JP4382335B2 - 金属配線の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属超微粒子分散液を用い、例えば、電気電子工業等の分野で、フラットパネルディスプレイ(FPD)等のディスプレイ機器の分野やプリント配線の分野で金属配線等を作製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、100nm以下の金属超微粒子からなる導電性金属分散液の製造方法として、金属塩からの還元析出法を用いた技術が知られており(例えば、特許文献1参照)、また、ガス中蒸発法を用いた技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−319538号公報(請求項1−8、実施例等)
【特許文献2】
特許第2561537号公報(請求項3、実施例等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記還元析出法の場合は、その製法上、反応系に還元剤を加えるために、得られた金属超微粒子分散液には、不純物として、アルカリ金属やハロゲン元素が10ppmを超えかつ100ppm以下のオーダで含まれる。そのため、得られた金属超微粒子分散液を用いて金属配線や金属膜を形成すると、残留アルカリ金属がイオンマイグレーションを起こしたり、また、残留ハロゲン元素が耐食性等の特性に影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
また、通常のガス中蒸発法により作製された金属超微粒子分散液中には、蒸発プロセスで使用されるカーボンルツボ及びアルミナルツボ等からアルカリ金属やハロゲン元素が混入する。このため、得られた金属超微粒子分散液を用いて金属配線や金属膜を形成すると、還元析出法により得られた金属超微粒子分散液の場合と同様に、残留アルカリ金属がイオンマイグレーションを起こしたり、また、残留ハロゲン元素が耐食性等の特性に影響を及ぼすという問題がある。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)等のディスプレイ機器の分野やプリント配線の分野等において、細かい部分の微細な電極配線が求められていることから、耐食性等の特性に影響の無い不純物の少ない金属超微粒子分散液を開発することが必要になっている。
【0006】
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決するために、不純物のハロゲン元素やアルカリ金属の含有量が少ない金属超微粒子分散液及びその製造方法、並びにこの金属超微粒子分散液を用いて作製される、イオンマイグレーションが抑制され且つ耐食性や比抵抗値等の特性も向上した金属細線又は金属膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、物理的生成法、特にガス中蒸発法により製造された金属超微粒子が、還元析出法により製造された金属超微粒子分散液と比べて不純物が少ないことに着目し、鋭意研究した結果、ガス中蒸発法で使用するカーボンルツボ及びアルミナルツボ等の材質を高純度化することにより不純物がさらに顕著に低減することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の金属配線の作製方法は、ガス中蒸発法により、10torr以下の真空中、純度99.9999%以上の材質からなるルツボを使用して、粒径100nm以下の金属超微粒子を作製し、この金属超微粒子を孤立状態で、アルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種を分散剤として用いて、有機溶媒中に分散し、不純物のハロゲン元素及びアルカリ金属の含有量が、それぞれ、10ppm以下である金属超微粒子分散液を製造し、この金属超微粒子分散液を印刷用インクとして用い、被処理基板上に成膜し、次いで加熱焼成して金属配線とすることにより、イオンマイグレーションが抑制され、耐食性がよく、また、比抵抗値が低い特性を有する金属配線を作製することを特徴とする。ハロゲン元素は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選ばれる少なくとも1種であり、また、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウムから選ばれる少なくとも1種である。これらのハロゲン元素及びアルカリ金属の種類は、使用するルツボ、金属超微粒子分散液の製造原料、製造プロセス等に依り異なる。ハロゲン元素及びアルカリ金属のそれぞれの含有量を10ppm以下とした金属超微粒子分散液を用いて金属配線を作製すれば、イオンマイグレーションが抑制され且つ耐食性や比抵抗値等の特性も向上し、本発明の課題が解決される。
