JP4395650B2 - コンタクトレンズ用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、コンタクトレンズ用組成物に関する。より詳細には、コンタクトレンズへのケトチフェン又はその塩吸着が抑制されたコンタクトレンズ用組成物に関する。
更に本発明は、ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着抑制方法、及びコンタクトレンズからケトチフェン又はその塩を溶出する方法に関する。
頻回交換用あるいは連続装用用のソフトコンタクトレンズの登場などにより、視力矯正が必要な人口のうちコンタクトレンズを使用する割合が増加傾向にある。コンタクトレンズは、点眼液等の眼科用組成物に含まれる薬剤や防腐剤等の成分を吸着し易く、また眼科用組成物によって物性や形状の変化を受け易いといった特性を有している。そのため、コンタクトレンズ使用者が点眼薬を適用する場合、薬理活性成分を含むほとんどの点眼薬において、適用時にコンタクトレンズをはずすように指導されており(例えば、非特許文献1参照)、コンタクトレンズ使用者にとって眼科用組成物の適用はコンタクトレンズの脱着という煩わしさを伴うものである。そこで近年では、コンタクトレンズを装着したままでも適用できる眼科用組成物が検討、開発されている。
コンタクトレンズに適用可能な眼科用組成物は、コンタクトレンズの材質への悪影響を防止するために、一般に、pHが中性域に保たれている。一般に、アルカリ性側ではレンズ素材の溶出を引き起こし、また酸性側ではコンタクトレンズの物性や形状が変化してしまうことが知られている。また、コンタクトレンズに適用可能な眼科用組成物は、上記のようにレンズに物性や形状変化を与えないことに加えて、該組成物中の薬剤や防腐剤等の成分がレンズに吸着しないように製剤設計されている必要がある。これまでに、コンタクトレンズに適用可能な眼科用組成物として、吸着が問題となる成分毎に各種の処方が提案されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。
ところで、フマル酸ケトチフェンは抗アレルギー薬として広く普及している成分の一つであり、フマル酸ケトチフェンを含有する抗アレルギー点眼薬が医療用医薬品として上市されている。巨大乳頭結膜炎の治療において、ソフトコンタクトレンズを装用したまま、フマル酸ケトチフェンを含有する点眼液を点眼すると、医師の管理下で疾患が改善し、副作用も少なかったことが報告されている(非特許文献2)。しかし医療現場では、現在もフマル酸ケトチフェンを含有する点眼液の点眼時にはコンタクトレンズをはずすように指導されており、フマル酸ケトチフェンを含有するコンタクトレンズ用点眼薬は未だ実用に至っていない。また、フマル酸ケトチフェンを一定濃度範囲(0.005〜0.05%)に調整した眼用組成物は、フマル酸ケトチフェンのソフトコンタクトレンズへの吸着が抑制されていることが報告されている(特許文献3参照)。しかしながら、かかる方法でも、得られるフマル酸ケトチフェンの吸着抑制効果は十分ではない。
一方、コンタクトレンズへの吸着抑制と共に、重要であるのはレンズからの吸着成分の溶出である。レンズに薬剤が吸着した場合、後に涙液に晒されるとレンズから薬剤成分が溶出する場合がある。しかし、涙液や薬剤等の条件によってはレンズからの溶出が非常に遅い場合や、ほとんど溶出しない場合もあり得る。またレンズに薬剤が吸着した場合、レンズの性質が変化し、膨潤や収縮がしばしば観察される。従って、レンズへの吸着がたとえ少量であったとしても、その吸着した成分によってレンズの形状変化が引き起こされて、角膜へのフィッティング不良等の原因となり、重篤な症状につながる可能性がある。そこで、レンズに一度吸着したケトチフェンを如何に溶出させるかについても、重要な問題となっている。
特開2001-2563号公報 特開2001-158734号公報 特表2003-518498号公報 上林容子ら、「コンタクトレンズ装用時の患者指導について」、JJSHP、1994年、vol.30、No.1、第77−81頁 百瀬隆行、「コンタクトレンズ装用者に見られる巨大乳頭結膜炎」、眼科臨床医報、第87巻、第11号、第85―90頁
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。詳細には、本発明は、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズへのケトチフェン又はその塩の吸着が抑制されたコンタクトレンズ用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、ケトチフェン又はその塩がコンタクトレンズへの吸着するのを抑制する方法を提供することを目的とする。更に本発明は、コンタクトレンズに吸着したケトチフェン又はその塩を該レンズから溶出させる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を進めたところ、ケトチフェン又はその塩を含有する眼科用組成物の用時のpHを酸性域の特定範囲内となるように調整することによって、コンタクトレンズの物性や形状の変化を抑え、しかもコンタクトレンズへのケトチフェンの吸着を抑制できることを見出した。また、ケトチフェン又はその塩が吸着したコンタクトレンズを酸性域の特定のpH範囲にある液体組成物で洗浄することによって、コンタクトレンズからケトチフェン又はその塩を溶出できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
即ち本発明は、下記に掲げるコンタクトレンズ用組成物である:
項1.ケトチフェン又はその塩を含有し、用時のpHが3〜4.7であることを特徴とする、コンタクトレンズ用組成物。
項2.更に緩衝剤を含有する、項1に記載のコンタクトレンズ用組成物。
項3.緩衝剤が、酢酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸及びアスパラギン酸の塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、項2に記載のコンタクトレンズ用組成物。
また本発明は、下記に掲げるケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着抑制方法である:
項4.pH3〜4.7に調整されたケトチフェン又はその塩を含有する組成物とコンタクトレンズを接触させることを特徴とする、ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着抑制方法。
更に本発明は、下記に掲げるコンタクトレンズへからケトチフェン又はその塩を溶出する方法である:
項5.ケトチフェン又はその塩が吸着したコンタクトレンズをpH3〜4.7の液体組成物と接触させることを特徴とする、コンタクトレンズからケトチフェン又はその塩を溶出する方法。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、コンタクトレンズという語句は、特記しない限り、ハード、酸素透過性ハード、ソフト等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味で用いる。また、本発明において「用時」とは、コンタクトレンズ又は眼に適用する直前を意味するものである。
(I)コンタクトレンズ用組成物
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、ケトチフェン又はその塩を含有し、用時のpHが3〜4.7であることを特徴とする。
本発明のコンタクトレンズ用組成物において使用するケトチフェン、即ち4,9−ジヒドロ−4−(1−メチル−4−ピペリジリデン)−10H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]チオフェン−10−オンは、公知化合物であり、公知の方法により合成したものを使用することができる。また、簡便には、市販品を使用することもできる。
