JP4390482B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アノードとカソードの間に配置された電解質膜を有する燃料電池本体と、当該燃料電池本体にて発電を行うための燃料供給系等の補機とを備える燃料電池システムに関するものであり、特にメタノールなどの有機液体燃料を上記アノードに直接供給しながら上記燃料電池本体にて発電を行う燃料電池システム及びその発電方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、携帯型情報端末、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型オーディオ、携帯型ビジュアル機器など携帯用電子機器の普及が進んでいる。従来、このような携帯用電子機器は、一次電池又は二次電池によって駆動している。二次電池は一定量の電力使用後に充電する必要があるため、充電機器と充電時間が必要となる。また、二次電池では、ニッカド電池又はリチウムイオン電池が用いられ、小型で高エネルギー密度を持つ電池が開発されているが、より長時間連続駆動が可能な二次電池が要望されている。
【0003】
この要望にこたえるため、充電を必要としない燃料電池システムが提案されている。燃料電池システムは、燃料の持つ化学エネルギーを電気化学的にエネルギーに変換する発電機である。このような燃料電池システムの中では、パーフルオロカーボンスルフォン酸系の電解質を用いてアノード極で水素ガスを還元し、カソード極で酸素を還元して発電を行うという固体高分子形燃料電池(PEFC)が知られており、このようなPEFCは、出力密度が高い電池であるという特徴を有しており、その開発が進められている。
【0004】
しかしながら、このようなPEFCに用いられる水素ガスは容積エネルギー密度が低く、燃料タンクの体積を大きくする必要があることや、燃料ガス、酸化ガスを燃料電池本体(発電部)に供給する装置、電池性能を安定にするため加湿する装置などの補機が必要であるため燃料電池システムが大型になるため、携帯電子機器用の電源としては適さない。
【0005】
一方、メタノールから直接プロトンを取り出すことにより発電を行う直接型メタノール燃料電池(DMFC)は、PEFCと比較してその出力が小さくなるという欠点があるものの、燃料の体積エネルギー密度を上げることができることと、燃料電池本体の補機を減らすことができるため小型化が可能となる。このため、携帯機器用電源として注目されており、幾つかの提案がなされている。
【0006】
ここで、DMFCにおける燃料電池本体で行なわれる発電のための反応として、アノードにおいて行なわれる反応を化1に、カソードにおいて行なわれる反応を化2に示す。
【0007】
【化1】
CH3OH + H2O → 6H+ + 6e− +CO2
【0008】
【化2】
6H+ + 6e− + 3/2O2 → 3H2O
【0009】
化1及び化2に示すように、当該発電により、アノードでは二酸化炭素が生成され、カソードでは水が生成されるため、継続した発電を行うためには当該生成された二酸化炭素と水の処理を行う必要がある。
【0010】
このような従来のDMFC方式の燃料電池システムの構成としては、燃料としてのメタノール水溶液が収容された循環タンクから、ポンプを用いてアノードにメタノール水溶液を供給し、当該アノードに供給されたメタノール水溶液を再び循環タンクに戻して回収し、再び燃料として使うという燃料循環方式が採用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照、図1及び図2)。
【0011】
一方、カソードにおいては発電に伴って、水が生成されることとなるが、このように生成された水は、水回収装置により回収されて、メタノール水溶液が収容されている循環タンクに供給されている。
【0012】
【特許文献1】
特表平11−510311号公報
【特許文献2】
米国特許第5599638号明細書
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなDMFC方式においては、化1及び化2に示すように、アノードに供給されたメタノール水溶液のうちの1molのメタノールと1molの水が消費されて発電が行なわれると、カソードにおいて3molの水が生成されることとなる。従って、これらの生成された水を全て回収して循環タンクに供給すれば、当該循環タンク内のメタノール水溶液の濃度の低下を著しく促進させることとなり、発電可能時間の低下や発電される電力量の低下を招くこととなるという問題がある。
【0014】
このような問題を解決するために、上記水回収装置にて回収された水のうちより、一部の水のみを循環タンクに供給して、メタノール水溶液の濃度の著しい低下を防止するという方法が考えられるが、このような方法は、自動車用や大型装置用の燃料電池システムとしては採用することができるものの、循環タンクに回収されない他の水を排水する必要が生じ、当該排水に伴って、携帯電子機器に内蔵される電子機器や回路に水分が付着したり、結露が発生したりするおそれが高く、携帯電子機器用の燃料電池システムとしては採用することができないという問題がある。
【0015】
また、携帯電子機器用の燃料電池システムとして用いる場合には、燃料電池システム自体を小型化されたものとする必要があるが、この小型化に伴って発電される電力量も小さくなる。この小さくなった電力量の中で、当該燃料電池システムにおけるポンプ等の補機を駆動するための電力が自己消費されることとなるため、このような補機はなるべく少なく、かつ、その消費電力も少なくする必要がある。例えば、燃料電池システムの発電の出力が12Wであれば、補機の消費電力は2W以下とすることが好ましい。
【0016】
しかしながら、上記従来の方式では、燃料を供給するための燃料供給装置(例えば燃料供給ポンプ等)や水を回収するための水回収設備(例えば、水回収ポンプ等)等の補機が多く必要となり、上記自己消費される電力を低減することができないだけでなく、システム自体が複雑になり、小型化が難しいという問題がある。
【0017】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、メタノール等の有機液体燃料を用いて発電を行う燃料電池システムにおいて、燃料供給系等の補機の構成の小型化及び簡素化を図ることができ、携帯電子機器用として用いることができる小型化された燃料電池システムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0019】
本発明の第1態様によれば、アノードと、カソードと、上記アノードと上記カソードとの間に配置された電解質膜と、上記電解質膜の夫々の表面に配置された拡散層とを有する燃料電池本体と、空気供給装置とを備え、上記アノード側に配置された上記拡散層が親水性を有し、かつ上記カソード側に配置された上記拡散層が疎水性を有することを特徴とする燃料電池システムを提供する。
【0020】
本発明の第2態様によれば、アノードと、カソードと、上記アノードと上記カソードとの間に配置された電解質膜と、上記電解質膜の夫々の表面に配置された拡散層とを有する燃料電池本体と、
液体燃料を上記アノードに供給可能に収容する燃料容器と、
上記燃料容器内の空間を、上記液体燃料を収容する燃料収容室と、上記燃料電池本体における発電によって上記カソードにて生成される生成物を回収して収容する生成物収容室とに区分し、かつ、当該区分の位置が移動可能に上記燃料容器に備えられた可動仕切り部と、
上記カソードに空気を供給する空気供給装置とを備え、
上記アノード側に配置された上記拡散層が親水性を有し、かつ上記カソード側に配置された上記拡散層が疎水性を有することを特徴とする燃料電池システムを提供する。
【0021】
本発明の第3態様によれば、上記燃料収容室に収容されている上記液体燃料を上記アノードに供給可能に、上記燃料収容室と上記アノードとを連通する燃料供給通路と、
上記生成物を上記カソードから上記生成物収容室に回収可能に、上記カソードと上記生成物収容室とを連通する生成物回収通路とを備える第2態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0022】
本発明の第4態様によれば、上記空気供給装置は、上記カソードにて生成される生成物を上記生成物回収通路を通じて上記生成物収容室に回収させるとともに、上記生成物収容室を加圧して、上記可動仕切り部を上記燃料収容室側に移動させて、上記燃料収容室から上記燃料供給通路を通じて上記アノードに上記液体燃料を供給するように、上記カソードに空気を供給する空気供給ポンプである第3態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0023】
