[第1の実施の形態]
図1は、本発明が適用されるカメラの概略的な構成を示す一部切り欠き斜視図である。すなわち、カメラの一部を切断して、その内部構成を概略的に示している。
カメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体部11及びレンズ鏡筒12とからなり、このカメラ本体部11及びレンズ鏡筒12の両者は、互いに着脱自在に構成されている。そして、レンズ鏡筒12は、複数のレンズやその駆動機構等からなる撮影光学系12aを内部に保持して構成されている。
この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることによって、当該被写体光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子の光電変換面上)に結像せしめるように、例えば、複数の光学レンズ等によって構成されるものである。
このレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に向けて突出するように配設されている。また、カメラ本体部11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えて構成されてなるいわゆる一眼レフレックス方式のカメラである。
つまり、カメラ本体部11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体部11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成されており、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。
そして、このカメラ本体部11の外面側には、その前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体部11を動作させるための各種の操作部材、例えば、撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。
また、前面上部には、被写体を照射している光源を測定するための光源検出センサ131が設けられている。
このカメラ本体部11の内部には、各種の構成部材、例えば、いわゆる観察光学系を構成するファインダ装置13と、撮像素子の光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14等を含む撮像ユニット15と、電気回路を構成する各種の電気部材が実装される主回路基板16を始めとした複数の回路基板(主回路基板16のみを図示している)等が、それぞれ所定の位置に配設されている。
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導き得るように構成される反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するのに最適な形態の像を結像させる接眼レンズ13c等によって構成されている。
反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との問で移動自在に構成され、通常状態においては、撮影光学系12aの光軸上において当該光軸に対して所定の角度、例えば、角度45度を有して配置されている。
これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にあるときには、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
一方、本カメラ1が撮影動作の実行中においては、当該反射鏡13bは撮影光学系12aの光軸から退避する所定の位置に移動するようになっており、これによって、被写体光束は、撮像素子側へと導かれる。また、シャッタ部14は、例えば、フォーカルプレーン方式のシャッタ機構やその駆動回路等、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。
図2は、本発明が適用されるカメラのシステム構成を示すブロック図である。すなわち、このカメラシステムは、カメラ本体11と、交換レンズとしてのレンズ鏡筒12とから主に構成されており、カメラ本体11の前面に対して所望のレンズ鏡筒12が着脱自在に設定されている。
レンズ鏡筒12の制御は、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと称する)205が行う。カメラ本体11の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと称する)150が行う。なお、これらLμcom205とBμcom150とは、合体時において通信コネクタ206、207を介して通信可能に電気的に接続される。そして、この場合、カメラシステムとしてLμcom205がBμcom150に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
