JP2008058344A - オールパス波長フィルタ及び光偏向器 - Google Patents

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Abstract

【課題】オールパス波長フィルタにおいて、空間光の取扱いを可能とし、かつ、光偏向器への応用に当たっての設計自由度を高くすること
【解決手段】基板18上に設けられた反射膜12と、反射膜上に形成され、導波モード光Bを伝播する導波路14と、導波路に光伝播方向に沿って周期的構造として設けられていて、入射光BINの特定波長成分を回折して導波モード光に変換し、かつ、導波モード光を回折して放射モード光BOUTに変換して出射する回折格子16とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、入力された光に対して波長に依存した位相遅延を与えるオールパス波長フィルタ、及び、このオールパス波長フィルタを用いた光偏向器に関する。
光波長フィルタとしては種々の形式のものが知られている。これらの光波長フィルタは、入力された光に対して波長に依存した位相遅延を与えて、この位相遅延を用いて干渉現象により特定の波長を選択する。
これらの光波長フィルタの中で、入力された光を波長によらず透過し、透過光に含まれる特定波長の光に、波長に依存した位相遅延を付与する素子が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
これらの素子は、オールパス波長フィルタとも称されている。オールパス波長フィルタは、長距離伝送された光信号の波長分散による歪みを補正するための分散補償装置として用いられる。
代表的なオールパス波長フィルタとして、一方のミラーの反射率を実質的に100%としたファブリペロ共振器(以下、「FP共振器」とも称する。)が知られている(特許文献1及び2)。また、グレーティング周期を変化させる、いわゆるチャープ構造のファイバブラッググレーティング(以下、「FBG」とも称する。)が知られている(特許文献3及び4)。
米国特許5557468号明細書 米国特許6621614号明細書 米国特許6804057号明細書 米国特許6865315号明細書
しかし、特許文献1及び2に記載されたFP共振器型のオールパス波長フィルタは、機能素子(例えば光偏向器等)への応用に際して、設計の自由度が低いという問題点があった。つまり、FP共振器型のオールパス波長フィルタでは、一対のミラー間に介在された媒質の屈折率を制御するために、ミラー面に電極を設けていた。そのため、ミラー面間隔と電極間隔とが実質的に同一に制限されていた。
また、特許文献3及び4に記載されたFBGでは、光ファイバ内を伝播する光信号しか扱えない、つまり空間光に位相遅延を付与できないという問題点があった。
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものである。したがって、この発明の第1の目的は、空間光を扱うことができ、かつ、光偏向器への応用に際しての設計自由度が高いオールパス波長フィルタを提供することにある。
また、この発明の第2の目的は、上述のオールパス波長フィルタを用いた光偏向器を提供することにある。
この発明の第1の目的の達成を図るため、この発明のオールパス波長フィルタは、反射膜と、導波路と、回折格子とを備えている。
反射膜は、基板上に設けられている。導波路は、反射膜上に形成され、導波モード光を伝播する。回折格子は、導波路に光伝播方向に沿って周期的構造として備えられていて、入射光の特定波長成分を回折して導波モード光に変換し、かつ、導波モード光を回折して放射モード光に変換して出射する。
このように構成することにより、入射光に含まれる特定波長の光の一部は、回折格子で回折されて導波路中を伝播する導波モード光へと変換される。導波路の伝播の過程で、導波モード光には位相遅延が導入される。そして、この導波モード光は、再び回折格子で回折され、所定の位相遅延を有する放射モード光として出射される(以下、放射モード光を「出射光」とも称する。)。また、入射光に含まれる特定波長以外の光は、回折格子で回折されることなく、反射膜により反射される。
この場合において、回折格子が、導波路上の、反射膜とは反対側の表面に形成されたレリーフ型回折格子であってもよい。
また、この場合において、回折格子が、反射膜と導波路との境界に形成されたレリーフ型回折格子であってもよい。
更に、この場合において、回折格子が、導波路中に形成された屈折率変調型回折格子であってもよい。
これらのように構成することにより、回折格子は、入射光を、導波路を伝播する導波モード光へと変換することができる。
この場合において、導波路が、反射膜上に光伝播方向に沿って周期的に配置された複数の導波路セグメントからなるセグメント導波路であり、セグメント導波路が回折格子を兼ねていてもよい。
このように構成することにより、セグメント導波路を、回折格子及び導波路として兼用することができる。この場合、導波路セグメントで回折されて、セグメント導波路に結合された導波モード光は、導波路セグメント間の間隔を、言わば飛び石のように跨ぎながら伝播する。
上述のオールパス波長フィルタにおいて、回折格子の回折効率は、0を超え、かつ0.3以下の範囲の値に設定されていることが好ましい。
このように構成することにより、導波モード光の導波路内での滞在時間を実用上十分な長さとすることができる。その結果、導波路から出射される放射モード光に実用上十分な大きさの位相遅延を発生させることができる。
上述のオールパス波長フィルタにおいて、導波路の屈折率を、導波路の領域内部において一様に変化させるための第1屈折率制御手段を更に備えていることが好ましい。
このように構成することにより、第1屈折率制御手段は、導波路の屈折率を変更することができる。屈折率が変更されることにより、導波モード光の導波路中での伝播距離が変化する。その結果、導波路から出射される放射モード光に導入される位相遅延の大きさを変化させることができる。
この発明の第2の目的の達成を図るため、この発明の第1の光偏向器は、1個以上の上述したオールパス波長フィルタを備えている。そして、この光偏向器において、個々の回折格子は、導波路の延在方向に沿って同一の減少率で減少する回折効率を有していることが好ましい。
このように構成することにより、導波路からの出射光に導入される位相遅延の大きさを、導波路の延在方向に沿って単調に変化させることができる。つまり、出射光の位相遅延量を、導波路の延在方向に沿った位置により変化させることができる。その結果、出射光を仰角方向に偏向することができる。
この場合において、導波路の屈折率を、導波路の領域内部において一様に変化させるための第2屈折率制御手段を備えることが好しい。
このように構成することにより、第2屈折率制御手段は、導波路の屈折率を、場所によらず一様に変化させることができる。その結果、出射光の仰角方向の偏光方向を変化させることができる。
この発明の第2の目的の達成を図るため、この発明の第2の光偏向器は、オールパス波長フィルタの並列配置を含んでいる。そして、回折効率が、並列配置における並列方向の一端側に位置するオールパス波長フィルタから、他端側に位置するオールパス波長フィルタにかけて減少している。
このように構成することにより、2個以上のオールパス波長フィルタから出射される出射光のそれぞれに導入される位相遅延量を異ならせることができる。つまり、出射光の位相遅延量を、オールパス波長フィルタごとに変化させることができる。その結果、出射光の等位相面がオールパス波長フィルタの並列方向に傾き、出射光をこの並列方向に偏向することができる。
この場合において、導波路の屈折率を、全てのオールパス波長フィルタに共通して変化させるための第3屈折率制御手段を備えることが好ましい。
このように構成することにより、第3屈折率制御手段は、導波路の屈折率を、オールパス波長フィルタによらず一様に変化させることができる。その結果、出射光の並列方向の偏光方向を変化させることができる。
この発明の第2の目的の達成を図るため、この発明の第3の光偏向器は、上述のオールパス波長フィルタを1個以上用いている。
