JP4389551B2 - 発色性超格子構造体の製造方法 - Google Patents

発色性超格子構造体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4389551B2
JP4389551B2 JP2003374787A JP2003374787A JP4389551B2 JP 4389551 B2 JP4389551 B2 JP 4389551B2 JP 2003374787 A JP2003374787 A JP 2003374787A JP 2003374787 A JP2003374787 A JP 2003374787A JP 4389551 B2 JP4389551 B2 JP 4389551B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
superlattice structure
shell type
microsphere
microspheres
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003374787A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005139232A (ja
Inventor
浩二 石津
亨 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2003374787A priority Critical patent/JP4389551B2/ja
Publication of JP2005139232A publication Critical patent/JP2005139232A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4389551B2 publication Critical patent/JP4389551B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Description

本発明は、自然光で発色する透明膜や光による大容量記録媒体等として利用可能な発色性超格子構造体の製造方法に関するものである。更に詳しくは、発色性超格子構造体を構成する微細な粒子(ミクロスフェア)の粒子径を制御できるために発色光の色調制御が容易であり、かつミクロスフェアによる超格子配列が安定であるために発色が鮮明な発色性超格子構造体の製造方法に関するものである。
従来より、顔料や染料を使用することなく光の回折現象により、自然光に晒すだけで自ら発色する発色性超格子構造体が知られている。例えば、微小球状粒子としてメチルメタクリレートとジビニルベンゼンとの共重合体を乳化重合法により得、それを乾燥した後、有機懸濁媒質となるメチルメタクリレートとジビニルベンゼンとの混合単量体中で、アゾビスイソブチロニトリルを重合触媒として重合することにより虹彩発現組成物を得ている(特許文献1を参照)。
また、アニオン重合法で合成されたポリスチレンとポリ(4−ビニルピリジン)のブロック共重合体のミクロ相分離膜中において、ポリ(4−ビニルピリジン)部を1,4−ジブロモブタンで架橋してミクロスフェアを合成している(非特許文献1を参照)。このミクロスフェアの粒子径は最も大きいもので190nmであり、ポリメチルメタクリレートのマトリックス中で超格子構造を形成させて青色に発色するフィルムを得ている。
特公昭53−31173号公報(第10頁) Macromolecular Rapid Communications 2003, 24, 291-302 (Published Online: 13 Mar 2003)
ところが、上記特許文献1に記載の技術では微小球状粒子を乳化重合法により得ているため、粒子径の均一化が不十分であり、かつ乳化重合法を経る場合には避けられない水分の除去工程において粒子相互が凝結して粒子径の分布が不均一になるという問題があった。
一方、非特許文献1に記載の技術では、ミクロ相分離構造を利用した合成法は、その粒子径が前駆体であるブロック共重合体の分子量により一義的に決まるため、粒子径を制御するためにはその都度ブロック共重合体を合成する必要があった。更に、発色性超格子構造体を形成させるためには数百nmという大きな粒子径が必要であるが、そのためのブロック共重合体の分子量は100万に近い値であり、このような分子量の大きいブロック共重合体を合成することは非常に困難であった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ミクロスフェアの粒子径を簡単に制御でき、発色光の色調制御が容易であり、かつ超格子構造が安定であるために発色が鮮明な発色性超格子構造体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記の目的を達成するために鋭意研究した結果、コア−シェル型ミクロスフェアをラジカル重合法で得ることにより、前記目的を達成することができるとの知見を得て本発明を完成した。
の発明の発色性超格子構造体の製造方法は、内核を形成するための4−ビニルピリジン及びジエチレングリコールジメタクリレートと外殻を形成するための末端ビニルベンジル型ポリスチレンマクロモノマーとを非水溶媒系でラジカル重合法により重合して得られる、内核とその周囲に形成される外殻とからなるコア−シェル型ミクロスフェアが、メチルメタクリレートを含むモノマーを重合してなるマトリックスポリマー中に分散されて構成されている発色性超格子構造体の製造方法であって、次の各工程よりなることを特徴とするものである。
(A)末端ビニルベンジル型ポリスチレンマクロモノマー、4−ビニルピリジン及びジエチレングリコールジメタクリレートを有機溶媒中で共重合してコア−シェル型ミクロスフェアを製造する第1工程。
(B)第1工程で得られたコア−シェル型ミクロスフェアにクロロメチルメチルエーテルを反応させてクロロメチル基を有するコア−シェル型ミクロスフェアとし、それにN,N’−ジエチルジチオカルバミン酸塩を反応させてジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアを製造する第2工程。
(C)第2工程で得られたジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェア、及びメチルメタクリレートを含むモノマーを重合させて発色性超格子構造体を製造する第3工程。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる
の発明の発色性超格子構造体の製造方法によれば、発色性超格子構造体を確実に製造することができる。得られた発色性超格子構造体によれば、内核を形成するためのモノマーと外殻を形成するためのポリスチレン系マクロモノマーとを乳化重合法ではなく非水溶媒系でラジカル重合法により重合することから、ミクロスフェアの粒子径を簡単に制御でき、発色光の色調制御が容易となる。従って、超格子構造が安定となり、その結果発色性超格子構造体の発色が鮮明となる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の発色性超格子構造体は、内核を形成するためのモノマーと外殻を形成するためのポリスチレン系マクロモノマーとを非水溶媒系でラジカル重合法により重合して得られる内核と、その周囲に形成される外殻とからなるコア−シェル型ミクロスフェアが、マトリックスポリマー中に分散されて構成されている。発色性超格子構造体は、内核がほぼ球状をなし、その内核の周囲に数百から数千本の枝状をなすポリスチレン系マクロモノマーよりなる外殻が付いた構造を有している。発色性超格子構造体は、内核と外殻とよりなるコア−シェル型ミクロスフェアの規則的な三次元配列構造(最密充填構造)に帰因して、後述する可視光のブラッグ反射光が赤、緑、青等の特有の発色を呈する構造体である。最密充填構造は、コア−シェル型ミクロスフェアが隙間なく配列された状態を意味するが、電気的排斥力等により一定の間隔を維持できるのであれば隙間があいていてもよい。
コア−シェル型ミクロスフェアとは、内核を形成するためのモノマーと外殻を形成するためのポリスチレン系マクロモノマーとを非水溶媒系でのラジカル重合法により重合して得られるもので、内核とその周囲に形成される外殻とからなる微細な粒子(微粒子)である。具体的には、内核の周囲に外殻が形成されて発色性超格子構造体を形成するもので、粒子径(外殻の直径)が190〜330nm程度のほぼ球状をなす微粒子である。更に、コア−シェル型ミクロスフェアは、その表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を有することが好ましい。そのような重合開始能のあるジチオカルバメート基によりマトリックスを形成するモノマーを容易に重合させて超格子構造体を得ることができる。
前記マトリックスポリマーは、コア−シェル型ミクロスフェアが分散される母材(分散媒)となるもので、コア−シェル型ミクロスフェアの表面に化学結合されていることが好ましい。この化学結合により、ミクロスフェアがマトリックスポリマー中で最密充填構造を保持することができる。従って、超格子構造(配列)がより安定となり、発色性超格子構造体による発色が一層鮮明となる。
内核を形成するためのモノマーとしては、4−ビニルピリジン及びスチレンのほか、メチルメタクリレート等のメタクリレート類が使用可能であるが、ポリメチルメタクリレート等のマトリックスと屈折率の差をつけることによって、より鮮やかな発色を発現させるという点から窒素原子を有するモノマーとして4−ビニルピリジンが好ましい。
一方、外殻を形成するためのマクロモノマーは、官能基を容易に導入できるという点からポリスチレン系マクロモノマーである。このポリスチレン系マクロモノマーは、スチレンを主成分とするモノマーを重合して得られるものであり、例えばスチレンを主成分とし、(メタ)アクリレートを含むモノマー混合物を重合して得られるものであってもよい。また、マクロモノマーの製造は、粒子径の均一性が高く、分子量分布を狭く(シャープに)するために、アニオン重合法によって得られたものであることが好ましい。例えば、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを用い、ベンゼン又はトルエン溶媒中でスチレンを重合し、得られるリビングアニオンを過剰のp−クロロメチルスチレンとテトラヒドロフラン(THF)の混合溶液中に加えて重合を停止することにより行われる。
前記コア−シェル型ミクロスフェアを得る方法としては、通常内核ポリマーとなる原料モノマーとポリスチレン系マクロモノマーとを非水溶媒系で分散重合、例えば非水溶媒として1,4−ジオキサンを用いて重合させる方法が採用される。この場合、4−ビニルピリジンモノマーとポリスチレン系マクロモノマーとを非水溶媒系で分散重合により重合させてコア−シェル型ミクロスフェアを製造する方法が非水溶媒系中でのポリ(4−ビニルピリジン)とポリスチレンとの溶解性の差のため均一な粒子が生成可能である点から好ましい。このとき、ポリスチレン系マクロモノマーは重合生成物としてのミクロスフェアを微粒子状に分散させるための分散剤(界面活性剤)としての役割と原料モノマーと共重合するモノマーとしての役割とを果たす。
表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアの製造方法は、上記のようにして得られるコア−シェル型ミクロスフェアの表面(外殻)をクロロメチル化した後、ジチオカルバメート化することにより得られる。クロロメチル化は通常クロロメチルメチルエーテルを用いて行われ、p位にクロロメチル基が導入される。ジチオカルバメート化は、クロロメチル基と反応するN,N−ジエチルジチオカルバミン酸塩を用いて行われる。
発色性超格子構造体の製造方法は、上記製造方法によって得られた表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアを、マトリックスポリマーを形成するためのモノマー中に分散させて超格子構造に配列させた後、活性エネルギー線を照射して重合させることにより行われる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が用いられる。
また、コア−シェル型ミクロスフェアの表面にマトリックスポリマーを化学結合させる方法としては、安定な発色性超格子構造体が得られる限り、公知の全ての方法を採用可能である。この場合、前述のように、ミクロスフェア表面をクロロメチル化、続いてジチオカルバメート化することにより表面に重合開始能を有するミクロスフェアを製造後、マトリックスとなるモノマー中にミクロスフェアを分散させて超格子構造に配列させた後、活性エネルギー線により重合させる方法が好ましい。その理由は、ジチオカルバメート基を用いた重合がリビング的に進行するため、ミクロスフェア表面全体から均一に重合が開始するためである。超格子構造に配列させるというのは、マトリックスとなるモノマー中にミクロスフェアを分散させた状態を一定期間、例えば室温で半日間保持し、ミクロスフェアの粒子が最密充填構造をとるように処理することをいう。