本発明には、ケトチフェンの代わりに、又はケトチフェンと組み合わせて、ケトチフェンの塩を使用してもよい。ケトチフェンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような塩としては、例えば有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩など)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩など)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩など)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩など)など]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリンなどの有機アミンとの塩など)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)、アルミニウムなどの金属との塩など]などが例示できる。これらの中で、特にフマル酸塩が好ましい。また、ケトチフェン又はその塩は、水和物の形態でも使用できる。
これらのケトチフェンまたはその塩は、1種単独で使用してもよく、また二種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明のコンタクトレンズ用組成物中のケトチフェンまたはその塩の含有割合は、該組成物の形態、用途、使用するケトチフェン又はその塩の種類等によって異なるが、一例として、用時に、組成物の総重量に対してケトチフェンまたはその塩の総量が0.0001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%、さらに好ましくは0.0001〜1重量%程度、特に好ましくは0.001〜0.1重量%となるような割合を挙げることができる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、用時にpHが3〜4.7の範囲内となるように調整されている。好ましくは用時にpHが3.2〜4.5であり、更に好ましくは3.5〜4.3である。このような範囲内になるようにpHを調整することによって、ケトチフェン又はその塩がコンタクトレンズに吸着するのを抑制することが可能となる。また、上記pH範囲内であれば、眼に適用しても安全であり、眼科用の製剤として実用可能である。
上記範囲となるように、pHを調整するには、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるpH調整剤を用いて、当該技術分野で公知の方法で行うことができる。使用できるpH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)、ホウ砂、及びその薬理学的に許容される塩類などが挙げられる。これらのpH調整剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、更に緩衝剤を含有することによって、一層優れたケトチフェン又はその塩の吸着抑制が可能となる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩などが挙げられる。これらの緩衝剤は組み合わせて使用しても良い。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤及びクエン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩などのリン酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸アルカリ金属塩などが挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなど)、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウムなど)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムなど)、アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムなど)等が例示できる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明のコンタクトレンズ用組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、用時に、組成物の総重量に対して該緩衝剤が0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量程度%となるような割合を挙げることができる。より具体的には、用時に、組成物中の緩衝剤の割合が、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.0001〜10.0重量%、好ましくは0.01〜5重量%程度;炭酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%程度;クエン酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%程度;酢酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜5重量%程度、好ましくは0.005〜3重量%;イプシロン−アミノカプロン酸を用いる場合であれば、例えば0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%程度;アスパラギン酸又はその塩を用いる場合であれば、例えば0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%程度となるような割合が例示される。
更に、本発明のコンタクトレンズ用組成物は、テルペンを含有していてもよい。テルペンは、清涼感(コンタクトレンズの濡れ性向上、掻痒感緩衝)に有効であるが、ケトチフェンのコンタクトレンズへの吸着を増強するように作用することが確認されている。しかしながら、本発明のコンタクトレンズ用組成物は、テルペンを含有することによって、ケトチフェンの又はその塩の吸着抑制効果を損なうことなく、テルペン類による清涼感を備えることができる。かかるテルペンとしては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等が挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。清涼感や香りなどの官能面や安全性の面から、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオール及び1−メントールが好ましく、中でも特にゲラニオール、1−メントール、d−カンフル及びd−ボルネオールが好ましい。これらのテルペンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。なお、本発明では、前記テルペンを含有する精油を配合することによって、コンタクトレンズ用組成物にテルペン類を含有させてもよい。前記テルペン類を含有する精油としては、例えば、ペパーミント油、クールミント油及びハッカ油等のメントールを含有する精油の他、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、スペアミント油等の精油を例示することができる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物にテルペンを配合する場合、その配合割合については特に制限されないが、例えば、用時に、組成物の総重量に対して該テルペンが総量で0.0001〜1重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%、より好ましくは0.0001〜0.1重量%程度となるような割合を例示できる。
