JP4393272B2 - 板状物積重体の開梱方法 - Google Patents

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本発明は、板状物と合紙とを交互に積み重ねて構成した積重体から合紙と板状物とを分離して取り出す技術に関する。本発明で取り扱う板状物の代表的な例としては、液晶ディスプレイのカラーフィルタや薄膜トランジスタ(TFT)等に用いる、表面に機能層を備えたガラス基板を挙げることができる。
カラーフィルタに用いるガラス基板のように、表面に機能層を備えたガラス基板は、その表面の機能層を損傷したり、汚したりすることなく運搬及び保管することが重要である。そこで、これらのガラス基板の運搬、保管には、ガラス基板を1枚ずつ挿入する溝を備えた樹脂製のケースを用いていた。しかしながら、このケースでは、ガラス基板間に隙間を生じさせた状態でガラス基板を収納するため、収納効率が悪いという問題があった。そこで、ガラス基板を1個ずつPETフィルムで密封し、これらを積み重ねる包装形態(特許文献1参照)、ガラス基板を1個ずつ、凹凸加工した内壁を有するラミネートフィルムからなる袋状体で包装し、それをケースに詰める包装形態(特許文献2参照)、複数のガラス基板と合紙とを交互に重ね、斜め積みパレット上に斜め積みした包装形態(特許文献3参照)等が提案されている。
しかしながら、これらの従来技術にはいずれも問題があった。すなわち、特許文献1、2に示すように各ガラス基板を、PETフィルムで密封するとか、ラミネートフィルムからなる袋状体で包装する包装形態では、ガラス基板の包装に多大な工数がかかり、包装コストが高くなるという問題があった。また、特許文献3に示すようにガラス基板と合紙とを交互に重ね、斜め積みする形態ではガラス基板が大サイズとなった場合には自重による座屈や振動によって損傷を生じる恐れがあった。そこで、ガラス基板と合紙とを交互に重ねた積重体を水平に保持して運搬することが考えられるが、現在のところ、ガラス基板と合紙とを分離して取り出す装置が開発されていないという問題があった。しかも、ガラス基板と合紙とを交互に重ねた積重体では、開梱に当たって合紙を剥がす際に問題を生じることもあった。すなわち、ガラス基板には、運搬に当たって表面の機能層を保護するために水溶性の保護膜を設けておくことが多いが、その場合、運搬中或いは保管中に保護膜が吸湿することがあり、その保護膜の吸湿によって保護膜に合紙が接着してしまい、剥がしにくくなるばかりでなく、ガラス基板から合紙を剥がそうとした時にガラス基板の合紙に接着した部分が一緒に引き上げられてガラス基板に変形を生じ、しかも剥離が急激に生じてガラス基板に衝撃を与えるとか、剥離位置が不安定に移動してやはりガラス基板に衝撃を与えることがあり、これらの結果、ガラス基板の機能層に損傷を生じることがあった。
特開2003−237833号公報 特開平11−1205号公報 特開2000−351449号公報
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、液晶ディスプレイのカラーフィルタや薄膜トランジスタ(TFT)等に用いるガラス基板などの板状物を合紙と交互に積み重ねて形成した積重体を水平或いは傾斜した状態に保持し、その状態で、積重体の上面から合紙と板状物を交互に取り出すことを可能とし、更に、合紙が板状物に接着していても、その合紙を、板状物に損傷を与えることなく剥がすことを可能とした板状物積重体の開梱方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべくなされた本願請求項1に係る発明は、板状物と折り重ねていない形態の合紙とを交互に積み重ねて構成した積重体から合紙と板状物とを分離して取り出す方法であって、前記積重体を水平若しくは傾斜した状態に保持する工程と、前記積重体の最上部に位置する合紙の一端を一対のニップローラに挟ませる工程と、前記合紙の一端を一定位置に保持した状態で、前記一対のニップローラを、その間にはさんだ合紙を送り出すように回転させながら、前記積重体の上面に沿って、合紙の他端に向かって、進行方向に関して前に位置するニップローラを前記積重体の上面に押し付けながら走行させ、前記合紙を剥がす工程と、剥がされた合紙を排出する工程と、積重体の最上部に位置する板状物を取り出す工程とを有する板状物積重体の開梱方法である。
本発明方法によれば、板状物と折り重ねていない形態の合紙とを交互に積み重ねて構成した積重体を水平もしくは傾斜した状態に保持し、その上面から合紙と板状物を交互に取り出してゆくことができる。更に、合紙を板状物の表面から剥がす際には、一対のニップローラで合紙をはさみ、該一対のニップローラを回転させて合紙を上方に送り出しながら、該一対のニップローラを積重体の上面に沿って、進行方向に関して前に位置するニップローラを積重体の上面に押し付けながら走行させるので、例え、合紙が板状物の表面に接着していても、一対のニップローラで合紙に大きい引張力を加えて確実に剥がすことができ、しかも、合紙を板状物から剥がす際の剥離点が、ニップローラが合紙を板状物に押し付けている位置に規制され、このため、剥離位置がニップローラの移動と共に安定して移動すると共にその位置では板状物がニップローラで押さえられて不都合な変形が防止されており、板状物に衝撃や振動を生じさせることなく、合紙が板状物から円滑に剥がされる。かくして、板状物に損傷を与えることなく、合紙を確実に剥がすことができる。
本発明で取り扱いの対象とする板状物は任意であるが、液晶ディスプレイ等に用いる機能層を備えたガラス基板とすることが好ましく、これにより、損傷を生じやすい機能層を備えたガラス基板と合紙との積重体からガラス基板に損傷を生じることなく、合紙を剥がして取り出し、次いでそのガラス基板を取り出すことができる。
以下、図面を参照して本発明の参考例及び好適な実施形態を説明する。図1(a)は、参考例において開梱の対象とする積重体の1例をパレットに乗せた状態で示す概略斜視図、図1(b)はその積重体の一部を、板状物や合紙の厚みを誇張して示す概略側面図である。1は、板状物3と合紙4とを交互に積み重ねて形成した積重体、2はその積重体1を乗せたパレットである。この積重体1に用いている板状物3は、液晶ディスプレイのカラーフィルタや薄膜トランジスタ(TFT)等に用いるガラス基板であり、図2に示すように、ガラス板等の基板本体3aの片面に、機能層3b(例えば、カラーフィルタ用の基板の場合には、ブラックマトリックス、着色画素、ITO電極などを備えた層)を備え、更にその上に、保管、運搬中等における損傷を防止するための保護膜3cを形成している。この保護膜3cは容易に形成でき且つ容易に除去可能な材料で作られるものであり、水溶性の樹脂(たとえば、ポリビニルアルコール)が用いられることが多い。合紙4は板状物3(以下ガラス基板という)3の機能層3b、保護膜3cを保護するように設けるものであり、このでは、重ねられた2片4a、4bを備えるよう二つ折りした形態で配置されている。ここで、合紙4を二つ折りした形態で配置したのは次の理由による。すなわち、積重体1の運搬中などにおいて、保護膜3cが吸湿して溶けた場合などにその保護膜3cが合紙に接着してしまうことがあるが、図2に示すように合紙4を二つ折りした形態としていると、下側の片4aは保護膜3cに接着したとしても、上側の片4bは接着しておらず、このため、この上側の片4bの先端部分を吸着パッド等で容易に持ち上げることができるためである。なお、合紙4には、紙、樹脂シート、発泡樹脂シート等が使用される。
図3は、図1に示す積重体1から合紙4とガラス基板3とを分離して取り出すために用いる開梱装置及びその周辺に配置した装置の概略平面図、図4はその概略側面図である。図3、図4において、10は開梱装置、11は開梱装置10に積重体1を乗せたパレット2を送り込む積重体搬送装置、12は空になったパレット2を送り出すパレット排出装置、13は開梱装置10で取り出された合紙を収容する合紙受け、14は開梱装置10で取り出されたガラス基板3を、所望の使用場所に向かって搬送する基板搬送装置である。
