以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る機能液滴吐出ヘッドの保管装置について説明する。本実施形態の保管装置(保管庫)は、特殊なインクや発光性の樹脂液等の機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用いてカラーフィルタなどの電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)の製造に供される液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドの供給、交換に備えて機能液滴吐出ヘッドを保管する際、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に保管液を充填して保管するためのものである。なお、この保管液は、機能液滴吐出ヘッドを保管する際にヘッド内流路に充填されてヘッド内部の酸化やヘッド内への異物の進入を防止する液体であって、機能液滴吐出ヘッドに導入する機能液の溶媒などが用いられる。
そこで、機能液滴吐出ヘッドの保管装置の説明に先立ち、本実施形態の保管装置により保管された機能液滴吐出ヘッドを投入した液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。
はじめに、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図1は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図2は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S11)では、図2(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
続いて、バンク形成工程(S12)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図2(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図2(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド3により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置精度が向上する。
次に、着色層形成工程(S13)では、図2(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド3によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド3を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S14)に移り、図2(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
図3は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図2に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図3において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
実施形態の液滴吐出装置Aは、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド3で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド3で行うことも可能である。
図4は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
図5は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
次に、図6は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレン領域607bに接続されている。
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の何れかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。発光層形成材料としては、公知の材料を用いることができる。
また、第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
次に、上記の表示装置600の製造工程を図7〜図15を参照して説明する。
この表示装置600は、図7に示すように、バンク部形成工程(S21)、表面処理工程(S22)、正孔注入/輸送層形成工程(S23)、発光層形成工程(S24)、および対向電極形成工程(S25)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
まず、バンク部形成工程(S21)では、図8に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図9に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
表面処理工程(S22)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド3を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置Aのセットテーブル(図示省略)に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S23)および発光層形成工程(S24)が行われる。
