JP4388315B2 - 回転電機及びこの回転電機を用いたエレベータの巻上機装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエレベータの巻上機用電動機などとして好ましく用いることができる回転電機、及びこの回転電機を用いたエレベータの巻上機装置に関し、特に回転電機の薄型化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の回転電機、すなわち電動機の場合は、たとえばロータの回転軸上に配設されるプーリにベルトを巻き掛け、このベルトを介して被駆動側に動力を伝達しており、又、発電機の場合は、プーリに巻きかけられたベルトを介して駆動側から動力を受けている。以下、便宜上この発明をエレベータの巻上機として用いられる電動機を例に説明する。
【0003】
エレベータの巻上機は狭いスペースに容易に設置できるように薄型化が要求されており、例えば特開2000−289954号公報(特許文献1)等に開示された従来の巻上機では、電動機を、中心部に主軸を設けて椀状に形成しステータと一体に構成した基体と、該主軸に回転自在に支承されてこの基体の内部に収容され駆動綱車と一体的に構成されたロータとから構成し、上記駆動綱車に巻き掛けられるロープを上記ステータの直ぐ横を所定のクリアランスを設けて通過させる形で上記基体から外方に延出させるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−289954号公報(第3頁、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の巻上機に用いられる回転電機は以上のように構成され、ロープなどの駆動部材がステータの周方向の一部領域を横切るように配置されているので、ロープとステータとの軸方向の干渉を避けるために、軸方向の寸法はステータと駆動綱車の幅の和だけはどうしても最小限必要となるため、薄型化が困難であるという問題点があった。
【0006】
この発明は上記のような従来技術の課題を解消するためになされたもので、薄型化が可能な回転電機、及びこの回転電機を用いたエレベータの巻上機装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明になる回転電機は、円環状に形成された胴部及びこの胴部の一端部を塞ぐように設けられ該胴部の中心部に配設された主軸を保持する保持部からなり周方向所定部に開口部を有する基体、この基体の胴部に周方向に沿って設けられたコア及びこのコアに巻回された巻線からなるステータ、上記主軸に対し回転自在に支承され軸方向の一側に駆動部を形成すると共に軸方向の他側にこの駆動部と一体的に回転するように設けられ上記ステータに対向するロータを備え、上記駆動部に巻き掛けられる駆動部材を上記基体の周方向所定部に設けられた開口部から外部に延出するようにしてなる回転電機において、上記巻線を周方向に巻線を設けた部分と巻線を設けない部分とにより不連続状に形成し、上記駆動部材が上記巻線を設けない部分の側近を通過する如く延出するようにしたものである。
【0008】
また、この発明によるエレベータの巻上機装置は、上記回転電機をエレベータの巻上機用電動機として用いるようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2は本発明の実施の形態1による回転電機としてのエレベータの巻上機用電動機の要部を示すもので、図1は回転軸を含む側面断面図、図2は図1の電動機内部のステータ構成を示す正面図である。なお、図2では内部構成が分かるように、基体の一部を除いて描かれている。また、図1は概略図2のI−I線における矢視断面図に相当している。なお、各図、及び各実施の形態を通じて同一もしくは相当部分には同一符号を付し説明を省略するものとする。
【0010】
図に示すように、円環状に形成された胴部2aとこの胴部2aの一端部側を塞ぐように一体的に設けられた保持部2bからなる基体2は、胴部2aの他端部側が支持部材1により閉塞され、該基体2の中心部には、一端部が支持部材1に、他端部が基体2の保持部2bに支持された主軸3が設けられている。そして上記基体2の胴部2aには、コア5及びこのコア5に巻回された巻線6によって構成されているステータ4が該胴部2a内周面に沿って配置されている。
【0011】
主軸3にはベアリング8を介して駆動部としての駆動綱車7が枢持され、この駆動綱車7には駆動部材としてのロープ9が巻き掛けられ、基体2の一部を貫通して外部に延出され、該ロープ9の一端部及び他端部には、何れも図示を省略しているエレベータのかご、及び釣合重りがそれぞれ連結されている。