オールパス波長フィルタが1個の場合には、導波路の屈折率が、オールパス波長フィルタの延在方向に沿って減少するように制御し、並びに、オールパス波長フィルタが2個以上の場合には、オールパス波長フィルタが互いに並列に配置されており、かつ回折格子の回折効率がオールパス波長フィルタに共通して等しく、導波路の屈折率を、オールパス波長フィルタの延在方向、及び、オールパス波長フィルタの並列方向の双方又は一方の方向に沿って減少するように制御する第4屈折率制御手段を備える。
このように構成することにより、オールパス波長フィルタを2個以上用いれば、上述した第1及び第2の光偏向器では、出射光の偏向方向が1方向(仰角方向又は並列方向のいずれか)のみに限られていたのに対し、第3の光偏向器では、出射光の偏向方向を、仰角方向及びオールパス波長フィルタの並列方向の2方向とすることができる。
この発明は上述のように構成されている。したがって、この発明によれば、空間光を扱うことができ、かつ、光偏向器への応用に際しての設計自由度が高いオールパス波長フィルタが得られる。
また、このオールパス波長フィルタを用いた光偏向器が得られる。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示したものにすぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。したがって、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
(実施の形態1:オールパス波長フィルタ)
図1〜図5を参照して、実施の形態1のオールパス波長フィルタについて説明する。図1は、オールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。
オールパス波長フィルタ10は、反射膜12と、導波路14と、回折格子16とを備えている。なお、以降、オールパス波長フィルタ10を単に「フィルタ10」と称することもある。
反射膜12は、基板18の第1主面18aに形成されている。反射膜12の材料は、好ましくは、例えば誘電体多層膜とする。反射膜12の反射率rは、実質的に100%とする。
基板18は、平面形状が矩形状の平行平板とする。基板18の材料は、好ましくは、例えばSi基板とする。
導波路14の屈折率をnとする。また、導波路14の厚みをdとする。
回折格子16は、導波路14の上面14a側に形成されたレリーフ型回折格子である。ここで、回折格子16の格子間隔をLとする。また、回折格子16の回折効率sは、回折格子16の領域内部において場所によらず一定とする。なお、回折効率sとは、入射光BINの特定波長λの成分BIN(λ)の強度に対する、導波モード光Bの強度の比率(B/BIN(λ))であり、0≦s≦1の範囲の値を取る実数である。なお、入射光BIN及び導波モード光Bについては後述する。
次に、主に図1を参照して、フィルタ10の動作について説明する。
回折格子16の格子ベクトルに平行な成分を有し、複数の波長を含む入射光BINが、フィルタ10に入射角Θで入射する場合を考える。なお、ここで「格子ベクトル」とは、回折格子の格子間隔Lを規定する方向に向かうベクトルのことを意味する。
入射光BINの一部は、回折格子16により回折される。回折格子16で回折されなかった入射光BINは、導波路14を透過して、反射膜12で、ほぼ100%の反射率で反射される。
回折格子16で回折された光のうち、導波路14との位相整合条件を満たす波長λの光は、導波路14へと結合される。この光は、導波路14を伝播する導波モード光Bへと変換される。ここで、入射光BINのうち、上述した位相整合条件を満足する波長λの光が、「特定波長成分」に対応する。以下、特定波長λの入射光BINの成分を、符号「BIN(λ)」で表し、「入射光」、「特定波長成分」又は「光成分」等と称する。
導波路14中を伝播する導波モード光Bは、回折格子16により再び回折されて導波路14外へと出射される。つまり、回折格子16は、導波モード光Bを放射モード光BOUT(以下、「出射光BOUT」とも称する。)へと変換する。放射モード光BOUTの出射角はΘであり、入射角に等しい。
導波モード光Bから放射モード光BOUTへの変換率は、回折効率sで規定される。この点につき、図2(A)及び(B)を参照して説明する。
図2(A)に示すように、回折効率sが0に近い場合、導波モード光Bは放射モード光BOUTへと変換されにくい。つまり、この場合には、導波モード光Bが導波路14中を伝播する距離L1は相対的に長くなる。
それに対して、図2(B)に示すように、回折効率sが1に近い場合、導波モード光Bは放射モード光BOUTへと変換されやすい。つまり、この場合には、導波モード光Bが導波路14中を伝播する距離L2は相対的に短くなる。
ところで、屈折率nの導波路14中を伝播することより、導波モード光Bには位相遅延が導入される。つまり、導波モード光Bと等しい距離を伝播した入射光BIN(λ)に比べて、導波モード光Bの位相が遅れる。この位相遅延の大きさは、導波モード光Bの導波路14中での伝播距離に依存する。したがって、回折効率sが小さいほど、放射モード光BOUTに導入される位相遅延が大きくなる。
次に、フィルタ10の動作について、より定量的に説明する。
フィルタ10において、放射モード光BOUTの電場ベクトルTは、周知のとおり下記(1)式で与えられる。
T=−r(1−s1/2exp(−j2kd)+s{1+r×exp(−j2kd)}exp(−j2φ)/[(1+r){1−(1−s1/2exp(−j2φ)}]・・・(1)
ただし、φ=(β−kcosΘ−K)L
ここで、βは導波路14の伝播定数、kは放射モード光BOUTの波数、Kは回折格子16の波数、jは虚数単位、及び、φは、入射光BIN(λ)の位相整合条件からの位相ずれの大きさである。
放射モード光BOUTの位相Ph、すなわち放射モード光BOUTの位相遅延量Phは、下記(2)式に示すように、(1)式の実部に対する虚部の比率のアークタンジェントで与えられる。
Ph=tan−1(Im(T)/Re(T))・・・(2)
(1)式において、反射膜12の反射率rに“1”を代入し(r=1)、及び、2kdに2mπ(ただし、mは1以上の整数)を代入し、exp(−j2mπ)=1であることに注意すると、下記(3)式が得られる。
T=−(1−s1/2+sexp(−j2φ)/{1−(1−s1/2exp(−j2φ)}・・・(3)
(3)式は、FP共振器から出射される出射光の電場ベクトルT’を表す従来周知の下記(4)式と類似している。
T’=r’+(1−r’)exp(−j2φ)/{1−r’×exp(−j2φ)}・・・(4)
ただしφ=kL’、r’は反射膜の振幅反射率、及びL’はFP共振器のミラー面間隔である。
(3)式と(4)式とを比較すると、(3)式の(1−s1/2を、(4)式の振幅反射率r’とすれば、両式は同じ形であることがわかる。
つまり、(3)式でs=0のとき、すなわち、回折格子16の回折効率sが0のときが、(4)式でFP共振器のミラーの振幅反射率r’が1の場合に対応する。この場合、(3)式より、放射モード光BOUTの電場ベクトルTは、下記(5)式で与えられる。
s=0の場合: T=−exp(−j2kd)・・・(5)
(5)式より、この場合の位相遅延量Phは、導波路14を膜厚dの薄膜とみなし、この薄膜を、導波モード光Bが1往復した場合の位相遅延量と同等の大きさであることがわかる。
また、(3)式で、s≒1のとき、すなわち、回折格子16の回折効率sが1に近いときが、(4)式でFP共振器のミラーの振幅反射率r’が0に近い場合に対応する。この場合、(3)式より、放射モード光BOUTの電場ベクトルTは、下記(6)式で与えられる。
s≒1の場合: T=exp(j2φ)・・・(6)
(6)式より、この場合の位相遅延量Phは、位相整合条件からの位相ずれの大きさφの2倍となることがわかる。
次に、図3を参照して、(1)式から計算された放射モード光BOUTの位相遅延量Phと、回折効率sとの関係について説明する。図3は、横軸が、入射光BIN(λ)の位相ずれφで表した位相整合波長からの波長ずれ(rad)を示す。縦軸が、放射モード光BOUTの位相遅延量Ph(rad)を示す。