レンズ鏡筒12内には、撮影光学系12aと、絞り203とが設けられている。この撮影光学系12aは、レンズ駆動機構202内に在る図示しないDCモータによって駆動される。また、絞り203は、絞り駆動機構204内に在る図示しないステッピングモータによって駆動される。Lμcom205は、Bμcom150からの指令に従って、これらの各モータを制御する。
カメラ本体11内には、次の構成部材が図示のように配設されている。例えば、光学系としての一眼レフレックス方式の構成部材(ペンタプリズム13a、反射鏡13b、接眼レンズ13c、サブミラー114)と、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタ14と、上記サブミラー114からの反射光束を受けて自動測距するためのAFセンサユニット116とが設けられている。
また、上記AFセンサユニット116を駆動制御するAFセンサ駆動回路117と、上記反射鏡13bを駆動制御するミラー駆動機構118と、上記シャッタ14の先幕と後幕を駆動するためのばね力をチャージするシャッタチャージ機構119と、それら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路120と、上記ペンタプリズム13aからの光束に基づき測光データを出力するファインダ測光センサ135と、この出力に基づき測光処理する測光回路121とが設けられている。
光軸上には、上記光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像素子27が光電変換素子として設けられている。この撮像素子27は、該撮像素子27と撮像光学系12aとの間に配設された光学素子としての透明なガラス部材でなる防塵フィルタによって保護されている。
このカメラシステムには、また、撮像素子27に接続されたインターフェイス回路123と、液晶モニタ124と、記憶領域として設けられたSDRAM125と、FlashROM126及び記録メディア127などを利用して画像処理する画像処理コントローラ128とが設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として、例えば、EEPROMからなる不揮発性メモリ129が、Bμcom150からアクセス可能に設けられている。
また、Bμcom150には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD151と、カメラ操作スイッチ(SW)152とが設けられている。上記カメラ操作SW152は、例えば、レリーズSW、モード変更SW及びパワーSWなどの、このカメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、電源154と、この電源の電圧を、当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路153が設けられている。
次に、上述したように構成されるカメラシステムの動作について説明すると、このカメラシステム各部が次のように稼動する。
まず、画像処理コントローラ128は、Bμcom150の指令に従ってインターフェイス回路123を制御して撮像素子27から画像データを取り込む。この画像データは,画像処理コントローラ128でビデオ信号に変換され、液晶モニタ124にて出力表示される。ユーザは、この液晶モニタ124の表示画像から、撮影した画像イメージを確認することができる。
SDRAM125は、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。また、この画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア127に保管されるように設定されている。
撮像素子27は、前述したように透明なガラス部材でなる防塵フィルタによって保護されている。
ミラー駆動機構118は、反射鏡13bをUP位置とDOWN位置へ駆動するための機構であり、この反射鏡13bがDOWN位置にあるとき、撮影光学系12aからの光束はAFセンサユニット116側とペンタプリズム13a側へと分割されて導かれる。
AFセンサユニット116内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路117を介してBμcom150へ送信されて周知の測距処理が行われる。
