JP4388303B2 - アレイアンテナ通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時分割多元接続アダプティブ・アレイ・アンテナ通信装置のキャリブレーションに関する。
【0002】
【従来の技術】
セル構成による移動通信システムの基地局通信装置にアダプティブ・アレイ・アンテナを用いることは、希望局方向にビームを向けアンテナの指向性利得を増加させS/Nを改善するのみならず、干渉局の信号方向にヌル指向性を向けることにより、干渉局からの信号を抑圧することによりS/Iを改善することにもなる。また、基地局・移動局間の通信品質の改善の他、基地局のもつ周波数資源である周波数多元接続(FDMA)の周波数チャネル、時間資源である時分割多元接続(TDMA)のタイムスロットを有効に使うことができるので、基地局当たりの平均的な通信容量増大という効果ももたらされる。
【0003】
セル方式の一般的な例であるPDC(Personal Digital Cellular)、GSM(Global System for Mobile communications)、PHS(Personal Handyphone System)等のシステムにおいては、同一周波数チャネルを複数のユーザで用いる時分割多元接続(TDMA)方式とともに、周波数軸上にも複数の周波数チャネルを持つ周波数分割多元接続(FDMA)方式も採用されている。さらに、PDC、GSMでは、基地局から移動局への回線(下り回線)と移動局から基地局への回線(上り回線)の周波数が異なるFDD方式が採用され、PHSでは下り回線と上り回線が同一チャネルを用いて時分割で行うTDD方式が採用されている。
【0004】
ここで、PHSにおける基地局と干渉局の関係について述べる。PHSは国内の場合、電波産業会(ARIB)のRCR STD−28により規格化されている。
【0005】
PHSではTDMA−TDDの無線アクセス方式が採用されている。TDMA多重数は4で、キャリア周波数間隔は300kHzである。基地局移動局間の通信は、5ms毎に区切られるタイム・フレームに従い行われる。ここで、タイム・フレームは8個のタイムスロットに分割され(各タイムスロットは0.625ms幅)、前半4タイムスロットは基地局から移動局に向けられる下り回線で、後半4タイムスロットは移動局から基地局に向けられる上り回線である。各タイムスロットは4タイムスロット離れた(時間的に2.5ms)タイムスロット毎にペアを組み、基地局、移動局間でTDD通信を行う。
【0006】
各タイムスロットは、基地局、移動局間で制御を行うために設けられたCCH(制御チャネル)、および基地局、移動局間でユーザ情報の通信を行うTCH(情報チャネル)に用いられている。このうち、制御チャネルCCHには、基地局から移動局に制御情報を報知するための下り片方向チャネルであってチャネル構造に関する情報やシステム情報等を転送するBCCH(制御情報通知チャネル)、呼接続に必要な制御情報を転送するCCCH(共通制御チャネル)、基地局から移動局に対して単一セルもしくは複数セルの広いエリア(一斉呼び出しエリア)に同一の情報一斉に転送するポイント−マルチポイントの片方向チャネルであるPCH(一斉呼び出しチャネル)、基地局と移動局の間で呼接続に必要な情報を転送するポイント−ポイントの双方向チャネルであってセル毎に独立の情報を転送する(上りはランダムアクセスである)SCCH(個別セル用チャネル)、ポイント−マルチポイントの双方向チャネルであって制御信号情報およびユーザパケットデータ転送を行うUPCH(ユーザパケットチャネル)、およびTCH(情報チャネル)に付随した双方向チャネルであって呼接続に必要な制御情報およびユーザパケットデータ転送を行うACCH(付随制御チャネル)がある。
【0007】
使用する周波数キャリア数は複数設定される。具体的には、共通使用するタイムスロットのみを割り当て、基地局にて定常的な間欠送信を行っている制御用キャリア、ユーザが通信を行うために個別割当タイムスロットを割り当てる事の出来る通信用キャリア、および基地局を介すことなく移動局間で直接通話を行うための子機間直接通話用キャリア(同一スロット上で接続制御および通話等を行う)に分けられる。
【0008】
PHSでは、次のような複数のフェーズからなる通信プロトコルが採用されている。すなわち、通信プロトコルは、無線区間のハンドシェイクを確立するフェーズ(リンクチャネル確立フェーズ)、ハンドシェイクが確立した基地局と移動局間で呼接続を行うフェーズ(サービスチャネル確立フェーズ)、通信およびデータ伝送を行うフェーズ(通信フェーズ)を含む。このうち、リンクチャネル確立フェーズでは、各サービスの呼接続に必要な品質・容量のチャネル(リンクチャネル)、次サービスの呼接続に必要なプロトコル種別を選択する段階であり、サービスチャネル確立フェーズはリンクチャネル確立フェーズで得られたリンクチャネルを用いて、サービスを提供するために必要な容量のチャネル(サービスチャネル)、実際にユーザに通信する通信フェーズに必要なプロトコル種別を選択する段階で最適なプロトコルおよび各サービスに最適なチャネル、が採用することができる。
【0009】
ここで各フェーズについてより詳細に説明する。
[1]リンクチャネル確立フェーズ:リンクチャネル確立フェーズは、通信キャリア上にリンクチャネルの確立を行うための情報転送を制御キャリア上で行っているフェーズであり、このフェーズで、各サービスの呼接続に必要な品質・容量のチャネル(リンクチャネル)、次フェーズの呼接続に必要なプロトコル種別を選択する。このフェーズで使用する機能チャネルを総称して、論理制御チャネル(LCCH:Logical Control Channel)と言う。
[2]サービスチャネル確立フェーズ:サービスチャネル確立フェーズは、通信キャリア上に確立されたリンクチャネルを用いて、サービスチャネルの確立を行うフェーズであり、RT(無線管理)、MM(移動管理)、CC(呼制御)に分類される。このうち、RTは無線資源を管理するための機能で、無線キャリア、タイムスロットの指定および無線回線品質の管理を行う。MMは端末の移動性を管理するためのもので、位置登録や端末認証を行う。また、CCは呼を接続したり切断するための機能である。本フェーズにて、サービスを提供するために必要な品質、容量のチャネル(サービスチャネル)、通信フェーズに必要なプロトコル種別を選択する。このフェーズに使用する機能チャネルを総称して、リンクチャネル(LCH:Link Channel)という。
[3]通信フェーズ:通信フェーズは、通信キャリア上に確立されたサービスチャネルを用いて、音声伝送やデータ伝送等のサービスを提供しているフェーズであり、各サービス毎に最適なプロトコルおよび各サービスに最適なチャネルを選択する。このフェーズで使用する機能チャネルを総称してサービスチャネル(SCH:Service Channel)という。
【0010】
次に、接続制御につき、着信接続制御を例にとって、その制御順序を説明する。着信待ち受けを行っている移動局は、基地局から送信される着呼メッセージ(PCH)を受信し、着信を検出する。着信を検出した移動局は、リンクチャネルを確立するために、基地局に対してリンクチャネル確立要求信号を送信する。基地局はリンクチャネル確立要求信号を受信すると、干渉のない呼接続を満足したリンクチャネルの割り当てをリンクチャネル割り当て信号で移動局に通知する。その後、同期バースト信号のやりとりによりリンクチャネルの同期を行い、リンクチャネルが移動局、基地局間で確立される。
【0011】
次に、移動局の位置登録について説明する。移動局に対する着信呼び出しを行う場合、移動局をサービスエリア全体で呼び出す方式をとると、加入者の増加に伴って着信トラフィックが増大し、着信を行うための移動局のグループを増やす必要が生じ、チャネル利用効率の低下、着信接続遅延の増加という問題が生じる。そこで、PHSでは、サービスエリアを複数の一斉呼び出しエリアに分割して、着信トラフィックを制限している。ネットワークでは、この一斉呼び出しエリア単位で位置登録を行い、当該エリア内の移動局を呼び出しているため、移動局が着信待ち受けを行う一斉呼び出しエリアをネットワークに通知する手段が必要となり、これを位置登録としている。
【0012】
位置登録処理は、最後に位置登録処理を行った一斉呼び出しエリアから移動局が抜け、別の一斉呼び出しエリアで着信待ち受けを開始する際に行われる。一斉呼び出しエリア番号は、基地局すべての下りLCCHで報知されており、移動局は移動時、一斉呼び出しエリア番号の比較処理を行い、一斉呼び出しエリアの移行を検出する。一斉呼び出しエリアの分割数を多くすると、着信トラフィックを減少させることが出来るが、一方、位置登録トラフィックは増加してしまう。このため、一斉呼び出しエリアの大きさは適切に設定されている。
【0013】
移動局、基地局とも、通信フェーズにおいて、TCH品質の監視を行う。干渉等によりTCH品質の劣化を検出した場合、干渉回避の処理を行う。具体的には、TCH品質の監視は、1.2秒間の受信スロット中の誤りスロット数を監視することで行い、その数が基地局からエリア情報として通知されるTCH切り替え誤りスロット数閾値以上となる場合に、干渉回避の制御を起動する。干渉回避の制御は、TCHを同一基地局内で切り替える場合と、他基地局のTCHに切り替える場合(いわゆるハンドオーバー)がある。
【0014】
