JP4394004B2 - 結晶析出方法 - Google Patents

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Description

パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物[(−)−(3S,4R)−4−(4−fluorophenyl)−3−[(3,4−methylenedioxy)phenoxymethyl]piperidine monohydrochloride hemihydrate]結晶は、抗うつ剤として世界的に供せられている。本発明は、かかるパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を効率的に析出させる方法および新規パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶に関する。
従来の低級アルコール等の極性有機溶媒であって水を含むか、または水を含まない溶媒を用いてパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させる方法は、水10%を含む2−プロパノールを溶媒とする結晶析出方法である(例えば、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス(International Journal of Pharmaceutics),42(1988),135−143(136頁、左欄第1段落)参照)。また、IMS(工業用メタノール)を再結晶溶媒としてパロキセチン・塩酸塩を再結晶している方法もある(例えば、欧州特許第223403B1号明細書(特公平6−47587号に対応)の実施例3(a)、および英国特許出願第8526407号明細書の実施例4(a)参照)。また、極性有機溶媒を使用せず水だけを結晶溶媒とする例もある(例えば、欧州特許第223403B1号明細書の実施例2および3(b)ならびに英国特許出願第8526407号明細書の実施例3および4(b)参照)。
またパロキセチン・塩酸塩のピンク着色解決の試みは、本件出願の優先日後に公開された国際公開第02/102382号パンフレットでなされているが、この方法は、パロキセチン塩基とHClとの反応によりパロキセチン・塩酸塩を生成させるにあたり、HCl小過剰(pH1以下)では不純物の生成等の不都合が生じるので、HClを1モル等量未満またはpH約3〜約8になるようにするものである。なお、本発明者の知る限りでは、HCl小過剰でのパロキセチン・塩酸塩の生成反応には、溶媒として無極性溶媒のトルエンが用いられている(欧州特許第223403B1号明細書および英国特許出願第8526407号明細書参照)。
本発明者らは、極性有機溶媒を用いてパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させる方法において、上記の問題のない結晶析出方法を種々検討し、水を含まないか、または水60重量%以下を含む極性有機溶媒を溶媒とするパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加え、水分量が70重量%以上の含水の極性有機溶媒にすれば、十分な収量でパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶が析出することを見出し、本発明を完成した。特にメタノール等の例を除けば、水を含まないものよりも、水60〜10重量%を含む極性有機溶媒においてパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物の溶解度が高く、そのときの溶液または懸濁液に水を添加して水分量を70重量%以上にすれば効率的に結晶が析出することを見出して本発明を完成した。
また水溶媒または水を含む極性有機溶媒中での結晶析出方法で取得したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶のピンク着色傾向の問題は、塩化水素を存在させて結晶析出させれば解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の1つは、
(1)パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を含水極性有機溶媒中で析出させるにあたり、極性有機溶媒であって水を含まないか、または水60重量%以下を含む溶媒からなるパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整することを特徴とするパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(2)固体状または油状のパロキセチン・塩酸塩を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(1)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(3)パロキセチン・塩酸塩結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(1)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(4)パロキセチン・塩酸塩・無水和物結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(1)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(5)2−プロパノールから晶出させて得たパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(1)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(6)パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整にする(1)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(7)水55〜15重量%を含む極性有機溶媒からなるパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加える(1)〜(6)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(8)水50〜20重量%を含む極性有機溶媒からなるパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加える(1)〜(6)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(9)40〜60℃でパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加える(1)〜(8)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(10)パロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加えた後、0〜10℃に冷却する(1)〜(9)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(11)極性有機溶媒が低級アルコールまたはケトンである(1)〜(10)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(12)低級アルコールが2−プロパノールである(1)〜(11)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、および