本発明の第5態様によれば、上記カソードで生成された上記生成物を、気体と液体に分離可能な気液分離装置をさらに備え、
上記気液分離装置により分離された上記液体を、上記生成物収容室に回収させる第2態様から第4態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0024】
本発明の第6態様によれば、上記気液分離装置は、上記分離された気体を排気することにより、当該気液分離装置内を所定の圧力に保つ圧力調整弁を備える第5態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0025】
本発明の第7態様によれば、上記燃料容器は、上記燃料収容室に収容されている上記液体燃料の収容量を検出可能な燃料収容量検出装置を備える第2態様から第6態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0026】
本発明の第8態様によれば、上記燃料収容量検出装置は、上記燃料容器における上記可動仕切り部の移動位置を検出可能な移動位置検出装置である第7態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0027】
本発明の第9態様によれば、上記燃料収容量検出装置は、上記可動仕切り部の移動位置又は上記液体燃料の収容量を、上記燃料容器外部から視認可能に上記燃料容器に備えられた視認窓である第7態様に記載の燃料電池システムを提供する。
【0028】
本発明の第10態様によれば、上記燃料容器は、
上記燃料収容室に上記液体燃料を充填する充填部と、
上記生成物収容室より上記生成物を回収する回収部とを備え、
上記燃料容器の外部から上記充填部を通して上記燃料収容室に、上記液体燃料を充填しながら、上記燃料収容室を加圧して上記可動仕切り部を上記生成物収容室側に移動させ、上記回収部を通して上記生成物収容室から上記燃料容器の外部に、上記生成物を回収させる第2態様から第9態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0029】
本発明の第11態様によれば、上記アノード側に配置された上記拡散層は、当該アノードの上部から供給される液体燃料を、毛細管現象あるいは重力の作用により、上記電解質膜の表面に拡散させて供給する第1態様から第10態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0030】
本発明の第12態様によれば、アノードと、カソードと、上記アノードと上記カソードとの間に配置された電解質膜と、上記電解質膜の夫々の表面に配置された拡散層とを有する燃料電池本体と、
液体燃料を上記アノードに供給可能に収容する燃料容器と、
上記燃料容器内の空間を、上記液体燃料を収容する燃料収容室と、上記燃料電池本体における発電によって上記カソードにて生成される生成物を回収して収容する生成物収容室とに区分し、かつ、当該区分の位置が移動可能に上記燃料容器に備えられた可動仕切り部と、
上記アノードの少なくとも一部をその内部に配置し、かつ、上記燃料容器より供給される上記液体燃料を、当該アノードに供給可能に収容する中間容器と、
上記カソードに空気を供給する空気供給装置とを備え、
上記アノード側に配置された上記拡散層が親水性を有し、かつ上記カソード側に配置された上記拡散層が疎水性を有すること特徴とする燃料電池システムを提供する。
【0031】
本発明の第13態様によれば、上記液体燃料は、上記発電により上記アノードにて消費される上記液体燃料の液量と、当該発電により上記カソードにて生成される上記生成物の液化された状態の液量とが、略同量となるような濃度を有するメタノール水溶液である第1態様から第12態様のいずれか1つに記載の燃料電池システムを提供する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる燃料電池システム101の模式的な構成を示す模式構成図を図1に示す。
【0034】
図1に示すように、燃料電池システム101は、燃料の持つ化学エネルギーを電気化学的に電気エネルギーに変換して発電を行なう発電部である燃料電池本体102と、この発電に必要な燃料等を燃料電池本体102に供給する等の補機系とを備えている。また、この燃料電池システム101は、有機系の液体燃料の一例であるメタノール水溶液を燃料として、このメタノールから直接的にプロトンを取り出すことにより発電を行なう直接型メタノール燃料電池(DMFC)である。
【0035】
図1に示すように、燃料電池本体102は、アノード(燃料極)1、カソード(空気極)2、アノード1とカソード2との間に配置された電解質膜3、及び電解質膜3の夫々の表面に配置された拡散層として、アノード側拡散層1c、カソード側拡散層2cを備えている。アノード1は、供給されるメタノールに対して酸化反応を行ない、プロトンと電子を取り出す反応(アノード反応)を行なう機能を有している。当該電子は、アノード1とカソード2とを電気的に接続する図示しない外部回路(発電回路)を通してカソード2へ移動し、当該プロトンは、電解質膜3を通してカソード2へ移動する。また、カソード2は、外部から供給される酸素と、アノード1より電解質膜3を通して移動してきたプロトンと、上記外部回路を通して流れてきた電子とを用いて還元反応を行なって、水を生成するという反応(カソード反応)を行なう機能を有している。このようにアノード1にて酸化反応を、カソード2にて還元反応を夫々行ない、上記外部回路に電子を流すことで、電流を発生させて発電を行なうことができる。
【0036】
具体的には、電解質膜3として、例えば液体燃料のクロスオーバーを従来の1/10とした電解質膜を用いる。電解質膜3は、一方の表面に、アノード1のアノード触媒として、炭素系粉末担体に白金とルテニウム、あるいは白金とルテニウムの合金を分散させて担持したものを形成し、他方の表面に、カソード2のカソード触媒として、炭素系担体に白金微粒子を分散担持したものを形成している。この電解質膜3に触媒を形成したものは、膜電極組立体と呼ばれている。アノード側の拡散層1cは例えば、カーボンペーパーに親水処理をしたもので、カソード側の拡散層2cは例えば、カーボンペーパーに疎水処理をしたものである。なお、このような親水性の処理は、例えば、カーボンペーパーを水蒸気で賦活処理することで行なうことで、親水性を高めることができる。また、疎水性の処理は、例えば、カーボンペーパーにポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂のディスパーションを含浸させることで、疎水性を付与することができる。燃料電池本体102は、上記膜電極組立体の夫々の表面に夫々の拡散層1c及び2cを密着させた後、セパレータを介してハウジングに固定することにより形成することができる。また、それぞれの拡散層1c及び2cは電極としても用いる。
【0037】
なお、拡散層1c及び2cは、上記カーボンペーパーが用いられる場合に代えて、カーボンクロスが用いられるような場合であってもよい。電解質膜3としては、例えばDupont社のナフィオン(商品名称)を3枚重ねて使用することにより、クロスオーバーを低減することができる。また、電解質膜3として、例えば、サブミクロンオーダーの細孔を有する多孔質膜に、電解質ポリマーを充填した細孔フィリング電解質膜やセラミックス多孔体に電解質ポリマーを充填したものを用いても良い。
【0038】
また、図1に示すように、アノード1は、上記アノード反応を実施可能にその内部にメタノール水溶液を供給させるための燃料供給口1aと、当該アノード反応により生成される二酸化炭素を排出させるための排気弁12とを備えている。
【0039】
また、カソード2は、上記カソード反応の実施のために用いられる酸素を供給するために、例えば、空気を用い、当該空気をその内部に供給するための空気供給口2aと、当該カソード反応にて生成される生成物の一例である水(液相又は気相のいずれの状態、あるいは夫々の状態が混在した状態のいずれの場合をも含む)を上記内部より排出させるための排出口2bとを備えている。なお、この生成物は水を主成分として含むものであるが、その他に、ギ酸、ギ酸メチル、及びメタノール(後述するクロスオーバーによる)等も含まれる場合がある。
【0040】
次に、燃料電池システム101における上記補機系の構成について説明する。上記補機系の構成としては、燃料電池本体102のアノード1にメタノール水溶液を供給するための補機構成と、カソード2に空気を供給するための補機構成と、カソード2にて生成された生成物である水を回収するための補機構成とが備えられている。
【0041】
まず、図1に示すように、上記燃料供給のための補機構成としては、メタノール水溶液を液体燃料としてアノード1に供給可能に収容する燃料容器の一例である燃料タンク15と、燃料タンク15とアノード1の燃料供給口1aとを接続する燃料供給通路の一例である燃料供給管路16とを備えている。