ハンドオーバーには、TCHの確立を同期バーストの送受信から行うTCH切り替え型と、リンクチャネル確立フェーズから行う再発呼型とあるが、制御手順が複雑になる理由等から、公衆網では再発呼型ハンドオーバーが採用されている。ハンドオーバーでは以下の3つの処理が実行されている。
[1]無線ゾーンからの退出判定
[2]切り替え先基地局の選択
[3]切り替え先基地局でのTCHの確立
である。
【0015】
PHSは、マイクロセルによってサービスエリアを構成するため基地局数が膨大となること、基地局の新設・増設を柔軟に行えること等の理由から、無線回線管理を基地局で自律分散的に行う制御方法がとられている。
【0016】
LCCHの配置は、各事業者に一つの制御キャリアが割り当てられており、各基地局はこの制御キャリア上にLCCHを配置することとなる。そのため、各基地局は、互いに下りLCCH配置の監視を行い、干渉が生じない様に、下りLCCHの配置を行う方式となっている。上りLCCHは、各基地局で共有しており、スロット付きALOHA(S−ALOHA)によるランダムアクセスである。
【0017】
TCH割り当ては、移動局よりTCHの割り当て要求があった場合、周囲のゾーンでのTCHの干渉波を検出して、良好な通信品質が確保できるTCHを適応的に割り当てるダイナミックチャネル割り当て方式を採用している。ダイナミックチャネル割り当ては、各基地局にあらかじめ使用チャネルを割り当てておく固定チャネル割り当て方式に比べて、基地局の設置設計を柔軟に行うことができるため、サービス開始後のトラフィック増による基地局の増設、サービスエリア拡大のための基地局の新設等に柔軟に対応出来る利点がある。
【0018】
ここで、TCHの割り当てについては、移動局よりTCHの割り当て要求があった場合に、基地局が周囲のゾーンでのTCHの干渉波を検出している点に問題がある。すなわち、2つの基地局が例えば見通し位置にある場合、一方の基地局に属する移動局のTCHの割り当ては、その属する基地局で周囲のゾーンでのTCHを検出すれば、他方の基地局でTCHとして割り当てられていれば検出され、同一TCHの割り当ては行われず、干渉を引き起こすことはない。また2つの基地局が充分離れていても、相互の干渉は小さく問題を引き起こさない。
【0019】
しかしながら、2つの基地局が接近して設置され、相互の間に遮蔽物がある場合は状況が異なる。ここで、一方の基地局に属する移動局で、この移動局と2つの各基地局の間との間には遮蔽物がない場合を想定する。この移動局にTCHを割り当てる場合、その移動局の属する基地局により周囲のゾーンでのTCHの干渉波を検出するが、2つの基地局の間に遮蔽物があるため、他方の基地局がTCHと利用しているキャリアを干渉波として検出することができない場合、あるいはその検出が困難となる場合があり得る。その場合、移動局の属する基地局は、他方の基地局がTCHとして利用しているキャリアをTCHに割り当てる場合が想定される。この場合、前述の移動局は一方の基地局には干渉無く受信されるが、他方の基地局はTCHとして既に割り当てたキャリアにて送信されるため、大きな干渉として受信される。これが上記問題点である。
【0020】
そこで、この問題点を解決するために、このような場合には、基地局のアンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして構成し、干渉波方向にヌルを形成して通信対象の移動局からの希望波と干渉波を空間的に分離する方法が採用されている。
【0021】
加えて、基地局間で下り回線が時間的に同期していない場合において、一つの基地局に属する移動局が送信する上り回線のタイミングに近隣基地局の下り回線が重なると、前記基地局と移動局間の通信が著しく阻害されるという問題が生じる場合がある。
【0022】
この問題点を解決するために、PHS基地局は近隣基地局の信号を受信して、問題となる電波の到達範囲に近隣基地局が存在する場合、近隣基地局同士、送信タイミングを揃える、すなわち同期するという処理を行っている。かかる処理により、移動局の送信タイミング(上り回線)に近隣移動局の信号が重畳される問題を回避している。
【0023】
こうした基地局間同期の仕組みにより、前記干渉波の問題は基地局にとって複数の移動局間の問題となり、問題を簡素化する効果が得られている。すなわち、移動局を含めたゾーン内の干渉波を検出できれば回避可能な、複数移動局間での同一キャリアの重複使用のみが問題となり、基地局−移動局間の干渉の問題は回避される。この削減された移動局間の干渉問題に対して、遮蔽物のマスキングによって空間的に分離されたために発生する同一キャリアへのTCHの重複割当の問題は、アダプティブ・アレイ・アンテナによる空間分離技術によって軽減することができる。
【0024】
ここで、アダプティブ・アレイ・アンテナを実現する場合、基地局にとって干渉局が存在することは、逆に干渉局にとっては、本基地局の下り回線の信号が干渉波となっていることが、TDDシステムのもつ可逆性から容易に類推される。
【0025】
この問題点を解決するために、基地局に採用されたアダプティブ・アレイ・アンテナは移動局からの上り回線を受信して干渉波方向にヌルを向けて受信S/Nを改善するように動作するが、このアンテナ指向性で送信できれば干渉局方向にはヌルが形成され、干渉局にとっての本基地局の干渉は抑制される。
【0026】
ここで、基地局にアダプティブ・アレイ・アンテナを使用する場合、基地局受信アンテナパターンと同一の送信パターンで下り回線を送信するのが原理的には一般的であった。
【0027】
しかし、上り回線、下り回線の送受信アンテナパターンを同一にするには、受信時に各アンテナに施される振幅と位相による重み付けにより希望波方向にビーム、干渉波方向にヌルを形成するように合成されるのと同一の合成を送信、下り回線で実現する必要がある。ここで、空間においては可逆性が成り立つため、送受同一パターンでの送受信は可能ではある。しかしながら、実際には、従来の基地局無線機では、送信経路と受信経路とが異なって構成されているため、送受信で同一パターンとならない場合も多かった。このため、アダプティブ・アレイ・アンテナのキャリブレーションを行い、送受それぞれで重み付けを行い、受信アンテナパターンと同一な送信アンテナパターンとなるようにする必要があった。そして、このキャリブレーションは、周波数キャリア(周波数チャネル)毎に行う必要があり、また複数のアンテナ間の送信回路と受信回路との間でも行う必要があるから、全体のキャリブレーションを行うには、かなりの時間を要することとなる。したがって、このキャリブレーションは、夜間等、使用者のいない間にまとめて実行されるのが一般的であった。
【0028】
【特許文献1】
特許第3332911号公報
【特許文献2】
特表2003−501971号公報
【特許文献3】
特開2001−53663号公報
【非特許文献1】
菊間信良著,「アレーアンテナによる適応信号処理」,初版,株式会社科学技術出版,1998年11月
【非特許文献2】
三木英輔、外3名,「PHSの無線回線制御技術」,NTT R&D,日本電信電話株式会社,1995年9月
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、夜間等にキャリブレーションを実施すると、昼夜の温度差等に基づいて誤差が生じ、折角キャリブレーションを行ったにも拘わらず、昼間の通信時には送信アダプティブ・アレイ・アンテナ動作を問題なく行うことができる理論値から乖離してしまうという問題を生じていた。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の単位アンテナを含み、時分割多元接続方式で通信を行うアレイアンテナ通信装置であって、各単位アンテナに対応して設けられた送信部および受信部と、各受信部で受信された信号に対し重み付け処理を施して合成し、送信対象の信号に対し重み付け処理を施して各送信部に出力するアダプティブアレイ送受信部と、前記受信部における振幅変化量および位相推移量の少なくともいずれかを調整する受信特性調整部と、前記送信部における振幅変化量および位相推移量の少なくともいずれかを調整する送信特性調整部と、前記受信特性調整部および前記送信特性調整部の調整量を設定するキャリブレーション手段と、を備え、前記アダプティブアレイ送受信部は、前記複数の単位アンテナのそれぞれに対応して設けられた送信部のうちのいずれかに、通信で割り当てられていないタイムスロット内のタイミングで参照信号を出力し、前記キャリブレーション手段は、参照信号が送信された単位アンテナとは異なる単位アンテナに対応する受信部で受信された参照信号に基づいて、前記受信特性調整部および前記送信特性調整部の調整量を設定する。
【0031】
