JP4389796B2 - 波長可変素子 - Google Patents

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Description

この発明は、波長可変素子に関するものである。
波長可変素子である波長可変ダイオードレーザを実現する場合に、波長可変機構を半導体レーザチップの外部に設けるか、或いは、半導体レーザチップに集積化するかの2つの形態がある。半導体レーザチップに集積化する形態の素子としては、電気的に波長調整が行える構成のものが多く提案されている。これは、電気的に波長調整を行う素子が可動部を持たないために、動作の信頼性が高いことが主な要因である。電気的に波長調整を行うためには、電気光学効果による屈折率変化を利用する。
しかしながら、電気光学効果による屈折率変化の大きさは、高々1%程度であるため、この屈折率変化を直接利用した波長可変素子では、やはり1%程度の範囲でしか、波長調整が行えない。
1%以上の波長調整を行うための素子として、出力側のフィルタに、サンプルグレーティングあるいは超周期グレーティングを利用した素子がある。しかし、このような素子では、これらのサンプルグレーティングなどでの損失のために、出力光強度が小さくなってしまう。
この問題を解決する一つの方法として、出力側のサンプルグレーティングなどの代わりに、広帯域の波長可変グレーティングを用いる方法がある(例えば、非特許文献1又は2参照)。しかし、波長可変グレーティングを用いる素子は、構造が複雑になるという実用上不利な点がある。
上述の点から、出力光強度を増すために、Y分岐構造を用いることにより、出力側のグレーティングを無くする素子が提案されている(例えば、非特許文献3又は4参照)。
岡山秀彰、川原正人著「可変波長素子」発明協会公開技報93−32356、1993年 D.J.Robbins他著「A high power、broadband tuneable laser module based on a DS−DBR laser with integrated SOA」Optical Fiber Communication(OFC)2004予稿集、TuE3 岡山秀彰著「波長可変素子」発明協会公開技報95−17256、1995年 Jan−Olof Wesstrom他著「State−of−the−art performance of widely tunable modulated grating Y−branch lasers」OFC2004予稿集、TuE2
しかしながら、上述の従来例のY分岐構造を用いた素子は、出力側にフィルタとしてのグレーティングを設けない構成であるものの、Y分岐された枝のそれぞれがサンプルグレーティングを備えているため、2つのサンプルグレーティングの制御を行う必要がある。そのため、波長可変の制御が複雑となる欠点を有している。
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、出力側にグレーティングを備えず、かつ、制御が容易な波長可変素子を提供することにある。
上述した目的を達成するために、この発明の波長可変素子は、導波路内に、出力部、活性部、位相制御部、第1グレーティング部及び第2グレーティング部を、順に備えている。
第1グレーティング部は、第1グレーティング部に対して外部からのバイアス電圧が非印加であるオフ状態において、それぞれ異なる非透過波長域を有する、波長可変のサブグレーティングを、複数備えている。第2グレーティング部は、複数の反射波長ピークを有する、波長可変グレーティングである。
この発明の波長可変素子によれば、導波路の出力側にグレーティングを設けない構造なので、高出力化が図られる。また、出力する波長を、第1グレーティング部が備える各サブグレーティングに印加する電気信号のオン状態とオフ状態の切換という簡単な制御で選択することが可能となり、その結果、制御が容易となる。
さらに、この波長可変素子によれば、第2グレーティング部の波長可変範囲をΔλとすると、第1グレーティング部が備えるサブグレーティングの個数Nに応じて、NΔλで与えられる波長範囲が、波長可変範囲になる。従って、容易に広帯域の波長可変素子が得られる。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の構成および配置関係についてはこの発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の組成(材質)および数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されない。
