JP4391848B2 - 鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバー - Google Patents

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本発明は、鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバーに関するものである。
従来の鞍乗り型不整地走行車両の側方を覆うカバーとして、燃料タンクカバー、フロントフェンダ及びリヤフェンダが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3358876号公報
特許文献1の図1を以下の図8で説明する。なお、符号は振り直すとともに追加した。
図8は従来の鞍乗り型不整地走行車両の側面図であり、車体フレーム201の中間部にエンジン202及び変速機203からなるパワーユニット204が搭載され、このパワーユニット204の側方上方を燃料タンクカバー206で覆い、エンジン202の前方側方をフロントフェンダ207で覆い、パワーユニット204の後方側方をリヤフェンダ208で覆い、これらの燃料タンクカバー206、フロントフェンダ207及びリヤフェンダ208で開口部211を形成した鞍乗り型不整地走行車両212を示す。
上記した鞍乗り型不整地走行車両212では、車両側方からの外観性をより向上させるために開口部211を小さくすることが考えられる。しかし、開口部211を小さくすれば、エンジン202、変速機203のメンテナンス性が損なわれることになる。
そこで、メンテナンス時に燃料タンクカバー206、フロントフェンダ207又はリヤフェンダ208を外せば、開口部211が小さくてもメンテナンス性は確保されるが、燃料タンクカバー206、フロントフェンダ207又はリヤフェンダ208を外す作業が大掛かりになる。
また、上記の燃料タンクカバー206、フロントフェンダ207又はリヤフェンダ208は、例えば、車両走行時の振動やエンジン振動で共振しないようにその剛性を高めることが望まれる。
本発明の目的は、鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバーを改良することで、パワーユニット、特にエンジンのメンテナンス性を高めるとともに、サイドカバーの剛性を高めることにある。
請求項1に係る発明は、車体フレームにエンジンを取付け、このエンジンの側方上方をボディカバーで覆い、エンジンの側方下方に運転者が足を載せるフロアステップを配置し、エンジンで駆動する前輪の上方及び後方をフロントフェンダで覆った鞍乗り型不整地走行車両において、ボディカバー、フロアステップ及びフロントフェンダにそれぞれ取付部を設け、これらの取付部に、ボディカバー、フロアステップ及びフロントフェンダで周囲が囲まれるように配置されてエンジンの前方側方を覆うカバー部材を着脱自在に取付け、これらのボディカバー、フロアステップ、フロントフェンダ及びカバー部材でサイドカバーを構成するとともに、ボディカバー、フロアステップ及びカバー部材で車体側面に開口部を形成したことを特徴とする。
カバー部材を、その周囲に配置したボディカバー、フロアステップ及びフロントフェンダで支持し、カバー部材自体の剛性及びボディカバー、フロアステップ、フロントフェンダの剛性を高める。また、カバー部材のみを外すことで、エンジンの前部を外部に簡単に露出させることが可能になる。
また、カバー部材、ボディカバー及びフロアステップで開口部を形成することで、開口部の面積をより小さくすることが可能になる。
請求項2に係る発明は、カバー部材を、ボディカバー、フロアステップ及びフロントフェンダだけで支持することを特徴とする。
カバー部材を車体フレームに取付けた場合には、車体フレーム側にカバー部材のためのステー等の取付部を設ける必要があるが、本発明では、周囲のカバー類に取付けるだけであるために、カバー部材の取付構造を簡素にすることが可能になる。
請求項3に係る発明は、カバー部材が、ボディカバーに備えたサブカバーを介して取付けられることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、エンジンが、クランクシャフトが車体前後方向に延びるように縦置きにされ、エンジンの前部を覆うフロントクランクケースカバーにクラッチ調整部が設けられ、カバー部材が、開口部が小さくなるように取付けられ、カバー部材を外すことにより開口部を大きく開口させ、この開口部を通してクラッチ調整部を調整可能にしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、カバー部材を、その周囲に配置したボディカバー、フロアステップ及びフロントフェンダで支持することで、これらのボディカバー、フロアステップ、フロントフェンダサイドカバー及びカバー部材で構成するサイドカバーの剛性をより高めることができ、サイドカバーの共振を防止することができる。