ここで、図3の横軸において、入射光BIN(λ)の位相整合波長からの波長ずれを、位相ずれφで表すことが可能であることについて簡単に説明する。
(1)式の“φ=(β−kcosΘ−K)L”の関係において、両辺の変分を取ると、下記(7)式が得られる。
Δφ=ΔβL・・・(7)
なおβ=2π×n/λであるので、導波路14の屈折率nを一定とした場合には、(7)式は下記(8)式のように変形できる。
Δφ=(2πnL)/Δλ・・・(8)
ここで、Δφはφの変分、及びΔλは入射光BIN(λ)の波長λの変分である。
つまり、(8)式より明らかなように、波長の変分Δλは、位相ずれの変分Δφ(図3の横軸)で表すことができる。なお、図3の横軸を波長λに置き換えた場合に、φ=0(rad)の点が、λが位相整合波長に等しい場合を示す。また、φがマイナス(−)である領域は、λが位相整合波長よりも長波長の領域である。反対に、φがプラス(+)である領域は、λが位相整合波長よりも短波長の領域である。
再び図3を参照すると、図には、回折効率s=0.1のグラフ1、回折効率s=0.2のグラフ2、回折効率s=0.3のグラフ3、及び回折効率s=1のグラフ4が描かれている。
図3から明らかなように、このφの範囲(したがって、λの範囲)では、回折効率sの大きさによらず、位相遅延量Phは、φ(λ)にほぼ比例して変化することがわかる。詳細には、グラフ1〜4はいずれも原点(φ=0,Ph=0)を通り、φが増加(λが減少)するにしたがって、位相遅延量Phが、ほぼ直線的に減少する。
また、φ≠0の場合、回折格子16の回折効率sが小さい方が、放射モード光BOUTに導入される位相遅延量Phが大きくなることがわかる。つまり、回折効率sが小さいほどグラフの傾きが大きい。換言すれば、回折効率sが小さいほど位相遅延量Phの傾き(変化率)が大きい。
より具体的には、s=0.1(グラフ1)の傾き(位相遅延量Phの変化率)は、s=1(グラフ4)の約400倍である。s=0.2(グラフ2)の傾きは、s=1の約100倍である。s=0.3(グラフ3)の傾きは、s=1の約50倍である。
ここで、図4(A)〜図4(C)を参照して、回折格子16の回折効率sの変更方法について簡単に説明する。
図4(A1)及び(A2)は、回折格子16の要部拡大断面図である。図4(A1)及び(A2)に示すように、回折効率sは、回折格子16のデューティー比を変えることにより、変更することが可能である。ここで、デューティー比とは、格子間隔Lに対する、回折格子16の1個の凸部16aの長さLaの比率(La/L)を百分率で表示したものである。
図4(A1)に示したように、デューティー比を50%に近づければ近づけるほど、回折格子16の回折効率sは1に近づく。反対に、図4(A2)に示したように、デューティー比を0%又は100%のどちらか一方に近づければ近づけるほど、回折格子16の回折効率sは0(零)に近づく。
なお、デューティー比を50%に近づければ回折効率sが増加するという関係は、レリーフ型回折格子及び屈折率変調型回折格子の双方に成り立つ。
図4(B1)及び(B2)は、回折格子16の要部拡大断面図である。図4(B1)及び(B2)に示すように、回折効率sは、凸部16aの高さHを変えることにより、変更することが可能である。
図4(B1)に示したように、凸部16aの高さHを高くするほど、回折格子16の回折効率sは大きくなっていく。反対に、図4(B2)に示したように、凸部16aの高さHを低くするほど、回折格子16の回折効率sは小さくなっていく。
図4(C1)及び(C2)は、回折格子16を導波路14とともに示した要部拡大平面図である。ここで、導波路14が延在する面内で、導波モード光Bの伝播方向に直交する方向に沿って測った回折格子16の凸部16aの幅をDとする。
このとき、図4(C1)に示したように、回折格子16の凸部16aの幅Dが導波路14の幅に近ければ近いほど回折格子16の回折効率sは大きくなっていく。反対に、図4(C2)に示したように、凸部16aの幅Dが小さいほど、回折格子16の回折効率sは小さくなっていく。
次に、フィルタ10の奏する効果について説明する。
<効果1>
従来技術のFBGは、光ファイバ内を伝播する光だけしか取り扱うことができなかった。しかし、この発明のフィルタ10では、空間光を取り扱うことができる。より詳細には、フィルタ10に入射する入射光BIN(空間光)に含まれる特定波長の光成分BIN(λ)に対して、回折効率sで定まる位相遅延を導入し、位相遅延量Phの放射モード光BOUT(空間光)を出射させることができる。
<効果2>
図3に示したように、回折効率sの小さい回折格子16を用いることにより、位相遅延量Phを増強することができる。
次に、フィルタ10の設計条件及び変形例について説明する。
<設計条件1>
この実施の形態においては、反射膜12として誘電体多層膜を用いた場合を例示した。しかし、反射膜12は、実質的に100%の反射率を有していれば、誘電体多層膜には限定されない。例えば、反射膜12として、屈折率の異なる2材料間の境界面を用いることができる。つまり、この境界面での全反射現象を反射膜に利用することができる。また、反射膜12としては、金属膜を用いることができる。
<設計条件2>
この実施の形態においては、回折格子16の格子間隔が単一周期Lである場合を例示した。しかし、回折格子16は、単一周期には限定されない。回折格子16として、長周期回折格子(例えば、サンプルグレーティング(Sampled Grating)等)を用いてもよい。このように構成することで、入射光BINに含まれる複数の波長の光に位相遅延を導入することができる。
<設計条件3>
回折格子16の回折効率sの大きさには、特に制限はなく、設計に応じた任意好適な値とすることができる。ただし、放射モード光BOUTに対して実用上十分な位相遅延量Phを導入するためには、回折効率sは、0<s≦0.3の範囲の値とすることが好ましい。
<設計条件4>
この実施の形態においては、基板18の材料としてSi基板を用いた。しかし、基板18の材料は、Si基板には限定されない。例えば、石英、ガラス、プラスチック等の材料を用いることができる。
<第1変形例>
図5(A)は、第1変形例のオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。このオールパス波長フィルタ20では、反射膜12と導波路14との境界面にレリーフ型の回折格子22が形成されている。このような構成によっても、入射光BINに含まれる特定波長の光成分BIN(λ)に対して、回折効率sで定まる位相遅延を導入し、位相遅延量Phの放射モード光BOUTを出射させることができる。
<第2変形例>
図5(B)は、第2変形例のオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。このオールパス波長フィルタ24では、導波路14中に、屈折率変調型の回折格子26が形成されている。このような構成によっても、入射光BINに含まれる特定波長の光成分BIN(λ)に対して、回折効率sで定まる位相遅延を導入し、位相遅延量Phの放射モード光BOUTを出射させることができる。
<第3変形例>
図5(C)は、第3変形例のオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。このオールパス波長フィルタ30は、反射膜12上に導波モード光Bの伝播方向に沿って、断続的に配置された導波路セグメント32,32,・・・を備えている。そして、これら導波路セグメント32,32,・・・でセグメント導波路34が形成されている。
オールパス波長フィルタ30では、セグメント導波路34が、回折格子16を兼ねている。このような構成によっても、入射光BINに含まれる特定波長の光成分BIN(λ)に対して、回折効率sで定まる位相遅延を導入し、位相遅延量Phの放射モード光BOUTを出射させることができる。
(実施の形態2:オールパス波長フィルタ)
図6及び図7を参照して、実施の形態2のオールパス波長フィルタについて説明する。図6は、オールパス波長フィルタの斜視図である。