【0042】
燃料タンク15は、その内側の空間に、液体燃料を収容する燃料収容室の一例である燃料室8と、カソード2にて生成された生成物として、主に水を回収する生成物収容室の一例である水回収室6とを有している。また、燃料タンク15には、その内壁に沿って自由に移動可能であり、上記内側の空間を、燃料室8と水回収室6とに区分する可動仕切り部の一例である可動仕切り板7を備えている。すなわち、燃料タンク15においては、可動仕切り板7が移動されて、上記区分の位置が移動することにより、燃料室8の容積及び水回収室6の容積を変化させることが可能となっている。なお、燃料室8の容積と水回収室6の容積との合計が燃料タンク15の容積となっているため、燃料室8と水回収室6のうちの一方の容積が増加された場合には、その増加された容積分だけ、他方の容積が減少されることとなる。
【0043】
また、燃料供給管路16の一端が燃料室8に接続されており、燃料室8に収容されている液体燃料が、燃料供給管路16を通して、燃料供給口1aよりアノード1に供給することが可能となっている。また、燃料供給管路16の途中には、燃料供給管路16を通して供給される液体燃料の供給量(流量)を、調整可能な調整弁11が設けられている。なお、この調整弁11は、その開度を閉止させることにより、燃料室8に連通されている燃料供給管路16を閉止することが可能となっている。また、燃料タンク15の燃料室8には、例えば、初期状態で重量百分率で63.8wt%の濃度のメタノール水溶液が液体燃料として収容されている。
【0044】
次に、上記空気を供給するための補機構成としては、カソード2の空気供給口2aにその一端が接続された空気(酸素)供給用通路の一例である空気供給管路17と、空気供給供給管路17の途中に配置され、空気供給管路17を通して、空気をカソード2内に供給する空気供給装置の一例(あるいは空気供給ポンプの一例)である空気ポンプ13とが備えられている。この空気ポンプ13としては、小型でかつ消費電力が小さいものを用いることが好ましく、例えば、モータ式ポンプ(逆止弁付、吐出量:0〜2L/分、吐出圧力:30kPa)を用いており、使用時は、例えば、1L/分で空気を供給する。また、燃料電池本体102にて発電が行なわれる際に、空気ポンプ13が駆動されてカソード2内に必要な空気(あるいは酸素)が供給され、当該発電が停止されるときには、空気ポンプ13の駆動が停止されることとなる。
【0045】
また、上記水を回収するための補機構成としては、カソード2の排出口2bと、燃料タンク15の水回収室6とを連通して、カソード2にて生成された水を、水回収室6に供給して回収させる生成物回収通路の一例である水回収管路18が備えられている。
【0046】
カソード2においては、発電により水を主成分として含む生成物が生成されることとなるものの、カソード2内部には、空気ポンプ13により空気が供給されている。そのため、この生成物と空気との混合物(例えば、気液混合物)が、カソード2より排出口2bを通して水回収管路18に送り出されることになる。また、この混合物には、生成された水が水蒸気として含まれることも多い。従って、このような気体及び液体が混ざり合った状態の混合物を、気体と液体とに分離して、当該液体を水回収管路18に送り出す気液分離装置の一例である気液分離器4が、水回収管路18の途中に設けられている。さらに、気液分離器4と燃料タンク15との間における水回収管路18には、水回収室6への水回収管路18を閉止するための弁80が設けられている。
【0047】
ここで、この気液分離器4の模式的な構造を示す模式図を図2に示す。図2に示すように、気液分離器4は、上記液体である水82をその下方に、上記気体81をその上方に、夫々分離させた状態で収容する気液分離室4aと、カソード2よりの水回収管路18の端部であって、この気液分離室4a内の空間の下方に配置された導入管19と、気液分離室4aの上方の空間に連通され、当該空間内に収容された余分な気体を排気することにより、当該空間内を所定の圧力に調整する圧力調整弁14と、気液分離室4aの底部近傍に配置された水排出口20とを備えている。
【0048】
また、図2に示すように、導入管19は、気液分離室4a内に収容される水に浸漬されるように配置されており、さらに、当該水と、導入管19の外表面との接触面積を大きくするために、例えば、螺旋状等に曲げられた形状を有している。導入管19がこのような配置及び形状を有していることにより、水回収管路18を通して送り込まれる上記混合物を、導入管19を通過させる際に、その周囲の水と効率的な熱交換を行なって凝縮させ、液化させた状態で気液分離室4aに導入することができる。また、上記混合物内に残留している気体は、気液分離室4aの上方へと移動することとなる。一方、気液分離室4aの底部近傍に水排出口20が配置されていることにより、当該室内上方の気体81を流出させることなく、当該室内下方の水82を、水排出口20を通して排出することが可能となっている。なお、水排出口20を通して排出された水は、水回収管路18を通して、水回収室6に収容されることとなる。
【0049】
また、このような水回収管路18と通しての上記混合物及び水の流通は、空気ポンプ13の駆動によるカソード2内の加圧により、カソード2内で生成された水と空気の混合物が排出口2bを通して水回収管路18内に送り出されることにより行なわれる。
【0050】
ここで、燃料タンク15に備えられた可動仕切り板7の構造について、図15及び図16に示す模式図を用いて説明する。
【0051】
まず、可動仕切り板7は、燃料タンク15を、液体燃料を収容する燃料室8と、水を収容する水回収室6とに区分する機能を有している。また、区分された夫々の室には、互いに異なる種類の流体が収容されるため、可動仕切り板7は、両室の流体が混ざり合うことがないような構成とする必要がある。そのため、図15(A)、及び図15(A)における部分拡大図である図15(B)に示すように、可動仕切り板7の周部7aと燃料タンク15の内壁15aとの間に隙間が生じないように、周部7aにパッキン7bが取り付けられている。また、可動仕切り板7の捩れによる剛性を高めるため、可動仕切り板7の形成厚みを厚く、例えば、5mm程度の厚さで形成している。
【0052】
また、可動仕切り板7の移動を安定した状態で行なうことを可能とするため、例えば、図16(A)、及び図16(A)におけるA−A’線断面図である図16(B)に示すように、燃料タンク15の内側に、可動仕切り板7の移動を案内する案内レール21を設けることもできる。このような案内レール21は、図16(A)の図示上下方向に沿って配置させることが好ましく、さらに、より安定した移動を可能とするために、複数本の案内レール21を設けることが望ましい。なお、図16においては、2本の案内レール21を備えさせている場合について示している。また、夫々の案内レール21と可動仕切り板7との間には、隙間が生じないように、パッキン等を設けることが望ましい。
【0053】
また、このような燃料電池システム101においては、燃料電池システム101における発電に関連する夫々の動作を、互いに関連付けながら統括的な制御を行う制御装置103が備えられている。制御装置103は、空気ポンプ13の駆動によるカソード2への空気の供給動作や、燃料電池本体102にて発電される電力量等の制御を行なうことが可能となっている。また、調整弁11や弁80として、自動制御弁を用いて、夫々の弁の開閉動作あるいは開度調整動作が、制御装置103により行なわれるような場合であってもよい。
【0054】
このような機能及び構成を有する燃料電池システム101において、発電が行なわれる場合における液体燃料の供給(補給)動作、及び生成される水の回収動作について説明する。なお、以降の夫々の動作は、燃料電池システム101における制御装置103により互いの動作が関連付けられながら、統括的に制御されることにより行なわれる。
【0055】
まず、燃料タンク15において、液体燃料として、例えば、重量百分率で63.8wt%の濃度のメタノール水溶液を100mlを燃料室8に収容させて、水回収室6には多少の水を収容させた状態を初期状態とする。このとき、例えば、調整弁11及び弁80は閉止された状態とされている。
【0056】
その後、調整弁11及び弁80が開放されるとともに、空気ポンプ13が起動されて、空気供給管路17を通じてカソード2内に空気を供給する。このカソード2内への空気の供給により、水回収管路18を通じて、水回収室6内も加圧されることになる。これにより、可動仕切り板7が燃料室8側に付勢されて移動され、燃料室8の容積が縮小され、収容されている液体燃料が、燃料供給管路16を通して、アノード1内に供給されることになる。この供給に際して、アノード1内にガスが存在しているような場合には、当該ガスは排気弁12を通じて外部に排気される。