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物には多価アルコールを配合することもできる。多価アルコールは、等張化剤としてケトチフェン又はその塩の安定化に寄与するが、その反面、ケトチフェン又はその塩がコンタクトレンズに吸着する作用を増大させることが確認されている。しかしながら、本発明のコンタクトレンズ用組成物は、多価アルコールを含有することによって、ケトチフェンの又はその塩の吸着抑制効果を損なうことなく、多価アルコールによるケトチフェンの又はその塩の安定化効果を備えることができる。多価アルコールは眼科領域に用いることができるものであれば特に制限されない。例えば、直鎖アルコール(炭素数5以下)、糖(単糖または二糖)、糖アルコールまたはポリビニルアルコール等を挙げることができる。より具体的には、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブドウ糖、ラクトース、マルトース、フルクトース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、トレハロースなどが挙げられ、好ましくはグリセリン、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、トレハロースである。ポリビニルアルコールは分子量500以上であれば特に制限されず、けん化度は完全であっても部分であってもよい。これらの多価アルコールは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物に多価アルコールを配合する場合、その配合割合については特に制限されないが、例えば、用時に、組成物の総重量に対して多価アルコールが総量で0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%程度となるような割合を挙げることができる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物の用時の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。例えば、コンタクトレンズ用組成物の用時の浸透圧比として、通常0.3〜4.2、好ましくは0.3〜2.1、更に好ましくは、0.7〜1.8、特に好ましくは1.1〜1.5程度を挙げることができる。浸透圧の調整は無機塩及び多価アルコールなどを用いて行うことができる。浸透圧の調整は前述又は後述する成分を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って行うことができる。
本発明において、浸透圧比は、第十四改正日本薬局方に基づいて、0.9g/100mLの塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を用いて測定する。また、試験試料の測定と相前後して浸透圧比測定用標準液の浸透圧を測定し、このときに得られた実測値を用いて浸透圧比を算出する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650°Cで40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9g/100mLの塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、本発明の効果を妨げないことを限度として、ケトチフェン又はその塩の他に、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼調節薬成分、抗炎症薬成分または収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分、殺菌薬成分、糖類、多糖類またはその誘導体、セルロース又はその誘導体又はそれらの塩、前述以外の水溶性高分子、局所麻酔薬成分、ステロイド成分、緑内障治療成分、白内障治療成分などが例示できる。好適な成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
充血除去成分:α−アドレナリン作動薬、例えば、イミダゾリン誘導体(ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなど)、β−フェニルエチルアミン誘導体(フェニレフリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリンなど)、及びそれらの薬学上又は生理的に許容される塩(例えば、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリンなどの無機酸塩;酒石酸水素エピネフリンなどの有機酸塩など)など。
眼筋調節薬成分:アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、例えばメチル硫酸ネオスチグミン等の第4級アンモニウム化合物及びそれらの塩等。
抗炎症薬成分または収斂薬成分:プラノプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、インドメタシン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカム、メロキシカム、アスピリン、メフェナム酸、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、イブプロフェン、チアプロフェン酸、ロキソプロフェンナトリウム、塩酸チアラミド、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリンおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン)、アズレンスルホン酸および薬理学的に許容される塩(例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム、など)、亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、など)、リゾチーム、塩化リゾチーム、サリチル酸メチル、アラントイン、グリチルリチン酸および薬理学的に許容される塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、など)など。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、ベポタスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、エメダスチン、クレマスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパタジン、クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、メキタジン、ロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、イブジラスト、スプラタスト、ペミロラスト、レピリナスト、タザノラスト、オキサトミド、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチンまたはその塩(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イプロヘプチン、フマル酸ケトチフェン、フマル酸エメダスチン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸レボカバスチン、塩酸オロパタジン、クロモグリク酸ナトリウムなど)など。
ビタミン類:例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など]、ビタミンB類[チアミン、ジセチアミン、塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硝酸エステル塩、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン、ピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ピリドキサール、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パンテノール、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ビオチン、コリン、イノシトールなど]、ビタミンC類[アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール及びその薬理学的に許容される塩類など)など]、ビタミンE類[例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びその薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など]、その他のビタミン類[例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、シアノコバラミン、ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン及びその薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など]。
