JP4389721B2 - 内燃機関のegr制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮自己着火運転と火花点火運転とを切換可能なガソリンエンジンに関する。
圧縮自己着火燃焼は燃焼室の多点で燃焼が開始されるため燃焼速度が速く、通常の火花点火燃焼に較べて空燃比がリーンな状態でも安定した燃焼を実現することができて燃料消費率の向上が可能であり、また、空燃比がリーンなため燃焼温度が低下することから、排気ガス中のNOxを大幅に低減することもできる。
しかし、ガソリンエンジンで圧縮自己着火燃焼を行うと、高回転・高負荷領域では、ノッキングが発生する可能性が高くなるため、火花点火運転に切換える必要がある。
そこで、特許文献1には、シリンダ内部に残留している未燃ガス(内部EGRガス)を取り囲むように、スワール流を形成した新気ガスをシリンダ内に供給する技術手段が開示されている。
特開2001−164979号
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、シリンダ内の外周側に低温の吸入ガスの流動を形成するので、圧縮比の高いシリンダ壁付近の温度が上昇しにくくなり、燃焼速度を低下させることができ、高回転・高負荷域でのノッキング防止をはかることはできるものの、低回転・低負荷域で失火する可能性がある。
そこで、本発明では低回転・低負荷域での失火と、高回転・高負荷域でのノッキング発生を防止することによって、圧縮自己着火運転可能な運転領域を拡大することを目的とする。
本発明の内燃機関のEGR制御装置は、ピストンの圧縮効果による自己着火によって混合気を燃焼させる圧縮自己着火運転と、火花点火によって混合気を燃焼させる火花点火運転とを、内燃機関の運転状態に応じて切換える運転切換え手段と、排気ガスの一部をEGRガスとして筒内に供給するEGR手段と、筒内に供給される吸入ガスのガス流動の制御と筒内に供給されるEGRガスのガス流動の制御を関連付けて制御するガス流動制御手段と、圧縮自己着火運転時に、前記EGR手段と前記ガス流動制御手段とを関連付けて制御することによって、筒内の吸入ガスとEGRガスとを層状化させる手段と、を備え、前記筒内ガス層状化手段は、圧縮自己着火運転時に筒内温度が所定値より低い場合には、EGRガスのガス流動が吸入ガスのガス流動より強くなるように前記ガス流動生起手段を制御して、EGRガスが吸入ガスを取り囲むようなガス分布を形成する一方、圧縮自己着火運転時に筒内温度が前記所定値以上の場合には、EGRガスのガス流動が吸入ガスのガス流動よりも弱くなるように前記ガス流動生起手段を制御して、EGRガスが吸入ガスに取り囲まれるようなガス分布を形成する。
本発明によれば、高温のEGRガスと低温の吸入ガスとを層状化させることができるので、筒内温度が低い場合にはEGRガス層が吸入ガス層を取り囲むようなガス分布にすることにより、EGRガス層が断熱層となることによってシリンダ壁への熱の放出が防止されて高温場で吸入ガスを燃焼させることができ、失火を防止できる。
また、筒内温度が高い場合には、EGRガス層が吸入ガス層の内周側になるようなガス分布にすることにより、吸入ガスからシリンダ壁へ熱が放出されることによって筒内温度の上昇を抑え、燃焼を緩慢にすることによりノッキングを防止することができる。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態のシステムの構成を表す図である。
3はピストン、30はシリンダヘッド、31はシリンダブロックであり、7はこれらピストン3、シリンダヘッド30、シリンダブロック31で形成される燃焼室である。
燃焼室7には、吸気ポート22、排気ポート23が開口しており、それぞれの開口部は吸気バルブ4、排気バルブ5によって開閉される。
吸気バルブ4、排気バルブ5はそれぞれ吸気カムシャフト11a、排気カムシャフト11bにより駆動され、ピストン3に応動して吸気ポート22、排気ポート23を開閉する。
