JP4386352B2 - 内装用シート - Google Patents
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Description
図1に示すように、内装用シート1は、ニードルパンチによる繊維表面を有し、ニードルパンチ不織布からなる第1層2と、第1層2に接合されたニードルパンチ不織布からなる第2層3とを有する。ここで、ニードルパンチによる繊維表面とは、ニードルパンチによって形成されるU字状、ループ状および平滑な繊維表面の少なくとも1つをいう。
第1層2は、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系繊維と、脂肪族ポリエステル系繊維よりも融点が低く生分解性を有する第1熱融着性繊維とからなり、第1熱融着性繊維の混合率が5〜50質量%の範囲とするニードルパンチ不織布であって、脂肪族ポリエステル系繊維間が第1熱融着性繊維で熱融着されている。
脂肪族ポリエステル系繊維は、生分解性を有する脂肪族ポリエステルよりなる短繊維または長繊維である。ニードルパンチ不織布の製造のしやすさから、短繊維が好ましい。また、繊維の繊度は6〜50デシテックスの範囲であるのが好ましく、6〜30デシテックスがより好ましい。繊度が6デシテックス未満であると、繊維強度が弱くなり、内装用シートの耐摩耗性が低下する。また、繊度が50デシテックスを超えると、後記する第1熱融着性繊維で熱融着された際、繊維間の接着強度が低下し、内装用シートの強度が低くなる。この脂肪族ポリエステル系繊維の断面形状は通常の丸断面のほかに三角断面、Y型断面、十字断面、偏平断面等の異型断面であってもよい。
(a)ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)、または、これらを主たる繰り返し単位とする共重合体があげられる。
(b)ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、または、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロネート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)、または、これらの繰り返し単位とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートの繰り返し単位との共重合体などがあげられる。
(c)グリコールとジカルボン酸の重縮合体からなるポリアルキレンアルカノエート、例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート、または、これらを主たる繰り返し単位とするポリアルキレンアルカノエート共重合体などがあげられる。
第1熱融着性繊維は、短繊維または長繊維のいずれであってもよく、ニードルパンチ不織布の製造のしやすさから、短繊維が好ましい。また、繊維の繊度は2〜20デシテックスの範囲であるのが好ましい。繊度が2デシテックス未満であると、前記脂肪族ポリエステル系繊維との混合がしにくくなる。また、繊度が20デシテックスを超えると、熱融着がしにくくなり、脂肪族ポリエステル系繊維間の接着強度が低下する。この第1熱融着性繊維の断面形状は通常の丸断面のほかに三角断面、Y型断面、十字断面、偏平断面等の異型断面であってもよい。
ニードルパンチ不織布は、前記脂肪族ポリエステル系繊維と、混合率5〜50質量%で混合される第1熱融着性繊維とからなる。混合率が5質量%未満であると、脂肪族ポリエステル系繊維間の熱融着が不足し、繊維間の接着力が低下する。その結果、内装用シートの耐摩耗性および形態保持性が低下する。また、混合率が50質量%を超えると、脂肪族ポリエステル系繊維との混合しにくくなると共に、ニードルパンチ不織布が硬くなりすぎて、加工性が低下する。また、ニードルパンチ不織布の隠蔽性がなくなり、下層(基材、第2層)が透けて見え、外観品位が低下する。
第2層3は、生分解性を有する難燃性繊維と、前記脂肪族ポリエステル系繊維よりも融点が低く生分解性を有する第2熱融着性繊維とからなり、第2熱融着性繊維の混合率が5〜50質量%の範囲とするニードルパンチ不織布であって、難燃性繊維間が第2熱融着性繊維で熱融着されている。
本発明において、難燃性繊維はJISL1091で規定されたLOI値(限界酸素指数)23以上を有する繊維で、獣毛繊維が好ましい。獣毛繊維は、例えば、羊、アルパカ、ラマ、らくだ、やく、うさぎ(アンゴラうさぎを含む)およびアンゴラやぎ、チベットやぎ、カシミヤやぎ、その他これらに類するやぎの毛からなる繊維で、羊毛(ウール)からなる繊維が特に好ましい。
第2熱融着性繊維は、短繊維または長繊維のいずれであってもよく、ニードルパンチ不織布の製造のしやすさから、短繊維が好ましい。また、繊維の繊度は2〜20デシテックスの範囲であるのが好ましい。繊度が2デシテックス未満であると、前記難燃性繊維との混合がしにくくなる。また、繊度が20デシテックスを超えると、熱融着がしにくくなり、難燃性繊維間の接着強度が低下する。この第2熱融着性繊維の断面形状は通常の丸断面のほかに三角断面、Y型断面、十字断面、偏平断面等の異型断面であってもよい。
ニードルパンチ不織布は、前記難燃性繊維と、混合率5〜50質量%で混合される第2熱融着性繊維とからなる。混合率が5質量%未満であると、難燃性繊維間の熱融着が不足し、繊維間の接着力が低下し、内装用シートとしての耐摩耗性、形態保持性および加工性が低下する。また、混合率が50質量%を超えると、難燃性繊維との混合しにくくなると共に、ニードルパンチ不織布が硬くなりすぎたり、難燃性が低下する。
次に、本発明の内装用シートの他の実施形態について説明する。図2(a)〜(c)に示すように、内装用シート1は、第1層2および第2層3の少なくとも一層以上の下側に、生分解性を有する高分子材料からなる基材4を備えるものである。第1層2および第2層3は、前記と同様であるので説明を省略する。
基材4は、生分解性を有する高分子材料の織編物、不織布またはフィルムからなり、高分子材料としては、前記第1熱融着性繊維で例示した合成高分子または天然高分子から適宜選択し、合成高分子としては脂肪族ポリエステルが好ましく、ポリ乳酸がより好ましい。また、基材4は、織編物または不織布である場合には目付量が50〜200g/m2であることが好ましく、フィルムの場合には膜厚が10〜300μmであることが好ましい。目付量50g/m2未満または膜厚10μm未満であると内装用シートの外観の向上が認められず、目付量200g/m2を超える、または膜厚300μmを超えると内装用シートの加工性と難燃性が低下する。
次に、本発明の内装用シートの製造方法について図3を参照して説明する。まず、図1の二層の内装用シートは、以下の工程で製造される。
(1)原綿の準備(S1a、S1b)
第1層のニードルパンチ不織布の原料である脂肪族ポリエステル系繊維および第1熱融着性繊維の原綿を、ニードルパンチ不織布の目付量にしたがって、所定量計量する(S1a)。また、同様に第2層のニードルパンチ不織布の原料である難燃性繊維および第2熱融着性繊維の原綿を、ニードルパンチ不織布の目付量にしたがって、所定量計量する(S1b)。
計量された各原綿を、所定の混合率で混合し、第1混綿および第2混綿を作製する。ここで、第1混綿における第1層の第1熱融着性繊維の原綿の混合率は5〜50質量%(S2a)、第2混綿における第2層の第2熱融着性繊維の原綿の混合率は5〜50質量%(S2b)である。
第1および第2混綿をカード機にかけ、繊維をひきそろえ、第1繊維シートおよび第2繊維シートを作製する。
第1および第2繊維シートを、それぞれクロスラップして、第1積層シートおよび第2積層シートを作製する。
第2積層シートの上面に第1積層シートを積層し、ニードルパンチ機にかけて、第1および第2積層シートの繊維同士を絡合して、ニードルパンチ不織布を作製する。なお、第1および第2積層シートのそれぞれをニードルパンチ機にかけて、2つのニードルパンチ不織布を作製し、2つのニードルパンチ不織布を積層して、再度、ニードルパンチ機にかけて一体化してもよい。
作製されたニードルパンチ不織布に、脂肪族ポリエステル系繊維の融点以下、かつ、第1および第2熱融着性繊維の融点以上の温度で熱処理して二層の内装用シートを作製する。
(4−2)基材の準備(S7)
前記(4−1)(S4a)の後に、織編物、不織布またはフィルムからなる基材を作製する。不織布の場合には、前記(1)(S1a、S1b)〜(4−1)(S4a、S4b)と同様にして積層シートを作製してニードルパンチすることによって作製する。織編物の場合には、従来公知の織編機での作製方法で作製する。フィルムの場合も、従来公知の押出機での作製方法で作製する。
作製された基材の上面に、前記(4−1)(S4a)で作製された第1積層シートを積層し、ニードルパンチ機にかけて、基材および第1積層シートの繊維同士を絡合して、第1ニードルパンチ不織布を作製する。
本発明の特許請求範囲を満足する内装用シートを実施例1〜3、比較対照として本発明の特許請求範囲を満足しない内装用シートを比較例1〜6とした。なお、二層内装用シート、基材を第2層の下側に接合した三層内装用シートを参照例1〜3とした。その具体的な構成、製造は以下のとおりである。
(参照例1)
図1、表1に示す二層内装用シートを作製した。まず、第1層の脂肪族ポリエステル系繊維には繊度7〜17デシテックス、融点170℃のラクトロン(登録商標)繊維(カネボウ合繊(株)製のポリ乳酸生分解性繊維)を80質量%、第1熱融着性繊維には繊度6.6デシテックス、融点130℃のラクトロン(登録商標)繊維を20質量%使用し、図3のS1a〜S4aの工程で目付量230g/m2の第1層としての不織布を作製した。
図2(a)、表1に示す三層内装用シートを作製した。まず、第1層の脂肪族ポリエステル系繊維には繊度7〜17デシテックス、融点170℃のラクトロン(登録商標)繊維を80質量%、第1熱融着性繊維には繊度6.6デシテックス、融点130℃のラクトロン(登録商標)繊維を20質量%使用し、図3のS1a〜S4aの工程で第1層としての目付量230g/m2の不織布を作製した。次に、図3のS7の工程で、基材として厚み約200μm、目付量140g/m2のPLA(生分解性ポリ乳酸製)テープヤンクロスを使用し、基材を第1層の下側に配置し、S8の工程でニードルパンチによって第1層の基材を接合した。
図2(b)、表1に示す三層内装用シートを作製した。図3のS7、S8の基材の接合を第2層で行うこと(図3のS1b〜S4bの工程の後で行うこと)以外は、実施例1と同様にして作製した。
図2(c)、表1に示す四層内装用シートを作製した。図3のS7、S8の基材の接合を第1層および第2層の両者で行うこと(図3のS1a〜S4aの工程の後、およびS1b〜S4bの工程の後の両者で行うこと)以外は、実施例1と同様にして作製した。
第2層の目付量を200g/m2とすること以外は、参照例1と同様にして二層内装用シートを作製した。
第2層の目付量を200g/m2とすること以外は、実施例1と同様にして三層内装用シートを作製した。
第1層として脂肪族ポリエステル系繊維を100質量%使用し、第1熱融着性繊維を0質量%とすること以外は、実施例1と同様にして二層内装用シートを作製した。
第1層として脂肪族ポリエステル系繊維を40質量%、第1熱融着性繊維を60質量%使用すること以外は、実施例1と同様にして二層内装用シートを作製した。
第2層として難燃性繊維を100質量%使用し、第2熱融着性繊維を0質量%とすること以外は、実施例1と同様にして二層内装用シートを作製した。
第2層として難燃性繊維を40質量%、第2熱融着性繊維を60質量%使用すること以外は、実施例1と同様にして二層内装用シートを作製した。
第1層として脂肪族ポリエステル系繊維を100質量%使用し、第1熱融着性繊維を0質量%とすること以外は、実施例2と同様にして三層内装用シートを作製した。
(比較例6)
図4に示すウールタフトカーペットを作製した。まず、繊度6.6デシテックス、融点130℃のラクトロン(登録商標)繊維とウールを10:90の質量割合で混合し、紡毛方式により紡績後、撚糸して番手2/4.0Nmの紡績糸を得た。得られた紡績糸を140℃、30秒間熱処理を施した。この紡績糸を使用して、1m当り305スティッチでパイル高さ10mm、1/8inゲージのタフティングを行った。さらにジュート二次裏地の積層を含むラテックスバッキングを行い、ウールタフトカーペットを作製した。
(外観品位)
外観品位は、内装用シートの第1層側から下層(第2層または基材)が透けて見えないかどうかを目視にて評価した。下層が透けて見えない場合を良好(○)、下層が透けて見える場合を不良(×)とした。
JISL1023に準拠した耐磨耗性試験を行った。磨耗輪はH38を使用し、1kg荷重で1000回、内装用シートの第1層側をこすり、その後、外観変化を目視で評価した。変化がほとんどない場合を良好(○)、変化が激しい場合を不良(×)とした。
内装用シートの第1層側にバーナーがあたるようにして、JISL1091に準拠した45度ミクロバーナー法で評価した。残炎、炭化長の両者がJIS規格内の場合を良好(○)、残炎、炭化長のどちらかが規格外の場合をやや良好(△)、残炎、炭化長の両者が規格外の場合を不良(×)とした。
内装用シートの製造工程での加工のしやすさを評価した。加工がしやすい場合を良好(○)、加工できるがトラブルが発生する場合をやや良好(△)、加工できない場合を不良(×)とした。
内装用シートをISO14855に準拠した方法で評価した。内装用シートをコンポスト機で58±2℃の状態に6ヶ月間放置し、放置後の内装用シートの状態を目視にて評価した。内装用シートがほぼ分解された場合を良好(○)、未分解物が多数ある場合を不良(×)とした。
2 第1層
3 第2層
4 基材
Claims (6)
- ニードルパンチによる繊維表面を有する内装用シートにおいて、前記内装用シートは、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系繊維と、前記脂肪族ポリエステル系繊維よりも融点が低く生分解性を有する第1熱融着性繊維とからなり、前記第1熱融着性繊維の混合率が5〜50質量%の範囲とするニードルパンチ不織布である第1層と、
前記第1層の上側または下側に配置され、生分解性を有する難燃性繊維と、前記脂肪族ポリエステル系繊維よりも融点が低く生分解性を有する第2熱融着性繊維とからなり、前記第2熱融着性繊維の混合率が5〜50質量%の範囲とするニードルパンチ不織布である第2層とを備え、
前記脂肪族ポリエステル系繊維間が前記第1熱融着性繊維で熱融着されると共に、
前記難燃性繊維間が前記第2熱融着性繊維で熱融着され、
前記第1層と前記第2層との間に、生分解性を有する高分子材料の織編物または不織布からなる基材を備えることを特徴とする内装用シート。 - 前記基材の前記織編物が、テープヤンクロスであることを特徴とする請求項1に記載の内装用シート。
- 前記基材の高分子材料が、脂肪族ポリエステルまたは天然高分子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内装用シート。
- 前記第1層の脂肪族ポリエステル系繊維が、ポリ乳酸繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内装用シート。
- 前記第1および第2熱融着性繊維が、ポリ乳酸繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の内装用シート。
- 前記難燃性繊維が、獣毛繊維であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の内装用シート。
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