開梱装置10は、積重体1を乗せたパレット2を水平に支持する支持台21と、その支持台21を、その上に乗せた積重体1の上面位置が、合紙剥離のための位置及びガラス基板取り出しのための位置になるように昇降させる昇降機構(図示せず)と、積重体最上部のガラス基板の表面から剥がした合紙を合紙受け13に排出するための第一ニップローラ対24と、最上部のガラス基板3から合紙を剥がすための第二ニップローラ対25と、積重体1上面の合紙4の先端部分を吸着保持して持ち上げ、第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対に通す合紙通し手段を構成する吸着パッド26と、積重体1からガラス基板3を取り出して基板搬送装置14に送り出す板状物取り出し手段27等を備えている。
第一ニップローラ対24は、第二ニップローラ対25で剥がした合紙を合紙受け13に排出するための合紙排出手段を構成するもので、図6(a)に示すように、支持台21に乗せた積重体1の上面を合紙剥離のための位置に位置決めした状態において、その積重体1の上面よりも少し上方で且つ二つ折りした合紙4の先端(折り目とは反対側の端部)近傍に配置されている。この第一ニップローラ対24は、一対のニップローラ24a、24bと、それを開閉させる開閉機構(図示せず)と、合紙を排出するように回転駆動する回転駆動装置(図示せず)を備えている。なお、第一ニップローラ対24で排出した合紙4を確実に合紙受け13に排出することができるよう、第一ニップローラ対24と合紙受け13との間に、適当なガイド、合紙搬送用ロール群、合紙搬送用ベルト等を必要に応じて設けても良い。
第二ニップローラ対25は、第一ニップローラ対24と積重体1の上面との間で、積重体1の上面に沿って水平に往復移動するように設けられており、一対のニップローラ25a、25bを備えている。この第二ニップローラ対25は、図5(a)、(b)に示すように、移動フレーム30に保持されており、移動フレーム30は駆動装置(図示せず)によって水平に往復動するようになっている。一方のニップローラ25bは移動フレーム30に揺動可能に保持された揺動レバー31に保持され、他方のニップローラ25aは揺動レバー31に揺動可能に保持された揺動アーム32に保持されており、揺動レバー31、揺動アーム32はそれぞれエアシリンダ33、34によって揺動させられる構成となっている。この構成により、エアシリンダ34で揺動アーム32を揺動させてニップローラ25a、25bを開閉でき、またエアシリンダ33で揺動レバー31を揺動させることで、一方のニップローラ25aを積重体1の上面に押し付けた状態[図5(a)参照]、及び他方のニップローラ25bを積重体1の上面に押し付けた状態[図5(b)参照]に切り替えることができる。ここで、エアシリンダ33は、一対のニップローラ25a、25bが積重体1の上面に沿って移動する際に、進行方向に関して前に位置するニップローラを積重体1の上面に押し付け、他方のニップローラは積重体1の上面から離すように制御されており、従って、一対のニップローラのうち、進行方向に関して前に位置するニップローラを積重体の上面に押し付けるニップローラ押し付け手段を構成する。第二ニップローラ対25の各ニップローラ25a、25bには、それらが積重体上面に沿って移動する時の移動速度に同期した速度で回転駆動するモータ等の回転駆動装置が連結されている。
図4及び図6において、吸着パッド26は、第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25が共に開いている時に、合紙4の片4bの先端を吸着保持し、次いで上方に旋回して合紙4の先端を第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25に通すことができる構成となっている。なお、吸着パッド26は旋回させる場合に限らず、単に上下動させる構成としてもよい。