【0012】
また、上記駆動綱車7の一側(図1の左方)には、径方向及び軸方向に延びて一体的に設けられた断面略L字状の保持環10を有し、この保持環10の外周面でステータ4の巻線6と対向して配置された永久磁石界磁磁極11を保持し、該磁極のバックヨークとして磁路を形成して、上記永久磁石界磁磁極11と共にロータ12が構成されている。そして上記駆動綱車7と一体的に回転するように設けられたロータ12、及びステータ4で回転電機としての電動機が構成されている。
【0013】
上記のようにこの実施の形態1の電動機部は径方向内側にロータ12、外側にステータ4が配置された、いわゆるインナーロータ型の電動機構成となっている。さらに、ロータ12の回転位置を検出するための回転位置検出器13、及びロータ12を制動するためのブレーキ14などを有する。
【0014】
図2に示すように図の略上半分、即ちロープ9が基体2を貫通しない部分では、ステータ4のコア5には巻線6が施されているが、図の略下半分におけるロープ9が基体2を貫通する周辺部では、ステータ4のコア5には巻線6が施されていない部分が設けられている。要するにこの発明の電動機(回転電機)は、ステータ4の巻線6を周方向に巻線を設けた部分(領域)と巻線を設けない部分(領域)とにより不連続状に形成し、上記ロープ9などの駆動部材が上記巻線6を設けない領域のコア側近を通過する如く延出するようにしたものである。
【0015】
一方、回転子の永久磁石界磁磁極11は周方向に欠けることなく配置され、その数(永久磁石の数;以後、極数)は、この実施の形態1では具体的には48である。ステータスロット(ティース)については、そのピッチが360°/54=6.6666…°となっている。もし欠けることなく全周に配置されたとすればティースの数は54となる。即ち、一般にいう(回転子磁極もステータティースも共に全周に配置されている電動機でいう)ところの、極数とスロット数の比は8:9である。実際のティースの数は45であり、36ティースを有する部分である部分ステータAと、9つのティースを有する部分である部分ステータBとの2つに分離された構成となっている。
【0016】
上記各ティースには、単一のティースに巻線が集中的に巻回される、いわゆる集中巻線により巻線が施されている。これにより、巻線工程の自動化が容易である他、軸方向寸法も小さくできる。巻線パターンは極数:スロット数比に依存して異なるが、本実施の形態1では8:9であるので、例えば本願出願人による、特開2000−201462号公報に記載の電動機と同様に、連続した3つのティースに同相のコイルが巻回されることで巻線が施される。
【0017】
すなわち、例えば空隙側からみて右回りに巻回される場合を+、左回りの場合を−で表記することとすると、U、−U、U、V、−V、V、W、−W、W、の9ティース分を単位としてこれが順に巻回される。すなわち、9つのティースを単位として、周期的に各相巻線が配置される。連続して巻回される同相の3つのコイルは直列に接続される。
【0018】
本実施の形態1では、上述の9ティースを単位として、コア5を5つの部分コアブロック15に分割する構成となっている。つまり、36個のティースを有する部分ステータAは、9ティースから成る部分コアブロックを4つ結合した構成であり、9個のティースを有する部分ステータBは、9ティースから成る部分コアブロック1つから構成されている。
【0019】
部分ステータAと部分ステータBとの間には、これらの部分ステータのコアバック部に相当する幅を有する補助コアブロック16よりなる部分ステータC、及びDがそれぞれ配設されている。部分ステータCと部分ステータDとは周方向に等幅(等長)である。すなわち、図の中心線Xを境として左右対称な配置となっている。これら4つの部分ステータA〜Dを巻線作業後に、例えば溶接することで周方向に結合して円筒状のコア5を構成している。これを基体2の胴部2aに例えば焼き嵌めなどの手段を用いて固定することで、ステータ5を形成することができる。
【0020】
上記部分ステータC、及びDの幅は、ステータティース4.5個分に相当する。これを電気角で表現すると、9ティース分は8極すなわち8/2×360=1440°に相当するので、4.5ティース分では720°となる。つまり、部分ステータAと部分ステータBとで電流位相が常に一致することになる。このため、単一の駆動部(インバータ)で双方を駆動することができるので、部分ステータAと部分ステータBとを独立の駆動部で駆動する場合に比べてシステムの簡略化やコスト低減が可能となる。