(13)パロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に塩化水素を存在させる(1)〜(12)のいずれかに記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法である。
また他の本発明は、
(14)水または水を含む極性有機溶媒を溶媒とするパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液からパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させるにあたり、塩化水素を存在させることを特徴とするパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法(ただし、パロキセチン・酢酸塩の水溶液に濃塩酸を加える場合は除く)、
(15)pHが2以下である(14)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(16)固体状または油状のパロキセチン・塩酸塩を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(14)または(15)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(17)パロキセチン・塩酸塩結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(14)または(15)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(18)パロキセチン・塩酸塩・無水和物結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(14)または(15)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(19)パロキセチン・塩酸塩・無水和物結晶が、2−プロパノールから晶出させて得られたパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール結晶である(18)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(20)パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を溶液または懸濁液にし、水を加えて、水の含有量を70重量%以上に調整する(14)または(15)に記載のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法、
(21)ピンクに着色してないことを特徴とする水または水を含む極性有機溶媒により湿潤されたパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶、
(22)結晶1gを蒸留水10gに懸濁させたときの上澄み部分のpHが3〜6であることを特徴とするパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶、および
(23)ピンクに着色したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を、結晶を析出させる溶媒に溶解し、結晶を析出させる精製方法において、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物に対して等モル以上の塩化水素の存在下に精製することを特徴とするピンク着色のないパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の製法である。
本発明の結晶析出方法の一つは、前記(1)〜(13)に記載される方法である(本発明1)。以下、この方法の実施の形態を説明する。
この方法では、先ず極性有機溶媒であって水を含まないか、または水60重量%以下を含む溶媒からなるパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液を調製する。
ここでパロキセチン・塩酸塩は、結晶状態、無結晶状態の固体状でもよく、また固体状になっていない油状などの状態でもよい。またパロキセチン・塩酸塩の溶液、または懸濁液でもよい。結晶状態のものが特に好ましい。このものを使用して本発明方法を実施すると、より純度の高いパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶が得られるからである。
結晶としては、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶でも無水和物結晶でもよい。1/2水和物結晶の場合は、本発明の結晶析出法は、主として結晶精製のために実施される。無水和物としては、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス(International Journal of Pharmaceutics),42(1988),135−143に記載されるForm2、国際公開第96/24595号パンフレット、特公平6−47587号公報、欧州特許第223403B1号明細書、および欧州特許第0812827A1号明細書等に記載の各種の無溶媒和物結晶や、溶媒和物結晶でもよい。実用的には、2−プロパノールから晶出された2−プロパノールを含有するパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物結晶(2−プロパノール含有量が14重量%、3重量%程度が例示される)が好ましい。これらの結晶は、析出後の結晶懸濁液からこれらの結晶を濾別等分離して得た湿潤状態の結晶、すなわち未だ結晶析出溶媒を乾燥除去しきっていない結晶でもよい。たとえば、実施例9、1)のように2−プロパノールから晶出された2−プロパノールを含有するパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物結晶であって結晶晶出溶媒2−プロパノールで湿潤されたものである。
パロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液としては、これらに限定されることはないが、次が例示される。1つは、パロキセチン・塩酸塩の前駆体、例えば、N−tert−ブチルオキシカルボニル−パロキセチンから、塩化水素を使ってN−tert−ブチルオキシカルボニル基を脱離させて得たパロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液である。そのときは、その反応で得たパロキセチン・塩酸塩を含む後処理段階の反応液であって、その溶媒が2−プロパノール等前記極性有機溶媒に該当するものであれば、その反応液を、パロキセチン・塩酸塩を単離することなく、そのまま用いて本発明の結晶析出方法を実施する場合である。他の例としては、パロキセチン・塩酸塩を酢酸塩等の塩酸以外の酸からなるパロキセチン・酸塩を塩化水素で塩交換して得た場合である。その際の塩交換反応の溶媒が、例えば、実施例2のように本発明に用いる極性有機溶媒に該当するときは、当該塩交換反応で得たパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液を、パロキセチン・塩酸塩を単離することなく、そのまま用いて本発明結晶析出方法を実施する場合もある。
前記のように前駆体、酸塩等をパロキセチン・塩酸塩に変換してパロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液を得る場合、その際の溶媒が本発明に使用する極性有機溶媒に該当しないときは、パロキセチン・塩酸塩を単離することなく、その溶媒を本発明で使用される溶媒に置き換えて本発明方法に供される。
本明細書にいう極性有機溶媒とは、水と混和する有機溶媒であって、25℃における比誘電率が好ましくは5〜50、より好ましくは15〜40の有機溶媒である〔(社)有機合成化学協会編「新版 溶剤ポケットブック」(株)オーム社、1994年(平成6年)6月10日、p.1−2参照〕。極性有機溶媒の代表例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの炭素数1〜5の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどの炭素数2〜5の対称、非対称の低級ジアルキルケトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどがあげられる。パロキセチン・塩酸塩の溶解性や、溶媒を医薬品に含まれる残留溶媒としてみたときの安全性等から見て2−プロパノール、エタノールおよびアセトンが特に好ましい。実用性から見て特に2−プロパノールが好ましい。前記極性有機溶媒は、上述の2種類以上の混合溶媒であってもよい。
極性有機溶媒は、水を含んでいても良く、その時の水の割合は、パロキセチン・塩酸塩の溶解度の関係から60重量%以下である。溶媒によって好ましい範囲が異なるが、メタノールのような例外を除いては、水の割合は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%、更に好ましくは約20〜50重量%である。水の割合は、この範囲内にあるとき、パロキセチン・塩酸塩の溶解度が高くなる。懸濁液といえども、純度の高いパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させるために、水の割合を調整してパロキセチン・塩酸塩の溶解度を高めることが好ましい。
上記のような水を含まないか、または水を含む極性有機溶媒を溶媒として用いパロキセチン・塩酸塩の溶液、懸濁液を調製するが、その調製法は、結果的に当該溶液、懸濁液を与える限り如何なる方法でもよいが、単離されているパロキセチン・塩酸塩を用いて、その溶液、懸濁液を調製する場合は、通常、パロキセチン・塩酸塩と溶媒とを混合することにより行われる。
またそれ以外の場合としては、前記のように前駆体・酸塩等をパロキセチン・塩酸塩に変換して得たパロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液である。この際、必要に応じて水を添加し、水の含有率を調整することもある。
本発明においては、パロキセチン・塩酸塩を含む限り、溶液および懸濁液のいずれであってもよいが、精製結晶の取得の観点から、溶液の方が好ましい。
パロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液を調製するにあたっては、パロキセチン・塩酸塩の溶解度を上げるために通常加温、加熱し、できるだけ溶解させることが、より純度の高い結晶が得られる可能性が高くなることから好ましい。しかし、温度を上げ過ぎると分解が生じるおそれがあるので、通常、40〜60℃の温度に調整する。純度向上を目的とせずに、単にパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を得るだけなら、それ以上の温度であってもよく、あるいはそれ以下の温度であってもよく、また室温でもよい。
水を含むかまたは水を含まない極性有機溶媒の量は、溶液または懸濁液を調製することができる限り特に限定がないが、操作性のよい溶液・懸濁液を与える観点から、通常、パロキセチン・塩酸塩1重量部に対して、1〜10重量部、好ましくは2〜5重量部である。溶液を調製した場合は、この溶液を活性炭等処理して精製してもよい。
本発明では、以上のようにして調製したパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に水を加えて、含水の極性有機溶媒における水の含有量70重量%以上、好ましくは75〜95重量%、更に好ましくは80〜90重量%に調整して結晶を析出させる。
水を加える方法は、パロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液に添加した水が十分行き渡る方法であって、一時に大量に結晶が析出しないような方法であれば、特に限定されない。一時に大量に結晶が析出すると結晶が細かくなり過ぎたり、結晶の分離取だしに困難を生じたり、析出結晶に不純物が混入する傾向にあるからである。通常、攪拌しながら溶液、懸濁液に水を滴下する。
添加速度、添加温度等は、水の添加と同時に大量に結晶が析出しないように調整する。水の添加温度は、好ましくは溶解、懸濁液を調製した温度ないしそれより若干低めの温度であり、通常は40〜60℃である。水60重量%以下を含むか、または水を含まない2−プロパノールのパロキセチン・塩酸塩溶液に水を添加して水の含有量を80〜90重量%に調整するときは、40〜60℃の加温下では、通常、水を添加しきった段階でも結晶の析出は、殆ど認められない。