前記発色性超格子構造体の製造方法として最も好ましい方法は、粒子径の簡便な制御と粒子表面の官能基化の点から次の工程を経る製造方法である。
(A)末端ビニルベンジル型ポリスチレンマクロモノマー、4−ビニルピリジン及びジエチレングリコールジメタクリレートを有機溶媒中で共重合してコア−シェル型ミクロスフェアを製造する第1工程。この方法により、コア−シェル型ミクロスフェアをより均一なものにすることができる。しかも、ジエチレングリコールジメタクリレートは架橋剤であり、架橋反応を行わせることによって、内核に架橋構造を形成してコア−シェル構造を確実に維持することができる。
(B)コア−シェル型ミクロスフェアにクロロメチルメチルエーテルを反応させてクロロメチル基を有するコア−シェル型ミクロスフェアとし、それにN,N−ジエチルジチオカルバミン酸塩を反応させてジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアを製造する第2工程。
(C)ジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェア、メチルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートを共重合させて発色性超格子構造体を製造する第3工程。エチレングリコールジメタクリレートは架橋剤であり、マトリックスポリマーを架橋構造とし、発色性超格子構造体が溶剤で溶解しないようにすることができる。架橋剤として、ジビニルベンゼン等を使用することもできる。
前記発色性超格子構造体は、前述のようにコア−シェル型ミクロスフェアの規則的な三次元配列構造に基づき自然光(可視光)についてのブラッグ(Bragg)の回折による反射光が特有の発色を呈する構造体である。即ち、自然光による発色は、光の回折現象に基づくものであり、光の波長をλ、入射角をθ、屈折率をn及びミクロスフェアの層間距離をdとすると、次の関係式が成り立つ。
λ=2ndsinθ
従って、この発色性超格子構造体の発光色の制御は、屈折率nやミクロスフェアの層間距離dを変更することによって行うことができる。つまり、コア−シェル型ミクロスフェアの大きさ、配列、屈折率(n)等を変更することにより行うことができる。具体的には、ミクロスフェアを製造する場合のモノマーの量、マクロモノマーの分子量、溶媒量等を変化させることによって行なうことができる。例えば、発色光を青色にする場合にはコア−シェル型ミクロスフェアの粒子径、即ち外殻の直径を190〜220nm、発色光を緑色にする場合にはその粒子径を230〜255nm、及び発色光を赤色にする場合にはその粒子径を265〜330nmに設計する。
上述した発色性超格子構造体の利用法としては、次のような例が挙げられる。第1に、マトリックスをアクリル酸系樹脂とする透明膜(例えば、厚さ100μm)は、染料や顔料を用いた塗料を使用せずに自然光で発色するので、環境に配慮し、かつ耐久性が要求される種々の物に利用可能である。第2に、アゾベンゼンのシス−トランス変化による光磁気ディスクのような大容量記録媒体に利用可能である。
さて、コア−シェル型ミクロスフェアを製造する場合には、まずアニオン重合法によりポリスチレン系マクロモノマーを得ておく。得られたポリスチレン系マクロモノマーは粒子径の均一性が高いものである。このポリスチレン系マクロモノマーを外殻を形成するために用い、内核を形成するための4−ビニルピリジンとを、非水溶媒としての1,4−ジオキサン中でラジカル重合法により重合を行う。得られた重合溶液をメタノール等の有機溶媒中に投入してミクロスフェアのみを沈殿させる。このとき、ポリスチレン系マクロモノマーは粒子径の均一性が高く、界面活性作用を示すものと推定され、得られるミクロスフェアは均一性が良く、また従来の乳化重合法で見られたような水分除去によるミクロスフェア相互の凝結が抑制される。
続いて、ミクロスフェアの外殻をクロロメチルメチルエーテルによりクロロメチル化した後、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸塩によりジチオカルバメート化し、表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を導入する。次いで、このミクロスフェアをマトリックスポリマーを形成するためのメチルメタクリレート中に分散させ、一定時間放置して超格子構造に配列させた後、活性エネルギー線を照射して重合反応を行う。
このとき、ミクロスフェアの表面には重合開始能のあるジチオカルバメート基が導入されているため、重合反応が速やかに進行すると同時に、ミクロスフェアが最密充填配置をとるように整列された後にマトリックスポリマーであるポリメチルメタクリレートがミクロスフェア表面に化学結合される。そのため、発色性超格子構造体の超格子構造が保持(固定)される。前記ミクロスフェアの粒子径を制御する場合には、例えばポリスチレン系マクロモノマーに対する4−ビニルピリジン量を調整することにより、ミクロスフェアの粒子径を簡単に変えることができる。このようにして、目的とする発色性超格子構造体が得られ、自然光による発色を青色から赤色まで任意に制御することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の発色性超格子構造体は、内核を形成するためのモノマーと外殻を形成するためのポリスチレン系マクロモノマーとを非水溶媒系でラジカル重合法により重合することによって得られる。このため、ミクロスフェアの粒子径を乳化重合法によって得られるミクロスフェアの粒子径に比べて簡単に制御でき、発色光の色調制御が容易となる。また、ミクロスフェアの粒子が均一なものとなることから、超格子構造が安定となり、その結果発色性超格子構造体の発色が鮮明となる。
更に、マトリックスポリマーがコア−シェル型ミクロスフェアの表面に化学結合されることにより、ミクロスフェアが最密充填配置をとるように整列されて形成された超格子構造が保持される。従って、超格子構造がより安定となり、発色性超格子構造体の発色が一層鮮明となる。
・ コア−シェル型ミクロスフェアは発色性超格子構造体を製造するときの中間体となるもので、非水溶媒系でラジカル重合法によりその粒子径を簡単に制御することができる。このため、コア−シェル型ミクロスフェアより得られる発色性超格子構造体の発色光の色調制御がより容易になる。
