計算する車速計算部602、この車速を表示する集合計器コンソール内の車速メータ603からなる。車速メータ603に表れている車速は、車速要素と共に変速制御部(コントローラ405)にも取り込まれている。コントローラ405では、制御用にはアウトプット回転センサ404からのアウトプットシャフト回転数を車速として用いているので、以下、車速メータ系の車速と制御系の車速とを区別する。
【0035】
多段変速機構401の動作を説明する。
【0036】
自動変速操作の場合、コントローラ405によりアクセル開度と制御系の車速とでシフトアップマップまたはシフトダウンマップ(図示せず)が参照され、最適なギア段に目標ギア段が設定されると、断接用アクチュエータ412によりクラッチ504が開放され、スプリッタ502、主変速機501、レンジ503がそれぞれ前述のように空圧シリンダ系402によって位置制御されることにより、目標ギア段への切替えが行われ、そのギア入れ完了後、クラッチ504が接続されるように制御される。
【0037】
マニュアル操作の場合は、運転者のチェンジレバー407の前傾によるシフトアップ操作または後傾によるシフトダウン操作をコントローラが認識して現在のギア段より高速または低速の目標ギア段が設定され、ギア段切替えが行われる。クラッチの断接及びギア段切替えの動作は、自動変速操作でもマニュアル操作でも同じであり、以下に説明する。
【0038】
図7は、主変速機501、スプリッタ502、レンジ503のそれぞれで行われる動作を時間的順序に沿って表したものである。四角枠内は動作内容を枠右上はその動作に入る条件を示す。多段変速機構401の変速動作が開始され、同時に断接用アクチュエータ412によりクラッチ開放が開始される。クラッチストロークセンサによりクラッチ504が半クラッチ直前まで開き始めたことが検出されると、主変速機501ではスリーブシフト用シリンダ550によるギア抜きが開始される。また、目標ギア段が現在のギア段からスプリッタ変速を要する場合には、主変速機501のギア抜きと並行してスプリッタ502においてもスプリッタ用シリンダ530を作動させてニュートラル位置へのギア抜きが開始される。
【0039】
主変速機側では、主変速機501のギア抜きが完了しニュートラルになったことを条件に、セレクト用シリンダ540による主変速機501のセレクトが開始される。同時に、目標ギア段がレンジ303の変速を要する場合には、レンジ用シリンダ560によりレンジ503がHからLへまたはLからHへ切り替えられる。
【0040】
一方、スプリッタ側では、ストロークセンサ(図示せず)の信号により、クラッチ504が完全に開放されたことが検出されるか、またはギアポジションセンサ(図示せず)の信号により、主変速機501のギア抜きが完了したことが検出されたことを条件に、スプリッタ用シリンダ530によりHまたはLへのギア入れが実行される。スプリッタ502には図示しないがメカニカルなシンクロ機構が設けられているため、インプットシャフト505の回転数とスプリッタ502のHまたはLのドグギアの回転数とが同期され、円滑なスリーブの移動によるギア入れが達成される。なお、目標ギア段が現在のギア段からスプリッタ変速のみで可能な場合には、この段階で切り替えが完了する。
【0041】
スプリッタ502のギア入れが終了し、レンジ503の切り替えが終了した時点で、主変速機501のギア抜きが完了していることを条件に、ドグギア回転制御手段による電子シンクロ制御が開始される。
【0042】
電子シンクロ制御では、ドグギア515の回転数がスリーブ516の回転数より所定値以上高いときには、カウンタシャフトブレーキ制御を行う。即ち、電磁バルブ571をオンにすることによりカウンタシャフトブレーキ513をオンにしてドグギア515の回転数を下げる。ドグギア515の回転数がスリーブ516の回転数より所定値以上低いときには、ダブルクラッチ制御及びエンジン制御を行う。即ち、クラッチ504を一時的に接続した状態でエンジン回転を制御しインプットシャフト505に伝え、インプットシャフト505の回転数を高めてドグギ515の回転数を高める(所謂ダブルクラッチ制御を行う)。このような電子シンクロ制御により、ドグギア515の回転数とスリーブ516の回転数との差を予め設定した許容値以内に制御することができる。
【0043】
ドグギア515の回転数は、カウンタシャフト回転センサ514の出力から計算される。主変速機501に複数あるドグギア515のうち、切替えの目標となっているギア段のドグギア515の回転数を得るには、当該段のカウンタギア517とメインギア518との歯数比をカウンタシャフト回転数に掛ける。また、スリーブ516の回転数は、アウトプット回転センサ404の出力から計算される。レンジ503がH側であればアウトプットシャフト回転数をそのままスリーブ回転数とし、レンジ503がL側であればアウトプットシャフト回転数にL段の歯数比を掛けてスリーブ回転数とする。このスリーブ回転数が目標となっているギア段の目標ドグギア回転数が設定され、電子シンクロ制御がなされる。
【0044】
主変速機501のセレクトが終了し、電子シンクロ制御において回転数差が許容値以内に達していれば、クラッチ504が完全に開放されていることを確認した上で、スリーブシフト用シリンダ550による主変速機501のシフト(ギア入れ)が実行される。ドグギア515の回転数とスリーブ516の回転数との差が許容値以内であるため、円滑なギア入れが達成される。この後、オートクラッチ制御によりクラッチ504が接続される。
【0045】
次に、図1に示した自動変速補助機能の基本的処理を詳しく説明する。
【0046】
まず、カウンタを参照する(S1)。このカウンタは後述する出力信号異常検出処理で出力信号異常の発生回数を計数したもので、出力信号正常時には減算されるので、出力信号異常が頻繁に繰り返されたときの累積回数を示している。カウンタが0であれば、最近に出力信号異常が発生していないので、変速禁止を解除(変速を許可;S3)して本処理を終了する。S1にて、カウンタが0でなければ、最近に出力信号異常が一度は発生していることになるので、変速を禁止する(S2)。
