明 細 書
基地局及び移動体通信方法
技術分野
[0001] 本発明は、異なる周波数帯域における複数の移動局と、前記複数の移動局と無線 で通信を行う基地局と、を具備する移動体通信システムにおける基地局及び移動体 通信方法に関する。
背景技術
[0002] 移動体通信システムにおいて、トラフィック量の増加などにより、周波数利用改善策 が求められている。その中で、既存の周波数帯域とは別に新たな周波数帯域を割り 当て、これらの異なる周波数帯域で同一システム (サービス)を運用する対策が講じら れている。
[0003] そこで、第 2世代のディジタル自動車電話(PDC:Personal Digital Cellular telecomm unication system)方式の実施例を説明する。
[0004] PDC方式は 1993年より 800MHzの帯域で開始したが、 2001年より 1. 5GHzの 帯域を共用する 800MHzの帯域方式 (共用帯域方式)の導入を開始した。本方式 対応の移動局(MS:Mobile Station)は、 800MHzの帯域と 1. 5GHzの帯域で待受 及び通信を行う機能を有する (非特許文献 1)。
[0005] そして、本方式の対応エリア内では、上位局である無線ネットワーク制御装置 (RN C:Radio Network Control)からの情報に従い、 800MHzの帯域あるいは 1. 5GHz の帯域へチャネルを移行させ、 800MHzの帯域のトラフィックを 1. 5GHzの帯域へ 分散させることが可能となる。
[0006] 以下、本方式の制御方法を示す。待ち受け中は、図 1に示すように、在圏エリアを 示す情報が報知情報により、 800MHzの帯域と 1. 5GHzの帯域とが重なった対応 エリアか、 800MHzの帯域のみの非対応エリアかの識別が移動局 11に通知される。 対応エリアでは、移動局 11は 800MHzの帯域と 1. 5GHzの帯域のいずれかの帯域 で待ち受け、報知情報により通知された周辺ゾーン(800MHzの帯域と 1. 5GHzの 帯域)の監視を行う。
[0007] また、非対応エリアでは移動局 11は 800MHzの帯域で待ち受けを行う。仮に、移 動局 11が非対応エリアから対応エリアへ進入した場合、帯域振り分け処理を行い、 対応エリア内での待ち受け周波数帯を決定する。
[0008] 次に、この帯域振り分け処理について、図 2を参照して説明する。
[0009] 図 2に示すように、移動局は、内部で乱数を発生し (ステップ ST11)、報知情報によ り通知される帯域移行確率が前記乱数より大きいかを判定する、すなわち、帯域移 行判定が行われる (ステップ ST12)。
[0010] ステップ ST12の帯域移行判定において帯域移行確率が前記乱数より大きい時に は、ステップ ST13においてホーム帯域が更新され、他の帯域へ移行される(ステップ ST14)。ステップ ST12の帯域移行判定において帯域移行確率が前記乱数より大き くない時には、ステップ ST15においてホーム帯域が更新され、自帯域で待ち受けに 移行される(ステップ ST16)。これにより、対応エリア内で制御チャネルのトラフィック 分散が行われる。
[0011] すなわち、図 2に示すように、帯域移行判定 (ステップ ST12)で移動局が報知情報 により通知される帯域移行確率と、移動局の内部で生成した乱数とを比較し、自分の 待ち受ける周波数帯を決定する。この決定した待ち受け周波数帯を記憶し、以降、 対応エリアを出るまで、移動局はその周波数帯域を優先して待ち受けを行う。これに より、対応エリア内で制御チャネルのトラフィック分散が行われる。
[0012] このような第 2世代の PDC方式の実施例に対して、第 3世代の W— CDMA (Wideb and- Code Division Multiple Access)方式においても、既存の周波数帯域 (2GHzの帯 域)とは別に、新たな周波数帯域 (800MHzの帯域)を割り当てが検討されている。
[0013] 従って、 W— CDMA方式も PDC方式と同様に、同一のシステムで異なる周波数の 帯域を用いた共用する方式 (共用帯域方式)の導入が見込まれる。
[0014] そこで、従来の共用帯域方式を導入した移動体通信システムの例を、図 3に示す。
図 3に示すように、従来の移動体通信システム 10は、複数の移動局 20と、複数の移 動局 20と無線で通信を行う基地局 30と、を具備している。図 3においては、 1つの移 動局 20のみと基地局 30が示されて!/、る。
[0015] 移動局 20は、アンテナ 21、共用器 22、加算器 23、変調回路 24、送信無線回路 2
5、受信無線回路 26、復調回路 27、帯域制御回路 28及び帯域測定回路 29を具備 している。
[0016] 基地局 30は、アンテナ 31、共用器 32、加算器 33、変調回路 34、送信無線回路 3 5、受信無線回路 36、復調回路 37、帯域判定回路 38及び帯域制御回路 39を具備 している。