また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記キャリブレーション手段は、前記受信部で受信された参照信号の大きさが所定値に近づくよう、前記送信特性調整部の調整量を設定することが好適である。また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記複数の単位アンテナのうち1つを選択する選択手段を備え、前記アダプティブアレイ送受信部は、前記複数の単位アンテナのそれぞれに対応して設けられた送信部のうち、前記選択手段によって選択された1つの単位アンテナを除く単位アンテナに対応する送信部のいずれかに参照信号を出力し、前記キャリブレーション手段は、前記選択手段によって1つずつ選択された複数の単位アンテナのそれぞれに対して求められた前記送信特性調整部の調整量に基づいて、新たに前記送信特性調整部の調整量を求めることが好適である。また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記送信特性調整部の調整量を設定した後に、前記キャリブレーション手段は、前記受信部で受信された参照信号の振幅および位相が所定値に近づくよう、前記受信特性調整部の調整量を設定することが好適である。また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記複数の単位アンテナのうち受信キャリブレーションの対象とする単位アンテナを選択する受信キャリブレーションアンテナ選択手段を備え、 前記アダプティブアレイ送受信部は、前記複数の単位アンテナのそれぞれに対応して設けられた送信部のうち、受信キャリブレーションの対象でない単位アンテナに対応する送信部のいずれかに参照信号を出力し、前記キャリブレーション手段は、前記受信キャリブレーションアンテナ選択手段によって1つずつ選択された複数の単位アンテナのそれぞれに対して前記受信特性調整部の調整量を設定し、当該選択された各受信特性調整部について、複数回に亘る調整量の設定に基づいて新たな調整量を求めることが好適である。また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記キャリブレーション手段は、信号が単位アンテナで受信され前記アダプティブアレイ送受信部に至るまでの振幅変化量および位相推移量についての単位アンテナ相互間における差異、ならびに、前記アダプティブアレイ送受信部から信号が出力され単位アンテナから送信されるまでの振幅変化量および位相推移量についての単位アンテナ相互間における差異が小さくなるよう、前記調整量を設定することが好適である。
【0032】
また、本発明は、複数の単位アンテナを含み、時分割多元接続方式で通信を行うアレイアンテナ通信装置であって、単位アンテナ毎に設けられるRF受信系回路と、前記RF受信系回路毎に設けられ、前記RF受信系回路の出力端で一端が接続されるベクトル変調器と、各ベクトル変調器の他端に接続される合成部と、前記合成部に接続される総合受信部と、前記RF受信系回路毎に設けられ、各RF受信系回路に接続されるアレイアンテナ制御用受信部と、前記ベクトル変調器を前記総合受信部の出力信号と各アレイアンテナ制御用受信部の出力信号とに基づいて制御し、前記複数の単位アンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして機能させるアダプティブアレイ制御部と、各ベクトル変調器および各アレイアンテナ制御用受信部に参照信号を導く参照信号入力部と、通信で割り当てられていないタイムスロット内における、前記参照信号入力部に参照信号が入力されているタイミングで、前記総合受信部の出力信号と前記アレイアンテナ制御用受信部の出力信号とを比較して、前記総合受信部と前記アレイアンテナ制御用受信部との受信特性差に対する校正用値を求めるキャリブレーション手段と、を備える。
【0033】
また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、通信で割り当てられているタイムスロット内のタイミングで、前記複数の単位アンテナを介して信号を送信する送信部を備え、前記送信部は、通信で割り当てられていないタイムスロット内のタイミングで、前記参照信号入力部に参照信号を出力することが好適である。また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記キャリブレーション手段は、前記総合受信部の参照信号入力時出力信号と各アレイアンテナ制御用受信部の参照信号入力時出力信号との差を検出し、この差に基づいて校正用値を求めることが好適である。また、本発明に係るアレイアンテナ通信装置においては、前記キャリブレーション手段は、各アレイアンテナ制御用受信部から出力され校正用値によって校正された参照信号入力時出力信号と前記総合受信部の参照信号入力時出力信号との差を検出する誤差検出部と、
検出される差が小さくなるよう校正用値を更新する校正用値収束アルゴリズム実行部と、を備えることが好適である。
【0034】
また、本発明にかかるアレイアンテナ通信装置においては前記参照信号は、通信で割り当てられていない周波数チャネル内の周波数を有することが好適である。また、本発明にかかるアレイアンテナ通信装置においては、通信で割り当てられていない周波数チャネルを検出するキャリアセンス部と、前記キャリブレーション手段による処理の履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、前記キャリアセンス部によって検出された検出周波数チャネルと前記履歴情報とに基づいて、前記参照信号の周波数を当該検出周波数チャネル内の周波数とするか否かを判定する判定部と、を備え、前記キャリブレーション手段は、前記判定部の判定に応じた周波数の参照信号を用いた処理を実行することが好適である。本発明にかかるアレイアンテナ通信装置においては、前記判定部は、検出周波数チャネルと同一の周波数チャネルに対して先に行われた処理からの経過時間に基づく判定を行うことが好適である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の第一の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置10の要部を示すブロック図である。アダプティブアレイアンテナは4個の単位アンテナ12を含み、各アンテナ12に入力された信号は、送受切替器14,16が受信側に接続されている状態で、低雑音増幅器(LNA)18を通過し、双方向ベクトル変調器20に入力される。ここで、送受切替器14,16の間では、送信系と受信系とでそれぞれ別個独立した回路(すなわちRF送信系回路およびRF受信系回路)を有しており、RF送信系回路には、送信電力増幅器22が設けられている。なお、本実施形態では、アレイアンテナ通信装置10が、TDMA−TDD方式によって通信処理を行う基地局装置として構成される場合について説明する。
【0037】
受信信号は双方向ベクトル変調器20において、それぞれ重み付けされ、各単位アンテナ毎の信号が分配合成部24において加算され、受信器26およびAD変換器28からなる受信部を通って変復調回路30へ供給される。
【0038】
一方、送信信号は変復調回路30からDA変換器32と送信器34とからなる送信部を介してスイッチ36から分配合成部24へ送られる。
【0039】
そして、前記双方向ベクトル変調器20の重み付け値を最適値に制御するために、アダプティブアレイ制御部38が設けられており、このアダプティブアレイ制御部38には前述した受信部からの受信信号と後述する校正回路からの校正信号が供給され、これによって得られた所望の重み付け値が各DA変換器40を介して単位アンテナ毎の双方向ベクトル変調器20へ供給される。
【0040】
アダプティブアレイ制御部38から出力される重み付け値を短時間に収束させるために、本発明においては、各RF受信系回路に参照信号が注入され、アダプティブアレイ制御部38による迅速な重み付け決定が行われる。本実施形態において、参照信号は変復調回路30から送信部を経て分配合成部24へ送られる送信信号が用いられる。すなわち、送信器34の送信信号はスイッチ41から減衰器42を介して各単位アンテナ毎の低雑音増幅器18の下流側へ方向性結合器44を用いて注入されている。もちろん、本発明において、注入される参照信号は送信信号である必要はなく、送信信号と異なる特定の参照信号を用いることも好適である。
【0041】
この参照信号は、各双方向ベクトル変調器20を介して受信信号として分配合成部24へ送られると共に各単位アンテナ毎に設けられたモニタ受信部46に送られる。そして、受信器26からの受信信号とモニタ受信部46からのモニタ受信信号は校正回路48において比較され、両者の振幅あるいは位相の差をゼロとするための校正信号がアダプティブアレイ制御部38へ供給される。モニタ受信信号はモニタ受信部46からAD変換器50を介して校正回路48へ供給されている。
【0042】
さらに、本実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置10は、制御部(例えばCPU)70および記憶部(例えばメモリ)72を有する。制御部70は通常の通信処理における装置各部の制御を司るとともに、キャリブレーション処理(校正処理)における各種演算処理および装置各部の制御を司る。また、記憶部72には、キャリブレーションの履歴を示す履歴情報の他、通信処理において割り当てている周波数チャネルやタイムスロットを示す情報なども記憶されている。なお、本実施形態では、制御部70が実施条件決定部に相当し、記憶部72が履歴情報記憶部に相当する。
【0043】