図4において、板状物取り出し手段27は、ガラス基板3を吸着保持する多数の吸着パッド36を備えた取り出しヘッド37と、その取り出しヘッド37が、図7(c)にも示すように、積重体1の側方から積重体1の上方に移動し、次いでガラス基板を吸着保持する位置に下降し、次いで元の位置に上昇し、基板搬送装置14の上方に移動し、次いでガラス基板を基板搬送装置14に乗せる位置まで下降し、次いで元の位置に上昇するという移動を行うように、取り出しヘッド37を移動させる取り出しヘッド移動装置(図示せず)等を備えている。
次に、上記構成の開梱装置10による開梱動作(参考例)を説明する。図3において、積重体1を乗せたパレット2が積重体搬送装置11から開梱装置10の支持台21上に供給される。次に、図6(a)に示すように、積重体1の最上部の合紙4が所定の高さ位置に持ち上げられ且つ第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25が共に開いている状態で、吸着パッド26が降下して、合紙4の上側の片4bの先端を吸着保持し、次いでそれを持ち上げ、開いた状態の第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25の間に通す。この際、上記したように、合紙4の上側の片4bはその下の片4aに接着していないので容易に持ち上げることができる。次に、図6(b)に示すように、第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25が閉じて、合紙4をくわえる。同時に、図5において、エアシリンダ33が作動して揺動レバー31を図5(a)に示す位置に揺動させ、図面で右側に位置しているニップローラ25aを積重体1の上面に押し付けた状態とする。次いで、図5(a)、図6(c)に示すように、第二ニップローラ対25が右方向への移動を開始すると共に、各ニップローラ25a、25bがその移動速度に同期した回転速度(周速度)で回転し、合紙4の上側の片4bを剥がして行く。この時、第一ニップローラ対24のニップローラ24a、24bは停止した状態に保持されており、合紙4の先端を単につかんでいるだけである。
図6(d)に示すように、第二ニップローラ対25が合紙4の折り目位置まで達すると、移動を停止すると共にエアシリンダ33(図5参照)が作動して揺動レバー31を図5(b)に示す位置に揺動させ、図面で左側に位置しているニップローラ25bを積重体1の上面に押し付けた状態とする。次いで、図5(b)、図7(a)に示すように、第二ニップローラ対25が左方向への移動を開始すると共に、各ニップローラ25a、25bがその移動速度に同期した回転速度で回転し、合紙4の下側の片4aを剥がして行く。この時、第一ニップローラ対24のニップローラ24a、24bは、第二ニップローラ対25のニップローラ25a、25bの回転速度(周速度)の2倍の回転速度(周速度)で回転しており、剥がされた合紙4を合紙受け13上に送り出してゆく。ところで、上記したように、合紙4の下側の片4aはガラス基板3の保護膜3c(図2参照)に接着していることがあるが、この開梱装置では図5(b)に示すようにその合紙4の片4aを一対のニップローラ25a、25bではさんで剥がして行くため、合紙4に大きい引張力を加えて確実に剥がすことができる。しかも、合紙4を剥がしてゆく時に、移動方向の前側に位置するニップローラ25bが合紙4をガラス基板3に押し付けた状態で移動しているため、合紙4の剥離位置が、ニップローラ25bが合紙4をガラス基板3に押し付ける位置に規制され、このため、剥離位置がニップローラ25bの移動と共に安定して移動すると共にその位置ではガラス基板3がニップローラ25bで押さえられて不都合な変形が防止されており、ガラス基板3に衝撃や振動を生じさせることなく、合紙4がガラス基板3から円滑に剥がされる。かくして、ガラス基板3の機能層に損傷を与えることなく合紙4を確実に剥がすことができる。