図10に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S23)では、機能液滴吐出ヘッド3から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図11に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
次に発光層形成工程(S24)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
そして次に、図12に示すように、各色のうちの何れか(図12の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図13に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
同様に、機能液滴吐出ヘッド3を用い、図14に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S25)に移行する。
対向電極形成工程(S25)では、図15に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
次に、図16は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置Aを用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板126を液滴吐出装置Aのセットテーブルに載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド3により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド3から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
次に、図17は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置Aを用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置Aを用いて形成することができる。
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図18(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図18(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置Aによるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置Aによるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置Aを各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
次に、本実施形態の液滴吐出装置について説明する。図19に示すように、この液滴吐出装置Aは、上述した特殊なインクや発光性の樹脂液等の機能液を機能液滴吐出ヘッド3に導入して、基板等のワークWに機能液滴による成膜部を形成するものである。
液滴吐出装置Aは、単一のサブキャリッジ2に複数の機能液滴吐出ヘッド3を搭載したヘッドユニット1をメインキャリッジ4にセットし、これをY軸方向およびθ軸方向に移動させるヘッド移動部101と、ヘッド移動部101に対峙し、ワークWをX軸方向に移動させるワーク移動部102と、ヘッドユニット1の機能液滴吐出ヘッド3を保全するメンテナンス部103とを備えている。
ヘッド移動部101は、これに搭載したヘッドユニット1を、ワーク移動部102を挟んでユニット投入部104とメンテナンス部103との間で移動させる。ヘッドユニット1を投入セットする場合には、ヘッド移動部101がユニット投入部104側に移動し、メインキャリッジ4から側方に突出するように設けた仮置き部材5がユニット投入部104に臨んでいる。ヘッドユニット1は、この仮置き部材5上に仮置きされ配管および配線を繋ぎ込んだ後、メインキャリッジ4に送り込むようにしてセットされる。そして、ヘッドユニット1の初期位置決めを行う準備工程では、メインキャリッジ4のθ回転機構(図示省略)によりヘッドユニット1のθ軸方向への微小移動(角度補正)が行われるが、機能液を吐出する描画工程では、ワークWがX軸方向にかつヘッドユニット1がY軸方向に移動して、機能液滴吐出ヘッド3の主走査および副走査が行われる。なお、メンテナンス部103には吸引キャップ106が配置され、描画工程開始前に機能液滴吐出ヘッド3に残留する液体を吸引キャップ106により吸引除去するクリーニングを行う。
ヘッドユニット1には、12個の機能液滴吐出ヘッド3を備えた第1ヘッドユニット1aと、2個の機能液滴吐出ヘッド3を備えた第2ヘッドユニット1bとが用いられ、これらヘッド移動部101に対し交換セット可能に構成されている。第1ヘッドユニット1aは、比較的多量の機能液をワークWに吐出する場合などに用いられ、例えば、上記のカラーフィルタ500の着色層508を形成する場合に使用される。一方、第2ヘッドユニット1aは、比較的少量の機能液をワークWに吐出する場合や、新規の機能液をテスト描画する場合などに用いられる。