(第1実施形態)
図1(A)、(B)、(C)及び(D)を参照して、第1実施形態の波長可変素子について説明する。
図1(A)は、第1実施形態の波長可変素子の構成例を説明するための概略平面図である。
波長可変素子を構成する基板10に、直線状の導波路20が形成されている。例えば、基板10の材質として、InPを用いて、導波路20の材質として、InGaAsPを用いる。この場合の波長可変素子は、1.55μmの通信波長域で使用可能になる。
導波路20内には、出力部30の側から、その伝播軸(図中、符号25を付した点線)が示す伝播方向に沿って、活性部40、位相制御部70、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60が、この順に、備えられている。活性部40、位相制御部70、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60は、それぞれ、組成比が異なっている。活性部40は、バンドギャップ波長を発振波長λeとして発光する。また、位相制御部70、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60は、各部での光吸収を小さくするために、バンドギャップ波長を発振波長λeよりも短波長側にずらして形成してある。
基板10に、活性部40、位相制御部70、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60を備える導波路20を形成する方法は、任意好適な周知の方法を用いることができ、例えば、以下の手順で形成される。
図1(B)は、図1(A)に示した波長可変素子の伝播軸25に沿った面で取った概略断面図である。また、図1(C)は、第1実施形態の波長可変素子の概略側面図である。先ず、InPの基板10上に、下クラッド層80、導波路20をエピタキシャル成長した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、導波路20にグレーティングを形成する。この結果、グレーティングは通常、導波路20の上に凹凸構造として形成されることになる。次に、グレーティングを形成した導波路20上に、上クラッド層85、キャップ層90をエピタキシャル成長して多層構造体を形成する。その後、ドライエッチング又はウェットエッチングでリッジ構造を形成した後、側面を屈折率の低い材料で埋め込む。次に、電極として、下部電極100と、上部電極105a〜105d、110及び120を形成する。なお、図1(A)の概略平面図においては、上クラッド層、キャップ層及び上部電極の図示を省略している。
第1グレーティング部50は、それぞれ波長可変のサブグレーティングを複数、ここでは、第1〜4サブグレーティング55a〜55dの4つを備えている。なお、サブグレーティングの個数は設計に応じて選択可能であり、何らこの例に限定されるものではない。第1〜4サブグレーティング55a〜55dとして、グレーティング面を導波路20の伝播軸22に対して斜めに形成する。ここで、グレーティング面とは、例えば、サブグレーティングが、第2ドメインの等価屈折率が、第1ドメインの等価屈折率と異なる値になるように形成された、周期的ドメイン反転構造の場合は、第1ドメインと第2ドメインとの境界面である。
第1〜4サブグレーティング55a〜55dについて、第1サブグレーティング55aを例にとって説明する。
図1(D)は、第1サブグレーティング55aを説明するための概略構成図である。
第1サブグレーティング55aのグレーティング周期をdとし、及び、導波路20の伝播軸25に対して傾けて形成されているグレーティング面59の傾きの大きさを示す角度をΘbとして、これら、d及びΘbを、ブラッグ条件の2dcosΘb=mλaを満たすように設定すると、波長λ0の光がグレーティング面59で反射する。ここで、mは整数である。また、導波路20の伝播軸25の、第1サブグレーティング55aのグレーティング面59に対する角度Θbが0のとき、グレーティング面59は、導波路20の伝播軸25に対して直角になるものとする。
