JP2001141931A - 導光板、面光源装置及び反射型液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 消灯時及び点灯時の視認におけるコントラス
トに優れ、表示の明るさや明瞭性に優れる反射型液晶表
示装置を形成しうるフロントライトシステム用の導光板
及び面光源装置の開発。 【解決手段】 入射側面（１ｃ）からの入射光を、上面
（１ａ）に形成したプリズム状凸凹の繰返し構造よりな
る光出射手段を介して下面（１ｂ）より出射し、かつ下
面からの入射光が上面より透過する屈折率が１．５１〜
１．５５の板状物（１）からなり、前記の下面側で形成
された情報光を上面側より透視するための導光板
（１）、その導光板の入射側面に光源（２１）を配置し
てなる面光源装置（２）及び前記の導光板又は面光源装
置における導光板の下面側に、反射層（３１）を有する
液晶セル（３）を配置してなる反射型液晶表示装置。 【効果】 導光板表面での漏れ光や外光の反射光と導光
板の光出射効率等のバランスに優れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、光の利用効率に優れて明
るくて見易い反射型液晶表示装置を形成しうる導光板及
び面光源装置に関する。

【０００２】

【発明の背景】反射型液晶表示装置の暗部等での視認を
可能とする面光源装置が求められている中、本発明者は
透過型液晶表示装置に用いられているバックライト式面
光源装置を液晶セルの視認側に配置するフロントライト
システムの適用を試みた。かかるバックライト式面光源
装置は、側面からの入射光を光出射手段を介し上下面の
一方より出射する導光板を使用したものである。

【０００３】しかしながらフロントライトシステムでは
その導光板を介して表示内容を視認することとなるた
め、従来のバックライト用導光板による面光源装置で
は、点灯時及び消灯による外光時におけるコントラスト
に乏しくて表示が見にくい問題点があった。かかるコン
トラスト不足は、導光板表面での漏れ光や外光の反射光
と表示光との重なり、導光板よりの低い光出射効率によ
るところが大きい。

【０００４】

【発明の技術的課題】本発明は、消灯時及び点灯時の視
認におけるコントラストに優れ、表示の明るさや明瞭性
に優れる反射型液晶表示装置を形成しうるフロントライ
トシステム用の導光板及び面光源装置の開発を課題とす
る。

【０００５】

【課題の解決手段】本発明は、入射側面からの入射光
を、上面に形成したプリズム状凸凹の繰返し構造よりな
る光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面からの
入射光が上面より透過する屈折率が１．５１〜１．５５
の板状物からなり、前記の下面側で形成された情報光を
上面側より透視するためのものであることを特徴とする
導光板、及びその導光板の入射側面に光源を配置してな
ることを特徴とする面光源装置、並びに前記の導光板又
は面光源装置における導光板の下面側に、反射層を有す
る液晶セルを配置してなることを特徴とする反射型液晶
表示装置を提供するものである。

【０００６】

【発明の効果】本発明によれば、消灯時及び点灯時の視
認におけるコントラストに優れ、表示の明るさや明瞭性
に優れる反射型液晶表示装置を形成しうるフロントライ
トシステム用の導光板及び面光源装置を得ることができ
る。これは導光板の屈折率を１．５１〜１．５５として
導光板表面での漏れ光や外光の反射光と導光板の光出射
効率等をバランスさせたことによる。

【０００７】すなわち、屈折率１．４８５のポリメチル
メタクリレートの如き屈折率の小さい材料で導光板を形
成した場合には、点灯時の表示で光の出射効率に乏しく
表面よりの漏れ光も多くて表示が暗くコントラスト不足
を生じやすく、屈折率１．５９のポリカーボネートの如
き屈折率の大きい材料で導光板を形成した場合には、外
光による表示で表示光と重複する表面反射が大きくて表
示が暗くなりコントラスト不足を生じやすいが、屈折率
１．５１〜１．５５の導光板とすることにより表示光と
重複する表面反射を抑制できて外光による表示でのコン
トラスト不足を防止できると共に、伝送光が全反射する
角度範囲も大きくて光の出射効率を向上でき、かつ表面
での漏れ光も抑制できて点灯時の表示においてもコント
ラスト不足を防止することができる。