図20に示すように、第1ヘッドユニット1aは、第1サブキャリッジ2aと、第1サブキャリッジ2aに搭載した12個の機能液滴吐出ヘッド3と、各機能液滴吐出ヘッド3を第1サブキャリッジ2aに個々に取り付けるための12個のヘッド保持部材12(図22参照)とを備えている。12個の機能液滴吐出ヘッド3は、6個ずつ左右に二分され、Y軸方向に対し所定の角度傾けて配設されている。また、各6個の機能液滴吐出ヘッド3は、Y軸方向に対し相互に位置ずれして配設され、12個の機能液滴吐出ヘッド3の全ノズル68(後述する)が、外端部の一部のノズル68を重複させているもののY軸方向において連続(描画ライン)するようになっている。すなわち、実施形態のヘッド配列は、第1サブキャリッジ2a上において、同一方向に傾けて配置した6個の機能液滴吐出ヘッド3を2列としたものであり、且つ各ヘッド列間において機能液滴吐出ヘッド3が相互に180°回転した配置となっている。
第1サブキャリッジ2aは、一部が切り欠かれた略方形の第1ヘッドプレート11aと、第1ヘッドプレート11aの両長辺部分に取り付けた左右一対の支持部材15,15と、両支持部材15の端部に設けた左右一対のハンドル16,16とを有している。左右のハンドル16,16は、例えば組み立てた第1ヘッドユニット1aを上記のヘッド移動部101(のユニットホルダ(図示省略))に載せ込む場合に、第1ヘッドユニット1aを手持ちするための部位となる。また、各支持部材15には、ユニットホルダにねじ止め固定するため一対の固定孔17,17と、一対の固定孔17,17の間に位置して位置決め用の位置決め孔18が形成されている。なお、後述するヘッドセット部205に第1ヘッドユニット1aをセットする場合も、この固定孔17および位置決め孔18を利用する。さらに、第1サブキャリッジ2aには、ハンドル16側の端部に位置させて、各機能液滴吐出ヘッド3に配管アダプタ19(図22参照)を介して接続されるヘッド側配管部材20と、液滴吐出装置Aの機能液供給系に連なる装置側配管部材(図示省略)とを着脱自在に接続する第1導入口接続アタッチメント21aが設けられている。
第1導入口接続アタッチメント21aは、第1サブキャリッジ2aのハンドル16側の端部に固定される横長の第1ジョイントプレート23aを備えており、この第1ジョイントプレート23aに、上下2列で計12個のソケット24を2個のヘッド側管継手25を介して固定し、各ソケット24の一端部に、各ヘッド側配管部材20をヘッド側管継手25を介して接続すると共に、各ソケット24の他端部には装置側流入パイプが接続されるように構成されている。もっとも、装置側流入パイプをプラグに接続し、そのプラグをソケット24の他端部に抜き差し自在に接続する構成とすることがより好ましい。
なお、詳細は後述するが、第1導入口接続アタッチメント21aは、第1ヘッドユニット1aを保管装置Baに投入した際、ヘッド側配管部材20と、保管装置Baの保管液タンク262に連なる個別流入パイプ265とを接続する部材でもあり、ソケット24が機能液滴吐出ヘッド3に対する接続部となる。
さらに、第1サブキャリッジ2aには、左右2列の機能液滴吐出ヘッド群の上側に位置して、これら機能液滴吐出ヘッド3に接続される左右一対の配線接続アッセンブリ(図示省略)が設けられている。そして、各配線接続アッセンブリは、液滴吐出装置Aの制御系に配線接続されるようになっている。
第1ヘッドユニット1aに搭載された12個の機能液滴吐出ヘッド3は、カラーフィルタ500の着色層508のR・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)に対応するように、4個ずつ3系統3R・3G・3Bに分割されている。すなわち、12個の機能液滴吐出ヘッド3の全ノズル68で構成される描画ラインを、4個のヘッド単位で、連続するR系描画ライン、G系描画ライン、B系描画ラインの3系統に分断し、各系統に対応する機能液滴吐出ヘッド3R・3G・3BにR・G・Bの3色の機能液が1種類ずつ導入されるようになっている。そして、上記の12個のソケット24は、第1ヘッドユニットの機能液滴吐出ヘッド3の3系統3R・3G・3Bに対応して、4個ずつ3系統に分けられている。
一方、第2ヘッドユニット1bは、図21に示すように、第2サブキャリッジ2bと、第2サブキャリッジに搭載した2個の機能液滴吐出ヘッド3と、各機能液滴吐出ヘッド3を第2サブキャリッジに個々に取り付けるための2個のヘッド保持部材12(図22参照)とを備えている。2個の機能液滴吐出ヘッド3は、上記と同様にY軸方向に対し所定の角度傾けて配設されていると共に、Y軸方向に対し相互に位置ずれして配設され、2個の機能液滴吐出ヘッド3の全ノズル68がY軸方向において連続(描画ライン)するようになっている。すなわち、第2ヘッドユニットでは、第1ヘッドユニットにおける12個の機能液滴吐出ヘッド3の配置パターンにより、2個の機能液滴吐出ヘッド3が配置されている。
第2サブキャリッジ2bは、方形の第2ヘッドプレート11bと、第2ヘッドプレート11bを吊設支持するヘッドホルダ42と、ヘッドホルダ42の上側に配設した支持プレート43を有している。支持プレート43は、液滴吐出装置Aに投入する場合に、メインキャリッジ4により支持されるための部位となる。支持プレート43には、第1あおり調整機構44および第2あおり調整機構47が設けられており、2個の機能液滴吐出ヘッド3のノズル面66の平行度を調整できるようになっている。第1あおり調整機構44は、X軸方向に配設された第1あおり調整ねじ45および第1ホルダ支持部材46とを有しており、X軸方向のあおりを調整する。同様に、第2あおり調整機構47は、Y軸方向に配設された第2調整ねじ48および第2ホルダ支持部材49とを有しており、Y軸方向のあおりを調整する。さらに、第2サブキャリッジ2bには、支持プレート43の第2ホルダ支持部材49側の端部に位置させて、各機能液滴吐出ヘッド3に配管アダプタ19(図22参照)を介して接続されるヘッド側配管部材20(図21では図示せず)と、液滴吐出装置Aの機能液供給系に連なる装置側配管部材とを着脱自在に接続する第2導入口接続アタッチメント21bが設けられている。
