JP4385173B2 - テレスコピックパイプ装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、カメラ、ビデオカメラ等を載置するカメラ用脚等に使用される無段階に伸縮できるテレスコピックパイプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許公報第2652592号に開示される伸縮柱等の進退機構は、縮小時には手軽に運搬できるほど小型、軽量でありながら、伸長時には従来の可搬タイプにはみられない長大な高さの柱を形成することを目的とし、細長い進退部材と、この進退部材を進退させる駆動部と前記進退部材の遊挿孔を中心部に有し相互に連結された複数のセンタリング部材であって前記進退部材の進退と連動して進退することによりセンタリング部材間の間隔を変化させることができるセンタリング部材と、このセンタリング部材の移動を支持案内する進退通路とを有するものである。また、進退部材の一つが、平断面凸面状又は凹曲面状をなす可撓性の帯状材であることを開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記発明に記載された進退機構の内、平断面凸面状又は凹面状をなす可撓性の帯状材(通称、コンベックス)は、伸長した伸縮柱を荷重が加わる方向に保持固定する手段として特に強くないことから、モータによって駆動されるピンチローラと、このピンチローラと共にコンベックスを挟持するガイドローラによって伸縮柱の位置を保持する必要があるが、荷重が大きい場合、コンベックスに座屈が起ったり、コンベックスにすべり防止処理を施していない場合には、前述した機構による保持力が小さいことから、載置された物品の荷重及び自重によって伸縮柱が縮小するという不具合を有していた。
【0004】
このため、本発明は、伸縮、所望の位置での保持固定及び固定の解除が容易であるテレスコピックパイプを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
よって、請求項1記載の発明は、先端具が装着された先端パイプ、該先端パイプに接続され、該先端パイプの移動に伴って伸縮する中間パイプ、及び前記先端パイプ及び前記中間パイプを摺動自在に収納する収納パイプとによって構成されるテレスコピックパイプと、該テレスコピックパイプの一端が固定される基台部と、前記テレスコピックパイプを伸縮移動及び保持固定する支持機構とによって構成されるテレスコピックパイプ装置において、前記支持機構は、前記テレスコピックパイプに挿通されて前記先端パイプに一端が固定され、幅方向において長手方向を軸として湾曲しようとする横応力成分と、長手方向において幅方向を軸として湾曲しようとする縦応力成分とを有する筒ばね部材と、前記基台部に収納されると共に、前記筒ばね部材の他端が固定され、前記テレスコピックパイプの縮小時に前記筒バネ部材を巻取るリールと、前記テレスコピックパイプに加わる一方向の荷重に対して筒ばね部材を固定するロック手段と、前記ロック手段を解除するリリース手段とを具備するとともに、前記テレスコピックパイプに荷重が加わる方向は、テレスコピックパイプの縮小方向であり、前記ロック手段は前記筒ばね部材を引出し方向では自由とし巻取り方向でロックすることを具備することにある。
【0006】
したがって、この発明によれば、テレスコピックパイプを所定の長さに変化させた場合、前記テレスコピックパイプに加わる一方向の荷重、例えば先端具、先端具に装着された物品及びテレスコピックパイプの自重等によって筒ばね部材に加わる荷重に対して支持機構のロック手段が骨となる筒ばね部材を固定するので、テレスコピックパイプに加わる荷重に対して該テレスコピックパイプを固定することができるものである。また、リリース手段によってロック手段を解除することができるので、筒ばね部材を荷重が加わる方向に移動させることができ、これによってテレスコピックパイプの伸長又は縮小を自在に行なうことができるものである。さらに、前記テレスコピックパイプに荷重が加わる方向が、テレスコピックパイプの縮小方向、言い換えると筒ばね部材の巻取り方向であることが望ましい。この場合、ロック手段は、筒ばね部材を引出し方向では自由とし、巻取り方向でロックするものである。
【0007】
具体的には、前記ロック手段は、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の内部に位置するインブレーキ部と、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の外部で、前記インブレーキ部の位置よりも前記筒ばね部材の引出し方向の前方に位置するアウトブレーキ部とによって構成され、且つ前記インブレーキ部の外径は、前記アウトブレーキ部の内径以上であり、全方向から筒ばね部材をロックできる形状であることが望ましい(請求項2)。
【0008】
この構成において、テレスコピックパイプを伸長させる場合、つまり筒ばね部材が引き出される場合には、前記筒ばね部材がインブレーキ部との摩擦によってインブレーキ部をアウトブレーキ部より離れる方向に付勢するので、テレスコピックパイプは自由に伸長することができる。また、先端具にカメラ等の物品が載置され、テレスコピックパイプを縮小させる方向に荷重が加わった場合、前記筒ばね部材が前記リールの巻取り方向に移動するので、インブレーキ部がアウトブレーキ部側に移動すると共に、インブレーキ部の外径がアウトブレーキ部の内径以上であることから、筒ばね部材はインブレーキ部とアウトブレーキ部の間で強く挟持固定されるので、筒ばね部材をその位置で保持固定することができるものである。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、先端具が装着された先端パイプ、該先端パイプに接続され、該先端パイプの移動に伴って伸縮する中間パイプ、及び前記先端パイプ及び前記中間パイプを摺動自在に収納する収納パイプとによって構成されるテレスコピックパイプと、該テレスコピックパイプの一端が固定される基台部と、前記テレスコピックパイプを伸縮移動及び保持固定する支持機構とによって構成されるテレスコピックパイプ装置において、前記支持機構は、前記テレスコピックパイプに挿通されて前記先端パイプに一端が固定され、幅方向において長手方向を軸として湾曲しようとする横応力成分と、長手方向において幅方向を軸として湾曲しようとする縦応力成分とを有する筒ばね部材と、前記基台部に収納されると共に、前記筒ばね部材の他端が固定され、前記テレスコピックパイプの縮小時に前記筒バネ部材を巻取るリールと、前記テレスコピックパイプに加わる一方向の荷重に対して筒ばね部材を固定するロック手段と、前記ロック手段を解除するリリース手段とを具備するとともに、前記テレスコピックパイプに荷重が加わる方向は、テレスコピックパイプの引出し方向であり、前記ロック手段は前記筒ばね部材を巻取り方向では自由とし引出し方向でロックすることである。請求項4記載のものでは、ロック手段は、筒ばね部材を巻取り方向では自由とし、引出し方向でロックするものである。具体的には、前記ロック手段は、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の内部に位置するインブレーキ部と、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の外部であって、前記インブレーキ部の位置よりも前記筒ばね部材の引出し方向の前方に位置するアウトブレーキ部とによって構成され、且つ前記インブレーキ部の外径は、前記アウトブレーキ部の内径以上であることが筒ばね部材を強固に締め付けられる点で望ましい。
