JP4380937B2 - 建設機械の熱交換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷式エンジンを搭載した建設機械において、このエンジンに付設され、ラジエータ等からなる建設機械の熱交換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設機械として、例えば油圧ショベルは、油圧モータ及び油圧シリンダからなる油圧アクチュエータが複数設けられており、これらの油圧アクチュエータによって、車両の走行、上部旋回体の旋回及び掘削手段等のフロント作業手段の駆動が行われる。油圧アクチュエータに圧油を供給するために、油圧ショベルには油圧ポンプが搭載されるが、油圧ポンプはエンジンによって駆動される。従って、エンジンと油圧ポンプとをユニット化して、上部旋回体のエンジンルーム内に設置される。
【0003】
エンジンの過熱を防止するために、水冷式によりエンジンを冷却するようにしている。このために、ラジエータが設けられ、エンジンにより加熱されたエンジン冷却水を冷却風と熱交換するようになし、もってエンジンのヒートバランスを取るようにしている。従って、ラジエータには冷却風を流通させる必要がある。このために、エンジンを駆動源とする冷却ファンを設けて、この冷却ファンによる冷却風の流路にラジエータが設置される。ラジエータは熱交換器であり、油圧ショベルには、このラジエータの他にも、例えば油圧アクチュエータからの戻り油を冷却するオイルクーラが設置され、さらにターボチャージャ機構を有するエンジンにあっては、過給空気を冷却するインタクーラも設けられる。これら各種の熱交換器のうち、少なくともラジエータはエンジンを駆動源とする冷却ファンにより冷却される。また、この冷却ファンによってラジエータ以外の熱交換器を冷却する場合には、冷却ファンによる冷却風の流路に対して、各熱交換器を直列に配置する構成とするのが一般的である。
【0004】
そこで、従来から用いられている熱交換装置が装着されているエンジンルームの内部構造を図10に示す。図中において、1L,1Rは油圧ショベルの下部走行体(図示せず)に対して旋回可能な上部旋回体を構成する左右のメインフレームであって、このメインフレーム1L,1R上に側部カバー2L,2R、下部カバー3及び上部カバー4により囲まれた空間が形成されており、この空間がエンジンルーム5である。
【0005】
エンジンルーム5内にはその概略中央位置にエンジン10が設置されている。エンジン10はメインフレーム1L,1R上に防振支持装置11を介して取り付けられている。エンジン10には、油圧ポンプ12が接続して設けられている。この油圧ポンプ12は、エンジンルーム5内において、側部カバー2L側に配置されている。また、エンジン10と、側部カバー2Rとの間には、所定のスペースが設けられており、このスペース内に熱交換器13が設置される。ここで、熱交換器13は、ラジエータ単独、またはラジエータと直列にオイルクーラやインタクーラ等、他の種類の熱交換器を配置したもので構成される。そして、エンジン10における熱交換器13と対面する側には冷却ファン14が連結して設けられている。この冷却ファン14は、その回転軸14aがエンジン10により回転駆動されるようになっている。
【0006】
冷却ファン14は吸い込みファンであり、側部カバー2Rには、ルーバ,パンチ孔等で形成された外気取り入れ部が形成されており、外気は図中に矢印で示した方向に流れるようになっており、吸い込まれた外気が熱交換器13の内部を通過する間に、この熱交換器13内の被冷却流体(エンジン冷却水等)と熱交換されることになる。ここで、外気取り入れ部と熱交換器13との間をある程度離した方が熱交換器13への冷却風の回りが良くなる。そこで、熱交換器13と側部カバー2Rとの間に距離を置くようになし、この間のスペースをバッテリ15の設置スペースとして利用している。
【0007】
吸い込みファンである冷却ファン14による熱交換器13への冷却風の供給を効率的に行うために、冷却ファン14と熱交換器13との間における冷却風の流路を覆う機構が設けられる。図中において、符号16で示したシュラウドがそれである。シュラウド16は熱交換器13における熱交換部を覆うボックス形状の部材であり、このシュラウド16は熱交換器13から冷却ファン14の取付部側に向けて張り出すようにして装着されている。そして、このシュラウド16の端部には、冷却ファン14における羽根の回転半径より大きい半径を有する円形の開口が形成されている。