なお、吸気カムシャフト11a、排気カムシャフト11bは、バルブ開閉時期を可変に制御可能な、いわゆる可変動弁機構を備えるものとする。可変動弁機構としては、他にも、バルブ開閉時期とバルブリフト量を可変に制御するもの、バルブ作動角とバルブリフト量を可変に制御するもの等が考えられ、これらのいずれを用いてもよい。また、吸気カムシャフト11aと排気シャフト11bの代わりに電磁駆動装置により吸気バルブ4、排気バルブ5を作動させ、電磁駆動装置の制御によってバルブ開閉時期を可変に制御することもできる。
また、燃焼室7の上面には、燃焼室内7の混合気に火花点火するための点火栓24、燃料噴射を行うインジェクタ18が配置される。
吸気ポート22には燃焼室7内部にガス流動を生起させるガス流動生成装置13が設けられ、その上流にはエアダクト1から吸入した吸気を圧縮する過給機2が設けられる。
過給機2の上流には燃焼室7に供給する吸気量を調節するスロットルバルブ17、その上流には吸気量を吸気流量を測定するエアフローメータ(以下、AFMという)16が設けられる。
また、過給機2の下流には吸気の圧力を検出する吸気圧センサ6が設けられる。
排気ポート23には、流路断面調節弁としてのガス流動生成装置13が設けられる。なお、吸気ポート22のガス流動生成装置13と同様のガス流動生成装置13が設けられる。本実施形態ではガス流動生成装置13として、スワール流を生成させるスワールコントロールバルブ(以下、SCVという)を用いる。以下、吸気側のガス流動生成装置13を吸気側SCV13a、排気側のガス流動生成装置13を排気側SCV13bとして区別する。
ここで、吸気側SCV13a、排気側SCV13bについて図5を参照して説明する。
吸気ポート22、排気ポート23はそれぞれ分岐しており、燃焼室7には吸気ポート開口部22a、22bと排気ポート開口部23a、23bが開口する。分岐した一方の吸気ポート22にSCV13が設けられる。なお、吸気側SCV13aと排気側SCV13bは、燃焼室7の中央に対して対向する側に設けられる。
SCV13は、いわゆるバタフライバルブであり、シャフトを軸として回転することにより、吸気通路や排気通路を開閉することができる。この開閉制御は後述するフローチャートにしたがって筒内ガス層状化手段としてのエンジンコントロールユニット(以下、ECUという)15により行われる。
吸気側SCV13aを閉じると、吸気は開口部22bからのみ燃焼室7に供給され、燃焼室7には図中矢印Sで示したようにスワール流が形成されて成層状態となる。
吸気側SCV13aを開くと、吸気は開口部22aおよび開口部22bから燃焼室7に供給されるので、燃焼室7内部で互いの流れが衝突するので、燃焼室7内は均質状態となる。
排気側SCV13bも吸気側SCV13aと同様の構造であり、閉じたときには後述する内部EGRが排気ポート開口部23aからのみ燃焼室7に供給されて矢印S示したスワール流を形成させ成層状態となり、開いたときには2つの排気ポート開口部23a、23bから供給されて均質状態となる。
排気側SCV13bの下流には、排気ガスの温度を検出する排気温センサ10が設けられる。
また、シリンダブロック31には、図示しないクランクシャフトの回転数を検出するクランク角センサ14が設けられる。
上記のAFM16、吸気圧センサ6、排気温センサ10、クランク角センサ14の検出信号は、ECU15に入力される。
ECU15はこれらの検出値および図示しないアクセル開度等に基づいて、燃料噴射量、点火時期、バルブ開閉時期等を決定し、そして運転切換え手段として火花点火運転と圧縮自己着火運転の切換を制御する。
次に、火花点火運転と圧縮自己着火運転の切換制御について図2のフローチャートを参照して説明する。
図2はECU15が実行する運転切換制御のフローチャートであり、燃焼状態や運転者の要求に応じて、圧縮自己着火運転と火花点火運転とを切換え、また、燃焼室7内部のガス流動を運転状態に応じて制御することによって、広い運転領域で自己着火運転を可能にしている。
以下、ステップにしたがって説明する。
ステップS1では、要求トルクT、エンジン回転数Neを検知する。エンジン回転数はクランク角センサ14により検出可能であり、要求トルクTは、例えばアクセル開度とエンジン回転数からマップ検索などにより算出することができる。