【０００８】また導光板の光出射手段を所定傾斜角範囲
とした短辺面と長辺面からなるプリズム状凸凹の繰返し
構造にて形成した場合には、垂直指向性に優れる出射光
を提供する導光板を得ることができて液晶セルに垂直な
正面方向での光量に優れて点灯時により明るい表示を達
成でき、導光板を介した表示像も乱れにくくて、フロン
トライトシステム用の光の利用効率に優れる面光源装置
及び表示品位に優れる反射型液晶表示装置を得ることが
できる。

【０００９】

【発明の実施形態】本発明による導光板は、入射側面か
らの入射光を、上面に形成したプリズム状凸凹の繰返し
構造よりなる光出射手段を介して下面より出射し、かつ
下面からの入射光が上面より透過する屈折率が１．５１
〜１．５５の板状物からなり、前記の下面側で形成され
た情報光を上面側より透視するためのものである。また
面光源装置は、前記導光板の入射側面に光源を配置して
なり、反射型液晶表示装置は前記の導光板又は面光源装
置における導光板の下面側に、反射層を有する液晶セル
を配置してなる。図１にその反射型液晶表示装置の例を
示した。１が導光板、２が面光源装置で、２１が光源、
３が液晶表示パネルで、３１が反射層である。

【００１０】導光板としては図例の如く、プリズム状凸
凹の繰返し構造よりなる光出射手段を形成した上面１
ａ、それに対向する下面１ｂ及び上下面間の側面からな
る入射側面１ｃを有する屈折率が１．５１〜１．５５の
板状物よりなるものが用いられる。板状物は、図例の如
く同厚型のものであってもよいし、入射側面に対向する
対向端１ｄの厚さを入射側面のそれよりも薄くした楔形
等の形態を有するものであってもよい。対向端の薄型化
は、軽量化や上面の光出射手段への入射側面からの入射
光の入射効率の向上などの点より有利である。

【００１１】導光板の上面に形成するプリズム状凸凹の
繰返し構造よりなる光出射手段は、入射側面からの入射
光をその光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面
からの入射光を上面より透過させる特性を示す適宜なも
のにて形成することができる。入射側面からの入射光を
上面を介して下面より指向性よく効率的に出射させ、か
つ下面からの入射光を上面より散乱なく効率よく透過さ
せる点などよりは、入射側面と対面する斜面を有する光
出射手段、就中、下面の基準平面に対する傾斜角が３０
〜４５度の斜面と１０度以下の平坦面からなるプリズム
状凸凹の繰返し構造からなる光出射手段が好ましい。

【００１２】前記プリズム状凸凹の繰返し構造は、等辺
面からなる凸部又は凹部にても形成しうるが、光の利用
効率や前記した下面よりの出射光を反射層で反転させて
上面より正面（垂直）方向に指向性よく出射させる点な
どより特に好ましい凹凸構造は、図２の例の如く下面１
ｂの基準平面１ｅに対する傾斜角が３０〜４５度で入射
側面１ｃの側よりその対向端１ｄの側に下り傾斜する短
辺面１１ａ（θ_１）と、当該傾斜角が０〜１０度の長辺
面１１ｂ（θ_２）からなるプリズム状凸凹の繰返し構造
よりなるものである。なお凸部又は凹部は、短辺面及び
長辺面等とその形成面との交点を結ぶ直線に基づき、短
辺面及び長辺面等の交点（頂点）が当該直線よりも突出
しているか（凸）、窪んでいるか（凹）による。

【００１３】前記のプリズム状凸凹において短辺面１１
ａは、側面よりの入射光の内その面に入射する光を反射
して下面１ｂに供給する役割をする。その場合、短辺面
の傾斜角θ_１を３０〜４５度とすることにより伝送光を
下面に対し垂直性よく反射し、出射光の最大強度の方向
を下面の法線方向の３０度以内に制御できて、ひいては
図１による反射層３１を介して正面への指向性に優れる
出射光（照明光）を効率よく得ることができ、明るい表
示を達成することができる。

【００１４】反射型液晶セルの反射層による反射特性を
正規分布型としたとき、正面への指向性に基づいて正面
方向での明るい表示を達成する点より、短辺面の好まし
い傾斜角θ_１は、導光板内部を伝送される光の効率的な
全反射などの点より３２〜４４度、就中３３〜４３度、
特に３５〜４２度である。

