JP4381775B2 - 平面アンテナ - Google Patents
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Description
その、一例として、3周波以上に対応できる逆F形の多周波アンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところが、この提案では、共振周波数の数に対応した数の単位放射導体を個々に設けた構成であるため、多周波になると、どうしても、寸法・スペースが大きくなってしまうという問題がある。また、各単位放射導体の間隔を狭くし過ぎると、干渉が起き易くなるという通信品質上の問題があり、小型化には、自ずと限界がある。そこで、この問題を解決するため、本出願人は単一の放射導体をU字形状として2周波に対応したアンテナエレンメント(以下、“エレメント部”と略記する)から構成される多周波対応アンテナを提案した(特願2002−287876号参照)。
このアンテナにおいては、図4に示すように、給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端が、単位放射導体である第1周波用エレメント(2a)の給電点(S1)に直接接続される。ところが、該内部導体は、第2周波用のエレメント(2b)上方を跨ぐ形で該エレメント(2b)と立体交差しているため、作業ミス等により曲がり易い状況にある。さらには、不測の衝撃で、該内部導体が第2周波用のエレメント(2b)と接触し、通信トラブルを引き起こすという問題があった。
さらに、この提案では給電用同軸ケーブルがグランド板上に載置され且つ内部導体はエレメントの長手方向に対してほぼ直交しているので、スペース効率が悪いという問題もあった。
さらに、本発明の第二の課題は、パソコン、あるいはPDA等の情報端末機器等の内部に組込む平面アンテナ、特に多周波対応用の平面アンテナに、安定した通信品質に加えて改善されたスペース効率を付与することにある。
図1は、本発明の平面アンテナの一例を示す表面(一方の面)の斜視図である。
図2は、図1に示した平面アンテナの裏面(他方の面)の斜視図である。
図3は、本発明の平面アンテナの好ましい例を示す斜視図である。
図4は、従来の平面アンテナの一例を示す斜視図である。
図1〜図4において、(1)は平面アンテナ、(2)はエレメント部で、第1周波用エレメント(2a)および第2周波用エレメント(2b)からなる。(3)はエレメント部(2)と並列状態にあるグランド板、(4)はエレメント部(2)とグランド板(3)とを電気的に接続する短絡部、(5)は平面アンテナ(1)を配置・固定するための平板状絶縁性基材、(6)は給電用同軸ケーブル、(A)は第2周波用エレメント(2b)とグランド板(3)と短絡部(4)とで囲まれた空間、(S1)は給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端が位置する給電点、(J1)は第1周波用エレメント(2a)と第二のスルーホールとの接続点、そして(S2)は該ケーブルの外部導体を接続するアースポイントである。
また、図2において、(7)はストリップライン、(7a)は該ラインの一方の端部(開始点)、(7b)は該ラインの他方の端部(終点)である。ここで、開始点(7a)は、該平板状絶縁性基材(5)に設けた第一のスルーホ−ル(図示せず)を介して給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端に接続され他方、終端(7b)は、第二のスルーホールを介して第1周波用エレメント(2a)に接続点(J1)にて接続されている。
以上に述べた構成によれば、 アンテナエレメント(2)の第2周波用エレメント(2b)とグランド板(3)と短絡部(4)とで囲まれた空間(A)に給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端が給電点(S1)として位置し(要件A)、該内部導体の終端とストリップライン(7)の一方の端部(7a)とが、それらを結ぶ第一のスルーホ−ルを介して接続され(要件B)、そして、ストリップライン(7)の他方の端部(7b)とアンテナエレメント(2)の第1周波用エレメント(2a)とが、それらを結ぶ第二のスルーホールを介して接続されている(要件C)。