[0017] 移動局 20の帯域測定回路 29は、異なる帯域の受信品質 (受信レベル)をそれぞれ 測定する。その測定結果 (帯域測定情報)は、送信信号と共に基地局 30の側へ送信 する。その帯域測定情報は、基地局 30の側の帯域判定回路 38で帯域振り分け処理 がなされ、帯域が決定される (帯域制御情報)。その帯域制御情報を送信信号と共に 移動局 20へ送信する。
[0018] また併せて、基地局 30の側の帯域制御回路 39へ送信する。そして、移動局 20及 び基地局 30の帯域制御回路 28、 39は、帯域制御情報に従って、所定の帯域に無 線回路を制御する。
非特許文献 1 :千葉他、 "1. 5GHz帯域共用 800MHz方式特集、移動機" NTTDo CoMoテク-カルジャーナル Vol. lONol.
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0019] し力しながら、従来の移動体通信システムにおいては、異なる周波数帯域の電波伝 搬特性を考慮せず、単なる乱数による負荷分散を目的にして帯域を決めているため
、システム性能を最大限に引き出すことができないという問題がある。
[0020] 本発明の目的は、異なる周波数帯域の電波伝搬特性を考慮し、信号の品質を維 持し、かつ、送信電力を適切に制御することでシステム性能を最大限に引き出すこと ができる基地局及び移動体通信方法を提供することである。
課題を解決するための手段
[0021] 本発明の基地局は、複数の移動局と無線で通信を行う基地局であって、前記移動 局の移動速度を検出する移動速度検出手段と、前記移動速度が所定の基準値より 大きい時に低周波数帯域を用い、前記移動速度が所定の基準値より大きくない時に 高周波数帯域を用いる帯域制御手段と、を具備する構成を採る。
[0022] 本発明の基地局は、複数の移動局と、前記複数の移動局と無線で通信を行う基地 局と、を具備する移動体通信システムにおける基地局において、前記移動局の移動 速度を検出する移動速度検出手段と、前記移動速度に応じて使用する周波数帯域 を変える帯域制御手段と、を具備する構成を採る。
[0023] 本発明の移動体通信方法は、複数の移動局と、前記複数の移動局と無線で通信 を行う基地局と、を具備する移動体通信システムにおける移動体通信方法にぉ 、て 、前記基地局が前記移動局の移動速度を検出する移動速度検出ステップと、前記 検出移動速度が所定の基準値より大きい時に低周波数帯域を用い、前記移動速度 が所定の基準値より大きくない時に高周波数帯域を用いる帯域制御ステップと、を具 備するようにした。
[0024] 本発明の基地局は、複数の移動局と、前記複数の移動局と無線で通信を行う基地 局と、を具備する移動体通信システムにおける基地局において、トラフィックの種別が RT(Real Time)トラフィック又は NRT (Non Real Time)トラフィックであるかを検 出するトラフィック種別検出手段と、前記トラフィック種別が RTトラフィックである時に 低周波数帯域を用い、前記トラフィック種別が NRTトラフィックである時に高周波数帯 域を用いる帯域制御手段と、を具備する構成を採る。
[0025] 本発明の基地局は、複数の移動局と、前記複数の移動局と無線で通信を行う基地 局と、を具備する移動体通信システムにおける基地局において、トラフィックの種別を 検出するトラフィック種別検出手段と、前記トラフィック種別に応じて使用する周波数 帯域を変える帯域制御手段と、を具備する構成を採る。
[0026] 本発明の移動体通信方法は、複数の移動局と、前記複数の移動局と無線で通信 を行う基地局と、を具備する移動体通信システムにおける移動体通信方法にぉ 、て 、トラフィックの種別が RT (Real Time)トラフィック又は NRT (Non Real Time)ト ラフィックである力を前記基地局が検出するトラフィック種別検出ステップと、前記トラ フィック種別が RTトラフィックである時に低周波数帯域を用い、前記トラフィック種別 が NRTトラフィックである時に高周波数帯域を用いる帯域制御ステップと、を具備す るよつにした。
発明の効果
[0027] 本発明によれば、移動局の移動速度、検出トラフィック種別又は移動局の位置に基 づいて使用する周波数の帯域を決めているため、異なる周波数帯域の電波伝搬特 性を考慮し、信号の品質を維持し、かつ、送信電力を適切に制御することでシステム 性能を最大限に引き出すことができる。
図面の簡単な説明
[0028] [図 1]従来の移動体通信システムを説明するための図
[図 2]従来の移動体通信システムの処理を説明するための図
[図 3]従来の移動体通信システムの構成を示すブロック図
[図 4]本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図
[図 5]本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システムの移動局の速度とフェージン グ周波数の関係を示す図