【００１５】なお全反射条件を満足せずに短辺面を透過
して漏れ光となる一部の光は、正面方向に対し６０度以
上の大きい角度で出射して正面方向近傍の視認に影響し
にくいが、傾斜角θ_１が４５度を超えると上面１ａより
の漏れ光が増大しやすくなり光利用効率の点で不利とな
る。また傾斜角θ_１が３０度未満では出射光の最大強度
の方向が下面の法線方向に対し３０度を超えて正面方向
の視認に不利となり、導光板の下面で全反射されて下面
より出射できない光が増大し、それが上面よりの漏れ光
等なって表示品位を低下させやすい。

【００１６】一方、長辺面１１ｂは、それに入射する伝
送光を反射して短辺面に供給すると共に、前記した短辺
面による反射光を反射層３１を介し反転させて上面１ａ
より透過させること、及び反射モードでの外光を入射さ
せてそれを反射層３１を介し反射させて上面１ａより透
過させることを目的とする。かかる点より下面の基準平
面１ｅに対する長辺面の傾斜角θ_２は、０〜１０度であ
ることが好ましい。

【００１７】長辺面の当該傾斜角θ_２は０度（水平面）
であってもよいが、０度超とすることで長辺面に入射し
た伝送光を反射して短辺面に供給する際に伝送光を平行
光化することができ、短辺面を介した反射光の指向性を
高めることができて、表示に有利となる。

【００１８】一方、当該傾斜角が１０度を超えると長辺
面への入射率が低下して対向端側への光供給が不足し発
光が不均一化しやすくなり、屈折による光路変更も大き
くなって正面方向の光量が低下し表示に不利となる。ま
た導光板の断面形状においても対向端側の薄型化が困難
となり、プリズム状凹凸への入射光量も減少して発光効
率も低下しやすくなる。

【００１９】伝送光の平行光化による出射光の集光化や
正面方向の光量増加、漏れ光の抑制等の前記性能などの
点より長辺面の好ましい傾斜角θ_２は、８度以下、就中
５度以下である。上記の如く短辺面と長辺面の当該傾斜
角を調節することにより、出射光に指向性をもたせるこ
とができ、それにより下面に対して垂直方向ないしそれ
に近い角度で光を出射させることが可能になる。

【００２０】導光板の長辺面を介した表示像の視認性な
どの点より好ましい長辺面は、その傾斜角θ_２の角度差
を導光板の全体で５度以内、就中４度以内、特に３度以
内としたものであり、最寄りの長辺面間における傾斜角
θ_２の差を１度以内、就中０．３度以内、特に０．１度
以内としたものである。これにより透過する長辺面の傾
斜角θ_２の相違等により表示像が受ける影響を抑制する
ことができる。長辺面による透過角度の偏向が場所によ
って大きく相違すると不自然な表示像となり、特に近接
画素の近傍における透過像の偏向差が大きいと著しく不
自然な表示像となりやすい。

【００２１】前記した傾斜角θ_２の角度差は、長辺面の
傾斜角が上記した１０度以下にあることを前提とする。
すなわち、かかる小さい傾斜角θ_２として長辺面透過時
の屈折による表示像の偏向を抑制して許容値内とするこ
とを前提とするものであり、これは観察点を垂直方向近
傍に設定して最適化した液晶表示装置の最適視認方向を
変化させないことを目的とする。

【００２２】前記において表示像が偏向されると最適視
認方向が垂直方向近傍からズレると共に、表示像の偏向
が大きいと導光板上面からの漏れ光の出射方向に近付い
てコントラストの低下などその影響を受けやすくなる場
合もある。なお長辺面の傾斜角θ_２を１０度以下とする
条件には、透過光の分散等の影響も無視できる程度のも
のとすることなども含まれている。

【００２３】また明るい表示像を得る点よりは、外光の
入射効率に優れ、液晶セルによる表示像の透過光率ない
し出射効率に優れるものが好ましい。かかる点より、下
面の基準平面に対する長辺面の投影面積が短辺面のそれ
の５倍以上、就中１０倍以上、特に１５倍以上のプリズ
ム状凹凸とすることが好ましい。これにより、液晶セル
による表示像の大部分を長辺面を介して透過させること
ができる。

【００２４】なお液晶セルによる表示像の透過に際し
て、短辺面に入射した表示像は入射側面側に反射されて
上面より出射しないか、下面に対する法線を基準に長辺
面透過の表示像とは反端側の大きく異なる方向に偏向さ
れて出射し、長辺面を介した表示像に殆ど影響を及ぼさ
ない。よって表示光の透過不足で不自然な表示となるこ
とを防止する点などより、画素と短辺面がオーバーラッ
プする面積を小さくして長辺面を介した充分な光透過率
を確保することが好ましい。