水の添加後、この溶液または懸濁液を冷却して結晶を析出させる。結晶析出の具体的方法は、通常の結晶析出において広く用いられる慣用手段を適用する。すなわち、冷却の速度は、大量に結晶が析出しないように調整して行う。好ましくは結晶が析出し始めたらその温度にある程度の時間保持し結晶成長を図り、細か過ぎる結晶の析出を抑制する。その時間は、生産規模によるが数10分から1時間、大規模生産では、更に長くなることもある。結晶析出には、種晶を加えて、結晶析出を促進させることできる。
その後、結晶を十分に析出させるために、更に冷却し、0〜10℃、好ましくは0〜5℃の温度に調整する。通常、慣用手段の通り、この温度にある程度の時間保持して結晶析出を完結させる。その時間は、生産規模によるが数10分から1時間、大規模生産では、更に長くなることもある。
前記した水添加後に冷却する工程、および保温する工程は、通常、溶液全体の温度を均一にする観点、および容器の中で偏りのない結晶析出を図る観点から攪拌する。
その後は、通常、本発明方法により結晶析出したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶は、濾別するなど慣用の方法で分離し、洗浄され、乾燥される。本発明では、後に詳述するように、前記(1)〜(13)の結晶析出法において、取得結晶のピンク着色を防止する観点から、パロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に塩化水素を存在させるのが好ましい。
本発明のもう1つの結晶析出方法(発明2)は、前記(15)〜(21)に記載される方法であって、水または水を含む極性有機溶媒を溶媒とするパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液からパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させるにあたり、塩化水素を存在させることを特徴とするパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の析出方法である(ただし、パロキセチン・酢酸塩の水溶液に濃塩酸を加える場合は除く)。
水または水を含む極性有機溶媒を溶媒とするパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液からパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させる方法における取得結晶のピンク着色傾向の問題が、この方法において解決される。例えば、前記(1)〜(13)の結晶析出法においてパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液に塩化水素を存在させるとピンク色を呈しない結晶が得られる。
ここで塩化水素をさせるとは、パロキセチン・塩酸塩を形成している塩化水素以外の塩化水素を存在させることである。
また、かかる発明2においては、パロキセチン・塩酸塩を形成している塩化水素以外にパロキセチン・塩酸塩と当量ないしそれ以上の塩化水素を存在させれば、ピンクを呈した結晶から脱色精製された結晶が得られる。ピンクを呈する結晶は、例えばパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を100℃等の高温で水処理することにより得られる。
発明2における水または水を含む極性有機溶媒を溶媒とするパロキセチン・塩酸塩の溶液または懸濁液は、当該溶液または懸濁液であれば、どのようなものでもよいが、例えば、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス(International Pharmaceutics),42(1988),135−143、特に136頁左欄第1段落に記載される水10重量%を含む2−プロパノールを結晶析出溶媒とするもの、また特公平6−47587号公報、欧州特許第223403号明細書の実施例2等におけるIMS(工業用メチルアルコール)や水を再結晶溶媒とするものがあげられる。また、発明1におけるパロキセチン・塩酸塩の溶液、懸濁液もあげられる。なお、パロキセチン・酢酸塩の水溶液に濃塩酸を加えてパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させることは、特公平6−47587号公報および欧州特許第223403号明細書の実施例2に記載されるが、この記載には、ピンク着色防止のことは、何ら触れない。ましてやパロキセチン・塩酸塩を固体状として、油状として単離したものを水または水を含む極性有機溶媒に溶解等し、塩化水素を存在させるということは、全く記載しない。なお、濃塩酸とは、通常用いられている意味での濃塩酸をいい、塩化水素(HCl)ガスを水にほぼ飽和させたものである。より具体的には、塩化水素の濃度がJISで定められている35%以上である塩化水素の水溶液を意味する。
パロキセチン・塩酸塩や有機性極性溶媒については、発明1で述べられたものがあげられる。水を含む有機性極性溶媒における水の割合は、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を析出させる限り如何なる割合であってもよいが、ピンク着色傾向の問題が生じる量という観点から水5重量%以上である。パロキセチン・塩酸塩は、発明1で述べられたものがあげられる。
パロキセチン・塩酸塩の溶液、懸濁液の調製は、水の割合が60重量%以下に限定されない点を除き、発明1で述べたものがあげられる。
発明2における、パロキセチン・塩酸塩を形成している塩化水素以外の塩化水素の供給源としては、塩化水素水溶液である塩酸、塩化水素を本発明の極性有機有機溶媒に溶解した溶液および塩化水素ガスその物が例示される。
供給法としては、発明2の結晶析出段階において塩化水素を存在させる方法であって、発明2の結晶析出に妨げにならないのであれば、どのような方法でもよいが、通常、塩化水素溶液ないしガスをパロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液または溶液・懸濁液を調製する前の水または水を含む極性有機溶媒に供給する。
パロキセチン・塩酸塩を形成している塩化水素以外の塩化水素の使用量は、パロキセチン・塩酸塩に対して0.05倍モル以上、好ましくは0.1倍モル以上あればよいが、ピンク色を呈したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を精製して脱色結晶とするときは、1倍モル以上を必要とする。ピンク着色を抑える観点からは2倍モルまでで十分である。それ以上、塩酸を加えてもよいが、あまりに多くすると、例えば10倍モル使用するとパロキセチン・塩酸塩の溶解が不十分となる。それでも、ピンク着色の抑えられたパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を得るには差し支えない。
