以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示しており、1はフレーム内に遊技盤を取付ける前面枠(本体枠とも呼ぶ)、2は前面枠1を支持する外枠である。前面枠1は、外枠2にヒンジ3a,3bにより開閉可能に組付けられ、その自由端側に施錠フック4a,4bが設けられる。外枠2は、遊技店の島設備に固定される。
遊技盤は、図示しないが、遊技領域に画像表示装置、変動入賞装置、入賞球センサ、LED、ランプ等の各種電気機器が配設される。
前面枠1には、遊技盤の前面を覆うカバーガラス5が開閉可能に取付けられ、下部には球の供給皿6、受皿7、打球発射装置のハンドル8等が設けられる。
図2はこの遊技機の背面図であり、10は前面枠1の裏面に取付けられる基枠体(裏メカベース盤)、11は球貯留タンク、12は画像表示装置の表示制御装置、13は球排出装置等を制御する球排出制御装置、14は変動入賞装置、入賞球センサ、LED、ランプ等の各種電気機器の制御を行うと共に、表示制御装置12、球排出制御装置13等に制御信号を送る役物制御装置、15は役物制御装置14の基板ボックス、16は打球発射制御装置である。
基板ボックス15は、裏メカベース盤10の表面(遊技機の裏面)に取付けられ、その役物制御装置14と各種電気機器、各制御装置等とは配線コード群17〜20を介して電気的に接続される。
図3は基板ボックス15の斜視図で、図4は分解斜視図であり、25はベース部材、26は上蓋部材、27は下部保護板、28は上部保護板、30は役物制御装置14の制御回路基板、31は制御回路基板30に実装された電子部品のうちのROM、32は制御回路基板30の一側部に形成された配線コード群の接続領域33に設けられたコネクタ部である。
遊技プログラムが記憶されたROM31は、制御回路基板30のほぼ中央に配設される。
ベース部材25は、透明の樹脂からなり、制御回路基板30よりもいくらか大きい底部34には格子状にリブが設けられ、底部34の四方には高さの低い周壁35a〜35dが形成される。
ベース部材25の底部34の2つの隅および周壁35a,35cに沿う所定の位置には、下部保護板27、制御回路基板30、上部保護板28をネジ止めする止着用ボス36が形成される。制御回路基板30の配線コード群の接続領域33側の周壁35dには、その接続領域33の基板端部の受け(図示しない)が設けられ、底部34の中央付近には、制御回路基板30のROM31に対応する位置に、ROM31の着脱時に制御回路基板30が曲がったりしないように、支えボス37が設けられる。
上蓋部材26は、透明の樹脂からなり、制御回路基板30の配線コード群の接続領域33を除いて、制御回路基板30および上部保護板28を覆うと共に、ベース部材25の三つの周壁35a〜35cに上蓋部材26の周壁38a〜38cの先端が合う大きさに形成される。
上蓋部材26とベース部材25との間には、周壁38aと周壁35aとの間に係脱可能な蝶着部40が設けられ、その反対側の周壁38cと周壁35cとの間に突起41と門型の係止片42とからなる係止部43が設けられる。上蓋部材26をほぼ全開位置まで開くと蝶着部40によって上蓋部材26をベース部材25から取り外すことが可能であり、上蓋部材26を閉じると係止部43によって上蓋部材26がベース部材25に係止されると共に、位置決めされる。
上蓋部材26の天板部44には、制御回路基板30の電源部に対応して放熱孔45が形成される。周壁38bには、制御回路基板30に配設される遊技機の確率設定器に確率設定キーを差し込んで確率をセットするための穴46が設けられる。
下部保護板27は、ベース部材25側からの静電気等の耐ノイズ用に金属製から形成され、透明のベース部材25を通して外部から制御回路基板30を視認可能に多数の六角形の孔が設けられている。制御回路基板30を視認可能であれば、六角形に限らず、丸型やその他の多角形の孔でも良い。