【００２５】一般に液晶セルの画素ピッチは１００〜３
００μmであることを鑑みた場合、前記の点より短辺面
は、下面の基準平面に対する投影幅に基づいて４０μm
以下となるように形成されていることが好ましい。なお
短辺面の投影幅が小さくなるほどその形成に高度な技術
が必要となり、プリズム状凹凸の頂部が一定以上の曲率
半径からなる丸みをもつと散乱効果が現れて表示像の乱
れの原因となりやすく、また一般に蛍光管のコヒーレン
ト長が２０μm程度とされている点などよりも短辺面の
投影幅が小さくなると回折等による表示品位の低下原因
となりやすいことなどより、特に好ましい短辺面の投影
幅は１〜２０μm、就中５〜１５μmである。

【００２６】前記の点より短辺面の間隔は大きいことが
好ましいが、一方で短辺面は上記したように側面入射光
の実質的な出射機能部分であるから、その間隔が広すぎ
ると点灯時の照明が疎となってやはり不自然な表示とな
る場合があり、それらを鑑みた場合、図２に例示した如
くプリズム状凸凹の繰返しピッチＰは、５０μm〜１．
０mmとすることが好ましい。なおピッチは、一定であっ
てもよいし、例えばランダムピッチや所定数のピッチ単
位をランダム又は規則的に組合せたものなどの如く不規
則であってもよい。

【００２７】プリズム状凹凸からなる光出射手段の場
合、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合があ
る。モアレの防止は、プリズム状凹凸のピッチ調節で行
いうるが、上記したようにプリズム状凹凸のピッチには
好ましい範囲がある。従ってそのピッチ範囲でモアレが
生じる場合の解決策が問題となる。

【００２８】本発明において前記モアレの解決策として
は、画素に対してプリズム状凹凸を交差状態で配列しう
るように、プリズム状凹凸を入射側面１ｃの基準平面に
対し傾斜状態に形成してモアレを防止する方式が好まし
い。その場合、傾斜角が大きすぎると短辺面を介した反
射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、
導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きく
なって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となり
やすい。

【００２９】前記の点より入射側面の基準平面に対する
プリズム状凸凹の配列方向、すなわちプリズム状凹凸の
稜線方向の傾斜角は、±３０度以内、就中±２８度以
内、特に±２５度以内とすることが好ましい。なお、±
の符号は入射側面を基準とした傾斜の方向を意味する。
液晶セルの解像度が低くてモアレを生じない場合やモア
レを無視しうる場合には、プリズム状凸凹の配列方向は
入射側面に平行なほど好ましい。

【００３０】導光板は、上記したように適宜な形態とす
ることができる。楔形等とする場合にもその形状は適宜
に決定でき、直線面や曲面などの適宜な面形状とするこ
とができる。また光出射手段を形成する斜面やプリズム
状凹凸も直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態に形
成されていてよい。

【００３１】さらにプリズム状等の凹凸は、ピッチに加
えて形状等も異なる凹凸の組合せからなっていてもよ
い。加えてプリズム状等の凹凸は、稜線が連続した一連
の凸部又は凹部として形成されていてもよいし、所定の
間隔を有して稜線方向に不連続に配列した断続的な凸部
又は凹部として形成されていてもよい。

【００３２】導光板における下面や入射側面の形状につ
いては、特に限定はなく、適宜に決定してよい。一般に
は可及的に平滑でフラットな下面及びその下面に対して
垂直な入射側面とされる。入射側面については、例えば
湾曲凹形などの光源の外周等に応じた形状として、入射
効率の向上をはることもできる。さらに光源との間に介
在する導入部を有する入射側面構造などとすることもで
きその導入部は、光源などに応じて適宜な形状とするこ
とができる。

【００３３】導光板は、光源の波長域に応じそれに透明
性を示す、例えばノルボルネン系樹脂やポリエステル系
樹脂、変性ポリカーボネート系樹脂やメタクリル酸・ス
チレン共重合体などの屈折率が１．５１〜１．５５の材
料にて形成される。かかる屈折率の導光板とすることに
より、光の出射効率の向上と表面反射損とをバランスさ
せることができる。

【００３４】ちなみに前記において屈折率１．４８５、
表面反射率３．８１％のポリメチルメタクリレートから
なる導光板を基準とした場合、屈折率１．５１では表面
反射率が４．１３％となって正面輝度が約１０％向上
し、屈折率１．５５では表面反射率が４．６５％となっ
て正面輝度が約２５％向上する。しかし屈折率が１．５
８となると正面輝度が約３０％向上しても表面反射率が
５．１２％となり輝度の向上率よりも反射損の向上率が
大きくなって外光による表示と導光板の照明光による表
示を両立させる点よりは不利となる。なお導光板は、複
屈折の可及的に小さいものが表示品位などの点より好ま
しい。

【００３５】導光板は、切削法にても形成でき、適宜な
方法で形成することができる。量産性等の点より好まし
い製造方法としては、熱可塑性樹脂を所定の形状を形成
しうる金型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱
溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動
化させた樹脂を所定の形状に成形しうる金型に充填する
方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状
樹脂を所定の形状を形成しうる型に充填ないし流延して
重合処理する方法などがあげられる。

【００３６】なお導光板は、例えば光の伝送を担う導光
部にプリズム状凹凸等の光出射手段（上面）を形成した
シートを接着したものの如く、同種又は異種の材料から
なる部品の積層体などとして形成されていてもよく、１
種の材料による一体的単層物として形成されている必要
はない。

【００３７】導光板の厚さは、使用目的による導光板の
サイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することが
できる。液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な
厚さは、その入射側面に基づき１０mm以下、就中０．１
〜５mm、特に０．３〜３mmである。また明るい表示を達
成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射
光、特に下面から上面への垂直入射光の全光線透過率が
９０％以上、就中９２％以上、特に９５％以上で、ヘイ
ズが３０％以下、就中１５％以下、特に１０％以下のも
のである。

【００３８】上記した導光板は、例えば図１の例の如く
導光板１の下面側で形成された情報光（３）をその導光
板の上面側より透視するためのサイドライト型のフロン
トライトの形成に用いられるものであり、それによれば
上面及び下面からの入射光が下面又は上面より良好に透
過し、それを用いて精度よく平行化された光を視認に有
利な垂直性に優れる方向に出射し、光源からの光を効率
よく利用して明るさに優れる面光源装置を形成すること
ができる。

【００３９】また上面よりの漏れ光が表示像と重複しに
くく、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに
優れ表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表
示像が乱れにくく明瞭性に優れて見やすく、表示品位に
優れる低消費電力の反射型液晶表示装置なども形成で
き、上記の導光板を用いて種々の装置を形成することが
できる。

【００４０】なお前記導光板の実用に際しては、図１に
例示した如く必要に応じて導光板の下面１ｂに反射防止
層１２を設けることもできる。かかる反射防止層は、上
記の如く約４．１〜４．７％程度となる下面での表面反
射の抑制を目的とし、その付設にて下面での戻り光等を
低減できて表示品位の向上を図ることができる。反射防
止層は、例えば誘電体、フッ素含有のポリマーや低密度
材料等による光学多層膜や屈折率層などの従来に準じた
適宜な透明層として形成することができる。

【００４１】好ましい反射防止層は、可視光域の全域で
反射防止を達成できるものであり、可視光域の中心波長
で視感度も高い水準にある波長５５０nmの光に基づいて
１．５％以下、就中１．０％以下の反射率であるものが
特に好ましい。なお反射防止層は、導光板の下面に塗布
方式や蒸着方式等の適宜な方式で直接設けられていても
よいし、反射防止層を透明基材で支持してそのシートを
導光板の下面に粘着層等の適宜な接着手段を介し接着す
る方式などにより設けられていてもよく、その形成方式
について特に限定はない。

【００４２】前記した面光源装置は、例えば図１の例の
如く導光板１の入射側面１ｃに光源２１を配置すること
により形成することができる。光源としては、適宜なも
のを用いうる。一般には例えば（冷，熱）陰極管等の線
状光源、発光ダイオード等の点状光源、その点状光源を
線状等に配列したアレイ体、あるいは点状光源を一定又
は不定間隔の線状発光状態に変換する装置を用いた線状
光源などが好ましく用いうる。低消費電力性や耐久性等
の点よりは、冷陰極管が特に好ましい。

【００４３】面光源装置の形成に際しては、必要に応じ
て図１に例示した如く光源２１からの発散光を導光板の
入射側面１ｃに導くために光源を包囲する光源ホルダ２
２などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすること
もできる。光源ホルダとしては、高反射率金属薄膜を付
設した樹脂シートや金属箔などが一般に用いられる。光
源ホルダを導光板の端部に接着剤等を介して接着する場
合には、その接着部分については光出射手段の形成を省
略することもできる。