【0021】
また、上記部分ステータAの巻線と部分ステータBの巻線とは、直列に接続してもよいし、例えば部分ステータAの4ブロックで4並列回路とし、部分ステータBを併せて合計5並列としてもよい。勿論、部分ステータAと部分ステータBとで駆動部を独立に設けても良い。
【0022】
上記説明したように本実施の形態1によれば、電動機のステータにおいて周方向に2箇所、巻線を設けない部分を設け、ここにロープ9が通るようにしたので、電動機と駆動綱車を含めた全体の軸方向寸法Wを小さく、即ち薄型化することができる。また、巻線を設けない部分は2箇所のみであるので、3箇所以上に分散させた場合に比べて補助コアブロック16の個数が少なくて済み、工作性が良い。さらに、巻線を設けない部分はロープの中心線に対して(図2の左右)対称に配置されているので、電磁力とロープ荷重を含め、電動機に作用する力をバランスさせることができる。
【0023】
また、巻線を設けない部分(補助コアブロック16)の幅を電気角で120°の倍数かつ180°の倍数としたので、部分ステータA、部分ステータBに通電する電流の位相が同一となり、単一の駆動部で駆動することができる。また、相順も同一であるので結線作業も容易となる。
【0024】
さらに、部分ステータAは9ティースの部分コアブロック15を4つ連結したものからなり、部分ステータBは9ティースの部分コアブロック15を1つ用いたものから成るので、工作時のハンドリングが容易となるほか、同一の金型から、巻線を施す全てのコアブロックを製造できるなどの効果がある。また、巻線を設けない部分を合計したときの周方向の幅は、極数とスロット数の比で定まる最小単位のティース数である9ティース分としたので、電動機体積あたりの発生トルクを大きくすることができる。なお、本実施の形態1では巻線を設けない部分に基体2と別体で補助コアブロック16を設けたが、これに限られるものではなく、基体2と一体にて補助コアブロックを構成してもよい。
【0025】
実施の形態2.
図3、及び図4は、実施の形態2による回転電機をエレベータの巻上機用電動機として用いた例を示すものであり、図3は電動機の要部を示す回転軸を含む側面断面図、図4は図3の電動機内部のステータ構成を示す正面図である。ただし図4では内部構成が分かるように、基体の一部を除いて描かれている。また、図3は概略図4のIII−III線における矢視断面図に相当している。本実施の形態2においては、巻線を設けない部分として補助コアブロックを設けるのではなく、部分コアブロック15の一部のティースに巻線を施さないことで実現している。即ち、周方向に6つ配置された部分コアブロック(以下、区別上問題のない限り単にブロックという)15a〜15fの内、ブロック15aから15dまでは9ティース全てに巻線が施されている。
【0026】
他方、ブロック15eには9ティースのうち3ティースのみに巻線が施されている。またブロック15fには9ティースのうち6ティースのみに巻線が施されている。これらを一つの円にすることでステータ4を形成している。つまり、ブロック15eにおいて巻線を施していない6ティース分と、ブロック15fにおいて巻線を施していない3ティース分とで、巻線を設けない部分を周方向に2箇所形成し、ここにロープ9を配する構成としている。つまり、部分ステータBは、ブロック15eとブロック15fとにまたがる構成となっている。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0027】
このような構成とした結果、部分ステータBは図4に示すようにロープ9の中心線に対して非対称な配置となっているので、電磁力とロープ荷重を含め、電動機に作用する力のバランスが悪いという特質があるものの、上記実施の形態1のような補助コアブロックを用いる必要がないことから、ステータ4のコア5を全て同一の部分コアブロックから形成することができるため、生産設備の共用化を図ることができるという利点を有する。
【0028】
なお、上記巻線を設けない部分は電気角でそれぞれ960°、480°であり、120°の倍数としたので部分ステータA、部分ステータBに通電する電流の位相が同一となり、単一の駆動部で駆動することができる。ただし、180°の倍数でないため相順は異なる。即ち、例えば部分ステータAではU、−U、U、V、−V、V、W、−W、W、…の順であったとすると、部分ステータBではW、−W、W、U、−U、U、V、−V、Vの順に巻回される。なお、それ以外の効果については実施の形態1とほぼ同様である。
【0029】
実施の形態3.