【0009】
上記金属超微粒子が、粒径100nm以下で且つ孤立状態で、アルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種を分散剤として用いて、有機溶媒中に分散されてなることにより、有用な金属配線等を作製することが可能となる。
上記10torrを超えると、粒径が大きくなったり、凝集体を形成するため、良好な金属超微粒子が得られない。また、ルツボ材質の純度が99.9999%未満であると、製造された金属超微粒子中への不純物の混入が増加し、不具合が生じる。
【0010】
上記有機溶媒としては、この分野で分散媒として通常使用される公知の溶媒を全て用いることができる。
【0011】
本発明の金属配線の作製方法はまた、前記ガス中蒸発法により、10torr以下の真空中、純度99.9999%以上の材質からなるルツボを使用して、粒径100nm以下の金属超微粒子を作製する際に、金属の蒸気とアルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種の分散剤の蒸気と第1溶媒の蒸気とを接触させて、孤立状態で分散している金属超微粒子分散液を調製し、次いで調製された分散液に低分子量極性溶媒である第2溶媒を添加して金属超微粒子を沈降させると共に第1溶媒を除去し、その後、該沈降させた金属超微粒子を孤立状態で、アルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種を分散剤として用いて、第3溶媒中に分散し、不純物のハロゲン元素及びアルカリ金属の含有量が、それぞれ、10ppm以下である金属超微粒子分散液を製造し、この金属超微粒子分散液を印刷用インクとして用い、被処理基板上に成膜した後、加熱焼成して金属配線とすることにより、イオンマイグレーションが抑制され、耐食性がよく、また、比抵抗値が低い特性を有する金属配線を作製することを特徴とする。
上記被処理基板上への成膜が、インクジェットプリンタを用いて行われることを特徴とする。
本発明によれば、上記金属超微粒子分散液を印刷用インクとして用い、被処理基板上に金属配線を形成し、次いで、加熱焼成して目的物を作製することにより、イオンマイグレーションが抑制され、耐食性がよく、また、比抵抗値が低い特性を有する目的物を作製することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の金属配線の作製方法によれば、金属超微粒子分散液は、上記したように、金属超微粒子が、粒径100nm以下で且つ孤立状態で、アルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種を分散剤として、有機溶媒中に分散されている。
【0013】
この金属超微粒子の構成元素としては、導電性金属であれば特に制限はなく、目的・用途に合わせて適宜選定すればよい。例えば、金、銀、銅、錫、パラジウムに加えて、ニッケル、インジウム、亜鉛、チタン、クロム、タンタル、タングステン、白金、鉄、コバルト、ケイ素等の他の多くの導電性金属から選ばれる少なくとも1種の金属、又はこれらの金属の合金が挙げられる。これらの元素で構成された金属超微粒子のいずれに対しても本発明で用いる分散剤が作用し、所望の金属超微粒子分散液が得られる。
【0014】
分散剤のアルキルアミンとしては、第1〜3級アミンであっても、モノアミン、ジアミン、トリアミンであっても良い。主鎖の炭素数が4〜20であるアルキルアミンが好ましく、主鎖の炭素数が8〜18であるアルキルアミンが安定性、ハンドリング性の点からはさらに好ましい。アルキルアミンの主鎖の炭素数が4より短かいと、アミンの塩基性が強過ぎて金属超微粒子を腐食する傾向があり、最終的には金属超微粒子を溶かしてしまうという問題がある。また、アルキルアミンの主鎖の炭素数が20よりも長いと、金属超微粒子分散液の濃度を高くしたときに、分散液の粘度が上昇してハンドリング性がやや劣るようになり、また、焼成後の金属細線や金属膜中に炭素が残留しやすくなって、比抵抗値が上昇するという問題がある。また、全ての級数のアルキルアミンが分散剤として有効に働くが、第1級のアルキルアミンが安定性、ハンドリング性の点からは好適に用いられる。
【0015】