・ コア−シェル型ミクロスフェアは、内核を形成するためのモノマーとしての4−ビニルピリジンモノマーと、ポリスチレン系マクロモノマーとを非水溶媒系でラジカル重合させることによって容易に製造することができる。このコア−シェル型ミクロスフェアの表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を有するようにするためには、コア−シェル型ミクロスフェアの外殻をクロロメチル化した後、ジチオカルバメート化することにより容易に行われる。この場合、ジチオカルバメート基によりマトリックスモノマーを容易に重合させて、発色性超格子構造体を得ることができる。
・ 発色性超格子構造体は、表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアを、マトリックスポリマーを形成するためのモノマー中に分散させて超格子構造に配列させた後、活性エネルギー線照射により重合させることによって容易に得られる。
以下に実施例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
まず、非水溶媒系での分散重合に用いる分散剤として末端ビニルベンジル型ポリスチレンマクロモノマーをアニオン重合法により合成した。即ち、重合系内を窒素置換したガラス容器中に、溶媒としてベンゼン100g、重合開始剤として市販されているn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6mol%)1.0gを加えた。この中にモノマーとしてスチレン9gを溶解したベンゼン溶液100gを氷浴中で冷やしながら徐々に滴下した。そして、30分間重合を行った後、溶媒をベンゼンからテトラヒドロフランに交換し、p−クロロメチルスチレン2gのテトラヒドロフラン溶液100g中へ滴下して重合を停止させた。この重合溶液をメタノール中へ滴下し、高分子成分のみを再沈殿したところ、分子量4400、末端にビニルベンジル基がほぼ100%導入されたマクロモノマーを得た。
このマクロモノマー0.2g、モノマーとして4−ビニルピリジンを0.048g、架橋剤としてジエチレングリコールジメタクリレートを0.021g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル30mg、非水溶媒として1,4−ジオキサン30gを窒素置換されたガラス容器に入れ封管した。そして、非水溶媒系で60℃で24時間、振盪攪拌(振盪速度150回/分)にてラジカル重合(分散重合)を行った。重合終了後、重合溶液をメタノール中へ滴下し、ミクロスフェアのみを再沈殿した。得られたミクロスフェアの粒子径を電子顕微鏡にて測定したところ220nm(粒子径分布Dw/Dn=1.03)であった。
ミクロスフェアの表面に存在するポリスチレンのクロロメチル化は、ニトロベンゼン6g中にミクロスフェア0.2g、塩化亜鉛0.02g、クロロメチルメチルエーテル4gを加え、1時間反応させることより行った。この反応により、全ポリスチレンのうちの16%がクロロメチル化された。
次に、ミクロスフェア表面のクロロメチル基からジチオカルバメート基への変換は、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒20gに、クロロメチル化されたミクロスフェア0.2gと過剰量のN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを加え、暗室条件下で一昼夜反応させることによって行った。この反応によりクロロメチル基がほぼ100%ジチオカルバメート基へと変換された。このジチオカルバメート基は紫外線の照射等によって容易に開裂してラジカルを生成することから、得られたミクロスフェアは表面に重合開始能を有するミクロスフェアであることが確認された。
続いて、表面に重合開始能を有するミクロスフェアをメチルメタクリレートモノマー中に、ミクロスフェア濃度が10%となるように分散させて分散溶液を得た。そして、2枚のガラス板間の間隙にこの分散溶液を入れてしばらく静置し、安定な超格子構造を形成させた。その後、紫外線発生装置(ウシオ電機製、商品名:UV−2506)を用い、分散溶液にガラス板を介して紫外線を照射した。紫外線を1時間照射したところ、分散液は完全に固化してフィルムとなり、淡い青色を発した。このフィルムの薄膜切片を電子顕微鏡により観察したところ、粒子径220nmのミクロスフェアがマトリクス中で最密充填構造をとっていることが確認された。
(実施例2)
実施例1の4−ビニルピリジン量を0.048gから0.073gに変更する以外、全て実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムは淡い赤色を発した。このフィルムの薄膜切片を電子顕微鏡により観察したところ、粒子径300nmのミクロスフェアがマトリクス中で最密充填構造をとっていることが確認された。
(実施例3)
実施例1の4−ビニルピリジン量を0.048gから0.060gに変更した以外、全て実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムは淡い緑色を発した。このフィルムの薄膜切片を電子顕微鏡により観察したところ、粒子径250nmのミクロスフェアがマトリクス中で最密充填構造をとっていることが確認された。
(実施例4)
実施例1の4−ビニルピリジン量を0.048gから0.096gに変更すると共に、ポリスチレンマクロモノマーの分子量を4400から26000に大きくしたものを使用した以外、全て実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムは淡い青色を発した。このフィルムの薄膜切片を電子顕微鏡により観察したところ、粒子径220nmのミクロスフェアがマトリクス中で最密充填構造をとっていることが確認された。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ マトリックスポリマーはコア−シェル型ミクロスフェアの表面に必ずしも化学結合されている必要はなく、化学結合されていなくてもよい。
・ 外殻を形成するためのマクロモノマーは、ラジカル重合法によって形成されたものであってもよい。
・ コア−シェル型ミクロスフェアや表面に重合開始能のあるジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアを発色性超格子構造体の中間体以外の用途、例えば重合原料等の用途に使用することも可能である。
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記ポリスチレン系マクロモノマーは、アニオン重合法によって得られたものである請求項1に記載の発色性超格子構造体の製造方法。このように構成した場合、ポリスチレン系マクロモノマーの粒子径の均一性を高め、分子量分布をシャープにすることができる。