また、カバー部材のみを外すことで、エンジンの前部を外部に簡単に露出させることができ、例えば、エンジンの前部に設けたクラッチの作動位置調整部での調整を容易に行うことができて、パワーユニットのメンテナンス性をより高めることができる。
また、開口部の面積をより小さくすることができ、車両側方からの外観性をより向上させることができる。
請求項2に係る発明では、カバー部材を車体フレームに取付ける必要が無く、カバー部材の取付構造を簡素にすることができ、コストを低減することができる。
請求項3に係る発明では、カバー部材が、ボディカバーに備えたサブカバーを介して取付けられる。
請求項4に係る発明では、エンジンが、クランクシャフトが車体前後方向に延びるように縦置きにされ、エンジンの前部を覆うフロントクランクケースカバーにクラッチ調整部が設けられ、カバー部材が、開口部が小さくなるように取付けられ、カバー部材を外すことにより開口部を大きく開口させ、この開口部を通してクラッチ調整部を調整可能にした。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る鞍乗り型不整地走行車両の側面図であり、鞍乗り型不整地走行車両10(以下、単に「車両10」と記す。)は、車体前後方向に延ばした車体フレーム11のほぼ中央にエンジン12及び変速機13からなるパワーユニット14を取付け、このパワーユニット14に図示せぬ動力伝達機構を介して左右の前輪16,17(手前側の符号16のみ示す。)及び左右の後輪18,21(手前側の符号18のみ示す。)を連結することで、前輪16,17及び後輪18,21を駆動する構造とし、パワーユニット14の側方上方をボディカバー23で覆い、パワーユニット14の側方下方に運転者が足を載せるフロアステップ24,25(手前側の符号24のみ示す。)を配置し、前輪16,17の上方及び後方をフロントフェンダ27,28(手前側の符号27のみ示す。)で覆い、後輪18,21の前方及び上方をリヤフェンダ31,32(手前側の符号31のみ示す。)で覆い、パワーユニット14、詳しくはエンジン12の前方側方をカバー部材33で覆い、車体の左側面に、上記のボディカバー23、フロアステップ24及びカバー部材33で開口部35(開口部35の輪郭を太線で示す。)を形成したことを示す。なお、車体の右側面にはカバー部材33を設けていないが、このカバー部材に相当する部分をボディカバー23、フロアステップ25又はフロントフェンダ28に一体成形してもよい。
エンジン12は、後述するクランクシャフト85(図4参照)を車両前後方向に延ばした縦置きとしたのものである。
ここで、27aはフロントフェンダ27を構成する外板としてのフロントアウタフェンダ、41はフロントキャリア、42はヘッドランプ、43は前輪18,21を操舵するハンドル、44は燃料タンク、46はシート、47はリヤキャリア、48はエンジン12から後方に延ばした排気管、51は排気管48の後端に接続したマフラである。
図2は本発明に係る車両の左側面を示す要部側面図(矢印(FRONT)は車両前方を表す。以下同じ。)であり、ボディカバー23、詳しくはボディカバー23に備えるサブカバー56と、フロアステップ24と、フロントフェンダ27(図1参照)を構成する内板としてのフロントインナフェンダ57とに、カバー部材33(カバー部材33の輪郭を太線で示す。)を取付け、開口部35を形成したことを示す。
図中の61,62はボディカバー23を構成するボディカバー本体23aにサブカバー56を取付ける取付部(詳しくは、ビス、ナット、取付穴からなる。以下同じ。)、63はサブカバー56にカバー部材33を取付ける取付部、64はフロアステップ24の上部にカバー部材33を取付ける取付部、66,67はフロントインナフェンダ57にカバー部材33を取付ける取付部、71,72はボディカバー23にフロアステップ24を取付ける取付部、73はフロアステップ24にフロントインナフェンダ57を取付ける取付部である。
フロントフェンダ27は、フロントアウタフェンダ27a(図1参照)と、このフロントアウタフェンダ27aの内側に配置したフロントインナフェンダ57とからなる。
このように、カバー部材33を、このカバー部材33の周囲に設けたボディカバー23、フロアステップ24、フロントフェンダ27に備えるフロントインナフェンダ57というような3部材に取付けたことで、カバー部材33自体の剛性をより高めることができるとともに、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントインナフェンダ57の剛性をもより高めることができ、これらのボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27(詳しくは、フロントインナフェンダ57)及びカバー部材33からなるサイドカバー75の剛性をより高めることができる。
図3は本発明に係るサイドカバーの分解側面図であり、カバー部材33に設けた取付穴63a,64a,66a,67aを、サブカバー56の取付穴63b、フロアステップ24の取付穴64b、フロントインナフェンダ57の取付穴66b,67bにそれぞれ合わせて、それぞれボルト(不図示)を挿入するとともにナット(不図示)にねじ込んで、カバー部材33をボディカバー23、フロアステップ24及びフロントインナフェンダ57に取付けることを示す。
図4は本発明に係る車両に搭載したパワーユニットの正面図であり、パワーユニット14は、前部をフロントクランクケースカバー81で覆い、このクランクケースカバー81からクラッチの作動位置、即ち断続位置を調整するためのクラッチ調整部82を突出させたものである。
図中の85は車両前後方向に延びるクランクシャフト、86は車両前後方向に延ばすとともにクランクシャフト85にギヤを介して連結したメインシャフト、87は前輪16,17(図1参照)側に動力を伝達するプロペラシャフトを連結する出力軸、88はフロントクランクケースカバー81の内側に配置するとともにメインシャフト86の端部に設けた湿式多板型のクラッチである。
クラッチ調整部82は、クラッチ88に備える交互に重ねた入力側ディスクと出力側ディスクとを押し付けるスプリングの押し付け力を変更するためにプッシュロッドを軸方向に移動させる機構である。
図5は本発明に係る車両のクラッチ調整部を示す斜視図であり、調整ボルト91及びこの調整ボルト91を固定するロックナット92からなるクラッチ調整部82をフロントクランクケースカバー81から突出させたことを示す。
調整ボルト91は、その一端部を前述のプッシュロッドの先端に当てた部品であり、マイナスドライバーを挿入して回すための溝94を他端部に設けてある。
以上に述べたカバー部材33の作用及びクラッチ調整を次に説明する。
図6は本発明に係るカバー部材の作用を示す作用図である。
まず、フロントアウタフェンダ27a(図1参照)を取外し、次に、サイドカバー75、即ち、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントインナフェンダ57の各取付部からカバー部材33を取外す。これで、パワーユニット14の前方側方が大きく開口した開口部96が出来る。
図7は本発明に係るクラッチ調整部での調整を示す作用図である。
車体側面に大きく開口した開口部96(図6参照)から内部にめがねレンチ101及びマイナスドライバー102を挿入し、メガネレンチ101をロックナット92に嵌めてロックナット92を緩め、マイナスドライバー102を調整ボルト91の溝94(図5参照)に挿入して調整ボルト91を回し、クラッチ88(図4参照)の作動位置を調整する。
このように、図6において、クランクシャフトが車両前方に延びる縦置きのパワーユニット14において、パワーユニット14の前方側方を覆うカバー部材33を取外すことで、大きな開口部96が出来るため、クラッチ調整を容易に行うことができ、パワーユニット14のメンテナンス性をより向上させることができる。
また、カバー部材33をボディカバー23、フロアステップ24及びフロントインナフェンダ57に取付ければ、図2に示したように、小さな開口部35とすることができ、車体側面の外観性をより向上させることができるとともに、開口部35からエンジン12への通風量を確保することができ、エンジン12からの放熱を良好に行うことができる。
以上の図1及び図2で説明したように、本発明は第1に、車体フレーム11にエンジン12を取付け、このエンジン12の側方上方をボディカバー23で覆い、エンジン12の側方下方に運転者が足を載せるフロアステップ24,25を配置し、エンジン12で駆動する前輪16,17の上方及び後方をフロントフェンダ27,28で覆った鞍乗り型不整地走行車両10において、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27に、エンジン12の前方側方を覆うカバー部材33を着脱自在に取付け、これらのボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27及びカバー部材33でサイドカバー75を構成したことを特徴とする。
カバー部材33を、その周囲に配置したボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27で支持することで、これらのボディカバー23、フロアステップ24、フロントフェンダ27及びカバー部材33で構成するサイドカバー75の剛性をより高めることができ、サイドカバー75の共振を防止することができる。
また、カバー部材33のみを外すことで、エンジン12の前部を外部に簡単に露出させることができ、例えば、エンジン12の前部に設けたクラッチ88(図4参照)の作動位置調整部としてのクラッチ調整部82での調整を容易に行うことができて、パワーユニット14、特にエンジン12のメンテナンス性を向上させることができる。
本発明は第2に、カバー部材33を、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27だけで支持することを特徴とする。
カバー部材33を、例えば、車体フレーム11にステー、ブラケット等を介して取付ける必要が無く、カバー部材33を各カバー類23,24,27のそれぞれの取付部に取付けるだけであるから、カバー部材33の取付構造を簡素にすることができ、コストを低減することができる。
本発明は第3に、カバー部材33を、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27とほぼ面一にしたことを特徴とする。
カバー部材33を、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27とほぼ面一にしたことで、車両10の側面の外観性を向上させることができ、車両10の商品性を高めることができる。
本発明は第4に、カバー部材33と、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27とで開口部35を形成することを特徴とする。
カバー部材33、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントフェンダ27で開口部35を形成することで、開口部35の面積をより小さくすることができ、車両側方からの外観性をより向上させることができる。
尚、本実施形態では、図2で示したように、カバー部材33を、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントインナフェンダ57に取付けたが、これに限らず、カバー部材33を、ボディカバー23、フロアステップ24及びフロントアウタフェンダ27a(図1参照)に取付けてもよい。
また、パワーユニット14は、縦置きとしたが、これに限らず、クランクシャフト85を車幅方向に延ばした横置きとしてもよい。
本発明のサイドカバーは、鞍乗り型不整地走行車両で、縦置き又は横置きのパワーユニットを備える車両に好適である。
本発明に係る鞍乗り型不整地走行車両の側面図である。 本発明に係る車両の左側面を示す要部側面図である。 本発明に係るサイドカバーの分解側面図である。 本発明に係る車両に搭載したパワーユニットの正面図である。 本発明に係る車両のクラッチ調整部を示す斜視図である。 本発明に係るカバー部材の作用を示す作用図である。 本発明に係るクラッチ調整部での調整を示す作用図である。 従来の鞍乗り型不整地走行車両の側面図である。
符号の説明
10…鞍乗り型不整地走行車両、11…車体フレーム、12…エンジン、16…前輪、23…ボディカバー、24…フロアステップ、27…フロントフェンダ、33…カバー部材、35,96…開口部、56…サブカバー、63b,64b,66b,67b…取付部(取付穴)、75…サイドカバー、81…フロントクランクケースカバー、82…クラッチ調整部、85…クランクシャフト

Claims (4)

  1. 車体フレームにエンジンを取付け、このエンジンの側方上方をボディカバーで覆い、エンジンの側方下方に運転者が足を載せるフロアステップを配置し、エンジンで駆動する前輪の上方及び後方をフロントフェンダで覆った鞍乗り型不整地走行車両において、
    前記ボディカバー、前記フロアステップ及び前記フロントフェンダにそれぞれ取付部を設け、これらの取付部に、ボディカバー、フロアステップ及びフロントフェンダで周囲が囲まれるように配置されて前記エンジンの前方側方を覆うカバー部材を着脱自在に取付け、これらのボディカバー、フロアステップ、フロントフェンダ及びカバー部材でサイドカバーを構成するとともに、ボディカバー、フロアステップ及びカバー部材で車体側面に開口部を形成したことを特徴とする鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバー。
  2. 前記カバー部材は、前記ボディカバー、前記フロアステップ及び前記フロントフェンダだけで支持されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバー。
  3. 前記カバー部材は、前記ボディカバーに備えたサブカバーを介して取付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバー。
  4. 前記エンジンは、クランクシャフトが車体前後方向に延びるように縦置きにされ、前記エンジンの前部を覆うフロントクランクケースカバーにクラッチ調整部が設けられ、
    前記カバー部材は、前記開口部が小さくなるように取付けられ、前記カバー部材を外すことにより前記開口部を大きく開口させ、この開口部を通して前記クラッチ調整部を調整可能にしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の鞍乗り型不整地走行車両用サイドカバー。
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