ここで、上記構成を有するアレイアンテナ通信装置10における校正(キャリブレーション)手順を説明する。以下の校正は、制御部70によって決定されたタイムスロット内のタイミングで実行される。校正が1タイムスロットで完了しなかった場合には一旦中断し、次のフレームの同じタイムスロットでその続きが実行される。タイムスロットの決定については後述する。さて、通常のアンテナ送受信時において、切替器14(SW1、SW2、SW3、SW4)、切替器16(SW5、SW6、SW7、SW8)およびスイッチ36(SW9)は送信時にはt側、そして受信時にはr側に接続され、送信系および受信系の切替えが行われる。また、この時、スイッチ41(SW10)は開放されている。
【0044】
校正を行う時には、切替器14,16およびスイッチ36は全て受信r側に接続され、スイッチ41(SW10)が閉じられ、参照信号注入回路から各方向性結合器44を介して受信系回路に参照信号が注入される。なお、ここで注入される参照信号の周波数は、制御部70によって決定された周波数キャリア(周波数チャネル)内の周波数とする。この周波数の決定については後述する。
【0045】
本実施形態によれば、最適な重み付け値wを得るための校正は参照信号によって行われるので迅速に最適な重み付けへの収束が行われるという利点があり、また校正のために単位アンテナ12からの受信信号を必要とすることがなく、本実施形態においては、校正時にはアンテナ12を装置から切り離すことが好適である。このために、切替器14は図示した受信側のr端子と送信側のt端子のみでなく、これに加えて開放端子を設け、校正時にはアンテナ12を装置から切り離すことが好適である。
【0046】
以上の校正準備が整うと、参照信号は受信部から受信信号rとしてアダプティブアレイ制御部38および校正回路48に供給され、一方参照信号は単位アンテナモニタ受信部46からAD変換器50を介して単位アンテナ毎にU1’、U2’、U3’、U4’として校正回路48に供給される。そして、校正回路48では、受信信号とモニタ受信信号との比較を行い両者の差をゼロとするような校正値Uをアダプティブアレイ制御部38へ出力する。
【0047】
4つの単位アンテナモニタ受信部46に対する校正は1系統ずつ順に行われ、すなわち、モニタ受信部(1)の校正を行う場合は、双方向ベクトル変調器の重み係数を示すWの値は、W1の値のみが1で、W2、W3、W4は全てゼロに設定し、この状態でβ1の経路を通る信号のみが受信器26へ入力されるようにする。ここで、校正回路48は一番目のアンテナ12から得られた受信信号rとモニタ受信部(1)からのモニタ受信信号U1’とを比較して最適な校正値U1をアダプティブアレイ制御部38へ供給し、これにより、双方向ベクトル変調器20への重み付け値W1を選択することができる。同様に、モニタ受信部(2)の校正を行う場合には重み係数W2のみが1で残りを全てゼロに設定し、モニタ受信部(3)の校正に対しては、重み付け係数W3、モニタ受信部(4)の校正に対しては、重み付け係数W4のみを1と設定する。
【0048】
図1には詳細には説明していないが、校正中にアンテナ12から干渉信号が混入すると補正値の計算に悪影響を及ぼす場合があるので、校正を開始する直前にキャリアセンス等を行って干渉波が存在しない時間に校正を行うことが好適である。また、前述したように校正中はアンテナ12からの干渉信号が参照信号に混入しないよう、切替器14をすべて開放端子に接続することが好適である。
【0049】
以上説明したように、本発明によれば、参照信号を用いることによって、校正回路48からはアダプティブアレイ制御部38に対して迅速に重み付けを収束させる校正値を供給することができるが、その更に具体的な実施形態を以下に説明する。
【0050】
図2は校正回路48の原理的なブロック回路を示し、モニタ受信信号U1’〜U4’は振幅・位相調整器52において誤差検出回路54の出力が乗算され、振幅および位相誤差が調整される。この調整された出力は校正値U1〜U4としてアダプティブアレイ制御部38へ供給されるが、同時に誤差検出回路54へ戻され、ここで受信信号rと演算され、前述した振幅・位相調整器52へ戻される。
【0051】
図2は原理的な校正回路を示したものであり、その更に具体的な実施形態が図3に示されている。図3において、モニタ受信部46を一系統ずつ校正するために3個のスイッチSW11、SW12、SW13が設けられ、各スイッチ端子にはモニタ受信部46の各系列と対応した数字1〜4が付されている。受信信号rは加算器56において校正値U1〜U4の選択された値と減算され、その出力すなわち誤差分εが乗算器58に供給され、スイッチSW11を介して得られたモニタ受信信号U’と乗算され、更に減衰器60から振幅・位相調整器52へ送られる。この振幅・位相調整器52は記憶回路62を有し、前記減衰器60からの出力が常に記憶値cと加算器64によって加算され、その出力がスイッチSW12から各系統毎の記憶回路66に記憶され、乗算器68によってモニタ受信信号U’に乗算される。この結果、校正値Uは常に各系統毎に更新された校正値としてアダプティブアレイ制御部38へ供給されることとなる。
【0052】
図3に示した実施形態においては、校正値Uは再急降下法(LMS)アルゴリズムを用いて求められる。この校正値Uは初期値に依存せずに収束するが、より早く収束させるためにはそれ以前の収束結果から始めるか、不明な場合はゼロから始めるのが良い。校正回路はモニタ受信信号であるU’と受信信号rとの差εがゼロとなるように式(1)に従って校正値U、実際には記憶回路66の記憶値cを繰り返し更新して収束させる。
【数1】
Figure 0004388303
上記式(1)において、*は複素共役を意味する。上式において、各要素はμを除いて全て複素数である。nはLMSアルゴリズムの繰り返し演算回数を示し、μは記憶値の収束時間と記憶値の安定性に影響する回路定数である。μは大きくするほど収束時間が短くなるが、記憶値の安定性は悪くなる。
【0053】
次に、上記アレイアンテナ通信装置10における、キャリブレーション実施条件の決定および実行について説明する。図4は、そのフローチャートである。まず、制御部70は、装置各部を制御し、通信に用いる周波数キャリア(周波数チャネル)の受信レベルを測定し、あるタイムスロットの周波数キャリアが通信に適するレベル以下のノイズまたは干渉量であることを調べるために、周波数キャリアセンスを実行する(ステップS10)。次に、制御部70は、記憶部72を参照し、使用可能な周波数キャリア(すなわち通常の通信処理に使用されていない周波数キャリア)をキャリブレーションに用いる周波数キャリア候補として選択する(ステップS11)。次に、記憶部72に記憶されるキャリブレーションの履歴を示す履歴情報を参照し、候補となった周波数キャリアについて、前回キャリブレーションを行った最終のキャリブレーション時期を参照表等から調査する(ステップS12)。ここで、制御部70は、例えば、最終キャリブレーションから一定期間経過したかどうかを調べ、この候補としてあげられた周波数キャリアについてキャリブレーション更新期間を過ぎていた場合には、その周波数キャリア候補をキャリブレーションを行う周波数キャリアとして決定する(ステップS13)。次に、記憶部72から通常の通信処理におけるタイムスロットの使用状況を取得し(ステップS14)、現在、空いているタイムスロットをキャリブレーション用として確保する(ステップS15)。そして制御部70は、決定された条件(すなわち周波数キャリアおよびタイムスロット等)にしたがって、キャリブレーション手段としての装置各部(例えば、変復調回路30、スイッチ16,36,41、アダプティブアレイ制御部38,校正回路48など)を制御し、上述したキャリブレーションを実行する(ステップS16)。そして、制御部70は、キャリブレーションに関する情報(例えば、キャリブレーションを行った周波数キャリア、その周波数(例えば校正信号の周波数)、キャリブレーションを行った日時、重み付け制御定数を示す情報など)を、履歴情報として記憶部72に追加して記憶する(ステップS17)。なお、上記処理では、ステップS10からステップS13までについては例えば一定間隔で反復して実行して周波数キャリアの使用状況を監視しておき、ステップS14でタイムスロットの空きが生じ次第、それ以降のステップS15〜ステップS17を実行するのが好適である。
【0054】
図5は、各周波数キャリアの送受信状況を示す図である。この図5では、横軸は時間であり、実線の台形は実際に送信(受信)していることを、また破線の台形は単にタイムスロットの存在を示している。この例では、下り回線には時分割で4タイムスロット、上り回線には時分割で4タイムスロットが割り当てられている。そして、下り(基地局送信)の4タイムスロットと、上り(基地局受信)の4タイムスロットで、TDMA−TDD通信システムの1フレームが構成され、その繰り返しによって通信が行われている。最上段は周波数キャリア#0であり、この例では制御チャネルに用いられている。制御チャネルはT1のタイムスロットを用いて下り回線を形成し、例えば基地局エリア内の移動局に報知情報を送信している。制御チャネルはT1で送信するため、これに対応するR1にて受信が行われる(上り回線)。実際には発呼を行う場合等にこのR1が用いられる。なお、この例では、第2のTDMA−TDDフレームにて受信が行われている。周波数キャリア#1はユーザ1に対してT2で下り回線を確保し、R2で上り回線を確保して通信を行っている。また、周波数キャリア#2はR3にて干渉波(のこぎり状の波形で示す)が受信されているため、T3−R3のタイムスロットには割り当てることができない。
【0055】