【0008】
熱交換器13はメインフレーム1L,1Rに連設した下部カバー3上に設置されており、下部カバー3に対しては格別防振支持をさせていない。一方、既に説明したように、エンジン10は防振支持装置11を介してメインフレーム1L,1R上に装着されている。従って、油圧ショベルの作動中に生じる振動により冷却ファン14がシュラウド16と衝突しないように保持する必要がある。このために、冷却ファン14とシュラウド16とは位置的に切り離して設ける。そして、冷却ファン14の回転軌跡を囲繞するようにベルマウスリング17を装着し、このベルマウスリング17をエンジン10に連結・支持させるように構成する。これによって、エンジン10が振動した時には、冷却ファン14とベルマウスリング17とが実質的に同期して動くことから、冷却ファン14とベルマウスリング17との径差を小さくすることができ、冷却ファン14の外周側の隙間を最小限に抑制できる。また、エンジン10側のベルマウスリング17と、熱交換器13側のシュラウド16との間をゴム等からなる弾性隔壁18で連結する。これによって、車両の振動により相互に異なる動きをするシュラウド16とベルマウスリング17とが衝突することがなく、しかも冷却ファン14の流路の周囲を完全に覆えるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンルームは、上部旋回体の幅方向の全長の及ぶスペースを有するものである。従って、上部旋回体の幅方向の寸法をコンパクト化しようとすると、このエンジンルームの全長を短縮しなければならない。特に、近年における都市土木等に使用される油圧ショベルは小旋回型のものとする関係から、たとえ僅かであっても、上部旋回体の幅方向の寸法を短縮できれば、その分だけ旋回半径も小さくできるので有利である。ここで、前述した従来技術のものにあっては、熱交換器側に装着したシュラウドと、エンジン側に固定したベルマウスリングとを、車両の振動発生時に生じる熱交換器とエンジンとの動きの差を考慮して、その分だけ相互に離間させるように構成していることから、エンジンに連結して設けた冷却ファンと熱交換器との間の間隔が広くなり、この間隔を設ける分だけエンジンルームの全長が大きくなり、ひいては小旋回化に対する制限要因となるという問題点がある。
【0010】
本発明は前述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、エンジンと熱交換器との間隔を短縮しても、熱交換器における冷却効率を低下させたり、また車両の振動時に熱交換装置を構成する各部が干渉し合って損傷等が発生するおそれをなくし、もってエンジンルームのコンパクト化が図れるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、エンジンにより回転駆動される冷却ファンと、この冷却ファンからの冷却風の流路に配設した熱交換器とを有し、前記冷却ファンからの冷却風の流路の周囲を覆うようにした建設機械の熱交換装置であって、前記エンジンに複数の取付ブラケットを設けて、これらの取付ブラケットにボルトで固定され、前記冷却ファンの羽根の外周部を囲繞するように装着されるベルマウスリングと、前記熱交換器の前記エンジンに対面する側に連結して設けられ、前記ベルマウスリングの延長部の位置に円形の開口を形成したシュラウドと、これらベルマウスリングの外周部とシュラウドの内周部との間に架設され、その間の隙間を塞ぐ弾性隔壁とを備え、前記弾性隔壁を前記シュラウド側に固定するために、このシュラウドの内周縁部に円環状の隔壁止着用凹溝を形成し、前記隔壁止着用凹溝を形成する内側立壁のうち、少なくとも前記取付ブラケットのボルト止着部に対面する位置には切り欠き部を形成する構成としたことをその特徴とするものである。
【0012】