上部保護板28は、静電気等の耐ノイズ用に金属製から形成され、透明の上蓋部材26を通して外部から制御回路基板30を視認可能に中央部が大きくくりぬかれている。
この基板ボックス15の上蓋部材26をベース部材25に対して閉じたときに対向する周壁のうち、制御回路基板30の配線コード群の接続領域33側の周壁38d,35dおよび蝶着部40側の周壁38a,35aを除く周壁38b,35b,38c,35cの所定の位置に、即ち上蓋部材26側から見て複数ある辺部のうち、配線コード群の接続領域33側および着脱部40側にない二つの辺部の所定の位置に、それぞれ不正開放防止結合手段を構成する複数の重合結合部50〜53,54〜57が形成される。
重合結合部50〜53、54〜57は、それぞれ図5のように上蓋部材26の周壁38b,38cから突出させた連結部(上方連結部)60の先端に上方結合部61が、ベース部材25の周壁35b,35cから突出させた連結部(下方連結部)62の先端に下方結合部63が形成される。
上方結合部61には、中央に所定径の通し穴64が、通し穴64の上部にワンウェイネジ65等(締結部材)の頭部を囲う埋め込み穴66が、下面に通し穴64の回りに段状の係合突部67が設けられる。下方結合部63には、上部に上方結合部61の係合突部67が嵌まる係合受部68が、その中央に上方結合部61の通し穴64につながる通し穴64とほぼ同径の所定深さの穴69が形成される。 上蓋部材26をベース部材25に対して閉じると、図6のように上方結合部61の係合突部67が下方結合部63の係合受部68に嵌まり、位置決めしながら、上方結合部61の下面と下方結合部63の上面が、上方連結部60の下面と下方連結部62の上面が当接される。
重合結合部50〜53は、上蓋部材26の周壁38b、ベース部材25の周壁35bに沿って1列に所定の間隔を空けて形成され、重合結合部54〜57は、上蓋部材26の周壁38c、ベース部材25の周壁35cに沿って1列に所定の間隔を空けて、この場合周壁38b、周壁35bに近い側に形成される。重合結合部50〜53,54〜57をそれぞれ所定の間隔を空けて形成することにより、ニッパ等での切断が容易になり、検査時の作業性が向上する。
ベース部材25の周壁35a,35cには取付ボス72が突設され、その取付ボス72には裏メカベース盤10の取付部に設けた掛止具に対するワンタッチ式の止め具73(図2)が組み込まれる。
図7〜図9に示すように、重合結合部50〜53、54〜57の上方連結部60の断面形状は幅の狭い長方形に、下方連結部62の断面形状はそれより幅の大きい方形に形成される。これらの幅は図9の左右方向の長さを言う。
下方連結部62が上方連結部60に隠れることのないように、下方連結部62の外形幅が上方連結部60の外形幅よりも大きく形成される。即ち、上蓋部材26をベース部材25に対して閉じた状態にて、上蓋部材26側から連結部60,62を見たときに、両方の連結部60,62の状態が視認可能に形成される。
この場合、上方連結部60の断面形状は長方形でなくても良く、下方連結部62の断面形状は方形でなくても良い。また、これらの断面形状は曲形状、傾斜形状を持つものでも良い。また、連結部60,62の断面形状は山型形状あるいは図10のように大きさの異なる台形状でも良い。また、上方連結部60は下方連結部62の上方に位置せずとも良い。上蓋部材26側から両方の連結部60,62の状態が視認可能であれば、どのような形状でも良い。
なお、上方連結部60、下方連結部62の断面積は、同じでも、どちらが大きくても良いが、それぞれニッパ等で切断可能な大きさに形成される。
