JP4251592B2 - 面光源装置及び反射型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の技術分野】
本発明は、光の利用効率に優れて明るくて見易い反射型液晶表示装置を形成しうるフロントライトシステム用の面光源装置に関する。
【０００２】
【発明の背景】
反射型液晶表示装置の暗部等での視認を可能とする面光源装置が求められている中、本発明者は透過型液晶表示装置に用いられているバックライト式面光源装置を液晶セルの視認側に配置するフロントライトシステムの適用を試みた。かかるバックライト式面光源装置は、側面からの入射光を光出射手段を介し上下面の一方より出射する導光板を使用したものであり、フロントライトシステムではその導光板を介して表示内容を視認することとなる。
【０００３】
しかし従来のバックライト用導光板による面光源装置では、点灯時におけるコントラスト不足や消灯時における明るさ不足に加えて、導光板を介した表示像が著しく乱れて明瞭さに乏しく実用が困難な問題点があった。かかるコントラスト不足や表示の乱れは、拡散層等を介した表示光の散乱によるところが大きい。
【０００４】
前記に鑑みて本発明者は、散乱光の発生を抑制した面光源装置とし、それをフロントライトシステムに用いてコントラスト不足や表示乱れの防止を試みた。しかしながらその場合には、光の拡散による輝度の平準化効果が失われるため面光源装置に明暗差が発生し、暗部が形成されて表示像に部分的な欠落問題の生じることが判明した。
【０００５】
【発明の技術的課題】
本発明は、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに優れ、表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表示像が乱れにくくて明瞭性に優れ、かつ表示像の部分的な欠落を生じない反射型液晶表示装置を形成しうるフロントライトシステム用の面光源装置の開発を課題とする。
【０００６】
【課題の解決手段】
本発明は、入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面からの入射光が上面より透過する導光板の前記入射側面に、その面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源を配置してなり、前記導光板の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのフロントライトシステム用の面光源装置であり、
導光板における光出射手段が短辺面と長辺面からなるプリズム状凹凸の５０μ m 〜１．０ mm ピッチの繰返し構造よりなり、かつ前記短辺面が下面の基準平面に対し３０〜４５度の傾斜角で入射側面側よりその対向端側に下り傾斜する斜面からなると共に、前記長辺面が当該基準平面に対し０〜１０度の傾斜角範囲にあってその全体の角度差が５度以内であり、最寄りの長辺面間における傾斜角差が１度以内で、しかも当該基準平面に対する投影面積が短辺面のそれの５倍以上である斜面からなり、
導光板の光出射手段を形成するプリズム状凹凸の稜線が入射側面の基準平面に対し±３０度以内の傾斜範囲にあり、
入射側面に対するプリズム状凹凸の稜線の傾斜角をθ、入射側面と線状光源の先端面との間隔をｄとしたとき、導光板におけるプリズム状凹凸の稜線が線状光源より遠離る側に基づいてその端面よりも、線状光源の有効発光領域の端が式：１ mm ＋ｄ・ sin θ＋ｄ／２による算出値以上に突出した状態にある面光源装置、及びその面光源装置における下面側に、反射層を具備する液晶セルを有する反射型液晶表示装置を提供するものである。
【０００７】
【発明の効果】
本発明によれば、光の利用効率に優れ明るさの均一性に優れるフロントライトシステム用の面光源装置を得ることができ、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに優れ、表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表示像が乱れにくくて明瞭性に優れ、かつ暗部の発生による表示像の部分的な欠落問題を生じない表示品位に優れる反射型液晶表示装置を得ることができる。
【０００８】
【発明の実施形態】
本発明による面光源装置は、入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面からの入射光が上面より透過する導光板の前記入射側面に、その面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源を配置してなり、前記導光板の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのフロントライトシステム用のものである。図１にその面光源装置１の例を示した。１１が導光板、１２が線状光源である。なお図は反射型液晶表示装置としたものを示しており、２が液晶表示パネル、２１が反射層である。
【０００９】
導光板としては、入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射するものが用いられ、一般には図１に例示の如く上面１１ａ、それに対向する下面１１ｂ及び上下面間の側面からなる入射側面１１ｃを有する板状物よりなる。板状物は、図例の如く同厚型のものであってもよいし、入射側面に対向する対向端１１ｄの厚さを入射側面のそれよりも薄くした楔形等の形態を有するものであってもよい。対向端の薄型化は、軽量化や上面の光出射手段への入射側面からの入射光の入射効率の向上などの点より有利である。
【００１０】
導光板の上面に形成する光出射手段は、入射側面からの入射光を上面を介して下面より指向性よく効率的に出射させ、かつ下面からの入射光を上面より散乱なく効率よく透過させる点などよりは、入射側面と対面する斜面を有する光出射手段、就中、下面の基準平面に対する傾斜角が３０〜４５度の斜面と１０度以下の平坦面からなる凹凸の繰返し構造からなる光出射手段である。
【００１１】
前記凹凸の繰返し構造は、光の利用効率や前記した下面よりの出射光を反射層で反転させて上面より正面（垂直）方向に指向性よく出射させる点などより、図２の例の如く下面１１ｂの基準平面１１ｅに対する傾斜角（θ １ ）が３０〜４５度で入射側面１１ｃの側よりその対向端１１ｄの側に下り傾斜する短辺面１１a1 と、当該傾斜角（θ ２ ）が０〜１０度の長辺面１１a2 からなるプリズム状凹凸の繰返し構造よりなるものである。なお凸部又は凹部は、短辺面及び長辺面等とその形成面との交点を結ぶ直線に基づき、短辺面及び長辺面等の交点（頂点）が当該直線よりも突出しているか（凸）、窪んでいるか（凹）による。
【００１２】
前記のプリズム状凹凸において短辺面１１a1は、側面よりの入射光の内その面に入射する光を反射して下面１１ｂに供給する役割をする。その場合、短辺面の傾斜角θ１を３０〜４５度とすることにより伝送光を下面に対し垂直性よく反射し、ひいては図１による反射層２１を介して正面への指向性に優れる出射光（照明光）を効率よく得ることができ、明るい表示を達成することができる。
【００１３】
正面への指向性等の点より短辺面の好ましい傾斜角θ１は、導光板内部を伝送される光のスネルの法則による屈折に基づく全反射条件が例えば屈折率１．５では±４１．８度であることなどを考慮して３２〜４４度、就中３３〜４３度、特に３５〜４２度である。なお全反射条件を満足せずに短辺面を透過して漏れ光となる一部の光は、正面方向に対し６０度以上の大きい角度で出射して正面方向近傍の視認に影響しにくいが、傾斜角θ１が４５度を超えると上面１１ａよりの漏れ光が増大しやすくなり光利用効率の点で不利となる。
【００１４】
一方、長辺面１１a2は、それに入射する伝送光を反射して短辺面に供給すると共に、前記した短辺面による反射光を反射層２１を介し反転させて上面１１ａより透過させること、及び反射モードでの外光を入射させてそれを反射層２１を介し反射させて上面１１ａより透過させることを目的とする。かかる点より下面の基準平面１１ｅに対する長辺面の傾斜角θ２は、０〜１０度であることが好ましい。
【００１５】
長辺面の当該傾斜角θ２は０度（水平面）であってもよいが、０度超とすることで長辺面に入射した伝送光を反射して短辺面に供給する際に伝送光を平行光化することができ、短辺面を介した反射光の指向性を高めることができて、表示に有利となる。一方、当該傾斜角が１０度を超えると長辺面への入射率が低下して対向端側への光供給が不足し発光が不均一化しやすくなり、屈折による光路変更も大きくなって正面方向の光量が低下し表示に不利となる。また導光板の断面形状においても対向端側の薄型化が困難となり、プリズム状凹凸への入射光量も減少して発光効率も低下しやすくなる。