図5及び図6は実施の形態3に係る巻上機の要部を説明する図であり、図5はステータ構成を示す正面図、図6はその変形例になるステータ構成を示す正面図である。この実施の形態3では、巻線を設けない部分を周方向に一箇所としたものである。上記実施の形態1、及び2では、巻線を設けない部分を合計したときの周方向の幅が、極数とスロット数の比で定まる最小単位のティース数である9ティース分としていた。これに対し本実施の形態3の内、図5に示す例では、最小単位の2倍である18ティース分としている。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0030】
上記構成により、ロープ9にはさまれた領域には巻線を施す必要がないので、結線の簡略化を図ることができる。また、特別な補助ブロックを設ける必要がなく、部分ステータAに用いた部分コアブロックと同一の部材を用いることができる。ただし、図5の例では巻線を施さない部分が多いので、電動機体積あたりの発生トルクは実施の形態1などに比べて小さくなるという特質がある。因みに全周に対し、巻線を設けない部分の占める割合を計算すると、実施の形態1では9/54=0.167であったのに対し、図5の例では18/54=0.333であり、実施の形態1よりも大きくなっていることがわかる。
【0031】
しかし用いる駆動綱車7の径によっては、巻線を設けない部分を1ブロックのみとすることもできる。即ち、図6の変形例に示すように、駆動綱車7の径が図5のものよりも小さい場合には、1ブロックの幅に往復のロープ9を通過させるように構成することができる。なお、巻線を設けない部分を1ブロックのみとしている他は図5の例とほぼ同様である。このため、図5の例と同様の効果が全て発揮できるほか、巻線を設けない部分の占める割合は実施の形態1と同様であり、駆動力の大きな電動機とすることができる。なお、それ以外の効果については実施の形態1とほぼ同様である。
【0032】
実施の形態4.
図7は、実施の形態4になる電動機内部のステータ及びロータ構成を示す正面図である。上記実施の形態1〜3では、極数:スロット数比を8:9とした場合について説明したが、これに限られるものではなく、それ以外の組み合わせでも有効である。本実施の形態4においては、極数とスロット数の比が10:9相当となるように設計されている。
【0033】
すなわち、実施の形態1とステータの構成は同一であり、ロータの極数のみが異なっている(それに応じて、磁極幅も変更されている)。本実施の形態4では、実施の形態1よりもロータの極数を多くしているので、径方向寸法を小さくできる。径方向の寸法制約が大きいときには有効である。なお、巻線パターンは、極数:スロット数比に依存して異なる。本実施の形態では10:9であるので、実施の形態1とほぼ同様であるが、回転方向に対する位置関係が異なる。
【0034】
すなわち、連続した3つのティースに同相のコイルが巻回されるとともに、例えば空隙側からみて右回りに巻回される場合を+、左回りの場合を−で表記することにすると、U、−U、U、W、−W、W、V、−V、V、の9ティース分を単位としてこれが順に巻回される。すなわち、9つのティースを単位として、周期的に各相巻線が配置される。連続して巻回される同相の3つのコイルは直列に接続される。
【0035】
巻線を設けない部分の幅はいずれも電気角で900°相当になる。これは60°の倍数であるので同一の駆動部により駆動することができる。また、180°の倍数であるので、部分ステータAと部分ステータBとで相順も同一である。ただし120°の倍数でないので、位相を反転させる必要がある。即ち、部分ステータAの巻線パターンを、U、−U、U、W、−W、W、V、−V、V、の9ティース分を単位としてこれが順に4回繰り返されているとすれば、部分ステータBの巻線パターンは、−U、U、−U、−W、W、−W、−V、V、−V、と巻回される。なお、これは電流の周回方向を示すものであり、必ずしも巻線作業を変更する必要はなく、電源との接続時に正負を反転することでも実現できる。
【0036】
本実施の形態4は以上のように構成されているので、極数の設計自由度が向上する結果、例えば極数を増やすことで電動機の径方向寸法を小さくすることができるという効果が得られる。なお、それ以外の効果については実施の形態1とほぼ同様である。
【0037】
実施の形態5.
