JP4384420B2 - 積層造形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層造形方法に係り、より詳しくは、粉末を材料として目的とする立体形状を造形する積層造形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CAD(Computer Aided Design)で図面を作成した立体形状をラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping;以下、「RP」と略す)システムにより実体化することが、様々な分野で行われている。特に、積層造形方法を使用したRPシステムはマシニングセンタ等に比べて簡単な装置でありながら加工の自由度が高い。こうした長所を有する積層造形方法は、樹脂や紙を材料とするものに多く適用されてきたが、強度や経時・経年変化等の面で問題がある。このため、金属等を材料とする積層造形方法による立体造形の研究が盛んに進められている。
【0003】
こうした金属等を材料とする立体の積層造形のうち、高強度の造形品を目指すものとして、(a)金属等の材料粉末の表面に樹脂を塗布した後、レーザ照射により加熱して溶融させた樹脂部を接着剤として機能させて断面要素を順次積層し、立体を造形する方法や、(b)金属等の材料粉末を1種類のレーザ照射により直接加熱して溶融し、連続体を形成する方法が提案されている。こうした方法では、レーザ照射による所定領域の溶融及びその溶融部で凝固が起こる。しかし、こうした溶融及び凝固のみでは、造形された立体内部に空洞や樹脂が残留し、十分な強度が得られない。そこで、高温雰囲気中における残留樹脂成分の揮発や材料粒子の局所的な結合を促進させて焼結状態としたり、使用した金属等の材料よりも低融点材料を溶解して空洞部に浸透させたりする後処理が必要であり、こうした後処理により強度の向上を図っていた。
【0004】
これに対し、最近になって、焼結や低融点材料といった後処理を必要とせずに高強度を達成できる金属等の積層造形方法が提案されている(非特許文献1参照;以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の積層造形方法では、図7に示されるように、まず、材料粉末91を供給する(図7(A)参照)。なお、図7(A)には、目的形状の一部が既に内部に積層造形された圧縮材料体98上に新たに積層造形される層のための材料粉末91が供給される例が示されている。
【0005】
引き続き、ブレード等を用いて材料粉末91を平坦化させて、材料粉末層92を形成する(図7(B)参照)。そして、材料粉体層92を高い圧力Pで圧縮し、圧縮材料層93を形成する(図7(C)参照)。
【0006】
次に、比較的低パワーのレーザ光L1により、目的とする立体形状の積層方向(+Z方向)における圧縮材料層93の位置の設計断面形状に応じた圧縮材料層93の領域を照射する。この結果、照射領域の材料が加熱されて溶融する。そして、その溶融部へのレーザ光L1の照射を止めて凝固させる。この結果、圧縮材料層93内に断面要素95が形成される(図7(D)参照)。なお、レーザ光L1を適当な速度で、設計断面形状に応じた圧縮材料層93の領域を走査することにより、材料を局所的に溶融して凝固させることが連続的に行われる。
【0007】
次いで、レーザ光L1よりもパワーの高いレーザ光L2を、断面要素95に照射して加熱し、既に積層造形されている部分と断面要素とを一体化させる。この結果、断面要素95が新たに積層された積層造形体97が形成される(図7(E)参照)。以後、上記と同様にして、順次積層造形を進行させることにより、目的とする立体形状が高強度に造形される。
【0008】
【非特許文献1】
徳永他 「2ステップレーザ照射法による純鉄粉体材料を用いた3次元造形」
精密工学会誌 第65巻 第8号 第1136〜1140頁、平成11年8月5日
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術の積層造形方法は、高強度の立体を造形する観点からは、非常に優れたものである。しかしながら、従来技術においては、例えば100MPaオーダーという非常に高い圧力で材料粉末層を積層方向に沿って圧縮する工程が必須であった。このため、従来技術の積層造形方法を使用して、高強度の立体を造形するには、大規模な圧縮装置が必要であるととともに、材料粉末層の形成場所である可動ステージ等も、こうした高い圧力に対する耐えられるものであることが必要であった。
【0010】
この結果、従来技術の積層造形方法を採用した積層造形装置は、大規模なものにならざるを得なかった。したがって、従来技術によっては、簡便に高強度の立体を造形することができるとはいい難かった。