そして、この例の場合には、周波数キャリア#Nにおいて、T3−R3のタイムスロットが空いているので、制御部70は、この周波数キャリア番号#NおよびタイムスロットT3−R3を用いてキャリブレーションを実行させる。キャリブレーション手段としての装置各部は、このキャリブレーション要求を受けてT3−R3を用いてキャリブレーションを行う。校正回路48(の誤差検出回路54)は、誤差が所定値以内に収まると、それを制御部70に通知する。制御部70は、それにより周波数キャリア#Nのキャリブレーションが終了したと判断して、履歴情報を更新する。
【0056】
図6は、本発明の第二の実施形態にかかるアダプティブアレイ無線基地局(アレイアンテナ通信装置)の要部を示す概略ブロック図である。図6では、アダプティブアレイ無線基地局のうち、この発明に関連する振幅及び位相のキャリブレーションに関する部分のみを示しており、受信信号および、送信信号の重み付けのための受信部や送信部は図示省略している。
【0057】
図6に示すアダプティブアレイ無線基地局は、全体の制御を司る制御部100と、送信信号Sti(St1,St2,・・・,Stk,・・・,Stn)及び受信信号(Sr1,Sr2,・・・,Srk,・・・,Srn)の振幅や位相を調整するための振幅位相調整部200と、アレイアンテナを構成するN個のアンテナ素子ANTi(ANT1,ANT2,・・・,ANTk,・・・,ANTn)と、それぞれのアンテナ素子に対応して設けられたアンテナ共用器(SW1,SW2,・・・,SWk,SWn)と、それぞれのアンテナ素子に対応して、アンテナ共用器と振幅位相調整部200との間に設けられた送信回路TXi(TX1,TX2,・・・,TXk,・・・,TXn)及び受信回路RXi(RX1,RX2,・・・,RXk,・・・,RXn)と、を備えている。また、アンテナ共用器SWiは、制御部100からの制御信号により、送信側、受信側の何れかに接続される。或いは、さらに中立位置(オープン位置)に設定できるものでも良い。なお、iは、1〜Nのうちの任意の番号である。
【0058】
制御部100は、コンピュータにより構成されており、キャリブレーション時にそれぞれのアンテナ素子から送信すべき既知の信号や算出あるいは調整された各信号を記憶するためのメモリ手段や、送信信号設定手段、受信信号誤差検出手段、送信信号振幅・位相制御手段、その他の必要な制御手段などの各機能が用意されている。
【0059】
振幅位相調整部200は、各アンテナに応じて、送信側移相器PSit(PS1t,PS2t,・・・,PSkt,・・・,PSnt)、送信側可変増幅器AGit(AG1t,AG2t,・・・,AGkt,・・・,AGnt)、受信側移相器PSir(PS1r,PS2r,・・・,PSkr,・・・,PSnr)、受信側可変増幅器AGir(AG1r,AG2r,・・・,AGkr,・・・,AGnr)、および移相器や可変増幅器を制御する振幅位相制御器ASci(ASc1,ASc2,・・・,ASck,・・・,AScn)を備えている。これらの振幅位相制御器ASciは、制御部100から供給される送信側振幅位相信号ctsi(cts1〜ctsn)、受信側振幅位相制御信号ctri(ctr1〜ctrn)に基づいて、移相器PSit,PSir及び可変増幅器AGit,AGirを制御する。なお、この振幅位相調整部200は、キャリブレーションに専用としても良いし、また、通常の通信におけるアダプティブ制御用に共用としても良い。
【0060】
これらアンテナ素子ANTiとアンテナ共用器SWiと、このアンテナ素子を共用する送信回路TXiと、受信回路RXiと、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段PSit,AGitと、受信信号の振幅と位相を制御する受信側振幅・位相制御手段AGir,ASciが含まれて、各々の信号伝送系が構成されている。
【0061】
送信回路TX1,TX2,・・・,TXk,・・・,TXnの各々は、たとえば周波数変換器、アンプ、フィルタ、拡散器などからなり、振幅位相調整部200の送信信号出力端子から対応するアンテナ共用器SWまでの経路に存在する回路を総称する。同様に、受信回路RX1,RX2,・・・,RXk,・・・,RXnの各々も、たとえば周波数変換器、アンプ、フィルタ、逆拡散器などからなり、対応するアンテナ共用器SWから振幅位相調整部200の受信信号入力端子までの経路に存在する回路を総称するものとする。
【0062】
アレイアンテナを構成するN個のアンテナ素子ANT1,NAT2,・・・,ANTk,・・・,ANTnは、アレイ状に配置されるが、図7は4個のアンテナ素子ANT1〜ANT4でアレイアンテナが構成されている場合の配置例を示している。この図2の例では、4個のアンテナ素子が正方形の各頂点に正確に配置される。
【0063】
また、アンテナ共用器SW1〜SWnの各々は、制御部100からの制御信号に応じて、対応する送信回路TXiからの信号を、対応するアンテナ素子ANTiまたは受信回路RXiのいずれかに選択的に与えるよう切替わる。アンテナ共用器SWiのそれぞれから対応するアンテナ素子ANTiに与えられる信号は、電波信号として放出される。また、アンテナ共用器SWiが受信回路側に接続されている場合には、当該アンテナ共用器に入った受信信号は、電波信号として放出される。また、アンテナ共用器SWiが受信回路側に接続されている場合には、当該アンテナ共用器に入った受信信号はそのまま対応する受信回路RXiによって受信される。以降各々のアンテナ素子を介する信号の送受信に関する一群の回路構成を信号伝送系と称する。
【0064】
なお、キャリブレーション時以外の通常の信号送受信時には、図示しない送信部によって各信号伝送系に対応して重みづけされた送信信号が、各信号伝送系を経由して送出される。また、各アンテナ素子ANTiによって受信された信号は、各伝送系を経由して図示しない受信部に与えられて重みづけ処理がなされ、出力信号として外部へ供給される。
【0065】
以下、本実施形態におけるキャリブレーションの基本となる考え方を図8、図9を参照して説明する。
【0066】
本発明では、キャリブレーション時に、複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系の特定の1つの信号伝送系を除く複数M個(ただし、2≦M<N)の信号伝送系の送信回路TXiから既知の信号を送信し、その送信された既知の信号を複数M個以外の特定の1つの信号伝送系の受信回路RXiで受信する。
【0067】
送信側のキャリブレーション時には、その既知の信号は特定の1つの信号伝送系の受信信号が零になるように算出されており、その受信信号が実際に零になるように複数M個の信号伝送系の送信側振幅・位相制御手段AGit・PSitを制御する。また、受信側のキャリブレーション時には、その受信信号を送信された既知の信号に基づいた所定の振幅・位相になるように当該信号伝送系の受信側振幅・位相制御手段AGir・PSirを制御する。これにより、アダプティブアレイ無線基地局などにおいて用いられる無線装置のキャリブレーションを、アッテネータを挿入したり或いは利得を大きく調整することを不要とし、通常の使用状態で実施することが可能になる。
【0068】
まず、本実施形態における信号伝送系の送信側のキャリブレーションの考え方について説明する。図8では、複数Mを2とし、その送信側信号伝送系のアンテナをアンテナA及びアンテナBとする。また、特定の1つの受信側信号伝送系のアンテナをアンテナRとする。アンテナAとアンテナRとの距離をLar、アンテナBとアンテナRとの距離をLbrとする。
【0069】
アンテナAから送信信号Staで送信し、アンテナBから送信信号Stbで送信する。これらの送信信号Sta、Stbはそれぞれ所定の振幅と位相を持ち、複素数表現される。送信された信号Sta、Stbは、伝播距離Lに反比例して減衰G(L)し、伝播距離Lに応じた位相回転θ(L)が生じる。なおθ(L)は、2πL/λで表される。ただし、λは送信される電波の波長である。
【0070】
アンテナRで受信される受信信号Srrは、
【数2】
Figure 0004388303
で表される。なお、G(rr)ε−jθ(rr)は、アンテナRの受信信号伝送系での減衰量及び位相回転量を表している。
【0071】
アンテナ相互間の距離は、それらの配置関係から予め判明しているので、アンテナA、Bから送信する送信信号Sta、Stbを、アンテナRでの受信信号Srrが零になるように設定して、送信する。
【0072】
アンテナAの送信側伝送系(送信回路など)とアンテナBの送信側伝送系(送信回路など)との減衰及び位相回転が全く同一であれば、受信信号Srrは両アンテナからの送信信号が打ち消し合って零になるはずである。
【0073】
しかし、実際には、アンテナA、アンテナBの送信側伝送系(送信回路など)の減衰及び位相回転は全く同一でないから、それらの差分による受信信号が受信される。
【0074】
そこで、それらの差分による受信信号が零になるように、アンテナAの送信側伝送系とアンテナBの送信側伝送系のいずれか一方または両方の減衰量や位相回転量を調整する。これにより、アンテナA、B間の送信側キャリブレーションが行われる。
【0075】