第2導入口接続アタッチメント21bは、第1導入口接続アタッチメント21aと略同様の構成となっており、第2ジョイントプレート23bに2個のソケット24を2個のヘッド側管継手25を介して固定し、各ソケット24の一端部に、各ヘッド側配管部材20をヘッド側管継手25を介して接続すると共に、各ソケット24の他端部には装置側流入パイプが接続されるように構成されている。また、第2導入口接続アタッチメント21bは、第1導入口接続アタッチメント21aと同様に、第2ヘッドユニット1bを保管装置Baに投入した際、ヘッド側配管部材20と、保管装置Baの保管液タンク262に連なる個別流入パイプ265とを着脱自在に接続する部材ともなる。
また、第2サブキャリッジ2bには、第1サブキャリッジ2aと同様に、液滴吐出装置Aの制御系に配線接続される配線接続アッセンブリが設けられている。さらに、詳細は後述するが、第2サブキャリッジには、支持プレート43の第1あおり調整機構44の両側端部に位置させて、第2ヘッドユニット1bメインキャリッジ4のθ回転機構(図示省略)に取り付けるための一対のセット部材50,50が設けられている。また、この一対のセット部材50,50は、第2ヘッドユニット1bを後述するセット治具を介して保管装置Baにセットするためにも用いられる。このため、第1サブキャリッジ2aと同様に、各セット部材には、一対の固定孔57,57と、一対の固定孔57,57の間に位置して位置決め用の位置決め孔58が形成されている。
なお、図示では省略したが、第1サブキャリッジ2aには、第1ヘッドユニット1aを保持するユニットホルダが設けられており、ユニットホルダにも上記のセット部材50と同一形態のセット部材が設けられている。すなわち、第1サブキャリッジ2aと第2サブキャリッジ2bはヘッド移動部101のθ回転機構の下側において、交換セット可能に構成されている。
第2ヘッドユニット1bに搭載された2個の機能液滴吐出ヘッド3は、R・G・Bの3色の機能液のうち2色(例えばR・G)に対応するように、1個ずつ2系統3R・3Gに分割されている。すなわち、2個の機能液滴吐出ヘッド3の全ノズル68で構成される描画ラインを、ヘッド単位で、連続するR系描画ライン、G系描画ラインの2系統に分断し、各系統に対応する機能液滴吐出ヘッド3R・3GにR・Gの2色の機能液が1種類ずつ導入されるようになっている。そして、上記の2個のソケット24は、第2ヘッドユニットの機能液滴吐出ヘッド3の2系統3R・3Gに対応して、1個ずつ2系統に分けられている。
なお、第1ヘッドユニット1aにおける機能液滴吐出ヘッド3の個数や列数、さらに配置パターンは任意であり、第2ヘッドユニット1bにおいても、第1ヘッドユニット1aの機能液滴吐出ヘッド3の個数よりも少ない個数の機能液滴吐出ヘッド3が同一の配置パターンで搭載されていれば、他の構成であってもよい。また、各系統の機能液滴吐出ヘッド3に単一の機能液を導入するのであれば他の機能液を導入してもよく、さらに、ワークWに対して1種類のみの機能液を吐出する場合はヘッドユニット1に搭載されたすべての機能液滴吐出ヘッド3に同じ機能液を導入してもよい。
機能液滴吐出ヘッド3は、いわゆる2連のものであり、図22に示すように、2連の針状の機能液導入口62を有する液体導入部61と、液体導入部61の側方に連なる2連のヘッド基板63と、液体導入部61の下方(図22(a)では上方)に連なる2連のポンプ部64(圧電素子)と、ノズル面66を有するノズル形成プレート65とを備えている。また、ヘッド基板63には、図示しないが、上記配線接続アッセンブリのヘッド中継基板から導出されるフレキシブルフラットケーブルが接続されている。一方、ポンプ部64とノズル形成プレート65とにより、第1・第2各ヘッドプレート11a,11bに形成したヘッド装着開口14を通してその裏面側に突出する方形のヘッド本体67が構成されている。また、ノズル形成プレート65には、多数のノズル68からなる2列のノズル列69が形成されている。
続いて、上記のヘッドユニット1に搭載された機能液滴吐出ヘッド3の保管に用いられる保管庫Bについて詳細に説明する。図23に示すように、保管庫Bは、同一の2台の保管装置Ba,Baと、この2台の保管装置Ba,Baを収容するドラフトチャンバCと、2台の保管装置Ba,Baの各構成装置を統括制御する保管制御装置(図示省略)およびドラフトチャンバCを制御するチャンバ制御装置(図示省略)と、で構成されている。ドラフトチャンバCの正面には、2台の保管装置Ba,Baに面してエアーカーテン付きの2つの作業開口Ca,Caが形成されており、この各作業開口Caを開放して、各保管装置Baに第1・第2両ヘッドユニット1をセットできるようになっている。すなわち、気化した有機溶媒が外部に漏れ出さないようにした上で、各保管装置Baに対する作業が行えるようになっている。
なお、第1・第2ヘッドユニット1a,1bは、図外の洗浄装置で洗浄された後、この保管庫Bに運び込まれる。したがって、保管庫Bは、洗浄装置と共に上記の液滴吐出装置Aの近傍に配置しておくことが、好ましい。
各保管装置Baは、背の低い前部収容部202と背の高い後部収容部203とから成るキャビネット201を備えている。前部収容部202の上面には、その全域を覆うように開閉蓋211が設けられており、その左側内部には後述する3個の保管液タンク262等を収容するタンク収容部212が設けられ、右部内部には後述するヘッドセット部205を収容する作業用収容部213が設けられている。また、後部収容部203の上部には、前方へ引き出し可能なスライドテーブル214が組み込まれており、このスライドテーブル214に後述する吸引ポンプ270、ポンプ駆動弁284や再生フィルタ273などが収容されている。そのため、吸引ポンプ270や再生フィルタ273の補修、交換を行う場合や、ポンプ駆動弁284の開閉を行う場合には、スライドテーブル214を介して各構成部品を引き出すことによって、容易に作業することができるようになっている。なお、スライドテーブル214の前面に引き出し棒215の一端を引っ掛け、引き出し棒215を手前に引くことにより、スライドテーブル214を容易に引き出すことができる。
そして、保管装置Baは、上記の作業用収容部213にセットしたヘッドユニット1に対し、その機能液滴吐出ヘッド3の機能液導入口62からノズル68に至るヘッド内流路(図22参照)に、保管液タンク262からの保管液を充填する。そのために、保管装置Baには、機能液導入口62に接続される先に説明した導入口接続アタッチメント21およびノズル面66に接続するノズル接続アタッチメント206を介して、ヘッド内流路に保管液を充填する保管液充填手段204と、第1・第2各ヘッドユニット1a,1bをノズル接続アタッチメント206に対応させて保管装置Baにセットするためのヘッドセット部205とが設けられている(図26および図27参照)。
ノズル接続アタッチメント206は、図24に示すように、支持板221に、機能液滴吐出ヘッド3に対する接続部となるキャップ222を装着してなるもので、機能液滴吐出ヘッド3が第1ヘッドユニットに6個ずつ2列に配設されているのに合わせて、キャップ222を支持板221に6個ずつ2列に配設している。支持板221の前後には、それぞれ左右一対の取付穴223が形成されており、ノズル接続アタッチメント206はこの計4つの取付穴223を介して、後述するアタッチメント支持部材242に固定される。
各キャップ222は、図25に示すように、支持板221に対する取付けベース231と、取付けベース231にばね234で上方に付勢して支持させたキャップ本体232と、キャップ本体232の上面の窪み235の開口部周縁に装着したパッキン233とを備えており、機能液滴吐出ヘッド3のノズル形成プレート65の周辺部にパッキン233が密着する。キャップ本体232には、窪み235に連通するエルボ管236が連結されており、ノズル形成プレート65に形成した多数のノズル68がキャップ本体232を介してエルボ管236に接続される。さらに、12個のキャップ222は、第1ヘッドユニットの機能液滴吐出ヘッド3の3系統3R・3G・3Bに対応して、3系統222r・222g・222bに分けられている(図24参照)。なお、本実施形態では,キャップ222を、液滴吐出装置Aに設ける吸引キャップ106の流用品で構成しているため、窪み235に多孔質の吸収板237が装着されているが、これは必要不可欠ではない。
図26に示すように、ヘッドセット部205は、前部収容部202の作業用収容部213を上げ底とするオイルパン241(防液パン)を有すると共に、このオイルパン241上に立設された断面I字状のアタッチメント支持部材242と、アタッチメント支持部材242の左右に離間して立設された一対のヘッド支持部材244,244とを有している。アタッチメント支持部材242の上面には、上記したノズル接続アタッチメント206の取付穴223に対応する計4つのねじ孔243が形成されており、ノズル接続アタッチメント206は、アタッチメント支持部材242の上面に載置した状態で、上側から各取付穴223を貫通して各ねじ孔243に螺合するユリアねじ等により、アタッチメント支持部材242に位置決め固定されるようになっている。
一方、第1ヘッドユニット1aは、第1サブキャリッジ2aの左右の各支持部材15に形成した2つの固定孔17と1つの位置決め孔18とを、ヘッド支持部材244の上面に形成した2つのねじ孔245と1つの位置決めピン246とに位置合わせした後、上側から各固定孔17を貫通して各ねじ孔245に螺合したユリアねじ等により、両ヘッド支持部材244,244に位置決め固定される。この状態では、ノズル接続アタッチメント206の上に第1ヘッドユニット1aが重なり、上記キャップ本体232がばね234の付勢力に抗して押し下げられ、機能液滴吐出ヘッド3のノズル面66にキャップ本体232がパッキン233を介して密着する。すなわち、12個の機能液滴吐出ヘッド3が対応する12個のキャップ222に接続する。
なお、機能液滴吐出ヘッド3とキャップ222との接続を案内すべく、各ヘッド支持部材244の上端後側には、ガイドアングル材247が取り付けられており、このガイドアングル材247に、第1サブキャリッジ2aの左右の各支持部材15の外側縁に当接するサイドガイド248と、各支持部材15の後端縁に当接するエンドガイド249とを固定している。そして、これらガイド248,249によりヘッド支持部材244に対する第1ヘッドユニット1aのセットを容易に行い得られるようにしている。
一方、図27に示すように、第2ヘッドユニットをヘッドセット部にセットする場合には、ノズル接続アタッチメント206に対して第2ヘッドユニット1bを間接的に位置決めする固定するためのセット治具251が用いられる。セット治具251は、第2ヘッドユニット1bの方形の第2ヘッドプレート11bと同一形状のセット開口部254を有する略方形のセットプレート252と、セット開口部254の左右両側に位置して、セットプレート252上に立設された一対のセットアングル材253,253とを有している。
各セットアングル材253には、第2ヘッドプレート11bにおける各セット部材50の2つの固定孔57および1つの位置決めピン58に対応する、2つのねじ孔257と1つの位置決め孔258とが形成されている。同様に、セットプレート252には、各ヘッド支持部材244の2つのねじ孔245および1つの位置決めピン246に対応する、2つの固定孔255と1つの位置決め孔256とが形成されている。すなわち、上記の前者の構成により請求項に言うセット治具の間接セット部が構成され、上記後者の構成により請求項に言うセット治具の直接セット部が構成されている。また、セットプレート252の後端の左右隅部は切り欠かれており、この両切り欠き部259,259において、ヘッド支持部材のガイド248,249によりヘッド支持部材244に対する第1ヘッドユニット1aの位置決めセットが容易に行い得られるようにしている。
この場合、第2ヘッドユニット1bの各セット部材50に形成した2つの固定孔57と1つの位置決め孔58とを、各セットアングル材253の上面に形成した2つのねじ孔257と1つの位置決めピン258とに位置合わせした後、上側から各固定孔57を貫通して各ねじ孔257に螺合したユリアねじ等により、第2ヘッドユニット1bが両セットアングル材253,253に位置決め固定される。この状態では、第2ヘッドユニット1bのヘッドホルダ42(機能液滴吐出ヘッド3)が、セット治具251のセット開口部254を介して下方に突出する。
また、第2ヘッドユニットを搭載したセット治具は、その2つの固定孔255と1つの位置決め孔256とを、各ヘッド支持部材244の上面に形成した2つのねじ孔245と1つの位置決めピン246とに位置合わせした後、上側から各固定孔255を貫通して各ねじ孔256に螺合したユリアねじ等により、両ヘッド支持部材244,244に位置決め固定される。この場合も、ノズル接続アタッチメント206の上に第2ヘッドユニット1bが部分的に重なり、該当する上記キャップ本体232がばね234の付勢力に抗して押し下げられ、機能液滴吐出ヘッド3のノズル面66にキャップ本体232がパッキン233を介して密着する。この場合には、第2ヘッドユニット1bの系統分けされた2個の機能液滴吐出ヘッド3R・3Gは、ノズル接続アタッチメント206の2個のキャップ222(例えば、222r・222g)を介して、隣接する2つの系統の保管液流路間(例えば、261r・261g)に跨るようにセットされる。
これによれば、セット治具251に取り付けられた第2ヘッドユニット1bを、セットプレート252の位置決め孔256および切り欠き部259により、第1ヘッドユニット1aのヘッド支持部材244への取付け形態と同一形態で取り付け得ると共に、セットアングル材253の位置決め孔258およびセットプレート252のセット開口部254により、第2ヘッドユニット1bの機能液滴吐出ヘッド3がノズル接続アタッチメント206のキャップ222に合致するようにセットできる。しかも、セットプレート252から立設するセットアングル材253の高さにより、機能液滴吐出ヘッド3のノズル面66がキャップ222に適切に密着する。
保管液充填手段204の回路構成は図28に示す通りであり、上記の導入口接続アタッチメント21、ノズル接続アタッチメント206および3個の保管液タンク262を結ぶ保管液流路261は、第1ヘッドユニット1aの機能液滴吐出ヘッド3の3系統3R・3G・3Bに対応した3系統261r・261g・261bで構成されている。各保管液流路261は相互に独立しており、例えば、3色の機能液R・G・Bを導入する第1ヘッドユニット1aに対して保管液を充填する場合、各保管液タンク262には、機能液R・G・Bに対応した相互に異なる保管液がそれぞれ貯留されており、上述したように、系統分けされた導入口接続アタッチメント21のソケット24およびノズル接続アタッチメント206のキャップ222r・222g・222bを介して、系統分けされた機能液滴吐出ヘッド3R・3G・3Bに各保管液が1種類ずつ充填される。
各保管液流路261では、保管液タンク262に連通する流入パイプ263を介して導入口接続アタッチメント21に保管液を供給するように構成されている。流入パイプ263には、保管液タンク262の近傍に位置させて、大気開放弁264が介設されている。この大気開放弁264は、流入パイプ263を開通する状態と、流入パイプ263を遮断する状態と、流入パイプ263を大気開放する状態とに切替え自在な多方切替弁で構成されている。
導入口接続アタッチメント21には、4個(3系統で計12個)のソケット24に個別に連通する4本(計12本)の個別流入パイプ265が接続されており、これら4本の個別流入パイプ265に2個(計6個)の流入側マニホールド267を介して1本(計3本)の流入パイプ263が接続されている。また、各個別流入パイプ265には、パイプ内を流れる保管液の流量を調整可能な個別パイプ開閉弁266が介設されている。なお、計12個のソケット24は上下2列に設けられているため、各系統毎に2個(計6個)の流入側マニホールドも1個ずつ(計3個ずつ)左右一対に設け、流入パイプ263(計3本)をその下流側の中継マニホールド268(計3個)で2つのパイプ269,269に分岐して、一方のパイプ269を一方の流入側マニホールド267、他方のパイプ269を他方の流入側マニホールド267に接続している。そして、各個別流入パイプ265を配管アダプタ19を介して液体導入部61に接続する。なお、各中継マニホールド268には、後述するバイパス管路276が接続している。すなわち、各中継マニホールド268は、流入パイプ263を2つのパイプ269およびバイパス管路276に3分岐している。
保管液充填手段204には、さらに、吸引ポンプ270が設けられており、この吸引ポンプ270をノズル接続アタッチメント206に流出パイプ271を介して接続している。各保管液流路261において、吸引ポンプ270は単一であって、その吐出側には、保管液タンク262に連通する回収パイプ272が接続されている。そして、回収パイプ272には、再生フィルタ273が介設されている。
ノズル接続アタッチメント206には、その複数のキャップ222に個別に連通する3系統の保管液流路261毎に4本(計12本)の個別流出パイプ274が接続されており、これら4本の個別流出パイプ274に1個(計3個)の流出側マニホールド275を介して流出パイプ(計3本)が接続されている。なお、各流出側マニホールド275には、後述するバイパス管路276も合流して接続されている。
さらに、各保管液流路261には、中継マニホールド268と流出側マニホールド275とを直接接続するバイパス管路276が設けられており、各バイパス管路276には、管路内を流れる保管液の流量を調整可能なバイパス管路開閉弁277が介設されている。バイパス管路開閉弁277の基本的な開閉操作は、この保管装置Baに第1ヘッドユニット1aをセットしたときには「閉」とし、第2ヘッドユニット1bをセットしたときには「開」とする。
また、流出パイプ271には、流出側マニホールド275を介してドレン抜き管路278およびそのドレン抜き管路278に介設したドレンバルブ279が接続されている。そして、エア源281より、各ドレンバルブ279に連なるドレン駆動弁280を介してそれぞれ供給されるパイロットエアにより、相互に独立に開閉制御されるようになっている。
吸引ポンプ270は、空気圧で駆動されるダイヤフラム式ポンプで構成されている。そして、エア源281から、保管制御装置に接続する残圧開放用の3ポート弁282を介して、保管装置Bに供給されるエアを、減圧弁283と、各吸引ポンプ270毎に設けられた開閉式のポンプ駆動弁284とを介して、パイロットエアとして各吸引ポンプ270に供給することにより、各吸引ポンプ270が相互に独立して駆動されるようにしている。なお、吸引ポンプ270からのパイロットエアは図外の排気クリーナーを介して排出される。
このように構成された各保管液流路261は、保管液タンク262を密閉タンクとすることにより、閉回路を構成している。すなわち、保管液は、保管液タンク262から供給されると共に保管液タンク262に回収され、循環使用される。なお、図中の符号304は、残圧開放パイプであり、305は、これに介設したエア抜き弁である。保管液タンク262内に所定量以上のエアが溜まって圧力が高まると、エア抜き弁305が自動的に開弁してエアを排気する。
図29および図30を参照して、保管液タンク262は、前部収容部202のタンク収容部212(図23参照)に設けた防液パン301上に載置されている。一方、3個の中継マニホールド268は、アタッチメント支持部材242および左右のヘッド支持部材244の後方にそれぞれ配設され、6個の流入側マニホールド267は、ヘッド支持部材244の左右両側に設けられ、前後一対の支柱を有する操作板291,291に3個ずつ配置されている。また、3個の流出側マニホールド275は、3個の中継マニホールド268の下方にそれぞれ配設されている(図26および図27参照)。さらに、3個の大気開放弁264は、タンク収容部212の左側面の高い位置に配設され、3個のバイパス管路開閉弁277は、左右の操作板291にそれぞれ1個と2個に分けて配設されている。またさらに、6個の個別パイプ開閉弁266は、左右の操作板291に3個ずつ配設されている。そして、これら弁を手動で開閉操作するようにしている。
各保管液タンク262の上面には、中継マニホールド268に延びる流入パイプ263用の流入用コネクタ302と、吸引ポンプ270に連なる回収パイプ272が繋ぎ込まれる回収用コネクタ303が設けられている。さらに、各保管液タンク262の上面には、タンク内の残圧を抜くため残圧開放パイプ304と、上記の再生フィルタ273を交換する場合など、再生フィルタ273のドレン抜きを行う際に再生フィルタ273と接続される再生フィルタ接続パイプ306とが差し込まれている。
また、図示は省略するが、タンク収容部212には、防液パン301の四隅に位置して、ヘッドユニット1用の仮置き台を載置する4本の支柱が立設しており、この仮置き台にヘッドユニット1を載置した状態でもソケット24に対する個別流入パイプ265の接続作業を行えるようにしている。なお、上記のオイルパン241および防液パン301には、漏液センサを設けることが好ましい。
保管装置Baによる第1ヘッドユニット1aの保管に際しては、まず、保管液流路261r・261g・261bに介設された各保管液タンクに、機能液R・G・Bに対応した保管液を1種類ずつ導入する(機能液を充填した保管液タンクを搬入セットする)。そして、第1ヘッドユニット1aを、ヘッド支持部材244に支持されるように保管装置Bにセットし、その第1サブキャリッジ2aの部分でヘッド支持部材244上に固定する。これにより、アタッチメント支持部材242で支持されているノズル接続アタッチメント206の各キャップ222に各機能液滴吐出ヘッド3のノズル68が接続される。次に、導入口接続アタッチメント21の各ソケット24に各個別流入パイプ265を接続する。これにより、第1ヘッドユニット1aの保管装置Bへのセットが完了する。
次に、各保管液流路261において、すべての個別パイプ開閉弁266を開弁する。なお、必要であれば、個別パイプ開閉弁の流量調整を予め行っておいてもよい。次に、大気開放弁264を流入パイプの開通位置に切り換え、この状態で制御装置により3ポート弁282を制御してポンプ駆動弁284を開弁させ、吸引ポンプ270を駆動する。このようにして、各保管液流路261毎に、保管液タンク262内の保管液が流入パイプ263から各機能液滴吐出ヘッド3を介して流出パイプ271に至る経路を経由して吸引ポンプ270に吸引され、吸引ポンプ270から再生フィルタ273を介して保管液タンク262に戻される。
すなわち、保管液を循環使用しつつ、各保管液流路261毎に、各機能液滴吐出ヘッド3の機能液導入口62からノズル68に至るヘッド内流路に保管液が通液される。これによれば、系統分けされた機能液滴吐出ヘッド3R・3G・3Bに対して、保管液流路261r・261g・261bに介設された各保管液タンク262内の相互に異なる保管液を、相互に独立して同時に通液することができる。なお、保管液流路への通液により、押し出されたエアは、保管液タンク262の上部に溜まり、エア抜き弁305を介して適宜排気される。
この際、各個別パイプ開閉弁266の絞りを調整することで、各個別パイプ265,274に流れる保管液の液量を均一化することができる、また、各保管液流路261において、導入口接続アタッチメント21からノズル接続アタッチメント206に至る流路に流れる保管液の液量が少ないために流入パイプ263内および流出パイプ271内において保管液が充分に流れない場合には、バイパス管路開閉弁277を開弁してもよい。これによれば、バイパス管路276に保管液を通液させることで、流入パイプ263内および流出パイプ271内において保管液が適切に流れるのに必要な液量を確保することができる。すなわち、通液時にノズル68などの細径となる流路部に極端な液圧が作用するのを防止することができる。
そして、所定時間の通液後、制御手段によりポンプ駆動弁284を閉弁させて吸引ポンプ270を停止する。これによれば、保管液の通液が停止されて、各機能液滴吐出ヘッド3のヘッド内流路に保管液が充填された状態になる。すべての機能液滴吐出ヘッド3に保管液が充填された後、ヘッドユニット1を保管する。なお、保管中も、保管液流路261内に残存した気泡によるヘッド内流路の酸化を防ぐべく、定期的に(例えば、1日1回)保管液を循環させ、保管液流路261内の気泡を取り除くようにすることが望ましい。
一方、保管装置Baによる第2ヘッドユニット1bの保管に際しては、まず、保管液流路261r・261gに介設された各保管液タンクに、機能液R・Gに対応した保管液を1種類ずつ導入する。そして、第2ヘッドユニット1bを、上述したようにセット治具251を介してヘッド支持部材244に支持されるように保管装置Bにセットする。これによれば、第2ヘッドユニット1bに対しても、アタッチメント支持部材242で支持されているノズル接続アタッチメント206の各キャップ222に各機能液滴吐出ヘッド3のノズル68が接続される。ここで、系統分けされた2個の機能液滴吐出ヘッド3R・3Gは、系統分けされたキャップ222r・222gにそれぞれ対応している。
次に、2個の機能液滴吐出ヘッド3R・3Gが接続するキャップ222r・222gに対応する保管液流路261r・261gのみについて、第2ヘッドユニット1bの2個の機能液滴吐出ヘッド3が接続する個別パイプ開閉弁266のみを開弁すると共に、大気開放弁264を流入パイプ263の開通位置に切り換え、この状態で吸引ポンプ270を駆動する。ここで、保管液流路261bについては、予めポンプ駆動弁284を閉弁しておき、制御装置により3ポート弁282を開弁させても、吸引ポンプ270にはパイロットエアが送られないように、すなわち、吸引ポンプ270が駆動しないようにしておく。
これによれば、保管液流路261r・261gのみにおいて、保管液タンク262内の保管液が流入パイプ263から各機能液滴吐出ヘッド3を介して流出パイプ271に至る経路を経由して吸引ポンプ270に吸引され、吸引ポンプ270から再生フィルタ273を介して保管液タンク262に戻される。このようにして、第1ヘッドユニット1aとは異なる個数の機能液滴吐出ヘッド3を搭載した第2ヘッドユニット1bに対しても、2個の機能液滴吐出ヘッド3R・3Gの機能液導入口62からノズル68に至るヘッド内流路に保管液が通液充填される。また、機能液滴吐出ヘッド3が接続していない保管液流路261については、吸引ポンプ270の駆動および大気開放弁264の切り換えは行わず、機能液滴吐出ヘッド3が接続された保管液流路261のみについて、吸引ポンプ270の駆動および大気開放弁264の切り換えを行って保管液を充填することができ、効率よく充填作業を行うことができる。
この際、各保管液流路261に4個の機能液滴吐出ヘッド3が接続された第1ヘッドユニット1aに充填する場合に比して、バイパス管路開閉弁277の絞りをさらに開放し、バイパス管路276に流れる保管液の液量を多くすることで、流入パイプ263内および流出パイプ271内において保管液が適切に流れるのに必要な液量を確保することができる。すなわち、各保管液流路261に接続された機能液滴吐出ヘッド3の個数に応じて、バイパス管路開閉弁277の絞りを調整することで、バイパス管路276に適切な液量の保管液を流すことができる。
ヘッドユニット1を液滴吐出装置Aで使用するために保管装置Baから取り出す際は、すべての個別パイプ開閉弁266が開弁されると共に、大気開放弁264が流入パイプ263の大気開放位置となった状態で、吸引ポンプ270を駆動する。これによれば、流入パイプ263から各機能液滴吐出ヘッド3を介して流出パイプ271に至る全経路内の保管液が流入パイプ263からの空気の流入で保管液タンク262に回収される。したがって、保管液を効率よく循環使用することができる。そして、保管液タンク262に回収されずに保管液流路261に保管液が残った場合でも、保管液が残った保管液流路261に対応するドレン駆動弁280のみを開弁してドレンバルブ279を開弁し、ドレン抜き管路278から抜き取ることができるため、使い勝手がよく、回収後に、フィルタ材料とは異なる機能液を導入する機能液滴吐出ヘッドに対して異なる保管液を導入する場合にも、保管液の混合を極力少なくすることができる。
なお、上記実施形態では、単一の3ポート弁282を自動制御式のものとし、各保管液流路261のポンプ駆動弁284を手動操作により開閉することで各吸引ポンプ270を相互に独立に駆動する構成としたが、各ポンプ駆動弁284にそれぞれ自動制御式の3ポート弁282を設けたり、各ポンプ駆動弁284それ自体を自動制御式のものとしたりして、各吸引ポンプ270を相互に独立に駆動することも可能である。また、上記実施形態では、大気開放弁264、個別パイプ開閉弁266およびバイパス管路開閉弁277を手動操作式のものとしたが、これらを自動制御式のものとしてもよい。さらに、個別パイプ開閉弁266を個別流入パイプ265に介設したが、個別流出パイプ274に介設してもよい。