【0011】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、簡易かつ迅速に高強度の立体を造形することができる積層造形方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、積層造形法による高強度の立体造形に関して鋭意研究を進めた結果として、材料粉末層の厚さを、その材料粉末の種類に応じた適切なものとすれば、高圧力による材料粉末層の圧縮を行わなくとも、上述した2ステップレーザ照射法により高強度の立体を造形することができるとの知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0013】
すなわち、本発明の積層造形方法は、粉末を材料として目的とする立体形状を造形する積層造形方法であって、材料粉末を平坦化させた材料粉末層試料の厚さを可変パラメータとして、前記材料粉末層試料を、連続光である第1レーザ光により所定走査速度で照射し、局所的に加熱して溶融した後に凝固させた部分を観察し、前記凝固させた部分が薄板状となる材料粉末層厚さ条件を求めた後に、前記目的とする立体形状の造形精度及び前記材料粉末層厚さ条件を満足する厚さに前記材料粉末を平坦化させた材料粉末層を形成する材料層形成工程と;前記目的とする立体形状における前記材料粉末層の積層位置の設計断面形状に応じた前記材料粉末層の領域を、前記第1レーザ光により前記所定走査速度で照射し、局所的に加熱して溶融した後に凝固させて断面要素を形成する断面要素形成工程と;前記断面要素に第2レーザ光を照射して局所的に加熱し、既に造形された部分と前記断面要素とを一体化させる一体化工程と;を繰り返し、前記目的とする立体形状を造形することを特徴とする積層造形方法である。
【0014】
この積層造形方法では、立体形状の造形に先立って、材料粉末を平坦化させた材料粉末層試料の厚さを可変パラメータとして、材料粉末層試料を、連続光である第1レーザ光により所定走査速度で照射し、局所的に加熱して溶融した後に凝固させた部分を観察し、凝固させた部分が薄板状となる材料粉末層厚さ条件を求める。次に、材料層形成工程において、目的とする立体形状の造形精度及び材料粉末層厚さ条件を満足する厚さに材料粉末を平坦化させた材料粉末層を形成する。引き続き、断面要素形成工程において、目的とする立体形状における材料粉末層の積層位置の設計断面形状に応じた材料粉末層の領域を、第1レーザ光により所定走査速度で照射し、局所的に加熱して溶融した後に凝固させる。この結果、従来技術のように材料粉末層を高圧力で圧縮することなく、従来技術により得られるものと同質の断面要素が形成される。
【0015】
次に、一体化工程において、断面要素に第2レーザ光を照射して局所的に加熱し、既に造形された部分と断面要素とを一体化させる。以後、材料層形成工程、断面要素形成工程及び一体化工程を繰り返し行うことにより、目的とする立体形状が高強度に造形される。
【0016】
したがって、本発明の積層造形方法によれば、簡易かつ迅速に高強度の立体を造形することができる。
また、第1レーザ光を連続光とするので、内部に空洞が形成されることのない良質の断面要素を形成することができる。
【0017】
本発明の積層造形方法では、前記断面要素形成工程と前記一体化工程との間又は前記一体化工程の直後に、前記断面要素に第3のレーザ光を照射し、前記断面要素を設計断面形状となるように切断する切断工程を更に備えることができる。かかる場合には、断面要素が形成された後、次の断面要素が形成される前に形成された断面要素の形状を設計断面形状に精度良く一致させることができる。このため、目的とする立体形状を精度良く造形することができる。
【0018】
ここで、前記材料層形成工程と前記断面要素形成工程との間に、前記材料粉末層を厚さ方向に圧縮する圧縮工程を更に備えることとすることができる。かかる場合にも、目的とする立体形状を精度良く造形することができる。
【0019】
また、本発明の積層造形方法では、前記材料粉末として、鉄、チタン、ニッケル等の金属の粉末、又は、Ni−Mo系等の合金の粉末とすることができる。これらの中でも、後述するNi−Mo系の合金を使用すると、高強度で耐磨耗性に優れた造形品を得ることができる。なお、溶融凝固過程を経る金属又は合金であれば材料として採用することができる。また、ガラス等のセラミックスであっても、溶融凝固過程を経るものであれば、材料として採用することができる。
【0021】