【0010】
この構成において、テレスコピックパイプを縮小する場合、つまり筒ばね部材が巻取られる場合には、前記筒ばね部材がインブレーキ部との摩擦によってインブレーキ部をアウトブレーキ部より離れる方向に付勢するので、テレスコピックパイプは自由に縮小することができる。また、先端具に照明等の物品が装着され、テレスコピックパイプを伸長させる方向に荷重が加わった場合、前記筒ばね部材が前記引出し方向に移動するので、インブレーキ部がアウトブレーキ部側に移動すると共に、インブレーキ部の外径がアウトブレーキ部の内径以上であることから、筒ばね部材はインブレーキ部とアウトブレーキ部の間で強く挟持固定されるので、筒ばね部材をその位置で保持固定することができるものである。
【0011】
さらに、請求項5記載のものでは、移動可能な他方を固定された一方から離す方向に移動させることによってロック手段のロックを解除することが望ましい。
【0012】
また、インブレーキ部を固定し、アウトブレーキ部を移動可能とする構成としても良いが、構造上アウトプレート部を固定とし、インブレーキ部を移動可能とする方が現状では望ましい。この構造において前記リリース手段は、前記インブレーキ部を前記筒ばね部材の自由方向に移動させることによってロック手段のロックを解除することができるものである。尚、前述したアウトブレーキ部を移動可能とした場合には、前記リリース手段は、アウトブレーキ部を前記筒ばね部材の反自由方向(ロック方向)に移動させてロック手段のロックを解除するものである。
【0013】
また、前記テレスコピックパイプを構成するパイプは、請求項6記載のものでは、その一端に前記筒ばね部材を外方から保持する保持プレートを具備する。これによって、特に、前記筒ばね部材に前記テレスコピックパイプを縮小する方向に荷重がかかった場合、前記パイプの一端に設けられた保持プレートが所定の間隔で筒ばね部材を径方向外方から保持するので、前記筒ばね部材の径方向外方への変形を防止することができ、この結果筒ばね部材の軸方向の耐荷重を向上させることができるものである。
【0014】
さらに、前記テレスコピックパイプを構成するパイプは、請求項7記載のものでは、その一端に前記筒ばね部材を外方及び内方から保持する保持プレートを具備する。これによって、所定の間隔で前記筒ばね部材を径方向外方及び内方へ保持することができるので、前記筒ばね部材の変形を防止することができるので、前記筒ばね部材の耐荷重をさらに向上させることができるものである。
【0015】
また、前記リールには、請求項8記載のものでは、前記筒ばね部材を巻きこむ方向に回転力を付勢する回転付勢手段が設けられる。この回転付勢手段としては、リール内部に設置されたぜんまいであることが望ましく、さらに中心点と所定の円周位置を連結する複数のドラムからなる定荷重ばねであることが望ましい。通常、筒ばね部材の縦応力成分によってリールに巻きこむことができるが、ぜんまいやモータなどの回転付勢手段を設置することによって、リールに確実に筒ばね部材を巻取ることができるようになるものである。
【0016】
さらに、請求項9記載のものの如く、前記筒ばね部材を進退させる駆動手段を設けても良いものである。具体的には、請求項10記載のもののように、前記駆動手段は、前記筒ばね部材の横方向応力によって凹状に湾曲した内側面に当接する内側ピンチロールと、凹状に湾曲した外側面に当接する外側ピンチロールとによって構成され、前記内側ピンチロールと前記外側ピンチロールの一方に駆動力が伝達されることが望ましい。尚、駆動力は、前記一方のピンチロールを駆動するものであれば良いので特に限定されず、手動によるものでも、電動機によるものでもよい。
【0017】
また、請求項11記載のものは、前記筒ばね部材を進退させる駆動手段を具備し、該駆動手段が、前記筒ばね部材の横方向応力によって凹状に湾曲した内側面に当接する内側ピンチロールと、凹状に湾曲した外側面に当接する外側ピンチロールとによって構成され、前記内側ピンチロールと前記外側ピンチロールの一方に駆動力が伝達され、前記ロック手段が、前記ピンチロールの少なくとも一つに設けられた爪と、前記ピンチロールの回転方向の一方向において前記爪と噛合するピンからなり、前記リリース手段が、該ピンの噛合を解除するものであることが望ましい。
【0018】
この発明では、前記ロック手段を、前記ピンチロールの少なくとも一つに設けられた爪と、前記ピンチロールの回転方向の一方向において前記爪と噛合するピンとによって構成したので、爪とピンとが噛合するピンチロールの回転方向の一方向において筒ばね部材をロックすることができるものである。また、前記ピンを爪からはずすことによってロック機構のロックを解除できるものである。
【0019】
さらにまた、前記内側ピンチロールは、前記内側面に当接する2つの回転面を有する一つのピンチロールからなり、前記外側ピンチロールは、前記2つの回転面が当接する内側面に対応する外側面にそれぞれに当接する2つのピンチロールからなることが望ましく、また前記内側ピンチロールは、前記内側面の2箇所に当接する2つピンチロールからなり、前記外側ピンチロールは、前記内側ピンチロールが当接する2つの内側面に対応する2箇所外側面にそれぞれに当接する2つのピンチロールからなるものであっても良いものである。複数の当接面によって筒ばね部材を押し出し又は引き込む方が安定した動作が得られるからである(請求項12,13)。
【0020】
また、本装置の骨となる部分である筒ばね部材の両側縁の変形方向は、縦応力成分による巻方向側であってもよく、横応力成分による前記筒ばね部材の両側縁の変形方向は、縦応力成分による巻方向の反対側であっても良い(請求項14記載のもの)。
【0021】
前記筒ばね部材の両側縁の変形方向が縦応力成分による巻方向側である場合には、それぞれの応力を示すベルトルが近似する方向となることからリールへの巻取りが容易なので、リール径を小さくことができるという利点を有する。