Claims (1)

  1. 内核を形成するための4−ビニルピリジン及びジエチレングリコールジメタクリレートと外殻を形成するための末端ビニルベンジル型ポリスチレンマクロモノマーとを非水溶媒系でラジカル重合法により重合して得られる、内核とその周囲に形成される外殻とからなるコア−シェル型ミクロスフェアが、メチルメタクリレートを含むモノマーを重合してなるマトリックスポリマー中に分散されて構成されている発色性超格子構造体の製造方法であって、次の各工程よりなることを特徴とする発色性超格子構造体の製造方法。
    (A)末端ビニルベンジル型ポリスチレンマクロモノマー、4−ビニルピリジン及びジエチレングリコールジメタクリレートを有機溶媒中で共重合してコア−シェル型ミクロスフェアを製造する第1工程。
    (B)第1工程で得られたコア−シェル型ミクロスフェアにクロロメチルメチルエーテルを反応させてクロロメチル基を有するコア−シェル型ミクロスフェアとし、それにN,N’−ジエチルジチオカルバミン酸塩を反応させてジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェアを製造する第2工程。
    (C)第2工程で得られたジチオカルバメート基を有するコア−シェル型ミクロスフェア、及びメチルメタクリレートを含むモノマーを重合させて発色性超格子構造体を製造する第3工程。
JP2003374787A 2003-11-04 2003-11-04 発色性超格子構造体の製造方法 Expired - Fee Related JP4389551B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003374787A JP4389551B2 (ja) 2003-11-04 2003-11-04 発色性超格子構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003374787A JP4389551B2 (ja) 2003-11-04 2003-11-04 発色性超格子構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005139232A JP2005139232A (ja) 2005-06-02
JP4389551B2 true JP4389551B2 (ja) 2009-12-24