上蓋部材26の天板部44の表面には、図7のように後述する確認部材80,81が取付けられると共に、重合結合部50〜53,54〜57の近傍に、それぞれ重合結合部50〜53,54〜57に対応して数字等の識別記号が印刷あるいは打刻(成型表示を含む)される。重合結合部50〜53,54〜57をそれぞれ左から順に組み合わせ、例えば重合結合部53,54に対応して1の識別記号が、重合結合部52,55に対応して2の識別記号が、重合結合部51,56に対応して3の識別記号が、重合結合部50,57に対応して4の識別記号が表示される。
次に、基板ボックス15の組立ておよび遊技機への組付けについて説明する。
ベース部材25の底部34に下部保護板27、制御回路基板30、上部保護板28を重ね、ネジにより止着用ボス36にネジ止めする。
上蓋部材26の重合結合部50〜53、54〜57の上方結合部61の通し穴64には、それぞれ締め方向しか回せないワンウェイネジ65を、ワンウェイネジ65の先端が通し穴64から下面に出ないように仮止めしておく。
この場合、ワンウェイネジ65の深さを設定するために、ワンウェイネジ65を締めるドライバ工具等に締め付け深さを調整するストッパ等の調整機構を設けて、ワンウェイネジ65を仮止めするようにすると良い。ワンウェイネジ65を一旦締めると元に戻せないが、このようにすれば、ワンウェイネジ65を適度な深さに仮止めでき、仮止めを容易に行える。
この上蓋部材26とベース部材25との蝶着部40を掛け合わせ、上蓋部材26を閉じる。この際、上蓋部材26とベース部材25との係止部43の突起41が係止片42に嵌まって、上蓋部材26がベース部材25に係止され、位置決めされると共に、重合結合部50〜53、54〜57の各上方結合部61の係合突部67が各下方結合部63の係合受部68に嵌まり、それぞれが位置決めしながら、重合する。
この状態にて、重合結合部50〜53のうちの一つと、重合結合部54〜57のうちの一つとを、それぞれ上方結合部61に仮止めしてあるワンウェイネジ65を下方結合部63まで確実に締めて、結合、固着する。この場合、識別記号1の重合結合部53,54を結合、固着する。
結合、固着した重合結合部53,54の上方結合部61の埋め込み穴66には、ワンウェイネジ65の頭部を隠すように図11のような結合蓋部材74を装着する。その他の重合結合部50〜52,55〜57の上方結合部61の埋め込み穴66には、ドライバの差し込み穴76を設けた図12のような仮止め結合蓋部材75を装着する。なお、埋め込み穴66には結合蓋部材74,75の突起77に掛止する溝を設けてある。ワンウェイネジ65の頭部を隠すことで、一度封印されたワンウェイネジ65の頭部は、不正行為者に触られることがなくなり、例えばラジオペンチ等で無理やり緩む方向へと回されるといった不正な行為を予防することが可能となる。そして、仮止め結合蓋部材75は、仮止めされたワンウェイネジ65の上部をふさぐようにするので、仮止めされたワンウェイネジ65が遊技機の運搬途中等で何らかの拍子に重合結合部から落下するのを防ぎながら、検査時に重合結合部の固着をする際に差し込み穴76にドライバの先端を差し込むことで仮止め状態から固着状態にすることが可能となる。また、仮止め結合蓋部材75は、差し込み穴76が設けられているが、この穴を設けずに、取付け、取り外しを自在にして、これを取り外してから仮止めされているワンウェイネジ65を固着するようにしても良い。
この後、基板ボックス15の表面つまり上蓋部材26の天板部44の表面には、図7のように透明なシール等に遊技機メーカー名、機種名、電圧、容量、注意書き等を記載した第1の確認部材80、ならびに所定のシール等に製造業者記号を含んだ基板管理番号を記載(図示してない)すると共に公的機関が検査の際に基板ボックス15を正規に開放したことを証明する記載を可能な欄つまり検査回数、検査年月日、検査印等の検査履歴の記載欄を設けた第2の確認部材81を取付ける。
第1の確認部材80は、上蓋部材26の天板部44の蝶着部40側に、第2の確認部材81は天板部44の重合結合部54〜57に沿う側に、貼着により取付ける。