実施の形態2のオールパス波長フィルタ36(以下、単に、「フィルタ36」とも称する。)は、導波路として3次元導波路15を用いる点、及び3次元導波路15の屈折率nを変化させることが可能である点が、フィルタ10と異なっている。
以下、主に図6を参照して、フィルタ36の構造について説明する。
フィルタ36は、基板18と、反射膜12と、導波路形成層38と、第1及び第2電極40a及び40bとで構成されている。そして、導波路形成層38の一部領域に3次元導波路15及び回折格子16が形成されている。
基板18は、平面形状が矩形状の平行平板とする。基板18の材料は、好ましくは、例えばSi基板とする。
反射膜12は、基板18の第1主面18a上に形成されている。反射膜12は、好ましくは、例えばSiNとSiOとが複数回積層された誘電体多層膜から構成される。
導波路形成層38は、反射膜12の上面12aに形成されている。導波路形成層38の材料は、好ましくは、例えば強誘電体材料であるLiNbOとする。LiNbOは、電圧が印加されることで電気光学効果により屈折率が変化する、いわゆる電気光学材料である。
3次元導波路15は、導波路形成層38中に設けられている。つまり、3次元導波路15を構成する材料は、導波路形成層38と等しくLiNbOである。ただし、3次元導波路15に対応するLiNbOには、従来周知の方法でTiが拡散されている。その結果、3次元導波路15は、周囲の導波路形成層38に比べて、屈折率が高くなっている。
回折格子16は、3次元導波路15の上面15aに形成されている。回折格子16はレリーフ型である。ここで、回折格子16の回折効率をsとする。回折格子16は、従来周知のフォトリソグラフィ等で形成される。
第1及び第2電極40a及び40bは、第1屈折率制御手段として機能する。第1及び第2電極40a及び40bは、3次元導波路15を挟んで、導波路形成層38の上面38aに形成されている。第1及び第2電極40a及び40bは、3次元導波路15の延在方向に沿って、3次元導波路15と等しい長さに形成されている。
第1及び第2電極40a及び40bは、好ましくは、例えばNiとAuとがこの順序で上面38aに積層された積層電極とする。ここで、第1電極40aは、3次元導波路15に対して電圧を印加するためのものである。一方、第2電極40bはアース電極として機能する。
次に、フィルタ36の動作について説明する。フィルタ36は、(実施の形態1)で説明したと同様のメカニズムで動作する。
すなわち、回折格子16に対して入射光BINが入射されると、入射光BINの特定波長成分BIN(λ)の一部は、導波モード光Bとして3次元導波路15に結合される。導波モード光Bには、3次元導波路15中での伝播長に応じた位相遅延が導入される。そして、導波モード光Bは、回折格子16で再び回折され、位相遅延量がPhの放射モード光BOUTとしてフィルタ36から出射される。
ここで、第1及び第2電極40a及び40bを介して3次元導波路15に電圧を印加した場合のフィルタ36の動作について説明する。
第1及び第2電極40a及び40bに電圧を印加すると、3次元導波路15には、基板18の上面18aに平行な電界が生じる。ところで、3次元導波路15は電気光学材料(LiNbO)から構成されている。よって、電気光学効果により、3次元導波路15の屈折率nはn’へと変化する。より詳細には、印加電圧の大きさに応じて、3次元導波路15の屈折率nは、3次元導波路15領域内部において場所によらず一様にn’に変化する。
その結果、3次元導波路15中での導波モード光Bの伝播長(光学的長さ)が変更される。よって、導波モード光Bに導入される位相遅延の大きさが変化する。つまり、放射モード光BOUTは、屈折率がnの場合の位相遅延量Phとは異なる位相遅延量Ph’で出射される。
つまり、3次元導波路15の屈折率を変化させることにより、放射モード光BOUTの位相遅延量Phを制御することができる。
次に、図3を参照して、上述したフィルタ36の動作をより詳細に説明する。
図3の横軸(入射光BIN(λ)の位相ずれφ)については、上述の(7)式(Δφ=ΔβL)が成り立つ。入射光BIN(λ)の波長λを一定とした場合には、(7)式は下記(9)式のように変形できる。
Δφ=(2πL/λ)Δn・・・(9)
ここで、Δnは、3次元導波路15の屈折率nの変分である。
つまり、(9)式より明らかなように、図3の横軸(φ)は、Δnで表すことができる。すなわち、3次元導波路15の屈折率nを変更することは、図3の横軸の値を変化させることに対応する。つまり、3次元導波路15の屈折率nを変更すると、放射モード光BOUTの位相遅延量Phが変化する。
次に、フィルタ36の奏する効果について説明する。
<効果1>
フィルタ36は、3次元導波路15の屈折率nを変化させることが可能である以外は、フィルタ10(実施の形態1)とほぼ同様の構造である。したがって、フィルタ36は、フィルタ10と同様の効果を奏する。
<効果2>
フィルタ36では、3次元導波路15を、電気光学材料を用いて形成し、かつ、第1屈折率制御手段としての第1及び第2電極40a及び40bを設けている。その結果、3次元導波路15の屈折率nを電気光学効果に基づいて変化させることができる。したがって、屈折率nを変化させることで、放射モード光BOUTに導入される位相遅延量Phを制御することができる。
<効果3>
従来のFP共振器型のオールパス波長フィルタではミラー面に電極を設けていた。そのため、ミラー面間隔と電極間隔とが実質的に同一とされており、オールパス波長フィルタの設計自由度が制限されていた。
しかし、フィルタ36では、第1及び第2電極40a及び40bを、3次元導波路15を挟んで、導波路形成層38の上面38aに形成することができる。その結果、FP共振器型のオールパス波長フィルタよりも高い設計自由度が得られる。
次に、フィルタ36の設計条件及び変形例について説明する。
<設計条件1>
この実施の形態においては、3次元導波路15の材料として、電気光学材料であるLiNbOを用いた。しかし、3次元導波路15の材料はLiNbOには限定されない。3次元導波路15の材料としては、種々の電気光学材料、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)及びPLZT(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛)等の強誘電体材料、InGaAsP等の化合物半導体、並びに、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等の有機物材料を用いることができる。
また、熱光学効果を利用して屈折率nを変更する場合には、3次元導波路15の材料としては、例えば、Geをドープした石英、ガラス及び有機物等を用いることができる。
<設計条件2>
この実施の形態においては、3次元導波路15の材料として、Ti拡散により周囲に比べて屈折率を高めたLiNbO(導波路形成層38)を用いた。しかし、3次元導波路15の材料として、ノンドープのLiNbOを用いてもよい。この場合、3次元導波路15以外の導波路形成層38(LiNbO)の領域にMg等を拡散して屈折率を低下させる必要がある。
<第1変形例>
図7は、この実施の形態の第1変形例のオールパス波長フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
このオールパス波長フィルタ42(以下、単に、「フィルタ42」とも称する。)は、3次元導波路15がリッジ型導波路である点が、フィルタ36と異なっている。
フィルタ42は、基板18と、ミラー13と、3次元導波路15と、回折格子16と、上部クラッド層44と、第3及び第4電極46a及び46bとで構成されている。
基板18は、平面形状が矩形状の平行平板とする。基板18の材料は、好ましくは、例えば導電型がn型のInPとする。基板18は下部クラッド層を兼ねている。
この基板18の第1主面18a上に、第1主面18aよりも小面積の凸型の構造体48として、ミラー13、3次元導波路15、回折格子16、上部クラッド層44及び第3電極46aが形成されている。
ミラー13は、基板18の第1主面18a上に形成されている。ミラー13は、好ましくは、例えば“InGaP/InAlAs構造”を複数回積層した多層膜から構成される。