導波路20を伝播する波長λaの光は、グレーティング面59での反射により導波路外に導き出され、非透過になる。なお、グレーティング面59の角度Θbは、グレーティング面59で反射された光が、導波路20とクラッドの境界面で反射されて、再び導波路20内に戻ってこないために充分な角度に、設定する必要がある。具体的には、cosΘb=1−(1−b)Δn/ncoreを満たす角度以上にするのが良い。ここで、bは規格化伝播定数、Δnは、コアとクラッドの屈折率差、及び、ncoreはコアの屈折率である。規格化伝播定数bは、導波路伝播光の等価屈折率neff、クラッドの屈折率ncl、コアの屈折率ncoreを用いて、b=(neff 2−ncl 2)/(ncore 2−ncl 2)で与えられる。例えば、規格化伝播定数bが0.6、コアとクラッドの屈折率差Δnが0.1、及び、コアの屈折率ncoreが3.5のとき、伝播軸25に対するグレーティング面59の角度Θbは9度以上が目安となる。なお、ここで説明した構成例では、コアの屈折率ncoreは、導波路の材質であるInGaAsPの屈折率であり、クラッドの屈折率Nclは、クラッドの材質であるInPの屈折率である。なお、高次の伝播モードでレーザ発振が抑制できる状態であれば、導波路外に放射できなくても良い。
第1〜4サブグレーティング55a〜55dは、それぞれ上部電極105a〜105dを備えていて、上部電極105a〜105dと下部電極100との間に電圧を印加することによって、第1〜4サブグレーティング55a〜55dに対して外部からバイアス電圧を印加することができる。第1〜4サブグレーティング55a〜55dに、順バイアス印加することによって電流が注入され、その結果、電荷が増減し、この電荷の増減に基づいて屈折率変化が生じる。また、第1〜4サブグレーティング55a〜55dでは、逆バイアス印加によって電界が発生し、その結果、電気光学効果で屈折率変化が生じる。ここで、第1〜4サブグレーティング55a〜55dに対して、順又は逆バイアスを印加した状態をオン状態と称し、また、順又は逆バイアスが非印加である状態をオフ状態と称する。第1〜4サブグレーティング55a〜55dは、オン状態及びオフ状態の切換によって、屈折率変化が生じる。
第1サブグレーティング55aは、オン状態及びオフ状態の切換によって屈折率変化が生じるので、ブラッグ条件を満たす波長が変化する。オフ状態では波長λaの光が非透過であったのに対し、オン状態では波長λaと異なる波長λbの光が非透過になる。
第1〜4サブグレーティング55a〜55dは、オフ状態において、それぞれ異なる非透過波長域を有している、すなわち、それぞれ異なる波長域に対してブラッグ条件を満たすように設定されている。第1〜4サブグレーティング55a〜55dの非透過波長域を異なる波長域に設定するためには、グレーティング周期d、及びグレーティング面と導波路の伝播軸との角度Θbの組み合わせを異なるものにすればよい。ここでは、第1〜4サブグレーティング55a〜55dの4つのサブグレーティングは、隣接する波長域を非透過波長域に設定されている。例えば、第1サブグレーティング55aは、波長λ1以上、λ2未満の波長域が非透過波長域である。同様に、第2サブグレーティング55bは、波長λ2以上、λ3未満の波長域が非透過波長域であり、第3サブグレーティング55cは、波長λ3以上、λ4未満の波長域が非透過波長域であり、及び、第4サブグレーティング55dは、波長λ4以上、λ5未満の波長域が非透過波長域である。このように第1グレーティング部50は複数のサブグレーティング55a〜55dにより、波長λ1以上、λ5未満の広い波長域の光を反射させ、すなわち、非透過にしている。
第2グレーティング部60は、複数の反射波長ピークを有する波長可変グレーティングである。第2グレーティング部60は、サンプルグレーティングあるいは超周期グレーティングで構成される。ここで、サンプルグレーティングとは、均一の短周期Λで形成されたグレーティングからなる1単位のグレーティングを、周期X(X>Λ)の長周期で繰り返し備えた構成である。また、超周期グレーティングは、グレーティングの周期を例えばΛ1〜Λnまで長周期的に変調させた構造である。
第2グレーティング部60がサンプルグレーティングあるいは超周期グレーティング構造をとることによって、第2グレーティング部60は複数の反射ピークを備えることになる。この複数の反射ピークは、サンプルグレーティングあるいは超周期グレーティングの長周期に対応する波長間隔で隔てられた位置に生じる。
第2グレーティング部60は、サブグレーティング55a〜55dと同様に、上部電極110を備えていて、上部電極110と下部電極100との間に電圧を印加することによって、第2グレーティング部60に対して外部からバイアス電圧を印加することができる。第2グレーティング部60に、順バイアス印加することによって電流が注入され、その結果、電荷が増減し、この電荷の増減に基づいて屈折率変化が生じる。また、第2グレーティング部60では、逆バイアス印加によって電界が発生し、その結果、電気光学効果で屈折率変化が生じる。第2グレーティング部60は、アナログ的に電荷の注入量又は電界の大きさを調整することによって、反射波長を制御する。