この場合、第1の確認部材80は、樹脂等のプレートに遊技機メーカー名、…、注意書き等を印刷あるいは打刻(成型表示を含む)したものを、上蓋部材26の天板部44に接着、あるいは天板部44に嵌め込み溝等の取付部を形成して、取付けるようにして良い。また、遊技機メーカー名、…、注意書き等を予め天板部44に打刻するようにしても良い。
第2の確認部材81は、検査履歴の記載欄等を設けたシールを樹脂等のプレートに貼り付けると共に、上蓋部材26の天板部44にそのプレートを着脱できる嵌め込み溝等の取付部を形成して、取付けるようにして良い。また、検査時の開、封の手順等の説明をシールあるいはプレートに印刷あるいは打刻により表記するようにして良い。また、シールを用いる場合、剥がすと痕跡が残る特殊なシールを用いて良い。
また、第2の確認部材81の検査回数の欄には、上蓋部材26の天板部44に表示してある重合結合部50〜53,54〜57の識別記号1,2,3,4に対応して、第1、第2、第3、第4の表示の印刷等を行っておく。このように、重合結合部50〜53,54〜57の識別記号に検査履歴の欄を対応させれば、重合結合部50〜53,54〜57の封印順序が定まり、識別記号、検査履歴を見て、重合結合部の状態を的確に照合でき、正規の重合結合部が固着してあるか、不正に切除してあるかが容易に分かる。
なお、第1の確認部材80、第2の確認部材81は、上蓋部材26の天板部44の内面に、つまり確認部材80,81の表面を天板部44の表面(外面)に向けて取付けるようにしても良い。この場合、埃等によって確認部材80,81が汚れたり、表示が見えにくくなるようなことはなく、また確認部材80,81が剥がれたり、傷付いたりするようなこともない。
そして、このように組立てた基板ボックス15を図2のように遊技機の裏メカベース盤10の所定の取付位置に取付ける。
基板ボックス15のベース部材25を裏メカベース盤10の所定の取付位置の表面に合わせ、ベース部材25の取付ボス72のワンタッチ式の止め具73を裏メカベース盤10の所定位置の掛止具に押し込み、固定する。
この場合、図2のように重合結合部54〜57が上方に、制御回路基板30の配線コード群の接続領域33が球排出制御装置13側に、重合結合部50〜53が裏メカベース盤10の周縁部につまり遊技機の前面枠1の開閉自由端側にくるように、取付位置を定めている。
この取付後、制御回路基板30の配線コード群の接続領域33のコネクタ部32に、表示制御装置12、球排出制御装置13、各種電気機器からの配線コード群17〜20のコネクタ端をそれぞれ嵌め込み、接続する。
この際、接続領域33に対する配線コード群17〜20の配線作業空間が重ならない基板ボックス15の部位に重合結合部50〜53、54〜57が位置している。即ち、重合結合部50〜53は、接続領域33の反対側にて裏メカベース盤10の周縁部側に、重合結合部54〜57は、接続領域33から離れ裏メカベース盤10の周縁部に近い側に位置する。このため、配線コード群17〜20を接続領域33のコネクタ部32に接続する場合に、重合結合部50〜53,54〜57に配線が絡まったり、接続した配線が重合結合部50〜53,54〜57を覆って重合結合部50〜53,54〜57が隠れたりすることはない。
このように、組立て、組付けを行うのであり、公的機関による基板ボックス15内の制御回路基板30のROM31の検査を行うときは、遊技機の裏メカベース盤10より基板ボックス15を外して、あるいは裏メカベース盤10に取付けたまま、基板ボックス15を開ける。
基板ボックス15を取り外す際は、まず配線コード群17〜20を接続領域33のコネクタ部32より外し、ベース部材25のワンタッチ式の止め具73を引くと、外せる。このとき、配線作業空間が重合結合部50〜53,54〜57に重ならないため、重合結合部50〜53,54〜57に配線が絡まって、取り外しがしにくかったり、配線や重合結合部50〜53,54〜57を傷つけるようなことはない。