[図 6]距離に対する伝搬損失を説明するための図
[図 7]移動局の移動速度に対するフ ージング周波数を説明するための図
[図 8]本発明の実施の形態 2に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図 [図 9]本発明の実施の形態 3に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図 [図 10]本発明の実施の形態 4に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図 発明を実施するための最良の形態
[0029] 次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[0030] (実施の形態 1)
図 4は、本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図 である。
[0031] 図 4に示すように、本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システム 100は、複数 の移動局 110と、複数の移動局 110と無線で通信を行う基地局 120と、を具備してい る。図 4においては、 1つの移動局 110のみが示されている。
[0032] 移動局 110は、アンテナ 111、共用器 112、変調回路 113、送信無線回路 114、受 信無線回路 115、復調回路 116、帯域制御回路 117、帯域測定回路 118及び加算 器 119を具備している。
[0033] 変調回路 113は、加算器 119からの加算送信信号を受けて変調して変調送信信
号を生成して送信無線回路 114に与える。送信無線回路 114は、変調回路 113から の変調送信信号を送信無線処理 (アップコンバート等の処理)して共用器 112及び アンテナ 111を介して無線送信データとして基地局 120に送信する。
[0034] アンテナ 111は、基地局 120から送信されてくる無線送信データを受信して共用器 112を介して受信無線回路 115に与える。受信無線回路 115は、アンテナ 111及び 共用器 112からの受信データを受信無線処理 (ダウンコンバート等の処理)して復調 回路 116に与える。復調回路 116は、受信無線回路 115からの受信データを復調し て受信信号を生成する。
[0035] 帯域制御回路 117は、復調回路 116の受信信号力も帯域制御情報を取得して、送 信無線回路 114及び受信無線回路 115に与える。送信無線回路 114及び受信無線 回路 115は、帯域制御回路 117からの帯域制御信号に基づいて用いる周波数帯域 を変える。
[0036] 帯域測定回路 118は、復調回路 116からの受信信号を受けて、異なる帯域の受信 品質 (受信レベル)をそれぞれ測定して帯域測定情報を生成する。この帯域測定情 報は、送信信号とともに基地局 120に送られる。すなわち、加算器 119は、帯域測定 回路 118からの帯域測定情報の値と送信信号の値を加算して加算送信信号を生成 して変調回路 113に与える。
[0037] 基地局 120は、アンテナ 121、共用器 122、受信無線回路 123、復調回路 124、移 動速度検出回路 125、帯域判定回路 126、帯域制御回路 127、加算器 128、変調 回路 129及び送信無線回路 130を具備して ヽる。
[0038] アンテナ 121は、移動局 110から送信されてくる無線送信データを受信し、共用器 122を介して受信無線回路 123に与える。受信無線回路 123は、アンテナ 121及び 共用器 122からの受信データを受信無線処理 (ダウンコンバート等の処理)して復調 回路 124に与える。復調回路 124は、受信無線回路 123からの受信データを復調し て受信信号を生成する。
[0039] 移動速度検出回路 125は、復調回路 124からの受信信号における移動局 110の 移動速度を検出して帯域判定回路 126に与える。帯域判定回路 126は、移動速度 検出回路 125からの検出移動速度及び復調回路 124からの受信信号の帯域測定
情報に基づいて使用する帯域を判定して帯域判定結果を帯域制御回路 127に与え る。
[0040] 帯域判定回路 126は、前記移動速度が所定の基準値より大きいか否かを判定して 、例えば、前記移動速度が所定の基準値より大きい時に低周波数帯域を用い、前記 移動速度が所定の基準値より大きくない時に高周波数帯域を用いることを指示する 帯域判定結果を生成して帯域制御回路 127に与える。
[0041] なお、帯域判定回路 126は、前記移動速度が所定の基準値より小さいか否かを判 定して、例えば、前記移動速度が所定の基準値より小さくない時に低周波数帯域を 用い、前記移動速度が所定の基準値より小さい時に高周波数帯域を用いることを指 示する帯域判定結果を生成して帯域制御回路 127に与えるようにすることもできる。