【0047】
S2に次いで、カウンタを予め定めた設定値と比較する(S4)。カウンタが設定値より大きければ、出力信号異常が頻繁に繰り返されていることになるので、センサ故障と断定する(S5)。S4にて、カウンタが設定値より小さければ、センサ故障とは断定できないので、変速禁止のまま本処理を終了する。
【0048】
S5に次いで、車速メータ系の故障がないかどうか車速計算部からの情報により確認する(S6)。車速メータ系の故障がなければ、車速メータ系を代替えのセンサとして利用できるので、変速禁止を解除(S7)して本処理を終了する。S6にて、車速メータ系も故障であれば、変速禁止を維持するべく、本処理を終了する。
【0049】
このように、一回でも出力信号異常がカウントされていれば変速を禁止するのは、そのときのアウトプット回転センサ404による信頼できない車速信号によって望まない変速が行われるのを防ぐためである。
【0050】
次に、図2の出力信号異常検出処理を詳しく説明する。ここでは、アウトプット回転センサ404としてアウトプットシャフト511に係止されたギアに臨ませた電磁ピックアップを採用した場合を例に説明する。電磁ピックアップの出力信号の波形はギア歯の輪郭形状を反映したパルス状波形となる。図8に示されるように、正常な波形では、出力信号は2Vから14Vまでの電圧範囲内で変化する。そこで、高電圧判定レベルV1として17V、低電圧判定レベルV2として0.5Vを設定する。図示しない電圧測定部により出力信号の電圧を測定する。
【0051】
出力信号異常検出処理では、出力信号が高電圧判定レベルV1より高いかどうかを判定し(S11)、出力信号が低電圧判定レベルV2より低いかどうかを判定する(S12)。出力信号が高電圧判定レベルV1より高いか低電圧判定レベルV2より低いときには、出力信号が異常としてカウンタをインクリメント(単位量だけ増加)する(S13)。一方、出力信号が高電圧判定レベルV1と低電圧判定レベルV2との中間にあるときには、出力信号が正常としてカウンタをデクリメント(単位量だけ減少)する(S14)。
【0052】
なお、ここでは電圧チェックを行ったが、車速メータ系から所定値以上の車速が得られているのに、出力信号がパルス状にならない場合に出力信号が異常とする方法もある。
【0053】
次に、図3のアウトプットシャフト回転数算出処理を詳しく説明する。
【0054】
まず、前記基本的処理の中でセンサ故障と断定されたか否かを判定する(S21)。センサ故障の場合には、車速メータ系から得た車速を次式に代入してアウトプットシャフト回転数を算出する(S22)。
【0055】
【数1】
【0056】
基本的処理において変速禁止の解除(S7)が実行されているときには、アウトプットシャフト回転数が車速専用回転センサ601の検出信号から数1の式によって演算されて車速信号としてコントローラ405に取り込まれるので、アウトプット回転センサ404が出力信号異常を繰り返している場合でも、シフトアップマップまたはシフトダウンマップによる最適なギア段選択が実行され、実際の車速を反映した適切な自動変速が維持されることになる。
【0057】
また、電子シンクロ制御を行う車両にあっては、アウトプットシャフト回転数はスリーブ回転数の算出にも使用されており、車速メータ系の車速を用いてアウトプットシャフト回転数が得られることにより、センサ故障時のバックアップを行うことができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0059】
(1)回転センサの出力信号に異常が検出されたときに、ギア段切替えを禁止するようにしたので、信頼できない車速信号による自動変速が行われてしまうことがない。
【0060】
(2)車速メータ系に表れている車速信号を基にアウトプットシャフト回転数を算出するようにしたので、回転数を利用した各種制御においてセンサ故障時のバックアップが確保され、シンクロ制御、変速が確実に実行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速補助機能が行う基本的処理の流れ図である。
【図2】本発明の自動変速補助機能が行う出力信号異常検出処理の流れ図である。
【図3】本発明の自動変速補助機能が行うアウトプットシャフト回転数算出処理の流れ図である。
【図4】本発明の変速制御装置を用いた車両の要部構成図である。
【図5】図4中の多段変速機構及び空圧シリンダ系の詳細構成図である。
【図6】車速メータ系の構成図である。
【図7】本発明に関係するギア段切替え処理の流れ図である。
【図8】アウトプット回転センサの出力信号の波形図である。
【図9】本発明の変速制御装置を用いた車両のクラッチアクチュエータ系の構成図である。
【符号の説明】
401 多段変速機構
404 アウトプット回転センサ
405 コントローラ(変速制御部)
511 アウトプットシャフト(変速機401の出力軸)
601 車速専用回転センサ
602 車速計算部
603 車速メータ
Claims (1)
- 変速機の出力軸に回転センサを設け、検出された回転数に基づき目標ギア段を設定し、この目標ギア段への変速を行う変速制御部を設けた変速装置において、前記回転センサの出力信号に異常が検出されたときにカウンタをインクリメントし、前記回転センサの出力信号に異常が検出されないときに前記カウンタをデクリメントし、上記カウンタの値が0でない場合には、いったん変速を禁止した後、前記カウンタの値が設定値より大きければ前記回転センサが故障であると断定して車速表示用の車速センサから検出された回転数を基に前記出力軸の回転数を算出することにして変速禁止を解除し、前記カウンタの値が設定値未満であれば前記回転センサの故障断定を保留して変速禁止を続行することを特徴とする車両の変速制御装置。
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