JP4393448B2 - 切削装置 - Google Patents

Description

本発明は被切削物を切削するための切削装置に関する。

切削装置は工作機械に取着され、例えば工作機械の回転動力により回転し、被切削物を切削する。被切削物を平面的に切削する切削装置は、円形外周部の複数の周方向位置に刃体取付面を有し、円筒形をなす刃体保持具と、前切刃及び横切刃を有し前記刃体取付面の夫々にボルトにより着脱可能に取付けられる刃体とを備える（例えば、非特許文献１参照）。このように構成された切削装置は、刃体の夫々の刃先位置が決められた状態で刃体の夫々が固定されている。この位置決めは、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置が決められている。
また、被切削物を切削する場合、切削装置の回転にともない各刃体が順に切削を行う。
株式会社コロナ社 １９８２年７月１日発行 機械工学全書第２１巻 切削加工法、第６３頁

ところで、非特許文献１のように構成された切削装置が被切削物を切削する場合、切削装置の回転にともない各刃体が順に切削を行うが、刃体の刃先の摩耗量は夫々の刃体により異なるため、例えば一つの刃体の前切刃及び横切刃の摩耗量が他の刃体の前切刃及び横切刃の摩耗量に比べて多く、削れなくなったとき、削れる刃体数が減少し、この減少した刃体数の刃体により切削されるため、一回転当たりの切削効率が悪くなり、許容される単位時間内に切削することができなくなる。

ところが、従来の切削装置は、刃体の、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を調整することができないように構成されているため、許容される単位時間内に切削することができなくなったとき、切削装置を工作機械から取外し、全ての刃体を研磨して夫々の刃先の、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置が等しくなるように補修する必要があり、この補修作業に時間と労力とを必要とし、また、補修期間中は切削作業を行うことができず、代替用の新たな切削装置が必要であり、改善策が要望されていた。

本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は刃体を刃体保持具の回転中心の長手方向へ移動可能とし、該刃体及び刃体取付面の一方に傾斜面を設け、該傾斜面に接触する傾斜面を有し、且つ刃体及び刃体取付面の間に回転中心の長手方向へ移動可能に調整体を配置することにより刃体の、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を調整することができる切削装置を提供することにある。

また、他の目的は刃体及び調整体を回転中心の長手方向へ個別に移動させる第１及び第２の操作体を刃体保持具に設けることにより、刃体の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を簡易に且つ正確に調整することができる切削装置を提供することにある。

また、他の目的は刃体取付面に臨む凸壁を設け、該凸壁及び刃体取付面の夫々に螺子孔を設け、これら螺子孔に螺着するボルトにより調整体及び刃体の位置調整と、刃体の固定とを行うことができる切削装置を提供することにある。

第１発明に係る切削装置は、円形外周部の複数の周方向位置に、径方向へ窪む溝及び該溝内に配されている刃体取付面を有し、工作機械に回転を可能に取着される刃体保持具と、前記溝に嵌込まれて前記刃体保持具の回転中心の長手方向へ移動が可能であり、且つ前記刃体取付面に着脱可能に取付けられる刃体と、前記溝に嵌込まれて前記刃体及び刃体取付面の間に前記回転中心の長手方向へ移動可能に配置され前記刃体の位置を調整する調整体とを備える切削装置において、前記刃体取付面及び調整体の前記刃体取付面との接触面は前記回転中心と平行であり、前記刃体及び調整体の互いに接触する接触面は前記回転中心に対して前記刃体保持具の径方向に傾斜しており、前記刃体保持具には、前記刃体取付面に径方向の螺子孔が設けられており、前記調整体及び刃体夫々は、前記回転中心に対して径方向に傾斜する接触面夫々から刃体保持具の径方向へ貫通し、且つ前記螺子孔よりも前記長手方向に大きい孔を有し、該孔に共に挿通して前記螺子孔に捩込まれるボルトにて前記調整体及び刃体を前記刃体取付面に押付け、前記長手方向への相対移動を可能に固定してあることを特徴とする。

第１発明にあっては、第１及び第２の傾斜面が接触している状態で調整体を刃体保持具の回転中心の長手方向へ移動させることにより、夫々の刃体の、刃体保持具の径方向位置を調整することができ、さらに、刃体を前記回転中心の長手方向へ移動させることにより、夫々の刃体の、刃体保持具の回転中心の長手方向位置を調整することができる。従って、許容される単位時間内に切削することができなくなったときにおいても、削れなくなった刃体だけの、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を調整することができ、補修作業に必要な時間及び労力を軽減でき、補修費用を低減できるとともに、補修期間を短縮できる。

