JP4389264B2 - ブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は廃棄処分されることになったブレーカーをマテリアルリサイクル処理する方法に関する。
ブレーカー(端子台付きブレーカーも含む)はプラスチックと金属とで構成されているが、再利用の可否検査により不良品と判定された物は、廃棄処分もしくは金属含有プラスチック廃棄物としてサーマルリサイクルされている。また、ブレーカー中の金属のみを分別回収しリサイクルしている例もあるが、手分別であるため大量処理できないのが現状である。
ところで、リサイクルにはマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルがあるが、最も環境負荷が少なく、循環型社会の構築に相応しいリサイクルはマテリアルリサイクルであると考えられている。しかしながら、従来は廃ブレーカーの処理はサーマルリサイクルが主体であり、本質的な資源の有効利用にはなっていない。一部マテリアルリサイクルされているものもあるが、金属部分の一部や外箱部分のみであり、その他の金属プラスチック接合部分は、全くマテリアルリサイクルされていない。また、マテリアルリサイクルされている部位の処理も手作業に頼った処理であるため、大量に発生するブレーカーの処理には適していないのが現状である。
廃棄物中から所定種類の廃棄物を分別回収する方法としては、乾式比重分離装置、風力選別装置、光学的選別装置等による乾式分離方法や、シンクフロート、液体サイクロン、湿式縦型分離装置、遠心分離装置等による湿式分離方法が知られている。
しかしながら、ブレーカーのようにプラスチックと金属とが接合した廃棄物を分別回収することは、必ずしも容易ではない。例えば、金属とプラスチックが接合した廃棄物を分別処理する方法として、特許文献1には、廃自動車、廃家庭電器製品、廃OA機器等から発生するシュレッダーダストのような、プラスチック、金属類等の材料が混合されている金属複合プラスチック廃棄物を、200℃〜280℃に加熱された、沸点300℃以上での熱媒体中に投入し、プラスチック成分と金属成分とに分離する方法が提案されている。この方法は金属複合プラスチック廃棄物を加熱熱媒中においてプラスチック成分と金属成分等とに分離する際に、分離性能は加熱熱媒の粘度、密度及び分離装置内での熱媒の流れと、プラスチック成分と金属成分の密度及び粒子径とに依存することを利用して、高温比重分離するものである。
また、特許文献2には、プラスチックと金属を含む廃家電製品の再資源化方法として、1次破砕物から鉄系金属を取り出す磁力選別工程と、鉄系金属を除去した破砕物を再破砕する2次破砕工程と、2次破砕物からフィルム、発泡スチロールなどの超軽量物とそれ以外のプラスチック、非鉄金属とに分離する風力選別工程と、2次破砕物を重比重物、中比重物、軽比重物の3種類に選別する水比重選別工程とを有する方法が提案されている。
特開2003−19712号公報(請求項1、段落0013等) 特開2001−96261号公報(請求項1、第9頁図1等)
しかしながら、上記の特許文献1に記載された方法は、回収されたプラスチック成分を炉の原燃料として利用するものであり、これ以外の用途(再生プラスチック原料、フィラー等)に利用する場合は付着した熱媒の処理工程が必要となるため、処理工程が煩雑となる。また、上記の特許文献2に記載された方法では、プラスチックと金属の分離に2工程必要である。
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みてなされたものであり、廃棄処分される大量のブレーカー(端子台付きブレーカーも含む)を迅速、且つ、簡便にプラスチックと金属とに分別することができる、ブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、廃棄処分されるブレーカーを解体処理せずに(丸ごと)、プラスチックと金属とが接合されたままで破砕機で破砕し、破砕物を風力選別処理することにより、効率良くプラスチックと金属とに分別できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ブレーカー及び/又はブレーカー用端子台を丸ごと、2軸タイプの剪断式破砕機に投入して破砕する1次破砕工程と、前記1次破砕物を2軸タイプの剪断式破砕機で再破砕する2次破砕工程と、前記2次破砕物を、重比物出口の内径を絞るディフューザを外筒下部に付設した吸引型風力選別装置に投入し、プラスチックを軽比物出口に落下させ、金属を重比物出口に落下させることによりプラスチックと金属とに分離する風力選別工程と、を有するブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法であって、前記風力選別工程で分離したプラスチックと金属を原料として再利用することを特徴とするブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法を提供する。
前記した本発明の処理方法においては、前記2次破砕工程の次工程に、2次破砕物から微細破物を分離除去する分級工程を備えていても良い。
前記した本発明の処理方法においては、分級工程の次工程に、2次破砕物から鉄を分離する磁力選別工程を備えていても良く、或いは、風力選別工程の次工程に、分離回収された金属を鉄と非鉄金属とに分離する磁力選別工程を備えていても良い。