【0022】
これに対して、横応力成分による変形方向が縦応力成分による巻方向と反対側である場合には、それぞれの応力を示すベクトルが略反対方向となることから、ねじれに対して変形しにくいので横応力成分による変形が安定するという利点を有する(請求項15記載のもの)。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面により説明する。
【0024】
図1乃至図3において示される本願発明の第1の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1は、伸縮自在であるテレスコピックパイプ機構2と、このテレスコピックパイプ機構2が立設される基台部3と、前記テレスコピックパイプ機構2の先端に固着され、上面にカメラ、ビデオカメラ等の物品5が載置可能な先端具4と、前記テレスコピックパイプ機構2を所望の位置に固定保持する支持機構6とによって構成される。
【0025】
前記テレスコピックパイプ機構2は、前記先端具4が一端に固定される共に最小の断面積を有する先端パイプ21と、前記基台部3に固定されると共に最大断面積を有する収納パイプ22と、前記先端パイプ21から前記収納パイプ22にかけて漸次拡大する断面積をそれぞれに有し、前記先端パイプ21と共に前記収納パイプ22に収納可能な中間パイプ23とによって構成される。尚、この実施の形態においては、それぞれのパイプは最も最適な実施の形態として円筒形状に形成されるものとして記載しているが、隣り合うもの同士がお互いに収納可能で且つ伸縮自在であれば、断面が方形形状、三角形状、多角形状の筐体であってもよいもので、特にその形状は限定されるものではない。また、先端パイプ21及び中間パイプ23の他端には、次なる中間パイプ23及び収納パイプ22の一端に形成された大径係止部25bと当接係止される小径係止部25aが形成され、テレスコピックパイプ機構2の伸長時にそれぞれのパイプが離脱しないようになっているものである。
【0026】
前記基台部3は、下記するロック機構8が収納される収納部31と、巻取り機構9及びリリース機構10が収納される台座部32によって構成される。また、前記収納パイプ22は前記収納部31に固着若しくは一体に成形されるもので、その間には、先端パイプ21及び中間パイプ23の端部を保持する底プレート33が設けられる。尚、本実施の形態においては、収納パイプ22とロック機構8が収納される収納部31とを別体としたが、ロック機構8の周囲に前記先端パイプ及び前記中間パイプ23を収納する空間が設けられる場合には、前記収納部31と収納パイプ22とを同一のものとしても良いものである。
【0027】
前記支持機構6は、テレスコピックパイプ装置1の骨となる筒ばね部材7と、この筒ばね部材7のロック機構8、前記筒ばね部材7の巻取り機構9及びリリース機構10とによって構成され、所定の長さに引き出されたテレスコピックパイプ機構2をその長さに保持固定するものである。尚、巻取り機構9は、前記筒ばね部材7の一方の端部が固定されるリール11と、該リール11に対して巻取り方向に回転力を付勢するぜんまい12とによって構成される。
【0028】
前記筒ばね部材7は、例えば帯状に形成された鋼製の一枚板に、長手方向を軸として湾曲しようする横応力成分と、幅方向を軸として湾曲しようする縦応力成分とを記憶させたもので、筒形状になろうとするモーメントと、長手方向に丸まろうとするモーメントが共存していて外力に応じて自在にそれぞれに姿を変える。この実施の形態で用いられる筒ばね部材7は、縦応力成分のベクトルと横応力成分のベクトルとは、略反対方向に向くこととなるため、前記リール11から引き出された筒ばね部材7は、リール11側に凸となるように湾曲するものである。また、前記筒ばね部材7の他方の端部は、前記先端具4と共に前記先端パイプ21の一部分に固着される。
【0029】
これによって、テレスコピックパイプ機構2が伸長した場合、筒ばね部材7は、テレスコピックパイプ機構2の内部を挿通する部分で、図2(a)で示されるように長手方向を軸としてスムーズに円筒形状に変形する。これによって、従来の円弧形状に変形するコンベックスに比してすべての径方向で保持力が生じると共に、軸方向での耐荷重が向上する。また、図2(b)で示すものは、円筒形状にはならない略円筒形状に変形した場合を示したものである。この略円筒形状に変形した場合も、図2(a)で示す円筒形状に変形した場合と略等しい効果を奏することができるものである。
【0030】
前記ロック機構8は、前記基台部3のロック機構収納部31内に配され、前記略円筒形状に変形した筒ばね部材7の内側に配されるインブレーキ部13と、前記変形した筒ばね部材7の外側に配されるアウトブレーキ部14とによって構成される。また、図3で示すように、前記インブレーキ部13は、筒ばね部材7の引出し方向Pにおいて前記アウトブレーキ部14から進んだ箇所に位置し、前記アウトブレーキ部14の内径以上の外径を有する長球形状の当接固定部13aと、リリースロッド15とによって構成される。さらに、前記アウトブレーキ部14には、前記筒ばね部材7の周囲に当接する環状当接部14aと、該環状当接部14aに所定の間隔で形成された切込部14bと、前記基台部3に固定される固定部14cとによって構成される。尚、図3において、一点鎖線で示されるものは筒ばね部材7の外側面であるので、アウトブレーキ部14の環状当接部14aには当接するが、インブレーキ部13の当接固定部13aに当接していない。しかしながら、筒ばね部材7の内周側面は前記当接固定部13aに当接し、筒ばね部材7の引出し方向Pにおいてアウトブレーキ部から離れる方向に付勢される。
【0031】
これによって、テレスコピックパイプ機構2が手でパイプを持って伸長される場合、前記筒ばね部材7が引出し方向Pに引き出されるので、前記筒ばね部材7に所定の摩擦力を有して当接するインブレーキ部13の当接固定部13aは、アウトブレーキ部14から離れる方向に付勢される。この結果、引出し方向Pにおいて、筒ばね部材7にはロックがかからないので、筒ばね部材7を自由に引き出すことができる。
【0032】
また、テレスコピックパイプ機構2の縮小方向に荷重が加えられた場合、前記筒ばね部材7は巻取り方向Rに移動するので、前記筒ばね部材7に所定の摩擦力を有して当接するインブレーキ部13の当接固定部13aは、アウトブレーキ部14側に移動し、アウトブレーキ部14の環状当接部14aとの間に前記筒ばね部材7を挟持して固定する。これによって、前記筒ばね部材7の移動が阻止されるので、前記テレスコピックパイプ機構2を荷重に対して所定の位置に支持固定することができるものである。
【0033】