アルキルアミンの具体例としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘクサドデシルアミン、オクタデシルアミン、ココアミン、タロウアミン、水素化タロウアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン、及びステアリルアミン等のような第1級アミン、ジココアミン、ジ水素化タロウアミン、及びジステアリルアミン等のような第2級アミン、並びにドデシルジメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ドデシルテトラデシルジメチルアミン、及びトリオクチルアミン等のような第3級アミンや、その他に、ナフタレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミン、及びノナンジアミン等のようなジアミンがある。
【0016】
アルキルアミンの含有量は、金属超微粒子重量基準で、通常、およそ0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%の範囲である。含有量が0.1重量%未満であると、金属超微粒子が独立状態で分散せずに、その凝集体が発生し、分散安定性が悪くなるという問題があり、また、10重量%を超えると、得られる分散液の粘度が高くなり、最終的にはゲル状物が形成されるという問題がある。上記カルボン酸アミドやアミノカルボン酸塩の具体例としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸ラウリルアミド、オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ラウリルアミド、ステアラニリド、オレイルアミノエチルグリシン等がある。
【0017】
本発明によれば、金属超微粒子は、ガス中蒸発法により10torr以下の真空中で調製されたものであり且つその際に使用するルツボは純度99.9999%以上の高純度材質からなるものである。ルツボとしては、カーボンルツボ又はアルミナルツボ以外に、ジルコニアルツボ、マグネシアルツボ等を使用することができる。
【0018】
本発明によれば、低真空ガス中蒸発法により得られた金属超微粒子を利用して所期の金属超微粒子分散液を製造する場合、例えば、第1工程において、真空室中でかつHe等の不活性ガスの圧力を10Torr以下とする雰囲気の下でルツボ中に装入された金属を蒸発させ、蒸発した金属の蒸気を冷却捕集する際に、該真空室中に、1種以上の第1溶剤の蒸気を導入し、金属が粒成長する段階においてその表面を該第1溶剤蒸気と接触せしめ、得られる一次粒子が独立してかつ均一に第1溶剤中にコロイド状に分散した分散液を得る。この第1溶剤は、次の第2工程で除去される。このように第1溶剤を除去するのは、第1工程において蒸発した金属蒸気が凝縮する際に、共存する第1溶剤が変性されて生じる副生成物を除くためである。また、分散液の用途によって、第1工程で使い難い低沸点溶剤や水、アルコール系溶剤等に分散した超微粒子独立分散液を使用する必要がある場合に、そのような分散液を製造するためでもある。
【0019】
次いで、第2工程において、第1工程で得られた分散液に低分子量の極性溶剤である第2溶剤を加えて該分散液中に含まれた金属超微粒子を沈降させ、その上澄み液を静置法やデカンテーション等により除去して第1工程で使用した第1溶剤を除去する。この第2工程を複数回繰り返して、第1溶剤を実質的に除去する。
最後に、第3工程において、第2工程で得られた沈降物に新たな第3溶剤を加えて、溶剤置換を行い、所期の金属超微粒子分散液を得る。これにより、粒径100nm以下の金属超微粒子が独立状態で分散している金属超微粒子独立分散液が得られる。
【0020】
上記の場合、必要に応じ、第1工程及び/又は第3工程で分散剤を加えることができる。第3工程で添加する場合には、第1工程で使用する溶剤に溶解しないような分散剤でも使用可能である。
また、上記溶剤については、ガラス基板、プラスチック基板、セラミック基板等の被処理基板の性質に合わせて、水、アルコール系等の極性溶剤や非極性炭化水素系溶剤を選択する必要がある等のように、得られる膜の用途の違いにより溶剤の選択条件がきまってくる場合がある。
【0021】