ステップS2ではステップS1で検知した値に基づいて、圧縮自己着火運転が可能か否かの判断を行う。
判断方法は、エンジン回転数Neが自己着火可能最低回転数Nel1以上、自己着火可能最高回転数Neh1以下であり、かつ要求トルクTが自己着火可能最低トルクTL1以上、自己着火可能最大トルクTH1以下である場合には圧縮自己着火運転可能と判断してステップS3に進み、それ以外の場合には圧縮自己着火運転不可能と判断して、ステップS15に進み、通常の火花点火運転を行う。
ステップS3では、圧縮自己着火制御の開始を決定する。
ステップS4では、排気温度センサ10により排気温を検出する。
ステップS5では、燃焼室7の温度である筒内温度Tempを予測する。筒内温度Tempは、排気温度に対してリニアに変化する特性をもつことがわかっているので、予め作成しておいたマップを排気温度で検索するなどして予測することが可能である。
ステップS6では筒内予測温度Tempが必要筒内温度Temp1より高いか否かの判定を行う。必要筒内温度Temp1とは、燃焼室7内部に発生した火炎がシリンダ壁付近で冷却されても消失することがない温度である。
筒内予測温度Tempが必要筒内温度Temp1より高い場合にはステップS7に進み、排気側SCV13bの開度を吸気側SCV13aの開度より大きくする。
筒内予測温度Tempが必要筒内温度Temp1より低い場合にはステップS13に進み、排気側SCV13bの開度を吸気側SCV13aの開度より小さくする。
ステップS8では吸気バルブ4、排気バルブ5の開閉時期を決定する。
ここで設定するバルブ開閉時期は、図3に示すように、排気バルブ5の閉弁時期EVCを上死点(以下、TDCという)より遅角する。これにより、燃焼室7から排気ポート23に排出された排気ガスを再度燃焼室7に吸入する内部EGRとして機能させることができる。つまり、本実施形態においては、ステップS8がEGR手段に相当する。
なお、燃焼室7に排気ガスが吸入される際に排気側SCV13bを開閉することにより、内部EGRのスワール流を制御することができる。
ステップS7では排気側SCV13bの開度を吸気側SCV13aよりも大きくしたので、吸気ポート22からの吸入空気が燃焼室7に再吸入されるEGRガスよりも強いスワール流を形成することになる。これにより吸入空気のスワール流がEGRガスを取り囲むようになり、燃焼室7内部のガス分布は内周側にEGR、外側に吸入空気という分布になる。
これにより、吸入空気からシリンダ壁面へ熱が放出されるために燃焼が緩慢になり、ノッキングが発生しにくくなるので、自己着火可能最大回転数Neh1、自己着火可能最大トルクTh1をより高く設定することが可能となる(ノッキング限界の拡大)。
また、ステップS13では、排気側SCV13bの開度を吸気側SCV13aよりも小さくしたので、燃焼室7に再吸入されるEGRガスが吸気ポート22からの吸入空気よりも強いスワール流を形成することになり、燃焼室7内部のガス分布は、外周側にEGR、その内側に吸入空気という分布になる。
これにより、シリンダ壁付近に形成された高温のEGRガス層が断熱層となって燃焼室7中心部は高温に保たれ、高温状態で混合気(吸入空気+ガソリン)を燃焼させることができるので、自己着火可能最低回転数Nel1、自己着火最低トルクTL1をより低く設定することが可能となる(失火限界の拡大)。上記のように、本実施形態では、ステップS7およびS13が燃焼室7の吸入空気(新気)とEGRガスとを層状化させる手段に相当する。
ここで、上記のノッキング限界、失火限界について図4を用いて説明する。
図4は自己着火運転が可能な運転領域をエンジン負荷、エンジン回転数に割り付けたマップであり、失火限界ラインとノック限界ラインとで囲まれた領域が自己着火運転可能領域である。失火限界ラインは高回転、高負荷になるほど高くなり、ノック限界ラインは低回転時には負荷が大きくなるほど高くなり、また中高回転時にはほぼ一定値となっている。