したがって、アンテナエレメント(2)の第1周波用エレメント(2a)への給電経路は、給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端を給電点(S1)とし、第一のスルーホ−ル、ストリップライン(7)および第二のスルーホールを経て、最後に接続点(J1)に至る間接給電経路となる。そして、ストリップライン(7)は平板状絶縁性基材(5)を介して第2周波用エレメント(2b)と面交差している。(要件D)
この結果、給電用同軸ケーブル(6)の内部導体は第2周波用エレメント(2b)上方を跨ぐ形で立体交差することが無くなり、作業ミスにより内部導体が曲がるのを防止できる。さらに、不測の衝撃で内部導体が第2周波用エレメント(2b)と接触し、通信トラブルを引き起こす問題を回避できる。
さらに、図3において、(8)は平面アンテナ(1)の表面(図1)および裏面(図2)に被覆された保護膜である。この保護膜(8)は、後述するように、平面アンテナ(1)の形態安定性を向上させるために用いられる。
以上に述べた図1〜図4では、エレメント部(2)、グランド板(3)、および短絡部(4)は、一枚の金属板から一体的に構成された平面アンテナ(1)として示してある。さらに、エレメント部(2)は、切片状の第1周波用エレメント(2a)を高周波用とし、切片状の第2周波用エレメント(2b)を低周波用とした、いわゆるデュアルタイプとして図示されている。その際、第2周波用エレメント(2b)は短絡部を介してグランド板(3)と平行に形成され、その終端部から第1周波用エレメント(2a)がL字状に折り返す形でグランド板(3)と平行に形成されている。
従来は給電用同軸ケーブル(6)の内部導体を、平板状絶縁性基材(5)の表面に形成したエレメント(2)に直接接続し、この接続点を給電点(S1)に接続していたことは既述のとおりである。これに対して、本発明の第一の態様によれば、エレメント部(2)が形成される平板状絶縁性基材(5)の裏面にストリップライン(7)が配設される。そして、このストリップライン(7)の開始点(7a)は第一のスルーホールを経由して給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端に接続されるので、該内部導体の終端が給電点(S1)となる。他方、その終点(J1)では第二のスルーホールが第1周波用エレメント(2a)に接続される。
なお、この例では、各スル−ホールは、ストリップライン(7)の開始点(7a)を給電用同軸ケーブル(6)の内部導体の終端に一致させ、またストリップライン(7)の終点(7b)を接続点(J1)に一致させてある。
このようなストリップライン(7)は、エレメント部(2)、すなわち、第1周波用エレメント(2a)および第2周波用エレメント(2b)への給電線としての役割のみでなく、インピーダンス整合という重要な役割を果たしている。この意味で、該ラインはエレメント部(2)の一部、特に低周波用の第2周波用エレメント(2b)と平板状絶縁性基材(5)を介して面交差している。
ここで、ストリップライン(7)の幅は0.1mm〜2mmで、長さが0.5mm〜10mm、そして厚さが10μm〜500μmであることが好ましい。
次に、平面アンテナの通信品質を確保したうえで、さらにスペース効率を改善した本発明の第二の態様について述べる。
この第二の態様では、図1に示すように、給電用同軸ケーブル(6)の先端部の内部導体の終端が、第2周波用エレメント(2b)とグランド板(3)と短絡部(4)とで囲まれた空間(A)に第2周波用エレメント(2b)と略平行に且つ該グランド板寄りに配されている。この場合、該内部導体の終端に対応する裏面にストリップライン(7)の開始点(7a)が位置することになる。また、給電用同軸ケーブル(6)の外部導体はグランド板(3)に位置するアースポイント(S2)にブリッジする状態で接続すればよい。このように、本発明の第二の態様では給電用同軸ケーブル(6)がグランド板(3)上を這うことがないので、該グランド板(3)上からは従来のような障害物が撤去されることになる。その結果、グランド板(3)は、高さ方向の狭いスペースにも容易に設置される。
以上述べたように、本発明の第二の態様では、安定した通信が確保できるとともにスペースの大幅な削減が可能となる。
次に、本発明のその余の構成について説明する。