アミノ酸類:例えば、ロイシン、イソイロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、グリシルグリシン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)またはその塩(例えばアスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩酸システインなど)など。
抗菌薬成分または殺菌薬成分:スルホンアミド類(例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及び薬理学的に許容される塩(スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウムなど)、アクリノール、第4級アンモニウム化合物(例えば、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、セチルピリジニウム、及び薬理学的に許容される塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウムなど)、アルキルポリアミノエチルグリシン、ニューキノロン剤(ロメフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシンなど)、ベルベリン又はその塩(例えば、硫酸ベルベリンなど)、βラクタム系抗菌薬(スルベニシリン、セフメノキシムなど)、アミノグリコシド系抗菌薬(カナマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、シソマイシン、ミクロノマイシンなど)、テトラサイクリン系抗菌薬(オキシテトラサイクリンなど)、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシンなど)、クロラムフェニコール系抗菌薬(クロラムフェニコールなど)、ポリペプチド系抗菌薬(コリスチンなど)など。また、抗ウイルス薬(ドクスウリジン、アシクロビル、アデニンアラビノシド、ガンシクロビル、ホスカルネット、バラシクロビル、トリフルオロチミジン、シドフォビア、カルボサイクリック・オキセタノシンGなど)、抗真菌薬(ピマリシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、フルシトシン、アムホテリシンBなど)など。
糖類:単糖類(例えば、グルコースなど)、二糖類(例えば、トレハロース、ラクトース、フルクトースなど)、オリゴ糖類(例えば、ラクツロース、ラフィノース、プルランなど)、糖アルコール類(例えば、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなど)など。
多糖類又はその誘導体:アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、ダルマンガム、トラガント、ベンゾインゴム、ローカストビーンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸(アルギン酸)、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸またはその塩(アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど)など。
セルロース又はその誘導体又はそれらの塩:セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロース、など。
前述以外の水溶性高分子:ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドンなど。
局所麻酔薬成分:リドカイン、オキシブプロカイン、ジプカイン、プロカイン、アミノ安息香酸エチル、メプリルカイン、メピバカイン、ブピバカイン、コカイン及びそれらの塩(塩酸リドカイン、塩酸オキシブプロカインなど)など。
ステロイド成分:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コルチゾール、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン及びそれらの塩など。
緑内障治療成分:マレイン酸チモロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベタキソロール、ラタノプロスト、ウノプロストン、塩酸ジピベフリン、エピネフリン、塩酸アプラクロニジン、塩酸ピロカルピン、カルバコール、塩酸ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド及びそれらの塩など。
白内障治療成分:ピレノキシン、グルタチオン、唾液腺ホルモン、チオプロニン、Dihydro azapentacene disulfonate及びそれらの塩(例えばSodium5,12-dihydro azapentacene disulfonateなど)など。
これらの成分の配合割合は、組成物の形態、活性成分の種類等に応じて選択でき、各種成分の配合割合は当該技術分野で既知である。例えば、用時に、組成物の総重量に対して、これらの成分を0.0001〜30重量%、好ましくは、0.001〜10重量%程度の割合で含有させることができる。より具体的には,用時に、組成物の総重量に対して各成分を以下に例示する割合で含有させることができる。
充血除去成分(血管収縮薬又は交感神経興奮薬):例えば、0.0001〜0.5重量%、好ましくは、0.0005〜0.3重量%、さらに好ましくは0.001〜0.1重量%。
眼筋調節薬成分:例えば、0.0001〜0.5重量%、好ましくは、0.0005〜0.1重量%、さらに好ましくは0.0005〜0.01重量%。
抗炎症薬成分または収斂薬成分:例えば、0.0001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%。
抗ヒスタミン薬成分または抗アレルギー薬成分:例えば、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%。
ビタミン類:例えば、0.0001〜1重量%、好ましくは、0.0001〜0.5重量%。
アミノ酸類:例えば、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜3重量%。
抗菌薬成分または殺菌薬成分:例えば、0.00001〜10重量%、好ましくは、0.0001〜10重量%。
糖類:例えば、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜2重量%。
多糖類又はその誘導体:例えば、0.0001〜2重量%、好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%。
セルロース又はその誘導体又はそれらの塩:例えば、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%。
前述以外の水溶性高分子:例えば、0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜3重量%。
局所麻酔薬成分:例えば、0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜1重量%。
ステロイド成分:例えば、0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜1重量%。
緑内障治療成分:例えば、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%。