ここで、エンジンは防振支持装置上に装着されるが、防振支持装置としては、エンジンの振動吸収範囲を規制するストッパ付きのものとするのが望ましい。これによって、ブラケットのボルトの動きは防振支持装置のストッパにより規制されることになる。シュラウドに設けた隔壁止着用凹溝には、切り欠き部により立壁が取り除かれた部位があり、この部位にボルトが対面しているが、ボルトとシュラウドとの位置関係は、前述したように、防振支持装置のストッパにより規制された動きをするボルトがシュラウドを構成するいずれの部位に接触しないことを条件として、できるだけ相互に近接した位置に配置する。また、弾性隔壁のシュラウドにおける隔壁止着用凹溝への固定部は、この隔壁止着用凹溝の溝底への当接部と、内側立壁に対する乗り越えるための膨出部とを備え、当接部の外周面を弾性を有する止着バンドにより着脱可能に止着する構成とすることができる。そして、切り欠き部の位置では、弾性隔壁を非膨出構造とすることによって、ボルトの延長線位置を開放するのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の一形態について説明する。まず、図1において、20はエンジン、21は熱交換装置であり、熱交換装置21は熱交換器22と、この熱交換器22に冷却風を流通させる冷却手段23とを含むものである。ここで、図示した熱交換器22は冷却手段23に近い側から順にラジエータ22aとオイルクーラ22bと直列に並べたものから構成される。なお、熱交換器としては、少なくともラジエータを含んでおれば良く、またラジエータ,オイルクーラに加えてインタクーラ等、他の熱交換器を設けるように構成することもできる。
【0014】
次に、図2は熱交換装置21を図1の矢印F方向から見た図であり、図3は図2のA−A位置の、また図4は図2のB−B位置における断面図である。図2には、仮想線Pで冷却ファン24の先端部の回転軌跡が示されている。ここで、図2においては1枚の羽根を示したが、羽根は少なくとも4枚乃至それ以上の枚数設けられる。そして、冷却ファン24はエンジン20により回転駆動されるものである。
【0015】
図3及び図4には冷却ファン24による冷却風の流路の周囲を覆う機構が示されている。即ち、これらの図に示したように、シュラウド25及びベルマウスリング26であり、またこれらシュラウド25とベルマウスリング26とを連結するゴム等からなる弾性隔壁27を含むものである。シュラウド25は、熱交換器22に連結したボックス形状の覆いであり、熱交換器22に連結した枠状部25aと、熱交換器22から所定の間隔を置いた位置に形成した端壁25bとから構成され、この端壁25bには円形の開口部が形成されている。また、ベルマウスリング26は、エンジン20側から張り出すように設けた3箇所の取付ブラケット28に連結・支持された円環状の部材であって、その断面は凹円弧形状となっている。そして、冷却ファン24の回転軌跡Pは、ベルマウスリング26の最小径部26a、つまり凹円弧形状の底部の円より僅かに小さい円を形成している。これによって、ベルマウスリング26と冷却ファン24との間の隙間Dを最小限なものとしている。
【0016】
弾性隔壁27は、ベルマウスリング26への固着部27aと、シュラウド25側に着脱可能に連結される連結部27bと、これら固着部27aと連結部27bとの間に形成した隔壁本体部27cとから構成される。弾性隔壁27の固着部27aは断面が概略三角形の形状をしており、ベルマウスリング26の外周壁のうち、エンジン20に近い側の壁面に溶接等の手段で固着した止着部材29に嵌め込みあるいは接着等の手段で固着して設けられている。従って、この止着部材29はリング状の部材であり、その断面は概略V字形状となっている。一方、弾性隔壁27における連結部27bは、シュラウド25の端壁25bの開口部に連設した円環状に形成した隔壁止着用凹溝30に弾性を有する止着バンド31によって着脱可能に固定されるようになっている。隔壁止着用凹溝30は所定幅を有する底面部30aと、この底面部30aの両端から立ち上がる立壁30b,30cとからなり、円環状の凹溝を形成する樋状の部材である。そして、この隔壁止着用凹溝30の立壁部30bがシュラウド25の端壁25bの開口部を構成する端面に連結して設けられている。なお、隔壁止着用凹溝30はシュラウド25の端壁25bと一体に形成する構成とすることもできる。
【0017】