第２発明に係る切削装置は、前記刃体及び調整体を前記回転中心の長手方向へ個別に移動させる第１及び第２のボルトを備え、前記刃体保持具は、前記刃体取付面の夫々に臨む凸壁及び該凸壁の夫々にあけられた第１及び第２の螺子孔を有し、第１の螺子孔に螺着する第１のボルトにより前記調整体を移動させ、第２の螺子孔に螺着する第２のボルトにより前記刃体を前記回転中心の長手方向へ移動させるようにしてあることを特徴とする。

第２発明にあっては、固定用のボルトを弛緩し、調整用の二つのボルトを操作することにより刃体の、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を正確に調整することができ、この後、固定用のボルトを操作することにより調整状態を維持することができる。

第１発明によれば、許容される単位時間内に切削することができなくなったときにおいても、削れなくなった刃体に対応する操作体を操作することにより、削れなくなった刃体だけの、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を調整することができ、補修作業に必要な時間及び労力を軽減でき、補修費用を低減できるとともに、補修期間を短縮できる。

第２発明によれば、固定用のボルトを弛緩し、操作用の二つのボルトを操作することにより刃体の、刃体保持具の径方向位置及び回転中心の長手方向位置を正確に調整することができ、この後、固定用のボルトを操作することにより調整状態を維持することができる。

以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図１は本発明に係る切削装置の構成を示す縦断正面図、図２は切削装置の構成を示す底面図、図３は要部の構成を示す拡大断面図、図４は刃体の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図、図５は調整体の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図である。

図に示した切削装置は、円形外周部の複数の周方向位置に刃体取付面１１を有し、且つ工作機械に回転を可能に取着される円筒形をなす刃体保持具１と、前切刃及び横切刃を有し、且つ刃体取付面１１の夫々に着脱可能に取付けられる刃体２と、該刃体２及び刃体取付面１１の間に設けられ刃体２の位置を調整する調整体３と、該調整体３を移動操作する第１のボルト４と、刃体２を移動操作する第２のボルト５と、調整体３及び刃体２を固定する二つの第３のボルト６，６とを備え、刃体保持具１の回転中心を中心とする回転により夫々の刃体２が順に被切削物を平面的に切削するように構成されている。

刃体保持具１は、工作機械の回転軸が嵌入される貫通孔１ａを有する円筒形をなし、円形外周部には等配された９個の刃体取付面１１と、刃体取付面１１の夫々に臨む凸壁１２と、刃体取付面１１に連なる切屑逃溝１３とが設けられている。刃体取付面１１は刃体保持具１の一端から他端の近傍にかけて回転中心Ｏと平行に設けられ、且つ刃体取付面１１及び該刃体取付面１１の前記周方向の両縁から外周面に亘って凹所となる溝からなり、該溝の終端部が凸壁１２を構成している。刃体取付面１１には、回転中心Ｏの長手方向に離隔する二つの第１の螺子孔１４，１４が設けられており、また、凸壁１２には刃体保持具１の径方向に離隔する第２及び第３の螺子孔１５，１６が回転中心Ｏと略平行に設けられている。

刃体２は、前切刃及び横切刃を有し略四角形をなすチップ２ａと、該チップ２ａを保持し略直方形をなすボディ２ｂとによりカートリッジになっており、ボディ２ｂの調整体３と接触する一面を、刃体保持具１の回転中心Ｏに対して径方向に傾斜する第１の傾斜面２１としてある。また、ボディ２ｂには、第１の傾斜面２１を貫通し第１の螺子孔１４に対応する二つの長孔２２，２２が設けられている。尚、調整体３の刃体取付面１１と接触する他面は図３に示すように回転中心Ｏと略平行になっている。

調整体３は略直方形をなしており、刃体２の第１の傾斜面２１と接触する一面を、回転中心Ｏに対して径方向に傾斜する第２の傾斜面３１としてある。また、調整体３には第２の傾斜面３１を貫通し第１の螺子孔１４に対応する二つの長孔３２，３２と、長手方向一端から一方の長孔３２にかけて貫通し第２の螺子孔１５に対応する第４の螺子孔３３とを設けてある。

以上のように構成された切削装置は、刃体保持具１の刃体取付面１１に調整体３が載置され、該調整体３に刃体２が載置され、第１及び第２の傾斜面２１，３１が接触している。この状態で刃体２の長孔２２，２２から調整体３の長孔３２，３２に固定具としての第３のボルト６，６が挿通され、該ボルト６，６が第１の螺子孔１４，１４に螺着される。また、第２及び第４の螺子孔１５，３３に操作体としての第１のボルト４が螺着され、さらに第３の螺子孔１６に操作体としての第２のボルト５が螺着され、該ボルト５の先端が刃体２の端面に当接している。

