JP4388539B2 - 共振器及び磁気共鳴測定装置 - Google Patents
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Description
CW−ESR装置は、発振器101、共振器102、変調磁界用コイル103、ミキサ104、直流磁界用コイル105、移相器106、パワーアンプ107、サーキュレータ108、シグナルアンプ109、変調用発振器110、ロックインアンプ111、分配器112、結合度可変1ターンコイル113、計測処理部114を備える。
周波数一定のマイクロ波が、同軸ケーブル及び1ターンコイルを有する1ターンコイル113を介して、共振器102内の試料115に与えられる。試料115の挿入された共振器102から反射された反射波は、1ターンコイル113の1ターンコイルを介してサーキュレータ108に戻される。測定の際、直流磁界用コイル105が、試料に印加する直流磁界を掃引するとともに、変調磁界用コイル103が磁界の時間的変化を発生する。
変調用発振器110から発信された変調信号は、変調磁界用コイル103に供給されるとともに、ロックインアンプ111に供給され、位相、振幅及び直流成分が調整される。なお、変調信号は、通常弱いため、変調磁界用コイルにはパワーアンプを介して供給される(図中略)。発振器101から出力されたマイクロ波は、分配器112により、主線路マイクロ波及び参照マイクロ波に分岐される。主線路マイクロ波は、パワーアンプ107により目的とする電力に調整され、サーキュレータ108に供給される。サーキュレータ108により分岐された主線路マイクロ波は、1ターンコイル113を経て共振器102に導かれ、共振器102内の試料115に供給される。このとき、1ターンコイル113と共振器102との距離を調整することで、反射を最小とするように調整する。試料115が内包される共振器102から反射された反射波は、再び1ターンコイル113を経て、サーキュレータ108に戻される。反射波は、シグナルアンプ109で増幅された後、ミキサ104に供給される。
本発明は、以上の点に鑑み、振動によるノイズを抑えた高感度な磁気共鳴測定装置、及び、主に磁気共鳴測定に用いることのできる共振器を提供することを目的とする。
試料が内包されるためのループ部とギャップ部とを有するループ・ギャップ共振素子と、
前記ループ・ギャップ共振素子のギャップ部近傍に設けられたスペーサと、
前記スペーサを挟んで前記ループ・ギャップ共振素子の反対側でギャップの両側近傍にそれぞれ設けられた複数の電極と、
複数の前記電極間に接続された可変容量ダイオードと、
一方又は各々の前記電極に設けられたチョークコイルを備え、
前記チョークコイルを介して前記電極に電圧を印加することにより、共振周波数を可変とする共振器を提供する。
変調用発振器10から発信された変調信号は、変調信号コントローラ3に供給される。変調信号コントローラ3は、発振器1及び共振器2に変調信号を供給する。発振器1から出力された周波数変調波は、分配器12により、主変調波及び参照変調波に分岐される。主変調波は、パワーアンプ7により目的とする電力に調整され、サーキュレータ8に供給される。サーキュレータ8により分岐された主変調波は、1ターンコイル13を経て共振器2に導かれ、共振器2内の試料15に供給される。このとき、1ターンコイル13と共振器2との距離を調整することで、反射を最小とするように調整することができる。試料15が内包された又は近傍に置かれた共振器2から反射された反射波は、再び1ターンコイル13を経て、サーキュレータ8に戻される。サーキュレータ8から出力された反射波は、シグナルアンプ9で増幅された後、ミキサ4に供給される。
図2(A)に示されるように、共振周波数可変共振器は、ループ・ギャップ共振素子21、スペーサ22、電極23、可変容量ダイオード24、チョークコイル25、内部スペーサ26、内部電極27を備える。
FM−ESR法では、周波数変調されたマイクロ波を共振器に供給するので、供給された変調波と整合をとるためには、共振器の共振周波数も変化させる必要がある。そこで、本発明では、上述のように、ループ・ギャップ共振素子21に可変容量ダイオード24等を取り付けることにより、共振周波数を可変にできるようにした。すなわち、チョークコイル25を介して電極23に変調電圧等の電圧を印加し、可変容量ダイオード24の逆バイアスを変化させることでその容量を変化させるようにする。なお、可変容量ダイオード24は、なるべくQが高いものを用いて、共振器のQの低下を防ぐとよい。
図3(A)に示される共振器は、図2(A)のスペーサ22を改良したものである。すなわち、ここでは、スペーサ33は、両方の電極32に共通にひとつのもので構成されている。また、図3(B)に示される共振器は、スペーサ35上に他の電極34をさらに備えたものである。これにより、可変容量ダイオードの結合を減らして、共振器のQを上げることができる。また、図3(C)は、図3(B)の電極34を変更したものであり、形状をテーパ状にした他の電極36を有するものである。電極36を、キャップ付近の幅が変化するような方向(図示の矢印方向)に対して移動させることにより、共振周波数を微調整することもできる。なお、内部スペーサ26及び内部電極27は、適宜付加又は省略することができる。
図4に、ミキサの回路図の一例を示す。この実施の形態では、一例として検波効率が良いミキサ4にDBMを用いている。入力(a)は、試料からの反射波であり、入力(b)は、参照変調波である。また、出力(c)には、入力(a)及び(b)の積に比例した値が検波出力として出力される。
図5に、ミキサの検波動作を説明する波形概略図を示す。
発振器から共振器へ向かうマイクロ波(主変調波)は周波数変調波であり、次式のように表され、また、図5(A)のような波形となる。
周波数変調されたマイクロ波が共振器内の試料に与えられ、電子スピン共鳴現象を起こしている状態を想定する。図7(A)に示されるように、試料に与えられる主変調波には周波数変調がかかっているので、試料の電子スピン共鳴による吸収量は変調され、直流磁界を掃引すると吸収量の変化の度合いは、共鳴吸収曲線に沿って変化する。すなわち、試料を内包する(又は近傍に置く)共振器の入力インピーダンスに変調がかかることになり、FM−ESR法の電子スピン共鳴状態では、共振器から周波数変調波に振幅変調がかかった反射波が生じることになる。よって、図7(B)のような吸収型ESR信号は、周波数変調により図7(C)のような一次微分型のESR信号に変換される。すなわち、一次微分型のESR信号により、ゼロクロスの位置を測定することで、高感度に電子スピン共鳴磁界Hが求められる。
hf=gβH
(ここで、h:プランク定数、f:周波数、g:定数、β:定数、H:直流磁界)
の関係から、磁界Hと周波数fが比例しているからである。
周波数掃引によると、掃引時間を短縮することができ、多量の信号を測定することができる。そのためS/N比を改善し、一層高感度とすることができる。本発明は、磁界掃引の代わりに周波数掃引を用いた磁気共鳴測定装置に、同様に適用することができる。
これらは、中心周波数700MHz及び変調周波数100kHzと同一とし、共振器も条件を同じくするために、可変容量ダイオードを取り付けた同一のものを用いた。CW−ESRの変調磁界は、FM−ESRの周波数編移1MHzに相当する0.0714mTpp(ミリテスラ・ピーク・ツウ・ピーク)とした。このとき、S/Nは、CW−ESRによる測定では約10.5であったのに対し、FM−ESRでは約12.4であり、本発明の方がやや高感度であるという結果が得られた。
2 共振器
3 変調信号コントローラ
4 ミキサ
5 直流磁界用コイル
6 移相器
7 パワーアンプ
8 サーキュレータ
9 シグナルアンプ
10 変調用発振器
11 ロックインアンプ
12 分配器
13 結合度可変1ターンコイル
14 計測処理部
Claims (4)
- 試料が内包されるためのループ部とギャップ部とを有するループ・ギャップ共振素子と、
前記ループ・ギャップ共振素子のギャップ部近傍に設けられたスペーサと、
前記スペーサを挟んで前記ループ・ギャップ共振素子の反対側でギャップの両側近傍にそれぞれ設けられた複数の電極と、
複数の前記電極間に接続された可変容量ダイオードと、
一方又は各々の前記電極に設けられたチョークコイルを備え、
前記チョークコイルを介して前記電極に電圧を印加することにより、共振周波数を可変とする共振器。 - 前記スペーサは、複数の前記電極に対して共通にひとつ設けられているか又は前記電極毎にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の共振器。
- 前記スペーサを挟んで前記ループ・ギャップ共振素子の反対側でギャップの近傍に設けられた他の電極をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
- 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の共振器を用いた磁気共鳴測定装置。
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JP2006286451A JP4388539B2 (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | 共振器及び磁気共鳴測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006286451A JP4388539B2 (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | 共振器及び磁気共鳴測定装置 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Family Applications (1)
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