止着部材29を固着して設けたベルマウスリング26は、エンジン20に連結して設けた複数箇所の取付ブラケット28に支持されている。本実施の形態では、取付ブラケット28は3箇所設けるようにしているが、取付ブラケット28はベルマウスリング26を固定的に保持するためのものであるから、必ずしも3箇所に限定されるものではない。取付ブラケット28によるベルマウスリング26の取付構造は、図4と、図5及び図6とに示されている。これらの図から明らかなように、取付ブラケット28には取付ボルト32が取り付けられており、この取付ボルト32の頭部32aはシュラウド25側を向いている。そして、ボルト32において、その頭部32aと取付ブラケット28との間の位置にホルダ33が固定的に保持されている。ホルダ33は好ましくはゴム等の弾性部材からなり、このホルダ33には取付板34が取り付けられている。この取付板34の端部は概略L字状に曲成されており、この曲成部がベルマウスリング26に連結した止着部材29に固着して設けられている。これによって、ベルマウスリング26は止着部材29を介して3点でエンジン20に連結した取付ブラケット28に支持され、取付ボルト28を取り外すことによって、ベルマウスリング26は取付ブラケット28から分離できる構成となっている。
【0018】
エンジン20と熱交換装置21との間の間隔を最小限にするために、冷却手段23の冷却ファン24による冷却風の流路の外周を覆う機構として設けられるシュラウド25とベルマウスリング26とは、相互にオーバーラップする位置に配設されており、より具体的に言えば、シュラウド25の端壁25bに連結して設けた隔壁止着用凹溝30はベルマウスリング26の最小径部26aに対応する位置の近傍に配置されている。
【0019】
シュラウド25及びベルマウスリング26は共に金属等の剛体で構成されており、しかもシュラウド25は熱交換器22に連結され、またベルマウスリング26はエンジン20に支持されている。熱交換器22とエンジン20とはそれぞれ独立して上部旋回体に設置されており、しかもエンジン20は防振支持装置を介して上部旋回体に防振支持されている。油圧ショベルが土砂の掘削等の作業を行う際には、上部旋回体が大きく振動する。この上部旋回体の振動時には、エンジン20と熱交換器22及びそれらに連結したシュラウド25とベルマウスリング26とは、相互に異なる動きをする。シュラウド25とベルマウスリング26とをオーバーラップさせているので、この振動時に両者が干渉したり衝突したりしないような位置関係としなければならない。
【0020】
ところで、エンジン20の防振支持装置としては、様々なタイプのものがあるが、振動の吸収を行う部材として、少なくとも一部にゴム等の弾性体が用いられる。この弾性体が弾性限界以上に変形すると、弾性体が破損する等の不都合が生じる。このために、弾性体が弾性限界を越えて変形しないように規制するために、ストッパ機構を設けたものが広く用いられている。このストッパ機構付きの防振支持装置の一例を図7に示す。
【0021】
この図7から明らかなように、防振支持装置40は、上部旋回体41のメインフレームに溶接等の手段で固着して設けた支持ブラケット42に取り付けられるようになっている。この防振支持装置40を支持ブラケット42に装着するために、支持ブラケット42には開口43が設けられている。また、エンジン20には張り出し部44が設けられ、この張り出し部44にはボルト挿通孔45が上下方向に貫通するように設けられ、このボルト挿通孔45内に通しボルト46を挿通させて、この通しボルト46を防振支持装置40を貫通させるようにして、ナット46aを締め付けるようにしている。これによって、エンジン20は、通しボルト46により、防振支持装置40を介して上部旋回体の支持ブラケット42に支持される。
【0022】
防振支持装置40は、上下一対からなるラバーマウント47を有する。これらラバーマウント47は中央に上下に貫通する透孔を設けたほぼ裁頭円錐形状をしたゴム等の弾性部材48を有し、この弾性部材48の透孔に金属パイプ49を挿通して、接着・加硫等の手段で固着される。また、この弾性部材48の大径側の外周から所定の範囲にわたっては、略円環状の金属板体からなるフランジ50を固着している。そして、このフランジ50の内周側はラバーマウント47への固着部とは反対方向に略90°曲折した曲折部50aとなっている。