白内障治療成分:例えば、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%。
本発明のコンタクトレンズ用組成物を各種所望の形態に調製するために、本発明の効果を損なわない範囲で、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して配合することができる。それらの成分または添加物として、例えば、眼科用局所適用製剤、半固形剤、液剤などの調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、増粘剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、等張化剤、香料または清涼化剤、キレート剤、緩衝剤などの各種添加剤を挙げることができる。以下に、使用できる代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
増粘剤:例えば、多糖類又はその誘導体(アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、ダンマルゴム、トラガントガム、ベンゾインゴム、ローカストビーンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)、セラミド、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロース、ニトロセルロースなど)、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、リボ核酸、デオキシリボ核酸、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体など、及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、アルギン酸ナトリウム)など。
糖類:例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、スクロース、セロビオース、ラクトース、プルラン、ラクツロース、ラフィノース、マルチトールなど、及びその薬理学的に許容される塩類など。
界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン(POE)−ポリオキシプロピレン(POP)ブロックコポリマー (例えば、ポロクサマー407 、ポロクサマー235 、ポロクサマー188 など) 、エチレンジアミンのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー付加物(例えば、ポロキサミン)、モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20) 、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン (ポリソルベート80) 、ポリソルベート60などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE(60)硬化ヒマシ油などのPOE硬化ヒマシ油、POE(9) ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POE(20)POP(4) セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類、POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類などの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型、イミダゾリン型などの両性界面活性剤;POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POE(3) ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、アルキルピリジニウム塩(塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウムなど)などの陽イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、ソルビン酸またはその塩(ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸トリクロカルバンなど)、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなど)、アクリノール、塩化メチルロザニリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン又はその塩、ポリヘキサメチレンビグアニド、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、クロロブタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、フェノキシエタノール、リン酸ジルコニウムの銀、マーキュロクロム、ポピドンヨードなどの担持体、チメロサール、デヒドロ酢酸、クロルキシレノール、クロロフェン、レゾルシン、オルトフェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヒノキチオール、スルファミン、リゾチーム、ラクトフェリン、トリクロサン、8−ヒドロキシキノリン、ウンデシレン酸、カプリル酸、プロピオン酸、安息香酸、プロピオン酸、ハロカルバン、チアベンダゾール、ポリミキシンB、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ポリリジン、過酸化水素、塩化ポリドロニウム、Glokill(商品名例えばGlokill PQ、ローディア社製)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン−(ジメチルイミニオ)エトレンジクロリド]、ポリエチレンポリアミン・ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物(商品名例えばBusan1157、バックマン社製)、ビグアニド化合物(コスモシルCQ(商品名、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩を約20重量%含有、アピシア社製))など、及びその薬理学的に許容される塩類等。
等張化剤:例えば、無機塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、チオ硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリオールなど)、糖類(例えば、ブトウ糖,マンニトール,ソルビトールなど)など。
香料又は清涼化剤:テルペン類(例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール、ピネン、フェランドレン、リナロール、シトロネロール、シトロネラール、メントン及びカルボンなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)精油(ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油など)など。
キレート剤:例えば、エデト酸、クエン酸、ポリリン酸、ヘキサメタリン酸、メタリン酸、アスコルビン酸、コハク酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸等、及びその薬理学的に許容される塩類等。
緩衝剤:ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸塩など。例えば、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)、リン酸又はその塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなど)、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウムなど)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムなど)、アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムなど)等。