上記のような塩化水素の使用量では、パロキセチン・塩酸塩の溶液ないし懸濁液のpHは、2以下になり、0.1倍モル以上の塩化水素使用では、pHは1.5以下となる。なおpHについては、実施例では、結晶濾過後の濾液のpHを測定しているが、このpHは、結晶析出させる際のpHをも示していると判断する。
以上のような塩化水素の存在するパロキセチン・塩酸塩の溶液・懸濁液からパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物の結晶を析出させる方法は、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物が析出する限りいかなる方法であってもよい。加温溶液、懸濁液の場合は、そのまま冷却したりする慣用の方法、発明1のように水を加えて冷却したりする方法がある。加温しないときは、水を添加する方法もある。通常、結晶析出してから更に冷却して10℃以下、実用的には、0〜5℃にして、結晶析出を完結させる。以後、析出結晶を濾過、洗浄等して単離する。この単離直後の結晶析出溶媒で湿潤した結晶は、発明2によればピンクに着色しておらず、白色である。塩化水素の存在しない結晶析出法では、このような湿潤結晶は、ピンク呈色の傾向がある。
そして更に乾燥してピンクに着色してない白色のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を得る。
このように発明2で得たパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶は、その結晶1gを蒸留水10gに懸濁して得た上澄み液のpHを調べたところ、pH3〜6、通常は、3〜5.5であり、よくあるのは4.5〜5.5であり、塩化水素に不存在のもとに得た結晶の上澄み液に比し、低い値を示す。
次に本発明を実施例に基づいて更に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
窒素気流下で2−プロパノール30.0gおよび水30.0gの混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)の10.0g(27.34ミリモル)を加え、室温にて溶解させた。更に水50mLを加え、5℃まで冷却する過程で、20℃で結晶が析出した。氷冷下4〜5℃で1時間攪拌した後、同温で濾過し、2−プロパノール2.0gと水8.0gからなる溶液で洗浄して得られたピンクに着色した結晶を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶8.35g(収率81.5重量%)を得た。水分量は、2.51重量%であった(理論水分量2.40重量%)。標品と粉末X線回折図(XRD)が一致した。濾液のpHは、5.75であった。
窒素気流下で2−プロパノール30.0gおよび水28.0gの混合溶液にパロキセチン・酢酸塩10.64g(27.34ミリモル)を加え、室温にて溶解させた。次に35重量%塩酸3.13g(塩化水素換算30.05ミリモル)、水50mLを順次加え、5℃まで冷却する過程で、20℃で結晶が析出した。氷冷下4〜5℃で1時間攪拌した後、同温で濾過し、2−プロパノール2.0gからなる溶液で洗浄して得られた湿晶(白色)をバス温40℃以下で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)9.40g(収率91.8重量%)を得た。標品とXRDが一致した。濾液のpHは、1.39であった。水分量は、2.48重量%であった(理論水分量2.40重量%)。
窒素気流下で2−プロパノール15.00gおよび35%塩酸0.14g(塩化水素換算1.37ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水25mLを加え、5℃まで冷却する過程で、14℃で結晶が析出した。14〜24℃で1時間攪拌し、氷冷下2〜5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.25g(収率88.3重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.50重量%であった(理論水分量2.40重量%)。濾液のpHは、1.49であった。
窒素気流下で2−プロパノール15.00g、水5.74gおよび35%塩酸14.24g(136.70ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、58℃まで昇温したが、溶解しなかった。次に同温で水25mLを加え、5℃まで冷却した。氷冷下3〜5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.62g(収率90.2重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.48重量%であった(理論水分量2.40重量%)。濾液のpHを測定したところ0.0を示した。
窒素気流下で2−プロパノール15.00g、水14.07gおよび35%塩酸1.42g(塩化水素換算13.67ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、40℃まで昇温し、溶解した。次に同温で水25mLを加え、5℃まで冷却した。氷冷下2〜5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.67g(収率91.2重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.50重量%であった(理論水分量2.40重量%)。
窒素気流下で2−プロパノール10.00g、水9.07gおよび35%塩酸1.42g(塩化水素換算13.67ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水30mLを加え、5℃まで冷却する過程で、38℃で結晶が析出した。38〜40℃で30分間攪拌し、氷冷下3〜5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.80g(収率93.8重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.50重量%であった(理論水分量2.40重量%)。
窒素気流下で2−プロパノール10.00g、水9.91gおよび35%塩酸0.14g(塩化水素換算1.367ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水30mLを加え、5℃まで冷却する過程で、33℃で結晶が析出した。32〜33℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃、30分保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.82g(収率94.1重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.57重量%であった(理論水分量2.40重量%)。