引き続いて、送信側キャリブレーションが行われたアンテナ(例えばアンテナA)と他のアンテナCとによって同様に差分による受信信号が零になるように、アンテナCの送信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整する。これにより、アンテナA、Bに続いてアンテナCの送信側キャリブレーションが行われる。以下同様に、全てのアンテナについて送信側キャリブレーションが行える。
【0076】
以上の説明では、送信側伝送系のアンテナA、Bなどと受信側伝送系のアンテナRとの間の距離Lar、Lbrは任意の値としている。これらの距離Lar,Lbrが等しい場合、即ちアンテナA、Bに対してアンテナRが二等辺三角形上にある場合には、最初に送信される送信信号Sta,Stbはどう振幅で逆位相のものとすればよい。
【0077】
また、以上の説明では、複数Mを2としたが、複数Mを複数Nより少ない3以上の数にしてもよい。図9は、複数Mを3とした場合の例を示したものである。
【0078】
図9では、図8に比して、送信側信号伝送系のアンテナCが追加されており、アンテナCとアンテナRとの距離をLcrとする。
【0079】
この場合に、アンテナRで受信される受信信号Srrは、
【数3】
Figure 0004388303
で表される。
【0080】
この場合にも、アンテナA〜Cから送信する送信信号Sta〜Stcを、アンテナRでの受信信号Srrが零になるように設定して、送信する。
【0081】
そして、図8の場合と同様に、差分による受信信号が零になるように、アンテナA〜Cの送信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整する。これにより、アンテナA〜C間の送信側キャリブレーションが行われる。
【0082】
引き続いて、送信側キャリブレーションが行われたアンテナ(例えばアンテナA、B)と他のアンテナDとによって同様に差分による受信信号が零になるように、アンテナDの送信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整して、アンテナDの送信側キャリブレーションが行われる。
【0083】
この場合、キャリブレーションが進行するに連れて、複数Mを3から4,5,・・・と順次増加していってもよい。
【0084】
ここで、より厳密にはアンテナA,B,C,・・・が、波長に対して10波長以下等比較的接近されて設置される場合が多いため、アンテナRの位置がアンテナA,B,C,・・・の近距離場にあたり、電磁波解析によるヌル点となるように、アンテナA,B,C,・・・から送信されるのが基本である。
【0085】
次に、本実施形態における信号伝送系の受信側のキャリブレーションの考え方について説明する。受信側のキャリブレーションも、複数Mを2とし、送信側のキャリブレーションと同様に図8を参照して説明する。
【0086】
受信側のキャリブレーション時においては、全ての信号伝送系の送信側のキャリブレーションは既に終了している。
【0087】
アンテナAから送信信号Staで送信し、アンテナBから送信信号Stbで送信する。アンテナRで受信される受信信号Srrは、
【数4】
Figure 0004388303
で表される。
【0088】
アンテナ相互間の距離は、それらの配置関係から予め判明しており、送信側のキャリブレーションも既に終了しているので、アンテナA、Bから送信する送信信号Sta,Stbを、アンテナRでの受信信号Srrが、零でなく、予め設定した振幅と位相となる設定値に設定して、送信する。
【0089】
受信側のキャリブレーションにおいては、当該受信側伝送系自身のキャリブレーションを行うから、受信信号の設定値(特に振幅)は通常の信号伝送状態での受信信号のレベルと同程度あるいはそれ以下になるように行われることがよい。
【0090】
アンテナRの受信側伝送系(受信回路など)の減衰及び位相回転(G(rr)ε−jθ(rr))が、設計値と同一であれば、受信信号Srrは、両方からの送信信号が相互に影響し合って小さくなり、予め設定した設定値で受信される。
【0091】
しかし、アンテナRの受信側伝送系(受信回路など)の実際の減衰及び位相回転は設計値と全く同一でないから、設計値と実際値との差分だけ設定値と異なった受信信号Srrが受信される。
【0092】
そこで、その受信信号が予め設定した設定値になるように、アンテナRの受信側伝送系の減衰量G(rr)及び位相回転量ε−jθ(rr)を調整する。調整の結果、受信信号が予め設定した設定値になったことにより、アンテナRの信号伝送系の受信側キャリブレーションが行われる。
【0093】
引き続いて、他のアンテナを、新しいアンテナRとして、同様に差分による受信信号が予め設定した設定値になるように、アンテナRの受信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整する。このようにして、各アンテナの受信側キャリブレーションが、順次行われる。
【0094】
以上の説明では、複数Mを2としたが、図9のように、複数Mを複数Nより少ない3以上の数にしてもよい。
【0095】
また、他の受信側キャリブレーション方法として、受信側のキャリブレーション時には既に送信側のキャリブレーションは終了しているから、アンテナRへの信号を送信する送信側アンテナをただ1個としてもよい。ただ、この場合には送信側アンテナからの送信信号のレベルは、受信側で許容される程度の受信信号レベルとなるように調整して送信することになる。
【0096】
次に、本実施形態におけるキャリブレーション動作を、図6の他、図10及び図11をも参照して説明する。図10は、送信側のキャリブレーション時のフローチャートを示す図であり、図11は、受信側のキャリブレーション時のフローチャートを示す図である。
【0097】
図10において、送信側キャリブレーションがスタートすると、ステップS101で、N本(N≧3)のアンテナのうちの1本を受信用のアンテナRとして選択する。このアンテナRの信号伝送系の受信側可変増幅器AGirの増幅度及び受信側移相器PSirの移相量を、制御部100からの受信側増幅移送制御信号ctrにしたがって、それぞれ所定値、例えば1及び零、に設定する。
【0098】
ステップS102で、アンテナRを除く「N−1」本のアンテナのうちM本(2≦M≦N)を選択する。
【0099】
ステップS103で、選択されたM本のアンテナから送信した場合に、アンテナRで受信される受信信号Sriが計算上で零となるM本のアンテナからの送信振幅と位相を、制御部100によって算出する。算出された送信側振幅位相制御信号ctsiを振幅位相制御器ASciに供給し、送信振幅と位相を送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitに設定する。そして、ステップS104で、実際にM本のアンテナから送信する。
【0100】
なお、受信用のアンテナRとして選択された以外のアンテナにつながるアンテナ共用器SWiは、送信側或いは中立位置にあるように制御される。これにより、受信用アンテナR以外のアンテナ受信回路に大きな受信信号が入力されることを避けることができる。
【0101】
ステップS105で、アンテナRでの受信信号Sriが零となったかどうかを判定する。零でない場合には、ステップS106でM本のアンテナのうち少なくとも1本の送信振幅及び又は位相を調整し、再度送信する。このような、ステップS105及びステップS106の処理を繰り返して行い、アンテナRでの受信信号Sriが零になったと判定されると、ステップS107に進む。この受信信号Sriが零になったかどうかの判定は、実際には所定の閾値Vthを定めておき、受信信号Sriがその閾値Vthを下回ったことにより、例になったと判定する。
【0102】
なお、ステップS103での送信振幅の設定は、送信側のキャリブレーションがまだ行われていない状態であるので、受信アンテナRで高いレベルの受信信号が受信されることを防ぐために、小さく設定することがよい。そして、ステップS105での受信レベルの判定及びステップS106での送信振幅や位相の変更の繰り返し処理を通して、徐々に本来の送信振幅のレベルに上昇させて行くことがよい。これにより、送信側のキャリブレーションの際に、受信アンテナに高いレベルの信号が受信されることなく、本来の送信振幅レベルでの振幅及び位相をキャリブレーションすることができる。
【0103】
ステップS107では、ステップS101で選択された受信用アンテナRを除く「N−1」本のアンテナの送信振幅と位相が調整されたか、即ち「N−1」の信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitが調整されたかどうかを判定する。
【0104】
まだ、「N−1」の信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitのうちに、未調整のものがある場合には、ステップS108に進む。
【0105】
ステップS108では、M本のアンテナの新しい組み合わせを、少なくとも1本のアンテナがそれ以前のM本の組み合わせと共通するように、選択する。そして、ステップS103に戻って、ステップS103〜ステップS107の処理を、その新しいアンテナの組み合わせについて行う。この場合、既に調整済みの信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitはそれらの調整状態を固定しておき、新たにM本中に加えられた信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitの振幅及び位相を調整する。