図7(b)に示すように第二ニップローラ対25が合紙4の先端位置まで移動して合紙4を剥がし終わった後は、図7(c)に示すように、積重体1が下降して、最上部の基板3を取り出すための取り出し位置に位置決めし、次いで、積重体1の側方で待機していた取り出しヘッド37が、積重体1の上方に移動した後、下降してガラス基板3を吸着保持し、次いで上昇し、基板搬送装置14(図4参照)の上方に移動し、その後、再び下降してガラス基板を基板搬送装置14の上に乗せる。その後、取り出しヘッド37が次の取り出しのための待機位置に戻り、積重体1は再び図6(a)に示す合紙取り出し位置に上昇し、前記した動作を繰り返して合紙4が取り出される。以上の動作が繰り返されることで、パレット2から合紙4とガラス基板3とが交互に取り出され、取り出されたガラス基板3は、図3に示す基板搬送装置14によって所定の使用場所に送られる。積重体1のすべての合紙とガラス基板が取り出された後、空になったパレット2はパレット排出装置12に送り出される。
なお、以上に説明した動作では、図5(a)に示すように、合紙4の上側の片4bを剥がすために一対のニップローラ25a、25bが図面で右方向に移動する際、進行方向の前側に位置するニップローラ25aを積重体1の上面に押し付け、合紙4の片4bの剥離位置を規制しているが、片4bはその下の片4aに接着していることは無いので、必ずしもニップローラ25aで片4bを押さえ、剥離位置を安定させておく必要はない。従って、片4bを剥がす際にはニップローラ25a、25bが共に積重体1の上面から離れた位置としておいてもよい。従って、ニップローラ25a、25bは必ずしも、両方が交互に積重体上面に押し付けられるようにする必要はなく、ニップローラ25bのみを必要な時(ガラス基板3に接着している恐れのある片4aを剥がす時)に積重体上面に押し付け、他方のニップローラ25aは常に積重体上面から離れた位置となるように変更してもよい。ただし、図示した装置のように、ニップローラ25a、25bを交互に積重体上面に押し付けるように切り替え可能な構造としておくと、合紙4として、二つ折りしたもののみでなく、折り重ねていない状態のものを用いた積重体を開梱する本発明の実施の形態にも使用可能である。以下、その場合の開梱動作を説明する。
図8、図9は本発明の実施の形態に係る開梱方法を説明する概略側面図であり、図8、図9において、積重体1Aはガラス基板3と折り重ねていない状態の合紙4Aとを交互に積み重ねて形成したものである。まず、図8(a)に示すように、積重体1Aの最上部の合紙4Aが所定の高さ位置に持ち上げられ且つ第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25が共に開いている状態で、吸着パッド26が降下して、合紙4Aの先端を吸着保持し、次いでそれを持ち上げ、開いた状態の第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25の間に通す。次に、図8(b)に示すように、第一ニップローラ対24及び第二ニップローラ対25が閉じて、合紙4Aをくわえる。同時に、エアシリンダ33(図5参照)が作動して、第二ニップローラ対25の右側のニップローラ25aを積重体1Aの上面に押し付けた状態とする。次いで、図8(c)に示すように、第二ニップローラ対25が右方向への移動を開始すると共に、各ニップローラ25a、25bがその移動速度に同期した回転速度で回転し、合紙4Aをガラス基板3から剥がしてゆく。この際、合紙4Aがガラス基板3に接着していたとしても、剥離位置をニップローラ25aが規制するので、剥離が安定して生じ、ガラス基板3に損傷を与えることはない。なお、第二ニップローラ対25が右方向に移動している間、第一ニップローラ対24は回転しない状態に保持されており、合紙4Aの先端を単につかんでいるだけである。
図8(d)に示すように、第二ニップローラ対25が合紙4Aの他端位置に達し、合紙4Aを剥がし終わると、図9(a)に示すように、第一ニップローラ対24のニップローラ24a、24bが回転を始め、剥がされた合紙4Aを合紙受け13上に送り出す。同時に、第二ニップローラ対25は左方向に移動して元の位置に戻って行く。そして、図9(b)に示すように、合紙4Aの排出を終わり、第二ニップローラ対25が元の位置に戻った後は、図9(c)に示すように、積重体1が下降して、最上部のガラス基板3を取り出すための取り出し位置に位置決めされ、次いで、積重体1Aの側方で待機していた取り出しヘッド37が作動して、積重体1Aからガラス基板3を取り出し、基板搬送装置14(図4参照)に供給する。以上の動作を繰り返すことで、折り重ねていない形態の合紙4Aを用いた積重体1Aからも、合紙4Aとガラス基板3とを分離して取り出すことができる。