基板ボックス15を取り外すと、重合結合部50〜53,54〜57のうち、ワンウェイネジ65によって固着してある識別記号1の重合結合部53,54の上方連結部60、下方連結部62をニッパ等で切断して、その重合結合部53,54を取り除く。この場合、上方連結部60、下方連結部62の両方を確実に切断する。
この重合結合部53,54を除くと、上蓋部材26は係止部43によって閉止しているだけのため、係止部43を外せば、上蓋部材26が開く。
上蓋部材26を開くと、制御回路基板30のROM31を外して検査を行うことになる。
検査を終了すると、ROM31を制御回路基板30に装着して上蓋部材26を閉じる。この際、上蓋部材26が位置決めしながら係止部43が係止する。同時に、切除していない識別記号2〜4の重合結合部50〜52,55〜57の各上方結合部61の係合突部67が各下方結合部63の係合受部68に嵌まり、位置決めする。
この状態にて、識別記号2の重合結合部52,55の上方結合部61に仮止めしてあるワンウェイネジ65を下方結合部63まで締めて、その重合結合部52,55を結合、固着する。上蓋部材26を閉じると、識別記号2〜4の重合結合部50〜52,55〜57の各上方結合部61の係合突部67が各下方結合部63の係合受部68に嵌まり、位置決めする。即ち、識別記号2〜4の重合結合部50〜52,55〜57が確実に重合するため、識別記号2の重合結合部52,55の結合、固着が容易になり、不完全な状態でワンウェイネジ65を締める心配はない。
この後、上蓋部材26の天板部44の第2の確認部材81の検査回数の第1の記載欄に、検査担当者が検査年月日の記入、検査印等の捺印を行った後、基板ボックス15を遊技機の裏メカベース盤10の取付位置に合わせ、ベース部材25のワンタッチ式の止め具73を押し込み、取付ける。
取付後は、制御回路基板30の接続領域33のコネクタ部32に配線コード群17〜20を接続して完了となる。
また、基板ボックス15を裏メカベース盤10に取付けたまま、検査を行う場合は、そのままニッパ等で、重合結合部50〜53,54〜57のうち、ワンウェイネジ65によって固着してある識別記号1の重合結合部53,54の上方連結部60、下方連結部62をニッパ等で切断して、その重合結合部53,54を取り除く。配線コード群17〜20が重合結合部50〜53,54〜57から離れているため、重合結合部53,54を切除する際に配線を一緒に切断するようなことはない。
この状態にて、係止部43を外すと、上蓋部材26が開き、制御回路基板30からROM31を外して検査を行う。
検査を終了すれば、ROM31を制御回路基板30に装着して上蓋部材26を閉じ、この際係止部43によって上蓋部材26は位置決めすると共に、識別記号2〜4の重合結合部50〜52,55〜57の各上方結合部61の係合突部67が各下方結合部63の係合受部68に嵌まり、位置決めしながら、識別記号2〜4の重合結合部50〜52,55〜57が確実に重合するため、上蓋部材26を閉じると、そのまま識別記号2の重合結合部52,55の上方結合部61に仮止めしてあるワンウェイネジ65を下方結合部63まで締めて、その重合結合部52,55を結合、固着する。重合結合部52,55は配線コード群17〜20から離れているため、その結合、固着を容易に行える。
後は、上蓋部材26の天板部44の第2の確認部材81の検査回数の第1の記載欄に、検査担当者が検査年月日の記入、検査印等の捺印を行えば、完了となる。
一方、不正行為として、基板ボックス15を不正に開けて、制御回路基板30のROM31を不正なROMに交換、あるいはROM31のデータを書き換えて、大当たりを頻繁に発生させる等の不正行為がある。