また、前記リリース機構10は、前記ロック機構8のリリースロッド15と一体に成形されたリリースレバー16と、このリリースレバー16を引くために指を掛ける指掛け部17と、前記リリースレバー16を元の位置に復帰させる復帰スプリング18とによって構成される。これによって、前記リリースレバー16を指掛け部17方向に移動させることによって、前記インブレーキ部13の当接固定部13aが引出し方向Pに押し上げられるので、筒ばね部材7のロックが解除され、前記テレスコピックパイプ機構2を縮小することができるものである。尚、テレスコピックパイプ機構2の縮小時には、前記筒ばね部材7の一端は順次ぜんまい12によって巻取り方向に回転力が付勢された前記リール11に巻取られるものである。
【0034】
以上の構成により、本願発明の第1の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1は、カメラ等の物品5を先端具4に装着固定した後、所望の長さまでテレスコピックパイプ機構2を手で引き出し、その後引出し方向と反対側に少し押し込む。この時、インブレーキ部13の当接固定部13aがアウトブレーキ部14の環状当接部14aとの間に引き出された筒ばね部材7を挟持固定するので、テレスコピックパイプ機構2は固定され、さらに筒ばね部材7が略円筒形状に変形して該円筒形状の軸方向にテレスコピックパイプ機構2を保持する。装着された物品に関する作業(カメラ、ビデオカメラ等の場合には、撮影)が完了した後には、リリースレバー16を移動させてインブレーキ部13の当接固定部13aをアウトブレーキ部14の環状当接部14aから離すことによって、筒ばね部材7の縦応力成分による変形とぜんまい12による回転力の付勢により、さらには物品5又はテレスコピックパイプ機構2の自重により、前記テレスコピックパイプ機構2は縮小し、先端パイプ21及び中間パイプ23が収納パイプ22内に収納され、同時に前記筒ばね部材7がリール11に巻取られる。
【0035】
以下、この発明の他の実施の形態について説明するが、上述した実施の形態と同一の箇所、同一の効果を奏する個所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図4で示すものは、前記インブレーキ部13の当接固定部13aの種々の形態を示したものである。図4(a)で示される当接固定部13aは、長球形状であるが、頂部に所定の径の孔13bが穿設されたもので、インブレーキ部13の当接固定部13aがアウトブレーキ部14の環状当接部14aに当接した場合の変形を吸収するために設けたものである。
【0037】
図4(b)で示される当接固定部13aは、アウトブレーキ部14側が小径となる円錐台形状に形成されたもので、先端の周縁にテーパ部13dが形成されているものである。さらに、図4(c)は、当接固定部13aの変形を吸収する切込部13cが形成されたものを示している。さらにまた、図4(d)は、軸方向先端及び後端が平面に切断された球形状に形成され、さらに切込部13cが形成された当接固定部13aを開示する。これらの形状に前記インブレーキ部13の当接固定部13aを形成しても、上述した実施の形態と同様の効果を奏することができるものである。
【0038】
図5で示す第2の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Aは、先端パイプ21及び中間パイプ23の端部の一方に、前記筒ばね部材7を外方から保持する保持プレート24がそれぞれに設けられているものである。この保持プレート24は、図6(a),(b)で示すように、前記筒ばね部材7が貫通する貫通孔24aを略中央に有しており、この貫通孔24aの径を前記筒ばね部材7が変形して円筒形状となった場合の径に略等しく、又は多少大きく形成したもので、前記貫通孔24aの周縁で前記筒ばね部材7を保持することができるものである。これによって、筒ばね部材7を所定の間隔で径方向外方から保持できるので、筒ばね部材7の変形を防止でき、筒ばね部材7の軸方向の耐荷重を向上させることができるものである。尚、図6(a)は、筒ばね部材7が円筒形状を形成した場合を示したものであり、図6(b)は、筒ばね部材7が略円筒形状を形成した場合を示したものである。どちらの場合でも、上述したような同様の効果を奏することができるものである。
【0039】
図7で示す第3の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Bは、先端パイプ21及び中間パイプ23の端部の一方に、前記筒ばね部材7を保持する保持プレート27がそれぞれに設けられているものである。この保持プレート27は、図8で示すように、筒ばね部材7の形状に対応して形成された保持孔28を有し、これによって、保持プレート27の内側に位置する内側保持部26が形成されるので、筒ばね部材7の径方向の内方への変形も防止することができるものである。これによって、筒ばね部材7は径方向の外方及び内方への変形が防止されるので、筒ばね部材7の軸方向の耐荷重を上述した実施の形態よりもさらに向上させることができるものである。
【0040】
図9(a),(b)は、上述した保持孔28の変形例を示したものであり、図9(a)は前記保持孔28が渦巻状に形成された保持プレート27を開示し、図9(b)は略ハート形状の保持孔28が形成された保持プレート27を開示するものである。尚、第3の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Bにおいては、保持プレート27の内部保持部26を設ける関係で、前記筒ばね部材7は変形の略円柱形状に形成されるものである。
【0041】
図10に示す本発明の第4の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Cは、テレスコピックパイプ機構2を伸長させるための駆動装置40を設けたことを特徴とするものである。また、この実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Cは、前述した実施の形態と、インブレーキ部13の当接固定部13aの形状が球状であること、基台部3を支持する脚部48を有する点で構造を異にしている。
【0042】
前記駆動装置40は、例えば、図11に示すように、前記リール11に収納されたフラット状の部分と略円筒状に変形した部分の間に存在する略円弧状に変形した部分(以下、円弧状部分)の内側面に当接する内側ピンチロール46と、この内側ピンチロール46と共に前記筒ばね部材7を挟持する外側ピンチロール47と、前記内側ピンチロール46を駆動するウォームギア45と、このウォームギア45を回転させるモータ44とによって構成される。尚、内側ピンチロール46及び外側ピンチロール47は、合成樹脂、合成ゴム等によって形成されることが望ましい。