【0023】
以上のように構成されるラバーマウント47は一対用い、それらを相対向する状態に配設して、それらのフランジ50を支持ブラケット42及びこの支持ブラケット42に重ね合わせて固定した間隔保持板42aに当接させ、かつ曲折部50aを開口43の内周壁に当接させ、弾性部材48は支持ブラケット42に対して非当接状態にして組み込まれる。そして、エンジン20の張り出し部44に設けたボルト挿通孔45に挿通させた通しボルト46を、このようにして組む込んだ上下のラバーマウント47における金属パイプ49内に挿通させて、支持ブラケット42の下方に延在させて、この通しボルト46の先端にナット46aを螺合させ、両ラバーマウント47の端面が当接する状態にまで締め込む。
【0024】
ラバーマウント47の弾性部材48は圧縮状態にして組み付けられ、この弾性部材48の圧縮により所定のばね力を持たせ、もってこの予圧縮状態により防振支持装置40に所定のばね定数を持たせて、ラバーマウント47の圧縮によるばね力の増大により振動エネルギを吸収する機能が発揮され、上部旋回体41側の振動がエンジン20に伝わるのを抑制するようにしている。弾性部材48の弾性限界を越えるような極めて大きな振動荷重が作用すると、弾性部材48に亀裂が入ったり、割れが生じる等の損傷が生じる。このような事態が発生するのを防止するために、ラバーマウント47の弾性部材48が弾性限界乃至それに近い状態にまで圧縮されないようにするために、ラバーマウント47の圧縮量を規制するストッパ機構が設けられ、それ以上の動きを強制的に規制する構成としている。このために、上下のラバーマウント47にはストッパ51が装着されており、これら両ストッパ51はその外周側が曲折された作動部51aとなっており、この作動部51aの端面は支持ブラケット42及び間隔保持板42aに対して所定の間隔を持った状態に配置されている。従って、ラバーマウント47の弾性部材48における圧縮量はこの間隔分に制限され、ストッパ51が支持ブラケット42または間隔保持板42aに当接した時に、弾性部材48はそれ以上圧縮されることはない。。つまり、この間の間隔が振動吸収時に可能な圧縮量となる。
【0025】
従って、弾性部材48の圧縮量が弾性限界を越えるような荷重が作用した時には、防振支持装置40はその本来の機能を発揮しなくなる結果、エンジン20は上部旋回体41に対して実質的に剛体的な関係となる。要するに、上部旋回体41の振動時に、防振支持装置40に装着されたエンジン20は、ストッパ51より規制された範囲内では、上部旋回体41に直結されている熱交換器22とは異なる動きをし、ストッパ51が支持ブラケット42及び間隔保持板42aに当接することにより防振支持機能が失われると、エンジン20は熱交換器22と実質的に同じ動きをすることになる。そこで、以下の説明においては、防振支持装置40におけるストッパ51による規制以下の振動が作用している時におけるエンジン20と熱交換器22との相対的な動き範囲を非同期的な動き範囲、またストッパ51が作動した後におけるエンジン20と熱交換器22との相対的な動き範囲を同期的な動き範囲となる。
【0026】
以上のことから、シュラウド25とベルマウスリング26との相対位置関係としては、前述した防振支持装置40が機能している状態での相対的な動きにより相互に干渉しない位置関係、つまり非同期的な動き範囲ではシュラウド25側を構成するいずれかの部位と、ベルマウスリング26側を構成するいずれかの部位との間が当ることがない位置関係とする。そこで、図8において、シュラウド25側とベルマウスリング26側との間におけるY方向、つまり垂直方向と、X方向、つまり水平方向との非同期的な動き範囲を示す。なお、図8においては、説明の都合上、ベルマウスリング26及びその取付ブラケット28を固定し、これに対するシュラウド25側の相対的な動き範囲を示す。
【0027】