【００４４】上記のように本発明による面光源装置は、
光の利用効率に優れて明るくて垂直性に優れる光を提供
し、大面積化等も容易であることより反射型液晶表示装
置等におけるフロントライトシステムなどとして種々の
装置に好ましく適用でき、明るくて見やすく低消費電力
の反射型液晶表示装置等を得ることができる。なお面光
源装置の点灯・消灯は適宜な方式にて行うことができ
る。

【００４５】図１に本発明による面光源装置２をフロン
トライトシステムに用いた反射型液晶表示装置を例示し
た。３が反射型の液晶表示パネルであり、３２が液晶
層、３３がセル基板でこれらが液晶セルを形成し、３４
が偏光板、３１が反射層である。反射型液晶表示装置
は、図例の如く面光源装置の光出射側、すなわち導光板
１の下面側に反射層を具備する液晶セルを配置すること
により形成することができる。

【００４６】反射型液晶表示装置は一般に、液晶シャッ
タとして機能する透明電極具備の液晶セルとそれに付随
の駆動装置、偏光板、フロントライト、反射層及び必要
に応じての拡散層や補償用位相差板等の構成部品を適宜
に組立てることなどにより形成される。本発明において
は、上記した導光板ないし面光源装置をフロント側に用
いて光出射手段を形成した導光板の上面側より視認する
点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成すること
ができる。なお図例では、透明電極の記入を省略してい
る。

【００４７】従って用いる液晶セルについては特に限定
はなく、例えば液晶の配向形態に基づく場合、ＴＮ液晶
セルやＳＴＮ液晶セル、垂直配向セルやＨＡＮセル、Ｏ
ＣＢセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホス
ト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用
いうる。また液晶の駆動方式についても特に限定はな
く、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリ
クス方式などの適宜な駆動方式であってよい。

【００４８】反射型液晶表示装置では、反射層の配置が
必須であるが、その配置位置については図１に例示の如
く液晶表示パネル３の外側に設けることもできるし、図
３に例示の如くセル基板３３に反射層３１を付設するな
どして液晶セルの内側に設けることもできる。その反射
層についは、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム
等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗
工層や蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層
や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従
来に準じた適宜な反射層として形成することができる。
また液晶セルの内部に設ける反射層は、例えば透明導電
膜などにて形成することができる。

【００４９】偏光板としては、適宜なものを用いうる
が、高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比
の表示を得る点などよりは、例えばヨウ素系や染料系の
吸収型直線偏光子などの如く偏光度の高いものが好まし
く用いうる。なお反射型液晶表示装置の形成に際して
は、例えば図３の例の如く拡散層３５や保護層、補償用
の位相差板などの適宜な光学素子を適宜に配置すること
ができる。その場合、拡散層としては表示像を乱さない
程度の弱い拡散能を示すものが好ましく用いられる。

【００５０】一方、前記した補償用位相差板は、複屈折
の波長依存性などを補償して視認性の向上等をはかるこ
とを目的とするものであり、視認側又は／及び背面側の
偏光板と液晶セルの間等に必要に応じて配置される。補
償用の位相差板としては、波長域などに応じて適宜なも
のを用いることができ、１層又は２層以上の位相差層の
重畳層として形成されていてもよい。

【００５１】本発明による反射型液晶表示装置の視認
は、面光源装置、特にその導光板の長辺面の透過光を介
して行われる。すなわち面光源装置の点灯時には、導光
板の下面より出射した光が偏光板と液晶層等を経由して
反射層を介し反射され、液晶層と偏光板等を逆経由して
導光板に至り長辺面を透過した表示像が視認される。そ
の場合、強い漏れ光は液晶セルに対して垂直な正面方向
とは角度が大きくズレた方向に出射し、正面方向に出射
する漏れ光は弱いことから長辺面を介して正面方向の近
傍で表示品位に優れる表示像を視認することができる。

【００５２】一方、面光源装置が消灯の外光を利用した
場合においても、導光板の上面の長辺面より入射した光
が偏光板や液晶層や反射層等を前記に準じ透過・逆経由
して導光板に至り、長辺面を透過した表示像が正面方向
の近傍で導光板による乱れ等が少ない表示品位に優れる
状態で視認することができる。