【0043】
この駆動装置40の駆動は、前記リリースロッド15の端部に固定される一端と、前記基台部3に固定される支点とを有する一方向に折れ曲り自在のスイッチレバー41によって制御されるものである。
【0044】
この実施の形態に係る駆動装置40の制御を説明すると、前記テレスコピックパイプ機構2を伸長したい場合には、前記スイッチレバー41を上方に移動させる。これによって前記スイッチレバー41が折れ曲り、前記スイッチレバー41の上部に設けられたスイッチ42が投入されてモータ44が回転し、前記ウォームギア45を介して前記内側ピンチロール46を回転させ、前記筒ばね部材7を引き出す。また筒ばね部材7が引き出されることによって、インブレーキ部13の当接固定部13aが前記アウトブレーキ部14の環状当接部14aから離れる方向に付勢されるのでロックが解除され、テレスコピックパイプ機構2は前記モータ44の駆動に伴って伸長する。また、テレスコピックパイプ機構2の先端に固定された先端具4が所望の位置まで到達した時に、前記スイッチレバー41を下に戻すことによってモータ44の駆動が停止し、テレスコピックパイプ機構2の伸長が停止する。そして停止後は、インブレーキ部13がアウトブレーキ部14側に押圧されるように荷重がインブレーキ部13にかかるので、筒ばね部材7はロックされる。
【0045】
また、テレスコピックパイプ機構2を縮小又は収納したい場合には、前記スイッチレバー41を下方に移動させる。これによって、前記リリースロッド15がインブレーキ部13の当接固定部13aを筒ばね部材7の引出し方向に押し上げられると共に、前記スイッチレバー41の下方に位置するスイッチ43が投入されるので、モータ44が逆転して筒ばね部材7が引き降ろされ、テレスコピックパイプ機構2は縮小収納される。同時に、前記筒ばね部材7は、ぜんまい12によって回転力が付勢されたリール11に巻取られる。
【0046】
また、この実施の形態に係る駆動装置40において、前記内側ピンチロール46は、円弧状部分の内側側面に当接する2つの回転部46a,46bを有し、該2つの回転部46a,46bの間にリリースロッド15が挿通するようになっている。また、外側ピンチロール47は、前記回転部46a,46bが当接する円弧状部分の内側面に対応する位置で、前記筒ばね部材7の外側面に当接する2つの回転部47a,47bを有しており、前記筒ばね部材7を確実に進退させることができるようになっている。尚、この実施の形態において、内側ピンチロール46の回転部46aと回転部47aが筒ばね部材7を挟持する位置と、内側ピンチロール46の回転部46bと回転部47bが筒ばね部材7を挟持する位置とは、前記円弧状部分において中心角が略90°の間隔を有するように配置されている。尚、この中心角は略60°以上略120°以内の範囲内であることが望ましい。
【0047】
図12は、上述した内側ピンチロール46と外側ピンチロール47の変形例を示したものである。図12(a)に示すものは、内側ピンチロール46が円弧状部分の内側略中央部分に当接すると共に、外側ピンチロール47が円弧状部分の外側略中央部分に当接する例を示したものである。この例では、それぞれのピンチロール46,47と筒ばね部材7との接触幅が大きく周速差が大きいという欠点はあるが、製造コストが低いという利点を有する。
【0048】
また、図12(b),(c)は、図12(a)に開示した実施の形態に比して周速差を少なくしたものを開示する。図12(b)は、筒ばね部材7の円弧状部分の内側側面に当接する2つの回転部46a,46bを有する内側ピンチロール46と、この内側ピンチロール46の2つの回転部46a,46bと対応する円弧状部分の外側側面の各々に当接する2つの外側ピンチロール51,52とを開示する。また、この例は、内側ピンチロール46の回転部46aと外側ピンチロール51とが円弧状部分を挟持する位置と、内側ピンチロール46の回転部46bと外側ピンチロール52とが円弧状部分を挟持する位置とは、中心角が略90°の位置に配されるものを開示している。尚、この中心角は略60°以上略120°以内の範囲内であることが望ましい。
【0049】
図12(c)は、筒ばね部材7の円弧状部分の中心部分から90°ずれた2つの位置にそれぞれ当接する2つの内側ピンチロール55,56と、この内側ピンチロール55,56に対応する位置に設けられた外側ピンチロール53,54とが設けられたものを開示する。以上の構成において、周速差が少なくなるので、筒ばね部材7の進退を確実に効率よく実施できるものである。
【0050】
図13に示す第5の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Dは、基台部3が天井等に固定され、先端具4には照明灯の物品が装着されるもので、筒ばね部材7には、上述した実施の形態に係るテレスコピックパイプ2の場合と異なり、テレスコピックパイプ2が伸長する方向に荷重が加わる。このため、この実施の形態に係るロック機構8は、アウトブレーキ部14の環状当接部14aよりも巻取り用のリール11側に位置するインブレーキ部13の当接固定部13aを有し、前記筒ばね部材7の引出し方向において筒ばね部材7がロックされ、筒ばね部材7の巻取り方向で筒ばね部材7を自由とするものである。この点でも上述した実施の形態と異なる。しかしながら、荷重が加わった場合に、インブレーキ部13の当接固定部13aがアウトブレーキ部14の環状当接部14aと共に前記筒ばね部材7を挟持固定する機構に関しては同様のものである。
【0051】
また、図13に示す第5の実施の形態においては、基台部3が天井等高所に設置されることから、リモコン等によって駆動制御されることが望ましい。このため、基台部3の近傍にリモコン駆動部50を設けている。
【0052】
このリモコン駆動部50は、例えば図14で示すような電気回路71を有し、この電気回路71には、図示しないリモコンによる信号を受信するホトトランジスタ77が設けられる。このホトトランジスタ77は、一端が電源75と接続され、他端がIC76に接続されており、リモコンから出力される信号に対応する信号をIC76に出力する。そして、IC76はこの信号に対応してトランジスタ78若しくはトランジスタ79を導通させて、モータ44及び電磁アクチュエータ72を駆動させる。
【0053】
これによって、前記物品5を上昇させたい場合には、リモコンによってテレスコピックパイプ機構2の縮小を指示すると、トランジスタ78が導通してモータ44が正転する。これによってウォームギア45を介して内側ピンチロール46が駆動すると同時にロック機構8が自動的に解除されて筒ばね部材7が引き上げられる。そして、所望の位置でモータ44の駆動を解除し、物品5の荷重及びテレスコピックパイプ機構2の自重により前記ロック機構8がかかり、物品5を所望の位置で固定することができる。