[0042] 帯域制御回路 127は、帯域判定回路 126からの帯域判定結果に基づいて第 1の 帯域制御信号及び第 2の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信無 線回路 130に与える。
[0043] 帯域制御回路 127は、前記低周波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を 受けた時に前記第 1の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信無線回 路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 1の帯域制 御信号を受けた時に低周波数帯域で所定の処理を行う。
[0044] また、帯域制御回路 127は、前記高周波数帯域を用いることを指示する帯域判定 結果を受けた時に前記第 2の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信 無線回路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 2の 帯域制御信号を受けた時に高周波数帯域で所定の処理を行う。
[0045] 加算器 128は、送信信号の値と帯域判定回路 126からの帯域判定結果 (帯域制御 情報)の値とを加算して加算送信信号を生成して変調回路 129に与える。変調回路 129は、加算器 128からの加算送信信号を変調して送信無線回路 130に与える。送 信無線回路 130は、変調回路 129からの変調送信信号を送信無線処理 (アップコン バート等の処理)して共用器 122及びアンテナ 121を介して無線送信データとして移 動局 110に送信する。
[0046] 次に、帯域判定回路 126及び帯域制御回路 127の動作の具体的な例について、
図 5を参照して説明する。
[0047] 図 5は、移動局の速度とフ ージング周波数の関係を示す図である。図 5の特性 10 OAは、移動局が 2GHzの帯域を用いて 、る場合の移動局の速度とフェージング周 波数の関係を示す特性線である。図 5の特性 100Bは、移動局が 800MHzの帯域を 用いている場合の移動局の速度とフェージング周波数の関係を示す特性線である。
[0048] 帯域判定回路 126は、例えば、前記検出移動速度が 100km/hより大きいか否かを 判定して、前記検出移動速度が 100km/hより大きい時に 800MHzの低周波数帯域 を用い、かつ、前記検出移動速度が 100km/hより大きくない時に 2GHzの高周波数 帯域を用いることを指示する帯域判定結果を生成して帯域制御回路 127に与える。
[0049] なお、帯域判定回路 126は、例えば、前記検出移動速度が 100km/hより小さいか 否かを判定して、前記検出移動速度が 100km/hより小さくない時に 800MHzの低周 波数帯域を用い、かつ、前記検出移動速度が 100km/hより小さい時に 2GHzの高周 波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を生成して帯域制御回路 127に与え るようにすることちでさる。
[0050] 帯域制御回路 127は、前記低周波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を 受けた時に前記第 1の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信無線回 路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 1の帯域制 御信号を受けた時に 800MHzの低周波数帯域で所定の処理を行う。
[0051] また、帯域制御回路 127は、前記高周波数帯域を用いることを指示する帯域判定 結果を受けた時に前記第 2の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信 無線回路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 2の 帯域制御信号を受けた時に 2GHzの高周波数帯域で所定の処理を行う。この場合 には、すなわち、本発明の実施の形態 1においては、移動局の速度とフェージング周 波数の関係を示す特性曲線 Cは、図 5において実線で示されている。
[0052] 次に、本発明の実施の形態 1において、移動局 110の検出移動速度が所定の基 準値より大きい時に低周波数帯域を用い、前記検出移動速度が所定の基準値より大 きくない時に高周波数帯域を用いることについて、詳細に説明する。なお、移動局 1 10の検出移動速度が所定の基準値より小さくない時に低周波数帯域を用い、前記
検出移動速度が所定の基準値より小さい時に高周波数帯域を用いても同様である。