3次元導波路15は、ミラー13の上面13aに形成されている。3次元導波路15の材料は、好ましくは、例えば導電型がi型のInPとする。なお、i型のInPは電気光学材料である。
3次元導波路15の側面15b,15bは屈折率の低い外界に露出している。これにより、導波モード光Bを両側面15b及び15b間に閉じ込めることができる。
上部クラッド層44は、3次元導波路15の上面15aに形成されている。上部クラッド層44の材料は、好ましくは、例えば導電型がp型のInPとする。
回折格子16は、3次元導波路15と上部クラッド44との境界面に形成されている。回折格子16は、所定の回折効率sを有するレリーフ型回折格子とする。
第3電極46aは、上部クラッド層44の上面44aの全面に形成されている。第3電極46aは、3次元導波路15へ電圧を印加するためのものである。第3電極46aは、3次元導波路15への入射光BINの入射を妨げないように、好ましくは、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極とする。
第4電極46bは、基板18の第2主面18bの全面に形成されている。第4電極46bは、第3電極46aのアース電極として機能する。第4電極46bは、好ましくは、例えばNiとAuとがこの順序で第2主面18bに積層された積層電極とする。なお、第3及び第4電極46a及び46bが第1屈折率制御手段として機能する。
フィルタ42を用いることによっても、入射光BINに含まれる特定波長の光成分BIN(λ)に対して、回折効率s及び屈折率nで定まる位相遅延を導入し、位相遅延量Phの放射モード光BOUTを出射させることができる。
(実施の形態3:光偏向器)
図8〜図10を参照して、実施の形態3の光偏向器について説明する。図8は、光偏向器の断面構造を概略的に示す模式図である。
光偏向器50は、出射光BOUTを仰角方向に偏向させるものである(図8)。
光偏向器50は、1個のオールパス波長フィルタ52(以下、単に「フィルタ52」とも称する。)から構成されている。このフィルタ52は、フィルタ10を応用したものである。
フィルタ52は、回折格子56の回折効率sが、導波路54の延在方向に沿って減少している以外は、フィルタ10(図1)と同様の構造である。したがって、以下の説明では、フィルタ10との相違点を主に説明する。
回折格子56は、レリーフ型回折格子であり、導波路54の上面54aに形成されている。回折格子56の格子間隔は、格子溝によらず等しくLである。
図示の例では、回折格子56には、9個の凸部58〜58が形成されている。これらの凸部58〜58の上面54aからの突出高さ(以下、単に「高さ」と称する。)は、導波モード光Bの伝播方向に沿って、単調に低くなっている。つまり、凸部58〜58の高さは、導波路54の延在方向に沿って、単調に減少していく。
ところで、(実施の形態1)で説明したように、各凸部58〜58での回折効率sは、凸部58〜58の高さに依存している。つまり、凸部58〜58の高さが高いほど回折効率sが大きくなる。
このことから、フィルタ52においては、回折格子56の回折効率sが、導波路54の延在方向に沿って単調に減少する。
次に、図3及び図8を参照して光偏向器50の動作について説明する。
図8に示したように、フィルタ52には、凸部58側から入射角Θで入射光BINが入射し、凸部58側に向かって出射光BOUTが出射角Θ’で出射するものとする。
図3に示したように、入射光BIN(λ)の位相ずれφが0でない場合(φ≠0)、回折効率sの値によって、出射光BOUTに導入される位相遅延量Phの大きさが変化する。
回折格子56は、回折効率sが、個々の凸部58〜58で異なっているので、各凸部58〜58に由来する出射光BOUTごとに、位相遅延量Phが異なっている。
具体的には、凸部58から凸部58に向かうにしたがって、つまり回折効率sが減少するにしたがって、出射光BOUTの位相遅延量Phが大きくなる。
その結果、全体としてみた場合、出射光BOUTの等位相面が傾く。よって、フィルタ52から出射される出射光BOUTは仰角方向に偏向される。つまり、出射光BOUTの出射角Θ’は、回折格子56の回折効率sを一定と仮定した場合の出射角Θ(図中一点鎖線で示した。)よりも大きくなる。
なお、ここで、「仰角方向」とは、出射光BOUTの出射点に視点をおいたときに、導波路54の上面54aを含む平面と、出射光BOUTの伝播方向とがなす方向とする。
より定量的に説明すると、上述した(1)式より、sが十分に小さいとき(例えば、s<0.1)、出射光BOUTの位相遅延量Phはs−2に比例する。これは、(1)式をテーラー展開して、第1項目までを取ることで得られる。つまり、出射光BOUTの位相遅延量Phは、sの値を変えることで変化させることができる。
更に、以下に列記する4条件を満たす場合、隣接する凸部からの出射光BOUTの位相差は、(1)式を変形した下記(10)式で見積もられる。
(条件1):隣接する凸部58及び58i+1(ただし、iは1〜8の整数)との回折効率sの差をεとする。
(条件2):凸部58〜58の回折効率sの最大値をsとする。
(条件3):回折効率sが1よりも十分小さい(s<0.1)とする。
(条件4):φ≒0とする。
位相差=−sε/{φ(|T|+sε/φ)}・・・(10)
(10)式より、たとえ凸部58及び58i+1の回折効率sの差εが小さくとも、位相整合条件(φ≒0)近傍では、分母が0(零)に近づくために、大きな位相差が発生する。
次に、光偏向器50の奏する効果について説明する。
<効果1>
光偏向器50では、回折格子56の回折効率sを導波路54の延在方向に沿って単調に減少させることで、出射光BOUTを仰角方向に偏向することができる。
次に、光偏向器50の設計条件及び変形例について説明する。
<設計条件1>
この実施の形態の光偏向器50は、回折格子56の構造が異なる以外は、(実施の形態1)のフィルタ10と同様の構成である。したがって、光偏向器50は、フィルタ10と同様の設計条件の変更や変形が可能である。
<設計条件2>
この実施の形態では、光偏向器50が、1個のフィルタ52で構成される場合を例示した。しかし、光偏向器50を構成するフィルタ52の個数は、1個には限定されない。
例えば、図9(A)に示すように、2個以上のフィルタ52,52,・・・を並列に配置してもかまわない。また、図9(B)に示すように、2個以上のフィルタ52,52,・・・を直列に配置してもかまわない。
このようにすることによっても、光偏向器は、出射光BOUTを仰角方向に偏向することができる。
<第1変形例>
図10は、この実施の形態の第1変形例の光偏向器60の構造を概略的に示す斜視図である。
機能的に見た場合、光偏向器60は、3次元導波路53の屈折率nを変化させることが可能である点が、光偏向器50と異なっている。
構造的に見た場合、光偏向器60は、回折格子56の回折効率sが、3次元導波路53の延在方向に沿って減少している点が、(実施の形態2)で説明したフィルタ36(図6)と異なっている。
つまり、光偏向器60は、第2屈折率制御手段として機能する第1及び第2電極55a及び55bを備えている。これらの電極55a及び55bは、3次元導波路53を挟んで、3次元導波路53の長手方向の長さと等しい長さにわたって延在している。その結果、両電極55a及び55b間に電圧を印加することで、3次元導波路53の屈折率を、3次元導波路53の領域内部において場所によらず一様に変化させることができる。
3次元導波路53の屈折率nを変えることにより、導波モード光Bの3次元導波路53中での伝播距離が変化する。その結果、出射光BOUTの位相遅延量Phが変化する。つまり、出射光BOUTの等位相面の傾きが、屈折率nの変化に応じて変更される。したがって、屈折率nの大きさを制御することにより、出射光BOUTの出射角Θ’の大きさを変化させることができる。
(実施の形態4:光偏向器)
図11〜図13を参照して、実施の形態4の光偏向器について説明する。図11は、光偏向器の構造を、入射光及び出射光とともに概略的に示す斜視図である。