【0054】
また、物品を下降させたい場合には、リモコンによってテレスコピックパイプ機構2の伸長を指示する。これによってトランジスタ79が導通し、リレー80を介して切換スイッチ81が切り換わってモータ44が逆転する。これと同時に電磁アクチュエータ72の電磁コイル82に電流が流れてプランジャ74をスプリング83に抗して引き寄せるので、ロッド73を介してスイッチレバー41が支点84を中心に前記リリースロッド15を引き上げ、ロック機構8のロックを解除する。これによって、前記筒ばね部材7が下方に延びてテレスコピックパイプ機構2を伸長し、前記物品5は下降する。そして、所望の位置でモータ44の逆転及び電磁アクチュエータ72の駆動を停止させ、上述した場合と同様に物品5の位置を固定するものである。
【0055】
図15に示す第6の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Eは、テレスコピックパイプ機構2を両側に対象に設けたことを特徴とするもので、伸縮自在の干し竿や、突っ張り棒等に利用できる。この場合、先端具4はゴム、合成樹脂等によって形成することが望ましい。また、リリース機構は、リリースレバー16を交差して設け、その間に復帰スプリング16aを配したものが用いられる。それ以外の構成は既に説明した構成であるので、説明を省略する。
【0056】
図16に示す第7の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Fは、筒ばね部材7の幅方向の湾曲方向を上述した実施の形態と反対側にした例を示したものである。さらにこの実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Fは、基台部3を支える脚部48にハートカム機構68を設けることによって上方へ折りたたみ自在にした実施の形態を示すものである。
【0057】
また、駆動手段として、外側ピンチロール47を駆動する傘歯車を有するハンドル67による手動駆動を開示している。さらに、リリース機構は、インブレーキ部13の当接固定部13aに固定されるリリースロッド15と、リリースレバー16と、リリースレバー16が係合するリリースロッド15と一体に成形された係止部16dと、リリースロッド15の延長部分16bの端部に装着される復帰スプリング16cとによって構成される。
【0058】
以上の点で、この第7の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Fは、上述した実施の形態と異なるが、その他の構成及び効果については同様であるので、説明を省略する。
【0059】
図17(a),(b)で示す第8の実施の形態のテレスコピックパイプ装置1Gは、リール11の巻取り力を付勢する手段として定荷重ばね70を設けたことを特徴とするものである。さらに、この定荷重ばね70は前記リール11の両側に配するものである。これによって、筒ばね部材7の巻取り及び引出し抵抗を一定にすることができるので、ストロークが長くても引出し及び巻取り動作を安定させることができるものである。
【0060】
また、図18は、図17で示す第8の実施の形態のテレスコピックパイプ装置1Gの筒ばね部材7の幅方向の湾曲方向を逆にした第9の実施の形態のテレスコピックパイプ装置1Hを開示するものである。この構成により、幅方向の湾曲方向を逆にすることによって、リール11及び定荷重ばねが収納される基台部3の幅を小さくできるので、省スペース化を達成できる。
【0061】
さらに、図19は、第10の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Iを示すものである。この第10の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Iは、内側ピンチロール46に、ロック機構8Aとしての爪車46Aを設け、この爪車46Aの爪がリリースレバー16に係止することによって内側ピンチロール46を固定するものである。これによって、この実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Iでは、筒ばね部材7が引き出される方向に移動する場合、前記ロック機構8Aがフリーとなり、筒ばね部材7が巻取られる方向に移動する場合、リリースレバー16の先端が爪車46Aの爪に噛合するので、ロック機構8Aが作動する。また、リリース機構10Aは、前記リリースレバー16をスプリング46Bの力に抗して押し込むことによってリリースレバー16の先端が爪車の爪から離れるので、ロック機構8Aが解除され、内側ピンチロール46がフリーとなるものであり、上述した実施の形態と同様の効果を奏することができるものである。
【0062】
また、図20で示す第11の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置1Jは、内側ピンチロール46にハートカムストッパ16Bを設け、これにリリース機構10Bを構成するピン16Aを噛合させることによってロック機構8Bを構成するようにしたものである。これによって、筒ばね部材7が引出される方向に移動する場合にはハートカムストッパ16Bが滑って引っかからないために、内側ピンチロール46はフリーとなり、筒ばね部材7が巻取られる方向に移動する場合には、前記ピン16Aがハートカムストッパ16Bに噛合するので、内側ピンチロール46はロックされる。また、リリース機構10Bとしては、前記テレスコピックパイプ2を少しだけ延ばす方向に引くことによって前記ピン16Aがハートカムストッパ16Bから離れるので、内側ピンチロール46のロックを解除できるため、上述した実施の形態と同様の効果を奏することができるものである。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、伸縮自在のテレスコピックパイプにおいて、テレスコピックパイプを支持する筒ばね部材をこの筒ばね部材に加わる荷重方向でのみロックするロック機構を設けたので、テレスコピックパイプの固定を容易に行なうことができるものである。また、このロック機構は、荷重が加わる方向と逆方向に引き出し又は押し込むことによって簡単に解除できるので、テレスコピックパイプの長さを簡単に変えることができるものである。
【0064】
さらに、前記ロック機構は、インブレーキ部とアウトブレーキ部とによって構成されるので、リリース機構がインブレーキ部をアウトブレーキ部に対して相対的に引き離す方向に移動させるだけで良いので、テレスコピックパイプ装置自体を非常に簡略化できるので、テレスコピックパイプ装置の軽量化が達成でき、携帯性が向上するものである。