【００１６】
伝送光の平行光化による出射光の集光化や正面方向の光量増加、漏れ光の抑制等の前記性能などの点より長辺面の好ましい傾斜角θ２は、８度以下、就中５度以下である。上記の如く短辺面と長辺面の当該傾斜角を調節することにより、出射光に指向性をもたせることができ、それにより下面に対して垂直方向ないしそれに近い角度で光を出射させることが可能になる。
【００１７】
導光板の長辺面を介した表示像の視認性などの点より好ましい長辺面は、その傾斜角θ２の角度差を導光板の全体で５度以内、就中４度以内、特に３度以内としたものであり、最寄りの長辺面間における傾斜角θ２の差を１度以内、就中０．３度以内、特に０．１度以内としたものである。これにより透過する長辺面の傾斜角θ２の相違等により表示像が受ける影響を抑制することができる。長辺面による透過角度の偏向が場所によって大きく相違すると不自然な表示像となり、特に近接画素の近傍における透過像の偏向差が大きいと著しく不自然な表示像となりやすい。
【００１８】
前記した傾斜角θ２の角度差は、長辺面の傾斜角が上記した１０度以下にあることを前提とする。すなわち、かかる小さい傾斜角θ２として長辺面透過時の屈折による表示像の偏向を抑制して許容値内とすることを前提とするものであり、これは観察点を垂直方向近傍に設定して最適化した液晶表示装置の最適視認方向を変化させないことを目的とする。表示像が偏向されると最適視認方向が垂直方向近傍からズレると共に、表示像の偏向が大きいと導光板上面からの漏れ光の出射方向に近付いてコントラストの低下などその影響を受けやすくなる場合もある。なお長辺面の傾斜角θ２を１０度以下とする条件には、透過光の分散等の影響も無視できる程度のものとすることなども含まれている。
【００１９】
また明るい表示像を得る点よりは、外光の入射効率に優れ、液晶セルによる表示像の透過光率ないし出射効率に優れるものが好ましい。かかる点より、下面の基準平面に対する長辺面の投影面積が短辺面のそれの５倍以上、就中１０倍以上、特に１５倍以上のプリズム状凹凸とすることが好ましい。これにより、液晶セルによる表示像の大部分を長辺面を介して透過させることができる。
【００２０】
なお液晶セルによる表示像の透過に際して、短辺面に入射した表示像は入射側面側に反射されて上面より出射しないか、下面に対する法線を基準に長辺面透過の表示像とは反端側の大きく異なる方向に偏向されて出射し、長辺面を介した表示像に殆ど影響を及ぼさない。よって表示光の透過不足で不自然な表示となることを防止する点などより、画素と短辺面がオーバーラップする面積を小さくして長辺面を介した充分な光透過率を確保することが好ましい。
【００２１】
一般に液晶セルの画素ピッチは１００〜３００μmであることを鑑みた場合、前記の点より短辺面は、下面の基準平面に対する投影幅に基づいて４０μm以下となるように形成されていることが好ましい。なお短辺面の投影幅が小さくなるほどその形成に高度な技術が必要となり、プリズム状凹凸の頂部が一定以上の曲率半径からなる丸みをもつと散乱効果が現れて表示像の乱れの原因となりやすく、また一般に蛍光管のコヒーレント長が２０μm程度とされている点などよりも短辺面の投影幅が小さくなると回折等による表示品位の低下原因となりやすいことなどより、特に好ましい短辺面の投影幅は１〜２０μm、就中５〜１５μmである。
【００２２】
前記の点より短辺面の間隔は大きいことが好ましいが、一方で短辺面は上記したように側面入射光の実質的な出射機能部分であるから、その間隔が広すぎると点灯時の照明が疎となってやはり不自然な表示となる場合があり、それらを鑑みて、図２に例示した如くプリズム状凹凸の繰返しピッチＰは、５０μm〜１．０mmである。なおピッチは、一定であってもよいし、例えばランダムピッチや所定数のピッチ単位をランダム又は規則的に組合せたものなどの如く不規則であってもよい。
【００２３】
プリズム状凹凸からなる光出射手段の場合、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、プリズム状凹凸のピッチ調節で行いうるが、上記したようにプリズム状凹凸のピッチには好ましい範囲がある。従ってそのピッチ範囲でモアレが生じる場合の解決策が問題となる。
【００２４】
本発明においては図３に例示の如く、画素に対してプリズム状凹凸を交差状態で配列しうるように、プリズム状凹凸を入射側面１１ｃの基準平面に対し傾斜状態（θ）に形成してモアレを防止する方式が好ましい。その場合、傾斜角θが大きすぎると短辺面を介した反射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きくなって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となりやすい。
【００２５】
前記の点より入射側面の基準平面に対するプリズム状凹凸の配列方向、すなわちプリズム状凹凸の稜線方向の傾斜角θは、±３０度以内であり、就中±２８度以内、特に±２５度以内とすることが好ましい。なお、±の符号は入射側面を基準とした傾斜の方向を意味する。液晶セルの解像度が低くてモアレを生じない場合やモアレを無視しうる場合には、図４に例示の如くプリズム状凹凸の配列方向は入射側面に平行なほど好ましい（θ＝０度）。
【００２６】
導光板は、上記したように適宜な形態とすることができる。楔形等とする場合にもその形状は適宜に決定でき、直線面や曲面などの適宜な面形状とすることができる。また光出射手段を形成する斜面やプリズム状凹凸も直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態に形成されていてよい。さらにプリズム状等の凹凸は、ピッチに加えて形状等も異なる凹凸の組合せからなっていてもよい。加えてプリズム状等の凹凸は、稜線が連続した一連の凸部又は凹部として形成されていてもよいし、所定の間隔を有して稜線方向に不連続に配列した断続的な凸部又は凹部として形成されていてもよい。
【００２７】
導光板における下面や入射側面の形状については、特に限定はなく、適宜に決定してよい。一般には可及的に平滑でフラットな下面及びその下面に対して垂直な入射側面とされる。入射側面については、例えば湾曲凹形などの線状光源の外周等に応じた形状として、入射光率の向上をはかることもできる。さらに線状光源との間に介在する導入部を有する入射側面構造などとすることもでき、その導入部は、線状光源などに応じて適宜な形状とすることができる。
【００２８】
導光板は、線状光源の波長域に応じそれに透明性を示す適宜な材料にて形成しうる。ちなみに可視光域では、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等で代表される透明樹脂やガラスなどがあげられる。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成した導光板が好ましく用いられる。
【００２９】
導光板は、切削法にても形成でき、適宜な方法で形成することができる。量産性等の点より好ましい製造方法としては、熱可塑性樹脂を所定の形状を形成しうる金型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を所定の形状に成形しうる金型に充填する方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂を所定の形状を形成しうる型に充填ないし流延して重合処理する方法などがあげられる。
【００３０】
なお導光板は、例えば光の伝送を担う導光部にプリズム状凹凸等の光出射手段（上面）を形成したシートを接着したものの如く、同種又は異種の材料からなる部品の積層体などとして形成されていてもよく、１種の材料による一体的単層物として形成されている必要はない。
【００３１】
導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや線状光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な厚さは、その入射側面に基づき１０mm以下、就中０．１〜５mm、特に０．３〜３mmである。また明るい表示を達成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射光、特に下面から上面への垂直入射光の全光線透過率が９０％以上、就中９２％以上、特に９５％以上で、ヘイズが３０％以下、就中１５％以下、特に１０％以下のものである。
【００３２】