上述したように、失火限界を拡大すると失火限界ラインは低負荷側にシフトすることになり、ノック限界を拡大するとノック限界ラインは低回転側および高負荷側にシフトすることになる。つまり、自己着火運転可能な領域が拡大される。
フローチャートの説明に戻る。ステップS9では、例えば要求トルクTと吸入空気量とに基づいて燃料噴射量を決定する。
ステップS10では、ステップS9で決定した燃料を噴射する。
ステップS11では、燃焼室7内の圧力である筒内圧力Pを検知する。
ステップS12では、検知した筒内圧力Pと、圧縮自己着火燃焼に必要な最小圧力である最小筒内圧力P1とを比較し、最小筒内圧力P1の方が小さい場合には処理を終了し、大きい場合にはステップS14に進み、燃料噴射量を最小筒内圧P1を確保できる分だけ増量する。なお、ここで検出した筒内圧Pと増量した燃料噴射量は次回燃料噴射量にフィードバックされる。
上述したように、本制御では筒内温度Tempに応じて吸気側SCV13a、排気側SCV13bの開度、およびバルブ開閉時期を制御することによって燃焼室7内部の吸入空気と内部EGRのスワール流の分布を変化させている。
以上により本実施形態では、燃焼室7内の温度(筒内温度T)が高い場合には排気側SCV13bの開度を吸気側SCV13aの開度よりも大きくすることによって、吸入空気のスワール流を内部EGRのスワール流より強くし、燃焼室7の外周側に吸入空気、内周側に内部EGRガスというガス分布を形成する。これにより吸入空気からシリンダ壁面へ熱が放出されるために燃焼が緩慢になり、ノッキングが発生しにくくなるのでノック限界が拡大される。これにより、圧縮自己着火運転時の自己着火可能最大回転数Neh1、自己着火可能最大トルクTh1をより高く設定することが可能となる。
筒内温度Tが低い場合には排気側SCV13bの開度を吸気側SCV13aの開度よりも小さくすることによって、吸入空気のスワール流を内部EGRのスワール流より弱くし、燃焼室7の内周側に吸入空気、外周側に内部EGRガスというガス分布を形成する。これにより外周側、つまりシリンダ壁付近に形成された高温のEGRガス層が断熱層となって燃焼室7中心部は高温に保たれ、高温状態で混合気(吸入空気+ガソリン)を燃焼させることができるので、失火限界が拡大される。これにより、圧縮自己着火運転時の自己着火可能最低回転数Nel1、自己着火最低トルクTL1をより低く設定することが可能となる。
上記のようにノック限界および失火限界を拡大することにより、圧縮自己着火運転が可能な運転領域を拡大することができる。
なお、火花点火運転においても、上記と同様に燃焼室7内部のガス分布を制御することにより、ノック限界や失火限界による成層燃焼限界を拡大し、成層燃焼による運転領域を拡大することが可能である。
第2実施形態について説明する。
図6は本実施形態のシステムの構成を表す図である。第1実施形態との相違点は、排気側SCV13bの代わりに、EGR手段として、排気ポート23から吸気側SCV13aの上流に排気ガスを還流するためのEGR通路19およびEGR通路19を流れるEGR量を調節する弁手段としてのEGRバルブ20を備える点と、吸気側SCV13aの上流に吸気シャッターバルブ21を備える点である。
吸気シャッターバルブ21、EGR通路19、EGRバルブ20について、図7を参照して説明する。図7はEGR通路19と吸気ポート22の関係を表す概略図である。
本実施形態では、吸気ポート22は第1実施形態と同様に2つ吸気ポートS1、S2に分岐するが、吸気ポートS1は吸気ポートS2に比べてスワール流を形成することができるようになっている。また、分岐点には三方弁である吸気シャッターバルブ21が設けられており、吸入空気を吸気ポートS1、S2のいずれに流すかを制御することができる。
EGR通路19も分岐して、それぞれ吸気ポートS1、S2に合流する。分岐点には三方弁であるEGRバルブ20が設けられており、EGRを吸気ポートS1、S2のいずれに流すかを制御できる。また、EGR通路19の分岐点より排気通路側には、EGR通路19を通過するEGRガス量を制御するEGRバルブ24が設けられ、このEGRバルブ24の開度は、ECU15により運転状態に応じて制御される。