【0065】
また、上述したロック機構を用いることによって、電動による駆動機構を具備しても装置自体の大きさを抑制できるので、装置自体の小型化を容易に達成できるものである。
【0066】
さらに、本発明によれば、テレスコピックパイプだけでは荷重を支えられないが、骨となる筒ばね部材があることによって、大きな荷重を負うことができ、骨となる部分である筒ばね部材を筒状としたことによって一層強度が向上し、大きな負荷に耐えることができる。また、前記筒ばね部材は、2つの湾曲応力成分を持つことから、筒形状から渦巻形状へ、またその逆への変形が容易であり、且つ変形の繰り返しに強いことから長寿命である。
【0067】
また、本発明のロック手段は、ワンウェイ機能があり、ロック時のテレスコピックパイプの長さの寸法安定性が良く、しかもロック手段のリリースが容易であるので、作業性が良い。
【0068】
特に、インブレーキ部及びアウトブレーキ部を有するロック手段においては、筒ばね部材を全方向から締付けることができるので、バランス良くロックすることができ、またインブレーキ部又はアウトブレーキ部の一方を他方に対して移動させることによってロックを解除できるので、リリース性が良い。
【0069】
さらに、テレスコピックパイプを構成するパイプに保持プレートを設けるので、筒ばね部材の強度を一層向上させることができる。
【0070】
さらにまた、回転部材が巻取られるリールに回転付勢手段を設けたことにより、筒ばね部材の巻取り性を向上させることができるので、テレスコピックパイプの伸縮を安定して行なうことができるものである。
【0071】
また、本発明においては、手動以外にモータ等の電動機からなる駆動手段を簡単に装着することができると共に、該駆動手段を設けることによって自動的にテレスコピックパイプを伸縮させることができるものである。
【0072】
また、前記駆動手段によって筒ばね部材を挟持するピンチロールを駆動するものにおいては、簡単な構造でテレスコピックパイプの伸縮を可能とし、特に二点接触のものにおいては、筒ばね部材を2箇所で駆動できるので、確実に筒ばね部材を移動させることができるものである。
【0073】
さらに、本願発明においては、渦巻方向の異なる二種類の筒ばね部材を選択することができるので、テレスコピックパイプ装置の使用状況に合わせて筒ばね部材を選択が可能であり、テレスコピックパイプ装置の小型化、省スペース化に寄与できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図2】(a)は図1に示すテレスコピックパイプ装置のA−A断面図であって、筒ばね部材が完全円筒形状に変形した例を示した断面図であり、(b)は筒ばね部材が略円筒形状に変形した例を示した断面図である。
【図3】ロック機構の一例を示した拡大斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は、それぞれにインブレーキ部の当接固定部の他の形状を示した一部拡大斜視図である。
【図5】本願発明の第2の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図6】(a)は図5に示すテレスコピックパイプ装置のB−B断面図であって、完全円筒形状に変形した筒ばね部材を外方から支持する支持プレートを示した断面図であり、(b)は略円筒形状に変形した筒ばね部材を外方から支持する支持プレートを示した断面図である。
【図7】本願発明の第3の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図8】図7に示すテレスコピックパイプ装置のC−C断面図であって、筒ばね部材を内外から支持する支持プレートの構成を示した断面図である。
【図9】(a),(b)は、筒ばね部材の他の変形例を示し、これに合わせて筒ばね部材を内外から支持する支持プレートの構成を示した断面図である。
【図10】本願発明の第4の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図11】図10に示された第4の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の基台部の断面図である。
【図12】(a)〜(c)は、内側ピンチロール及び外側ピンチロールの変形例を示した概略構成図である。
【図13】本願発明の第5の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図14】図13で示す第5の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の駆動制御部の電気回路の一例を示した電気回路図である。
【図15】本願発明の第6の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図16】本願発明の第7の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図17】本願発明の第8の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図18】本願発明の第9の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図19】本願発明の第10の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【図20】本願発明の第11の実施の形態に係るテレスコピックパイプ装置の概略構成断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J テレスコピックパイプ装置
2 テレスコピックパイプ機構
3 基台部
4 先端具
5 物品
6 支持機構
7 筒ばね部材
8,8A,8B ロック機構
9 巻取り機構
10、10A,10B リリース機構
11 リール
13 インブレーキ部
13a 当接固定部
14 アウトブレーキ部
14a 環状当接部
15 リリースロッド
21 先端パイプ
22 収納パイプ
23 中間パイプ
24 保持プレート
Claims (15)
- 先端具が装着された先端パイプ、該先端パイプに接続され、該先端パイプの移動に伴って伸縮する中間パイプ、及び前記先端パイプ及び前記中間パイプを摺動自在に収納する収納パイプとによって構成されるテレスコピックパイプと、該テレスコピックパイプの一端が固定される基台部と、前記テレスコピックパイプを伸縮移動及び保持固定する支持機構とによって構成されるテレスコピックパイプ装置において、