而して、図8において、振動が作用していない状態における両部材を実線で示す。Y方向において、シュラウド25側とベルマウスリング26側との間で最も近接しているのは、シュラウド25側における隔壁止着用凹溝30の底面部30aと、ベルマウスリング26の外面であり、このベルマウスリング26は凹円弧状となり、その中央部が最小径部26aとなっている。従って、隔壁止着用凹溝30をこの最小径部26aの上部に配置しえいると、その間の間隔SYが最小の間隔である。従って、この間の間隔SYをY方向の非同期的な動き範囲以上とする。これによって、シュラウド25に設けた隔壁止着用凹溝30をベルマウスリング26とオーバーラップした位置に配置することができるようになる結果、熱交換器22をエンジン20に近接した位置に配置できる。なお、エンジン20と熱交換器22とが同期的な動き範囲の状態になっても、シュラウド25側とベルマウスリング26側とで完全に同期的な動きをする訳ではないので、間隔SYはY方向の非同期的な動き範囲より多少大きくする。この間隔SYが多少大きくなっても、その間は弾性隔壁27で覆われているので、冷却風の流路を乱す隙間が生じるようなことはない。
【0028】
一方、X方向において、シュラウド25側とベルマウスリング26側との各部のうち、最も近接しているのは、取付ブラケット28に装着した取付ボルト32の頭部32aと、シュラウド25に連結した隔壁止着用凹溝30における立壁部30cとの間隔Sxが最小の間隔となる。従って、シュラウド25側とベルマウスリング26側とが干渉しないようにするには、この間隔SxをX方向の非同期的な動き範囲より大きくする必要がある。
【0029】
ところで、隔壁止着用凹溝30に立壁部30cを設けたのは、この隔壁止着用凹溝30に着脱可能に設けられる弾性隔壁27の連結部27bを固定するためである。この連結部27bは止着バンド31で固定されることから、止着バンド31が隔壁止着用凹溝30から逸脱しないように保持されておれば良い。一方、取付ブラケット28は隔壁止着用凹溝30の円周方向において複数箇所(本実施の形態では3箇所)設けられているに過ぎないから、この取付ブラケット28に対面する位置において、隔壁止着用凹溝30における立壁部30cを切り欠いたとしても、止着バンド31の保持機能を格別損なうおそれはない。
【0030】
以上のことから、隔壁止着用凹溝30におけるエンジン20と対面する側の立壁部30cのうち、少なくとも取付ボルト32の頭部32aと対面する位置、好ましくは取付ブラケット28と対面する位置に、図4乃至図6に示したように、切り欠き部35を形成している。これによって、X方向におけるシュラウド25側とベルマウスリング26側との各部のうち、最も近接しているのは、取付ボルト32に取り付けたホルダ33と隔壁止着用凹溝30の底面部30aの端面との間隔SXとなる。つまり、この間の間隔SXをX方向の非同期的な動き範囲より僅かに広い間隔とすれば良いということになる。これによって、熱交換器22はさらにエンジン20に近接させることができる。その結果、エンジン20を含む各種の部材なり機器なりを収容するエンジンルームをコンパクト化することができるようになり、上部旋回体の幅方向の寸法を短縮できることになる。そして、上部旋回体の幅寸法を短縮できると、輸送時における車幅の短縮が図られ、トレーラ等による円滑な輸送が可能となる。また、上部旋回体の幅寸法が小さくなると、小旋回化が可能になり、都市土木等における交通制限の緩和に資するところが大となる。
【0031】
ところで、取付ボルト32の頭部32aと隔壁止着用凹溝30の立壁部30bとの間隔SXは、前述したようにX方向の非同期的な動き範囲に規制されるが、熱交換装置21の組み立て性、及び熱交換装置21やエンジン20のメンテナンス性等を考慮すれば、さらに取付ボルト32の取付ブラケット28への着脱を容易にする必要がある。つまり、取付ボルト32の頭部32aと隔壁止着用凹溝30の立壁部30bとの間に取付ボルト32を取り外せるだけのスペースを確保しなければならない。従って、非同期的な動き範囲における各部の干渉防止という観点のみからは、間隔SXをこの非同期的な動き範囲を基準にして設定できるが、取付ボルト32の着脱という点を勘案すると、この間隔SXより多少広い間隔とする必要がある場合もある。
【0032】
さらに、弾性隔壁27は連結部27bから隔壁本体部27cを真直ぐ下方に延在させるのではなく、隔壁止着用凹溝30の立壁部30cを乗り越えるために、一度立壁部30cの端部に向けて膨出させなければならない。つまり、連結部27bと隔壁本体部27cとの間には、立壁部30cへの乗り越え部27dを形成する必要がある。取付ボルト32の頭部32aの延長線位置に、乗り越え部27dが設けられていると、この乗り越え部27dは弾性部材であるから弾性変形させた状態で取付ボルト32を着脱することも不可能ではないが、その操作が面倒になる。
【0033】
ここで、取付ボルト32と対面する位置では、隔壁止着用凹溝30の立壁部30cの切り欠き部35が設けられていることから、乗り越え部27dを設けなくても良い。そこで、図9に示したように、弾性隔壁27のうち、切り欠き部35の位置では乗り越え部27dを設けず、窪み部36を形成して、非膨出構造としている。これによって、取付ボルト32の延長線位置にはそれを着脱する際における障害物が存在しなくなるので、この取付ボルト32の着脱が容易になり、組み付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、エンジンと熱交換器との間隔を短縮しても、熱交換器における冷却効率を低下させたり、また車両の振動時に熱交換装置を構成する各部が干渉し合って損傷等が発生するおそれをなくし、もってエンジンルームのコンパクト化が図れる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す熱交換装置をエンジンと共に示す外観斜視図である。
【図2】熱交換装置を示す図1の矢示F方向から見た図である。
【図3】図2のA−A位置の断面図である。
【図4】図2のB−B位置の断面図である。
【図5】弾性隔壁を取り除いて示す図4の平面図である。
【図6】図5の右側面図である。
【図7】エンジンの防振支持装置の断面図である。
【図8】シュラウド側とベルマウスリング側との間の非同期的な動き範囲を示す作用説明図である。
【図9】弾性隔壁の要部断面図である。
【図10】従来技術によるエンジンルームの内部構造を示す説明図である。
【符号の説明】
20 エンジン 21 熱交換装置
22 熱交換器 23 冷却手段
24 冷却ファン 25 シュラウド
25b 端壁 26 ベルマウスリング
26a 最小径部 27 弾性隔壁
28 取付ブラケット 30 隔壁止着用凹溝
31 止着バンド 32 取付ボルト
33 ホルダ 35 切り欠き部
36 窪み部 40 防振支持装置
Claims (3)
- エンジンにより回転駆動される冷却ファンと、この冷却ファンからの冷却風の流路に配設した熱交換器とを有し、前記冷却ファンからの冷却風の流路の周囲を覆うようにした建設機械の熱交換装置において、
前記エンジンに複数の取付ブラケットを設けて、これらの取付ブラケットにボルトで固定され、前記冷却ファンの羽根の外周部を囲繞するように装着されるベルマウスリングと、
前記熱交換器の前記エンジンに対面する側に連結して設けられ、前記ベルマウスリングの延長部の位置に円形の開口を形成したシュラウドと、
これらベルマウスリングの外周部とシュラウドの内周部との間に架設され、その間の隙間を塞ぐ弾性隔壁とを備え、
前記弾性隔壁を前記シュラウド側に固定するために、このシュラウドの内周縁部に円環状の隔壁止着用凹溝を形成し、
前記隔壁止着用凹溝を形成する内側立壁のうち、少なくとも前記取付ブラケットのボルト止着部に対面する位置には切り欠き部を形成する
構成としたことを特徴とする建設機械の熱交換装置。 - 前記エンジンは、ストッパ機構付きの防振支持装置に装着され、この防振支持装置のストッパにより規制される前記ブラケットから突出するボルトの動きが前記シュラウドと干渉しない範囲であって、前記切り欠き部により立壁が取り除かれた隔壁止着用凹溝を前記ボルトに近接する位置に配置する構成としたことを特徴とする請求項1記載の建設機械の熱交換装置。
- 前記弾性隔壁の前記シュラウドにおける前記隔壁止着用凹溝に固定するために、この弾性隔壁には隔壁止着用凹溝の溝底に当接する連結部と、前記内側立壁を乗り越えるための膨出部とを備え、前記連結部の外周面を弾性を有する止着バンドにより着脱可能に止着する構成となし、前記切り欠き部の位置は前記弾性隔壁を非膨出構造とすることによって、前記ボルトの延長線位置を開放する構成としたことを特徴とする請求項1記載の建設機械の熱交換装置。
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