また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部はファインダ測光センサ135へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。また、光源検出センサ131で検出した被写体周囲の光量信号は、光源検出回路132を介してBμcomに送られ、そこでホワイトバランスなどの補正が行われる。
続いて、本発明に係る第1の実施の形態のカメラの動作について説明する。図3、図4は、カメラの動作手順を示す概略のフロー図である。
カメラの動作シーケンスが開始されると、ステップS01〜S03において、表示時間が終了するまで通常の表示処理を行う。そして、ステップS02でYesの場合、即ち、1stレリーズが操作されたときは、ステップS06において、自動測距を行いその結果に基づいてレンズ駆動を指示する。続いてステップS07において、ファインダ測光処理(図5)を実行する。
図5のステップT01〜T02において、ファインダ測光センサ135の出力信号を測光回路121を介して読み出し、測光値を抽出する。図6は、ファインダ測光センサ135の測光視野を示す図である。測光視野を5つの領域(a〜e)に分割し、その各々の領域について輝度の平均値である測光値(BV_F_a〜BV_F_e)を算出する。そして、算出した測光値をSDRAM125に格納する。
ステップT03において、それぞれの測光値に基づいて露出用の測光値BV_Fを式(1)によって算出する。
BV_F=f(BV_F_a、BV_F_b、BV_F_c、BV_F_d、BV_F_e) …式(1)
ここで、関数fは、測光モード(スポット測光モード、平均測光モード、評価測光モードなど)、撮影距離、被写体位置に応じて定められるアルゴリズムを表している。
そして、ステップT04において、この露出用の測光値BV_Fを算出するために採用した関数fを測光値BV_Fと共にSDRAM125に格納してリターンする。
図3に戻り、ステップS08において、光源検出測光を実行する。即ち、被写体周囲の環境光を光源検出センサ131によって検出する。光源検出回路132が検出値から測光値を算出し光源を判定する。この測光値と判定結果は、後段においてホワイトバランスを補正する等の処理に用いられる。
そして、ステップS09において、ファインダ測光と光源検出測光との結果に基づいて露出演算処理(図7)を実行する。
図7のステップT07において、測光値BV_F、撮像素子の感度SV、ユーザがカメラ操作SW152から設定した補正量CVを用いて、露出量EVを式(2)によって計算する。
EV=BV_F+SV+CV …(2)
そして、ステップT08において、露出モード(絞り優先モード、シャッタ優先モードなど)に応じて、露出量EVから制御露出量であるTV値、AV値を算出してリターンする。
図3に戻り、ステップS10において、2ndレリーズが操作されたか否かを調べる。ステップS10でNoの場合、即ちまだ2ndレリーズが操作されていない場合は、2ndレリーズが操作されるまで、ステップS02からS09の処理を繰り返す。そして、ステップS10でYesの場合、即ち、2ndレリーズが操作されたときは、撮像処理を実行する。
図4のステップS15において、ミラーアップ動作と絞込みを実行する。絞込みは、ステップS09の露出演算で求められたAV値になるように制御される。そして、ステップS16〜S17において、露出(シャッタ制御)を行い、露出が終了した後に撮影したデータの読み出しを開始する。
次に、ステップS18において、連写モードかどうかを調べる。連写モードで無い場合は、ステップS20において、ミラーダウン動作と絞りの解放を実行する。そして、ステップS21、S24において、撮像素子27から撮像データの読み出し終了判断、絞り開放終了判断、ミラーダウン終了判断を行い、読み出しが終了していなければステップS21、S24を繰り返す。
ステップS21でYesの場合、即ち、読み出しが終了したときは、ステップS22〜S23において、記録メディア127に撮像データの書き込み開始を指示する。そして、ステップS24でYesの場合、即ち、ミラーダウン動作、絞り解放、撮像データの読み出し動作が終了したときはステップS02に戻って一連の処理を実施する。
一方、ステップS18でYesの場合、即ち、連写モードの場合は、ステップS27において、2ndレリーズの操作が中止されたかどうかを調べる。ステップS18でNoの場合、即ち、2ndレリーズの操作が中止された場合は、連写モードでの撮影を中止して、一枚ごとの撮影処理であるステップS20〜ステップS24の処理を実行する。
ステップS18でYesの場合、即ち、2ndレリーズの操作が継続している場合は、ステップS28〜S29において、撮像素子27から撮像データの読み出しを開始し、読み出しが終了するまで待機する。そして、読み出しが終了したときは、記録メディア127に撮像データの書き込み開始を指示する。
次に、ステップS30に示す、撮像データによる露出決定処理(図8)を実行する。図8のステップT14において、連写モードでの一枚目の撮影が終了後の場合かどうかを調べる。