【００５３】上記した面光源装置や液晶表示装置を形成
する導光板や液晶セルや偏光板等の光学素子ないし部品
は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されてい
てもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。
界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点
よりは、固着状態にあることが好ましく、少なくとも面
光源装置における導光板の下面と液晶セルの上面が固着
密着状態にあることが好ましい。その固着密着処理に
は、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができ、
その透明接着層に透明粒子等を含有させて拡散機能を示
す接着層などとすることもできる。

【００５４】

【実施例】実施例１ 予め所定形状に加工した屈折率１．５１のノルボルネン
樹脂（ＪＳＲ社製）からなる板状物をダイヤモンドバイ
トにて切削して光出射手段を形成して導光板を得た。こ
の導光板は、幅４０mm、奥行２５mm、入射側面の厚さ１
mm、対向端の厚さ０．６mmであり、上面及び下面は平坦
で、上面に入射側面に平行なプリズム状凹凸を２１０μ
mのピッチで有し、短辺面の傾斜角が４２．５〜４３度
の範囲、長辺面の傾斜角が１．８〜３．５度の範囲で変
化し、最寄り長辺面の傾斜角変化が０．１度以内にあ
り、短辺面の下面に対する投影幅が１０〜１６μm、長
辺面／短辺面の下面に対する投影面積比が１２倍以上の
ものである。なおプリズム状凹凸は、入射側面より２mm
離れた位置より形成した。

【００５５】トリアセチルセルロースフィルムに５層の
誘電体多層膜からなる反射防止層を設けた波長５５０nm
の光の反射率が約０．２％の反射防止シートを前記導光
板の下面に粘着層を介し反射防止層側が外側となるよう
に接着した後、その入射側面に直径２mmの冷陰極管（ウ
エスト電気社製）を配置し、その冷陰極管を銀反射シー
トからなるホルダにて包囲し、かつホルダの端部を導光
板の上下面に接着して冷陰極管を固定し、インバータと
直流電源を接続して面光源装置を得た。光源は、その電
源のオン／オフを介して点灯／消灯を設定することがで
きる。

【００５６】次に前記の面光源装置における導光板の下
面側に白黒反射型のＴＮ型液晶パネルを配置して、反射
型液晶表示装置を得た。装置の駆動は、全画素をオン・
オフさせる方式のものである。

【００５７】実施例２ 屈折率１．５２のノルボルネン樹脂（日本ゼオン社製）
からなる板状物を用いたほかは実施例１に準じて導光
板、面光源装置及び反射型液晶表示装置を得た。

【００５８】実施例３ 屈折率１．５４のポリエステル樹脂からなる板状物を用
いたほかは実施例１に準じて導光板、面光源装置及び反
射型液晶表示装置を得た。

【００５９】比較例１ 屈折率１．４８のポリメチルメタクリレート樹脂からな
る板状物を用いたほかは実施例１に準じて導光板、面光
源装置及び反射型液晶表示装置を得た。

【００６０】比較例２ 屈折率１．５９のポリカーボネート樹脂からなる板状物
を用いたほかは実施例１に準じて導光板、面光源装置及
び反射型液晶表示装置を得た。

【００６１】評価試験１ 実施例、比較例で得た反射型液晶表示装置について、そ
の面光源装置を点灯状態として輝度計（トプコン社製、
ＢＭ７）により正面輝度を調べた。その結果を表１に示
した。

【００６２】 表１ 実施例１ 実施例２ 実施例３ 比較例１ 比較例２ 正面輝度(cd／ｍ^２) ４９ ５２ ５４ ４３ ５７ 輝度比率（％） １１４ １２１ １２６ １００*1 １３３ ＊１：標準

【００６３】評価試験２ ＳＴＮ反射型液晶表示パネルにライン状のパターンを表
示させて、その上に実施例、比較例で得た面光源装置を
導光板の上面が視認側となるように配置し、その面光源
装置の消灯時又は点灯時における表示状態の明瞭さを無
作為に選別した１０人の観察者にて５点を最高に５段階
評価した。