[0053] まず、 800MHzの周波数帯域と 2GHzの周波数帯域において、距離に対する伝 搬損失 (Path Loss)を考察すると、図 6に示すように、セルラー環境の場合に、 800 MHzの周波数帯域の伝搬損失(図 6の特性曲線 301A)は、 2GHzの周波数帯域の 伝搬損失(図 6の特性曲線 301B)より小さい。従って、低い周波数帯域の方は、電波 伝搬特性が良いことがわかる。
[0054] また、移動局 110の移動速度に対するフ ージング周波数を考察すると、図 7に示 すように、同じ移動速度において、 800MHzの周波数帯域のフ ージング周波数( 図 7の特性 401 A)は 2GHzの周波数帯域のフェージング周波数(図 7の特性 401 B) より小さい。したがって、低い周波数帯域の方は、フェージング変動が小さいことがわ かる。また、移動速度が大きくなるほど、異なる周波数帯域のフ ージング周波数の 差が大きくなることがわかる。さらに、異なる周波数帯域の差が大きくなると、前記の 現象は顕著となる。
[0055] このように、低い周波数帯域の方は、電波伝搬特性が良ぐかつ、フ ージング変 動が小さい。このため、本発明の実施の形態 1において、移動局 110の検出移動速 度が所定の基準値より大きい時に低周波数帯域を用い、かつ、前記検出移動速度 が所定の基準値より大きくない時に高周波数帯域を用いることとする。
[0056] なお、本発明の実施の形態 1において、帯域制御回路 127は、移動局 110の移動 速度に応じて使用する周波数帯域を 3以上の段階に変えるように構成してもよい。
[0057] (実施の形態 2)
次に、本発明の実施の形態 2について、図面を参照して詳細に説明する。
[0058] 図 8は、本発明の実施の形態 2に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図 である。本発明の実施の形態 2においては、本発明の実施の形態 1と同じ構成要素 には同じ参照符号が付されその説明が省略される。
[0059] 図 8に示すように、本発明の実施の形態 2に係る移動体通信システム 500は、複数 の移動局 110と、複数の移動局 110と無線で通信を行う基地局 510と、を具備してい る。図 8においては、 1つの移動局 110のみと基地局 510が示されている。
[0060] 本発明の実施の形態 2に係る移動体通信システム 500の基地局 510は、本発明の
実施の形態 1に係る移動体通信システム 100の基地局 120の移動速度検出回路 12 5及び帯域判定回路 126の代わりにトラフィック種別検出回路 511及び帯域判定回 路 512を具備している。
[0061] 次に、本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システム 100と異なる本発明の実 施の形態 2に係る移動体通信システム 500の動作について、図面を参照して説明す る。
[0062] トラフィック種別検出回路 511は、復調回路 124からの受信信号を受けてトラフイツ クの種別が RT (Real Time)トラフィック又は NRT (Non Real Time)トラフィック であるかを検出して検出トラフィック種別を生成して帯域判定回路 512に与える。
[0063] 帯域判定回路 512は、前記検出トラフィック種別が RTトラフィックである時に低周波 数帯域を用い、前記検出トラフィック種別が NRTトラフィックである時に高周波数帯域 を用いることを指示する帯域判定結果を生成して帯域制御回路 127に与える。
[0064] 帯域制御回路 127は、帯域判定回路 512からの帯域判定結果に基づいて第 1の 帯域制御信号及び第 2の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信無 線回路 130に与える。
[0065] 帯域制御回路 127は、前記低周波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を 受けた時に前記第 1の帯域制御信号を受信無線回路 123及び送信無線回路 130に 与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 1の帯域制御信号を 受けた時に低周波数帯域で所定の処理を行う。
[0066] また、帯域制御回路 127は、前記高周波数帯域を用いることを指示する帯域判定 結果を受けた時に前記第 2の帯域制御信号を受信無線回路 123及び送信無線回路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 2の帯域制御 信号を受けた時に高周波数帯域で所定の処理を行う。
[0067] これは、次の理由による。 QoS (Quality Of Service)に関して、 NRTトラフィックは緩 いが、 RTトラフィックは厳しい。つまり、 NRTトラフィックは目標品質が低ぐ移動局 11 0が受信するパケット到着時間の遅延が許容されるのに対して、 RTトラフィックは目 標品質が高ぐパケット到着時間の遅延が許容されない。そこで、 RTトラフィックの場 合に電波伝搬特性の良い低周波数帯域を用いることにより、 QoSを満足させ、かつ、
電力リソースを十分に保持しておく。また、高周波数帯域に比べて低周波数帯域の 方がスループットは改善されるので、効率的な送信ができる。
[0068] なお、トラフィックの種別は、 Web Browing及び FTP、 Streaming等の様々なも のがある。したがって、本発明の実施の形態 2においては、 3以上のトラフィックの種 別に応じて使用する周波数帯域を 3以上の段階に変えるように構成してもよい。
[0069] (実施の形態 3)
次に、本発明の実施の形態 3について、図面を参照して詳細に説明する。
[0070] 図 9は、本発明の実施の形態 3に係る移動体通信システムの構成を示すブロック図 である。本発明の実施の形態 3においては、本発明の実施の形態 1と同じ構成要素 には同じ参照符号が付されその説明が省略される。
[0071] 図 9に示すように、本発明の実施の形態 3に係る移動体通信システム 600は、複数 の移動局 110と、複数の移動局 110と無線で通信を行う基地局 610と、を具備してい る。図 9においては、 1つの移動局 110のみと基地局 610が示されている。
[0072] 本発明の実施の形態 3に係る移動体通信システム 600の基地局 610は、本発明の 実施の形態 1に係る移動体通信システム 100の基地局 120の移動速度検出回路 12 5及び帯域判定回路 126の代わりに位置検出回路 611及び帯域判定回路 612を具 備している。
[0073] 次に、本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システム 100と異なる本発明の実 施の形態 3に係る移動体通信システム 600の動作について、図面を参照して説明す る。
[0074] 位置検出回路 611は、移動局 110の位置を検出して位置情報を帯域判定回路 61 2に与える。
[0075] 帯域判定回路 612は、移動局 110が基地局 610のセルの端部又は前記基地局か ら離れて位置していることを前記位置情報が示している時に低周波数帯域を用い、 移動局 110が基地局 610のセルの端部以外の位置又は前記基地局の近傍に位置 していることを前記位置情報が示している時に高周波数帯域を用いることを指示する 帯域判定結果を帯域制御回路 127に与える。
[0076] 帯域制御回路 127は、帯域判定回路 612からの帯域判定結果に基づいて第 1の
帯域制御信号及び第 2の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信無 線回路 130に与える。
[0077] 帯域制御回路 127は、前記低周波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を 受けた時、前記第 1の帯域制御信号を受信無線回路 123及び送信無線回路 130に 与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 1の帯域制御信号を 受けた時に低周波数帯域で所定の処理を行う。
[0078] また、帯域制御回路 127は、前記高周波数帯域を用いることを指示する帯域判定 結果を受けた時、前記第 2の帯域制御信号を受信無線回路 123及び送信無線回路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 2の帯域制御 信号を受けた時に高周波数帯域で所定の処理を行う。
[0079] これは、次の理由による。移動局 110が基地局 610の遠方であるセルの端部に位 置して 、る場合に、基地局 610と移動局 110との間の距離が長 、ことによる信号レべ ルの距離減衰及び他のセル力 の干渉による品質劣化により、十分な電力リソース が必要となる。このため、移動局 110が基地局 610の遠方であるセルの端部に位置 している場合に、電波伝搬特性が良い低周波数帯域を用いることにより、距離減衰を 軽減して、かつ、送信電力も低減させることができる。
[0080] なお、本発明の実施の形態 3において、前記位置情報に応じて使用する周波数帯 域を 3段階以上に変えるように構成してもよい。
[0081] また、本発明の実施の形態 3において、移動局 110が建造物などの屋内又は屋外 に位置している力否かによって使用する周波数帯域を変えるようにしてもよい。例え ば、移動局 110が屋内に位置している場合には移動局 110及び基地局 610低周波 数帯域を用い、移動局 110が屋外に位置して 、る場合には移動局 110及び基地局 610高低周波数帯域を用いるように構成してもよ ヽ。
[0082] この場合に、基地局 610は、移動局 110が屋内又は屋外に位置しているかを検出 して屋内外位置情報を生成する屋内外位置検出回路と、移動局 110が屋内に位置 して 、る時に低周波数帯域を用い、前記移動局が屋外に位置して 、る時に高周波 数帯域を用いる帯域制御回路と、を具備する。
[0083] 前記屋内外位置検出回路は、例えば、 GPSを内蔵した移動局 110の場合には衛
星の電波を受信することができな 、時に移動局 110が屋内に位置して 、ると判断し、 衛星の電波を受信することができる時に移動局 110が屋外にいると判断する方法な ど、屋内外の判定を目的とした検出であれば、どのような方法を適用してもよい。
[0084] これは、移動局 110が屋内に位置している場合には壁などによる電波損失が大きく
、また、移動局 110が屋外に位置している場合には電波損失が屋内に比べて小さい 力 である。
[0085] (実施の形態 4)
次に、本発明の実施の形態 4について、図面を参照して詳細に説明する。
[0086] 図 10は、本発明の実施の形態 4に係る移動体通信システムの構成を示すブロック 図である。本発明の実施の形態 4においては、本発明の実施の形態 1と同じ構成要 素には同じ参照符号が付されその説明が省略される。
[0087] 図 10に示すように、本発明の実施の形態 4に係る移動体通信システム 700は、複 数の移動局 110と、複数の移動局 110と無線で通信を行う基地局 710と、を具備して いる。図 10においては、 1つの移動局 110のみと基地局 710が示されている。
[0088] 本発明の実施の形態 4に係る移動体通信システム 700の基地局 710は、本発明の 実施の形態 1に係る移動体通信システム 100の基地局 120の移動速度検出回路 12
5及び帯域判定回路 126の代わりにハンドオーバ制御検出回路 711及び帯域判定 回路 712を具備している。
[0089] 次に、本発明の実施の形態 1に係る移動体通信システム 100と異なる本発明の実 施の形態 4に係る移動体通信システム 700の動作について、図面を参照して説明す る。
[0090] ハンドオーバ制御検出回路 711は、ハンドオーバ制御情報を受けて移動局 110が 基地局 710のセルのハンドオーバ制御の領域に位置していることを検出してハンドォ ーバ制御領域情報を帯域判定回路 712に与える。
[0091] 帯域判定回路 712は、移動局 110が基地局 710のセルのハンドオーバ制御の領 域に位置して 、ることを前記ハンドオーバ制御領域情報が示して 、る時に低周波数 帯域を用い、移動局 110が基地局 710のセルのハンドオーバ制御の領域以外の前 記セルに位置して 、ることを前記ハンドオーバ制御領域情報が示して 、る時に高周
波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を帯域制御回路 127に与える。
[0092] 帯域制御回路 127は、帯域判定回路 712からの帯域判定結果に基づいて第 1の 帯域制御信号及び第 2の帯域制御信号を生成して受信無線回路 123及び送信無 線回路 130に与える。
[0093] 帯域制御回路 127は、前記低周波数帯域を用いることを指示する帯域判定結果を 受けた時に前記第 1の帯域制御信号受信無線回路 123及び送信無線回路 130に 与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 1の帯域制御信号を 受けた時に低周波数帯域で所定の処理を行う。
[0094] また、帯域制御回路 127は、前記高周波数帯域を用いることを指示する帯域判定 結果を受けた時に前記第 2の帯域制御信号を受信無線回路 123及び送信無線回路 130に与える。受信無線回路 123及び送信無線回路 130は、前記第 2の帯域制御 信号を受けた時に高周波数帯域で所定の処理を行う。
[0095] これは、次の理由による。移動局 110が基地局 710のセルのハンドオーバ制御の 領域に位置している場合には、往々にして移動局 110がセルの端部の近くに位置し ているため、基地局 710と移動局 110との間の距離が長いことによる信号の減衰及び 他のセルからの干渉による品質劣化により十分な電力リソースが必要となる。このた め、移動局 110が基地局 710のセルのハンドオーバ制御の領域に位置している場合 には、電波伝搬特性が良い低周波数帯域を用いることにより、距離減衰を軽減して、 かつ、送信電力も低減させることができる。
[0096] なお、本発明は、実施の形態 1から実施の形態 4の少なくとも 2以上のものを組み合 わせた実施の形態を含むものである。
[0097] 本明細書は、 2004年 9月 21日出願の特願 2004— 274137に基づく。この内容は すべてここに含めておく。
産業上の利用可能性
[0098] 本発明は、異なる周波数帯域の電波伝搬特性を考慮し、信号の品質を維持し、か つ、送信電力を適切に制御することでシステム性能を最大限に引き出すことができる 効果を有し、移動体通信システムの基地局に用いるに好適である。