本発明においては、エレメント部(2)を構成する切片状の第1周波用エレメント(2a)および第1周波用エレメンと(2b)の長さは採択しようとする波長の概ね1/4の長さに設定し、他方その幅は1mm〜5mmの範囲から適宜採択する。さらに、その厚さについては格段の制約はないが、0.1mm〜1mm程度で十分である。また、第1周波用エレメント(2a)および第2周波用エレメント(2b)とグランド板(3)との間隔は、安定した動作を確保するため、1mm〜5mmの範囲であることが望ましい。
このエレメント(2)の材質としては、洋白(白銅)、銅、鉄、黄銅等の導電性の金属が望ましい。エレメントの作成にあたっては、これら金属の一枚板を打ち抜いて、グランド板(3)および短絡部(4)と一体打ち抜き体としてもよい。あるいは、後掲の実施例に示すように、絶縁性基板上に銅箔のような金属薄膜を貼り付けた状態で、該金属膜をエッチングして所望のアンテナ形状を得るのも有用である。後者の場合、該絶縁性基板が、図1〜図3における平板状絶縁性基材(5)となる。
また、グランド板(3)については、その材質は洋白(白銅)、銅、鉄、黄銅等の導電性の金属で構成すればよい。安定したアンテナ動作を得るためには、グランド板(3)の必要最低面積(mm2)はλ/4*λ/4(λは波長)以上を満足することが望ましい。従って、より安定したアンテナ動作を望む場合には、スペースの許す限り、その面積を大きくすることが望ましい。短絡部(4)については、エレメント部(2)とグランド板(3)を接続する機能を呈する限り、その形状は任意である。
平板状絶縁性基材(5)の具体例としては、ABS樹脂、ポリカーボネイト、ガラスエポキシ、ポリエチレン、あるいはポリイミド等の熱可塑性樹脂が挙げられ、そのなかでも取分け、強度に優れたポリイミドが好ましい。厚さは、加工性と強度を考慮し、0.01mm〜0.5mmが望ましい。
ところで、図1に示したエレメント部(2)およびストリップライン(7)は平板状絶縁性基材(5)からの剥離の問題さらには表面の損傷などの問題に曝されている。この問題を解消するには、図3に示すように、必要に応じてエレメント部(2)の表面や該ラインの表面にシート状の保護膜(8)を被覆すればよい。
この保護膜(8)としては、平板状絶縁性基材(5)と同様、シート状の電気絶縁性部材であればよい。具体例としては、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、あるいはポリイミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。そのなかでも取分け、強度に優れたポリイミドが好ましい。その厚さは、加工性と強度を考慮し、0.01mm〜0.5mmが望ましい。この保護膜(8)によりエレメント部(2)は平板状絶縁性基材(5)との間でより一体的に保持されるので、外力による曲がりや剥離の懸念が解消される。同時に、エレメント(2)およびストリップライン(7)の腐食防止効果も得られる。
給電用同軸ケーブル(6)としては、周知のフッ素樹脂被覆等の高周波同軸ケーブルが採用される。このケーブル(6)の内部導体の終端と第一のスルーホールとの接続、第二のスルーホールとエレメント部(2)との接続手段としては、ハンダ付あるいは超音波接続等を採用すればよい。
以上に述べた態様において、種々の変更もできる。例えば、エレメント部(2)は単周波、多周波のいずれでもよい。さらに、エレメント部(2)と短絡部(4)以降を別体化してもよい。その際、グランド板(3)および短絡部(4)については、必ずしも一体化する必要はなく、設置する情報端末機器、例えばパソコン内部の金属製筐体等の導電部材をそのまま利用する等、別体化してもよい。こうすることにより、グランド板(3)あるいは短絡部(4)を省略できるので、より構成が簡略化される。
1. エレメント部(2)、グランド板(3)、および短絡部(4)の作成
縦30mm、横30mm、厚さ0.03mmのフィルム状のポリイミド樹脂からなる平板状絶縁性基材(5)の両面に厚みが0.2mmの銅箔を予め貼り付けた平面アンテナ用部材を用意した。