【００６４】前記の結果を表２に示した。なお表中、
「実」は実施例、「比」は比較例を意味し、「観」は観
察者を意味する。 表２ 消 灯 時 点 灯 時 実１ 実２ 実３ 比１ 比２ 実１ 実２ 実３ 比１ 比２ 観１ 4.5 4.5 ４ ５ ３ 4.5 ５ ５ ３ ４ 観２ ５ ４ ４ ５ ２ ４ ５ ５ ３ ５ 観３ ４ ４ ４ ５ ３ ５ ５ ５ ４ ４ 観４ ５ ５ ４ ５ ２ ４ ４ ５ ３ ５ 観５ 4.5 4.5 ４ ５ ３ ４ ４ ５ ３ 4.5 観６ ５ ４ ３ ５ ２ ３ ３ ４ ３ ５ 観７ ４ ４ ３ ５ ２ ４ ４ ５ ３ ５ 観８ 4.5 4.5 ４ ５ ３ 4.5 4.5 4.5 ４ ５ 観９ ４ ４ ４ ５ ３ ４ ４ ４ ４ ５ 観10 4.5 4.5 ４ ５ ３ ４ ４ ５ ３ 4.5

【００６５】前記の表２における評価点を集計した結果
を表３に示した。 表３ 実施例１ 実施例２ 実施例３ 比較例１ 比較例２ 消灯時 ４５ ４３ ３８ ５０ ２６ 点灯時 ４１ ４２．５ ４７．５ ３３ ４７ 合 計 ８６ ８５．５ ８５．５ ８３ ７３

【００６６】表１より実施例では、比較例１を基準に１
０％以上明るいことがわかる。また表２、表３より消灯
時には比較例１、実施例１，２、実施例３、比較例２の
順序で評価が下がり、点灯時には実施例３、比較例２、
実施例２，１、比較例１の順序で評価の下がることがわ
かる。なお消灯時の比較例２では全ての観察者が表面反
射で見ずらい評価であった。また点灯時において実施例
３、比較例２では殆どの観察者が明るい表示で見やすい
と評価し、比較例１では３人の観察者が特に斜視方向で
の上面からの漏れ光が多くて見にくいと評価し、比較例
２でも３人の観察者が表示が白っぽいと評価した。

【００６７】以上より、比較例１では外光モードはよい
が照明モードで表示品位が最も劣り、比較例２では照明
モードはよいが外光モードで表示品位が最も劣って外光
と照明の両モードでのバランスに劣り、実施例ではそれ
ら両モードのバランスに優れていることがわかる。従っ
て本発明により点灯時及び消灯時の両方で明るくて見や
すい表示の達成されていることがわかる。

【図面の簡単な説明】

【図１】反射型液晶表示装置例の側面説明図

【図２】導光板におけるプリズム状凹凸の側面説明図

【図３】他の反射型液晶表示装置例の側面説明図

【符号の説明】

１：導光板 １ａ：上面（１１ａ：短辺面、１１ｂ：長辺面） １ｂ：下面 １ｃ：入射側面 １２：反射防止層 ２：面光源装置（２１：光源） ３：液晶表示パネル ３１：反射層 ３２：液晶層 ３３：セル基板 ３４：
偏光板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2H038 BA06 2H042 CA12 CA17 2H091 FA08X FA23X FA31X FA37Z FA41X FA45X FB02 HA07 LA17

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入射側面からの入射光を、上面に形成し
   たプリズム状凸凹の繰返し構造よりなる光出射手段を介
   して下面より出射し、かつ下面からの入射光が上面より
   透過する屈折率が１．５１〜１．５５の板状物からな
   り、前記の下面側で形成された情報光を上面側より透視
   するためのものであることを特徴とする導光板。
2. 【請求項２】 請求項１において、光出射手段が短辺面
   と長辺面からなるプリズム状凸凹の５０μm〜１．０mm
   ピッチの繰返し構造よりなり、かつ前記短辺面が下面の
   基準平面に対し３０〜４５度の傾斜角で入射側面側より
   その対向端側に下り傾斜して当該基準平面に対する投影
   幅が４０μm以下の斜面からなると共に、前記長辺面が
   当該基準平面に対し０〜１０度の傾斜角範囲にあってそ
   の全体の角度差が５度以内であり、最寄り辺の傾斜角差
   が１度以内で、しかも当該基準平面に対する投影面積が
   短辺面のそれの５倍以上である斜面からなると共に、そ
   のプリズム状凹凸の稜線が入射側面の基準平面に対し±
   ３０度以内の傾斜範囲にある導光板。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、下面に反射防
   止層を設けてなる導光板。
4. 【請求項４】 請求項１〜３に記載した導光板の入射側
   面に光源を配置してなることを特徴とする面光源装置。
5. 【請求項５】 請求項１〜３に記載の導光板又は請求項
   ４に記載の面光源装置における導光板の下面側に、反射
   層を有する液晶セルを配置してなることを特徴とする反
   射型液晶表示装置。