なお、本発明の積層造形方法では、前記第2レーザ光をパルス光としてもよいし、連続光としてもよい。第2レーザ光のパワーを材料の種類及び断面要素の厚さに応じて適宜選択されたものとすることにより、第1レーザ光の照射により形成された断面要素の形状を大きく変化させることなく、既に造形された部分と形成された断面要素とを一体化させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
【0023】
図1には、本発明の一実施形態に係る積層造形方法を実施する積層造形システム10の概略的な構成が示されている。図1に示されるように、この積層造形システム10は、(a)目的とする立体形状を設計するとともに、設計データを格納する計算機システム20と、(b)計算機システム20の制御のもとで、連続光又はパルス光を発生するレーザ照射装置30Aと、(c)計算機システム20の制御のもとで、パルス光を発生するレーザ照射装置30Bと、(d)計算機システム20の制御のもとで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸方向に移動可能なステージ41を有するステージ装置40とを備えている。
【0024】
計算機システム20は、(i)立体形状の設計プログラム等の様々なプログラムを実行するとともに、積層造形システム10全体を制御する処理装置21と、(ii)処理装置21の指令に応じて、図形や文字等を表示する表示装置22と、(iii)オペレータが処理装置21に対して指令や文字データを入力するキーボード等のストロークデバイス23と、(iv)オペレータが処理装置21に対して表示装置22の表示領域における位置を指定するマウス等のポインティングデバイス24と、(v)設計された立体形状のデータ等を格納する記憶装置25とを備えている。
【0025】
レーザ照射装置30Aは、(i)計算機システム20(より詳細には処理装置21)からの指令LCAに応じて、連続光発振及びパルス光発振の一方を択一的に行うレーザ発振器31Aと、(ii)レーザ発振器31Aから射出されたレーザ光を、ステージ41の+Z方向の所定平面上に集光するとともに、計算機システム20からの当指定に応じて該所定平面FP(以下、「焦点面FP」と呼ぶ)上における集光位置(焦点位置)を変化させる照射光学系32Aとを備えている。本実施形態では、レーザ発振器31Aは、40Wのパワーの連続光を出力することができるYAGレーザと、このYAGレーザに付加可能なパルス光出力ユニット(Qスイッチパルスユニット)とを有している。そして、計算機システム20は、YAGレーザを制御することによりレーザ光出力のON/OFFを制御するとともに、パルス光出力ユニットを制御することにより連続光L1(上述した第1レーザ光)とパルス光L3(上述した第3レーザ光)との切換を行うようになっている。なお、レーザ照射装置30Aは、計算機システム20からパルス光発生の指令を受信したときには、Qスイッチ方式により、約1kHzの繰り返し周波数で、幅が数百μsの高ピーク(数MWのピーク値)のパルス光L3を射出するようになっている。
【0026】
レーザ照射装置30Bは、(i)計算機システム20(より詳細には処理装置21)からの指令LCBに応じて、ノーマルパルスのパルス光発振を行うレーザ発振器31Bと、(ii)レーザ発振器31Bから射出されたレーザ光を、ステージ41の+Z方向の所定平面上に集光するとともに、計算機システム20からの当指定に応じて焦点面FP上における集光位置(焦点位置)を変化させる照射光学系32Bとを備えている。本実施形態では、レーザ発振器31Bは、1.2kWのピークパワーでパルス光を出力可能なYAGレーザを有している。
【0027】
ステージ装置40は、(i)上述したステージ41と、(ii)計算機システム20(より詳細には処理装置21)からの指令STCに応じて、ステージ41をXYZの3軸方向に駆動する駆動装置42とを備えている。また、ステージ41上には、十分な耐熱性を有するベース板43が載置されている。
【0028】
次に、上記のように構成された積層造形システムによる積層造形の動作について説明する。
【0029】
まず、設計者が、計算機システム20を使用して、目的とする立体形状を設計する。かかる設計作業は、処理装置により3次元CADプログラムを実行させた状態で、設計者が、表示装置22における表示を参照しながら、ストロークデバイス23及びポインティングデバイス24を操作することにより行われる。こうして設計された立体形状のデータ、及び当該立体を水平面(XY平面と並行な面)で所定の垂直方向(Z方向)の厚さでスライスした場合における、各スライス部の断面形状のデータは、記憶装置25に格納される。なお、本実施形態では、設計された立体は、図2に示されるように、Z方向に沿って、XY断面形状である正方形枠の一辺の長さが変化している立体OBJであるものとする。