ステップT14でYesの場合、即ち、直近に終了した撮影が、連写モードでの一枚目の撮影であった場合は、ステップT15に示す撮像データによる測光値読み出し処理(図9)を実行する。
図9のステップP01〜P02において、1枚目の撮像データを読み出し、輝度信号の所定エリアごとの平均値(BV値)を抽出する。図10は、撮像データよりBV値を算出する際の所定エリアを示す図である。撮像データを5つの領域(A〜E)に分割し、その各々の領域について輝度の平均値であるBV値(BV_F_A〜BV_F_E)を算出する。そして、算出したBV値をSDRAM125に格納する。
ステップP03において、それぞれの平均BV値に基づいて露出用の測光値BV_1を式(3)によって算出する。
BV_1=f(BV_F_A、BV_F_B、BV_F_C、BV_F_D、BV_F_E) …式(3)
ここで、式(3)の関数fは、図5に示すファインダ測光処理において用いられたものを読み出して使用する。
図8に戻り、ステップT16において、算出した露出用の測光値BV_1を連写1枚目の撮像測光値としてBV1に格納し、ステップT17において、図3のステップS09で演算した制御露出量をAV1、TV1として格納する。そして、ステップT18において、直近の撮影が連写1枚目であった場合、その次の撮影(連写2枚目の撮影)がTV1、AV1で行われるように制御露出値TV、AVにそれぞれTV1、AV1を格納してリターンする。
ステップT14でNoの場合、即ち、直近に終了した撮影が、連写モードでの二枚目以降の撮影であった場合は、ステップT20に示す撮像データによる測光値読み出し処理(図9)を実行する。
このステップT20に示す処理は、ステップT15に示す処理と同一であるが、扱う画像データが撮影一枚目のデータではなく、直近に撮影したn(=2、3、・・・)枚目のデータである点が異なっている。従って、その詳細の処理内容の再度の説明は省略する。
そして、ステップT21〜T22において、一枚目の測光値BV1と直近のn枚目の測光値BVnとを比較し、露出補正量ΔEVを式(4)により求める。
ΔEV=BVn−BV1 …式(4)
次に、制御露出量をAV1、TV1を読み出して、露出量EVを式(5)により求める。
EV=AV1+TV1+ΔEV …式(5)
そして、露出量EVから新たな制御露出量AV、TVを算出してリターンする。
図4に戻り、ステップS31において、新たな制御露出量AVに基づいて絞り量を変更するかどうかを調べる。ステップS31でYesの場合、即ち、絞り量を変更する場合は、ステップS32において、Lμcom205に対して絞りを変更するように制御指令を出力する。そして、ステップS16に戻り、新たな制御露出量TVに基づいて露出動作(シャッタ制御)を実行する。
一方、ステップS31でNoの場合、即ち、絞り量を変更しない場合は、Lμcom205に対して絞りを変更する制御指令を出力せずにステップS16に戻り、新たな制御露出量TVに基づいて露出動作(シャッタ制御)を実行する。
この第1の実施の形態によれば、連写モードで一枚目を撮影するときは、ファインダ測光センサ135を用いて被写体輝度を測定し、露出を決定する。連写二枚目以降を撮影するときは、一枚目の撮像データから得た測光値、一枚目の制御露出量、直近の撮像データから得た測光値から露出量を決定する。従って、連写中においては、ミラーのアップダウンを行う必要が無いため、高速な連写撮影が可能となる。
また、連写一枚目の撮像データと露出量に基づいているため、ファインダの測光値と撮像時の測光値の諸々の量を吸収し、連写一枚目とそれ以降の露出が大幅に変化しない構成となっている。さらにファインダ測光と撮像素子データからの測光値の算出エリアやアルゴリズムを統一することにより、より正確な露出が可能となる。
さらに、第1の実施の形態によれば、撮像光学系に特別な光学素子を設けることが無いため、スペース・コスト両面において従来のカメラよりも有利である。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、一枚目の撮影に使用したファインダ測光値を基準として二枚目以降の撮影の露出を決定する点が、第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
第2の実施の形態のカメラの動作手順は、第1の実施の形態の図3、図4に示す手順と同一であるが、図4のステップS30に示す撮像データによる露出決定処理(図8)が、ファインダ測光データによる露出決定処理となる点で第1の実施の形態と異なっている。
図11は、第2の実施の形態のファインダ測光データによる露出決定処理の手順を示すフロー図である。
図11のステップT30において、連写モードでの一枚目の撮影が終了したかどうかを調べる。
ステップT30でYesの場合、即ち、直近に終了した撮影が、連写モードでの一枚目の撮影であった場合は、ステップT31に示す撮像データによる測光値読み出し処理(図9)を実行する。
この処理は、既に説明したためその詳細の説明は省略するが、撮像データを5つの領域(A〜E)に分割し、その各々の領域について輝度の平均値であるBV値(BV_F_A〜BV_F_E)を算出し、それぞれの平均BV値に基づいて露出用の測光値BV_1を算出する処理である。
ステップT32において、算出した露出用の測光値BV_1を連写1枚目の撮像測光値としてBV1に格納し、ステップT33において、ファインダ測光値BV_Fと撮像データの測光値BV_1とから式(6)により、補正値ΔBVを求める。
ΔBV=BV_1 − BV_F …式(6)
この補正値ΔBVは、ファインダ測光値とそれを用いて撮影したデータとの間にどれだけの差があるかを表す値である。そして、この補正値ΔBVをSDRAM125に格納し、ステップT34において、制御露出量TV、AVを連写一枚目と同一に設定してリターンする。
ステップT30でNoの場合、即ち、直近に終了した撮影が、連写モードでの二枚目以降の撮影であった場合は、ステップT36に示す撮像データによる測光値読み出し処理(図9)を実行する。
このステップT36に示す処理は、ステップT31に示す処理と同一であるが、扱う画像データが撮影一枚目のデータではなく、直近に撮影したn(=2、3、・・・)枚目の撮像データである点が異なっている。
更に第2の実施の形態では、露出用の測光値を求める際に使用する関数が、図5に示すファインダ測光処理において用いた関数fではなく、独自に定めた関数f2である点が第1の実施の形態と異なっている。撮影の都度、独自に定めた関数f2を用いることにより、被写体が一枚目と大きく変化した場合であっても、的確に露出を決定することが可能となる。
そして、ステップT37〜T38において、直近のn枚目の撮像データより求めた測光値BVnを補正値ΔBVを用いて式(7)により補正する。即ち、第1枚目に基づいて求めたずれ量(補正量)だけ補正する。
BVn=BVn+ΔBV …式(7)
次に、測光値BVn、感度SV、ユーザがカメラ操作SW152から設定した補正量CVを用いて、露出量EVを式(8)によって計算する。
EV=BV_n+SV+CV …式(8)
そして、ステップT39において、露出モード(絞り優先モード、シャッタ優先モードなど)に応じて、露出量EVから制御露出量であるTV値、AV値を算出してリターンする。
この第2の実施の形態によれば、連写モードで一枚目を撮影するときは、ファインダ測光素子を用いて被写体輝度を測定し、露出を決定する。そして、ファインダ測光値と撮像データから得た測光値との差(補正量)を算出する。連写二枚目以降を撮影するときは、直近の撮像データから得た測光値を補正量で補正して露出量を決定する。従って、連写中においては、ミラーのアップダウンを行う必要が無いため、高速な連写撮影が可能となる。
また、第2の実施の形態によれば、撮像光学系に特別な光学素子を設けることが無いため、スペース・コスト両面において従来のカメラよりも有利である。
さらに、第2の実施の形態によれば、撮影する都度、独自に定めた関数を用いて撮像データから得た測光値を算出することにより、被写体が一枚目と大きく変化した場合であっても、的確に露出を決定することが可能となる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、被写体が変動している場合においても高速な連写撮影が可能となることを目的に構成している点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
なお、第3の実施の形態では、被写体が変動している例として、動体追尾機能を備えたカメラについて説明する。また、第3の実施の形態では、レンズ内にAF機構が設けられ、レンズ単体でAF動作が行えるものとして説明する。
本発明に係る第3の実施の形態のカメラの動作について説明する。図12、図13は、カメラの動作手順を示す概略のフロー図である。
カメラの動作シーケンスが開始されると、ステップS41〜S43において、表示時間が終了するまで通常の表示処理を行う。そして、ステップS42でYesの場合、即ち、1stレリーズが操作されたときは、ステップS46において、測距と合焦のためのレンズ駆動を指示する。続いてステップS47〜S48において、ステップS46のデータに基づいて被写体を検出してその位置を特定し、ファインダ測光処理(図14)を実行する。
図14のステップT45〜T46において、ファインダ測光センサの出力信号を測光回路121を介して読み出し、測光値を抽出する。
図15は、ファインダ測光センサの測光視野を示す図である。図15では、測光視野は7×7(=49)の領域に分割されている。この領域を7行7列の行列として考え、m行n列の領域の測光値をBV_F_mnとして表す。そして、その各々の領域について輝度の平均値である測光値(BV_F_11〜BV_F_77)を算出する。そして、算出した測光値をSDRAM125に格納する。
ステップT47において、動体予測モードかどうかを調べる。ステップT47でYesの場合、即ち、動体予測モードの場合は、ステップS47において検出した被写体のポイント(位置)に対応する領域の測光値を読み出して、その値を露出用の測光値BV_Fとしてリターンする。
一方、ステップT47でNoの場合、即ち、動体予測モードでない場合は、ステップT49において、それぞれの測光値に基づいて露出用の測光値BV_Fを式(9)によって算出する。
BV_F=f(BV_F_11、BV_F_12、・・・・、BV_F_77) …式(9)
ここで、関数fは、測光モード(スポット測光モード、平均測光モード、評価測光モードなど)、撮影距離、被写体位置に応じて定められるアルゴリズムを表している。
そして、ステップT50において、この露出用の測光値BV_Fを算出するために採用した関数fを測光値BV_Fと共にSDRAM125に格納してリターンする。
図12に戻り、ステップS49において、ファインダ測光処理結果に基づいて露出演算処理(図7)を実行する。露出演算処理では露出モード(絞り優先モード、シャッタ優先モードなど)に応じて、制御露出量であるTV値、AV値を算出する。この処理手順は、既に説明しているためその詳細の説明は省略する。
続いて、ステップS50において、動体予測モードかどうかを判断する。ステップS50でYesの場合、即ち、動体予測モードであった場合は、ステップS51〜S53において、一連の動体予測処理であるレンズ駆動、被写体ポイント検出、ファインダ測光処理を実行する。この処理内容は、ステップS46〜S48で説明した内容と同じであるため詳細の説明は省略する。
そして、ステップS54において、2ndレリーズ操作がされたかどうかを判断する。ステップS55でYesの場合、即ち、1stレリーズ操作がされていて、2ndレリーズ操作がされていないときは、上述のステップS51〜S53に示す一連の動体予測処理を繰り返し実行する。ステップS55でNoの場合、即ち、1stレリーズ操作がされていない状態になったときは、レリーズ操作が中止されたとして、最初のステップS41に戻って処理を繰り返す。
そして、ステップS54でYesの場合、即ち、2ndレリーズ操作がされたときは、ステップS56において、動体予測モードかどうかを判断する。ステップS56でYesの場合、即ち、動体予測モードであった場合は、ステップS57〜S61において、一連の動体予測処理である自動測距(AF)、ファインダ測光処理、被写体ポイント検出を実行し、露出演算を行った後、動体予測レンズ駆動を実行する。この処理内容は、既に説明した内容と同じであるため再度の説明は省略する。
図13のステップS65において、ミラーアップ動作と絞込みを実行する。絞込みは、ステップS49またはS60の露出演算で求められたAV値に対応するように制御される。そして、ステップS66〜S67において、露出(シャッタ制御)を行い、露出が終了した後に撮影したデータの読み出しを開始する。
次に、ステップS68において、連写モードかどうかを調べる。連写モードで無い場合は、ステップS70において、ミラーダウン動作と絞り解放を実行する。そして、ステップS71において、撮像素子27から撮像データの読み出しを開始し、読み出しが終了するまで待機する。
ステップS71でYesの場合、即ち、読み出しが終了したときは、ステップS72〜S73において、記録メディア127に撮像データの書き込み開始を指示する。そして、ステップS74でYesの場合、即ち、ミラーダウン動作、絞り解放、撮像データの読み出し動作が終了したときはステップS42に戻って一連の処理を実施する。
一方、ステップS68でYesの場合、即ち、連写モードの場合は、ステップS77において、2ndレリーズの操作が中止されたかどうかを調べる。ステップS78でNoの場合、即ち、2ndレリーズの操作が中止された場合は、連写モードでの撮影を中止して、一枚ごとの撮影処理であるステップS70〜ステップS74の処理を実行する。
ステップS77でYesの場合、即ち、2ndレリーズの操作が継続している場合は、ステップS78〜S79において、撮像素子27から撮像データの読み出しを開始し、読み出しが終了するまで待機する。そして、読み出しが終了したときは、記録メディア127に撮像データの書き込み開始を指示する。
続いて、ステップS80において、動体予測モードかどうかを判断する。ステップS80でYesの場合、即ち、動体予測モードであった場合は、ステップS81〜S83において、一連の動体予測処理であるレンズ駆動、被写体ポイント検出、動体予測レンズ駆動処理を実行する。この処理内容は、既に説明した内容と同じであるため詳細の説明は省略する。
次に、ステップS84に示す、撮像データによる露出決定処理(図16)を実行する。図16のステップT54において、連写モードでの一枚目の撮影が終了したかどうかを調べる。
ステップT54でYesの場合、即ち、直近に終了した撮影が、連写モードでの一枚目の撮影であった場合は、ステップT55に示す撮像データによる測光値読み出し処理(図17)を実行する。
図17のステップP10において、動体予測モードかどうかを調べる。ステップP10でNoの場合、即ち、動体予測モードでないときは、ステップP11〜P12において、1枚目の撮像データを読み出し、輝度信号の平均値(BV値)を抽出する。図18は、撮像データよりBV値を算出する際のエリアを示す図である。図18では、測光視野は7×7(=49)の領域に分割されている。この領域を7行7列の行列として考え、m行n列の領域の輝度信号の平均値をBV_mnとして表す。そして、その各々の領域について輝度の平均値である測光値(BV_11〜BV_77)を算出する。そして、算出した測光値をSDRAM125に格納する。
ステップP13において、それぞれの平均BV値に基づいて露出用の測光値BV_1を式(10)によって算出する。
BV_1=f(BV_11、BV_12、・・・・BV_77) …式(10)
ここで、式(10)の関数fは、ファインダ測光処理において用いた関数を読み出して使用する。
ステップP10でYesの場合、即ち、動体予測モードのときは、ステップP15〜P16において、1枚目の撮像データを読み出し、上述のように各々の領域について輝度の平均値である測光値(BV_11〜BV_77)を算出する。そして、被写体ポイントの位置の測光値を露出用の測光値BV_1とする。例えば、被写体ポイントが図18のD点であったときは、BV_46が露出用の測光値として取り出される。
図16のステップT56において、算出した露出用の測光値BV_1を連写1枚目の撮像測光値としてBV1に格納し、ステップT57において、ファインダ測光値BV_Fと撮像データの測光値BV_1とから式(11)により、補正値ΔBVを求める。
ΔBV=BV_1 − BV_F …式(11)
この補正値ΔBVは、ファインダ測光値とそれを用いて撮影したデータとの間にどれだけの差があるかを表す値である。そして、この補正値ΔBVをSDRAM125に格納してリターンする。
ステップT54でNoの場合、即ち、直近に終了した撮影が、連写モードでの二枚目以降の撮影であった場合は、ステップT60に示す撮像データによる測光値読み出し処理(図17)を実行する。
このステップT60に示す処理は、ステップT55に示す処理と同一であるが、扱う画像データが撮影一枚目のデータではなく、直近に撮影したn(=2、3、・・・)枚目の撮像データである点が異なっている。また、動体予測モードの場合は、図17におけるステップP16の被写体ポイントが直近の撮影データによって異なる。これにより、被写体が一枚目と大きく変化した場合であっても、的確に被写体ポイントに追従した露出を決定することが可能となる。
そして、ステップT61〜T62において、直近のn枚目の撮像データより求めた測光値BVnを補正値ΔBVを用いて式(12)により補正する。即ち、第1枚目に基づいて求めたずれ量(補正量)だけ補正する。
BVn=BVn+ΔBV …式(12)
次に、測光値BVn、感度SV、ユーザがカメラ操作SW152から設定した補正量CVを用いて、露出量EVを式(13)によって計算する。
EV=BV_n+SV+CV …式(13)
そして、ステップT63において、露出モード(絞り優先モード、シャッタ優先モードなど)に応じて、露出量EVから制御露出量であるTV値、AV値を算出してリターンする。
図13に戻り、ステップS85において、新たな制御露出量AVに基づいて絞り量を変更するかどうかを調べる。ステップS85でYesの場合、即ち、絞り量を変更する場合は、ステップS86において、Lμcom205に対して絞りを変更するように制御指令を出力する。そして、ステップS66に戻り、新たな制御露出量に基づいて露出動作を実行する。
一方、ステップS85でNoの場合、即ち、絞り量を変更しない場合は、Lμcom205に対して絞りを変更する制御指令を出力せずにステップS66に戻り、新たな制御露出量に基づいて露出動作を実行する。
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態で説明した効果に加え、動体予測モードにおいても連写モードで撮影することができる。
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1…カメラ、11…カメラ本体部、12…レンズ鏡筒、13…ファインダ装置、13a…ペンタプリズム、13b…反射鏡、13c…接眼レンズ、15…撮像ユニット、121…測光回路、131…光源検出センサ、132…光源検出回路、135…ファインダ測光センサ、150…Bμcom、205…Lμcom。