この部材の一方の面で銅箔部分をエッチングして、縦25mm、横30mmのグランド板(3)を形成した。さらにエッチングを続行して、低周波用(2.4GHz帯)の波長に対応する幅0.8mm、長さ30mm、厚さ0.2mmの銅箔からなる第2周波用エレメント(2b)を、短絡部(4)を介してグランド板(3)と平行(間隔:0.8mm)に形成した。さらに、第2周波用エレメント(2b)の終端部から、高周波用(5GHz帯)の波長に対応する幅0.8mm、長さ14mm、厚さ0.2mmの銅箔からなる第1周波用エレメント(2a)をL字状に折り返す形でグランド板(3)と並行に形成し、このときのエレメント(2b)との間隔は0.8mmとした。また、接続点(J1)は第1周波用エレメント(2a)の終端部から4mmの位置とし、さらにストリップライン(7)の終点(7b)と接続するため、孔径0.5mmの第二のスルーホールを形成し、その内壁にも銅箔を貼り付けた。また、アースポイント(S2)の位置は、図1に向かってグランド板(3)の上端から1mm、左端から2mmの位置とした。
2.ストリップライン(7)の作成
上記のエレメント部(2)が形成された面とは反対側の平板状絶縁性基材(5)面の銅箔をエッチングして、幅1mm、長さ8mm、厚さ0.2mmのストリップライン(7)を形成した。その際、該ラインの開始点(7a)には孔径0.5mmの第一のスルーホールを形成し、給電用同軸ケーブル(6)先端部の内部導体の終端が第2周波用エレメント(2b)とグランド板(3)と短絡部とで囲まれた空間(A)内でグランド板(3)端面から1mm離れ且つ、第2周波用エレメント(2b)の中央を結ぶ線上に位置させ、給電点(S1)とした。また、該ライン(7)の開始点(7a)と給電点(S1)とはスルーホールにて接続した。
3.保護膜(8)の被覆
上記1.〜2.で得た平面アンテナ(1)の両面に、縦30mm、横30mm、厚さ0.03mmのフィルム状のポリイミド樹脂(商品名:ニカフレックス「ニッカン工業製」からなる保護膜(8)を被覆し、熱溶着方式にてエレメント部(2)および絶縁性基材(5)に固着した。なお、アンテナ表面に貼る保護膜(8)には、給電点(S1)およびアースポイント(S2)に対応する箇所に予め孔を穿け、同様に、アンテナ裏面に貼る保護膜(8)には、開始点(7a)および終点(7b)に対応する箇所に予め孔を穿けておいた。
4.アンテナの完成
最後に、給電用同軸ケーブル(6)として、外径0.93mm、内部導体径0.24mmのフッ素樹脂(PFA)被覆の高周波同軸ケーブルを用意し、その先端部で内部導体および外部導体を露出させた。そして、該内部導体の終端を第一のスルーホール表面に、そして該外部導体をアースポイント(S2)にそれぞれハンダにより接続することにより、パソコン内蔵用平面アンテナ(1)を得た。
以上、本発明をパソコンに内蔵するアンテナの例で説明したが、本発明の思想の範囲内であれば、種々の変更および応用が可能であることは言うまでもない。
2 アンテナエレメント(放射導体)
2a 第1周波用エレメント(高周波用)
2b 第2周波用エレメント(低周波用)
3 グランド板
4 短絡部
5 平板状絶縁性基材
6 給電用同軸ケーブル
7 ストリップライン
7a ストリップラインの一方の端(開始点)
7b ストリップラインの他方の端(終点)
8 保護膜
A 第2周波用エレメント(2b)とグランド板(3)と短絡部(4)とで囲まれた空間
S1 給電点
S2 アースポイント
J1 第1周波用エレメント(2a)と第二のスルーホールとの接続点
Claims (2)
- 平板状絶縁性基材の一方の面上に切片状の第1周波用エレメントと第2周波用エレメントからなるアンテナエレメント、該エレメントと間隔をおいて並列状態にあるグランド板、および該第2周波用エレメントとグランド板とを接続する短絡部が配設され、一方、該基材の他方の面上にはストリップラインが配設された平面アンテナであって、以下のA〜Dの要件を充足することを特徴とする平面アンテナ。
A 該第2周波用エレメントと該グランド板および該短絡部とで囲まれた空間に給電用同軸ケーブルの内部導体の終端が給電点として位置していること、
B 該内部導体の終端と該ストリップラインの一方の端部とが、それらを結ぶ第一のスルーホ−ルを介して接続されていること、
C 該ストリップラインの他方の端部と該第1周波用エレメントとが、それらを結ぶ第二のスルーホールを介して接続されていること、そして
D 該ストリップラインが該平板状絶縁性基材を介して該第2周波用エレメントと面交差している。
- 該給電用同軸ケーブルが該第2周波用エレメントと略平行である請求項1に記載の平面アンテナ。
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