なお、上記したように、この開梱装置10は、二つ折りした合紙を用いた場合、及び折り重ねていない合紙4Aを用いた場合のいずれにも使用可能であるが、本発明の実施に用いる開梱装置は必ずしも、このような兼用を可能とするものに限らず、折り重ねていない合紙Aを用いた積重体1Aの開梱のみに使用する構成とすることも可能である。その場合には、第二ニップローラ対25の一方のニップローラ25aのみを積重体上面に押し付けることの可能な構造とすればよい。
更に、上記した開梱装置10では、剥がした合紙4を排出するための合紙排出手段として、ニップローラ対24を備えたものを用いているが、合紙排出手段はこれに限らず、他の構造としてもよい。図10、図11は他の構造の合紙排出手段を用いた開梱装置による開梱動作を示している。図10、図11に示す開梱装置では、合紙排出手段を、積重体の上面に沿って移動するように設けられた一対のニップローラ25a、25bに隣接した位置に設けられ、該一対のニップローラ25a、25bと共に移動する合紙受け40を用いた構成とし、且つ合紙4の先端を吸着保持して一対のニップローラ25a、25b間に通す吸着パッド26を合紙受け40に沿って水平にも移動可能な構成としている。
図10、図11に示す開梱装置によって、二つ折りした合紙4を用いた積重体1から合紙4及びガラス基板3を取り出す動作は次のように行われる。すなわち、図10(a)に示すように、積重体1の最上部の合紙4が所定の高さ位置に持ち上げられ且つニップローラ対25が開いている状態で、吸着パッド26が降下して、合紙4の上側の片4bの先端を吸着保持し、次いでそれを持ち上げ、開いた状態のニップローラ対25の間に通す。次に、図10(b)に示すように、ニップローラ対25が閉じて、合紙4をくわえると同時に図面で右側に位置しているニップローラ25aが積重体1の上面を押さえる位置に移動する。次いで、図10(c)に示すように、ニップローラ対25と合紙受け40が右方向への移動を開始すると共に、ニップローラ25a、25bがその移動速度に同期した回転速度で回転し、合紙4の上側の片4bを剥がして行き、その下に合紙受け40が進入してゆく。この時、吸着パッド26は合紙4の片4bの先端を保持した状態で停止している。
図10(d)に示すように、ニップローラ対25が合紙4の折り目位置まで達すると、移動を停止すると共に、図面で右側に位置しているニップローラ25aが積重体1の上面から上方に離れ、左側に位置しているニップローラ25bが積重体1の上面に押し付けられる。次いで、図11(a)に示すように、ニップローラ対25が左方向への移動を開始すると共に、各ニップローラ25a、25bがその移動速度に同期した回転速度で回転し、合紙4の下側の片4aを剥がして行く。同時に、合紙4の先端を保持している吸着パッド26がニップローラ対25の移動速度の2倍の速度で左方向に移動し、合紙4を合紙受け40の上に乗せて行く。そして、図11(b)に示すようにニップローラ対25が合紙4の先端位置まで移動して合紙4を剥がし終わり、剥がされた後の合紙4が合紙受け40に送り出された後は、図11(c)に示すように、積重体1が下降して、最上部のガラス基板3を取り出すための取り出し位置に位置決めし、次いで、積重体1の側方で待機していた取り出しヘッド37が作動して、積重体1の最上部のガラス基板3を取り出す。この動作と平行して、先に合紙4を合紙受け40に送り込んだ吸着パッド13が、ニップローラ対25の上方に戻る。その後、積重体1は再び図10(a)に示す合紙取り出し位置に上昇し、前記した動作を繰り返して合紙4が取り出される。以上のようにして、パレット2上の積重体1から合紙4とガラス基板3とを交互に取り出すことができる。