本発明の処理方法においては、前記1次破砕工程及び2次破砕工程に使用する1次破砕機及び2次破砕機が、2軸タイプの剪断式破砕機である。
以上説明した通り、本発明のブレーカーのマテリアル処理方法によれば、廃棄処分されるブレーカー及びブレーカー用端子台を事前に解体処理することなく、迅速、且つ、簡便に高効率でプラスチックと金属とに分別することができる。従って、従来分別されていなかった金属とプラスチックの接合部品のマテリアルリサイクル処理が可能となる。また、事前の解体作業が不要のため、処理費用を大幅に削減できる。さらに、乾式分離処理であるため分別回収したプラスチック、金属の後処理が容易であり、金属原料やプラスチック原料として再利用することができる。
本発明は、ブレーカー(端子台付きブレーカーを含む)或いはブレーカー用端子台(以下、これらを総称してブレーカーと言う)を、プラスチックと金属とに分別するブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法であって、ブレーカーを丸ごと2軸タイプの剪断式破砕機で破砕する1次破砕工程と、1次破砕物を2軸タイプの剪断式破砕機で再破砕する2次破砕工程と、必要に応じて実施されるところの、2次破砕物を細破砕物と微細破砕物とに分離する分級工程ならびに細破砕物或いは金属類から鉄を取り出す磁力選別工程と、前記2次破砕物を、重比物出口の内径を絞るディフューザを外筒下部に付設した吸引型風力選別装置に投入し、プラスチックを軽比物出口に落下させ、金属を重比物出口に落下させることによりプラスチックと金属とに分離する風力選別工程とを有している。以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明のブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法を示す工程図である。まず廃ブレーカーを丸ごと1次破砕工程1にて1次破砕機に投入する。1次破砕機に投入されたブレーカーは、1次破砕機によって約25mm〜50mm角程度まで破砕される。1次破砕機はブレーカーが丸ごと投入できる大きさの原料投入口を有している。1次破砕機は2軸タイプの剪断式破砕機であり、破砕機に備え付けられた2本のカッター部がブレーカーを切断する。
次に、1次破砕工程で破砕された1次破砕物(粗大破砕物)を2次破砕工程2に供給し、2次破砕機で再破砕する。2次破砕機に投入された1次破砕物(粗大破砕物)は、2次破砕機によってさらに細かく、約10〜20mm角程度まで破砕される。2次破砕機は2軸タイプの剪断式破砕機であり、破砕機に備え付けられた2本のカッター部がブレーカーを切断する。
2次破砕物に多量の微細破砕物が混入した場合は、2次破砕工程2の次に、2次破砕物から微細破砕物を分離する分級工程3を有することができる。分級工程3では、2次破砕物を振動篩などの分級機に投入し、細破砕物(約1mm超)と微細破砕物(約1mm以下)に分級する。分級工程を経た2次破砕物は、細破砕物(篩上)と微細破砕物(篩下)とに分離された後、篩上の細破砕物は、次工程の磁力選別工程4及び風力選別工程5に供給される。一方、篩下の微細破砕物は、廃棄物として廃棄する。次工程の風力選別工程5では、風力選別機により重比重の非鉄金属と軽比重のプラスチックとに分離される。
本発明において、分級工程3は任意の工程である。但し、上記の微細破砕物に含まれる微粒化された金属は、風力選別工程においてプラスチックに同伴しやすいため、分級工程3を備えることにより、風力選別後のプラスチック中の夾雑物(金属)の比率を減少させることができる利点がある。
図2は本発明のブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法の他の実施形態を示す工程図である。この実施形態では、分級工程を経た2次破砕物は、細破砕物(篩上)と微細破砕物(篩下)とに分離された後、篩上の細破砕物は次工程の風力選別工程5に供給される。風力選別工程5では、風力選別機により重比重の金属と軽比重のプラスチックとに分離される。
図3〜図6は本発明で用いた縦型の吸引型風力選別装置を示す図である。細破砕物は、風力選別機原料投入ホッパー11から風力選別装置10に投入される。投入された細破砕物は、落下する過程で下方に備え付けられた送風機12からの風に押されて、比重の軽いプラスチックが吹き飛ばされる。吹き飛ばされたプラスチックは、空気流に押されて移動し、図の軽比物出口15に落下する。一方、比重の重い金属は、重比物出口14に落下する。従って、風力選別における夾雑物の比率は、風力選別装置における風速と分別する細破砕物の大きさ、密度に依存することになる。風力選別装置内の風速調整は、送風機の回転数制御の他に、風速調整部材として例えば、後述する図4に示すディフューザ17、図5及び図6に示す内筒18、19等を備え付けることによって、風速を調整することができる。
図1において、分別された細破砕物は、必要に応じて磁力選別工程4に投入され、鉄系金属が取り除かれる。さらに風力選別工程を経て、プラスチックと非鉄金属(銅、黄銅等)に分類される。また、図2において分離された金属は、必要に応じて磁力選別工程4に投入され、鉄系金属が取り除かれる。かくして分離された金属は、金属屑として再利用することができる。
一方、分別されたプラスチックは、再生プラスチック原料などとして再利用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(株)氏家製作所製のグッドカッター(形式:UG55−25−300(C))を用いて東邦電気(株)製単2用ブレーカー(型式SX−20)の構成部材である端子台を、丸ごと1次破砕にかけ、25mm以下まで破砕した。次に2次破砕として、(株)氏家製作所製のグッドカッター(形式:UG165−10−240)により、10mm以下まで破砕した。これを、図3に示す(株)原島電機工業の吸引型風力選別機(型式:MHV−100)にかけ(風速7.5m/s)、金属とプラスチックの選別を行った。その結果、表1に示すように、金属側にプラスチックが35%混入してしまった。
実施例1と同様、端子台を10mm以下まで破砕した。これを、図4に示す(株)原島電機工業の吸引型風力選別機(型式:MHV−100)の外筒16の下部にディフューザ17を付設し、内径92mmφの重比物出口を65mmφに絞る事により最下部の風速を15.1m/sまで上昇させた。その結果、表1に示すように、金属中のプラスチック混入率が23.7%まで減少した。
実施例1と同様、端子台を10mm以下まで破砕した。これを、図5に示す(株)原島電機工業の吸引型風力選別機(型式:MHV−100)の原料投入ホッパー11の下半分の長さに内径65mmφの内筒18を入れる事により、最下部の風速を15.1m/sまで上昇させた。その結果、表1に示すように、プラスチックと金属の分離が99%以上を達成し、金属中のプラスチックの混入率を0.6%まで低減することが出来た。
端子台の替わりに東邦電気(株)製単2用Sブレーカー(型式TSX−30)を用い、実施例3と同様、ブレーカーを10mm以下まで破砕した。これを、図5に示す(株)原島電機工業の吸引型風力選別機(型式:MHV−100)の原料投入ホッパー11の下半分の長さに内径65mmφの内筒18を入れる事により、最下部の風速を15.1m/sまで上昇させた。その結果、表1に示すように、プラスチックの回収率が93%に達し、プラスチック中の金属の混入率が4.7%となった。
実施例4と同様、ブレーカーを10mm以下まで破砕した。これを、図6に示す(株)原島電機工業の吸引型風力選別機(型式:MHV−100)の原料投入ホッパー11の全域の長さに内径65mmφの内筒19を入れる事により、最下部の風速を15.1m/sまで上昇させた。その結果、表1に示すように、プラスチックの回収率が96%に達し、プラスチック中の金属の混入率が4.5%となった。
実施例1〜5の実験条件及び実験結果を表1及び図1に示す。その結果、原料投入ホッパの全域に内径65mmφの内筒を挿入する事により、プラスチック中の金属の混入量・分離能ともに良好な結果が得られた。
Figure 0004389264
本発明に係るブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法の一実施態様を示す工程図である。 本発明に係るブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法の他の実施態様を示す工程図である。 本発明で用いた風力選別装置を示す図である。 本発明で用いた風力選別装置を示す図である。 本発明で用いた風力選別装置を示す図である。 本発明で用いた風力選別装置を示す図である。 実施例によるプラスチックと金属の分別試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 1次粉砕工程
2 2次粉砕工程
3 分級工程
4 磁力選別工程
5 風力選別工程
10 吸引型風力選別装置
11 原料投入ホッパー
12 送風機
13 エアー排気口
14 重比物出口
15 軽比物出口
16 外筒
17 ディフューザ
18,19 内筒

Claims (4)

  1. ブレーカー及び/又はブレーカー用端子台を丸ごと、2軸タイプの剪断式破砕機に投入して破砕する1次破砕工程と、
    前記1次破砕物を2軸タイプの剪断式破砕機で再破砕する2次破砕工程と、
    前記2次破砕物を、重比物出口の内径を絞るディフューザを外筒下部に付設した吸引型風力選別装置に投入し、プラスチックを軽比物出口に落下させ、金属を重比物出口に落下させることによりプラスチックと金属とに分離する風力選別工程と、
    を有するブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法であって、前記風力選別工程で分離したプラスチックと金属を原料として再利用することを特徴とするブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法。
  2. 前記2次破砕工程の次工程に、前記2次破砕物から微細破物を分離除去する分級工程を備えた請求項1に記載のブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法。
  3. 前記分級工程の次工程に、前記2次破砕物から鉄を分離する磁力選別工程を備えた請求項に記載のブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法。
  4. 前記風力選別工程の次工程に、分離回収された金属を鉄と非鉄金属とに分離する磁力選別工程を備えた請求項1又は2に記載のブレーカーのマテリアルリサイクル処理方法。
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