【0057】
アノード1に液体燃料が供給されることにより、アノード1にて当該液体燃料が用いられてアノード反応が行なわれ、一方、カソード2にて供給された空気、すなわち酸素が用いられてカソード反応が行なわれる。これにより、図示しない発電回路にて所定の電力量の発電が行なわれる。このように、燃料電池本体102にて発電が行なわれることにより、アノード1にて発電された電力量に応じた量の液体燃料が消費されるとともに、カソード2にて当該電力量に応じた量の水が生成されることになる。
【0058】
カソード2にて生成された水は、当該水と空気の混合物として、空気ポンプ13による加圧力でもって、カソード2内より排出口2bを通して水回収管路18に送り出される。その後、当該混合物は、気液分離器4に導入され、当該導入の際に、当該混合物に含まれている水蒸気等が導入管19において凝縮されて液化された状態で、気液分離室4a内に導入されることとなる。また、気液分離室4a内においては、その上方に気体81が収容され、液体、すなわち水82はその下方に収容される。これにより、気液分離室4a内で、当該混合物が気体81と、水82とに分離されることになる。
【0059】
その後、気液分離室4aの下方に収容された水82は、水排出口20及び水回収管路18を通して水回収室6に送り込まれて回収される。このような水の送り出し動作は、気液分離室4a内が、空気ポンプ13により加圧されていることにより可能となる。なお、気液分離室4a内の圧力が、所定の圧力以上とされるような場合にあっては、圧力調整弁14により気体の排出が行なわれ、上記所定の圧力が保たれる。例えば、気液分離室4a内の上記所定の圧力としては、2〜10kPaの範囲のいずれかの圧力、好ましくは5kPa程度の圧力とされる。また、水回収室6には、このように水が送り込まれるような場合に代えて、水と当該水に含まれている気体(空気等)とが送り込まれるような場合であってもよい。
【0060】
また、燃料タンク15においては、水回収室6に水が回収されることにより、水回収室6内がさらに加圧され、可動仕切り板7が燃料室8側にさらに付勢される。一方、アノード1においては液体燃料が消費されたため、その圧力が低下することとなり、当該圧力の低下は、燃料供給管路16を通じて、燃料室8の圧力をも低下させることになる。従って、燃料室8の圧力が水回収室6の圧力よりも低下するため、両室間に圧力差が生じ、上記付勢されている可動仕切り板7が燃料室8側に移動されて、燃料室8の容積が縮小される。これにより、燃料室8に収容されている液体燃料の一部が、燃料供給管路16を通して、アノード1に供給され、アノード1にて消費された液体燃料の補給が行なわれる。
【0061】
このようにアノード1に補給された液体燃料は発電に用いられて消費され、一方、カソード2においては当該発電に伴って水が生成される。このような動作が繰り返して継続的に行なわれることにより、アノード1にて消費された液体燃料の補給動作と、カソード2にて生成された水の回収動作とが、同時的にかつ継続的に行なわれ、燃料電池本体102にて、所定の電力量の発電が継続して行なわれる。
【0062】
また、このような液体燃料の補給動作と水の回収動作は、空気ポンプ13により空気がカソード2内に供給されて、カソード2内が加圧されることにより可能となるものである。言い換えれば、空気ポンプ13は、水回収管路18を通じて、水回収室6を加圧し、可動仕切り板7を移動させて、燃料室8に収容されている液体燃料を燃料供給管路16を通じてアノード1内に補給することが可能な圧力でもって、カソード2内に空気を供給することができる機能(例えば、このような吐出圧力を有している)を有している。
【0063】
その後、燃料室8の液体燃料が使い切られた場合、又は、発電を停止する場合には、空気ポンプ13の駆動を停止させるとともに、調整弁11及び弁80が閉止される。
【0064】
なお、このような燃料電池システム101においては、発電により消費された液体燃料の容積分と略等しい量の液体燃料を、当該発電により生成された水を用いて供給するとともに、当該水の回収を行なっているため、発電により消費される液体燃料の容積と、生成される水の容積が略同じであることが望ましい。すなわち、このような条件を満たし得るような濃度の液体燃料、例えば、60〜70wt%程度の範囲のいずれかの濃度、例えば、63.8wt%程度の濃度のメタノール水溶液を用いることが望ましい。
【0065】
上記第1実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
【0066】
燃料タンク15からアノード1に供給された液体燃料が、親水性を有する拡散層1cを通して拡散され、すばやく触媒を形成した電解質膜3に供給することができる。特に、燃料供給管路16の端部が、アノード1の上部に配置され、当該端部を通じて供給される液体燃料が、拡散層1cの上方に供給されるような場合であっても、拡散層1cの親水性による毛細管現象あるいは重力の作用とにより、上記液体燃料を拡散させながら、電解質膜3から構成される膜電極組立体の表面全体に均一かつ効率的な供給を行なうことができる。
【0067】
また、カソード2では、発電で生成した水を、疎水性を有する拡散層2cにより、セパレーター側へ排出することができる。また、当該水の排出は、拡散層2cが疎水性を有しているため、効率よくカソード2の外部へ排出することができる。また、拡散層2cの疎水性と空気ポンプ13の加圧によって、アノード1側から液体燃料が電解質膜3を浸透してくるクロスオーバーを低減する効果もある。
【0068】
また、燃料電池システム101において、発電が行なわれることによりカソード2にて生成物として水が生成されることとなるが、このようにして生成された水を、燃料タンク15の水回収室6に回収することができるため、当該水を排水することがない。これにより、排水等を伴うような燃料電池システムを採用することができないという特徴を有する携帯電子機器用の燃料電池システムとして、燃料電池システム101を適用することができる。
【0069】
また、このような水の回収は、空気ポンプ13によるカソード2への空気の供給に伴うカソード2内の加圧によって、生成された水が水回収管路18を通して水回収室6に送り込まれることにより行なわれるため、このような水の回収のための専用の動力設備(例えば、水回収ポンプ等)を設ける必要がない。従って、燃料電池システム101における補機系の構成を簡素化することができる。
【0070】
さらに、このように回収される水のために専用の水回収タンク等を設けなくても、発電に伴い収容されている液体燃料が減少する燃料タンクを、可動仕切り板で区分することにより、当該水の回収先として使用することができる。従って、さらに、補機系の構成を簡素化することができる。
【0071】
また、カソード2より水回収管路18内に、水だけでなく空気等も混合されて送り出される、すなわち混合物として送り出されることとなるが、水回収管路18の途中には、気液分離器4が設けられているため、当該混合物を気体と液体とに分離して、液体である水を水回収室6に回収させることができる。従って、その収容容積に限りがある燃料タンクを用いて、効率的な水の回収を行なうことができる。
【0072】
また、気液分離器4には、水回収管路18の端部である導入管19が、気液分離室4a内に収容されている水に浸漬され、かつ、その水との接触面積が大きくなるように備えられていることにより、上記混合物に含まれる水蒸気を凝縮させて液化させた状態で回収することができる。また、このようにすることで、水蒸気の状態で、水が外部に放出されることを防止することができ、携帯電子機器の電源に適した燃料電池システムを提供することができる。
【0073】
また、発電に伴って、アノード1では、液体燃料が消費されることとなるが、当該消費された液体燃料の補給を、水の回収による水回収室6の加圧により、可動仕切り板7を燃料室8側に移動させることにより行なうことができるため、当該液体燃料の補給のための専用の燃料供給設備(燃料ポンプ等)を設ける必要を無くすことができる。従って、補機系の構成をさらに簡素化することができる。
【0074】
このように補機系の構成を簡素化することで、燃料電池システムを小型化することができるとともに、当該補機系にて自己消費される電力量を低減することもできる。従って、小型化され、効率的な発電を行なうことができる携帯電子機器用の電源に適した燃料電池システムを提供することができる。
【0075】
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2実施形態にかかる燃料電池システムにおける燃料タンク25の模式的な構成を示す模式図を図3に示す。なお、燃料電池システム全体の構成は、上記第1実施形態の燃料電池システム101と同じ構成となっているため、その説明は省略するものとする。