窒素気流下、粗(−)−(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−[3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル]ピペリジン7.04g(16.39ミリモル)を含むトルエン溶液38.11gに35%塩酸4.27g(塩化水素換算41.01ミリモル)を加え、68〜70℃にて脱tert−ブトキシカルボニル化反応を2時間行い、反応の終了をHPLCで確認した。次に水40mLを加え、70℃で分液(三層)して、上層(トルエン層)を除く、中間層(水層)と下層(オイル層)を得た。この中間層。下層の二層に2−プロパノール10.0gを加え、一層とした。更に活性炭0.33gを添加し、62〜67℃で15分間攪拌した後、活性炭を濾過した。5℃まで冷却する過程で、28℃で結晶が析出した。38〜40℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃、30分間保持した後、同温で濾過し、2−プロパノール1.0gおよび水4.0gからなる溶液で洗浄して得られた湿晶を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶5.10g(収率85.0重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.70重量%であった(理論水分量2.40重量%)。
窒素気流下、粗(−)−(3S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−(4−フルオロフェニル)−3−[3,4−メチレンジオキシフェニル)オキシメチル]ピペリジン42.95g(100ミリモル)を含む2−プロパノール溶液311.91gを65℃まで昇温し、20.6%塩化水素・2−プロパノール溶液26.55g(塩化水素換算150ミリモル)を滴下し、68〜73℃にて脱tert−ブトキシカルボニル化反応を2時間行い、反応の終了をHPLCで確認した。次にイソブテンを含む2−プロパノールを常圧で93mL留去した。この間、93.5mLの2−プロパノールを滴下し、液量を維持した。更に活性炭2.41gを添加し、80〜82℃で15分間攪拌した後、活性炭を濾過し、2−プロパノール43mLで洗浄した。15分間還流した後、5℃まで冷却する過程で、55℃で結晶が析出した。氷冷下5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、2−プロパノール94.5mLで洗浄してパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノールで飽和されている。2−プロパノール含有量約14重量%)の湿晶59.80g(乾燥品換算収率86.5重量%)を得た。これを分割して次の1)〜3)の実験を行った。
1)窒素気流下で2−プロパノール8.04g、水15.18gおよび35%塩酸0.22g(塩化水素換算2.09ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物の湿晶14.94g(乾燥品分20.96ミリモル相当)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水45.96gを加え、5℃まで冷却する過程で、31℃で結晶が析出した。31〜34℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃、30分間保持した後、同温で濾過し、水7.7mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)7.42g(収率94.5重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.57重量%であった(理論水分量2.40重量%)。この結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み液のpHは、5.21であった。
2)パロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物の湿晶16.10gを25℃で減圧乾燥して、2−プロパノール14.4重量%を含むパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物9.55gを得た。
次に窒素気流下で2−プロパノール11.23g、水12.15gおよび35重量%塩酸0.17g(塩化水素換算1.68ミリモル)の混合溶液にこのパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物7.16g(16.76ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水49.05gを加え、5℃まで冷却する過程で、33℃で結晶が析出した。33〜38℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃、30分間保持した後、同温で濾過し、水8.2mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)6.00g(収率95.5重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.60重量%であった(理論水分量2.40重量%)。この結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み液のpHは、5.51であった。
3)前記パロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物の湿晶13.05gを80℃で減圧乾燥して、2−プロパノール3.0重量%を含むパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物6.90gを得た。
次に窒素気流下で2−プロパノール9.55g、水9.61gおよび35%塩酸0.14g(塩化水素換算1.33ミリモル)の混合溶液にこのパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物5.00g(13.26ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水29.10gを加え、5℃まで冷却する過程で、30℃で結晶が析出した。30〜35℃で30分間攪拌し、氷冷下1〜5℃、30分間保持した後、同温で濾過し、水4.9mLで洗浄して得られた湿晶を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.71g(収率94.8重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.60重量%であった(理論水分量2.40重量%)。この結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み液のpHは、4.98であった。