【0106】
このようにして、「N−1」の信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitが調整されると、ステップS109に進む。ステップS109では、ステップS101で選択したアンテナRを1回以上変更したかどうかを判定する。
【0107】
アンテナRが1回以上変更されていない場合には、ステップS110に進む。ステップS110では、N本のアンテナのうち、以前にアンテナRとして選択されていないアンテナを、新しい受信用のアンテナRとして選択し、ステップS102に戻る。そして、ステップS102〜ステップS109の処理を、再び行う。
【0108】
ステップS109で、設定された回数だけ、アンテナRが変更されると、送信キャリブレーションは終了する。
【0109】
ステップS109での回数を1回とした場合にも、全ての信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitが調整され、送信側のキャリブレーションが行われたことになる。
【0110】
ステップS109での回数を2回以上とした場合には、全ての信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitの調整が、複数回行われることになる。したがって、各回のそれぞれの振幅及び位相の調整値を制御部100のメモリ手段に記憶させておき、それらの調整値を平均化し、平均化された調整値を全ての信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitに設定する。これにより、より精度よくばらつきを小さくして,送信側キャリブレーションを行うことができる。
【0111】
また、図10のフローチャートのステップS108において、選択されるアンテナを一本増加し、M←M+1、とすることができる。例えば、Mとして最初は2本とし、ステップS108に進む度にM=3,M=4,・・・と増加させていっても良い。この場合には、どのような組み合わせであっても、常に1つの信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitの調整のみでよい。
【0112】
次に、図11を参照して、受信側のキャリブレーション時の動作を説明する。この受信側のキャリブレーション時には、全ての信号伝送系の送信側のキャリブレーションは終了している。
【0113】
図11において、受信側キャリブレーションがスタートすると、ステップS201で、N本(N≧3)のアンテナのうちの1本を受信用のアンテナRとして選択する。このアンテナRの信号伝送系の受信側可変増幅器AGirの増幅度及び受信側移相器PSirの移相量を、制御部100からの受信側振幅位相制御信号Ctriにしたがって、それぞれ所定値、例えば1及び零、に設定する。
【0114】
ステップS202で、アンテナRを除く「N−1」本のアンテナのうちM本(2≦M≦N)を選択する。
【0115】
ステップS203で、アンテナRで受信される受信信号Sriが予め設定した振幅及び位相となるように、送信側キャリブレーション結果を踏まえて、M本のアンテナから送信する送信信号の振幅と位相を制御部100によって算出する。算出された振幅と位相となるような送信側振幅位相制御信号Ctsiを振幅位相制御器ASciに供給し、送信振幅と位相を送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitに設定する。そして、ステップS204で、実際にM本のアンテナから送信する。
【0116】
受信側のキャリブレーションにおいては、当該受信側伝送系自身のキャリブレーションを行うから、当該受信側伝送系において予め設定した受信信号Sriが受信されるようにM本のアンテナからの送信信号が送信される。この受信信号の設定(特に振幅)は、通常の信号伝送状態での受信信号のレベルと同程度あるいはそれ以下になるように行われる。
【0117】
ステップS205で、アンテナRでの受信信号Sriが予め設定した設定値となったかどうかを判定する。設定値と異なる場合には、ステップS206でアンテナRの信号伝送系の受信側可変増幅器AGirの増幅度及び又は受信側移相器PSirの移相量を、制御部100からの受信側振幅位相制御信号Ctriにしたがって、調整する。
【0118】
このような、ステップS205及びステップS206の処理を繰り返して行い、アンテナRでの受信信号Sriが設定値になったと判定されると、ステップS207に進む。この受信信号Sriが設定値となったかどうかの判定は、実際にはその設定値に対して所定の閾値を定めておき、受信信号Sriがその閾値内に入ったことにより、設定値になったと判定する。
【0119】
ステップS207では、N本のアンテナがアンテナRとされたかどうかを判定する。N本のアンテナのうち、まだアンテナRとして選択されていないアンテナがある場合には、ステップS208に進み、そのアンテナを受信用のアンテナRとして選択し、ステップS202に戻る。
【0120】
ステップS202〜ステップS208での各処理を、ステップS207でN本のアンテナがアンテナRとされたと判定されるまで、繰り返して行う。ステップS202での処理において、選択されているM本のアンテナの1つが新しいアンテナRとなる場合には、新しく他のアンテナをM本のアンテナの1つとして選択する。
【0121】
ステップS207でN本のアンテナがアンテナRとされたと判定されると、全ての信号伝送系の受信側可変増幅器AGir及び受信側移相器PSirが調整され、送信側のキャリブレーションが行われたことになる。
【0122】
ステップS207で、N本のアンテナがそれぞれ2回以上アンテナRとして選択されたことを、終了の条件とするように変更することができる。この場合には、全ての信号伝送系の受信側可変増幅器AGir及び受信側移相器PSirの調整が、複数回行われることになる。したがって、各階のそれぞれの振幅及び位相の調整値を制御部100のメモリ手段に記憶させておき、それらの調整値を平均化し、平均化された調整値を全ての信号伝送系の受信側可変増幅器AGir及び受信側移相器PSirに設定する。これにより、より精度良くバラつきを小さくして、受信側キャリブレーションを行うことができる。
【0123】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば、本発明を適用可能なアレイアンテナ通信装置は上記実施形態に示したものには限定されず、本発明は、キャリブレーションを実行可能に構成されているTDMA−TDD方式による他の従来のアレイアンテナ通信装置(例えば特許第3332911号等に開示される通信装置等)にも適用可能である。
【0124】
また、制御部70は、キャリブレーションの履歴に基づいて周波数キャリアを決定するが、この際、過去に調整の行われた周波数キャリアの周波数に基づいて周波数キャリアを決定することもできる。例えば、候補となる周波数キャリアが複数あった場合、そのうち、その周波数(周波数帯域,または中心周波数)と過去に調整の行われた周波数キャリアの周波数との差が大きいものを、優先的に選択することができる。これは、周波数が近ければ、振幅変化量や位相回転量、遅延量等の特性が近いものとなるため、その差が大きい周波数キャリアを選択しておけば、良好な通信特性あるいはアダプティブアレイ特性の得られる周波数帯域がより拡大されると考えられるからである。この際、前回のキャリブレーションを行った時点からの経過時間も合わせて考慮するのがさらに好適である。
【0125】
また、振幅変化量や位相回転量、遅延量等に温度依存性があることを利用し、キャリブレーションを行ったときに装置(例えば送信回路、受信回路等)の温度や気温等を検出してこれを重み付け定数などの設定条件とともに履歴情報として記憶しておき、当該温度となったときにその設定条件を使用するようにしてもよい。
【0126】
さらに、キャリブレーションの実行結果あるいは履歴に基づいて通信処理にかかる制御を実行することも可能である。例えば、一定期間以上キャリブレーションを実行していない周波数帯域がある場合には、その周波数帯域に含まれるあるいは近い周波数キャリアについては、通常の通信に用いないようにしたり、通信用の周波数キャリアを選択する際の優先度を低く設定することができる。また、ハンドオーバなどによって移動局との通信に新たな周波数キャリアを割り当てる際、その直前にキャリブレーションを実行した周波数キャリア、あるいはその周波数キャリアに周波数の近いキャリアを、優先的に割り当てることもできる。
【0127】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、特定の時期にまとめて全てのキャリブレーションを行うのではなく、通常の通信処理と並行して空いた周波数キャリアあるいはタイムスロットを利用して随時キャリブレーションを行うので、例えば、通信を行うタイミングの直前に、使用周波数キャリアの校正を行うことができ、通信装置に経時変化や、温度等の環境変化があった場合においても、良好なアダプティブ・アレイ処理を実行することができるという、顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第一の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置のキャリブレーション手段の一部としての校正回路のブロック図である。