この不正行為には、正規に固着してある重合結合部の上方連結部60と下方連結部62とを切断して、その重合結合部を取り除いて、基板ボックス15を開けたりすることが想定される。
また、上方連結部60のみを切断して、重合結合部を取り除かずに、基板ボックス15を開けたり、あるいは切断部分を隠蔽するように、上方連結部60は切断せずに下側の下方連結部62のみを切断して、基板ボックス15を開けたりすることが想定される。
しかし、重合結合部が取り除かれた場合、また上方連結部60あるいは下方連結部62のどちらかが切断された場合、これらは遊技店における遊技機の保守点検時あるいは営業中に遊技機の球詰まり等を直す際等に、発見できる。
基板ボックス15を遊技機の裏面に取付けるため、遊技機の裏側から重合結合部50〜53,54〜57を確認できると共に、重合結合部50〜53,54〜57の上方連結部60の状態および下方連結部62の状態を上蓋部材26側から視認可能なため、基板ボックス15の取付部のほぼ正面側から即ち遊技機の裏側から、図7のように重合結合部50〜53,54〜57の上方連結部60の状態および下方連結部62の状態の両方を視認できる。また、基板ボックス15を取付けた状態において、図2のように重合結合部50〜53が遊技機の前面枠1の開閉自由端側に、重合結合部54〜57が基板ボックス15の上部にあり、また接続領域33の配線に隠れることがないので、係員の目に入りやすい。
そのため、遊技機の前面枠1を開くと、正規の重合結合部が切除されていれば、これをすぐに見付けることができる。
また、上方連結部60が切断されている場合、固着してある重合結合部が取り除かれていなくとも、その切断の跡が見えるため、上方連結部60が切断されていることが容易に分かる。
また、上方連結部60の下側の下方連結部62も視認できるため、図13、図14のように重合結合部52,55の上方連結部60が切断されずに下方連結部62のみが切断されている場合(重合結合部53,54は正規な切除)に、その切断の跡が目に入り、下側の下方連結部62が切断されていることを容易に見付けることができる。即ち、下方連結部62だけを切断して開封したことを分かりにくくしようとする隠蔽行為に対処できる。
基板ボックス15の上蓋部材26の天板部44に重合結合部50〜53,54〜57の識別記号を表示すると共に、天板部44に取付けてある第2の確認部材81にその識別記号に対応する検査履歴の欄を設けるため、その識別記号、検査履歴を見て、固着してある重合結合部が正しいものかどうか、不正な切除かどうかの照合を簡単に行え、不正を容易に見付けることができる。
基板ボックス15の複数の箇所に重合結合部50〜53,54〜57を形成して、複数の重合結合部を封印するので、封印効果が高まることに加え、不正を発見しやすい。
このように、基板ボックス15を取り外さずに、遊技機の裏側から基板ボックス15の重合結合部50〜53,54〜57、これらの上方連結部60、下方連結部62の状態、および第1の確認部材80、第2の確認部材81の記載内容を視認できるのであり、不正行為があっても、遊技機の保守点検時あるいは営業中に遊技機の球詰まり等を直す際等に簡単にかつ早期に発見できる。このため、不正抑止を図れる。
したがって、重合結合部を切除して基板ボックス15を開け、制御回路基板30のROM31を不正に交換する等の不正行為を防止でき、このような不正行為による遊技店の損害を最小限に抑えることができる。
また、基板ボックス15の遊技機への取付け、取り外し時に、重合結合部50〜53,54〜57に配線が絡んだりすることがないため、その取付け、取り外しが容易であり、また公的機関による検査時に、基板ボックス15を遊技機から取り外して検査を行う場合、その取り外し、取付け作業が容易であり、検査をスムーズに行える。