Family

ID=34686400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003374787A Expired - Fee Related JP4389551B2 (ja) 2003-11-04 2003-11-04 発色性超格子構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4389551B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005139232A (ja) 2005-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gallei Functional Polymer Opals and Porous Materials by Shear‐Induced Assembly of Tailor‐Made Particles
JP6513273B1 (ja) 樹脂粒子
US20090269579A1 (en) Multilayer structured particle
CN110041464A (zh) 一种高强度光子晶体水凝胶及其制备方法和应用
US9720135B2 (en) Retroreflective colorants
Yang et al. Photo‐responsive block copolymer containing azobenzene group: Synthesis by reversible addition‐fragmentation chain transfer polymerization and characterization
JP4389551B2 (ja) 発色性超格子構造体の製造方法
CN110746744B (zh) 一种高色彩饱和度的亲油性光子纳米磁性链及其制备方法
JP2007030373A (ja) 成形体の製造方法
EP1276774A1 (en) Photochromic article and method of preparation
CN114479689A (zh) 量子点防蓝光保护膜及其制备方法
JP2003094546A (ja) 高分子微粒子層積層体
CN107955477B (zh) 血红细胞状胶体粒子和球形胶体粒子组装体及其制备方法与应用
JP2010131525A (ja) ポリマーで固定化されたコロイド結晶及びその製造方法
JP2008255316A (ja) 多層構造非球状粒子
Kim et al. Permanent locking of colloidal crystals composed of core‐brush polymeric nanoparticles
KR100479758B1 (ko) 블록 공중합체의 자기조립체 제조 방법 및 크로머포어가나노 캡슐화된 블록 공중합체의 자기조립체
WO2022247469A1 (zh) 全息记录介质、全息高分子材料及其制备方法、显示设备
CN115335436A (zh) 具有结构显色性的高分子微粒
Ishizu et al. A new class of holographic recording constructed by hyperbranched polymers dispersed in photopolymer film
KR101302487B1 (ko) 가교 시드 입자를 사용한 단분산 폴리아닐린 복합체 입자의 제조방법
Ishizu Architecture of polymeric superstructures constructed by mesoscopically ordered cubic lattices
US20240084481A1 (en) Fabrication technique for hydrogel films containing micropatterned opal structures
KR102455608B1 (ko) 색 변환 다공성 하이드로젤 구조체, 이의 제조 방법 및 제조된 하이드로젤 구조체의 구조색 조절 방법
JPH0498201A (ja) 光学フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061030

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081002

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090915

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090928

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4389551

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131016

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees