JP4387014B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の技術分野】
本発明は、光利用効率に優れて輝度やその均一性に優れる多光源型の面光源装置を用いた明るくて見やすい透過型の液晶表示装置に関する。
【０００２】
【発明の背景】
従来、導光板としては、板状体における上下面の一方に粗面や白色ドットを設け側面からの入射光を散乱させて上下面の他方に出射させるようにしたサイドライト型のものが知られていた。かかるサイドライト型導光板は、その側面に光源を配置して面光源装置としそれを液晶セルと組み合わせて反射型や透過型等の液晶表示装置の形成に用いられている。
【０００３】
しかしながら、輝度やその均一性に乏しくて表示品位に乏しい問題点があった。複数の側面に光源を配置して輝度を向上させる提案もあるが輝度のバラツキは改善されにくい。
【０００４】
【発明の技術的課題】
本発明は、光の利用効率に優れて輝度とその均一性に優れる面光源装置を用いた明るくて見やすい透過型の液晶表示装置の開発を課題とする。
【０００５】
【課題の解決手段】
本発明においては、導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に沿う方向又は各入射側面に対して傾斜した方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有することを特徴とする透過型の液晶表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明によれば、バックライト式による透過型の液晶表示装置を形成できる。
【０００７】
具体的には、本発明によれば、導光板の少なくとも２側面より光源からの光を入射させ、その入射光をプリズム状凹溝の繰返し構造よりなる光出射手段を介して同一面より出射させるようにしたので光源からの光を効率よく面光源に変換して輝度とその均一性に優れる面光源装置を得ることができ、それをバックライトに用いてモアレが生じにくくて明るくて見やすい透過型の液晶表示装置を形成することができる。また異色発光の光源の組合せとして発光色の変換が可能なバックライト式の液晶表示装置も形成することができる。
【０００８】
【発明の実施形態】
本発明による液晶表示装置は、導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に沿う方向又は各入射側面に対して傾斜した方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有するものである。前記導光板の例を図１、図２に示した。１が導光板を形成する板状体であり、１１が上面、１３ａ、ｂが入射側面である。なお下面１２は、図３の如く上面１１の対向位置にある。
【０００９】
入射側面は、それに光源を配置して光を入射させることを目的とし、本発明においては図１、２の例の如く板状体１の左右方向１３ａと前後方向１３ｂの側面の組合せにて板状体の上下面間における側面の少なくとも２面が入射側面１３ａ、ｂとして利用される。これにより２面以上の側面より別体の光源を介して光を入射させることができ、輝度の向上や発光色の変換が可能となる。
【００１０】
一方、板状体の上面に形成する光出射手段は、入射側面からの入射光を下面に出射するためのものであり、本発明においては図３、図５に例示のＡの如くプリズム状凹溝の繰返し構造にて形成され、かつ図１、２に例示の如くそのプリズム状凹溝の稜線Ａ、Ｂが入射側面１３ａ、ｂに沿う方向又は入射側面１３ａ、ｂに対して傾斜した方向となるように形成される。なお図５の導光板１では、図２におけるα−β断面、γ−δ断面による概略を示している。
【００１１】
前記により入射側面のそれぞれに対応した光出射手段を配置でき、下面を共通の光出射面として光を指向性よく出射させることができて光利用効率の向上等を図ることができる。なお図例では上面１１に光出射手段を有して下面１２より出射するもの、従って下面が光出射面となるものを示している。導光板の厚さを介し光路長を増大して光出射手段を介した出射光の輝線化を緩和して平準化し、発光の均一性の向上を図る点より図例の如く板状体の上面に光出射手段を形成して下面を光出射面としたものが好ましい。
【００１２】
光利用効率等の点より好ましい光出射手段は、入射側面からの入射光を反射、特に全反射を介して光出射面側に光路制御しうるようにした斜面を有するものである。かかる斜面を有するプリズム状凹溝は、等辺面等からなる適宜な凹溝構造にて形成することができる。
【００１３】
好ましいプリズム状凹溝の構造は、導光板の光出射面よりその基準平面の垂直（法線）方向に可及的に多くの光が出射するものである。
【００１４】
前記した出射光の法線方向化や漏れ光と表示光の重複防止性の点より凹溝は、図３に例示した如く導光板の光出射手段を有しない下面側、すなわち光出射面となる側の基準平面に対する傾斜角θ１が３０〜４３度の伝送光反射面Ａ１と、それに対向する当該傾斜角θ２が４０度以上の面Ａ２からなるものである。
【００１５】
前記の伝送光反射面Ａ１は、入射側面よりの入射光の内、その面に入射する光を反射して光出射面に供給する役割をする。その場合に当該傾斜角を３０〜４３度とすることにより伝送光を光出射面に対し垂直性よく反射して表示に有利な出射光を効率よく得ることができる。スネルの法則に基づく全反射や漏れ光の抑制、それによる視認妨害の抑制等の前記した性能などの点より伝送光反射面の好ましい傾斜角は、３５〜４３度、就中３８〜４３度である。
【００１６】
伝送光反射面の傾斜角が３０度未満では光出射面よりの出射光の方向が法線に対して大きい角度となり、視認に有効利用できる光量が減少して明るさが低下しやすい。また４３度を超えると光出射手段形成面よりの漏れ光が増大して表示像のコントラストが低下しやすくなる。
【００１７】
一方、対向面Ａ２は、伝送光反射面の形成に伴って不可避的に発生する面であり、その面の上記基準平面に対する投影幅でプリズム状凹溝間の面部分が可及的に狭くならないことが好ましい。すなわち図上のプリズム状凹溝間の上面部分１１ａは、透過型液晶表示装置のバックライトとした場合には反射層等を介した反射光を透過させる部分として機能することより対向面Ａ２の当該投影幅で前記の上面部分１１ａが狭くなると視認性や光利用効率を低下させる。
【００１８】
従って対向面の当該投影幅は、プリズム状凹溝間の面部分を可及的に狭くしないものであることが好ましい。かかる点より対向面の当該基準平面に対する傾斜角θ２は、４０度以上とされ、就中５０度以上、特に６０度以上とすることが好ましく、９０度以上の傾斜角として対向面の当該投影幅が０となるか伝送光反射面の当該投影幅とオーバーラップするようにすることもできる。
【００１９】
上記の如く光出射手段を形成するプリズム状凹溝の伝送光反射面とその対向面の当該傾斜角を調節することにより、出射光に高度な指向性をもたせることができて、それにより光出射面に対して垂直方向ないしそれに近い角度で光を出射させることが可能になる。なお光出射手段を形成するプリズム状凹溝の斜面は、直線面や屈折面、湾曲面等を含む適宜な面形態に形成でき、形状等の異なるプリズム状凹溝の繰返し構造とすることもできる。またプリズム状凹溝は、その稜線が連続した一連の凹溝構造に形成されていてもよいし、所定の間隔を有して稜線方向に不連続に配列した断続的な凹溝構造に形成されていてもよい。
【００２０】
前記したプリズム状凹溝間の面部分の面積を確保し、液晶セルの画素との干渉によるモアレの発生を防止することやシャープな凹溝の形成性などの点より伝送光反射面の大きさは、液晶セルの画素ピッチが１００〜３００μmが一般的であることを考慮して、光出射面の基準平面に対する投影幅に基づいて３〜４０μmとされ、好ましくは２０μm以下、特に５〜１５μmである。
【００２１】
また前記の点より伝送光反射面の間隔は大きいことが好ましいが、一方で伝送光反射面は上記したように側面入射光の実質的な出射機能部分であるから、その間隔が広すぎると照明光が疎となってやはり不自然な表示となる場合があり、それらを鑑みてプリズム状凹溝の繰返しピッチＰ（図３）は、８０μm〜１mmとされる。なおピッチは、モアレの防止性や外観性等の点より一定とされる。
【００２２】
さらに明るい表示像を得る点よりプリズム状凹溝の繰返しピッチは、光出射面の基準平面に対する伝送光反射面の投影幅の８倍以上、就中１０倍以上、特に１２倍以上であることが好ましい。これにより、また透過型液晶表示装置のバックライトとした場合には、大きい面積の反射面や透過面を確保できて光利用効率の向上に有利である。
【００２３】
プリズム状凹溝の繰返し構造からなる光出射手段の場合、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、凹溝のピッチ調節で行いうるが、上記したように凹溝のピッチには好ましい範囲がある。従ってそのピッチ範囲でモアレが生じる場合の解決策としては、画素に対し凹溝を交差状態で配列しうるように凹溝を入射側面の基準平面に対し傾斜状態に形成する方式が好ましい。その場合、傾斜角が大きすぎると伝送光反射面等を介した反射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きくなって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となりやすい。
【００２４】
前記の点より入射側面の基準平面に対するプリズム状凹溝の配列方向、すなわちプリズム状凹溝の稜線方向の傾斜角θａ、ｂは、±３０度以内、就中±２５度以内、特に±２０度以内とすることが好ましい。なお±の符号は、入射側面を基準とした傾斜の方向を意味する。モアレを無視しうる場合などには図１の例の如くプリズム状凹溝の配列方向は、入射側面に平行なほど好ましい。
【００２５】
上記においては、一の入射側面に対する光出射手段について説明したが、本発明においては各入射側面に対応する各光出射手段が上記を満足することが好ましい。ただしプリズム状凹溝の構造やピッチは、各光出射手段で同じである必要はなく、導光板や画素サイズの左右方向や前後方向の寸法などに応じて適宜に決定することができる。
【００２６】
また本発明においては、図１、２の例の如く板状体１の左右方向の光出射手段Ａと前後方向の光出射手段Ｂが交差することとなるが、その場合、前記したモアレ防止等の点より各入射側面に対して設けた光出射手段としてのプリズム状凹溝の稜線が４０度以上、就中６０度以上の角度で交差することが好ましい。
【００２７】
導光板は、適宜な形態としうるが、一般には左右方向と前後方向の入射側面を確保する点より図例の如く入射側面１３ａ、ｂとそれに対面する対向端１４ａ、ｂの厚さが同厚の板とされる。導光板の光出射面、すなわち光出射手段を形成しない下面は、通例フラット面とされる。
【００２８】
前記した光出射面における微細凹溝の形成は、例えばサンドブラスト等のマット処理による粗面化方式や導光板を形成する際に金型等を介して微細凹溝を付与する方式、透明粒子含有の樹脂層を付設する方式や拡散ドットないしそれを設けたシートを導光板に設ける方式などの従来の拡散層に準じた適宜な方式にて行うことができる。
【００２９】
導光板における入射側面等の側面の形状についても、特に限定はなく適宜に決定してよい。一般には光源の配置性などの点より光出射面に対して垂直な入射側面とされるが、陰極管の外形に対応した凹形などとすることもできる。また入射側面は、図２に例示した如く透明体１５ａ、ｂを介して突出した形態に形成することもできる。かかる突出形態は、左右方向１３ａと前後方向１３ｂに配置することとなる光源の電極部等による非発光部の空間的な干渉を防ぐことや、光路長を増大して光源長の不足（短寸）による端部等での発光ムラの発生を防止することなどを目的とする。
【００３０】
前記した突出形態の場合、そこに配置する光源との関係では前記の如く発光ムラの防止等に寄与するが、他方に配置する光源との関係ではその突出部分に光が入射しにくくなり影が発生しやすくなる。すなわち図２の例では左右方向の突出部１５ａでは前後方向の光源からの光が入射しにくくなり、前後方向の突出部１５ｂでは左右方向の光源からの光が入射しにくくなって、その突出部分で影が発生しやすくなる。
【００３１】
本発明においては、前記に対して光出射手段のプリズム状凹溝の稜線を傾斜させることにより影の発生を防止することができる。すなわち図２に例示した如く左右方向の入射側面１３ａに対して設けた光出射手段Ａについては、そのプリズム状凹溝の稜線がその左右方向の入射側面を基準に前後方向の入射側面１３ｂの側より他端１４ｂの側に遠離る方向に傾斜θａさせることにより、前後方向の入射側面１３ｂに対して設けた光出射手段Ｂについては、そのプリズム状凹溝の稜線がその前後方向の入射側面を基準に左右方向の入射側面１３ａの側より他端１４ａの側に遠離る方向に傾斜θｂさせることにより、伝送光反射面を介した出射光を前記した影となる突出部分の方向に出射させて影となることによる発光不足を補うことにより防止することができる。
【００３２】
導光板の形成には、光源の波長域に応じそれに透明性を示す適宜な材料を用いうる。ちなみに可視光域では、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂やノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やエポキシ系樹脂等で代表される透明樹脂やガラスなどがあげられる。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成したものが好ましい。
【００３３】
導光板は、切削法にても形成でき、適宜な方法で形成することができる。量産性等の点より好ましい製造方法としては、熱可塑性樹脂を所定の形状を形成しうる金型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を所定の形状に成形しうる金型に充填する方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂を所定の形状を形成しうる型に充填ないし流延して重合処理する方法などがあげられる。
【００３４】
導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。透過型の液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な導光板の厚さは、その入射側面に基づき２０mm以下、就中０．１〜１０mm、特に０．３〜５mmである。なお導光板は、例えば光の伝送を担う導光部に光出射手段を形成したシートを接着したものの如く、同種又は異種の材料からなる部品の積層体などとして形成されていてもよく、１種の材料による一体的単層物として形成されている必要はない。
【００３５】
面光源装置は、透過型の液晶表示装置等におけるサイドライト型のバックライトなどとして用いることを目的に、図５に例示の如く導光板１における入射側面１３ａ、ｂのそれぞれに光源２１を配置して形成される。その光源については、特に限定はなく面光源装置の使用目的などに応じて単色光や各種波長域の発光特性を示す適宜なものを用いうる。
【００３６】
ちなみに前記光源の例としては、（冷、熱）陰極管や発光ダイオード等の点状光源、その点状光源のアレイ体や点状光源による光を線状光源化したもの、細長のエレクトロルミネッセンス素子などがあげられる。液晶表示装置の形成に用いる面光源装置では、可視光域の可及的に広い波長域の発光特性を示すものが好ましい。導光板に配置する光源の組合せは、例えば同種のものや発光色が相違するものなどの如く使用目的に応じて適宜に決定することができる。また光源は、適宜な方式にてそれぞれを独立に又は従属的に点灯と消灯を切り替え得るようにすることもできる。
【００３７】
就中、低消費電力性や光源駆動装置等の簡便化、点灯／消灯切り替えの方式の簡便化や異色発光光源の組込みの容易性などの点より発光ダイオード、特にそれを用いて線状光源を得るようにしたものが好ましい。ちなみにその例としては、上記の導光板に準じて入射側面に配置し得るように形成した直方体等からなる線状の導光板の背面や側面に点状光源を配置して、点状光源からの入射光を線状光源に変換できるようにしたものなどがあげられる。その場合、線状導光板の側面に点状光源を配置する方式では線状導光板の背面にドット構造やプリズム状凹溝の繰返し構造等からなる適宜な形態の光路変更手段などを設けることもできる。
【００３８】
面光源装置の形成に際しては図５の例の如く、光源からの放射光を導光板の入射側面に効率よく導くために光源２１を包囲する光源ホルダ２２などの適宜な補助手段を配置することもできる。光源ホルダは、高反射率の金属薄膜を付設した樹脂シートや金属箔、白色シートなどが一般に用いられる。またバックライトとして用いる場合、光源ホルダを導光板の光出射面に延設して反射シートを兼ねさすこともできる。
【００３９】
本発明による面光源装置は、光源からの光を効率よく利用して明るさに優れる面光源を提供し、大面積化等も容易であることより透過型液晶表示装置のバックライトシステムとして好ましく適用することができる。
【００４０】
参考例として、図４に面光源装置をフロントライトシステムに用いた反射型液晶表示装置を例示した。これは面光源装置２における上面１１に光出射手段を有する導光板１の光出射面（下面１２）側に液晶セル３２の表裏に偏光板３１、３３を有し、かつ裏面に反射層３４を具備する反射型の液晶表示ユニット３を配置して形成したものであり、面光源装置を消灯して外光による反射型液晶表示装置としても用いうるものである。
【００４１】
一方、図５に面光源装置をバックライトシステムに用いた本発明の液晶表示装置を例示した。これは面光源装置２における導光板１の上側に光拡散層４を介して透過型の液晶表示ユニット３を配置して形成したものであり、導光板１がその光出射面に反射層５を有して透過型の液晶表示装置として用いうるものである。
【００４２】
なお図５の如く、上面１１に光出射手段を有する導光板１を用いた面光源装置２における導光板の上面側に透過型の液晶セル３２が配置される。従って導光板は、光出射手段の形成面側が液晶セル側として配置され、その場合に導光板の裏面側、すなわち液晶セルを配置しない側に反射層等の光反射手段を配置することで透過型の液晶表示装置を形成することができる。
【００４３】
前記した図例の如く液晶表示装置は、面光源装置と液晶セルを少なくとも用いて、その液晶セルを面光源装置における導光板１の所定面側に配置することにより形成される。その場合、面光源装置をフロントライトに用いる反射型の液晶表示装置では、図４の如く裏面に反射層３４を具備する液晶表示ユニット３の視認側に面光源装置２がその導光板１の光出射手段形成面が上側（視認側）となるように配置される。
【００４４】
従ってフロントライトシステムによる反射型の液晶表示装置では、面光源装置の導光板と反射層との間に少なくとも液晶セルの液晶層が位置して、導光板の光出射手段形成面が視認側となるように配置することが必須とされる。その視認は、外部より面光源装置の導光板における光出射手段間からなる部分１１ａを透過した外光又は点灯時の導光板による出射光が液晶セルを透過して反射層で反転し、その反転光が再度液晶セルを透過した後、導光板における当該部分１１ａを透過することにより行われる。なお前記の反射層は、セル基板に付設するなどして液晶セル内に設けることもできる。
【００４５】
一方、図５の如く面光源装置をバックライトに用いる透過型である本発明の液晶表示装置では、液晶セルの裏面（視認背面）側に面光源装置の導光板が配置され、視認側に光出射手段形成面を有する導光板を用いるときや反射・透過両用で用いるときには液晶セルと反射層の間に面光源装置の導光板が配置される。それらの場合、上記したように面光源装置はその導光板の光出射手段形成面側を図例の如く液晶セル側として配置される。
【００４６】
図例の如く導光板の光出射手段形成面側を液晶セル側として光出射面に配置した反射層を介し反転させる方式は、上記したように光出射手段から液晶セルに入射するまでの光路長を増大させて光出射手段による輝線パターンを緩和でき、図例とは反対に導光板の光出射面側を液晶セル側として配置する方式に比べモアレ等の表示不良の発生を抑制できる利点などがある。
【００４７】
前記した透過型液晶表示装置による視認は、面光源装置による出射光が反射層による反転を介し液晶セルに入射して透過することにより行われる。また反射・透過両用の液晶表示装置による視認は、透過モードでは前記の透過型に準じ、反射モードでは外光が液晶セルを透過して導光板裏面の反射層で反転し、その反転光が再度導光板における光出射手段間からなる部分１１ａと液晶セルを透過することにより行われる。
【００４８】
液晶表示装置は一般に、前記図４、図５の如く液晶シャッタとして機能する透明電極具備の液晶セル３２とそれに付随の駆動装置や偏光板等からなる液晶表示ユニット、必要に応じ点灯／消灯の切り替えスイッチを組み込んだバックライト又はフロントライト及び必要に応じての光拡散層４や反射層５、反射防止層や補償用位相差板等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成される。
【００４９】
本発明においては上記した導光板ないし面光源装置を用いる点を除いて特に限定はなく、図例の如く従来に準じて形成することができる。従って用いる液晶セルについては特に限定はなく、例えば液晶の配向形態に基づく場合、ＴＮ液晶セルやＳＴＮ液晶セル、垂直配向セルやＨＡＮセル、ＯＣＢセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用いうる。また液晶の駆動方式についても特に限定はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な駆動方式であってよい。
【００５０】
なお図４、図５において液晶セル３２は、セル基板の間に液晶層を封入してなるがその場合、セル基板に本発明による導光板を兼ねさすこともできる。また図例では、透明電極とそれに付随の駆動装置の記入を省略している。
【００５１】
液晶セル表裏の一方又は両方に設ける偏光板についても特に限定はないが、高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比の表示を得る点などより、特にバックライト側やフロントライト側の偏光板として、例えばヨウ素系や染料系の吸収型直線偏光子などの如く偏光度の高いものを用いることが好ましい。
【００５２】
反射層についても、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従来に準じた適宜な反射層として形成することができる。液晶セルの内部に反射層を設ける場合、その反射層としては前記の高反射率金属等の高導電性材料にて電極パターンを形成する方式や、高反射率金属膜で形成した反射層の上に絶縁層を介して透明電極パターンを設ける方式などによる反射層が好ましい。
【００５３】
なお反射型液晶表示装置における反射層は、例えばプラスチックフィルム上に高反射率金属膜からなる反射層を設けたものなどとして液晶セルの外側に設けることもできる。また透過型液晶表示装置の場合には、そのバックライトを形成する導光板に直接付設することもできる。その反射層は、上記に例示の適宜な方式で導光板の光出射面に設けられる。
【００５４】
液晶表示装置の形成に際しては、上記の如く例えば視認側の表面に設けるアンチグレア層や反射防止膜、あるい光拡散板や補償用位相差板、偏光分離板や光路制御等を目的としたプリズムシートなどの適宜な光学素子を適宜な位置に配置することができる。なお反射防止膜は、導光板の光出射面などにも設けることができる。
【００５５】
前記の補償用位相差板は、複屈折の波長依存性などを補償して視認性の向上等をはかることを目的とするものであり、視認側又は／及びバックライト側の偏光板と液晶セルの間等に必要に応じて配置される。補償用位相差板としては、波長域などに応じて適宜なものを用いることができる。その位相差板は、例えばポリカーボネートやポリスルホン、ポリエステルやポリメチルメタクリレート、ポリアミドやポリビニールアルコール等からなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性シートや液晶ポリマー配向層の支持シートなどとして得ることができ、それら位相差シートを２層以上重畳したものなどとして形成することもできる。
【００５６】
また光拡散層は、明暗ムラの防止による明るさの均等な面発光を得るためや隣接光線の混交によるモアレの低減などを目的に、必要に応じて液晶表示装置の適宜な位置に１層又は２層以上配置するものである。ちなみに図５の例では、導光板１と液晶表示ユニット３の間に光拡散層４が配置されている。なお導光板出射光の指向性の維持などの点よりは、拡散範囲の狭い拡散層が好ましく用いうる。
【００５７】
光拡散層は、上記した光出射面の微細凹溝に準じて、例えば低屈折率の透明樹脂中に高屈折率の透明粒子を分散させて塗布硬化させる方式や気泡を分散させた透明樹脂を塗布硬化させる方式、基材表面を溶媒を介し膨潤させてクレイズを発生させる方式や不規則な凹溝面を有する透明樹脂層を形成する方式、あるいは前記に準じて形成した拡散シートを用いる方式などの適宜な方式で形成することができる。
【００５８】
なお透過型液晶表示装置の形成に際しては、輝度の向上を目的に面光源装置と偏光板の間に偏光分離板を配置することもできる。偏光分離板は、例えばコレステリック液晶相を有する層、就中コレステリック相を呈する液晶ポリマーからなる層を有するシートや、透明基板上に誘電体の多層膜を設けたものなどの如く、自然光を透過と反射を介して偏光に分離する機能を有するものである。ちなみに、コレステリック液晶相によれば透過と反射を介して左右の円偏光に分離でき、前記誘電体の多層膜によれば透過と反射を介してＰ波とＳ波の直線偏光に分離することができる。また円偏光は、１／４波長板を介して直線偏光に変換することができる。
【００５９】
そのため偏光分離板を透過した偏光を偏光軸を可及的に一致させて偏光板に入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制できて輝度の向上を図りうる。また図５の如く裏面に反射層５を設けた導光板１からなる面光源装置では、前記の偏光分離板で反射された偏光を反射層５で反転させて偏光分離板に再入射させることにより反転光の一部又は全部を透過させることができ、その光利用効率の向上により輝度の向上を図りうる。
【００６０】
本発明において、上記した面光源装置や液晶表示装置を形成する導光板や液晶セルや偏光板等の光学素子ないし部品は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点よりは、固着状態にあることが好ましい。その固着密着処理には、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができる。
【００６１】
【実施例】
参考例１
ポリメチルメタクリレートからなる長方形の同厚平板の上面をダイヤモンドバイトで切削することにより、左右方向及び前後方向に光出射手段を各入射側面に平行に形成して導光板を得た。この導光板は、左右方向３８mm、前後方向２５mm、肉厚１mmであり左右及び前後方向の入射側面に突出長３mmの透明部分を有し、左右方向の入射側面が前後方向の前側に位置し、前後方向の入射側面が左右方向の右側に位置するものからなる。
【００６２】
また前記した左右方向の光出射手段は、２６０μmの一定ピッチによるプリズム状凹溝の繰返し構造よりなり、入射側面に対面する伝送光反射面の傾斜角が４３度で、その対向面の傾斜角が６２度であり、伝送光反射面の下面に対する投影幅が１０〜１６μmで、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が１０倍以上のものからなる。
【００６３】
また前後方向の光出射手段は、３１０μmの一定ピッチによるプリズム状凹溝の繰返し構造よりなり、入射側面に対面する伝送光反射面の傾斜角が４３度で、その対向面の傾斜角が６２度であり、伝送光反射面の下面に対する投影幅が９〜１６μmで、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が１２倍以上のものからなる。
【００６４】
次に前記の導光板における左右方向の入射側面に幅４２mm、奥行２．５mm、厚さ１．５mmの直方体からなる有効発光幅４１mmの線状導光板の左右両面に緑色と赤色の発光ダイオードを１個ずつ設けて色別に直流電源と接続した光源１を配置し、前後方向の入射側面に幅２９mm、奥行２．５mm、厚さ１．５mmの直方体からなる有効発光幅２８mmの線状導光板の前後両面に赤色発光ダイオードを１個ずつ設けて直流電源と接続した光源２を配置して面光源装置を得た。
【００６５】
ついで前記の面光源装置における導光板の下面側に反射型のツイストネマチック系液晶表示ユニットを配置して、フロントライト式の反射型液晶表示装置を得た。なお視認は、光出射手段を形成した導光板の上面側を介して行われる。
【００６６】
参考例２
左右方向の光出射手段を左右方向の入射側面に対してそのプリズム状凹溝の稜線が右上がりに１４度の傾斜角となるように形成し、前後方向の光出射手段を前後方向の入射側面に対してそのプリズム状凹溝の稜線が１４度の傾斜角で前側に上がるように形成したほかは参考例１に準じて導光板と面光源装置と反射型液晶表示装置を得た。
【００６７】
なお前記光出射手段の傾斜化の結果、左右方向の光出射手段ではその伝送光反射面の下面に対する投影幅が１０〜１８μmに変化し、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が８倍以上に変化した。また前後方向の光出射手段では、伝送光反射面の下面に対する投影幅が９〜１８μmに変化し、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が１０倍以上に変化した。
【００６８】
実施例１
参考例２で得た面光源装置の下面側に銀蒸着の反射板を配置し、かつ上面側に透過型のツイストネマチック系液晶表示ユニットを配置して、バックライト式の透過型液晶表示装置を得た。
【００６９】
比較例１
傾斜角４３度の二等辺三角形からなるプリズム状凹溝を２６０μmの一定ピッチによる繰返し構造で左右方向の入射側面に平行な光出射手段を形成し、前後方向の光出射手段を省略したほかは参考例１に準じて導光板と面光源装置と反射型液晶表示装置を得た。なお導光板における光出射手段は、その下面に対する投影幅が１２μmで、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が８倍以上であった。
【００７０】
比較例２
比較例１で得た面光源装置をその導光板の上下面を逆転させて配置し、その光出射手段形成面（元上面）の下側に白色ポリエステルフィルムからなる反射板を配置し、かつ光出射面側（元下面側）に拡散板を介して透過型のツイストネマチック系液晶表示ユニットを配置して、バックライト式の透過型液晶表示装置を得た。
【００７１】
比較例３
サンドブラスト加工による粗面を光出射手段として片面に有する導光板を用いたほかは比較例２に準じて面光源装置と透過型液晶表示装置を得た。なお導光板の粗面が下側となるように配置した。
【００７２】
比較例４
比較例１による面光源装置を用いたほかは実施例１に準じて透過型液晶表示装置を得た。
【００７３】
比較例５
比較例３による面光源装置を用いたほかは実施例１に準じて透過型液晶表示装置を得た。
【００７４】
評価試験１
参考例、実施例、比較例で得た反射型又は透過型の液晶表示装置について、液晶セルを電圧無印加の状態で光源１又は光源２を点灯させ、装置中央部、点灯側の入射部及びその対向部における正面輝度を輝度計（トプコン社製、ＢＭ７）にて調べた。その結果を次表に示した。なお光源１は緑光による。
【００７５】
正面輝度（cd／m ２ ）
光 源 １ 光 源 ２
入射部 中央部 対向部 入射部 中央部 対向部
参考例１ ２３ ２５ ２６ １３ １４ １４
参考例２ ２２ ２４ ２６ １２ １２ １４
実施例１ ３５ ３６ ３４ １７ １７ １５
比較例１ ２６ ２２ １８ １５ １１ ８
比較例２ ４５ ３１ ２７ ２２ １６ １３
比較例３ ３０ ２５ ２２ １７ １４ １０
比較例４ ３９ ３２ ２９ ２０ １６ １３
比較例５ ２５ ２３ １８ １２ １２ １１
【００７６】
評価試験２
参考例、実施例、比較例で得た反射型又は透過型の液晶表示装置について外観観察を行った結果、実施例では全面にわたり均一で明るい発光状態が得られたが、比較例では入射部で強く発光して対向部に向かい輝度が大きく低下して発光の均一性に劣り、特に比較例３、５の拡散式のものでは実施例に比べ輝度が大きく劣っていた。また実施例では、参考例に対してもさらに輝度が優れていた。
【００７７】
また実施例では、光源１による緑と赤の発光色の変換、及び光源の１と２による緑と赤の発光色の変換が可能であり均一で明るい発光状態が得られた。さらに光源の１と２による赤発光では単灯の場合よりも輝度に優れて均一でより明るい発光状態が得られた。しかし比較例では発光ムラで見にくかった。以上より本発明によれば発光色の切り替えが可能で、表示特性に優れるバックライト式の透過型の液晶表示装置を形成できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図１】導光板例の平面説明図
【図２】他の導光板例の平面説明図
【図３】導光板における光出射手段例の側面説明図
【図４】フロントライト式の反射型液晶表示装置例の説明図
【図５】バックライト式の透過型液晶表示装置例の説明図
【符号の説明】
１：導光板
１１：上面（光出射手段形成面）
Ａ、Ｂ：光出射手段（Ａ１：伝送光反射面）
１２：下面（光出射面） １３ａ、ｂ：入射側面
１５ａ、ｂ：透明体による突出部
２：面光源装置（２１：光源）
３：液晶表示ユニット
３１、３３：偏光板 ３２：液晶セル ３４：反射層
４：光拡散層 ５：反射層
【発明の技術分野】
本発明は、光利用効率に優れて輝度やその均一性に優れる多光源型の面光源装置を用いた明るくて見やすい透過型の液晶表示装置に関する。
【０００２】
【発明の背景】
従来、導光板としては、板状体における上下面の一方に粗面や白色ドットを設け側面からの入射光を散乱させて上下面の他方に出射させるようにしたサイドライト型のものが知られていた。かかるサイドライト型導光板は、その側面に光源を配置して面光源装置としそれを液晶セルと組み合わせて反射型や透過型等の液晶表示装置の形成に用いられている。
【０００３】
しかしながら、輝度やその均一性に乏しくて表示品位に乏しい問題点があった。複数の側面に光源を配置して輝度を向上させる提案もあるが輝度のバラツキは改善されにくい。
【０００４】
【発明の技術的課題】
本発明は、光の利用効率に優れて輝度とその均一性に優れる面光源装置を用いた明るくて見やすい透過型の液晶表示装置の開発を課題とする。
【０００５】
【課題の解決手段】
本発明においては、導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に沿う方向又は各入射側面に対して傾斜した方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有することを特徴とする透過型の液晶表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明によれば、バックライト式による透過型の液晶表示装置を形成できる。
【０００７】
具体的には、本発明によれば、導光板の少なくとも２側面より光源からの光を入射させ、その入射光をプリズム状凹溝の繰返し構造よりなる光出射手段を介して同一面より出射させるようにしたので光源からの光を効率よく面光源に変換して輝度とその均一性に優れる面光源装置を得ることができ、それをバックライトに用いてモアレが生じにくくて明るくて見やすい透過型の液晶表示装置を形成することができる。また異色発光の光源の組合せとして発光色の変換が可能なバックライト式の液晶表示装置も形成することができる。
【０００８】
【発明の実施形態】
本発明による液晶表示装置は、導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に沿う方向又は各入射側面に対して傾斜した方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有するものである。前記導光板の例を図１、図２に示した。１が導光板を形成する板状体であり、１１が上面、１３ａ、ｂが入射側面である。なお下面１２は、図３の如く上面１１の対向位置にある。
【０００９】
入射側面は、それに光源を配置して光を入射させることを目的とし、本発明においては図１、２の例の如く板状体１の左右方向１３ａと前後方向１３ｂの側面の組合せにて板状体の上下面間における側面の少なくとも２面が入射側面１３ａ、ｂとして利用される。これにより２面以上の側面より別体の光源を介して光を入射させることができ、輝度の向上や発光色の変換が可能となる。
【００１０】
一方、板状体の上面に形成する光出射手段は、入射側面からの入射光を下面に出射するためのものであり、本発明においては図３、図５に例示のＡの如くプリズム状凹溝の繰返し構造にて形成され、かつ図１、２に例示の如くそのプリズム状凹溝の稜線Ａ、Ｂが入射側面１３ａ、ｂに沿う方向又は入射側面１３ａ、ｂに対して傾斜した方向となるように形成される。なお図５の導光板１では、図２におけるα−β断面、γ−δ断面による概略を示している。
【００１１】
前記により入射側面のそれぞれに対応した光出射手段を配置でき、下面を共通の光出射面として光を指向性よく出射させることができて光利用効率の向上等を図ることができる。なお図例では上面１１に光出射手段を有して下面１２より出射するもの、従って下面が光出射面となるものを示している。導光板の厚さを介し光路長を増大して光出射手段を介した出射光の輝線化を緩和して平準化し、発光の均一性の向上を図る点より図例の如く板状体の上面に光出射手段を形成して下面を光出射面としたものが好ましい。
【００１２】
光利用効率等の点より好ましい光出射手段は、入射側面からの入射光を反射、特に全反射を介して光出射面側に光路制御しうるようにした斜面を有するものである。かかる斜面を有するプリズム状凹溝は、等辺面等からなる適宜な凹溝構造にて形成することができる。
【００１３】
好ましいプリズム状凹溝の構造は、導光板の光出射面よりその基準平面の垂直（法線）方向に可及的に多くの光が出射するものである。
【００１４】
前記した出射光の法線方向化や漏れ光と表示光の重複防止性の点より凹溝は、図３に例示した如く導光板の光出射手段を有しない下面側、すなわち光出射面となる側の基準平面に対する傾斜角θ１が３０〜４３度の伝送光反射面Ａ１と、それに対向する当該傾斜角θ２が４０度以上の面Ａ２からなるものである。
【００１５】
前記の伝送光反射面Ａ１は、入射側面よりの入射光の内、その面に入射する光を反射して光出射面に供給する役割をする。その場合に当該傾斜角を３０〜４３度とすることにより伝送光を光出射面に対し垂直性よく反射して表示に有利な出射光を効率よく得ることができる。スネルの法則に基づく全反射や漏れ光の抑制、それによる視認妨害の抑制等の前記した性能などの点より伝送光反射面の好ましい傾斜角は、３５〜４３度、就中３８〜４３度である。
【００１６】
伝送光反射面の傾斜角が３０度未満では光出射面よりの出射光の方向が法線に対して大きい角度となり、視認に有効利用できる光量が減少して明るさが低下しやすい。また４３度を超えると光出射手段形成面よりの漏れ光が増大して表示像のコントラストが低下しやすくなる。
【００１７】
一方、対向面Ａ２は、伝送光反射面の形成に伴って不可避的に発生する面であり、その面の上記基準平面に対する投影幅でプリズム状凹溝間の面部分が可及的に狭くならないことが好ましい。すなわち図上のプリズム状凹溝間の上面部分１１ａは、透過型液晶表示装置のバックライトとした場合には反射層等を介した反射光を透過させる部分として機能することより対向面Ａ２の当該投影幅で前記の上面部分１１ａが狭くなると視認性や光利用効率を低下させる。
【００１８】
従って対向面の当該投影幅は、プリズム状凹溝間の面部分を可及的に狭くしないものであることが好ましい。かかる点より対向面の当該基準平面に対する傾斜角θ２は、４０度以上とされ、就中５０度以上、特に６０度以上とすることが好ましく、９０度以上の傾斜角として対向面の当該投影幅が０となるか伝送光反射面の当該投影幅とオーバーラップするようにすることもできる。
【００１９】
上記の如く光出射手段を形成するプリズム状凹溝の伝送光反射面とその対向面の当該傾斜角を調節することにより、出射光に高度な指向性をもたせることができて、それにより光出射面に対して垂直方向ないしそれに近い角度で光を出射させることが可能になる。なお光出射手段を形成するプリズム状凹溝の斜面は、直線面や屈折面、湾曲面等を含む適宜な面形態に形成でき、形状等の異なるプリズム状凹溝の繰返し構造とすることもできる。またプリズム状凹溝は、その稜線が連続した一連の凹溝構造に形成されていてもよいし、所定の間隔を有して稜線方向に不連続に配列した断続的な凹溝構造に形成されていてもよい。
【００２０】
前記したプリズム状凹溝間の面部分の面積を確保し、液晶セルの画素との干渉によるモアレの発生を防止することやシャープな凹溝の形成性などの点より伝送光反射面の大きさは、液晶セルの画素ピッチが１００〜３００μmが一般的であることを考慮して、光出射面の基準平面に対する投影幅に基づいて３〜４０μmとされ、好ましくは２０μm以下、特に５〜１５μmである。
【００２１】
また前記の点より伝送光反射面の間隔は大きいことが好ましいが、一方で伝送光反射面は上記したように側面入射光の実質的な出射機能部分であるから、その間隔が広すぎると照明光が疎となってやはり不自然な表示となる場合があり、それらを鑑みてプリズム状凹溝の繰返しピッチＰ（図３）は、８０μm〜１mmとされる。なおピッチは、モアレの防止性や外観性等の点より一定とされる。
【００２２】
さらに明るい表示像を得る点よりプリズム状凹溝の繰返しピッチは、光出射面の基準平面に対する伝送光反射面の投影幅の８倍以上、就中１０倍以上、特に１２倍以上であることが好ましい。これにより、また透過型液晶表示装置のバックライトとした場合には、大きい面積の反射面や透過面を確保できて光利用効率の向上に有利である。
【００２３】
プリズム状凹溝の繰返し構造からなる光出射手段の場合、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、凹溝のピッチ調節で行いうるが、上記したように凹溝のピッチには好ましい範囲がある。従ってそのピッチ範囲でモアレが生じる場合の解決策としては、画素に対し凹溝を交差状態で配列しうるように凹溝を入射側面の基準平面に対し傾斜状態に形成する方式が好ましい。その場合、傾斜角が大きすぎると伝送光反射面等を介した反射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きくなって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となりやすい。
【００２４】
前記の点より入射側面の基準平面に対するプリズム状凹溝の配列方向、すなわちプリズム状凹溝の稜線方向の傾斜角θａ、ｂは、±３０度以内、就中±２５度以内、特に±２０度以内とすることが好ましい。なお±の符号は、入射側面を基準とした傾斜の方向を意味する。モアレを無視しうる場合などには図１の例の如くプリズム状凹溝の配列方向は、入射側面に平行なほど好ましい。
【００２５】
上記においては、一の入射側面に対する光出射手段について説明したが、本発明においては各入射側面に対応する各光出射手段が上記を満足することが好ましい。ただしプリズム状凹溝の構造やピッチは、各光出射手段で同じである必要はなく、導光板や画素サイズの左右方向や前後方向の寸法などに応じて適宜に決定することができる。
【００２６】
また本発明においては、図１、２の例の如く板状体１の左右方向の光出射手段Ａと前後方向の光出射手段Ｂが交差することとなるが、その場合、前記したモアレ防止等の点より各入射側面に対して設けた光出射手段としてのプリズム状凹溝の稜線が４０度以上、就中６０度以上の角度で交差することが好ましい。
【００２７】
導光板は、適宜な形態としうるが、一般には左右方向と前後方向の入射側面を確保する点より図例の如く入射側面１３ａ、ｂとそれに対面する対向端１４ａ、ｂの厚さが同厚の板とされる。導光板の光出射面、すなわち光出射手段を形成しない下面は、通例フラット面とされる。
【００２８】
前記した光出射面における微細凹溝の形成は、例えばサンドブラスト等のマット処理による粗面化方式や導光板を形成する際に金型等を介して微細凹溝を付与する方式、透明粒子含有の樹脂層を付設する方式や拡散ドットないしそれを設けたシートを導光板に設ける方式などの従来の拡散層に準じた適宜な方式にて行うことができる。
【００２９】
導光板における入射側面等の側面の形状についても、特に限定はなく適宜に決定してよい。一般には光源の配置性などの点より光出射面に対して垂直な入射側面とされるが、陰極管の外形に対応した凹形などとすることもできる。また入射側面は、図２に例示した如く透明体１５ａ、ｂを介して突出した形態に形成することもできる。かかる突出形態は、左右方向１３ａと前後方向１３ｂに配置することとなる光源の電極部等による非発光部の空間的な干渉を防ぐことや、光路長を増大して光源長の不足（短寸）による端部等での発光ムラの発生を防止することなどを目的とする。
【００３０】
前記した突出形態の場合、そこに配置する光源との関係では前記の如く発光ムラの防止等に寄与するが、他方に配置する光源との関係ではその突出部分に光が入射しにくくなり影が発生しやすくなる。すなわち図２の例では左右方向の突出部１５ａでは前後方向の光源からの光が入射しにくくなり、前後方向の突出部１５ｂでは左右方向の光源からの光が入射しにくくなって、その突出部分で影が発生しやすくなる。
【００３１】
本発明においては、前記に対して光出射手段のプリズム状凹溝の稜線を傾斜させることにより影の発生を防止することができる。すなわち図２に例示した如く左右方向の入射側面１３ａに対して設けた光出射手段Ａについては、そのプリズム状凹溝の稜線がその左右方向の入射側面を基準に前後方向の入射側面１３ｂの側より他端１４ｂの側に遠離る方向に傾斜θａさせることにより、前後方向の入射側面１３ｂに対して設けた光出射手段Ｂについては、そのプリズム状凹溝の稜線がその前後方向の入射側面を基準に左右方向の入射側面１３ａの側より他端１４ａの側に遠離る方向に傾斜θｂさせることにより、伝送光反射面を介した出射光を前記した影となる突出部分の方向に出射させて影となることによる発光不足を補うことにより防止することができる。
【００３２】
導光板の形成には、光源の波長域に応じそれに透明性を示す適宜な材料を用いうる。ちなみに可視光域では、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂やノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やエポキシ系樹脂等で代表される透明樹脂やガラスなどがあげられる。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成したものが好ましい。
【００３３】
導光板は、切削法にても形成でき、適宜な方法で形成することができる。量産性等の点より好ましい製造方法としては、熱可塑性樹脂を所定の形状を形成しうる金型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を所定の形状に成形しうる金型に充填する方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂を所定の形状を形成しうる型に充填ないし流延して重合処理する方法などがあげられる。
【００３４】
導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。透過型の液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な導光板の厚さは、その入射側面に基づき２０mm以下、就中０．１〜１０mm、特に０．３〜５mmである。なお導光板は、例えば光の伝送を担う導光部に光出射手段を形成したシートを接着したものの如く、同種又は異種の材料からなる部品の積層体などとして形成されていてもよく、１種の材料による一体的単層物として形成されている必要はない。
【００３５】
面光源装置は、透過型の液晶表示装置等におけるサイドライト型のバックライトなどとして用いることを目的に、図５に例示の如く導光板１における入射側面１３ａ、ｂのそれぞれに光源２１を配置して形成される。その光源については、特に限定はなく面光源装置の使用目的などに応じて単色光や各種波長域の発光特性を示す適宜なものを用いうる。
【００３６】
ちなみに前記光源の例としては、（冷、熱）陰極管や発光ダイオード等の点状光源、その点状光源のアレイ体や点状光源による光を線状光源化したもの、細長のエレクトロルミネッセンス素子などがあげられる。液晶表示装置の形成に用いる面光源装置では、可視光域の可及的に広い波長域の発光特性を示すものが好ましい。導光板に配置する光源の組合せは、例えば同種のものや発光色が相違するものなどの如く使用目的に応じて適宜に決定することができる。また光源は、適宜な方式にてそれぞれを独立に又は従属的に点灯と消灯を切り替え得るようにすることもできる。
【００３７】
就中、低消費電力性や光源駆動装置等の簡便化、点灯／消灯切り替えの方式の簡便化や異色発光光源の組込みの容易性などの点より発光ダイオード、特にそれを用いて線状光源を得るようにしたものが好ましい。ちなみにその例としては、上記の導光板に準じて入射側面に配置し得るように形成した直方体等からなる線状の導光板の背面や側面に点状光源を配置して、点状光源からの入射光を線状光源に変換できるようにしたものなどがあげられる。その場合、線状導光板の側面に点状光源を配置する方式では線状導光板の背面にドット構造やプリズム状凹溝の繰返し構造等からなる適宜な形態の光路変更手段などを設けることもできる。
【００３８】
面光源装置の形成に際しては図５の例の如く、光源からの放射光を導光板の入射側面に効率よく導くために光源２１を包囲する光源ホルダ２２などの適宜な補助手段を配置することもできる。光源ホルダは、高反射率の金属薄膜を付設した樹脂シートや金属箔、白色シートなどが一般に用いられる。またバックライトとして用いる場合、光源ホルダを導光板の光出射面に延設して反射シートを兼ねさすこともできる。
【００３９】
本発明による面光源装置は、光源からの光を効率よく利用して明るさに優れる面光源を提供し、大面積化等も容易であることより透過型液晶表示装置のバックライトシステムとして好ましく適用することができる。
【００４０】
参考例として、図４に面光源装置をフロントライトシステムに用いた反射型液晶表示装置を例示した。これは面光源装置２における上面１１に光出射手段を有する導光板１の光出射面（下面１２）側に液晶セル３２の表裏に偏光板３１、３３を有し、かつ裏面に反射層３４を具備する反射型の液晶表示ユニット３を配置して形成したものであり、面光源装置を消灯して外光による反射型液晶表示装置としても用いうるものである。
【００４１】
一方、図５に面光源装置をバックライトシステムに用いた本発明の液晶表示装置を例示した。これは面光源装置２における導光板１の上側に光拡散層４を介して透過型の液晶表示ユニット３を配置して形成したものであり、導光板１がその光出射面に反射層５を有して透過型の液晶表示装置として用いうるものである。
【００４２】
なお図５の如く、上面１１に光出射手段を有する導光板１を用いた面光源装置２における導光板の上面側に透過型の液晶セル３２が配置される。従って導光板は、光出射手段の形成面側が液晶セル側として配置され、その場合に導光板の裏面側、すなわち液晶セルを配置しない側に反射層等の光反射手段を配置することで透過型の液晶表示装置を形成することができる。
【００４３】
前記した図例の如く液晶表示装置は、面光源装置と液晶セルを少なくとも用いて、その液晶セルを面光源装置における導光板１の所定面側に配置することにより形成される。その場合、面光源装置をフロントライトに用いる反射型の液晶表示装置では、図４の如く裏面に反射層３４を具備する液晶表示ユニット３の視認側に面光源装置２がその導光板１の光出射手段形成面が上側（視認側）となるように配置される。
【００４４】
従ってフロントライトシステムによる反射型の液晶表示装置では、面光源装置の導光板と反射層との間に少なくとも液晶セルの液晶層が位置して、導光板の光出射手段形成面が視認側となるように配置することが必須とされる。その視認は、外部より面光源装置の導光板における光出射手段間からなる部分１１ａを透過した外光又は点灯時の導光板による出射光が液晶セルを透過して反射層で反転し、その反転光が再度液晶セルを透過した後、導光板における当該部分１１ａを透過することにより行われる。なお前記の反射層は、セル基板に付設するなどして液晶セル内に設けることもできる。
【００４５】
一方、図５の如く面光源装置をバックライトに用いる透過型である本発明の液晶表示装置では、液晶セルの裏面（視認背面）側に面光源装置の導光板が配置され、視認側に光出射手段形成面を有する導光板を用いるときや反射・透過両用で用いるときには液晶セルと反射層の間に面光源装置の導光板が配置される。それらの場合、上記したように面光源装置はその導光板の光出射手段形成面側を図例の如く液晶セル側として配置される。
【００４６】
図例の如く導光板の光出射手段形成面側を液晶セル側として光出射面に配置した反射層を介し反転させる方式は、上記したように光出射手段から液晶セルに入射するまでの光路長を増大させて光出射手段による輝線パターンを緩和でき、図例とは反対に導光板の光出射面側を液晶セル側として配置する方式に比べモアレ等の表示不良の発生を抑制できる利点などがある。
【００４７】
前記した透過型液晶表示装置による視認は、面光源装置による出射光が反射層による反転を介し液晶セルに入射して透過することにより行われる。また反射・透過両用の液晶表示装置による視認は、透過モードでは前記の透過型に準じ、反射モードでは外光が液晶セルを透過して導光板裏面の反射層で反転し、その反転光が再度導光板における光出射手段間からなる部分１１ａと液晶セルを透過することにより行われる。
【００４８】
液晶表示装置は一般に、前記図４、図５の如く液晶シャッタとして機能する透明電極具備の液晶セル３２とそれに付随の駆動装置や偏光板等からなる液晶表示ユニット、必要に応じ点灯／消灯の切り替えスイッチを組み込んだバックライト又はフロントライト及び必要に応じての光拡散層４や反射層５、反射防止層や補償用位相差板等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成される。
【００４９】
本発明においては上記した導光板ないし面光源装置を用いる点を除いて特に限定はなく、図例の如く従来に準じて形成することができる。従って用いる液晶セルについては特に限定はなく、例えば液晶の配向形態に基づく場合、ＴＮ液晶セルやＳＴＮ液晶セル、垂直配向セルやＨＡＮセル、ＯＣＢセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用いうる。また液晶の駆動方式についても特に限定はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な駆動方式であってよい。
【００５０】
なお図４、図５において液晶セル３２は、セル基板の間に液晶層を封入してなるがその場合、セル基板に本発明による導光板を兼ねさすこともできる。また図例では、透明電極とそれに付随の駆動装置の記入を省略している。
【００５１】
液晶セル表裏の一方又は両方に設ける偏光板についても特に限定はないが、高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比の表示を得る点などより、特にバックライト側やフロントライト側の偏光板として、例えばヨウ素系や染料系の吸収型直線偏光子などの如く偏光度の高いものを用いることが好ましい。
【００５２】
反射層についても、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従来に準じた適宜な反射層として形成することができる。液晶セルの内部に反射層を設ける場合、その反射層としては前記の高反射率金属等の高導電性材料にて電極パターンを形成する方式や、高反射率金属膜で形成した反射層の上に絶縁層を介して透明電極パターンを設ける方式などによる反射層が好ましい。
【００５３】
なお反射型液晶表示装置における反射層は、例えばプラスチックフィルム上に高反射率金属膜からなる反射層を設けたものなどとして液晶セルの外側に設けることもできる。また透過型液晶表示装置の場合には、そのバックライトを形成する導光板に直接付設することもできる。その反射層は、上記に例示の適宜な方式で導光板の光出射面に設けられる。
【００５４】
液晶表示装置の形成に際しては、上記の如く例えば視認側の表面に設けるアンチグレア層や反射防止膜、あるい光拡散板や補償用位相差板、偏光分離板や光路制御等を目的としたプリズムシートなどの適宜な光学素子を適宜な位置に配置することができる。なお反射防止膜は、導光板の光出射面などにも設けることができる。
【００５５】
前記の補償用位相差板は、複屈折の波長依存性などを補償して視認性の向上等をはかることを目的とするものであり、視認側又は／及びバックライト側の偏光板と液晶セルの間等に必要に応じて配置される。補償用位相差板としては、波長域などに応じて適宜なものを用いることができる。その位相差板は、例えばポリカーボネートやポリスルホン、ポリエステルやポリメチルメタクリレート、ポリアミドやポリビニールアルコール等からなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性シートや液晶ポリマー配向層の支持シートなどとして得ることができ、それら位相差シートを２層以上重畳したものなどとして形成することもできる。
【００５６】
また光拡散層は、明暗ムラの防止による明るさの均等な面発光を得るためや隣接光線の混交によるモアレの低減などを目的に、必要に応じて液晶表示装置の適宜な位置に１層又は２層以上配置するものである。ちなみに図５の例では、導光板１と液晶表示ユニット３の間に光拡散層４が配置されている。なお導光板出射光の指向性の維持などの点よりは、拡散範囲の狭い拡散層が好ましく用いうる。
【００５７】
光拡散層は、上記した光出射面の微細凹溝に準じて、例えば低屈折率の透明樹脂中に高屈折率の透明粒子を分散させて塗布硬化させる方式や気泡を分散させた透明樹脂を塗布硬化させる方式、基材表面を溶媒を介し膨潤させてクレイズを発生させる方式や不規則な凹溝面を有する透明樹脂層を形成する方式、あるいは前記に準じて形成した拡散シートを用いる方式などの適宜な方式で形成することができる。
【００５８】
なお透過型液晶表示装置の形成に際しては、輝度の向上を目的に面光源装置と偏光板の間に偏光分離板を配置することもできる。偏光分離板は、例えばコレステリック液晶相を有する層、就中コレステリック相を呈する液晶ポリマーからなる層を有するシートや、透明基板上に誘電体の多層膜を設けたものなどの如く、自然光を透過と反射を介して偏光に分離する機能を有するものである。ちなみに、コレステリック液晶相によれば透過と反射を介して左右の円偏光に分離でき、前記誘電体の多層膜によれば透過と反射を介してＰ波とＳ波の直線偏光に分離することができる。また円偏光は、１／４波長板を介して直線偏光に変換することができる。
【００５９】
そのため偏光分離板を透過した偏光を偏光軸を可及的に一致させて偏光板に入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制できて輝度の向上を図りうる。また図５の如く裏面に反射層５を設けた導光板１からなる面光源装置では、前記の偏光分離板で反射された偏光を反射層５で反転させて偏光分離板に再入射させることにより反転光の一部又は全部を透過させることができ、その光利用効率の向上により輝度の向上を図りうる。
【００６０】
本発明において、上記した面光源装置や液晶表示装置を形成する導光板や液晶セルや偏光板等の光学素子ないし部品は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点よりは、固着状態にあることが好ましい。その固着密着処理には、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができる。
【００６１】
【実施例】
参考例１
ポリメチルメタクリレートからなる長方形の同厚平板の上面をダイヤモンドバイトで切削することにより、左右方向及び前後方向に光出射手段を各入射側面に平行に形成して導光板を得た。この導光板は、左右方向３８mm、前後方向２５mm、肉厚１mmであり左右及び前後方向の入射側面に突出長３mmの透明部分を有し、左右方向の入射側面が前後方向の前側に位置し、前後方向の入射側面が左右方向の右側に位置するものからなる。
【００６２】
また前記した左右方向の光出射手段は、２６０μmの一定ピッチによるプリズム状凹溝の繰返し構造よりなり、入射側面に対面する伝送光反射面の傾斜角が４３度で、その対向面の傾斜角が６２度であり、伝送光反射面の下面に対する投影幅が１０〜１６μmで、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が１０倍以上のものからなる。