上記のEGRバルブ20、吸気シャッターバルブ21を互いに関連付けて制御し、吸気ポートS1、S2のいずれか一方には吸入空気、他方にはEGRを流すことにより、燃焼室7内部のガス分布を変化させることができる。
なお、EGR通路19にはEGRガスを昇温させるためのEGRヒータ22が設けられており、圧縮自己着火運転時にEGRガスを昇温させて、高温の状態で燃焼室7に供給することができる。
次に本実施形態においてECU15が実行する制御について図8のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の制御は基本的に第1実施形態と同様に、燃焼室7内部のEGRガスと吸入空気の分布を制御することによってノック限界、失火限界を拡大するためのものであり、図8のフローチャートは、図2のステップS7、S13に相当するステップS27、S33だけが異なる。
以下、ステップS27、S33について説明する。
ステップS27では、吸気シャッターバルブ21は吸入空気が吸気ポートS1に流れるように、そしてEGRバルブ20はEGRが吸気ポートS2に流れるように、それぞれ切換える。
これにより、強いスワール流を形成する吸入空気が、それよりも弱いスワール流を形成するEGRを取り囲むようになり、ステップS7と同様に、燃焼室7内部は、外側に吸入空気、内側にEGRというガス分布になる。
ステップS33では、吸気シャッターバルブ21は吸入空気が吸気ポートS2に流れるように、そしてEGRバルブ20はEGRが吸気ポートS1に流れるように、それぞれ切換える。
これにより、強いスワール流を形成するEGRが、それよりも弱いスワール流を形成する吸入空気を取り囲むようになり、ステップS13と同様に、燃焼室7内部は、外側にEGR、内側に吸入空気というガス分布になる。
以上により、本実施形態では第1実施形態と同様に、燃焼室7内の温度(筒内温度T)が高い場合には吸入空気のスワール流を内部EGRのスワール流より強くし、燃焼室7の外周側に吸入空気、内周側に内部EGRガスというガス分布を形成する。これにより吸入空気からシリンダ壁面へ熱が放出されるために燃焼が緩慢になり、ノッキングが発生しにくくなり、ノック限界を拡大される。これにより、圧縮自己着火運転時の自己着火可能最大回転数Neh1、自己着火可能最大トルクTh1をより高く設定することができる。
筒内温度Tが低い場合には、吸入空気のスワール流を内部EGRのスワール流より弱くし、燃焼室7の内周側に吸入空気、外周側に内部EGRガスというガス分布を形成する。これにより外周側、つまりシリンダ壁付近に形成された高温のEGRガス層が断熱層となって燃焼室7中心部は高温に保たれ、高温状態で混合気(吸入空気+ガソリン)を燃焼させることができるので、失火限界が拡大される。これにより、圧縮自己着火運転時の自己着火可能最低回転数Nel1、自己着火最低トルクTL1をより低く設定することができる。
上記のようにノック限界および失火限界を拡大することにより、圧縮自己着火運転が可能な運転領域を拡大することができる。
なお、本実施形態ではスワール流を形成する場合について説明したが、吸気側SCV13a、排気側SCV13bの代わりにタンブルコントロールバルブを設け、タンブル流を形成させる場合についても適用可能である。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
本発明は、圧縮自己着火運転を行うガソリンエンジンに適用可能である。
第1実施形態のシステムの構成を表す図である。 第1実施形態の制御フローチャートである。 バルブタイミングを説明するための図である。 自己着火運転が可能な領域をエンジン負荷、エンジン回転数に割り付けたマップである。 燃焼室内のガス流動を説明するための図である。 第2実施形態のシステムの構成を表す図である。 第2実施形態のガス流動形成方法について説明するための図である。 第2実施形態の制御フローチャートである。
符号の説明
1 エアダクト
2 過給機
3 エンジン
4 吸気バルブ
5 排気バルブ
6 吸気圧センサ
7 燃焼室