これらの各種成分や添加物の配合割合は、組成物の形態・種類等に応じて適宜設定すればよい。
本発明によるコンタクトレンズ用組成物は、常法に準じて調製することができる。
本発明のコンタクトレンズ用組成物において、pH及び各成分濃度は、予め前記の用時のpH及び濃度(使用時のpH及び濃度)に一致させておくことが望ましいが、場合によっては、前記使用時濃度よりも高い濃度(使用時とは異なるpH)にしておくこともできる。この場合には、その製品容器等に、精製水、生理食塩水、コンタクトレンズケア用液剤等の水性溶媒で前記用時濃度にまで薄める(前記用時pHとなる)ように、その希釈度合いを正確に明示する。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、コンタクトレンズに用時液状にて接触する組成物であればよい。例えば、コンタクトレンズ用点眼薬(剤)(コンタクトレンズを装着したまま使用される点眼薬)、コンタクトレンズ用洗眼液(コンタクトレンズを装着したまま使用される洗眼液)、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用液剤(コンタクトレンズ消毒液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用洗浄保存液、コンタクトレンズケア用希釈液)等の液剤、用時に水や生理食塩水等の水性溶媒に希釈して上記液剤となり得る濃縮液剤、用時に水や生理食塩水等の水性溶媒に溶解して上記液剤となり得る固形剤(例えば錠剤、散剤、顆粒剤、凍結乾燥剤)及び軟膏を挙げることができる。使用の簡便性から、好ましくは液剤、特に好ましくはコンタクトレンズ用点眼薬及びコンタクトレンズ用洗眼液である。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、いずれの容器で保管しても良いが、水分透過率の低い容器が好ましく、更には、各成分が吸着し難い容器を用いることが好ましい。特に容器としては、硬質プラスチック製容器を用いる事が好ましく、例えば、硬質プラスチック製容器は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの群から選択された2種以上を有するプラスチックを含んで形成されることが好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含めたあらゆるコンタクトレンズに使用できる。中でも、酸素透過性のハードコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズは、ケトチフェンが吸着し易いため、好適な使用対象コンタクトレンズである。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、液剤であればそのまま使用され、濃縮液剤又は固形剤であれば適切な濃度及びpHとなるように水性溶媒に希釈乃至溶解して使用される。コンタクトレンズ用組成物の使用方法としては、該コンタクトレンズ用組成物をコンタクトレンズに接触させる工程を有する公知の方法であれば、特に限定はない。例えば点眼薬(点眼剤、点眼液)の場合、コンタクトレンズの装着前、装着時、又は装用中に本発明のコンタクトレンズ用組成物を点眼に使用できる。また洗眼液の場合も、コンタクトレンズを装用したままで本発明のコンタクトレンズ用組成物により洗眼に使用できる。なお、本発明のコンタクトレンズ用組成物が点眼薬(点眼剤、点眼液)又は洗眼液である場合、コンタクトレンズを装用している時はもちろん、装用していない時でも点眼や洗眼の目的で使用することができる。また、コンタクトレンズケア用液剤の場合であれば、該液在中にコンタクトレンズを浸漬することによって使用される。
本発明のコンタクトレンズ用組成物が点眼薬(点眼剤、点眼液)である場合、ケトチフェンまたはその塩の1回あたりの投与量は、特に制限されないが、効果を十分に発揮させつつも副作用の発現を回避する観点から、ケトチフェンまたはその塩の総量として、1〜5000μgが好ましく、5〜1000μgがより好ましく、10〜300μgがさらに好ましい。また、成人1日当たりの各眼への投与量としては、例えば0.01〜15mg程度、好ましくは0.01〜10mg程度、更に好ましくは0.01〜5mg程度を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のコンタクトレンズ用組成物は、コンタクトレンズを装用している眼に適用しても、有効成分であるケトフェチン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着が抑制されており、優れた抗アレルギー作用を発揮することができるので、コンタクトレンズ装用中に使用されるアレルギー症状改善剤として有用である。
(II)ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着抑制方法
本発明のケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着抑制方法は、pH3〜4.7に調整されたケトチフェン又はその塩を含有する組成物とコンタクトレンズを接触させることを特徴とするものである。
本発明で使用するケトチフェン又はその塩を含有する組成物は、液状(水溶液)であり、該組成物の担体として水が使用される。
本発明の吸着抑制方法で使用するケトチフェン又はその塩は、前記コンタクトレンズ用組成物に使用されるものと同様である。また、ケトチフェン又はその塩の組成物中の含有割合も、前記コンタクトレンズ用組成物における用時のケトチフェン又はその塩の含有割合と同様である。
本発明で使用するケトチフェン又はその塩を含有する組成物のpHは、3〜4.7、好ましくは3.2〜4.5、更に好ましくは3.5〜4.3である。このようなpH範囲に調整することによって、ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着を抑制することが可能となる。また、かかる範囲内のpHであれば、眼に直接適用しても安全性である。pHの調整は、前記コンタクトレンズ用組成物で使用されるpH調整剤を使用して、公知の方法で行うことができる。
また、上記組成物は、前記コンタクトレンズ用組成物に配合される緩衝剤、テルペン、多価アルコール、その他の任意成分を含有していてもよい。清涼感を備えるという観点からテルペンは好適な含有成分であり、またケトチフェンの吸着抑制効果を有効に達成するという観点から緩衝剤は好ましい含有成分である。これらの成分の配合割合についても、前記コンタクトレンズ用組成物における用時の該成分の含有割合と同様である。
また、上記組成物の浸透圧についても、前記コンタクトレンズ用組成物における用時の浸透圧と同様である。
上記組成物は、コンタクトレンズと接触可能であることを限度として、その具体的な用途については特に制限されず、例えば、コンタクトレンズ用点眼液、コンタクトレンズ用洗眼液、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用液剤(コンタクトレンズ消毒液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用洗浄保存液)等であればよい。好ましくは、コンタクトレンズ装着液及びコンタクトレンズケア用液剤であり、更に好ましくはコンタクトレンズケア用液剤である。
また、本発明の吸着抑制の対象となるコンタクトレンズも、前記コンタクトレンズ用組成物において使用対象となるコンタクトレンズと同様である。
本発明の吸着抑制方法において、「pH3〜4.7に調整されたケトチフェン又はその塩を含有する組成物」とコンタクトレンズを接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、公知の方法を採用することができる。具体的には、前記コンタクトレンズ用組成物と同様の接触方法が挙げられる。
本発明の吸着抑制方法の好ましい実施態様として、前記コンタクトレンズ用組成物を使用することを挙げることができる。
(III)ケトチフェン又はその塩の溶出方法