図8は実施の形態5による電動機内部のステータ構成を示す正面図である。上記実施の形態1〜4では、巻線を設けない部分(領域)を2箇所以下(実施の形態1、2、及び4では2箇所、実施の形態3では1箇所)、すなわち、巻線を設けない部分(領域)をできるだけ少なくしていた。本実施の形態5では図8に示すように、上記実施の形態4とほぼ同一の構成としているが、巻線を設けない部分を3箇所として構成されている。巻線を設けた部分を部分ステータA、B、Cとし、巻線を設けない部分をそれぞれ、補助コアブロック16d、16e、16fより成る部分ステータD、E、Fと呼ぶこととすると、補助コアブロック16dは紙面に対し左右中央部に配置されており、また補助コアブロック16e、16fは紙面に対し左右対称に配置されている。つまり、全体として左右対称な配置を実現している。
【0038】
部分ステータD、E、Fの幅はそれぞれ、ステータティース9/5個分、18/5個分、18/5個分に相当する。これを電気角で表現すると、9ティース分は10極すなわち10/2×360=1800°に相当するので、それぞれ360°、720°、720°となる。よって、部分ステータA、B、Cの間で電流位相が常に一致することになる。このとき、単一の駆動部(インバータ)で全てを駆動することができるので、部分ステータAないし部分ステータCを独立の駆動部で駆動する場合に比べてシステムの簡略化やコスト低減が可能となる。
【0039】
なお、上記部分ステータAないし部分ステータCの巻線は、直列に接続してもよいし、例えば部分ステータAの2ブロックで2並列回路、部分ステータBの2ブロックで2並列回路とし、部分ステータCでの1回路を併せて合計5並列としてもよい。勿論、部分ステータAないし部分ステータCで駆動部を独立に設けても良い。
【0040】
この実施の形態5は以上のように構成されているので、巻線を設けない領域の幅の設計自由度が向上する。また、これらをすべて電気角で360°の倍数とした結果、巻線の巻回方向を反転させたりする必要がなくなり、製造工程を容易にすることができるという効果が得られる。なお、それ以外の効果については実施の形態1とほぼ同様である。
【0041】
実施の形態6.
図9ないし図11は、実施の形態6による回転電機の要部構成を説明するもので、図9は電動機内部のステータ構成を示す正面図、図10は図9に示す駆動綱車の径を大きくした場合の変形例を示す正面図、図11は図9に示す駆動綱車の径を小さくした場合の他の変形例を示す正面図である。上記実施の形態1〜5では、ステータのティース数(巻線のない部分も含めて等ピッチに配置された場合)を54とし、かつ、同相の3ティースが連続して配置され、3相分合計で9ティース分が最小単位となっている場合について説明した。本実施の形態6では図9に示すように、回転子磁極は周方向に欠けることなく配置され、その数(永久磁石の数;以後、極数)は60である。
【0042】
ステータスロット(ティース)については、そのピッチが360°/72=5°となっている。もし欠けることなく全周に配置されたとすれば、ティースの数は72となる。即ち、一般にいう(回転子磁極もステータティースも共に全周に配置されている電動機でいう)ところの、極数とスロット数の比は5:6である。実際のティースの数は、48ティースを有する部分である部分ステータAと、12のティースを有する部分である部分ステータBとの2つに分離された構成となっている。
【0043】
巻線パターンは、極数:スロット数比に依存して異なる。本実施の形態6では5:6であるので、連続した2つのティースに同相のコイルが巻回され、かつ、6ティース離れた同相の2つのコイルは逆向きに巻回される。すなわち、例えば空隙側からみて右回りに巻回される場合を+、左回りの場合を−で表記することにすると、U、−U、−W、W、V、−V、−U、U、W、−W、−V、V、の12ティース分を単位としてこれが順に巻回される。すなわち、巻回方向を含めれば12個のティースを単位とし、巻回方向を含めなければ6個のティースを単位として、周期的に各相巻線が配置される。連続して巻回される同相の2つのコイルは直列に接続される。
【0044】
このように、ステータのティース数を増やし、かつ、最小単位のティース数が少ない設計とした結果、巻線のない部分の占める割合を比較的小さく保ったままで、設計自由度の比較的高い電動機とすることができる。図9では、6ティース分を1単位として、これを左右に1ブロックずつ、合計2ブロックにおいて巻線を施さないようにしている。
【0045】