この波長可変素子では、第2グレーティング部60と出力部30の端面での反射により、共振器が形成される。ここで、共振器の共振波長は、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60で設定される反射波長により、決められる。なお、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60での波長を設定する方法については、後述する。
位相制御部70は、第1及び第2グレーティング部50及び60と同様に上部電極120を備えていて、電流注入あるいは電気光学効果によって、屈折率変化を生じさせて、位相を制御する。活性部40で誘導放出された光は、第2グレーティング部60で反射された後、出力部30の端面で反射されて再び活性部40に戻ってくる。位相制御部70は、この戻ってきた光の位相が、共振波長で合うように調整する。
(第1実施形態の動作)
図2(A)〜(E)は、第1実施形態の波長可変素子の動作を説明するための図である。図2(A)及び(B)は、横軸に導波路20を伝播する波長をとり、縦軸に第1グレーティング部50を透過する光強度(光パワー)の割合Tを、任意単位で示している。
図2(A)は、第1グレーティング部50の各サブグレーティング部55a〜55dが、何れもオフ状態である場合の光強度の割合を示している。波長λ1以上、λ2未満の光が、第1サブグレーティング55aで反射されて非透過になる。また、波長λ2以上、λ3未満の光が、第2サブグレーティング55bで反射されて非透過になり、波長λ3以上、λ4未満の光が、第3サブグレーティング55cで反射されて非透過になり、波長λ4以上、λ5未満の光が、第4サブグレーティング55dで反射されて非透過になる。
従って、第1グレーティング部50に入った光は、各サブグレーティング55a〜55dにおいて、対応する波長の光が導波路20外に導かれ、波長λ1以上、λ5未満の光が非透過になる。
ここで、第1グレーティング部50が備えるサブグレーティングの1つをオン状態とする。図2(B)は、第2サブグレーティング55bをオン状態として、第2サブグレーティング55bでの、反射波長域を波長λ3以上、λ4未満、すなわち、第3サブグレーティング55cの反射波長域に一致するように変化させた例を示している。第2サブグレーティング55bをオン状態にすることにより、波長λ3以上、λ4未満の波長域の光を反射させるようにすると、第2サブグレーティング55bがオフ状態であるときの非透過波長域に属する、波長λ2以上、λ3未満の波長域の光は、第2サブグレーティング55bを通過できるようになり、すなわち、第1グレーティング部50を通過できる。
図2(C)は、第2グレーティング部60の反射量を示している。図2(C)の横軸は、波長を示し、縦軸は、第2グレーティング部60での反射量Rを任意単位で示している。第2グレーティング部60は、サンプルグレーティング又は超周期グレーティングで構成されるので、周期的な複数の反射波長のピークを有している。
図2(D)及び(E)は、第1グレーティング部50と第2グレーティング部60を組み合わせた反射量を示している。図2(D)及び(E)の横軸は、波長を示し、縦軸は、第1及び第2グレーティング部50及び60を組み合わせた反射量を示している。
第2グレーティング部60は、図2(C)に示したように、複数の反射波長のピークを有しているが、第1グレーティング部50の透過波長域内の反射波長のみが、第1グレーティング部50と第2グレーティング部60の組み合わせとして高い反射率を得ることになる。
図2(D)は、第1グレーティング部50の全てのサブグレーティング55a〜55dがオフ状態の場合を示している。この場合、図2(A)及び図2(C)に示すように、第2グレーティング部60の反射波長の各ピークが、第1グレーティング部50の透過波長域内にないので、第1グレーティング部50及び第2グレーティング部60の組み合わせとしての反射率は全体として低くなる。