例えば、第1溶剤は、ガス中蒸発法の際に用いる金属超微粒子生成用の溶剤であって、金属超微粒子を冷却捕集する際に容易に液化できるように、比較的沸点の高い溶剤である。この第1溶剤としては、炭素数が5以上のアルコール類、例えば、テルピネオール、シトロネオール、ゲラニオール、フェネチルアルコール等から選ばれた1種以上を含有する溶剤、又は有機エステル類、例えば、酢酸ベンジル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、フェニル酢酸エチル、グリセリド等から選ばれた1種以上を含有する溶剤であれば良く、使用する金属超微粒子の構成元素、又は分散液の用途によって適宜選択できる。
【0022】
第2溶剤は、第1工程で得られた分散液中に含まれた金属超微粒子を沈降させ、第1溶剤を抽出・分離して除去できるものであれば良く、例えば、低分子量の極性溶剤であるアセトン等がある。
第3溶剤としては、主鎖の炭素数が6〜20の非極性炭化水素、水及び炭素数が15以下のアルコール等のような常温で液体のものを適宜選択し、使用することができる。非極性炭化水素の場合、炭素数が6未満であると、乾燥が早すぎて分散液のハンドリング上で問題があり、また、炭素数が20を超えると、分散液の粘度が上昇し易く、また、焼成する場合には炭素が残留し易いという問題がある。アルコールの場合も、炭素数が15を超えると分散液の粘度が上昇し易く、また、焼成する場合には炭素が残留し易いという問題がある。
【0023】
第3溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカンや、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール等のアルコールを用いることができる。これらの溶剤は、単独で用いても、混合溶剤の形で用いても良い。例えば、長鎖アルカンの混合物であるミネラルスピリットであっても良い。
上記溶剤の使用量は、金属超微粒子分散液の用途に応じて適宜設定すれば良い。
なお、金属超微粒子濃度は、分散液製造後に真空中加熱等により随時調整可能である。
【0024】
本発明の金属細線又は金属膜は、上記金属超微粒子分散液を印刷用インクとして用い、公知の方法で被処理基板上に金属の細線又は膜を形成し、次いで、加熱焼成して作製されたものである。この印刷方法としては、金属の細線や膜を形成できる印刷方法であれば特に制限はなく、例えば、通常の塗布法やインクジェットプリンタを用いるインクジェット方式等で被処理基板上に細線や膜を描画等により形成できる方法であればよい。形成後に加熱焼成することにより作製された金属細線や金属膜は、イオンマイグレーションが抑制され、耐食性がよく、また、比抵抗値が低い特性を備えている。この加熱焼成温度は、例えば、200〜600℃程度が好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明する。
(比較例1)
還元法によりAgコロイド液を作製した。トルエン溶媒400mlに分散剤としてドデシルアミン18.9g添加した液をフラスコに入れ、スターラーで1時間攪拌した。その後、攪拌しながら市販されている硝酸銀水溶液(0.5mol/l)を185.4ml添加した。1時間攪拌後、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)メタノール溶液(0.5mol/l)を92.7ml加え、60℃のウォータバス中でさらに1時間攪拌した。平均粒径10nmのAgコロイドトルエン溶液を作製した。このコロイド溶液1容量に対しアセトンを5容量加えて攪拌した。極性のアセトンの作用によりコロイド液中のAg微粒子は沈降した。2時間静置後、上澄みを除去し、再び最初と同じ量のアセトンを加えて撹伴し、2時間静置後、上澄みを除去した。この沈降物に新たにテトラデカンを加えて攪拌した。残留しているトルエン溶媒、アセトンを完全に除去し、平均粒径10nmのAgコロイドを40重量%含有するAgコロイドテトラデカン溶液▲1▼を作製した。この溶液中には、Naが500ppm含まれていた。尚、Na量についてはICP発光分光分析により評価した。
【0026】
(比較例2)
ヘリウムガス圧力0.5torrの条件下で高周波誘導加熱によりAgを蒸発させるガス中蒸発法によりAgの超微粒子を生成する際に、生成過程のAg超微粒子にα−テルピネオールとドデシルアミンとの20:1(容量比)の蒸気を接触させ、冷却捕集してAg超微粒子を回収し、α−テルピネオール溶媒中に独立した状態で分散している平均粒子径5nmのAg超微粒子を20重量%含有するAg超微粒子分散液を調整した。この分散液(コロイド液)1容量に対してアセトンを5容量加え、攪拌した。極性のアセトンの作用により分散液中のAg微粒子は沈降した。2時間静置後、上澄みを除去し、再び最初と同じ量のアセトンを加えて攪拌し、2時間静置後、上澄みを除去した。この沈降物に新たにテトラデカンを加えて攪拌した。残留しているトルエン溶媒、アセトンを完全に除去し、平均粒子径5nmのAg超微粒子を40重量%含有するAg超微粒子分散液▲2▼を作製した。この分散液中のCl及びNa量は、各々、18ppm及び50ppmであった。尚、この分散液中のCl量はイオンクロマトグラムにより評価し、また、Na量はICP発光分光分析により評価した。