上記した導光板によれば、上面及び下面からの入射光が下面又は上面より良好に透過し、それを用いて精度よく平行化された光を視認に有利な垂直性に優れる方向に出射し、線状光源からの光を効率よく利用して明るさに優れる面光源装置、さらには上面よりの漏れ光が表示像と重複しにくく、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに優れ表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表示像が乱れにくく明瞭性に優れて見やすく、表示品位に優れる低消費電力の反射型液晶表示装置などの種々の装置を形成することができる。
【００３３】
本発明による面光源装置は、例えば図１の例の如く導光板１１の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのサイドライト型のフロントライトとして用いられるものであり、その形成は導光板の入射側面１１ｃにその入射側面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源１２を配置することにより行うことができる。
【００３４】
前記において入射側面１１ｃよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源１２の使用は、影の発生防止を目的とする。すなわち線状光源の長さが短いとそれが数mm程度のものであっても導光板端部での入射光量が少なくて不均一に発光したり、非発光領域が発生したりして点灯時に非常に明瞭な影が発生し、表示が非常に見にくくなるためその防止を目的とする。
【００３５】
ちなみに線状光源の有効発光領域長が入射側面よりも短いと点灯時に正面方向にても影が発生する。その正面方向の影は、入射側面と同長の有効発光領域長とすることで防止しうるが、その場合でも斜視方向では影が発生する。その斜視による光を出射しない導光板部分に基づく影は、斜めに発生して表示部分を横切ることとなり正面方向の場合よりも目立つものとなる。
【００３６】
前記した影の発生状態は、導光板の入射側面に対して線状光源を密接配置するか、間隔を設けて配置するかにて変化し、その間隔が大きくなるほど影の発生範囲が大きくなる。導光板の入射側面に対する線状光源の間隔を設けた配置は、密接配置では導光板との接触で線状光源が破損する恐れのある場合などにその防止を目的に必要に応じて行われる。
【００３７】
また影の発生状態は、導光板における光出射手段としての凹凸の稜線が入射側面に対して傾斜するか否かや、その傾斜角によっても変化する。例えば図３において入射側面１１ｃに対する凹凸の稜線の傾斜角をθとして稜線が入射側面に対して傾斜する場合（θ≠０）、その凹凸の稜線が線状光源より遠離る側１１ｆにおいては正面方向にても斜視と同様に斜めに影が発生し、その影は入射側面の１１ｆ側端を始点に導光板の内側に向かうものである。そのため入射側面の他端側では影が外側に向かって延びるためその影響は少ない。
【００３８】
従って有効発光領域に基づく線状光源の長さは、導光板の入射側面の長手方向の長さに加えて、上記した影の発生状態などにより決定される。導光板の入射側面に可及的に均一に光を入射させて正面方向及び実用的な斜視範囲、特に斜め３０度の視野角範囲における影の発生を防止する点より、本発明では、図３に例示した如く前記の傾斜角θに加えて、入射側面１１ｃと線状光源１２の先端面との間隔をｄとしたとき、導光板１１の端面よりも線状光源の有効発光領域１２Ａの端は、式：１mm＋ｄ・sinθ＋ｄ／２による算出値以上に突出した状態にある。
【００３９】
よって図４の例の如く前記θ＝０の時、すなわち凹凸の稜線が入射側面に平行な場合には、１mm＋ｄ／２以上の突出長Ｔ２であることが好ましい。一方、図３の例の如くθ≠０の場合には、上記の如く導光板の一端の１１ｆ側において前記式による算出値以上の突出長Ｔ１であることが好ましい。なお図上の１２Ｂは、電極等の非発光領域である。
【００４０】
前記において、当該式による線状光源の突出長条件は、θ＝０のときには左右対称であることより導光板の両端部で満足されていることが好ましいが、θ≠０のときには導光板の少なくとも当該１１ｆ側で満足されていることが好ましい。θ≠０のときの導光板の当該１１ｆ側でない側では、有効発光領域端が導光板の内側となる長さの線状光源にても影の発生を防止しうるときもあるが、その場合にても線状光源の全体における有効発光領域長は、２mm＋ｄ以上であることが好ましい。
【００４１】
線状光源としては、適宜なものを用いうる。一般には例えば（冷，熱）陰極管等の線状光源、発光ダイオード等の点状光源を線状等に配列したアレイ体、あるいは点状光源を一定又は不定間隔の線状発光状態に変換する装置を用いた線状光源などが好ましく用いうる。低消費電力性や耐久性等の点よりは、冷陰極管が特に好ましい。
【００４２】
面光源装置の形成に際しては、必要に応じて図１に例示した如く線状光源１２からの発散光を導光板の入射側面１１ｃに導くために線状光源を包囲する光源ホルダ１３や反射防止層などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもできる。光源ホルダとしては、高反射率金属薄膜を付設した樹脂シートや金属箔などが一般に用いられる。光源ホルダを導光板の端部に接着剤等を介して接着する場合には、その接着部分については光出射手段の形成を省略することもできる。
【００４３】
反射防止層は、表面反射の抑制を目的とし、例えば誘電体、フッ素含有のポリマーや低密度材料等による光学多層膜や屈折率層などの従来に準じた適宜な透明層として形成することができる。反射防止層は、導光板の上下面の一方又は両方に塗布方式や蒸着方式等の適宜な方式で直接設けられていてもよいし、反射防止層を透明基材で支持してそのシートを導光板の下面に粘着層等の適宜な接着手段を介し接着する方式などにより設けられていてもよく、その形成方式について特に限定はない。
【００４４】
上記のように本発明による面光源装置は、光の利用効率に優れて明るくて垂直性に優れる光を提供し、大面積化等も容易であることより反射型液晶表示装置等におけるフロントライトシステムなどとして種々の装置に好ましく適用でき、明るくて見やすく低消費電力の反射型液晶表示装置等を得ることができる。なお面光源装置の点灯・消灯は適宜な方式にて行うことができる。
【００４５】
図１に本発明による面光源装置１をフロントライトシステムに用いた反射型液晶表示装置を例示した。２が反射型の液晶表示パネルであり、２２が液晶層、２３がセル基板でこれらが液晶セルを形成し、２４が偏光板、２１が反射層である。反射型液晶表示装置は、図例の如く面光源装置の光出射側、すなわち導光板１１の下面側に反射層を具備する液晶セルを配置することにより形成することができる。
【００４６】
反射型液晶表示装置は一般に、液晶シャッタとして機能する透明電極具備の液晶セルとそれに付随の駆動装置、偏光板、フロントライト、反射層及び必要に応じての拡散層や補償用位相差板等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成される。本発明においては、上記した面光源装置をフロント側に用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成することができる。なお図例では、透明電極の記入を省略している。
【００４７】
従って用いる液晶セルについては特に限定はなく、例えば液晶の配向形態に基づく場合、ＴＮ液晶セルやＳＴＮ液晶セル、垂直配向セルやＨＡＮセル、ＯＣＢセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用いうる。また液晶の駆動方式についても特に限定はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な駆動方式であってよい。
【００４８】
反射型液晶表示装置では、反射層の配置が必須であるが、その配置位置については図１に例示の如く液晶表示パネル２の外側に設けることもできるし、セル基板に付設するなどして液晶セルの内側に設けることもできる。その反射層については、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従来に準じた適宜な反射層として形成することができる。また液晶セルの内部に設ける反射層は、例えば透明導電膜などにて形成することができる。
【００４９】
偏光板としては、適宜なものを用いうるが、高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比の表示を得る点などよりは、例えばヨウ素系や染料系の吸収型直線偏光子などの如く偏光度の高いものが好ましく用いうる。なお反射型液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散層や保護層、補償用の位相差板などの適宜な光学素子を適宜に配置することができる。その場合、拡散層としては表示像を乱さない程度の弱い拡散能を示すものが好ましく用いられる。
【００５０】
一方、前記した補償用位相差板は、複屈折の波長依存性などを補償して視認性の向上等をはかることを目的とするものであり、視認側又は／及び背面側の偏光板と液晶セルの間等に必要に応じて配置される。補償用の位相差板としては、波長域などに応じて適宜なものを用いることができ、１層又は２層以上の位相差層の重畳層として形成されていてもよい。
【００５１】
本発明による反射型液晶表示装置の視認は、面光源装置、特にその導光板の長辺面の透過光を介して行われる。すなわち面光源装置の点灯時には、導光板の下面より出射した光が偏光板と液晶層等を経由して反射層を介し反射され、液晶層と偏光板等を逆経由して導光板に至り長辺面を透過した表示像が視認される。その場合、強い漏れ光は液晶セルに対して垂直な正面方向とは角度が大きくズレた方向に出射し、正面方向に出射する漏れ光は弱いことから長辺面を介して正面方向の近傍で表示品位に優れる表示像を視認することができる。
【００５２】
一方、面光源装置が消灯の外光を利用した場合においても、導光板の上面の長辺面より入射した光が偏光板や液晶層や反射層等を前記に準じ透過・逆経由して導光板に至り、長辺面を透過した表示像が正面方向の近傍で導光板による乱れ等が少ない表示品位に優れる状態で視認することができる。
【００５３】
上記した面光源装置や液晶表示装置を形成する導光板や液晶セルや偏光板等の光学素子ないし部品は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点よりは、固着状態にあることが好ましく、少なくとも面光源装置における導光板の下面と液晶セルの上面が固着密着状態にあることが好ましい。その固着密着処理には、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができ、その透明接着層に透明粒子等を含有させて拡散機能を示す接着層などとすることもできる。
【００５４】
【実施例】
例１
ダイヤモンドバイトにて表面を所定形状に切削して形成した金型中子を装着した金型を８０℃に加温し、それに２６０℃で加熱溶融したポリメチルメタクリレートを充填して導光板を得た。この導光板は、幅４０mm、奥行２５mm、入射側面の厚さ１mm、対向端の厚さ０．６mmであり、上面及び下面は平坦で、上面に入射側面に平行なプリズム状凹凸（θ＝０）を２１０μmのピッチで有し、短辺面の傾斜角が４２．５〜４３度の範囲、長辺面の傾斜角が１．８〜３．５度の範囲で変化し、最寄り長辺面の傾斜角変化が０．１度以内にあり、短辺面の下面に対する投影幅が１０〜１６μm、長辺面／短辺面の下面に対する投影面積比が１２倍以上のものである。なおプリズム状凹凸は、入射側面より２mm離れた位置より形成した。
【００５５】
前記導光板の下面側にＴＮ型反射型液晶パネルを配置した後、その導光板の入射側面に有効発光領域の一端から３０mmの位置に幅２０mmの第１の黒テープ、他端から２０mmの位置に幅２０mmの第２の黒テープを巻付けた直径２mm、長さ１９５mmの冷陰極管（ウエスト電気社製）からな線状光源を密接配置し（ｄ＝０）、黒テープ間を銀反射シートからなるホルダにて包囲して線状光源にインバータと直流電源を接続し反射型液晶表示装置を得た。面光源装置は、その電源のオン／オフを介して点灯／消灯を設定することができる。
【００５６】
前記の反射型液晶表示装置について、その点灯状態の線状光源の位置を左右に移動させて正面方向及び左右３０度の斜視方向における影の発生状態を調べた。評価は、影の発生がない場合を○、弱い影が発生した場合を△、明瞭な影が発生した場合を×とした。なお線状光源の第１の黒テープの内側端が入射側面の左端と一致する位置を基準（０）として導光板の内側方向を−、外側方向を＋とした。その結果を表１に示した。
【００５７】
【００５８】
例２
厚さ２mmのスペーサと、導光板両側の当て板を介して入射側面より２mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝２）ほかは例１に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表２に示した。
【００５９】
【００６０】
例３
入射側面より４mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝４）ほかは例２に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表３に示した。
【００６１】
【００６２】
例４
例１に準じプリズム状凹凸の稜線を入射側面に対して２３度の角度で右上がりに傾斜させた導光板（θ＝２３）を形成し、それを用いて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。なおその場合、導光板の右端側についても線状光源の第２の黒テープの内側端が入射側面の右端と一致する位置を基準（０）として導光板の内側方向を−、外側方向を＋として影の発生状態を調べた。その結果を表４に示した。
【００６３】
【００６４】
例５
厚さ２mmのスペーサと、導光板両側の当て板を介して入射側面より２mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝２）ほかは例４に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表５に示した。
【００６５】
【００６６】
例６
入射側面より４mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝４）ほかは例５に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表６に示した。
【００６７】
【００６８】
上記した表１〜３よりθ＝０（凹凸の稜線が平行）の条件では、１mm＋ｄ／２以上の突出長（Ｔ２）を持たせることで影の発生を防止できていることがわかり、導光板の右端側についても同様の結果が得られた。なお影が発生した場合において、その影は発光の著しい不均一さに基づき、表示を見にくくするものであった。
【００６９】
一方、表４〜６よりθ≠０（凹凸の稜線の傾斜）の条件では、θ＝０の場合と同様にｄ（導光板と光源間の距離）による影の発生状態の変化が現れると共に、表５，６と表２，３の対比より稜線が傾斜することで１１ｆ側における影の発生範囲が大きくなり、１mm＋ｄ・sinθ＋ｄ／２以上の突出長（Ｔ１）を持たせることで影の発生を防止できていることがわかる。
【００７０】
一方、導光板の１１ｆ側と反対側の右端側については、有効発光領域が導光板の内側にあっても影の発生しないときもあるが（表４）、その場合にても導光板両サイド間の全体における影の発生を防止する点よりは、２mm＋ｄ以上の有効発光領域長さが求められることがわかる。なお上記においてｄが大きくなるほど影発生の境界が判別しにくくなり、影自体も薄くなる傾向があった。
【００７１】
他方、光源を消灯した外光照明では明瞭な表示を達成することができた。以上より、本発明による面光源装置を用いることにより、点灯時及び消灯時のいずれのときにも明るさの均一性に優れて明瞭な表示のフロントライト式反射型液晶表示装置の得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図１】反射型液晶表示装置例の側面説明図
【図２】導光板におけるプリズム状凹凸の側面説明図
【図３】線状光源配置例の説明図
【図４】他の線状光源配置例の説明図
【符号の説明】
１：面光源装置
１１：導光板
１１ａ：上面
１１a1：短辺面
１１a2：長辺面
１１ｂ：下面
１１ｃ：入射側面
１２：線状光源
２：液晶表示パネル
２１：反射層
２２：液晶層
２３：セル基板
２４：偏光板
【発明の技術分野】
本発明は、光の利用効率に優れて明るくて見易い反射型液晶表示装置を形成しうるフロントライトシステム用の面光源装置に関する。
【０００２】
【発明の背景】
反射型液晶表示装置の暗部等での視認を可能とする面光源装置が求められている中、本発明者は透過型液晶表示装置に用いられているバックライト式面光源装置を液晶セルの視認側に配置するフロントライトシステムの適用を試みた。かかるバックライト式面光源装置は、側面からの入射光を光出射手段を介し上下面の一方より出射する導光板を使用したものであり、フロントライトシステムではその導光板を介して表示内容を視認することとなる。
【０００３】
しかし従来のバックライト用導光板による面光源装置では、点灯時におけるコントラスト不足や消灯時における明るさ不足に加えて、導光板を介した表示像が著しく乱れて明瞭さに乏しく実用が困難な問題点があった。かかるコントラスト不足や表示の乱れは、拡散層等を介した表示光の散乱によるところが大きい。
【０００４】
前記に鑑みて本発明者は、散乱光の発生を抑制した面光源装置とし、それをフロントライトシステムに用いてコントラスト不足や表示乱れの防止を試みた。しかしながらその場合には、光の拡散による輝度の平準化効果が失われるため面光源装置に明暗差が発生し、暗部が形成されて表示像に部分的な欠落問題の生じることが判明した。
【０００５】
【発明の技術的課題】
本発明は、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに優れ、表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表示像が乱れにくくて明瞭性に優れ、かつ表示像の部分的な欠落を生じない反射型液晶表示装置を形成しうるフロントライトシステム用の面光源装置の開発を課題とする。
【０００６】
【課題の解決手段】
本発明は、入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面からの入射光が上面より透過する導光板の前記入射側面に、その面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源を配置してなり、前記導光板の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのフロントライトシステム用の面光源装置であり、
導光板における光出射手段が短辺面と長辺面からなるプリズム状凹凸の５０μ m 〜１．０ mm ピッチの繰返し構造よりなり、かつ前記短辺面が下面の基準平面に対し３０〜４５度の傾斜角で入射側面側よりその対向端側に下り傾斜する斜面からなると共に、前記長辺面が当該基準平面に対し０〜１０度の傾斜角範囲にあってその全体の角度差が５度以内であり、最寄りの長辺面間における傾斜角差が１度以内で、しかも当該基準平面に対する投影面積が短辺面のそれの５倍以上である斜面からなり、
導光板の光出射手段を形成するプリズム状凹凸の稜線が入射側面の基準平面に対し±３０度以内の傾斜範囲にあり、
入射側面に対するプリズム状凹凸の稜線の傾斜角をθ、入射側面と線状光源の先端面との間隔をｄとしたとき、導光板におけるプリズム状凹凸の稜線が線状光源より遠離る側に基づいてその端面よりも、線状光源の有効発光領域の端が式：１ mm ＋ｄ・ sin θ＋ｄ／２による算出値以上に突出した状態にある面光源装置、及びその面光源装置における下面側に、反射層を具備する液晶セルを有する反射型液晶表示装置を提供するものである。
【０００７】
【発明の効果】
本発明によれば、光の利用効率に優れ明るさの均一性に優れるフロントライトシステム用の面光源装置を得ることができ、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに優れ、表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表示像が乱れにくくて明瞭性に優れ、かつ暗部の発生による表示像の部分的な欠落問題を生じない表示品位に優れる反射型液晶表示装置を得ることができる。
【０００８】
【発明の実施形態】
本発明による面光源装置は、入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面からの入射光が上面より透過する導光板の前記入射側面に、その面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源を配置してなり、前記導光板の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのフロントライトシステム用のものである。図１にその面光源装置１の例を示した。１１が導光板、１２が線状光源である。なお図は反射型液晶表示装置としたものを示しており、２が液晶表示パネル、２１が反射層である。
【０００９】
導光板としては、入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射するものが用いられ、一般には図１に例示の如く上面１１ａ、それに対向する下面１１ｂ及び上下面間の側面からなる入射側面１１ｃを有する板状物よりなる。板状物は、図例の如く同厚型のものであってもよいし、入射側面に対向する対向端１１ｄの厚さを入射側面のそれよりも薄くした楔形等の形態を有するものであってもよい。対向端の薄型化は、軽量化や上面の光出射手段への入射側面からの入射光の入射効率の向上などの点より有利である。
【００１０】
導光板の上面に形成する光出射手段は、入射側面からの入射光を上面を介して下面より指向性よく効率的に出射させ、かつ下面からの入射光を上面より散乱なく効率よく透過させる点などよりは、入射側面と対面する斜面を有する光出射手段、就中、下面の基準平面に対する傾斜角が３０〜４５度の斜面と１０度以下の平坦面からなる凹凸の繰返し構造からなる光出射手段である。
【００１１】
前記凹凸の繰返し構造は、光の利用効率や前記した下面よりの出射光を反射層で反転させて上面より正面（垂直）方向に指向性よく出射させる点などより、図２の例の如く下面１１ｂの基準平面１１ｅに対する傾斜角（θ １ ）が３０〜４５度で入射側面１１ｃの側よりその対向端１１ｄの側に下り傾斜する短辺面１１a1 と、当該傾斜角（θ ２ ）が０〜１０度の長辺面１１a2 からなるプリズム状凹凸の繰返し構造よりなるものである。なお凸部又は凹部は、短辺面及び長辺面等とその形成面との交点を結ぶ直線に基づき、短辺面及び長辺面等の交点（頂点）が当該直線よりも突出しているか（凸）、窪んでいるか（凹）による。
【００１２】
前記のプリズム状凹凸において短辺面１１a1は、側面よりの入射光の内その面に入射する光を反射して下面１１ｂに供給する役割をする。その場合、短辺面の傾斜角θ１を３０〜４５度とすることにより伝送光を下面に対し垂直性よく反射し、ひいては図１による反射層２１を介して正面への指向性に優れる出射光（照明光）を効率よく得ることができ、明るい表示を達成することができる。
【００１３】
正面への指向性等の点より短辺面の好ましい傾斜角θ１は、導光板内部を伝送される光のスネルの法則による屈折に基づく全反射条件が例えば屈折率１．５では±４１．８度であることなどを考慮して３２〜４４度、就中３３〜４３度、特に３５〜４２度である。なお全反射条件を満足せずに短辺面を透過して漏れ光となる一部の光は、正面方向に対し６０度以上の大きい角度で出射して正面方向近傍の視認に影響しにくいが、傾斜角θ１が４５度を超えると上面１１ａよりの漏れ光が増大しやすくなり光利用効率の点で不利となる。
【００１４】
一方、長辺面１１a2は、それに入射する伝送光を反射して短辺面に供給すると共に、前記した短辺面による反射光を反射層２１を介し反転させて上面１１ａより透過させること、及び反射モードでの外光を入射させてそれを反射層２１を介し反射させて上面１１ａより透過させることを目的とする。かかる点より下面の基準平面１１ｅに対する長辺面の傾斜角θ２は、０〜１０度であることが好ましい。
【００１５】
長辺面の当該傾斜角θ２は０度（水平面）であってもよいが、０度超とすることで長辺面に入射した伝送光を反射して短辺面に供給する際に伝送光を平行光化することができ、短辺面を介した反射光の指向性を高めることができて、表示に有利となる。一方、当該傾斜角が１０度を超えると長辺面への入射率が低下して対向端側への光供給が不足し発光が不均一化しやすくなり、屈折による光路変更も大きくなって正面方向の光量が低下し表示に不利となる。また導光板の断面形状においても対向端側の薄型化が困難となり、プリズム状凹凸への入射光量も減少して発光効率も低下しやすくなる。
【００１６】
伝送光の平行光化による出射光の集光化や正面方向の光量増加、漏れ光の抑制等の前記性能などの点より長辺面の好ましい傾斜角θ２は、８度以下、就中５度以下である。上記の如く短辺面と長辺面の当該傾斜角を調節することにより、出射光に指向性をもたせることができ、それにより下面に対して垂直方向ないしそれに近い角度で光を出射させることが可能になる。
【００１７】
導光板の長辺面を介した表示像の視認性などの点より好ましい長辺面は、その傾斜角θ２の角度差を導光板の全体で５度以内、就中４度以内、特に３度以内としたものであり、最寄りの長辺面間における傾斜角θ２の差を１度以内、就中０．３度以内、特に０．１度以内としたものである。これにより透過する長辺面の傾斜角θ２の相違等により表示像が受ける影響を抑制することができる。長辺面による透過角度の偏向が場所によって大きく相違すると不自然な表示像となり、特に近接画素の近傍における透過像の偏向差が大きいと著しく不自然な表示像となりやすい。
【００１８】
前記した傾斜角θ２の角度差は、長辺面の傾斜角が上記した１０度以下にあることを前提とする。すなわち、かかる小さい傾斜角θ２として長辺面透過時の屈折による表示像の偏向を抑制して許容値内とすることを前提とするものであり、これは観察点を垂直方向近傍に設定して最適化した液晶表示装置の最適視認方向を変化させないことを目的とする。表示像が偏向されると最適視認方向が垂直方向近傍からズレると共に、表示像の偏向が大きいと導光板上面からの漏れ光の出射方向に近付いてコントラストの低下などその影響を受けやすくなる場合もある。なお長辺面の傾斜角θ２を１０度以下とする条件には、透過光の分散等の影響も無視できる程度のものとすることなども含まれている。
【００１９】
また明るい表示像を得る点よりは、外光の入射効率に優れ、液晶セルによる表示像の透過光率ないし出射効率に優れるものが好ましい。かかる点より、下面の基準平面に対する長辺面の投影面積が短辺面のそれの５倍以上、就中１０倍以上、特に１５倍以上のプリズム状凹凸とすることが好ましい。これにより、液晶セルによる表示像の大部分を長辺面を介して透過させることができる。
【００２０】
なお液晶セルによる表示像の透過に際して、短辺面に入射した表示像は入射側面側に反射されて上面より出射しないか、下面に対する法線を基準に長辺面透過の表示像とは反端側の大きく異なる方向に偏向されて出射し、長辺面を介した表示像に殆ど影響を及ぼさない。よって表示光の透過不足で不自然な表示となることを防止する点などより、画素と短辺面がオーバーラップする面積を小さくして長辺面を介した充分な光透過率を確保することが好ましい。
【００２１】
一般に液晶セルの画素ピッチは１００〜３００μmであることを鑑みた場合、前記の点より短辺面は、下面の基準平面に対する投影幅に基づいて４０μm以下となるように形成されていることが好ましい。なお短辺面の投影幅が小さくなるほどその形成に高度な技術が必要となり、プリズム状凹凸の頂部が一定以上の曲率半径からなる丸みをもつと散乱効果が現れて表示像の乱れの原因となりやすく、また一般に蛍光管のコヒーレント長が２０μm程度とされている点などよりも短辺面の投影幅が小さくなると回折等による表示品位の低下原因となりやすいことなどより、特に好ましい短辺面の投影幅は１〜２０μm、就中５〜１５μmである。
【００２２】
前記の点より短辺面の間隔は大きいことが好ましいが、一方で短辺面は上記したように側面入射光の実質的な出射機能部分であるから、その間隔が広すぎると点灯時の照明が疎となってやはり不自然な表示となる場合があり、それらを鑑みて、図２に例示した如くプリズム状凹凸の繰返しピッチＰは、５０μm〜１．０mmである。なおピッチは、一定であってもよいし、例えばランダムピッチや所定数のピッチ単位をランダム又は規則的に組合せたものなどの如く不規則であってもよい。
【００２３】
プリズム状凹凸からなる光出射手段の場合、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、プリズム状凹凸のピッチ調節で行いうるが、上記したようにプリズム状凹凸のピッチには好ましい範囲がある。従ってそのピッチ範囲でモアレが生じる場合の解決策が問題となる。
【００２４】
本発明においては図３に例示の如く、画素に対してプリズム状凹凸を交差状態で配列しうるように、プリズム状凹凸を入射側面１１ｃの基準平面に対し傾斜状態（θ）に形成してモアレを防止する方式が好ましい。その場合、傾斜角θが大きすぎると短辺面を介した反射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きくなって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となりやすい。
【００２５】
前記の点より入射側面の基準平面に対するプリズム状凹凸の配列方向、すなわちプリズム状凹凸の稜線方向の傾斜角θは、±３０度以内であり、就中±２８度以内、特に±２５度以内とすることが好ましい。なお、±の符号は入射側面を基準とした傾斜の方向を意味する。液晶セルの解像度が低くてモアレを生じない場合やモアレを無視しうる場合には、図４に例示の如くプリズム状凹凸の配列方向は入射側面に平行なほど好ましい（θ＝０度）。
【００２６】
導光板は、上記したように適宜な形態とすることができる。楔形等とする場合にもその形状は適宜に決定でき、直線面や曲面などの適宜な面形状とすることができる。また光出射手段を形成する斜面やプリズム状凹凸も直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態に形成されていてよい。さらにプリズム状等の凹凸は、ピッチに加えて形状等も異なる凹凸の組合せからなっていてもよい。加えてプリズム状等の凹凸は、稜線が連続した一連の凸部又は凹部として形成されていてもよいし、所定の間隔を有して稜線方向に不連続に配列した断続的な凸部又は凹部として形成されていてもよい。
【００２７】
導光板における下面や入射側面の形状については、特に限定はなく、適宜に決定してよい。一般には可及的に平滑でフラットな下面及びその下面に対して垂直な入射側面とされる。入射側面については、例えば湾曲凹形などの線状光源の外周等に応じた形状として、入射光率の向上をはかることもできる。さらに線状光源との間に介在する導入部を有する入射側面構造などとすることもでき、その導入部は、線状光源などに応じて適宜な形状とすることができる。
【００２８】
導光板は、線状光源の波長域に応じそれに透明性を示す適宜な材料にて形成しうる。ちなみに可視光域では、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等で代表される透明樹脂やガラスなどがあげられる。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成した導光板が好ましく用いられる。
【００２９】
導光板は、切削法にても形成でき、適宜な方法で形成することができる。量産性等の点より好ましい製造方法としては、熱可塑性樹脂を所定の形状を形成しうる金型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を所定の形状に成形しうる金型に充填する方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂を所定の形状を形成しうる型に充填ないし流延して重合処理する方法などがあげられる。
【００３０】
なお導光板は、例えば光の伝送を担う導光部にプリズム状凹凸等の光出射手段（上面）を形成したシートを接着したものの如く、同種又は異種の材料からなる部品の積層体などとして形成されていてもよく、１種の材料による一体的単層物として形成されている必要はない。
【００３１】
導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや線状光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な厚さは、その入射側面に基づき１０mm以下、就中０．１〜５mm、特に０．３〜３mmである。また明るい表示を達成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射光、特に下面から上面への垂直入射光の全光線透過率が９０％以上、就中９２％以上、特に９５％以上で、ヘイズが３０％以下、就中１５％以下、特に１０％以下のものである。
【００３２】
上記した導光板によれば、上面及び下面からの入射光が下面又は上面より良好に透過し、それを用いて精度よく平行化された光を視認に有利な垂直性に優れる方向に出射し、線状光源からの光を効率よく利用して明るさに優れる面光源装置、さらには上面よりの漏れ光が表示像と重複しにくく、消灯時及び点灯時の視認におけるコントラストに優れ表示の明るさにも優れると共に、導光板を介した表示像が乱れにくく明瞭性に優れて見やすく、表示品位に優れる低消費電力の反射型液晶表示装置などの種々の装置を形成することができる。
【００３３】
本発明による面光源装置は、例えば図１の例の如く導光板１１の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのサイドライト型のフロントライトとして用いられるものであり、その形成は導光板の入射側面１１ｃにその入射側面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源１２を配置することにより行うことができる。
【００３４】
前記において入射側面１１ｃよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源１２の使用は、影の発生防止を目的とする。すなわち線状光源の長さが短いとそれが数mm程度のものであっても導光板端部での入射光量が少なくて不均一に発光したり、非発光領域が発生したりして点灯時に非常に明瞭な影が発生し、表示が非常に見にくくなるためその防止を目的とする。
【００３５】
ちなみに線状光源の有効発光領域長が入射側面よりも短いと点灯時に正面方向にても影が発生する。その正面方向の影は、入射側面と同長の有効発光領域長とすることで防止しうるが、その場合でも斜視方向では影が発生する。その斜視による光を出射しない導光板部分に基づく影は、斜めに発生して表示部分を横切ることとなり正面方向の場合よりも目立つものとなる。
【００３６】
前記した影の発生状態は、導光板の入射側面に対して線状光源を密接配置するか、間隔を設けて配置するかにて変化し、その間隔が大きくなるほど影の発生範囲が大きくなる。導光板の入射側面に対する線状光源の間隔を設けた配置は、密接配置では導光板との接触で線状光源が破損する恐れのある場合などにその防止を目的に必要に応じて行われる。
【００３７】
また影の発生状態は、導光板における光出射手段としての凹凸の稜線が入射側面に対して傾斜するか否かや、その傾斜角によっても変化する。例えば図３において入射側面１１ｃに対する凹凸の稜線の傾斜角をθとして稜線が入射側面に対して傾斜する場合（θ≠０）、その凹凸の稜線が線状光源より遠離る側１１ｆにおいては正面方向にても斜視と同様に斜めに影が発生し、その影は入射側面の１１ｆ側端を始点に導光板の内側に向かうものである。そのため入射側面の他端側では影が外側に向かって延びるためその影響は少ない。
【００３８】
従って有効発光領域に基づく線状光源の長さは、導光板の入射側面の長手方向の長さに加えて、上記した影の発生状態などにより決定される。導光板の入射側面に可及的に均一に光を入射させて正面方向及び実用的な斜視範囲、特に斜め３０度の視野角範囲における影の発生を防止する点より、本発明では、図３に例示した如く前記の傾斜角θに加えて、入射側面１１ｃと線状光源１２の先端面との間隔をｄとしたとき、導光板１１の端面よりも線状光源の有効発光領域１２Ａの端は、式：１mm＋ｄ・sinθ＋ｄ／２による算出値以上に突出した状態にある。
【００３９】
よって図４の例の如く前記θ＝０の時、すなわち凹凸の稜線が入射側面に平行な場合には、１mm＋ｄ／２以上の突出長Ｔ２であることが好ましい。一方、図３の例の如くθ≠０の場合には、上記の如く導光板の一端の１１ｆ側において前記式による算出値以上の突出長Ｔ１であることが好ましい。なお図上の１２Ｂは、電極等の非発光領域である。
【００４０】
前記において、当該式による線状光源の突出長条件は、θ＝０のときには左右対称であることより導光板の両端部で満足されていることが好ましいが、θ≠０のときには導光板の少なくとも当該１１ｆ側で満足されていることが好ましい。θ≠０のときの導光板の当該１１ｆ側でない側では、有効発光領域端が導光板の内側となる長さの線状光源にても影の発生を防止しうるときもあるが、その場合にても線状光源の全体における有効発光領域長は、２mm＋ｄ以上であることが好ましい。
【００４１】
線状光源としては、適宜なものを用いうる。一般には例えば（冷，熱）陰極管等の線状光源、発光ダイオード等の点状光源を線状等に配列したアレイ体、あるいは点状光源を一定又は不定間隔の線状発光状態に変換する装置を用いた線状光源などが好ましく用いうる。低消費電力性や耐久性等の点よりは、冷陰極管が特に好ましい。
【００４２】
面光源装置の形成に際しては、必要に応じて図１に例示した如く線状光源１２からの発散光を導光板の入射側面１１ｃに導くために線状光源を包囲する光源ホルダ１３や反射防止層などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもできる。光源ホルダとしては、高反射率金属薄膜を付設した樹脂シートや金属箔などが一般に用いられる。光源ホルダを導光板の端部に接着剤等を介して接着する場合には、その接着部分については光出射手段の形成を省略することもできる。
【００４３】
反射防止層は、表面反射の抑制を目的とし、例えば誘電体、フッ素含有のポリマーや低密度材料等による光学多層膜や屈折率層などの従来に準じた適宜な透明層として形成することができる。反射防止層は、導光板の上下面の一方又は両方に塗布方式や蒸着方式等の適宜な方式で直接設けられていてもよいし、反射防止層を透明基材で支持してそのシートを導光板の下面に粘着層等の適宜な接着手段を介し接着する方式などにより設けられていてもよく、その形成方式について特に限定はない。
【００４４】
上記のように本発明による面光源装置は、光の利用効率に優れて明るくて垂直性に優れる光を提供し、大面積化等も容易であることより反射型液晶表示装置等におけるフロントライトシステムなどとして種々の装置に好ましく適用でき、明るくて見やすく低消費電力の反射型液晶表示装置等を得ることができる。なお面光源装置の点灯・消灯は適宜な方式にて行うことができる。
【００４５】
図１に本発明による面光源装置１をフロントライトシステムに用いた反射型液晶表示装置を例示した。２が反射型の液晶表示パネルであり、２２が液晶層、２３がセル基板でこれらが液晶セルを形成し、２４が偏光板、２１が反射層である。反射型液晶表示装置は、図例の如く面光源装置の光出射側、すなわち導光板１１の下面側に反射層を具備する液晶セルを配置することにより形成することができる。
【００４６】
反射型液晶表示装置は一般に、液晶シャッタとして機能する透明電極具備の液晶セルとそれに付随の駆動装置、偏光板、フロントライト、反射層及び必要に応じての拡散層や補償用位相差板等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成される。本発明においては、上記した面光源装置をフロント側に用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成することができる。なお図例では、透明電極の記入を省略している。
【００４７】
従って用いる液晶セルについては特に限定はなく、例えば液晶の配向形態に基づく場合、ＴＮ液晶セルやＳＴＮ液晶セル、垂直配向セルやＨＡＮセル、ＯＣＢセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用いうる。また液晶の駆動方式についても特に限定はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な駆動方式であってよい。
【００４８】
反射型液晶表示装置では、反射層の配置が必須であるが、その配置位置については図１に例示の如く液晶表示パネル２の外側に設けることもできるし、セル基板に付設するなどして液晶セルの内側に設けることもできる。その反射層については、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従来に準じた適宜な反射層として形成することができる。また液晶セルの内部に設ける反射層は、例えば透明導電膜などにて形成することができる。
【００４９】
偏光板としては、適宜なものを用いうるが、高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比の表示を得る点などよりは、例えばヨウ素系や染料系の吸収型直線偏光子などの如く偏光度の高いものが好ましく用いうる。なお反射型液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散層や保護層、補償用の位相差板などの適宜な光学素子を適宜に配置することができる。その場合、拡散層としては表示像を乱さない程度の弱い拡散能を示すものが好ましく用いられる。
【００５０】
一方、前記した補償用位相差板は、複屈折の波長依存性などを補償して視認性の向上等をはかることを目的とするものであり、視認側又は／及び背面側の偏光板と液晶セルの間等に必要に応じて配置される。補償用の位相差板としては、波長域などに応じて適宜なものを用いることができ、１層又は２層以上の位相差層の重畳層として形成されていてもよい。
【００５１】