図2(E)は、第2サブグレーティング55bに電界を印加して、第2サブグレーティング55bでの反射波長域を、波長λ3以上、λ4未満の波長域、すなわち、オフ状態での第3サブグレーティング55cの反射波長域に一致するように変化させた例を示している。この場合、図2(B)を参照して説明したように、オフ状態での第2サブグレーティング55bの非透過波長域が、第1グレーティング部50の透過波長域になる。従って、第2グレーティング部60の反射波長のうち、第1グレーティング部50の透過波長域である、波長λ2以上、λ3未満の波長域に属するものは、高い反射率が得られる。
ここで、第2グレーティング部60の波長可変範囲としては、第1グレーティング部50の各サブグレーティング55a〜55dの反射波長域程度の波長範囲でよい。また、第1グレーティング部50の、各サブグレーティング55a〜55dの波長可変範囲は、非透過波長域が、隣のサブグレーティングの反射波長域に移る程度で良いため、第2グレーティング部60と同じ程度の可変域があれば良い。
第1実施形態の波長可変素子によれば、出力ポート側にグレーティングを設けない構造なので、高出力化が図られる。また、透過波長を、第2グレーティング部60のアナログ的な調整と、第1グレーティング部50の各サブグレーティングに印加する電気信号のオン状態とオフ状態の切換という簡単な制御で選択することが可能となる。その結果、制御が容易となる。
さらに、この波長可変素子によれば、第2グレーティング部60の波長可変範囲をΔλとすると、第1グレーティング部50が備えるサブグレーティングの個数Nに応じて、NΔλで与えられる波長範囲が、使用可能になる。従って、容易に広帯域の波長可変素子が得られる。
ここでは、第1グレーティング部50が備えるサブグレーティングとして、伝播軸に対してグレーティング面を傾けたグレーティングを用いたが、グレーティングの周期が、導波路外への放射光と位相整合する周期であれば、伝播軸に対してグレーティング面を傾けない構成としても良い。この場合のグレーティングの周期Λは、neff+nclcosΘr=neffλ/Λの関係を満足する。ここで、Θrは、導波路外を伝播する導波路外伝播光の伝播方向である。
(第2実施形態)
図3を参照して、第2実施形態の波長可変素子について説明する。第2実施形態の波長可変素子は、第1グレーティング部52の部分の導波路22bを他の部分の導波路22a及び22cから傾けて形成している。第1グレーティング部52が備える複数のサブグレーティング、ここでは、第1〜3サブグレーティング57a〜57cのグレーティング面は、第2グレーティング部60のグレーティング面と平行に形成される。第1グレーティング部52では、サブグレーティング57a〜57cの各部分毎に、導波路22bの向きを変えて、各サブグレーティング57a〜57cでの反射波長を変えている。
導波路22の向きは、第1グレーティング部52における、導波路22bの伝播軸に対する、第1〜3サブグレーティング57a〜57cのグレーティング面の傾きの大きさを示す角度をΘbとして、この角度Θb及びグレーティングの周期dを、ブラッグ条件の2dcosΘb=mλaを満たすように設定すると、波長λaの光がグレーティング面で反射する。ここで、mは整数である。また、導波路22bの伝播軸の、第1サブグレーティング57aのグレーティング面に対する角度Θbが0のとき、グレーティング面は導波路22bの伝播軸に対して直角になるものとする。
導波路22を伝播してきた光が、第1グレーティング部52で、導波路外に導き出されて、非透過になる点は、第1実施形態と同様である。また、第1グレーティング部52が備える第1〜3サブグレーティング57a〜57cでのオン状態及びオフ状態の切換により、透過波長を選択する点も第1実施形態と同じなので、動作についての説明を省略する。
第2実施形態の波長可変素子によれば、第1グレーティング部52が備える第1〜3サブグレーティング57a〜57cのグレーティング面の方向と、第2グレーティング部60のグレーティング面の方向とが等しくなるので、グレーティングの製造が容易になる。
(第3実施形態)
図4を参照して、第3実施形態の波長可変素子について説明する。図4は、第3実施形態の波長可変素子の概略平面図である。第3実施形態の波長可変素子は、第1グレーティング部51の構造を除いて、第1実施形態の波長可変素子と同じである。従って、ここでは、第1グレーティング部51の構造について説明し、それ以外の部分の説明を省略する。