基板ボックス15の上蓋部材26とベース部材25とに設けた蝶着部40と係止部43とによって、重合結合部を切除する際、あるいは重合結合部のワンウェイネジ65を締める際に、上蓋部材26やベース部材25が動いたりすることはなく、重合結合部の切除、ワンウェイネジ65の締結を行いやすくなる。
蝶着部40と係止部43と、重合結合部50〜53,54〜57の上方結合部61と下方結合部63とに設けた係合部67,68とによって、上蓋部材26を閉じれば、重合結合部50〜53,54〜57がそれぞれ確実に重合して位置合わせが容易に行え、ワンウェイネジ65によって該当する重合結合部の結合、固着を確実に行える。
公的機関による検査時に、基板ボックス15を遊技機から取り外さずに検査を行える。この際、固着してある重合結合部を切除して、係止部43を外せば、上蓋部材26が簡単に開くと共に、上蓋部材26は蝶着部40によって手前下方に開いた状態を保つので、制御回路基板30からROM31を簡単に外せる。また、検査終了後にROM31を簡単に装着できる。
したがって、基板ボックス15の遊技機への取付け、取り外し作業、基板ボックス15の開放、封印作業、検査作業を容易に行え、作業性の向上を図れる。
なお、重合結合部50〜53,54〜57の締結部材として、ワンウェイネジ65を用いたが、リベットを用いても良く、また重合結合部の構造を含め、切断あるいは切除しなければ、基板ボックス15を開けられないものであれば、何でも良い。
また、基板ボックス15の上蓋部材26、ベース部材25の周壁38b,35b,38c,35cの二カ所に、即ち上蓋部材26側から見て複数ある辺部のうち二つの辺部に重合結合部50〜53,54〜57を形成したが、そのうちの一方にのみ形成しても良い。
また、実施の形態では、役物制御装置の基板ボックスに適用した例を示したが、遊技プログラムを記憶したROMと同じような重要部品を持つものであれば、これに限定することなく適用できる。また、基板ボックスは、一つの役物制御装置だけでなく、球排出制御装置あるいはその他の制御装置を収容するものであって良い。
図15〜図18は別の実施の形態を示すもので、重合結合部50〜53,54〜57のそれぞれ上方連結部90と下方連結部91とに、連結部同士が嵌合する嵌合部92を形成したものである。
上方連結部90は、断面形状が幅(図17、図18の左右方向の長さを言う)の狭い長方形に形成され、下方連結部91は、上部に上方連結部90に対応する溝93が形成される。この溝93の両側の壁94は、下方結合部63の上面より上方に突出して形成される。
したがって、上蓋部材26をベース部材25に対して閉じた状態にて、図17のように上方連結部90が下方連結部91の溝93に嵌合される。
このようにすれば、上蓋部材26側から連結部90,91を見たときに、両方の連結部90,91の状態を視認できると共に、嵌合によって上方連結部90、下方連結部91の片側のみを切断するのが難しくなり、不正行為の防止効果が高まる。
なお、下方連結部91の溝93を深くし、上方連結部90の下部を上方結合部61よりも下方に突出させる形状にしても良い。また、上方連結部90、下方連結部91の断面形状は曲形状、傾斜形状を持つものでも良い。
図19〜図22は別の実施の形態を示すもので、上蓋部材26をベース部材25に対して閉じた状態にて、上蓋部材26側から重合結合部50〜53,54〜57の上方連結部95、下方連結部96を見たときに、それぞれ上方連結部95、下方連結部96が対称位置に見えるように形成し、連結部95、連結部96の状態を視認できるようにしたものであり、連結部95、連結部96がそれぞれ直接的に視認できるので切断痕が容易に認識できる。
図21、図22のように上方連結部95は上方結合部61に対して左側に偏心して形成され、下方連結部96は下方結合部63に対して右側に偏心して形成される。即ち、互い違いに形成される。この場合、連結部95,96に重なる部分があっても良い。
このようにすれば、下方連結部96を小さくできる。また、上方連結部95、下方連結部96の形状は特に限定されない。