【0027】
(実施例1)
上記比較例2と同様に、ガス中蒸発法により、99.9999%純度のカーボンルツボを使用して、Ag超微粒子分散液▲3▼を作製した。この分散液中のCl及びNa量は、各々、1ppm及び2ppmであった。
【0028】
(実施例2)
上記比較例1及び2並びに実施例1でそれぞれ得られたAgコロイドテトラデカン溶液▲1▼、Ag超微粒子分散液▲2▼及びAg超微粒子分散液▲3▼をインクとして用い、市販のピエゾ方式のシングルノズルを持つインクジェットプリンタを使い、FPD用ガラス基板上にライン/スペース:80μm/80μm、塗布厚60μm、長さ100mmの細線を描画した。描画後、電気炉を用いて300℃で30分間の焼成を行なった。その結果、幅80μm、厚さ2.5μmのAg細線からなる電極配線が作製できた。
【0029】
この電極配線を温度60℃、湿度90%RH、電圧120Vの条件においてイオンマイグレーション試験を行った。その結果、Agコロイドテトラデカン溶液▲1▼の場合、30時間でひげ状の突起が発生し、200時間で配線間で短絡した。Ag超微粒子分散液▲2▼の場合、50時間でひげ状の突起が発生し、300時間で配線間で短絡した。また、Ag超微粒子分散液▲3▼の場合、300時間経過後でもひげ状の突起は発生せず、短絡も生じなかった。
また、Agコロイドテトラデカン溶液▲1▼及びAg超微粒子分散液▲2▼を用いて得られた電極配線の場合、細線膜の剥離が生じたが、Ag超微粒子分散液▲3▼を用いて得られた電極配線の場合には、細線膜の剥離が生じず、比抵抗値も低かった。
【0030】
(比較例3)
還元法によりAuコロイド液を作製した。トルエン溶媒200mlに分散剤としてドデシルアミン41.4g添加した液をフラスコに入れ、スターラーで1時間攪拌した。その後、攪拌しながら市販のテトラクロロ金(III)酸三水和物水溶液(0.5mol/l)を101.6ml添加した。1時間攪拌後、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)メタノール溶液(0.5mol/l)を101.6ml加え、60℃のウォータバス中でさらに1時間攪拌した。平均粒径10nmのAuコロイドトルエン溶液を作製した。このコロイド溶液1容量に対しアセトンを5容量加えて攪拌した。極性のアセトンの作用によりコロイド液中のAu微粒子は沈降した。2時間静置後、上澄みを除去し、再び最初と同じ量のアセトンを加えて撹伴し、2時間静置後、上澄みを除去した。この沈降物に新たにテトラデカンを加えて攪拌した。残留しているトルエン溶媒、アセトンを完全に除去し、平均粒径10nmのAuコロイドを40重量%含有するAuコロイドテトラデカン溶液▲4▼を作製した。この溶液中には、Clが500ppm、Naが500ppm含まれていた。尚、Cl量はイオンクロマトグラムにより、Na量はICP発光分光分析により評価した。
【0031】
(比較例4)
比較例3のNaBH4の代わりに還元剤としてへキシレングリコールを用いて、比較例3の場合と同様な操作を行い、平均粒径10nmのAuコロイドを40重量%含有するAuコロイドテトラデカン溶液▲5▼を作製した。この溶液中には、Clが300ppm含まれ、Naが10ppm以下含まれていた。
【0032】
(実施例3)
ヘリウムガス圧力0.5Torrの条件下で高周波誘導加熱によりAuを蒸発させるガス中蒸発法により、99.9999%純度のアルミナルツボを使用して、Auの超微粒子を生成する際に、生成過程のAu超微粒子にα−テルピネオールとドデシルアミンとの20:1(容量比)の蒸気を接触させ、冷却捕集してAu超微粒子を回収し、α−テルピネオール溶媒中に独立した状態で分散している平均粒子径5nmのAu超微粒子を20重量%含有するAu超微粒子分散液を調整した。この分散液1容量に対してアセトンを5容量加え、攪拌した。極性のアセトンの作用により分散液中のAu微粒子は沈降した。2時間静置後、上澄みを除去し、再び最初と同じ量のアセトンを加えて攪拌し、2時間静置後、上澄みを除去した。この沈降物に新たにテトラデカンを加えて攪拌した。残留しているトルエン溶媒、アセトンを完全に除去し、平均粒子径5nmのAu超微粒子を40重量%含有するAu超微粒子分散液▲6▼を作製した。この分散液中のCl及びNa含量は、各々、10ppm以下であった。