【0076】
図3に示すように、燃料タンク25は、可動仕切り板7によって区分された室である液体燃料10が収容される燃料室8と、水回収管路18から送られてきた水(若しくは、水と気体の混合物)を回収可能に収容する水回収室6とを備えている点については、上記第1実施形態の燃料タンク15と同様である。ただし、燃料タンク25には、液体燃料10の収容量(すなわち、残量)を検出するためのレベルセンサ26が備えられている。
【0077】
レベルセンサ26は、例えば、磁気センサを用いることができる。また、可動仕切り板7の側面端部(図示右側端部)に磁性材料で形成された小さな被検出部27を埋め込んでおくことにより、レベルセンサ26にて被検出部27を非接触で検出することができる。従って、可動仕切り板7の移動位置を検出することができ、燃料室8に収容されている液体燃料の収容量を検出することができる。
【0078】
なお、このようにして検出された液体燃料の収容量は、例えば、制御装置103等に入力して、燃料電池システムの外部より認識可能に表示させることもできる。また、本第2実施形態においては、レベルセンサ26と被検出部27が、燃料収容量検出装置、及び移動位置検出装置の一例となっている。
【0079】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池システムが内蔵された燃料電池パッケージ30の外観の模式斜視図を図4に示す。
【0080】
図4に示すように、燃料電池パッケージ30は、収容されている液体燃料の残量を外部から視認可能な視認窓の一例である燃料確認窓83を備えている点において、上記第1実施形態の燃料電池システム101と異なる構成を有しているものの、その他の構成については燃料電池システム101と同様である。
【0081】
図4に示すように、燃料確認窓83は、燃料タンクにおける可動仕切り板7を視認性の良い色、例えば白色で構成して、燃料電池パッケージ30の外殻ケースに、可動仕切り板7を目視可能に備えられたものである。また、燃料確認窓83の縁部分には、燃料収容量の読み取り用の目盛を作製することにより、液体燃料10がどれぐらいあるか、また、残っている液体が液体燃料10なのか水9なのかを判断することができる。従って、燃料電池パッケージ30において確実に液体燃料の残量を確認することができるとともに、当該確認のために電力を自己消費することがないため、効率的な発電を行うことができる燃料電池システムを提供することができる。
【0082】
なお、本第3実施形態では、可動仕切り板7の色を白色の例で説明したが、蛍光色や夜光色にしてももちろん良い。
【0083】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態にかかる燃料電池システムにおける燃料タンク35の模式的な構成を示す模式図を図5に示す。なお、燃料電池システム全体の構成は、上記第1実施形態の燃料電池システム101と同じ構成となっているため、その説明は省略するものとする。
【0084】
図5に示すように、燃料タンク35は、可動仕切り板7によって区分された室である液体燃料10が収容される燃料室8と、水回収管路を通して送り込まれる水あるいは水と気体の混合物を回収可能に収容する水回収室6とを備える点においては、上記第1実施形態の燃料タンク15と同じ構成となっている。ただし、燃料タンク35においては、液体燃料10の収容量を検出するための位置センサ36が備えられている点において異なる構成となっている。
【0085】
位置センサ36としては、例えば、磁気センサや静電センサを用いることができ、可動仕切り板7の移動範囲における複数の位置に位置センサ36を備えさせることが望ましい。また、可動仕切り板7の側面端部に磁性体で形成される小さな被検出部37を埋め込んでおくことにより、位置センサ36の設置位置に位置された可動仕切り板7の被検出部37を非接触で検出して、可動仕切り7の移動位置を検出することができる。
【0086】
また、この位置センサ36による検出結果を制御装置等に出力させることにより、この燃料電池システムが電源として用いられている携帯電子機器等に燃料の残量を知らせることができる。また、本第4実施形態においては、位置センサ36と被検出部37が、燃料収容量検出装置、及び移動位置検出装置の一例となっている。
【0087】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態にかかる燃料電池システムが備える燃料タンク45の模式図を図6に示す。なお、燃料電池システム全体の構成は、上記第1実施形態の燃料電池システム101と同じ構成となっている。
【0088】
図6に示すように、燃料タンク45は、可動仕切り板7によって区分された室である液体燃料10が収容される燃料室8と、水あるいは水と気体との混合物を回収可能に収容する水回収室6とを備えている。また、燃料タンク45は、燃料室8への液体燃料10の充填を行なう充填部の一例である燃料充填用接続器42と、水回収室6に収容された水9の回収を行なう回収部の一例である水回収用接続器41とを備えている。また、水回収用接続器41と燃料充填用接続器42には共に漏れ防止機構が備わっている。なお、水回収室6に水とともに気体が収容されているような場合にあっては、水回収用接続器41を通して、水とともに気体を回収することもできる。
【0089】
また、図7に、燃料充填時における燃料タンク45と燃料充填器53の接続状態の模式図を示す。図7に示すように、燃料充填器53は、例えば、その内側の空間が、燃料室57と水回収室55とに、上記空間にて移動可能なピストン56によって区分されている。また、燃料タンク45に備えられた燃料充填用接続器42と水回収用接続器41が、燃料充填器53に備えられた燃料充填用接続器59と水回収用接続器58とに夫々解除可能に結合されている。
【0090】
このような状態で、燃料室57の容積を減少させるように、かつ、水回収室55の容積を増大させるように、ピストン55を押し込む(すなわち、図示上方に移動させる)ことにより、燃料充填用接続器59及び42を通じて、燃料タンク45の燃料室8への液体燃料の充填を行なうとともに、当該充填により燃料室8内を加圧して、可動仕切り板7を水回収室6側に移動させることにより、水回収用接続器41及び58を通じて、燃料タンク45の水回収室6の水を、燃料充填器53の水回収室55に回収させることができる。すなわち、液体燃料の充填と水回収を同時に行うことができる。
【0091】
また、水回収用接続器41及び58と燃料充填用接続器42及び59は、夫々、例えば、市販されている図8に示すようなソケット部とプラグ部から構成される接続器で実現する。なお、図8はソケット部の構造を示す断面図であり、図9はプラグ部の構造を示す断面図である。また、図10は上記ソケット部と上記プラグ部とが結合した場合の構造を示す断面図である。
【0092】
図8に示すように、上記ソケット部は、ソケット本体60、バルブホルダ61、バルブスプリング62、バルブ63、パッキン64、Oリング65、スリーブスプリング66、スリーブ67、スチールボール68、及びストップリング69を備えている。また、図9に示すように、上記プラグ部は、プラグ本体70と、バルブホルダ71、バルブスプリング72、バルブ73、及びパッキン74を備えている。これらの構成から明らかなように、上記プラグ部のバルブ73の構造は上記ソケット部のバルブ63の構造と同じ構造である。
【0093】
また、図10に示すように、ソケット部とプラグ部との連結時は、ソケット部のスリーブ67をソケット本体60側に動かした状態で、プラグ本体70を押し込むと、スリーブスプリング66の力でスリーブ67が元の位置に戻り、スチールボール68がプラグ本体70の外周にロックされて連結する。この時、ソケット部及びプラグ部の夫々の通路を閉止しているバルブ63及び73が、互いに押し合うことにより、夫々の通路が開き流体が流れる構造であり、外部への流体の漏れはOリング65でシールされる。
【0094】
一方、分離時は、ソケット部のスリーブ67をソケット本体60側に動かすとスチールボール68が外周方向へ移動可能となり、バルブスプリング62及び72の反力でプラグ本体70がソケット部から分離する。この分離と同時にソケット部側及びプラグ部側ともにバルブ33及び73が閉まり流体の流れを止める構造である。
【0095】
このような構造のソケット部及びプラグ部を用いることにより、切り離している時も接続しているときも液体の漏れを防ぎ、安全に燃料の充填をすることができる。また、例えば、燃料タンク45に備えられた水回収用接続器41をプラグ形状、燃料充填用接続器42をソケット形状に、燃料充填器53に備えられた水回収用接続器58をソケット形状に、燃料充填用接続器59をプラグ形状にすることにより、燃料充填器53を接続する組み合わせが1通りに決まるため、誤って燃料タンク45の燃料室8に水を供給することもない。