第２及び第４の螺子孔１５，３３に螺着された第１のボルト４を一方向に回すと、調整体３が回転中心Ｏの長手方向一方へ移動し、刃体２を刃体保持具１の径方向Ｘの外側（図３の下方）へ位置調整することができる。また、第３の螺子孔１６に螺着された第２のボルト５を一方向に回すと、刃体２が回転中心Ｏの長手方向一方（図３の左方）へ移動し、回転中心の長手方向位置を調整することができる。尚、凸壁１２と刃体２及び調整体３との間に隙間を発生させている場合は、第１のボルト４を他方向に回すと、調整体３を回転中心Ｏの長手方向他方へ移動させ、刃体２を径方向Ｘの内側へ位置調整することができ、また、第２のボルト５を他方向に回すと、第２のボルト５の先端及び刃体２間に隙間が発生し、該隙間の範囲で刃体２を回転中心の長手方向の他方へ移動させ、回転中心の長手方向位置を調整することができる。

従って、例えば一つの刃体２が削れなくなり、一回転当たりの切削効率が悪くなり、許容される単位時間内に切削することができなくなったとき、この一つの刃体２に対応する第１及び第２のボル４，５を回し操作することにより、削れなくなっている刃体２の、刃体保持具１の回転中心の長手方向位置、及び径方向位置を簡易に、且つ正確に調整することができ、補修作業に必要な時間及び労力を軽減でき、補修費用を低減できるとともに、補修期間を短縮できる。

尚、工作機械への取着は、刃体保持具１の貫通孔１ａに工作機械の回転軸が嵌入され、該回転軸の先端にボルトを螺着することにより実行することができる。

本発明に係る切削装置の構成を示す縦断正面図である。 本発明に係る切削装置の構成を示す底面図である。 本発明に係る切削装置の要部の構成を示す拡大断面図である。 本発明に係る切削装置の刃体の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図である。 本発明に係る切削装置の調整体の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は底面図である。

符号の説明

１ 刃体保持具
１１ 刃体取付面
１２ 凸壁
１４ 第１の螺子孔
１５ 第２の螺子孔
１６ 第３の螺子孔
２ 刃体
２１ 第１の傾斜面
２２ 長孔
３ 調整体
３１ 第２の傾斜面
３２ 長孔
４ 第１のボルト（操作体）
５ 第２のボルト（操作体）
６ 第３のボルト（固定具）
Ｏ 回転中心

Claims (2)

1. 円形外周部の複数の周方向位置に、径方向へ窪む溝及び該溝内に配されている刃体取付面を有し、工作機械に回転を可能に取着される刃体保持具と、
   前記溝に嵌込まれて前記刃体保持具の回転中心の長手方向へ移動が可能であり、且つ前記刃体取付面に着脱可能に取付けられる刃体と、
   前記溝に嵌込まれて前記刃体及び刃体取付面の間に前記回転中心の長手方向へ移動可能に配置され前記刃体の位置を調整する調整体と
   を備える切削装置において、
   前記刃体取付面及び調整体の前記刃体取付面との接触面は前記回転中心と平行であり、
   前記刃体及び調整体の互いに接触する接触面は前記回転中心に対して前記刃体保持具の径方向に傾斜しており、
   前記刃体保持具には、前記刃体取付面に径方向の螺子孔が設けられており、
   前記調整体及び刃体夫々は、前記回転中心に対して径方向に傾斜する接触面夫々から刃体保持具の径方向へ貫通し、且つ前記螺子孔よりも前記長手方向に大きい孔を有し、
   該孔に共に挿通して前記螺子孔に捩込まれるボルトにて前記調整体及び刃体を前記刃体取付面に押付け、前記長手方向への相対移動を可能に固定してある
   ことを特徴とする切削装置。
2. 前記刃体及び調整体を前記回転中心の長手方向へ個別に移動させる第１及び第２のボルトを備え、
   前記刃体保持具は、前記刃体取付面の夫々に臨む凸壁及び該凸壁の夫々にあけられた第１及び第２の螺子孔を有し、
   第１の螺子孔に螺着する第１のボルトにより前記調整体を移動させ、第２の螺子孔に螺着する第２のボルトにより前記刃体を前記回転中心の長手方向へ移動させるようにしてある
   請求項１記載の切削装置。

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