【0030】
以上のようにして、CAD設計が終了すると、計算機システム20が駆動装置42を制御してステージ41上のベース板43がレーザ照射装置30Aの射出位置の−Z方向側となるように、ステージ41を移動させる。
【0031】
次に、第1層目用の材料粉末511を、ベース板43の+Z方向側表面上に供給する(図3(A)参照)。なお、本実施形態では、材料粉末511,…としては、粒径が100〜200μmに40%程度が集中しているNi−Mo系合金(川崎製鉄製 KIP シグマロイ415(商品名))を用いている。
【0032】
引き続き、ブレード等を用いて、材料粉末511を平坦化して材料粉末層521を形成する(図3(B)参照)。ここで、材料粉末層521の厚さは材料粉末511の種類、並びに後述するレーザ光L1のパワー及び走査速度に応じて適切な値が定まるものである。この厚さが薄いと、不規則な液適形状を生成しやすく薄板形状になりにくい。一方、この厚さが厚いと、最終的な造形精度が低下する。なお、材料粉末層521の厚さを厚くすると、材料が飛散しない程度のパワーで走査する際に走査速度を遅くすることが必要となる。このため、必然的に処理時間が長くなるため、効率良く造形できるという訳ではない。
【0033】
材料粉末層521の厚さの適切な値は、事前の実験等により定められる。なお、本実施形態では、材料粉末層521の厚さを1mmとしている。
【0034】
次に、計算機システム20が駆動装置42を制御して材料粉末層521のZ位置が焦点面FP近傍となるように、ステージ41をZ軸方向に移動させる。引き続き、計算機システム20がレーザ照射装置30Aを制御することにより、材料粉末層521における設計断面形状に応じた領域にレーザ光L1を照射して局所的な加熱を行う。ここで、レーザ光L1の照射による局所的な加熱は、走査速度VS(≒1mm/s)で、40Wの連続光L1を、当該設計断面形状に応じた領域内で走査させることにより行われる。なお、レーザ光L1のパワーレベルとしては、レーザ光の照射により材料粉末層521を構成する材料の粉末粒子を実質的に飛散させないものが採用されている。この結果、第1層目の断面要素551が形成される(図3(C)参照)。こうして形成された断面要素551のX軸方向に沿って延びる部分のYZ断面を図4(A)に示す。この図4(A)で代表的に示されるように、断面要素551は、レーザ光L1が照射された領域と照射されなかった領域との境界部が三日月の端部のような形状となる。
【0035】
図3に戻り、次いで、計算機システム20が、レーザ照射装置30Aを制御して、パルス光L3を、立体OBJにおける材料粉末層521のZ位置に応じた断面形状、すなわち第1層目における設計断面形状の輪郭に沿って断面要素551内で走査させる。この結果、第1層目における設計断面形状の輪郭に沿って断面要素551が切断され、整形断面要素561が形成される(図3(D)参照)。この整形断面要素561は、第1層目における設計断面形状に精度良く一致する。この整形断面要素561のZ軸と平行な面による断面の形状を、整形断面要素561がX軸方向に沿って延びる部分のYZ断面図として、図4(B)において代表的に示す。こうして形成された整形断面要素561が、この段階における積層体571となる。
【0036】
次に、第2層目用の材料粉末512を、材料粉末層521の+Z方向側表面上に供給する(図5(A)参照)。引き続き、ブレード等を用いて、材料粉末512を平坦化して材料粉末層522を形成する(図5(B)参照)。なお、材料粉末層522の厚さは、上記の材料粉末層521の場合と同様の厚さとしている。
【0037】
次に、計算機システム20が、駆動装置42を制御して材料粉末層522のZ位置が焦点面FP近傍となるように、ステージ41をZ軸方向に移動させる。引き続き、計算機システム20がレーザ照射装置30Aを制御することにより、材料粉末層521の場合と同様にして、材料粉末層522における設計断面形状に応じた領域にレーザ光L1を照射して局所的な加熱を行う。この結果、第2層目の断面要素552が形成される(図5(C)参照)。こうして形成された断面要素551のX軸方向に沿って延びる部分のYZ断面を図6(A)に示す。この図6(A)で代表的に示されるように、断面要素552は、断面要素551と同様に、レーザ光L1が照射された領域と照射されなかった領域との境界部が三日月の端部のような形状となる。
【0038】