光偏向器62は、フィルタ64〜64の並列配置を含んでおり、入射光BINを、フィルタ64〜64の並列方向(以下、単に「並列方向」とも称する。)に沿って偏向させる(図12)。
光偏向器62は4個のオールパス波長フィルタ64〜64(以下、単に「フィルタ64〜64」と称する。)を備えている。これらのフィルタ64〜64は、フィルタ36(実施の形態2)を応用したものである。
フィルタ64〜64は、1個の基板67の第1主面67a側に形成されている。
基板67は、平面形状が矩形状の平行平板である。
フィルタ64〜64は、上述のようにフィルタ36と同様の構造である。したがって、個々のフィルタ64〜64の構造の詳細な説明は省略する。
フィルタ64〜64は、互いに平行に並列されている。つまり、個々のフィルタ64〜64を伝播する導波モード光Bの伝播方向は互いに平行である。
フィルタ64〜64のそれぞれは、3次元導波路65〜65及び回折格子66〜66を備えている。
個々の回折格子66〜66について見た場合、回折格子66〜66の回折効率s〜sは、当該回折格子66〜66の内部領域において、場所によらず一定である。
また、回折効率s〜sには、“s>s>s>s”との関係が存在する。つまり、回折格子66〜66の回折効率s〜sは、並列配置の一端側に位置するフィルタ64から、他端側に位置するフィルタ64にかけて、並列方向に沿って減少する。
また、個々の3次元導波路65〜65の屈折率は、3次元導波路65〜65によらず等しい。
次に、図11及び図12を参照して、光偏向器62の動作について説明する。図12は、光偏向器62を入射光及び出射光とともに描いた平面図である。
図11に示すように、フィルタ64〜64には、互いに平行な入射光BIN1〜BIN4が入射している。上述(実施の形態2)したように、3次元導波路65〜65に結合された入射光BIN1(λ)〜BIN4(λ)には伝播の過程で、位相遅延が導入される。そして、位相遅延量がPh〜Phの出射光BOUT1〜BOUT4として、3次元導波路65〜65から出射される。ここで、位相遅延量Ph〜Phは、回折格子66〜66の回折効率s〜s、及び3次元導波路65〜65の屈折率の両者で定まる。
ところで、3次元導波路65〜65の屈折率は、互いに等しい。また、回折格子66〜66の回折効率s〜sには、“s>s>s>s”なる大小関係が存在する。したがって、上述(実施の形態2)したように、出射光BOUT1〜BOUT4の位相遅延量Ph〜Phには、“Ph>Ph>Ph>Ph”なる関係が成立する。
つまり、図12に示すように、出射光BOUT1〜BOUT4の等位相面(図中一点鎖線で示す。)が、並列方向に対して傾斜する。その結果、出射光BOUT1〜BOUT4は並列方向に偏向される。つまり、出射光BOUT1〜BOUT4は、平面的に見た(図12)入射光BIN1〜BIN4の伝播方向に対して、所定の偏向角αだけ偏向されて出射される。
より詳細には、出射光BOUT1〜BOUT4は、位相遅延量が大きい方に向かって偏向される。つまり、出射光BOUT1〜BOUT4は、フィルタ64側からフィルタ64側へと偏向される。
次に、光偏向器62の奏する効果について説明する。
<効果1>
光偏向器62では、フィルタ64〜64の回折効率s〜sを並列方向に沿って減少させている。その結果、出射光BOUT1〜BOUT4を並列方向に沿って偏向することができる。
次に、光偏向器62の設計条件及び変形例について説明する。
<設計条件1>
この実施の形態の光偏向器62を構成する個々のフィルタ64〜64としては、フィルタ36を用いている。したがって、フィルタ64〜64に関しては、上述(実施の形態1及び2)と同様な設計条件の変更や変形が可能である。
<設計条件2>
この実施の形態の光偏向器62では、フィルタ64〜64の個数が4個の場合について例示した。しかし、光偏向器62を構成するオールパス波長フィルタの個数は、2個以上であれば特に制限はない。オールパス波長フィルタの個数は、設計に応じて任意好適な個数とすることができる。
<第1変形例>
図13は、この実施の形態の第1変形例の光偏向器68の構造を概略的に示す斜視図である。
この光偏向器68は、3次元導波路65〜65の屈折率を、フィルタ64〜64に共通して変化させる点が、光偏向器62と異なっている。
光偏向器68は、第3屈折率制御手段として機能する第1及び第2電極70a及び70bを備えている。これらの電極70a及び70bは、フィルタ64〜64からなる構造体を挟んで、フィルタ64〜64の長手方向の長さと等しい長さにわたって延在している。
よって、両電極70a及び70b間に電圧を印加すると、3次元導波路65〜65に、以下に列記する2つの変化が生じる。
(変化1):3次元導波路65〜65の電位が、フィルタ64〜64によらず、共通に変化する。
(変化2):個々の3次元導波路65(ただし、jは1〜4の整数)の屈折率が、3次元導波路65の領域内部において場所によらず一様に変化する。
これらの変化の結果、出射光BOUT1〜BOUT4の位相遅延量Ph〜Phが変化する。つまり、出射光BOUT1〜BOUT4の等位相面の傾きが、屈折率の変化に応じて変更される。したがって、3次元導波路65〜65の屈折率の大きさを制御することにより、出射光BOUT1〜BOUT4の偏向角αの大きさを変化させることができる。
(実施の形態5:光偏向器)
図14〜図16を参照して、実施の形態5の光偏向器について説明する。図14は、光偏向器の構造を、入射光及び出射光とともに概略的に示す斜視図である。
光偏向器72は、入射光BINを、並列方向に沿って偏向させるものである(図15)。
光偏向器72は、4個のオールパス波長フィルタ74〜74(以下、単に「フィルタ74〜74」と称する。)を備えている。これらのフィルタ74〜74は、フィルタ36(実施の形態2)を応用したものである。
フィルタ74〜74は、1個の基板77の第1主面77a側に形成されている。
基板77は、平面形状が矩形状の平行平板である。
フィルタ74〜74は、上述のようにフィルタ36と同様の構造である。したがって、個々のフィルタ74〜74の構造の詳細な説明は省略する。
フィルタ74〜74は、互いに平行に並列されている。つまり、個々のフィルタ74〜74を伝播する導波モード光Bの伝播方向は互いに平行である。
フィルタ74〜74のそれぞれは、3次元導波路75〜75、回折格子76〜76、第1電極78a〜78a及び第2電極78b〜78bを備えている。ここで、第1及び第2電極78a〜78a及び78b〜78bは、第4屈折率制御手段として機能する。
回折格子76〜76の回折効率sは、回折格子76〜76によらず等しい。つまり、回折格子76〜76の回折効率sは、当該回折格子76〜76の内部領域において、場所によらず一定である。
第1及び第2電極78a及び78bは、3次元導波路75を挟んで、3次元導波路75の長手方向の長さと等しい長さにわたって延在している。第1及び第2電極78a及び78bに印加する電圧を調整することにより、電気光学効果に基づき、3次元導波路75の屈折率はnに制御されている。
他の第1及び第2電極78a〜78a及び78b〜78bについても同様であり、それぞれ、3次元導波路75〜75を挟んで、3次元導波路75〜75の長手方向の長さと等しい長さにわたって延在している。第1及び第2電極78a〜78a及び78b〜78bに印加する電圧を、調整することにより、電気光学効果に基づき、3次元導波路75〜75の屈折率は、それぞれn〜nに制御されている。
ここで、3次元導波路75〜75の屈折率n〜nは、“n>n>n>n”なる関係が成立するように、それぞれ制御されている。つまり、3次元導波路75〜75の屈折率n〜nは、フィルタ74〜74の並列方向に沿って減少する。
次に、図14及び図15を参照して、光偏向器72の動作について説明する。図15は、光偏向器72を入射光及び出射光とともに描いた平面図である。
図14に示すように、フィルタ74〜74には、互いに平行な入射光BIN1〜BIN4が入射している。上述(実施の形態2)したように、3次元導波路75〜75に結合された入射光BIN1(λ)〜BIN4(λ)には伝播の過程で、位相遅延が導入される。そして、位相遅延量がPh〜Phの出射光BOUT1〜BOUT4として、3次元導波路75〜75から出射される。ここで、位相遅延量Ph〜Phは、回折格子76〜76の回折効率s、及び3次元導波路75〜75の屈折率n〜nの両者で定まる。