前記支持機構は、前記テレスコピックパイプに挿通されて前記先端パイプに一端が固定され、幅方向において長手方向を軸として湾曲しようとする横応力成分と、長手方向において幅方向を軸として湾曲しようとする縦応力成分とを有する筒ばね部材と、前記基台部に収納されると共に、前記筒ばね部材の他端が固定され、前記テレスコピックパイプの縮小時に前記筒バネ部材を巻取るリールと、前記テレスコピックパイプに加わる一方向の荷重に対して筒ばね部材を固定するロック手段と、前記ロック手段を解除するリリース手段とを具備するとともに、
前記テレスコピックパイプに荷重が加わる方向は、テレスコピックパイプの縮小方向であり、前記ロック手段は前記筒ばね部材を引出し方向では自由とし巻取り方向でロックすることを特徴とするテレスコピックパイプ装置。 - 前記ロック手段は、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の内部に位置するインブレーキ部と、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の外部で、前記インブレーキ部の位置よりも前記筒ばね部材の引出し方向の前方に位置するアウトブレーキ部とによって構成され、且つ前記インブレーキ部の外径は、前記アウトブレーキ部の内径以上であることを特徴とする請求項1記載のテレスコピックパイプ装置。
- 先端具が装着された先端パイプ、該先端パイプに接続され、該先端パイプの移動に伴って伸縮する中間パイプ、及び前記先端パイプ及び前記中間パイプを摺動自在に収納する収納パイプとによって構成されるテレスコピックパイプと、該テレスコピックパイプの一端が固定される基台部と、前記テレスコピックパイプを伸縮移動及び保持固定する支持機構とによって構成されるテレスコピックパイプ装置において、前記支持機構は、前記テレスコピックパイプに挿通されて前記先端パイプに一端が固定され、幅方向において長手方向を軸として湾曲しようとする横応力成分と、長手方向において幅方向を軸として湾曲しようとする縦応力成分とを有する筒ばね部材と、前記基台部に収納されると共に、前記筒ばね部材の他端が固定され、前記テレスコピックパイプの縮小時に前記筒バネ部材を巻取るリールと、前記テレスコピックパイプに加わる一方向の荷重に対して筒ばね部材を固定するロック手段と、前記ロック手段を解除するリリース手段とを具備するとともに、
前記テレスコピックパイプに荷重が加わる方向は、テレスコピックパイプの引出し方向であり、前記ロック手段は前記筒ばね部材を巻取り方向では自由とし引出し方向でロックすることを特徴とするテレスコピックパイプ装置。 - 前記ロック手段は、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の内部に位置するインブレーキ部と、前記筒ばね部材の略円筒状に変形した伸長部分の外部で、前記インブレーキ部の位置よりも前記筒ばね部材の引出し方向の後方に位置するアウトブレーキ部とによって構成され、且つ前記インブレーキ部の外径は、前記アウトブレーキ部の内径以上であることを特徴とする請求項3記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記インブレーキ部又はアウトブレーキ部の一方が固定され、他方が移動可能であると共に、前記リリース手段は、移動可能な他方を固定された一方から離す方向に移動させることによってロック手段のロックを解除することを特徴とする請求項2又は4記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記テレスコピックパイプを構成するパイプは、その一端に前記筒ばね部材を外方から保持する保持プレートを具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記テレスコピックパイプを構成するパイプは、その一端に前記筒ばね部材を外方及び内方から保持する保持プレートを具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記リールには、前記筒ばね部材を強制的に巻きこむ方向に付勢する回転付勢手段が設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記筒ばね部材を進退させる駆動手段を具備し、この駆動手段は前記ロック手段を解除すると同時に作動しうるようになされたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記駆動手段は、前記筒ばね部材の横方向応力によって凹状に湾曲した内側面に当接する内側ピンチロールと、凹状に湾曲した外側面に当接する外側ピンチロールとによって構成され、前記内側ピンチロールと前記外側ピンチロールの一方に駆動力が伝達されることを特徴とする請求項9記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記筒ばね部材を進退させる駆動手段を具備し、該駆動手段は、前記筒ばね部材の横方向応力によって凹状に湾曲した内側面に当接する内側ピンチロールと、凹状に湾曲した外側面に当接する外側ピンチロールとによって構成され、前記内側ピンチロールと前記外側ピンチロールの一方に駆動力が伝達され、前記ロック手段は、前記ピンチロールの少なくとも一つに設けられた爪と、前記ピンチロールの回転方向の一方向において前記爪と噛合するピンからなり、前記リリース手段は、該ピンの噛合を解除するものであることを特徴とする請求項1又は3記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記内側ピンチロールは、前記内側面に当接する2つの回転面を有する一つのピンチロールからなり、前記外側ピンチロールは、前記2つの回転面が当接する内側面に対応する外側面にそれぞれに当接する2つのピンチロールからなることを特徴とする請求項10又は11記載のテレスコピックパイプ装置。
- 前記内側ピンチロールは、前記内側面の2箇所に当接する2つピンチロールからなり、前記外側ピンチロールは、前記内側ピンチロールが当接する2つの内側面に対応する2箇所外側面にそれぞれに当接する2つのピンチロールからなることを特徴とする請求項10又は11記載のテレスコピックパイプ装置。
- 横応力成分による前記筒ばね部材の両側縁の変形方向は、縦応力成分による巻方向側であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載のテレスコピックパイプ装置。
- 横応力成分による前記筒ばね部材の両側縁の変形方向は、縦応力成分による巻方向の反対側であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載のテレスコピックパイプ装置。
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