なお、各実施の形態において、上方連結部、下方連結部の断面形状は一定でなくても良い。
また、遊技機としてパチンコ遊技機に適用した例を示したが、その他の遊技機、例えばパチスロ、アレンジボール等の遊技機にも適用できる。
なお、特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)遊技機に設けられる電気的作動装置の制御を行うためにROM等の電子部品を実装した制御回路基板を収容する遊技機の基板ボックスにおいて、前記基板ボックスを構成する上蓋部材とベース部材とには、当該基板ボックスを閉じた状態において対向状態となる対向部を形成し、前記対向部の所定部位には、前記上蓋部材とベース部材とから各々突出させた連結部を介して重合する重合結合部を複数形成して、このうちのいずれか一つの重合結合部に対し締結部材により固着せしめて開放不能に封印する不正開放防止結合手段を設けており、前記不正開放防止結合手段の重合結合部の上蓋部材側の連結部とベース部材側の連結部とを、基板ボックスを遊技機の所定位置に取付けた状態において、その取付部のほぼ正面側から視認可能に形成した、ことを特徴とする遊技機の基板ボックス。
これにより、制御回路基板を収容する基板ボックスの上蓋部材とベース部材との対向部位に、上蓋部材とベース部材とから各々突出させた連結部を介して重合する重合結合部を複数形成して、このうちの一つを締結部材により固着することで、基板ボックスが開放不能に封印されると共に、これらの重合結合部の上蓋部材側の連結部とベース部材側の連結部とが、基板ボックスを遊技機の所定位置に取付けた状態において、その取付部のほぼ正面側から視認可能に形成される。
このため、重合結合部により基板ボックスを破壊せずに開放、封印できると共に、例えば大当たりを不正に発生させるために、正規に固着してある重合結合部の連結部を切断して、基板ボックスを開けてしまい、制御回路基板のROMを不正なROMに交換、あるいはROMのデータを書き換える不正行為が行われることがあっても、これは遊技店における遊技機の保守点検時あるいは営業中に遊技機の球詰まり等を直す際等、容易に発見される。この場合、基板ボックスを開けたことを分かりにくくするために、重合結合部の上蓋部材側の連結部を切断せずにベース部材側の連結部のみが切断されることがあるが、このような隠蔽行為にあっても、ベース部材側の連結部の状態が視認され、把握できるため、その連結部の切断による不正も容易に速やかに発見される。したがって、不正の抑止にもなり、不正を防止できる。
(2)前記ベース部材側の連結部の断面外形幅は、上蓋部材側の連結部の断面外形幅よりも大きい(1)に記載の遊技機の基板ボックス。
これにより、ベース部材側の連結部の断面外形幅は、上蓋部材側の連結部の断面外形幅よりも大きいので、基板ボックスを遊技機の所定位置に取付けた状態において、ベース部材側の連結部の状態を視認しやすくなり、その連結部が切断されているかどうかが容易に把握できる。
(3)前記上蓋部材側の連結部とベース部材側の連結部とに、基板ボックスを閉じた際に連結部同士が嵌合する嵌合部を形成した(1)または(2)に記載の遊技機の基板ボックス。
これにより、上蓋部材側の連結部とベース部材側の連結部とを嵌合させたので、片側の連結部のみを切断するのが難しくなり、不正行為の一層の防止を図れる。
(4)前記ベース部材側の連結部は、基板ボックスを閉じた状態にて上蓋部材側から見て視認可能である(1)〜(3)のいずれか1つに記載の遊技機の基板ボックス。
これにより、ベース部材側の連結部の切断による不正を容易に発見できる。
(5)前記各重合結合部は、それぞれ所定の間隔を空けて形成した(1)〜(4)のいずれか1つに記載の遊技機の基板ボックス。
これにより、重合結合部の切除を行いやすくなり、検査時の作業性が向上する。