本発明による反射型液晶表示装置の視認は、面光源装置、特にその導光板の長辺面の透過光を介して行われる。すなわち面光源装置の点灯時には、導光板の下面より出射した光が偏光板と液晶層等を経由して反射層を介し反射され、液晶層と偏光板等を逆経由して導光板に至り長辺面を透過した表示像が視認される。その場合、強い漏れ光は液晶セルに対して垂直な正面方向とは角度が大きくズレた方向に出射し、正面方向に出射する漏れ光は弱いことから長辺面を介して正面方向の近傍で表示品位に優れる表示像を視認することができる。
【００５２】
一方、面光源装置が消灯の外光を利用した場合においても、導光板の上面の長辺面より入射した光が偏光板や液晶層や反射層等を前記に準じ透過・逆経由して導光板に至り、長辺面を透過した表示像が正面方向の近傍で導光板による乱れ等が少ない表示品位に優れる状態で視認することができる。
【００５３】
上記した面光源装置や液晶表示装置を形成する導光板や液晶セルや偏光板等の光学素子ないし部品は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点よりは、固着状態にあることが好ましく、少なくとも面光源装置における導光板の下面と液晶セルの上面が固着密着状態にあることが好ましい。その固着密着処理には、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができ、その透明接着層に透明粒子等を含有させて拡散機能を示す接着層などとすることもできる。
【００５４】
【実施例】
例１
ダイヤモンドバイトにて表面を所定形状に切削して形成した金型中子を装着した金型を８０℃に加温し、それに２６０℃で加熱溶融したポリメチルメタクリレートを充填して導光板を得た。この導光板は、幅４０mm、奥行２５mm、入射側面の厚さ１mm、対向端の厚さ０．６mmであり、上面及び下面は平坦で、上面に入射側面に平行なプリズム状凹凸（θ＝０）を２１０μmのピッチで有し、短辺面の傾斜角が４２．５〜４３度の範囲、長辺面の傾斜角が１．８〜３．５度の範囲で変化し、最寄り長辺面の傾斜角変化が０．１度以内にあり、短辺面の下面に対する投影幅が１０〜１６μm、長辺面／短辺面の下面に対する投影面積比が１２倍以上のものである。なおプリズム状凹凸は、入射側面より２mm離れた位置より形成した。
【００５５】
前記導光板の下面側にＴＮ型反射型液晶パネルを配置した後、その導光板の入射側面に有効発光領域の一端から３０mmの位置に幅２０mmの第１の黒テープ、他端から２０mmの位置に幅２０mmの第２の黒テープを巻付けた直径２mm、長さ１９５mmの冷陰極管（ウエスト電気社製）からな線状光源を密接配置し（ｄ＝０）、黒テープ間を銀反射シートからなるホルダにて包囲して線状光源にインバータと直流電源を接続し反射型液晶表示装置を得た。面光源装置は、その電源のオン／オフを介して点灯／消灯を設定することができる。
【００５６】
前記の反射型液晶表示装置について、その点灯状態の線状光源の位置を左右に移動させて正面方向及び左右３０度の斜視方向における影の発生状態を調べた。評価は、影の発生がない場合を○、弱い影が発生した場合を△、明瞭な影が発生した場合を×とした。なお線状光源の第１の黒テープの内側端が入射側面の左端と一致する位置を基準（０）として導光板の内側方向を−、外側方向を＋とした。その結果を表１に示した。
【００５７】
例２
厚さ２mmのスペーサと、導光板両側の当て板を介して入射側面より２mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝２）ほかは例１に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表２に示した。
【００５９】
例３
入射側面より４mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝４）ほかは例２に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表３に示した。
【００６１】
例４
例１に準じプリズム状凹凸の稜線を入射側面に対して２３度の角度で右上がりに傾斜させた導光板（θ＝２３）を形成し、それを用いて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。なおその場合、導光板の右端側についても線状光源の第２の黒テープの内側端が入射側面の右端と一致する位置を基準（０）として導光板の内側方向を−、外側方向を＋として影の発生状態を調べた。その結果を表４に示した。
【００６３】
例５
厚さ２mmのスペーサと、導光板両側の当て板を介して入射側面より２mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝２）ほかは例４に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表５に示した。
【００６５】
例６
入射側面より４mm離れた位置に線状光源を配置した（ｄ＝４）ほかは例５に準じて面光源装置と反射型液晶表示装置を得、その反射型液晶表示装置の影を調べた。その結果を表６に示した。
【００６７】
上記した表１〜３よりθ＝０（凹凸の稜線が平行）の条件では、１mm＋ｄ／２以上の突出長（Ｔ２）を持たせることで影の発生を防止できていることがわかり、導光板の右端側についても同様の結果が得られた。なお影が発生した場合において、その影は発光の著しい不均一さに基づき、表示を見にくくするものであった。
【００６９】
一方、表４〜６よりθ≠０（凹凸の稜線の傾斜）の条件では、θ＝０の場合と同様にｄ（導光板と光源間の距離）による影の発生状態の変化が現れると共に、表５，６と表２，３の対比より稜線が傾斜することで１１ｆ側における影の発生範囲が大きくなり、１mm＋ｄ・sinθ＋ｄ／２以上の突出長（Ｔ１）を持たせることで影の発生を防止できていることがわかる。
【００７０】
一方、導光板の１１ｆ側と反対側の右端側については、有効発光領域が導光板の内側にあっても影の発生しないときもあるが（表４）、その場合にても導光板両サイド間の全体における影の発生を防止する点よりは、２mm＋ｄ以上の有効発光領域長さが求められることがわかる。なお上記においてｄが大きくなるほど影発生の境界が判別しにくくなり、影自体も薄くなる傾向があった。
【００７１】
他方、光源を消灯した外光照明では明瞭な表示を達成することができた。以上より、本発明による面光源装置を用いることにより、点灯時及び消灯時のいずれのときにも明るさの均一性に優れて明瞭な表示のフロントライト式反射型液晶表示装置の得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図１】反射型液晶表示装置例の側面説明図
【図２】導光板におけるプリズム状凹凸の側面説明図
【図３】線状光源配置例の説明図
【図４】他の線状光源配置例の説明図
【符号の説明】
１：面光源装置
１１：導光板
１１ａ：上面
１１a1：短辺面
１１a2：長辺面
１１ｂ：下面
１１ｃ：入射側面
１２：線状光源
２：液晶表示パネル
２１：反射層
２２：液晶層
２３：セル基板
２４：偏光板
Claims (2)
- 入射側面からの入射光を上面に形成した光出射手段を介して下面より出射し、かつ下面からの入射光が上面より透過する導光板の前記入射側面に、その面の長手方向の長さよりも有効発光領域の長さが大きい線状光源を配置してなり、前記導光板の下面側で形成された情報光をその導光板の上面側より透視するためのフロントライトシステム用の面光源装置であり、
導光板における光出射手段が短辺面と長辺面からなるプリズム状凹凸の５０μ m 〜１．０ mm ピッチの繰返し構造よりなり、かつ前記短辺面が下面の基準平面に対し３０〜４５度の傾斜角で入射側面側よりその対向端側に下り傾斜する斜面からなると共に、前記長辺面が当該基準平面に対し０〜１０度の傾斜角範囲にあってその全体の角度差が５度以内であり、最寄りの長辺面間における傾斜角差が１度以内で、しかも当該基準平面に対する投影面積が短辺面のそれの５倍以上である斜面からなり、
導光板の光出射手段を形成するプリズム状凹凸の稜線が入射側面の基準平面に対し±３０度以内の傾斜範囲にあり、
入射側面に対するプリズム状凹凸の稜線の傾斜角をθ、入射側面と線状光源の先端面との間隔をｄとしたとき、導光板におけるプリズム状凹凸の稜線が線状光源より遠離る側に基づいてその端面よりも、線状光源の有効発光領域の端が式：１ mm ＋ｄ・ sin θ＋ｄ／２による算出値以上に突出した状態にある面光源装置。 - 請求項１に記載の面光源装置の下面側に、反射層を有する液晶セルを配置してなる反射型液晶表示装置。
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