全周に対し、巻線のない部分の占める割合は、実施の形態1では9/54=0.1667であったのに対し、本実施の形態6でも12/72=0.1667であり、実施の形態1と同じ比率を保っている。また図からわかるように、左右対称な配置が実現されている。巻線を設けない部分はいずれも最小構成単位としているので、補助コアブロックを用いる必要がなく、部分ステータAないし部分ステータBと同一の部分コアブロックを用いることができる。
【0046】
また、巻線を設けない部分は電気角でそれぞれ900°に相当し、これは180°の倍数であるので、部分ステータAと部分ステータBとで巻線の相順は一定である。ただし、120°の倍数ではないので、正負を反転させる必要がある。
【0047】
上記のように構成した結果、この実施の形態6では、駆動綱車7の径が変わった場合でも、比較的柔軟に対応できる。例えば図10は駆動綱車7の径が大きくなった場合、図11は駆動綱車7の径が小さくなった場合であるが、ロープにはさまれた部分に配設される6ティース分のブロックの数を調整することで、補助ブロックを用いることなく柔軟に対応できる。なお、それ以外の効果については実施の形態1とほぼ同様である。
【0048】
なお、上記各実施の形態で説明した巻線を設けない領域は、包括的に言えば、電気角で60°の倍数が望ましく、さらに望ましくは120°の倍数ないし180°の倍数とするのがよい。60°の倍数とした場合には、巻線の相順と巻回方向を工夫することで、各部分ステータに通電する電流位相を合わせることができる。その結果、同一のインバータで駆動することができ、システムの簡略化あるいは低コスト化が図れるという効果がある。さらに120°の倍数とした場合には巻回方向を一定にすることができる。あるいは180°の倍数とすれば、相順を一定とすることができる。これらを合わせることで(即ち360°の倍数とする)、巻回方向、相順を変更することなく、同一のインバータで駆動することができるという効果が得られる。
【0049】
また、磁極ピッチの逆数とティースピッチの逆数の比(一般にいうところの極数:スロット数の比)をa/b(既約分数;a,bは整数)としたとき、上記実施の形態1、2、4〜6では、全周において巻線が施されていないティースの数がbと等しいか、もしくは、それに相当する角度分において巻線を設けていないことを特徴としている。このような構成とした結果、巻線を施さない領域を最小限とすることができ、体積あたりのトルクを大きくできる効果が得られる。
【0050】
ところで、上記実施の形態の説明では、本発明の回転電機をエレベータの巻上機装置などの電動機及び滑車駆動装置に適用した例について説明したが、それに限られるものではない。例えば薄型化が必要で、かつ、ステータを部分的に薄くすることでシステム全体の薄型化を図ることができる用途などにおいては広く適用が可能である。また、電動機を例に説明しているが、発電機あるいは、発電電動機として用いても同様の効果が期待できる。なお、発電機として用いる場合、駆動部としての駆動綱車7は外部の駆動源からロープなどの駆動部材を介してロータ12を駆動することになることは当然である。
【0051】
またロータ12部と駆動部としての駆動綱車7とが一体に構成されている例について示したが、同軸に固定されていれば必ずしも一体である必要はない。同様に基体2は胴部2aと、保持部2bを一体に構成したが、別体でも差し支えなく、また、必ずしも椀形に限定されるものではない。さらに、ロープ9はロープに限定されるものではなく、例えばベルトやチェーンなどの駆動部材でも同様の効果が期待できる。また、駆動部としての駆動綱車7は必ずしも綱車でなくても差し支えない。さらにまた、極数とスロット数の組み合わせは数例のみについて示したが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明によれば、ステータの巻線を周方向に巻線を設けた部分と巻線を設けない部分とにより不連続状に形成し、駆動部材が上記巻線を設けない部分の側近を通過する如く延出するようにしたので、回転電機の軸方向寸法をさらに小さくすることができるという効果が得られる。
【0053】
また、上記回転電機をエレベータ用巻上機の電動機として用いたことにより、より狭いスペースにも取り付けできる高性能なエレベータの巻上機装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による回転電機をエレベータの巻上機用電動機として用いた場合の要部を示す回転軸を含む側面断面図。
【図2】 図1の電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図3】 実施の形態2による電動機の要部を示す回転軸を含む側面断面図。