図5に戻り、次いで、計算機システム20がレーザ照射装置30Aを制御して、パルス光L3を、立体OBJにおける材料粉末層522のZ位置に応じた断面形状、すなわち第2層目における設計断面形状の輪郭に沿って断面要素552内で走査させる。この結果、第2層目における設計断面形状の輪郭に沿って断面要素552が切断され、整形断面要素562が形成される(図5(D)参照)。この整形断面要素562は、第2層目における設計断面形状に精度良く一致する。この整形断面要素562のZ軸と平行な面による断面の形状を、整形断面要素562がX軸方向に沿って延びる部分のYZ断面図として、図6(B)において代表的に示す。なお、この段階においては、積層体571とその+Z方向側に隣接して形成された整形断面要素562とは一体化されていない状態となっている。
【0039】
次に、計算機システム20が駆動装置42を制御してステージ41上のベース板43がレーザ照射装置30Bの射出位置の−Z方向側となるように、ステージ41を移動させる。引き続き、計算機システム20が駆動装置42を制御して、整形断面要素562が焦点面FPの近傍となるように、ステージ41をZ軸方向に沿って移動させる。なお、上述した整形断面要素562を形成した状態では、整形断面要素562が焦点面FPの近傍位置にあるので、ステージ41がレーザ照射装置30Bの射出位置の−Z方向側に位置させる移動をXY軸方向の2軸方向にのみ精度良く移動させることができる場合には、ステージ41のZ軸方向に沿った移動を省略することができる。
【0040】
次いで、計算機システム20が、レーザ照射装置30Bを制御して、パルス光L2を整形断面要素562の形成領域内で走査させることにより、局所的な加熱を行う。この結果、それまでの積層体571と整形断面要素562とが一体化し、第2層目までの積層体572が形成される。この積層体572のZ軸と平行な面による断面の形状を、積層体572がX軸方向に沿って延びる部分のYZ断面図として図6(C)において代表的に示す。
【0041】
以後、上記の第2層目における積層造形と同様にして、第3層目以降の積層造形が行われる。そして、最終的に、目的とする立体OBJが高強度かつ高精度で造形される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態では、材料粉末の種類等に応じて定まる所定の厚さに材料粉末を平坦化させた材料粉末層を形成する。そして、レーザ光L1を用いて断面要素の形成した後、レーザ光L2を用いて断面要素をそれまでに形成された積層体と一体化させていくことにより、目的とする立体形状を造形している。したがって、本実施形態によれば、簡易にかつ迅速に高強度の立体を造形することができる。
【0043】
また、本実施形態では、各層の断面要素を形成する度に、断面要素の形状が設計断面要素形状に精度良く一致するように、レーザ光L3を用いて断面要素を切断している。したがって、目的とする立体形状を精度良く造形することができる。
【0045】
また、上記の実施形態では、材料としてNi−Mo系合金の粉末を使用したが、他の合金の粉末、純鉄等の金属の粉末、又はセラミックの粉末等を材料として使用し、同様に積層造形を行うこともできる。
【0046】
また、上記の実施形態では、断面要素の整形を、断面要素の形成と当該断面要素とそれまでの積層体との一体化の間に行うようにしたが、積層体との一体化直後に行うこともできる。
【0047】
さらに、断面要素の整形は、従来の高圧力による材料粉末層の圧縮を行う場合にも適用することができる。かかる場合にも、目的とする立体形状を精度良く造形することができる。
【0048】
また、上記の実施形態では、ステージ41がXY軸方向で可動としたが、レーザ照射装置30A,30Bによるレーザ光の走査範囲が十分に広ければ、ステージ41がXY軸方向で固定されていてもよい。また、上記の実施形態では、ステージ41のZ軸方向への移動を計算機システムの制御のもとで行ったが、ステージ41のZ軸方向への移動を手動で行ってもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、新たな材料粉末の供給に伴い必要となる材料粉末層と焦点面とのZ軸方向の位置関係の調整を、ステージ41をZ軸方向に移動させることにより行った。これに対して、レーザ照射装置30A,30Bを移動したり、照射光学系32A,32Bを調整したりすることにより、レーザ光L1、L2、L3の焦点面のZ位置を調整するようにしてもよい。
【0050】
また、レーザ光L1,L2,L3による走査は、可動ミラー等を用いて行ってもよいし、レーザ光L1,L2,L3を導波する光ファイバの光射出位置を移動させて行ってもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、レーザとしてYAGレーザを使用したが、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ等を使用することもできる。
【0052】
また、上記実施形態では、レーザ光L2としてパルス光を使用したが、連続光とすることもできる。
【0053】
また、上記実施形態では、レーザ照射装置30A,30Bそれぞれが、独立して照射光学系を備えることとした。これに対し、レーザ発振器31A,31Bから射出された光の一方を択一的に選択出力する光切換器により共通の照射光学系に導くようにすることにより、照射光学系を1つとすることもできる。こうした光切換器は、1つ以上のミラーを移動可能とすることにより構成することができる。
【0054】
また、積層造形の対象となる立体形状は、上記の実施形態における立体OBJの形状に限定されるものではなく、任意の立体形状とすることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の積層造形方法によれば、簡易にかつ迅速に高強度の立体を造形することができるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る積層造形方法を使用するための積層造形システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態において、造形目的とする立体の形状を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る積層造形方法における工程を説明するための図(その1)である。
【図4】図3において形成される断面要素及び整形断面要素を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る積層造形方法における工程を説明するための図(その2)である。
【図6】図5において形成される断面要素、整形断面要素及び積層体を説明するための図である。
【図7】従来例の積層造形方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10…積層造形システム、20…計算機システム、30A,30B…レーザ照射装置、40…ステージ装置、511,512…材料粉末、521,522…材料粉末層、551,552…断面要素、561,562…整形断面要素、571,572…積層体、L1…レーザ光(第1レーザ光)、L2…レーザ光(第2レーザ光)、L3…レーザ光(第3レーザ光)、OBJ…造形目的の立体。
Claims (5)
- 粉末を材料として目的とする立体形状を造形する積層造形方法であって、
材料粉末を平坦化させた材料粉末層試料の厚さを可変パラメータとして、前記材料粉末層試料を、連続光である第1レーザ光により所定走査速度で照射し、局所的に加熱して溶融した後に凝固させた部分を観察し、前記凝固させた部分が薄板状となる材料粉末層厚さ条件を求めた後に、
前記目的とする立体形状の造形精度及び前記材料粉末層厚さ条件を満足する厚さに前記材料粉末を平坦化させた材料粉末層を形成する材料層形成工程と;
前記目的とする立体形状における前記材料粉末層の積層位置の設計断面形状に応じた前記材料粉末層の領域を、前記第1レーザ光により前記所定走査速度で照射し、局所的に加熱して溶融した後に凝固させて断面要素を形成する断面要素形成工程と;
前記断面要素に第2レーザ光を照射して局所的に加熱し、既に造形された部分と前記断面要素とを一体化させる一体化工程と;を繰り返し、前記目的とする立体形状を造形することを特徴とする積層造形方法。 - 前記断面要素形成工程と前記一体化工程との間で、前記断面要素に第3のレーザ光を照射し、前記断面要素を前記設計断面形状となるように切断する切断工程を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の積層造形方法。
- 前記一体化工程の直後に、前記断面要素に第3のレーザ光を照射し、前記断面要素を前記設計断面形状となるように切断する切断工程を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の積層造形方法。
- 前記材料層形成工程と前記断面要素形成工程との間で、前記材料粉末層を厚さ方向に圧縮する圧縮工程を更に備える、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の積層造形方法。
- 前記材料粉末は金属又は合金の粉末である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層造形方法。
Priority Applications (1)
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