第1グレーティング部51は、複数のサブグレーティング、ここでは、第1〜4サブグレーティング56a〜56dを備えている。第1〜4サブグレーティング56a〜56dは、それぞれ導波路の伝播軸を基準に互い違いの構造を備えている。第1〜4サブグレーティング56a〜56dでは、導波路21を、伝播軸に平行な面で2つの領域に二分し、一方の領域のグレーティング面の位置を、他方の領域のグレーティング面の位置に対して、グレーティング周期の2分の1だけずらしてある。例えば、第1サブグレーティング56aは、第1領域56aa及び第2領域56abを並置して設けてあり、しかも、第1サブグレーティング56aの第1領域56aaのグレーティング面と第2領域56abのグレーティング面は、互いにグレーティング周期の2分の1だけ位置がシフトされて設けられている。
第1〜4サブグレーティング56a〜56dの周期Λは、非透過波長域の波長λに応じて、Λ=λ/[2ncl+Δn(b0+b1)]で与えられる。ここで、b0、b1は0次、及び1次の規格化伝播係数である。この周期Λのグレーティングのグレーティング面を、伝播軸を平行な面でΛ/2だけずらしてある。
0次モードと1次モードでは、光界分布が反対称であるため、グレーティング面をずらして形成することで、上述の関係を満たす波長の光が、0次の基本モードから、高次モードである1次モードへと変換される。高次モードの光は導波路内での閉じ込めが弱いため、高次モードの光は活性部40でのゲインがかせげない。従って、高次モードの光に変換された波長域の光は、透過率が低いのと等価になるので、各サブグレーティングでの非透過波長域は、サブグレーティング毎に設定された、0次モードから1次モードへの変換される波長域とすることができる。
ここでは、例えば、第1サブグレーティング56aは、波長λ1以上、λ2未満の波長域が非透過波長域である。同様に、第2サブグレーティング56bは、波長λ2以上、λ3未満の波長域が非透過波長域であり、第3サブグレーティング56cは、波長λ3以上、λ4未満の波長域が非透過波長域であり、及び、第4サブグレーティング56dは、波長λ4以上、λ5未満の波長域が非透過波長域である。このように第1グレーティング部51は複数のサブグレーティング56a〜56dにより、波長λ1以上、λ5未満の広い波長域の光の伝播モードを0次モードから1次モードへ変換、すなわち、非透過にしている。
第3実施形態の動作は、第1グレーティング部において、伝播モードを高次にすることによって、非透過に設定することを除いて、図2を参照して説明した第1実施形態と同様なので説明は省略する。
第1実施形態の波長可変素子の概略図である。 第1実施形態の波長可変素子の動作を説明するための図である。 第2実施形態の波長可変素子の概略平面図である。 第3実施形態の波長可変素子の概略平面図である。
符号の説明
10 基板
20、21、22a〜22c 導波路
25 伝播軸
30 出力部
40 活性部
50、51、52 第1グレーティング部
55a〜55d、56a〜56d、57a〜57c サブグレーティング
56aa 第1領域
56ab 第2領域
59 グレーティング面
60 第2グレーティング部
70 位相制御部
80 下クラッド層
85 上クラッド層
90 キャップ層
100 下部電極
105a〜105d、110、120 上部電極

Claims (4)

  1. 導波路内に、出力部、活性部、位相制御部、第1グレーティング部及び第2グレーティング部を、順に備える波長可変素子であって、
    前記第1グレーティング部は、該第1グレーティング部に対して外部からのバイアス電圧が非印加であるオフ状態において、それぞれ異なる非透過波長域を有する、波長可変のサブグレーティングを、複数備え、
    前記第2グレーティング部は、複数の反射波長ピークを有する、波長可変グレーティングを備えている
    ことを特徴とする波長可変素子。
  2. 前記第2グレーティング部の波長可変グレーティングが、サンプルグレーティング及び超周期グレーティングのいずれか一方として形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長可変素子。
  3. 前記サブグレーティングのグレーティング面が、導波路の伝播軸に対してブラッグ反射条件を満たす角度に傾けて形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変素子。
  4. 前記複数のサブグレーティングでは、前記導波路を、伝播軸に平行な面で2つの領域に二分し、一方の領域のグレーティング面の位置を、他方の領域のグレーティング面の位置に対して、グレーティング周期の2分の1だけずらしてある
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波長可変素子。
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