【図4】 図3の電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図5】 実施の形態3による電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図6】 図5の変形例になる電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図7】 実施の形態4による電動機内部のステータ及びロータ構成を示す正面図。
【図8】 実施の形態5による電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図9】 実施の形態6による電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図10】 図9における駆動綱車の径を大とした場合の変形例になる電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【図11】 図9における駆動綱車の径を小とした場合の他の変形例になる電動機内部のステータ構成を示す正面図。
【符号の説明】
1 支持部材、 2 基体、 2a 胴部、 2b 保持部、 3 主軸、 4 ステータ、 5 コア、 6 巻線、 7 駆動部(駆動綱車)、 8 ベアリング、 9 駆動部材(ロープ)、 11 永久磁石界磁磁極、 10 保持環(バックヨーク)、 12 ロータ、 13 回転位置検出器、 14 ブレーキ、 15 部分コアブロック、 16 補助コアブロック。
Claims (9)
- 円環状に形成された胴部及びこの胴部の一端部を塞ぐように設けられ該胴部の中心部に配設された主軸を保持する保持部からなり周方向所定部に開口部を有する基体、この基体の胴部に周方向に沿って設けられたコア及びこのコアに巻回された巻線からなるステータ、上記主軸に対し回転自在に支承され軸方向の一側に駆動部を形成すると共に軸方向の他側にこの駆動部と一体的に回転するように設けられ上記ステータに対向するロータを備え、上記駆動部に巻き掛けられる駆動部材を上記基体の周方向所定部に設けられた開口部から外部に延出するようにしてなる回転電機において、上記巻線を周方向に巻線を設けた部分と巻線を設けない部分とにより不連続状に形成し、上記駆動部材が上記巻線を設けない部分の側近を通過する如く延出するようにしたことを特徴とする回転電機。
- 上記巻線を設けない部分は、上記駆動部材が延出される部分のみであることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 上記巻線を設けない部分は、周方向に2箇所であり、上記主軸を通る中心線に対して対称的に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
- 上記巻線を設けない部分は、電気角で60°の倍数であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の回転電機。
- 上記ステータのコアは、複数のブロックに分割されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の回転電機。
- 上記ステータのコアは、上記巻線を設けた部分に対応する部分と巻線を設けない部分に対応する部分とも同一のティースが設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の回転電機。
- 上記ステータのコアは、上記巻線を設けない部分に対応する部分では、鉄心を円筒状に形成するためのティースのない補助コアブロックを配置してなることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の回転電機。
- 磁極ピッチの逆数とティースピッチの逆数の比(一般にいうところの極数:スロット数の比)をa/b(既約分数;a、bは整数)としたとき、全周において巻線を施されていないティースの数がbと等しいか、もしくは、それに相当する角度分において巻線がないことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の回転電機。
- 請求項1から8の何れかに記載の回転電機をエレベータの巻上機用電動機として用いてなることを特徴とするエレベータの巻上機装置。
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