ところで、回折格子76〜76の回折効率sは等しく、及び、3次元導波路75〜75の屈折率n〜nには、“n>n>n>n”なる大小関係が存在する。したがって、上述(実施の形態2)したように、出射光BOUT1〜BOUT4の位相遅延量Ph〜Phには、“Ph>Ph>Ph>Ph”なる関係が成立する。
つまり、図15に示すように、出射光BOUT1〜BOUT4の等位相面(図中一点鎖線で示す。)が、並列方向に対して傾斜する。その結果、出射光BOUT1〜BOUT4は並列方向に偏向される。つまり、出射光BOUT1〜BOUT4は、平面的に見た(図15)入射光BIN1〜BIN4の伝播方向に対して、所定の偏向角αだけ偏向されて出射される。
より詳細には、出射光BOUT1〜BOUT4は、位相遅延量が大きい方に向かって偏向される。つまり、出射光BOUT1〜BOUT4は、フィルタ74側からフィルタ74側へと偏向される。
次に、光偏向器72の奏する効果について説明する。
<効果1>
光偏向器72では、フィルタ74〜74において、3次元導波路75〜75の屈折率n〜nを、フィルタ74〜74の並列方向に沿って減少させている。その結果、出射光BOUT1〜BOUT4を並列方向に沿って偏向することができる。
<効果2>
第1及び第2電極(78a,78b〜78a,78b)に印加する電圧を調整することにより、3次元導波路75〜75の屈折率n〜nを、“n>n>n>n”の関係が成り立つ範囲で、様々に制御することができる。その結果、出射光BOUT1〜BOUT4の偏向角αを変化させることができる。
次に、光偏向器72の設計条件及び変形例について説明する。
<設計条件1>
この実施の形態の光偏向器72を構成する個々のフィルタ74〜74としてはフィルタ36を用いている。したがって、フィルタ74〜74に関しては、(実施の形態1及び2)で説明したと同様な設計条件の変更や変形が可能である。
<設計条件2>
この実施の形態の光偏向器72では、フィルタ74〜74の個数が4個の場合について例示した。しかし、光偏向器72を構成するオールパス波長フィルタの個数は、2個以上であれば特に制限はない。オールパス波長フィルタの個数は、設計に応じて任意好適な個数とすることができる。
<第1変形例>
図16(A)は、この実施の形態の第1変形例の光偏向器80の構造を概略的に示す模式図である。
光偏向器80は、カー効果を用いて3次元導波路85〜85の屈折率n〜nを制御する点が、光偏向器72と異なっている。
より詳細には、光偏向器80には、カー効果を生じさせるための制御光CLを伝播させるバスライン82が設けられている。このバスライン82には、制御光CLを各3次元導波路85〜85のそれぞれに分岐させる光パワースプリッタ84,84及び84が設けられている。
ここで、各光パワースプリッタ84〜84の光強度分岐比率を、A(ただし、Aは0<A<1の実数。)とする。そして、未分岐の制御光CLの光強度をIとする。
このとき、バスライン82の根元側に接続されている光パワースプリッタ84からは、強度がI(=AI)の分岐光が、3次元導波路85に入力される。また、中間の光パワースプリッタ84からは、強度がI(=A(1−A)I)の分岐光が、3次元導波路85に入力される。更に、先端の光パワースプリッタ84からは、強度がI(=A(1−A))の分岐光が、3次元導波路85に入力される。そして、3次元導波路85には、バスライン82から強度がI(=(1−A))の分岐光が入力される。
ここで、光強度分岐比率Aの値を適当に調整することにより、3次元導波路85〜85に入力される光の強度I〜Iを“I>I>I>I”とすることができる。
ところで、カー効果による屈折率変化の大きさは、3次元導波路85〜85に入力される分岐光の強度に応じて変化する。よって、分岐光の強度I〜Iを上述のような大小関係とすることにより、3次元導波路85〜85の屈折率を“n>n>n>n”となるように制御することができる。その結果、この実施の形態で説明したと同様にして、出射光BOUT1〜BOUT4を、3次元導波路85〜85の並列方向に沿って偏向することができる。
なお、この場合において、制御光CLとしては、回折格子86〜86で回折されない波長の光を用いる。
<第2変形例>
図16(B)は、この実施の形態の第2変形例の光偏向器88の構造を概略的に示す模式図である。
光偏向器88は、光偏向器80(第1変形例)と同様に、カー効果を用いて3次元導波路85〜85の屈折率n〜nを制御する。
光偏向器88は、バスライン90,90及び90が、3次元導波路85〜85を直列に接続している点が、光偏向器80と異なっている。
より詳細には、バスライン90は、3次元導波路85の他端部と、3次元導波路85の他端部とを光学的に接続している。バスライン90の途中には、制御光CLを所望の強度に制御する光減衰器又は光増幅器(以下、「光強度調整器」と称する。)92が介在されている。
バスライン90は、3次元導波路85の一端部と、3次元導波路85の一端部とを光学的に接続している。バスライン90の途中には光強度調整器92が介在されている。
バスライン90は、3次元導波路85の他端部と、3次元導波路85の他端部とを光学的に接続している。バスライン90の途中には光強度調整器92が介在されている。
光偏向器88では、カー効果を生じさせる制御光CLは、3次元導波路85の一端部から3次元導波路85へと入力され、他端部からバスライン90へと出力される。
バスライン90に入力された制御光CLは、光強度調整器92で所望の強度に制御された上で、3次元導波路85の他端部に入力され、3次元導波路85の一端部からバスライン90へと出力される。
バスライン90に入力された制御光CLは、光強度調整器92で所望の強度に制御された上で、3次元導波路85の一端部に入力され、3次元導波路85の他端部からバスライン90へと出力される。
バスライン90に入力された制御光CLは、光強度調整器92で所望の強度に制御された上で、3次元導波路85の他端部に入力される。
光偏向器88において、光強度調整器92,92及び92の光強度の減衰又は増幅比率を調整することにより、3次元導波路85〜85のそれぞれを伝播する制御光CLの光強度を調整することができる。
その結果、3次元導波路85〜85の屈折率を“n>n>n>n”となるように制御することができる。よって、この実施の形態で説明したと同様にして、出射光BOUT1〜BOUT4を、3次元導波路85〜85の並列方向に沿って偏向することができる。
(実施の形態6:光偏向器)
図17を参照して、実施の形態6の光偏向器について説明する。図17は、光偏向器の構造を、入射光及び出射光とともに概略的に示す平面図である。
機能的に見た場合、光偏向器100は、入射光BINを並列方向及び仰角方向の両方向に偏向させる点が光偏向器72(実施の形態5)と異なっている。
構造的に見た場合、光偏向器100は、第1電極78a,78a,78a及び78aのそれぞれが、互いに同形状のサブ電極10211〜10215,10221〜10225,10231〜10235及び10241〜10245に分割されている点が光偏向器72と異なっている。
より詳細には、第1電極78aは、互いに電気的に分離された5個のサブ電極10211〜10215に分割されている。また、サブ電極10211〜10215への印加電圧の大きさは、それぞれ独立して制御することができる。その結果、3次元導波路75の屈折率を、サブ電極10211〜10215ごとに、3次元導波路75の延在方向に沿って自在に変化させることができる。
他の第1電極78a〜78aについても同様である。つまり、個々のサブ電極10221〜10225,10231〜10235及び10241〜10245はそれぞれ電気的に分離されており、印加電圧の大きさを独立して制御することができる。その結果、3次元導波路75〜75の屈折率を、3次元導波路75〜75の延在方向に沿って自在に変化させることができる。
つまり、光偏向器100では、3次元導波路75〜75からなる構造体は、互いに独立して屈折率を制御可能な区画が4行×5列に配列されたマトリクスとなっている。