本発明のケトチフェン又はその塩の溶出方法は、コンタクトレンズへからケトチフェン又はその塩を溶出する方法であって、ケトチフェン又はその塩が吸着したコンタクトレンズをpH3〜4.7の液体組成物と接触させることを特徴とするものである。
本発明の溶出方法で使用する液体組成物は、水を担体とし、pHが3〜4.7、好ましくは3.2〜4.5、更に好ましくは3.5〜4.3に調整されている水溶液である。このようなpH範囲にすることにより、優れたケトチフェン又はその塩の溶出効果を得ることができる。また、かかる範囲内のpHであれば、眼に直接適用しても安全性である。該液体組成物のpHの調整は、前記コンタクトレンズ用組成物で使用されるpH調整剤を使用して、公知の方法で行うことができる。
ケトチフェン又はその塩を溶出させるという観点から、当該液体組成物には、ケトチフェン又はその塩が含まれていなくてもよいが、ケトチフェン又はその塩を含むものであっても構わない。上記液体組成物にケトチフェン又はその塩を含有させる場合、その含有割合については、前記コンタクトレンズ用組成物における用時のケトチフェン又はその塩の含有割合と同様である。
また、上記液体組成物は、前記コンタクトレンズ用組成物に配合される緩衝剤、テルペン、多価アルコール、その他の任意成分を含有していてもよい。ケトチフェンの溶出効果を高めるという観点から、緩衝剤及びテルペンは好適な含有成分であり、特に緩衝剤は好適な含有成分である。上記液体組成物にこれらの成分を配合する場合、該成分の含有割合についても、前記コンタクトレンズ用組成物における用時の該成分の含有割合と同様である。
また、上記液体組成物の浸透圧についても、前記コンタクトレンズ用組成物における用時の浸透圧と同様である。
上記液体組成物は、コンタクトレンズと接触可能であることを限度として、その具体的な用途については特に制限されず、例えば、コンタクトレンズ用点眼液、コンタクトレンズ用洗眼液、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用液剤(コンタクトレンズ消毒液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用洗浄保存液)等であればよい。特に、レンズに吸着したケトチフェン又はその塩を溶出させるという本発明の目的に鑑みれば、好ましくはコンタクトレンズケア用液剤である。
本発明の溶出方法において、使用対象となるコンタクトレンズの種類は、ケトチフェン又はその塩が吸着したものである限り、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズの別を問わず、あらゆるコンタクトレンズに使用できる。中でも、酸素透過性のハードコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズは、ケトチフェンが吸着し易いため、好適な使用対象コンタクトレンズである。
本発明の溶出方法において、上記液体組成物とケトチフェン又はその塩が吸着したコンタクトレンズを接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、公知の方法を採用することができる。具体的には、前記コンタクトレンズ用組成物と同様の接触方法が挙げられる。
一般に、コンタクトレンズに適用される組成物は、レンズの材質への悪影響を防止するために中性域のpHに保たれているが、本発明のコンタクトレンズ用組成物では酸性域(pH3〜4.7)に保持されている。このように、ケトチフェン又はその塩を含有するコンタクトレンズ用組成物のpHを当業界で採用されている範囲とは異なる酸性域に保持することによって、ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着が顕著に抑制されており、またレンズの物性や形状の変化も防止されている。
そのため、本発明のコンタクトレンズ用組成物によれば、コンタクトレンズ存在下でも、ケトチフェン又はその塩の薬効効果を有効に発揮させることができる。例えば、本発明のコンタクトレンズ用組成物を点眼液や洗眼液に調製することによって、コンタクトレンズ使用者にとって簡便に眼のかゆみを抑制する手段を提供することができる。
また、本発明のコンタクトレンズ用組成物は、コンタクトレンズを装用していなくても、ケトチフェン又はその塩の薬効効果が十分に発揮できるので、コンタクトレンズ使用者にとっては、コンタクトレンズを装用しているか否かを問わず、日常的に使用することが可能である。
更に、本発明のコンタクトレンズ用組成物によれば、コンタクトレンズに吸着したケトチフェン又はその塩を溶出させることもできるので、該組成物の使用により、コンタクトレンズの保護効果も得ることができる。
また、本発明のケトチフェン又はその塩の吸着抑制方法によれば、簡便な方法で、ケトチフェン又はその塩がコンタクトレンズに吸着するのを抑制でき、ケトチフェン又はその塩の薬効効果を有効に発揮させることが可能となる。それ故、該方法は、例えばコンタクトレンズ使用者の点眼、洗眼、或いはコンタクトレンズのケアに有用である。
更に、本発明のケトチフェン又はその塩の溶出方法によれば、コンタクトレンズに悪影響を与えることなく、効果的にコンタクトレンズに吸着したケトチフェン又はその塩を溶出させることができるので、該方法は例えばコンタクトレンズのケア(洗浄、保護)などに有用である。
以下に、試験例、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1 コンタクトレンズの形状変化の確認試験
本発明のコンタクトレンズ用組成物がレンズの形状変化に与える影響を検討するために、以下の試験を行った。本試験には、下表1に示す処方のコンタクトレンズ用組成物(実施例1−2及び比較例1)を使用した。
Figure 0004395650
<試験方法>
(1) ISO10344「光学及び光学機械-コンタクトレンズ-コンタクトレンズ検査用食塩水」(以下、本明細書において「ISOコンタクトレンズ用生理食塩液」と略す)5mlに試験に用いるソフトコンタクトレンズ(商品名「ワンデーアキュビュー」、ジョンソンエンドジョンソン社製、含水、主材料:ヒドロキシエチルメタクリレート・メタクリル酸共重合体)を1枚づつ浸漬し、一晩室温(約25℃)で放置した。
(2) (1)で得られたそれぞれのソフトコンタクトレンズの直径を万能投影機(NICON V-12B)にて測定した。
(3) 密封性の高い透明ガラスバイアル瓶に実施例1−2及び比較例1のコンタクトレンズ用組成物を8mLづつ分注し、それぞれのコンタクトレンズ用組成物中に、(1)で得られたコンタクトレンズを浸漬して約24時間室温放置した。
(4) 次いで、(3)の浸漬処理により得られたコンタクトレンズをISOコンタクトレンズ用生理食塩液8ml中に浸漬して、浸漬2時間後及び4時間後のコンタクトレンズの直径を万能投影機(NICON V-12B)にて測定した。
(5) コンタクトレンズの直径の変化を(2)の測定値と(4)の測定値との差から、コンタクトレンズの直径変化(mm)を算出した。
<試験結果>
得られた結果を表2に示す。表2から分かるように、pH5.3のコンタクトレンズ用組成物(比較例1)に浸漬したレンズでは、その直径が大きく変化しており、生理食塩水に浸漬した後でもレンズの直径が正常な値に回復しなかった。これに対して、pH4.7及び4.1のコンタクトレンズ用組成物(実施例1及び2)に浸漬したレンズでも直径は変化するが、生理食塩水に浸漬すると、迅速に正常なレンズ直径の値に回復していた。特に、この傾向はpH4.1のコンタクトレンズ用組成物(実施例2)の場合において顕著であった。
以上の結果から、ケトチフェン又はその塩を含有するコンタクトレンズ用組成物においてpHを4.7以下にすることにより、コンタクトレンズに悪影響を与えず、その形状を安定に保持できることが明らかとなった。
Figure 0004395650
試験例2 フマル酸ケトチフェン吸着抑制確認試験
本発明のコンタクトレンズ用組成物がケトチフェンのコンタクトレンズへの吸着に与える影響を検討するために、試験例1に記載のコンタクトレンズ用組成物(実施例1−2及び比較例1)を用いて、以下の試験を行った。なお、本試験には、ソフトコンタクトレンズは、商品名「ワンデーアキュビュー」(ジョンソンエンドジョンソン社製、含水、主材料:ヒドロキシエチルメタクリレート・メタクリル酸共重合体)(以下、レンズAという)及び商品名「ソフィーナDX」(チバビジョン社製、非含水、主材料:ブチルアクリレート・ブチルメタクリレート重合体)(以下、レンズBという)を使用した。