窒素気流下で2−プロパノール10.00g、水9.07gおよび35%塩酸1.39g(塩化水素換算13.34ミリモル)の混合溶液に一度ピンク色に呈色したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶5.00g(13.34ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水30mLを加え、5℃まで冷却する過程で、36℃で結晶が析出した。36〜39℃で30分間攪拌し、氷冷下1〜5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.91g(収率98.2重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.55重量%(理論水分量2.40重量%)。
窒素気流下で2−プロパノール15.0g、水9.09gおよび35%塩酸2.08g(塩化水素換算20.01ミリモル)の混合溶液にピンク色に呈色したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶7.50g(20.01ミリモル)を加え、50℃まで昇温した。次に同温で水45mLを加え、5℃まで冷却する過程で、37℃で結晶が析出した。37〜40℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃に30分間保持した後、同温で濾過し、水7.5gで洗浄して得られた湿晶を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(黄白色)7.33g(収率97.7重量%)を得た。
なお上記実施例において35%塩酸を加えないときは、取得したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶は、ピンク色に呈色していた。
窒素気流下で2−プロパノール5.0g、水4.91gおよび35%塩酸0.14g(塩化水素換算1.367ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、52℃まで昇温した。次に48〜49℃で水40mLを加え、5℃まで冷却する過程で、43℃で結晶が析出した。43〜45℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃、30分保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.80g(収率93.7重量%)を得た。
窒素気流下で2−プロパノール7.05g、水7.41gおよび35%塩酸0.14g(塩化水素換算1.367ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、45℃まで昇温した。次に45〜50℃で水35mLを加え、5℃まで冷却する過程で、36℃で結晶が析出した。36〜38℃で30分間攪拌し、氷冷下2〜5℃、30分保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)4.78g(収率93.3重量%)を得た。
窒素気流下で、水37.5gおよび35%塩酸0.11gの溶液中に、パロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)3.75g(10.25ミリモル)を加え、75℃まで昇温した。溶解後、冷却したところ53℃で晶析し、50℃で固化した。ここに、水18.8gを加え、懸濁させた後冷却し、24℃で濾過し、水3.75gで洗浄して得られた湿晶を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)3.34g(収率87.0重量%)を得た。標品とXRDが一致した。また、水分量は、2.36重量%であった(理論水分量2.40重量%)。本結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み部分のpHは、5.41であった。
これに対し、特公平6−47587号公報、欧州特許第223403号明細書の実施例3の(b)の塩酸不存在の水再結晶と同様の方法で得られた結晶は、湿潤状態でも乾燥状態でもピンクを呈した。またこの結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み部分のpHは、6.30であった。
窒素気流下で2−プロパノール7.5g、水7.4gおよび35%塩酸0.14g(塩化水素換算1.367ミリモル)の混合溶液にパロキセチン・塩酸塩・無水和物・2−プロパノール溶媒和物(2−プロパノール約3重量%を含む)5.00g(13.67ミリモル)を加え、1時間加熱還流(82℃)し、溶解した。次におよそ50℃になったところで水25mLを加え、5℃まで冷却した。氷冷下2〜5℃、1時間保持した後、同温で濾過し、水5mLで洗浄して得られた湿晶(白色)を60℃で減圧乾燥し、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶(白色)を得た。本結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み部分のpHは、4.96であった
これに対して、35%塩酸を加えない点を除き、前記同様にしてパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を得たが、結晶は湿潤状態でも乾燥状態でもピンクを呈した。またこの結晶1gを蒸留水10gに懸濁した上澄み部分のpHは、6.99であった。
以上の結果から、本発明1によりパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶が効率よく結晶析出溶媒中に析出し、本発明2により、ピンクに着色してない白色のパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶が効率よく析出することがわかる。
パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶は、抗うつ剤として利用することができる。

Claims (1)

  1. ピンクに着色したパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶を、結晶を析出させる溶媒に溶解し、結晶を析出させる精製方法において、パロキセチン・塩酸塩・1/2水和物に対して等モル以上の塩化水素の存在下に精製することを特徴とするピンク着色のないパロキセチン・塩酸塩・1/2水和物結晶の製法。
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