以下、サブ電極10211〜10215,10221〜10225,10231〜10235及び10241〜10245を総称して、「サブ電極群Sub」と称する。
したがって、サブ電極群Subを構成する個々のサブ電極に対する印加電圧を制御することにより、3次元導波路75〜75の屈折率を3次元導波路の延在方向にも、3次元導波路の並列方向にも自在に変更することができる。
その結果、上述(実施の形態5)したと同様の理由により、出射光BOUT1〜BOUT4を並列方向及び仰角方向の両方向に偏向させることができる。
次に、光偏向器100の奏する効果について説明する。
<効果1>
光偏向器100では、3次元導波路75〜75が、互いに独立して屈折率を制御可能な4行×5列の区画に分けられている。したがって、それぞれの区画に対する印加電圧を制御することにより、出射光BOUT1〜BOUT4を並列方向及び仰角方向の両方向に沿って偏向することができる。
実施の形態1のオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。 (A)は、回折効率sが0に近い場合の導波モード光の伝播の様子を示す模式図である。(A)は、回折効率sが1に近い場合の導波モード光の伝播の様子を示す模式図である。 (1)式から計算された放射モード光BOUTの位相遅延量Phと、回折効率sとの関係を示す図である。 (A1)〜(C2)は、回折格子の回折効率を変更する手法の説明に供する図である。 (A)は、実施の形態1の第1変形例に係るオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。(B)は、実施の形態1の第2変形例に係るオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。(C)は、実施の形態1の第3変形例に係るオールパス波長フィルタの断面構造を概略的に示す模式図である。 実施の形態2のオールパス波長フィルタの斜視図である。 実施の形態2の第1変形例に係るオールパス波長フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。 実施の形態3の光偏向器の断面構造を概略的に示す模式図である。 (A)及び(B)は、実施の形態3の光偏向器の設計条件の説明に用いる模式図である。 実施の形態3の第1変形例に係る光偏向器の構造を概略的に示す斜視図である。 実施の形態4の光偏向器の構造を、入射光及び出射光とともに概略的に示す斜視図である。 実施の形態4の光偏向器を入射光及び出射光とともに描いた平面図である。 実施の形態4の第1変形例に係る光偏向器の構造を概略的に示す斜視図である。 実施の形態5の光偏向器の構造を、入射光及び出射光とともに概略的に示す斜視図である。 実施の形態5の光偏向器を入射光及び出射光とともに描いた平面図である。 (A)及び(B)は、実施の形態5の第1及び第2変形例に係る光偏向器の構造を概略的に示す模式図である。 実施の形態6の光偏向器の構造を、入射光及び出射光とともに概略的に示す平面図である。
符号の説明
10,20,24,30,36,42,52,64〜64,74〜74 オールパス波長フィルタ
12 反射膜
12a,13a,14a,15a,38a,44a,54a 上面
13 ミラー
14,54 導波路
15,53,65〜65,75〜75,85〜85 3次元導波路
15b 側面
16,22,26,28,56,66〜66,76〜76,86〜86 回折格子
16a,58〜58 凸部
18,67,77 基板
18a,67a,77a 第1主面
18b 第2主面
IN,BIN1〜BIN4 入射光
OUT,BOUT1〜BOUT4 放射モード光(出射光)
導波モード光
32 導波路セグメント
34 セグメント導波路
38 導波路形成層
40a,55a,70a,78a〜78a 第1電極
40b,55b,70b,78b〜78b 第2電極
44 上部クラッド層
46a 第3電極
46b 第4電極
48 構造体
50,60,62,68,72,80,88,100 光偏向器
82,90〜90 バスライン
CL 制御光
84〜84 光パワースプリッタ
92〜92 光強度調整器
10211〜10245 サブ電極

Claims (13)

  1. 基板上に設けられた反射膜と、
    該反射膜上に形成されていて、導波モード光を伝播する導波路と、
    該導波路に光伝播方向に沿って周期的構造として設けられていて、入射光の特定波長成分を回折して前記導波モード光に変換し、かつ、該導波モード光を回折して放射モード光に変換して出射する回折格子と
    を含むことを特徴とするオールパス波長フィルタ。
  2. 前記回折格子が、前記導波路の、前記反射膜とは反対側の表面に形成されたレリーフ型回折格子であることを特徴とする請求項1に記載のオールパス波長フィルタ。
  3. 前記回折格子が、前記反射膜と前記導波路との境界に形成されたレリーフ型回折格子であることを特徴とする請求項1に記載のオールパス波長フィルタ。
  4. 前記回折格子が、前記導波路中に形成された屈折率変調型回折格子であることを特徴とする請求項1に記載のオールパス波長フィルタ。
  5. 前記導波路が、前記反射膜上に光伝播方向に沿って周期的に配置された複数の導波路セグメントからなるセグメント導波路であり、
    該セグメント導波路が前記回折格子を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載のオールパス波長フィルタ。
  6. 前記回折格子は、当該回折格子の領域内部において一定の回折効率を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のオールパス波長フィルタ。
  7. 前記回折効率は、0を超え、かつ0.3以下の範囲の値に設定されていることを特徴とする請求項6に記載のオールパス波長フィルタ。
  8. 前記導波路の屈折率を、当該導波路の領域内部において一様に変化させるための第1屈折率制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のオールパス波長フィルタ。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のオールパス波長フィルタを1個以上含む光偏向器であって、
    個々の前記回折格子は、前記導波路の延在方向に沿って同一の減少率で減少する回折効率を有していることを特徴とする光偏向器。
  10. 前記導波路の屈折率を、当該導波路の領域内部において一様に変化させるための第2屈折率制御手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の光偏向器。
  11. 請求項6に記載のオールパス波長フィルタの並列配置を含む光偏向器であって、
    前記回折効率が、前記並列配置における並列方向の一端側に位置するオールパス波長フィルタから、他端側に位置するオールパス波長フィルタにかけて減少することを特徴とする光偏向器。
  12. 前記導波路の屈折率を、全ての前記オールパス波長フィルタに共通して変化させるための第3屈折率制御手段を備えることを特徴とする請求項11に記載の光偏向器。
  13. 請求項6に記載のオールパス波長フィルタを1個以上用いた光偏向器であって、
    該オールパス波長フィルタが1個の場合には、前記導波路の屈折率が、前記オールパス波長フィルタの延在方向に沿って減少するように制御し、並びに、
    該オールパス波長フィルタが2個以上の場合には、当該オールパス波長フィルタが互いに並列に配置されており、かつ前記回折格子は、全ての前記オールパス波長フィルタに共通して等しい前記回折効率を有していて、前記導波路の屈折率を、前記オールパス波長フィルタの延在方向、及び、前記オールパス波長フィルタの並列方向の双方又はいずれか一方の方向に沿って減少するように制御する、
    第4屈折率制御手段を備えることを特徴とする光偏向器。
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