図10、図11は、二つ折りした合紙4を取り出す場合の動作を説明するものであるが、折り重ねていない形態の合紙を用いた積重体においても、同様な動作を行うことで、合紙とガラス基板とを交互に取り出すことができる。
なお、以上に示した実施の形態では、積重体1、1Aを支持する支持台21を昇降させて、積重体1、1Aの上面を合紙取り出しのための位置及びガラス基板取り出しのための位置に位置決めする構成としているが、支持台21は定位置に固定しておき、第一ニップローラ対24、第二ニップローラ対25、吸着パッド26等を昇降させる構成としてもよい。
また、以上の説明では、積重体1、1Aを水平に保持した状態で合紙とガラス基板の取り出しを行っているが、積重体1、1Aは必ずしも水平とする場合に限らず、積重体1、1Aを傾斜した状態に保持するように変更してもよい。すなわち、積重体を斜め積みした場合にも本発明を適用することは可能である。また、ガラス基板の積重体を開梱する場合を例にとって本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明で開梱の対象とする板状物はガラス基板に限らず、合紙と交互に積層して積重体を形成するものであれば任意である。更に、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
(a)は開梱の対象とする積重体をパレット上に乗せた状態で示す概略斜視図、(b)はその積重体の一部を拡大して示す概略側面図 ガラス基板と合紙を拡大して示す概略断面図 本発明の参考例及び実施形態で用いる開梱装置及びその周辺に配置した装置の概略平面図 図3に示す装置の概略側面図 図3に示す開梱装置の、合紙剥離を行う部分を、異なる作動状態で示す概略側面図 (a)、(b)、(c)、(d)は、二つ折りした合紙を用いた積重体の最上部から合紙を剥がす手順を説明する概略側面図 (a)、(b)、(c)は、図6に示す工程に続いて積重体の最上部から合紙を剥がし、次いでガラス基板を取り出す手順を説明する概略側面図 (a)、(b)、(c)、(d)は、折り重ねていない状態の合紙を用いた積重体の最上部から合紙を剥がす手順を説明する概略側面図 (a)、(b)、(c)は、図8に示す工程に続いて積重体の最上部から合紙を剥がし、次いでガラス基板を取り出す手順を説明する概略側面図 (a)、(b)、(c)、(d)は、図6、図7とは異なる形態の開梱装置によって、二つ折りした合紙を用いた積重体の最上部から合紙を剥がす手順を説明する概略側面図 (a)、(b)、(c)は、図10に示す工程に続いて積重体の最上部から合紙を剥がし、次いでガラス基板を取り出す手順を説明する概略側面図
符号の説明
1、1A 積重体
2 パレット
3 ガラス基板
3a 基板本体
3b 機能層
3c 保護膜
4、4A 合紙
4a、4b 折り重ねた片
10 開梱装置
11 積重体搬送装置
12 パレット排出装置
13 合紙受け
14 基板搬送装置
21 支持台
24 第一ニップローラ対
24a、24b ニップローラ
25 第二ニップローラ対
25a、25b ニップローラ
26 吸着パッド
27 板状物取り出し手段
30 移動フレーム
31 揺動レバー
32 揺動アーム
33、34 エアシリンダ
37 取り出しヘッド
40 合紙受け

Claims (1)

  1. 板状物と折り重ねていない形態の合紙とを交互に積み重ねて構成した積重体から合紙と板状物とを分離して取り出す開梱方法であって、前記積重体を水平若しくは傾斜した状態に保持する工程と、前記積重体の最上部に位置する合紙の一端を一対のニップローラに挟ませる工程と、前記合紙の一端を一定位置に保持した状態で、前記一対のニップローラを、その間にはさんだ合紙を送り出すように回転させながら、前記積重体の上面に沿って、合紙の他端に向かって、進行方向に関して前に位置するニップローラを前記積重体の上面に押し付けながら走行させ、前記合紙を剥がす工程と、剥がされた合紙を排出する工程と、積重体の最上部に位置する板状物を取り出す工程とを有する板状物積重体の開梱方法。
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