【図3】 図2の校正回路をより詳細に示すブロック図である。
【図4】 本発明の第一の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置によるキャリブレーションのフローチャートである。
【図5】 本発明の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置における周波数キャリアおよびタイムスロットの割り当ての一例を模式的に示す図である。
【図6】 本発明の第二の実施形態にかかるアレイアンテナ通信装置(アダプティブアレイ無線基地局)の要部を示す概略ブロック図である。
【図7】 4つのアンテナ素子でアレイアンテナが構成される場合の配置例を示す図である。
【図8】 本発明の第二の実施形態におけるキャリブレーションの考え方を示す説明図である。
【図9】 本発明の第二の実施形態におけるキャリブレーションの他の考え方を示す説明図である。
【図10】 本発明の第二の実施形態における送信側のキャリブレーションのフローチャートである。
【図11】 本発明の第二の実施形態における受信側のキャリブレーションのフローチャートである。
【符号の説明】
10 アレイアンテナ通信装置、12 単位アンテナ、18 低雑音増幅器、20 双方向ベクトル変調器、22 送信電力増幅器、24 分配合成部、26受信器、30 変復調回路、38 アダプティブアレイ制御部、42 減衰器、44 方向性結合器、46 モニタ受信部、48 校正回路、52 振幅・位相調整器、54 誤差検出回路、70 制御部、72 記憶部、100 制御部、200 振幅位相調整部、ANT1〜ANTn アンテナ素子、SW1〜SWn アンテナ共用器、TX1〜TXn 送信回路、RX1〜RXn 受信回路、PS1t〜PSnt 送信側移相器、AG1t〜AGnt 送信側可変増幅器、PS1r〜PSnr 受信側移相器、AG1r〜AGnr 受信側可変増幅器、ASc1〜AScn 振幅位相制御器。

Claims (13)

  1. 複数の単位アンテナを含み、時分割多元接続方式で通信を行うアレイアンテナ通信装置であって、
    各単位アンテナに対応して設けられた送信部および受信部と、
    各受信部で受信された信号に対し重み付け処理を施して合成し、送信対象の信号に対し重み付け処理を施して各送信部に出力するアダプティブアレイ送受信部と、
    前記受信部における振幅変化量および位相推移量の少なくともいずれかを調整する受信特性調整部と、
    前記送信部における振幅変化量および位相推移量の少なくともいずれかを調整する送信特性調整部と、
    前記受信特性調整部および前記送信特性調整部の調整量を設定するキャリブレーション手段と、
    を備え、
    前記アダプティブアレイ送受信部は、
    前記複数の単位アンテナのそれぞれに対応して設けられた送信部のうちのいずれかに、通信で割り当てられていないタイムスロット内のタイミングで参照信号を出力し、
    前記キャリブレーション手段は、
    参照信号が送信された単位アンテナとは異なる単位アンテナに対応する受信部で受信された参照信号に基づいて、前記受信特性調整部および前記送信特性調整部の調整量を設定する、アレイアンテナ通信装置。
  2. 前記キャリブレーション手段は、
    前記受信部で受信された参照信号の大きさが所定値に近づくよう、前記送信特性調整部の調整量を設定する、請求項1に記載のアレイアンテナ通信装置。
  3. 前記複数の単位アンテナのうち1つを選択する選択手段を備え、
    前記アダプティブアレイ送受信部は、
    前記複数の単位アンテナのそれぞれに対応して設けられた送信部のうち、前記選択手段によって選択された1つの単位アンテナを除く単位アンテナに対応する送信部のいずれかに参照信号を出力し、
    前記キャリブレーション手段は、
    前記選択手段によって1つずつ選択された複数の単位アンテナのそれぞれに対して求められた前記送信特性調整部の調整量に基づいて、新たに前記送信特性調整部の調整量を求める、請求項1または2に記載のアレイアンテナ通信装置。
  4. 前記送信特性調整部の調整量を設定した後に、前記キャリブレーション手段は、
    前記受信部で受信された参照信号の振幅および位相が所定値に近づくよう、前記受信特性調整部の調整量を設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のアレイアンテナ通信装置。
  5. 前記複数の単位アンテナのうち受信キャリブレーションの対象とする単位アンテナを選択する受信キャリブレーションアンテナ選択手段を備え、
    前記アダプティブアレイ送受信部は、
    前記複数の単位アンテナのそれぞれに対応して設けられた送信部のうち、受信キャリブレーションの対象でない単位アンテナに対応する送信部のいずれかに参照信号を出力し、
    前記キャリブレーション手段は、
    前記受信キャリブレーションアンテナ選択手段によって1つずつ選択された複数の単位アンテナのそれぞれに対して前記受信特性調整部の調整量を設定し、当該選択された各受信特性調整部について、複数回に亘る調整量の設定に基づいて新たな調整量を求める、請求項1から4のいずれか1項に記載のアレイアンテナ通信装置。
  6. 前記キャリブレーション手段は、
    信号が単位アンテナで受信され前記アダプティブアレイ送受信部に至るまでの振幅変化量および位相推移量についての単位アンテナ相互間における差異、ならびに、前記アダプティブアレイ送受信部から信号が出力され単位アンテナから送信されるまでの振幅変化量および位相推移量についての単位アンテナ相互間における差異が小さくなるよう、前記調整量を設定する、請求項1からのいずれか1項に記載のアレイアンテナ通信装置。
  7. 複数の単位アンテナを含み、時分割多元接続方式で通信を行うアレイアンテナ通信装置であって、
    単位アンテナ毎に設けられるRF受信系回路と、
    前記RF受信系回路毎に設けられ、前記RF受信系回路の出力端で一端が接続されるベクトル変調器と、
    各ベクトル変調器の他端に接続される合成部と、
    前記合成部に接続される総合受信部と、
    前記RF受信系回路毎に設けられ、各RF受信系回路に接続されるアレイアンテナ制御用受信部と、
    前記ベクトル変調器を前記総合受信部の出力信号と各アレイアンテナ制御用受信部の出力信号とに基づいて制御し、前記複数の単位アンテナをアダプティブ・アレイ・アンテナとして機能させるアダプティブアレイ制御部と、
    各ベクトル変調器および各アレイアンテナ制御用受信部に参照信号を導く参照信号入力部と、
    通信で割り当てられていないタイムスロット内における、前記参照信号入力部に参照信号が入力されているタイミングで、前記総合受信部の出力信号と前記アレイアンテナ制御用受信部の出力信号とを比較して、前記総合受信部と前記アレイアンテナ制御用受信部との受信特性差に対する校正用値を求めるキャリブレーション手段と、
    を備えるアレイアンテナ通信装置。
  8. 通信で割り当てられているタイムスロット内のタイミングで、前記複数の単位アンテナを介して信号を送信する送信部を備え、
    前記送信部は、
    通信で割り当てられていないタイムスロット内のタイミングで、前記参照信号入力部に参照信号を出力する、請求項に記載のアレイアンテナ通信装置。
  9. 前記キャリブレーション手段は、
    前記総合受信部の参照信号入力時出力信号と各アレイアンテナ制御用受信部の参照信号入力時出力信号との差を検出し、この差に基づいて校正用値を求める請求項またはに記載のアレイアンテナ通信装置。
  10. 前記キャリブレーション手段は、
    各アレイアンテナ制御用受信部から出力され校正用値によって校正された参照信号入力時出力信号と前記総合受信部の参照信号入力時出力信号との差を検出する誤差検出部と、
    検出される差が小さくなるよう校正用値を更新する校正用値収束アルゴリズム実行部と、
    を備える、請求項からのいずれか1項に記載のアレイアンテナ通信装置。
  11. 前記参照信号は、
    通信で割り当てられていない周波数チャネル内の周波数を有する請求項1から10のいずれか1項に記載のアレイアンテナ通信装置。
  12. 通信で割り当てられていない周波数チャネルを検出するキャリアセンス部と、
    前記キャリブレーション手段による処理の履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、
    前記キャリアセンス部によって検出された検出周波数チャネルと前記履歴情報とに基づいて、前記参照信号の周波数を当該検出周波数チャネル内の周波数とするか否かを判定する判定部と、
    を備え、
    前記キャリブレーション手段は、
    前記判定部の判定に応じた周波数の参照信号を用いた処理を実行する、請求項11に記載のアレイアンテナ通信装置。
  13. 前記判定部は、
    検出周波数チャネルと同一の周波数チャネルに対して先に行われた処理からの経過時間に基づく判定を行う、請求項12に記載のアレイアンテナ通信装置。
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