<試験方法>
(1) ISOコンタクトレンズ用生理食塩液5ml中に、コンタクトレンズを各1枚浸漬し、一晩室温(約25℃)で放置した。次いで、ISOコンタクトレンズ用生理食塩液中からコンタクトレンズを抜き取り、水分を軽くふき取った。
(2) 密封性の高い透明ガラスバイアル瓶に実施例1−2及び比較例1のコンタクトレンズ用組成物を5mLづつ分注し、それぞれのコンタクトレンズ用組成物中に、(1)で得られたコンタクトレンズを浸漬して、34℃で20回/分にて約24時間振とうした後、コンタクトレンズを抜き取った。次いで、コンタクトレンズ浸漬処理後の各コンタクトレンズ用組成物中に残存するフマル酸ケトチフェン量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。
(3) 再度、密封性の高い透明ガラスバイアル瓶に実施例1−2及び比較例1のコンタクトレンズ用組成物を5mLづつ分注し、それぞれのコンタクトレンズ用組成物中に、前記工程で得られたコンタクトレンズを浸漬して、34℃で20回/分にて約24時間振とうした後、コンタクトレンズを抜き取った。次いで、コンタクトレンズ浸漬処理後の各コンタクトレンズ用組成物中に残存するフマル酸ケトチフェン量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。
(4) (3)と同様の浸漬処理を2回繰り返した。
(5) コンタクトレンズを浸漬しない以外は、上記(2)〜(4)と同様の工程を行い、コンタクトレンズを浸漬しない場合におけるコンタクトレンズ用組成物中に残存するフマル酸ケトチフェン量を測定した(ブランク)。
(5) (2)〜(4)の工程で測定したコンタクトレンズ浸漬処理後の各コンタクトレンズ用組成物中のフマル酸ケトチフェン量(計4回分)の和と、(5)のブランクの各コンタクトレンズ用組成物中のフマル酸ケトチフェン量(計4回分)の和との差から、コンタクトレンズに吸着したフマル酸ケトチフェン量を算出した。
<試験結果>
得られた結果を表3に示す。表3から分かるように、pH5.3のコンタクトレンズ用組成物(比較例1)に比べて、pH4.7及び4.1のコンタクトレンズ用組成物(実施例1及び2)では、コンタクトレンズへのフマル酸ケトチフェンの吸着が顕著に抑制されていた。特に、実施例2のコンタクトレンズ用組成物では、レンズBへのフマル酸ケトチフェンの吸着抑制が一層顕著に発揮されていることが確認された。
以上の結果から、ケトチフェン又はその塩を含有するコンタクトレンズ用組成物においてpHを4.7以下にすることにより、ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着を抑制できることが明らかとなった。
Figure 0004395650
試験例3 フマル酸ケトチフェンの溶出確認試験
コンタクトレンズに吸着したフマル酸ケトチフェンの溶出に及ぼすpHの影響を検討するために、以下の試験を行った。
<試験方法>
(1) 上記試験例2の<試験方法>の(2)〜(4)と同様の方法で、実施例1のコンタクトレンズ用組成物(pH4.7)に、ソフトコンタクトレンズ(商品名「ワンデーアキュビュー」、ジョンソンエンドジョンソン社製、含水、主材料:ヒドロキシエチルメタクリレート・メタクリル酸共重合体)を浸漬することにより、フマル酸ケトチフェンが吸着飽和に達した状態のコンタクトレンズ(以下、フマル酸ケトチフェン吸着コンタクトレンズという)を作成した。かかるフマル酸ケトチフェン吸着コンタクトレンズを4枚作成した。なお、予め、かかるフマル酸ケトチフェン吸着コンタクトレンズに供した前後のコンタクトレンズ用組成物のフマル酸ケトチフェンの量を測定することにより、コンタクトレンズに吸着しているフマル酸ケトチフェンの量を算出しておいた。
(2) 密封性の高いガラスバイアル瓶4本に、実施例1のコンタクトレンズ用組成物と同様のpH4.7に調整した生理食塩液(0.9重量%塩化ナトリウム含有)を各5mLづつ分注し、該生理食塩液中に(1)で得られたケトチフェン吸着コンタクトレンズをそれぞれ浸漬した。
(3) 浸漬後、34℃で20回/分にて30分間、1時間、2時間及び4時間後振とうした後、コンタクトレンズを抜き取った。次いで、コンタクトレンズ浸漬処理後の各生理食塩液に存在するフマル酸ケトチフェン量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。
(4) 試験に供したフマル酸ケトチフェン吸着コンタクトレンズに吸着しているフマル酸ケトチフェンの量に対する生理食塩液中に溶出したフマル酸ケトチフェン量の割合(%)(以下、フマル酸ケトチフェン溶出率という)を算出した(実施例3)。
(5) フマル酸ケトチフェン吸着コンタクトレンズの作成において実施例2のコンタクトレンズ用組成物(pH4.1)を用い、且つフマル酸ケトチフェンの溶出において実施例2のコンタクトレンズ用組成物と同様のpH4.1に調整した生理食塩液(0.9重量%塩化ナトリウム含有)を用いる以外は、(1)〜(4)と同様の方法でフマル酸ケトチフェン溶出率を算出した(実施例4)。
(6) フマル酸ケトチフェン吸着コンタクトレンズの作成において比較例1のコンタクトレンズ用組成物(pH5.3)を用い、且つフマル酸ケトチフェンの溶出において比較例1のコンタクトレンズ用組成物と同様のpH5.3に調整した生理食塩液(0.9重量%塩化ナトリウム含有)を用いる以外は、(1)〜(4)と同様の方法でフマル酸ケトチフェン溶出率を算出した(比較例2)。
<試験結果>
得られた結果を表4に示す。表4から明らかなように、pH5.3の生理食塩水を使用した場合(比較例2)に比べて、pH4.7及び4.1の生理食塩水を使用した場合(実施例3及び4)では、フマル酸ケトチフェン溶出率が高い値であった。特に、pH4.1では、フマル酸ケトチフェンの溶出率が顕著に高い値を示した。
以上の結果から、pHが4.7以下の液体組成物を使用することによって、コンタクトレンズに吸着したケトチフェン又はその塩を効果的に溶出させることが可能となることが確認された。
Figure 0004395650
実施例5−25
常法により、以下の表5−7に記載の処方の点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液(表中、CL装着液という)及びコンタクトレンズ用消毒剤(表中、CL消毒剤という)を調製した。
Figure 0004395650
Figure 0004395650
Figure 0004395650

Claims (8)

  1. ケトチフェン又はその塩を含有し、用時のpHが3〜4.7であることを特徴とする、コンタクトレンズ用点眼剤
  2. 更に、ホウ酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤からなる群より選択される少なくとも1種の緩衝剤を含有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ用点眼剤
  3. 更に、メントールを含有する、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ用点眼剤。
  4. ソフトコンタクトレンズ用である、請求項1乃至3のいずれかに記載のコンタクトレンズ用点眼剤。
  5. ソフトコンタクトレンズが、ヒドロキシエチルメタクリレート・メタクリル酸共重合体又はブチルアクリレート・ブチルメタクリレート重合体を含むものである、請求項4に記載のコンタクトレンズ用点眼剤。
  6. pH3〜4.7に調整されたケトチフェン又はその塩を含有するコンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズを接触させることを特徴とする、ケトチフェン又はその塩のコンタクトレンズへの吸着抑制方法。
  7. pH3〜4.7に調整されたケトチフェン又はその塩を含有するコンタクトレンズ用組成物とコンタクトレンズを接触させることを特徴とする、コンタクトレンズの形状変化の防止方法。
  8. ケトチフェン又はその塩が吸着したコンタクトレンズを、pH3〜4.7のコンタクトレンズケア用液剤と接触させることを特徴とする、コンタクトレンズからケトチフェン又はその塩を溶出する方法。
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