【0033】
(実施例4)
上記比較例3及び4並びに実施例3でそれぞれ得られたAuコロイドテトラデカン溶液▲4▼及びAuコロイドテトラデカン溶液▲5▼並びにAu超微粒子分散液▲6▼をインクとして用い、市販のピエゾ方式のシングルノズルを持つインクジェットプリンタを使い、上記と同様にして細線を描画し、次いで電気炉を用いて300℃で30分間の焼成を行なって、幅50μm、厚さ2.0μmのAu細線からなる電極配線を作製した。
【0034】
得られた各電極配線について、実施例2と同様にイオンマイグレーション試験を行った。その結果、Au超微粒子分散液▲6▼の場合、ひげ状の突起は発生せず、短絡も生じなかったが、Auコロイドテトラデカン溶液▲4▼及びAuコロイドテトラデカン溶液▲5▼の場合には、ひげ状の突起が発生し、配線間で短絡が生じた。また、Auコロイドテトラデカン溶液▲4▼及びAuコロイドテトラデカン溶液▲5▼を用いて得られた電極配線の場合、細線膜の剥離が生じたが、Au超微粒子分散液▲6▼を用いて得られた電極配線の場合には、細線膜の剥離は生じなかった。
また、得られた各電極配線の比抵抗値は、Auコロイドテトラデカン溶液▲4▼の場合に1.0×10−4Ω・cm、Auコロイドテトラデカン溶液▲5▼の場合に6.0×10−5Ω・cmであったが、Au超微粒子分散液▲6▼の場合には5.0×10−6Ω・cmと低かった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、金属超微粒子分散液中には、不純物のハロゲン元素及びアルカリ金属の含有量が、それぞれ、10ppm以下と極めて少ないので、作製された金属配線に対して、残留アルカリ金属がイオンマイグレーションを起こしたり、また、残留ハロゲン元素が耐食性等に影響を及ぼすという問題がない。このため、フラットパネルディスプレイ等のディスプレイ機器の分野やプリント配線の分野等において、細かい部分の微細な電極配線を作製することが可能になる。この場合、得られた電極配線の比抵抗値は低い。
Claims (3)
- ガス中蒸発法により、10torr以下の真空中、純度99.9999%以上の材質からなるルツボを使用して、粒径100nm以下の金属超微粒子を作製し、この金属超微粒子を孤立状態で、アルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種を分散剤として用いて、有機溶媒中に分散し、不純物のハロゲン元素及びアルカリ金属の含有量が、それぞれ、10ppm以下である金属超微粒子分散液を製造し、この金属超微粒子分散液を印刷用インクとして用い、被処理基板上に成膜し、次いで加熱焼成して金属配線とすることにより、イオンマイグレーションが抑制され、耐食性がよく、また、比抵抗値が低い特性を有する金属配線を作製することを特徴とする金属配線の作製方法。
- 前記ガス中蒸発法により、10torr以下の真空中、純度99.9999%以上の材質からなるルツボを使用して、粒径100nm以下の金属超微粒子を作製する際に、金属の蒸気とアルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種の分散剤の蒸気と第1溶媒の蒸気とを接触させて、孤立状態で分散している金属超微粒子分散液を調製し、次いで調製された分散液に低分子量極性溶媒である第2溶媒を添加して金属超微粒子を沈降させると共に第1溶媒を除去し、その後、該沈降させた金属超微粒子を孤立状態で、アルキルアミン、カルボン酸アミド及びアミノカルボン酸塩から選ばれた少なくとも1種を分散剤として用いて、第3溶媒中に分散し、不純物のハロゲン元素及びアルカリ金属の含有量が、それぞれ、10ppm以下である金属超微粒子分散液を製造し、この金属超微粒子分散液を印刷用インクとして用い、被処理基板上に成膜し、次いで加熱焼成して金属配線とすることにより、イオンマイグレーションが抑制され、耐食性がよく、また、比抵抗値が低い特性を有する金属配線を作製する金属配線を作製することを特徴とする請求項1記載の金属配線の作製方法。
- 前記被処理基板上への成膜が、インクジェットプリンタを用いて行われることを特徴とする請求項1又は2記載の金属配線の作製方法。
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