【００６３】
また前後方向の光出射手段は、３１０μmの一定ピッチによるプリズム状凹溝の繰返し構造よりなり、入射側面に対面する伝送光反射面の傾斜角が４３度で、その対向面の傾斜角が６２度であり、伝送光反射面の下面に対する投影幅が９〜１６μmで、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が１２倍以上のものからなる。
【００６４】
次に前記の導光板における左右方向の入射側面に幅４２mm、奥行２．５mm、厚さ１．５mmの直方体からなる有効発光幅４１mmの線状導光板の左右両面に緑色と赤色の発光ダイオードを１個ずつ設けて色別に直流電源と接続した光源１を配置し、前後方向の入射側面に幅２９mm、奥行２．５mm、厚さ１．５mmの直方体からなる有効発光幅２８mmの線状導光板の前後両面に赤色発光ダイオードを１個ずつ設けて直流電源と接続した光源２を配置して面光源装置を得た。
【００６５】
ついで前記の面光源装置における導光板の下面側に反射型のツイストネマチック系液晶表示ユニットを配置して、フロントライト式の反射型液晶表示装置を得た。なお視認は、光出射手段を形成した導光板の上面側を介して行われる。
【００６６】
参考例２
左右方向の光出射手段を左右方向の入射側面に対してそのプリズム状凹溝の稜線が右上がりに１４度の傾斜角となるように形成し、前後方向の光出射手段を前後方向の入射側面に対してそのプリズム状凹溝の稜線が１４度の傾斜角で前側に上がるように形成したほかは参考例１に準じて導光板と面光源装置と反射型液晶表示装置を得た。
【００６７】
なお前記光出射手段の傾斜化の結果、左右方向の光出射手段ではその伝送光反射面の下面に対する投影幅が１０〜１８μmに変化し、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が８倍以上に変化した。また前後方向の光出射手段では、伝送光反射面の下面に対する投影幅が９〜１８μmに変化し、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が１０倍以上に変化した。
【００６８】
実施例１
参考例２で得た面光源装置の下面側に銀蒸着の反射板を配置し、かつ上面側に透過型のツイストネマチック系液晶表示ユニットを配置して、バックライト式の透過型液晶表示装置を得た。
【００６９】
比較例１
傾斜角４３度の二等辺三角形からなるプリズム状凹溝を２６０μmの一定ピッチによる繰返し構造で左右方向の入射側面に平行な光出射手段を形成し、前後方向の光出射手段を省略したほかは参考例１に準じて導光板と面光源装置と反射型液晶表示装置を得た。なお導光板における光出射手段は、その下面に対する投影幅が１２μmで、プリズム状凹溝のピッチ間における上面部分／プリズム状凹溝の下面に対する投影幅比が８倍以上であった。
【００７０】
比較例２
比較例１で得た面光源装置をその導光板の上下面を逆転させて配置し、その光出射手段形成面（元上面）の下側に白色ポリエステルフィルムからなる反射板を配置し、かつ光出射面側（元下面側）に拡散板を介して透過型のツイストネマチック系液晶表示ユニットを配置して、バックライト式の透過型液晶表示装置を得た。
【００７１】
比較例３
サンドブラスト加工による粗面を光出射手段として片面に有する導光板を用いたほかは比較例２に準じて面光源装置と透過型液晶表示装置を得た。なお導光板の粗面が下側となるように配置した。
【００７２】
比較例４
比較例１による面光源装置を用いたほかは実施例１に準じて透過型液晶表示装置を得た。
【００７３】
比較例５
比較例３による面光源装置を用いたほかは実施例１に準じて透過型液晶表示装置を得た。
【００７４】
評価試験１
参考例、実施例、比較例で得た反射型又は透過型の液晶表示装置について、液晶セルを電圧無印加の状態で光源１又は光源２を点灯させ、装置中央部、点灯側の入射部及びその対向部における正面輝度を輝度計（トプコン社製、ＢＭ７）にて調べた。その結果を次表に示した。なお光源１は緑光による。
【００７５】
正面輝度（cd／m ２ ）
光 源 １ 光 源 ２
入射部 中央部 対向部 入射部 中央部 対向部
参考例１ ２３ ２５ ２６ １３ １４ １４
参考例２ ２２ ２４ ２６ １２ １２ １４
実施例１ ３５ ３６ ３４ １７ １７ １５
比較例１ ２６ ２２ １８ １５ １１ ８
比較例２ ４５ ３１ ２７ ２２ １６ １３
比較例３ ３０ ２５ ２２ １７ １４ １０
比較例４ ３９ ３２ ２９ ２０ １６ １３
比較例５ ２５ ２３ １８ １２ １２ １１
【００７６】
評価試験２
参考例、実施例、比較例で得た反射型又は透過型の液晶表示装置について外観観察を行った結果、実施例では全面にわたり均一で明るい発光状態が得られたが、比較例では入射部で強く発光して対向部に向かい輝度が大きく低下して発光の均一性に劣り、特に比較例３、５の拡散式のものでは実施例に比べ輝度が大きく劣っていた。また実施例では、参考例に対してもさらに輝度が優れていた。
【００７７】
また実施例では、光源１による緑と赤の発光色の変換、及び光源の１と２による緑と赤の発光色の変換が可能であり均一で明るい発光状態が得られた。さらに光源の１と２による赤発光では単灯の場合よりも輝度に優れて均一でより明るい発光状態が得られた。しかし比較例では発光ムラで見にくかった。以上より本発明によれば発光色の切り替えが可能で、表示特性に優れるバックライト式の透過型の液晶表示装置を形成できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図１】導光板例の平面説明図
【図２】他の導光板例の平面説明図
【図３】導光板における光出射手段例の側面説明図
【図４】フロントライト式の反射型液晶表示装置例の説明図
【図５】バックライト式の透過型液晶表示装置例の説明図
【符号の説明】
１：導光板
１１：上面（光出射手段形成面）
Ａ、Ｂ：光出射手段（Ａ１：伝送光反射面）
１２：下面（光出射面） １３ａ、ｂ：入射側面
１５ａ、ｂ：透明体による突出部
２：面光源装置（２１：光源）
３：液晶表示ユニット
３１、３３：偏光板 ３２：液晶セル ３４：反射層
４：光拡散層 ５：反射層
Claims (5)
- 導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に沿う方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有することを特徴とする透過型の液晶表示装置。
- 導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に対して傾斜した方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、各入射側面に対して設けた前記光出射手段における前記プリズム状凹溝の稜線が４０度以上の角度で交差し、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有することを特徴とする透過型の液晶表示装置。
- 導光板は、上面と下面とその上下面間の側面からなる２面の入射側面を少なくとも有する板状体よりなり、その２面の入射側面が板状体の左右方向と前後方向の側面からなり透明体にて突出形成されると共に、前記上面に各入射側面からの入射光を下面に出射するための光出射手段を有して、その光出射手段が伝送光反射面とその対向面からなり各入射側面に対して傾斜した方向の稜線を有するプリズム状凹溝の８０μm〜１mmの一定ピッチによる繰返し構造よりなり、左右方向の入射側面に対して設けた前記光出射手段における前記プリズム状凹溝の稜線がその左右方向の入射側面を基準に前後方向の入射側面側より他端側に遠離る方向に傾斜すると共に、前後方向の入射側面に対して設けた前記光出射手段における前記プリズム状凹溝の稜線がその前後方向の入射側面を基準に左右方向の入射側面側より他端側に遠離る方向に傾斜し、前記伝送光反射面が前記下面の基準平面に対し傾斜角３０〜４３度で入射側面に対面し当該基準平面に対する投影幅が３〜４０μmの斜面からなると共に、前記対向面が当該基準平面に対する傾斜角４０度以上の斜面よりなり、前記導光板の各入射側面に光源を配置してなる面光源装置における当該導光板の上面側に透過型の液晶セルを有し、かつ前記導光板の下面側に光反射手段を有することを特徴とする透過型の液晶表示装置。
- 請求項１〜３の一の液晶表示装置において、点灯・消灯を切り替えうる異色発光の光源が配置された面光源装置を用いてなる液晶表示装置。
- 請求項１〜４の一の液晶表示装置において、光源が点状光源とそれからの入射光を線状光源に変換する線状導光板からなる線状光源である面光源装置を用いてなる液晶表示装置。
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