【0096】
なお、燃料タンク45における燃料充填用接続器42と水回収用接続器41の設置位置は、図13及び図14の燃料タンク45の模式図に示すように、可動仕切り板7の移動範囲における図示上限位置(図13参照)よりも上方に燃料充填用接続器42を、当該移動範囲における図示下限位置(図14参照)よりも下方に水回収用接続器41を、夫々配置させることが好ましい。このように配置することで、燃料タンク45の容積を最大限に利用して、液体燃料の補給及び水の回収を行なうことができる。
【0097】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態にかかる燃料電池システム121の模式的な構成を示す模式図を図11に示す。図11に示すように、燃料電池システム121は、上記第1実施形態の燃料電池システム101と異なる構造の燃料電池本体122等を備えているものの、その他の補器系の構成については、燃料電池システム101と同様な構成を有している。以下に、この異なる構造についてのみ説明するものとする。なお、図11に示すように、燃料電池システム121は、燃料電池本体122、空気ポンプ313、気液分離器304、弁380、燃料タンク315、水回収室306、燃料室308、及び調整弁311を備えている。
【0098】
図11に示すように、燃料電池システム121は、燃料電池本体122におけるアノード301をその内側の空間に配置し、かつ、燃料タンク315から供給される液体燃料を、アノード301に供給可能に収容する中間容器の一例である中間タンク325を備えている。
【0099】
また、燃料電池本体122のアノード301は、その図示下部に配置された燃料供給口301bと、その図示上部に配置された二酸化炭素等の気体の排出口301aとを備えている。また、この燃料供給口301bは、中間タンク325に収容された液体燃料中に浸漬されるように、アノード301が配置されている。これにより、燃料供給口301bを通じて、アノード301内に液体燃料を供給することが可能となっている。また、中間タンク325には、二酸化炭素等のガスを排気する排気弁312が備えられている。
【0100】
ここで、燃料電池本体122のより詳細な構造を示す模式図を図12に示す。図13に示すように、燃料電池本体122は、アノード側拡散層301dとカソード側拡散層302dと、その間に配置された電解質膜303とアノード側触媒層303aとカソード側触媒層303bと、アノード側セパレーター301sとカソード側セパレーターと、ハウジング301h、302hを備えている。電解質膜303とアノード側触媒層303a、カソード側触媒層303bは膜電極組立体と呼ばれている。電解質膜303として、例えば液体燃料のクロスオーバーを従来の1/10とした電解質膜を用いる。膜電極組立体は、電解質膜303の一方の表面に、アノード触媒303aとして、炭素系粉末担体に白金とルテニウム、あるいは白金とルテニウムの合金を分散させて担持したものを形成し、他方の表面に、カソード触媒303bとして、炭素系担体に白金微粒子を分散担持したものを形成している。アノード側の拡散層301dは例えば、カーボンペーパーに親水処理をしたもので、カソード側の拡散層302dは例えば、カーボンペーパーに疎水処理をしたものである。なお、このような親水性の処理は、例えば、カーボンペーパーを水蒸気で賦活処理することで行なうことで、親水性を高めることができる。また、疎水性の処理は、例えば、カーボンペーパーにポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂のディスパーションを含浸させることで、疎水性を付与することができる。燃料電池本体122は、膜電極組立体にそれぞれの拡散層密着させた後、アノード側セパレータ301sとカソード側セパレータ302sを介してハウジング301h、302hで固定することにより形成することができる。また、それぞれの拡散層301d及び302dは電極としても用いられる。
【0101】
図18(A)にカソード側セパレータ302sの正面図を、図18(B)に図18(B)におけるカソード側セパレータ302sのA−A’線断面図を示す。図18(A)及び(B)に示すように、カソード側セパレータ302sは、例えば、非導電性の樹脂で形成され、厚み方向に扁平な板状本体501で構成され、その一方の表面に凹凸の一例である溝502が設けられている。カソード側セパレータ302sと膜電極組立体は、溝502が設けられている側の表面をカソード側拡散層302dに押圧するように接触し、溝502とカソード側拡散層302dとで囲まれる領域を空気の通路として形成する。カソード側セパレータ302sの表面に設けられた溝502は、板状本体501の上端と下端との間を蛇行して設けられている。また、カソード302の空気供給口に接続する導入口503とカソード302の排出口に接続する排出口504につながっているため、カソード302の空気供給口から供給された空気は、導入口503から溝502を通り、排出口504を経由してカソード302の排出口から外部に放出される。
【0102】
図19は、アノード301に用いられるアノード側セパレータ301sの構成を示す模式図である。
【0103】
図19に示すように、アノード側セパレータ301sは、その本体510が厚み方向に扁平な波板形状(凹凸の一例である)に構成され、アノード301の燃料供給口と排出口とを結ぶ方向に波の頂線515が沿うように組み込まれる。本実施形態では、隣り合う波の頂線515間の距離は概ね1〜5mm程度であり、セパレータの厚み、すなわち、波の振幅は、1〜5mm程度であることが望ましい。例えば、アノード側に溝を4本以上配置できるようにする。
【0104】
また、アノード側セパレータ301sは、接触するハウジング301hの内壁及び拡散層301d(すなわち、膜電極組立体)の表面と隣り合う波の頂線515によって囲まれた波の谷の部分に、液体燃料を通す通路511及び512を形成する。図19に示すアノード側セパレータ301sは、上面から見てその断面が正弦波形状であるため、ハウジング側通路512と膜電極組立体側通路511との面積は略同じとなっている。
【0105】
また、燃料電池本体122は、その排出口が燃料供給口よりも高位位置に設けられているため、液体燃料がアノード301の通路511及び512に流入し、当該液体燃料を用いて行なわれるアノード反応により発生した二酸化炭素は、アノード301の排出口の方向に上昇し、排出される。この二酸化炭素の上昇に伴いアノード301中の液体燃料も上記方向に移動し、アノード301の排出口から外部に排出される。アノード301中の液体燃料が上昇すると、アノード301の燃料供給口からは中間タンク325に貯留されている液体燃料がアノード301内に流入する。また、アノード301にて発生した二酸化炭素を効率良く排出することが可能となる。
【0106】
なお、拡散層は、上記カーボンペーパーが用いられる場合に代えて、カーボンクロスが用いられるような場合であってもよい。電解質膜303としては、例えばDupont社のナフィオン(商品名称)を3枚重ねて使用することにより、クロスオーバーを低減することができる。また、電解質膜303として、例えば、サブミクロンオーダーの細孔を有する多孔質膜に、電解質ポリマーを充填した細孔フィリング電解質膜やセラミックス多孔体に電解質ポリマーを充填したものを用いても良い。
【0107】
このような構成の燃料電池システム121おいては、燃料タンク315から中間タンク325に供給された燃料が、燃料供給口301bを通じてアノード301内に供給される。アノード301内においては、当該液体燃料が、親水性を有する拡散層301dの毛細管現象によって吸い上げられて拡散されながら、上記膜電極組立体の電解質膜303の表面に供給され、アノード反応が行なわれる。一方、カソード302においては、カソード反応により電解質膜303の表面にて生成された水が、拡散層302dにより排出される。拡散層302dは疎水性を有しているため、良好な排水性でもって、水をカソード302の外部に排出される。また、拡散層302dの疎水性と空気ポンプ313の加圧によって、アノード301側から電解質膜303を通して液体燃料が浸透してくるクロスオーバーを低減する効果もある。
【0108】
また、上記第1実施形態から上記第6実施形態までのいずれかの燃料電池システムを燃料電池パック401として用いた携帯電子機器の一例であるノート型パーソナルコンピュータの模式斜視図を図17(A)及び(B)に示す。図17に示すように、燃料電池システムの小型化を図ることにより、このようにノート型パーソナルコンピュータの電源として適用することができる。
【0109】
なお、上記夫々の実施形態においては、拡散層としてカーボンペーパーを用いた例について説明したが、他にカーボンクロスや発泡金属材料を用いてもよい。