10 排気温センサ
11a吸気カムシャフト
11b排気カムシャフト
13 ガス流動生成装置
14 クランク角センサ
15 ECU
16 エアフローメータ
17 スロットルバルブ
18 インジェクタ
19 EGR通路
20 EGRバルブ
21 吸気シャッターバルブ
22 吸気ポート
23 排気ポート

Claims (5)

  1. ピストンの圧縮効果による自己着火によって混合気を燃焼させる圧縮自己着火運転と、火花点火によって混合気を燃焼させる火花点火運転とを、内燃機関の運転状態に応じて切換える運転切換え手段と、
    排気ガスの一部をEGRガスとして筒内に供給するEGR手段と、
    筒内に供給されるEGRガスと吸入ガスに、それぞれ異なる強さのガス流動を生起させるガス流動生起手段と、
    圧縮自己着火運転時に、前記EGR手段と前記ガス流動生起手段とを関連付けて制御することによって、筒内のEGRガスと吸入ガスとを層状化させる筒内ガス層状化手段と、を備え
    前記筒内ガス層状化手段は、圧縮自己着火運転時に筒内温度が所定値より低い場合には、EGRガスのガス流動が吸入ガスのガス流動より強くなるように前記ガス流動生起手段を制御して、EGRガスが吸入ガスを取り囲むようなガス分布を形成する一方、圧縮自己着火運転時に筒内温度が前記所定値以上の場合には、EGRガスのガス流動が吸入ガスのガス流動よりも弱くなるように前記ガス流動生起手段を制御して、EGRガスが吸入ガスに取り囲まれるようなガス分布を形成する
    ことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
  2. 前記ガス流動生起手段として、排気通路から直接筒内に供給されるEGRガスにガス流動を生起させる第1のガス流動生成弁を排気通路に備える請求項1に記載の内燃機関のEGR制御装置。
  3. ピストンの圧縮効果による自己着火によって混合気を燃焼させる圧縮自己着火運転と、火花点火によって混合気を燃焼させる火花点火運転とを、内燃機関の運転状態に応じて切換える運転切換え手段と、
    排気ガスの一部をEGRガスとして筒内に供給するEGR手段と、
    筒内に供給されるEGRガスと吸入ガスに、それぞれ異なる強さのガス流動を生起させるガス流動生起手段と、
    圧縮自己着火運転時に、前記EGR手段と前記ガス流動生起手段とを関連付けて制御することによって、筒内のEGRガスと吸入ガスとを層状化させる筒内ガス層状化手段と、を備え、
    一の吸気通路が、それぞれ異なる強さのガス流動を生起するよう形成された複数の吸気通路に分岐しており、
    前記EGR手段として、排気通路に入口を有し、途中で分岐して前記複数の吸気通路にそれぞれ出口を有するEGR配管と、
    前記EGR配管を流れるEGRガス量を調節する弁手段と、を備え、
    前記ガス流動生起手段として、
    前記吸気通路の分岐点に第1流路切換弁を、そして前記EGR配管の分岐点に第2流路切換弁を備え、
    前記ガス層状化手段は、いずれか一つの吸気通路に吸入ガスを導入し、吸入ガスを導入した吸気通路とは別の吸気通路にEGRガスを導入するよう、前記第1流路切換弁および第2流路切換弁を制御する
    ことを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
  4. 排気温度を検出する排気温度検出手段を備え、
    検出した排気温度に基づいて前記筒内温度を推定する請求項1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関のEGR制御装置。
  5. 筒内に噴射する燃料量を制御する燃料噴射量制御手段と、
    運転中に筒内圧力を検知する筒内圧検知手段を備え、
    前記燃料噴射量制御手段は、前記筒内圧検知手段により検知した筒内圧力に基づいて燃料噴射量をフィードバック制御する請求項1〜のいずれか一つに記載の内燃機関のEGR制御装置。
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