【0110】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0111】
【発明の効果】
本発明の上記第1態様によれば、アノードに供給された液体燃料が、親水性を有するアノード側の拡散層を通して拡散され、すばやく電解質膜に供給することができる。例えば、供給される液体燃料が、上記拡散層の一部分にのみ供給されるような場合であっても、上記拡散層の親水性による毛細管現象あるいは重力の作用とにより、上記液体燃料を拡散させながら、上記電解質膜の表面全体に均一かつ効率的な供給を行なうことができる。
【0112】
また、カソードでは、発電で生成された生成物、例えば水を、疎水性を有するカソード側の拡散層により排出することができる。また、当該水の排出は、上記拡散層が疎水性を有しているため、効率よく上記カソードの外部へ排出することができる。
【0113】
また、上記拡散層の疎水性と空気供給装置による上記カソード内の加圧によって、上記アノード側から液体燃料が上記電解質膜を浸透してくるクロスオーバーを低減する効果もある。
【0114】
従って、燃料電池本体において、効率的な液体燃料の供給と、効率的な生成物の排出を行なうことができ、効率的な発電を行なうことができる燃料電池システムを提供することができる。また、このような効率的な発電を可能としながら、燃料電池システムの構成を複雑化することもなく、燃料電池システムのコンパクト化を実現することもできる。
【0115】
本発明の上記第2態様又は上記第3態様によれば、上記第1態様による効果にさらに加えて、燃料電池システムにおいて、発電が行なわれることによりカソードにて生成物が生成されることとなるが、このような生成物を、燃料容器の生成物収容質に回収することができるため、当該生成物をそのまま排出することがない。特に、このような生成物は、例えば、水等の液体であることが多いが、このような場合にあっては、上記水等の排水を伴うような燃料電池システムを採用することができないという特徴を有する携帯電子機器用の燃料電池システムとして、本態様の燃料電池システムを適用することができる。
【0116】
また、このような生成物の回収は、空気供給装置による上記カソードへの空気の供給に伴う当該カソード内の加圧によって、生成された上記生成物が生成物回収通路を通じて上記生成物回収室に送り込まれることにより行なわれるため、このような生成物の回収のための専用の動力設備(例えば、生成物回収ポンプ等)を設ける必要がない。従って、燃料電池システムにおける補機系の構成を簡素化することができる。
【0117】
さらに、このように回収される生成物のために専用の回収容器等を設けなくても、発電に伴って収容されている液体燃料が減少する上記燃料容器を、可動仕切り部で区分することにより、当該減少した空間を当該生成物の回収先として使用することができる。従って、さらに、補機系の構成を簡素化することができる。
【0118】
また、発電に伴って、上記アノードでは、液体燃料が消費されることとなるが、当該消費された液体燃料の補給を、上記生成物の回収による上記生成物回収室の加圧により、上記可動仕切り部を燃料収容室側に移動させることにより行なうことができるため、当該液体燃料の補給のための専用の燃料供給設備(例えば、燃料ポンプ等)を設ける必要を無くすことができる。従って、補機系の構成をさらに簡素化することができる。
【0119】
このように補機系の構成を簡素化することで、燃料電池システムを小型化することができるとともに、当該補機系にて自己消費される電力量を低減することもできる。従って、小型化され、効率的な発電を行なうことができる携帯電子機器用の電源に適した燃料電池システムを提供することができる。
【0120】
また、燃料電池システムにおいて、上記発電に伴って生成される上記生成物の回収と、上記発電に伴って消費される上記液体燃料の補給とを、上記空気供給装置による上記カソードへの空気の供給でもって、同時的に行なうことができ、効率的な上記液体燃料の補給と、上記生成物の回収とを実現することができる燃料電池システムを提供することができる。
【0121】
また、上記アノードにおいて発電にて消費された液体燃料の補給は、上記液体燃料電池本体にて所定の電力量の発電を継続して実施可能とするように行なわれる、例えば、当該発電に消費された液体燃料と同量の上記液体燃料が、上記アノードに当該発電の実施と同時的に供給されることにより、安定した電力の供給(発電)を行なうことができる燃料電池システムを提供することができる。
【0122】
本発明の上記第4態様によれば、上記空気供給装置は、上記生成物回収通路及び上記生成物収容室を介して、上記可動仕切り部を上記燃料収容室側に移動させ、上記燃料収容室より上記燃料供給通路を介して上記液体燃料を上記アノードに供給可能とする圧力でもって、上記カソード内に上記空気を供給する空気供給ポンプである、すなわち、このような圧力をその吐出圧力として上記空気の供給を行なう空気供給ポンプであることにより、上記生成物の回収と、上記液体燃料の補給との同時的な実施を可能とすることができる。
【0123】
本発明の上記第5態様によれば、上記カソードより生成物回収通路内に、生成物だけでなく空気等も混合されて混合物として送り出されることとなるが、上記生成物回収通路の途中には、気液分離装置が設けられているため、当該混合物(あるいは生成物自体)を気体と液体とに分離して、液体の状態で上記生成物を上記生成物回収室に回収させることができる。従って、その収容容積に限りがある上記燃料容器を用いて、効率的な生成物の回収を行なうことができる。従って、補機系の構成をさらに小さなものとすることができ、携帯電子機器用の電源に適した燃料電池システムを提供することができる。
【0124】
本発明の上記第6態様によれば、上記気液分離装置に、当該気液分離装置内を所定の圧力に保つ圧力調整弁が備えられていることにより、上記生成物の継続した回収に伴って、その圧力が高まり過ぎることを防止することができる。また、それとともに、上記液体燃料の補給と上記生成物の回収とを同時的に行なうことができるような圧力を、上記所定の圧力として保つことができる。
【0125】
本発明の上記第7態様によれば、上記燃料容器が、上記燃料収容室に収容されている上記液体燃料の収容量を検出可能な燃料収容量検出装置を備えていることにより、発電により消費された液体燃料の残量を確実に検出することができ、上記液体燃料の補充時期等をユーザーに知らせることができる。
【0126】
本発明の上記第8態様によれば、上記燃料収容量検出装置として、上記可動仕切り部の移動位置を検出可能な移動位置検出装置を用いることにより、上記液体燃料の残量及び上記生成物の回収量を確実に認識することができる。
【0127】
本発明の上記第9態様によれば、上記燃料収容量検出装置として、視認窓を用いることにより、発電された電力の自己消費量を低減することができる。
【0128】
本発明の上記第10態様によれば、上記燃料容器が、上記燃料収容室に上記液体燃料を充填する充填部と、上記生成物収容室より上記生成物を回収する回収部とを備え、上記燃料容器外から上記充填部を通して上記燃料収容室に、上記液体燃料を充填しながら、上記燃料収容室を加圧して上記可動仕切り部を上記生成物収容室側に移動させ、上記回収部を通して上記生成物収容室から上記燃料容器外に、上記生成物を回収させることにより、上記充填と上記回収とを同時的にかつ効率的に実現することができる。
【0129】
本発明の上記第11態様によれば、上記アノードは、上記供給される液体燃料を、毛細管減少あるいは重力の作用とにより、上記記電解質膜の表面に拡散させて供給する拡散層を備えることにより、上記アノードに供給される液体燃料を、上記拡散層により上記電解質膜に効率的に供給することができ、効率的な発電を行なうことができる。
【0130】
本発明の上記第12態様によれば、上記燃料電池本体が、上記アノードの少なくとも一部をその内部に配置し、かつ、上記燃料供給通路により供給される上記液体燃料を、当該アノードに供給可能に収容する中間容器をさらに備えるような場合であっても、上記夫々の態様による効果を得ることができる燃料電池システムを提供することができる。
【0131】
本発明の上記第13態様によれば、上記液体燃料が、上記発電により上記アノードにて消費される上記液体燃料の液量と、当該発電により上記カソードにて生成される上記生成物の液化された状態の液量とが、略同量となるような濃度を有するメタノール水溶液であることにより、上記生成物を回収することで、上記可動仕切り部を移動させて、当該移動量に相応する量の上記液体燃料を上記アノードに供給することができる。従って、上記生成物の回収と上記液体燃料の補給との同時的な実施を可能としながら、継続的な発電を行なうことができる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態にかかる燃料電池システムの模式構成図である。
【図2】 図1の燃料電池システムが備える気液分離器の構成を示す模式図である。
【図3】 本発明の第2実施形態にかかる燃料電池システムが備える燃料タンクの構成を示す模式図である。
【図4】 本発明の第3実施形態にかかる燃料電池システムが収容された燃料電池パッケージの外観斜視図である。
【図5】 本発明の第4実施形態にかかる燃料電池システムが備える燃料タンクの構成を示す模式図である。
【図6】 本発明の第5実施形態にかかる燃料電池システムが備える燃料タンクの構成を示す模式図である。
【図7】 図6の燃料タンクが、燃料充填器に接続された状態を示す模式図である。
【図8】 燃料タンクと燃料充填器の接続に用いられるソケット部の断面図である。
【図9】 燃料タンクと燃料充填器の接続に用いられるプラグ部の断面図である。
【図10】 ソケット部とプラグ部との接続状態を示す断面図である。
【図11】 本発明の第6実施形態にかかる燃料電池システムの構成を示す模式構成図である。
【図12】 図11の燃料電池システムが備える燃料電池本体の模式構造図である。
【図13】 上記第5実施形態の燃料タンクの模式図である。
【図14】 上記第5実施形態の燃料タンクの模式図である。
【図15】 (A)は上記第1実施形態の燃料タンクの可動仕切り板の模式構造図であり、(B)は(A)における可動仕切り板の部分拡大図である。
【図16】 (A)は上記第1実施形態の燃料タンクの可動仕切り板の模式構造図であり、(B)は(A)におけるA−A’線断面図である。
【図17】 燃料電池パックを搭載したノート型パーソナルコンピュータの斜視図であり、(A)は画面が開いた状態であり、(B)は画面が閉じた状態である。
【図18】 上記第6実施形態におけるカソード側セパレータの模式図であり、(A)はセパレータの正面図であり、(B)は(A)におけるA−A’線断面図(B)である。
【図19】 上記第6実施形態におけるアノード側セパレータの外観図である。
【符号の説明】
1…アノード、1a…燃料供給口、2…カソード、2a…空気供給口、2b…排出口、3…電解質膜、4…気液分離器、4a…気液分離室、6…水回収室、7…可動仕切り板、8…燃料室、9…水、10…液体燃料、11…調整弁、12…排気弁、13…空気ポンプ、14…圧力調整弁、15…燃料タンク、16…燃料供給管路、17…空気供給管路、18…水回収管路、19…導入管、20…水排出口、26…レベルセンサ、27…被検出部、30…燃料電池パッケージ、36…位置センサ、37…被検出部、41…水回収用接続器、42…燃料充填用接続器、101…燃料電池システム、102…燃料電池本体、103…制御装置。
Claims (11)
- アノード(1、301)と、カソード(2、302)と、上記アノードと上記カソードとの間に配置された電解質膜(3、303)と、上記電解質膜の上記アノード側の表面及び上記カソード側の表面にそれぞれ配置された拡散層(1c、2c、301d、302d)とを有する燃料電池本体(102、122)と、
液体燃料を上記アノードに供給可能に収容する燃料容器(15、25、35、45、315)と、
上記燃料容器内の空間を、上記液体燃料を収容する燃料収容室(8、308)と、上記燃料電池本体における発電によって上記カソードにて生成される生成物を回収して収容する生成物収容室(6、306)とに区分し、かつ、当該区分の位置が移動可能に上記燃料容器に備えられた、剛性を有する可動仕切り板(7、307)と、
上記燃料収容室に収容されている上記液体燃料を上記アノードに供給可能に、上記燃料収容室と上記アノードとを連通する燃料供給通路(16)と、
上記生成物を上記カソードから上記生成物収容室に回収可能に、上記カソードと上記生成物収容室とを連通する生成物回収通路(18)と、
上記カソードに空気を供給する空気供給装置(13、313)とを備え、
上記アノード側に配置された上記拡散層(1c、301d)が親水性を有し、かつ上記カソード側に配置された上記拡散層(2c、302d)が疎水性を有し、
上記空気供給装置は、上記カソードにて生成される生成物を上記生成物回収通路を通じて上記生成物収容室に回収させるとともに、上記生成物収容室を加圧して、上記可動仕切り板を上記燃料収容室側に移動させて、上記燃料収容室から上記燃料供給通路を通じて上記アノードに上記液体燃料を供給するように、上記カソードに空気を供給する、ことを特徴とする燃料電池システム。 - 上記空気供給装置は、空気供給ポンプ(13、313)である請求項1に記載の燃料電池システム。
- 上記カソードで生成された上記生成物を、気体と液体に分離可能な気液分離装置(4、304)をさらに備え、
上記気液分離装置により分離された上記液体を、上記生成物収容室に回収させる請求項1または2に記載の燃料電池システム。 - 上記気液分離装置は、上記分離された気体を排気することにより、当該気液分離装置内を所定の圧力に保つ圧力調整弁(14、314)を備える請求項3に記載の燃料電池システム。
- 上記燃料容器は、上記燃料収容室に収容されている上記液体燃料の収容量を検出可能な燃料収容量検出装置(26及び27、36及び37、83)を備える請求項1から4のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
- 上記燃料収容量検出装置は、上記燃料容器における上記可動仕切り部の移動位置を検出可能な移動位置検出装置(26及び27、36及び37)である請求項5に記載の燃料電池システム。
- 上記燃料収容量検出装置は、上記可動仕切り部の移動位置又は上記液体燃料の収容量を、上記燃料容器外部から視認可能に上記燃料容器に備えられた視認窓(83)である請求項5に記載の燃料電池システム。
- 上記燃料容器は、
上記燃料収容室に上記液体燃料を充填する充填部(42)と、
上記生成物収容室より上記生成物を回収する回収部(41)とを備え、
上記燃料容器の外部から上記充填部を通して上記燃料収容室に、上記液体燃料を充填しながら、上記燃料収容室を加圧して上記可動仕切り部を上記生成物収容室側に移動させ、上記回収部を通して上記生成物収容室から上記燃料容器の外部に、上記生成物を回収させる請求項1から7のいずれか1つに記載の燃料電池システム。 - 上記アノード側に配置された上記拡散層は、当該アノードから供給される液体燃料を、毛細管現象あるいは重力の作用により、上記電解質膜の表面に拡散させて供給する請求項1から8のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
- アノード(301)と、カソード(302)と、上記アノードと上記カソードとの間に配置された電解質膜(303)と、上記電解質膜の上記アノード側の表面及び上記カソード側の表面にそれぞれ配置された拡散層(301d、302d)とを有する燃料電池本体(122)と、
液体燃料を上記アノードに供給可能に収容する燃料容器(315)と、
上記燃料容器内の空間を、上記液体燃料を収容する燃料収容室(308)と、上記燃料電池本体における発電によって上記カソードにて生成される生成物を回収して収容する生成物収容室(306)とに区分し、かつ、当該区分の位置が移動可能に上記燃料容器に備えられた、剛性を有する可動仕切り板(307)と、
上記アノードの少なくとも一部をその内部に配置し、かつ、上記燃料容器より供給される上記液体燃料を、当該アノードに供給可能に収容する中間容器(325)と、
上記燃料収容室に収容されている上記液体燃料を上記中間容器に供給可能に、上記燃料収容室と上記中間容器とを連通する燃料供給通路(16)と、
上記生成物を上記カソードから上記生成物収容室に回収可能に、上記カソードと上記生成物収容室とを連通する生成物回収通路(18)と、
上記カソードに空気を供給する空気供給装置(313)とを備え、
上記アノード側に配置された上記拡散層(301d)が親水性を有し、かつ上記カソード側に配置された上記拡散層(302d)が疎水性を有し、
上記空気供給装置は、上記カソードにて生成される生成物を上記生成物回収通路を通じて上記生成物収容室に回収させるとともに、上記生成物収容室を加圧して、上記可動仕切り板を上記燃料収容室側に移動させて、上記燃料収容室から上記燃料供給通路を通じて上記中間容器に上記液体燃料を供給するように、上記カソードに空気を供給する、こと特徴とする燃料電池システム。 - 上記液体燃料は、上記発電により上記アノードにて消費される上記液体燃料の液量と、当該発電により上記カソードにて生成される上記生成物の液化された状態の液量とが、略同量となるような濃度を有するメタノール水溶液である請求項1から10のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
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