JP4380725B2 - 積層波長板及びこれを用いた光ピックアップ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、積層波長板と光ピックアップ装置に関し、特に高次モードを用いて所要波長帯を広くした積層1/4波長板と、該積層1/4波長板を用いた2波長対応の光ピックアップ装置に関する。
光記憶媒体としてのCDやDVDはコストの面、コンパクト性、安定性等から広く用いられている。これらの媒体に記録された情報を再生する際、あるいはこれらの媒体に情報を記録する際に、光ピックアップ装置が用いられる。光ピックアップ装置には直線偏光のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換して光ディスクに照射するため、1/4波長板が使用されている。
1/4波長板は複屈折性を利用することにより90°位相変調を行う光学素子であり、入射した直線偏光を円偏光に変換し、あるいは円偏光を直線偏光に変換して出射するように作用する。例えば、水晶の複屈折性を用いて1/4波長板を作る場合、水晶の常光線屈折率、異常光線屈折率を夫々no、neとし、水晶板の厚さをtとすると、波長λの光が1/4波長板を透過したときの、常光線と異常光線との位相差Γは、Γ=2π/λ・(ne−no)・tで与えられ、位相差Γは波長λに依存することになる。
可視光の波長帯で位相差がほぼ一定となる広帯域波長板が、特許文献1に開示されている。図8(a)に示すように1/4波長板40は、1/2波長板41と、接着剤42と、1/4波長板43とから構成される。図8(b)に示すように、1/4波長板40に入射する直線偏光の偏光方向に対して1/2波長板41の延伸軸は−15°、1/4波長板43の延伸軸は−75°の方向に配置されている。尚、前記延伸軸の角度はyz平面内でy軸から右向きを正とした角度で記載されている。この1/2波長板41や1/4波長板43は、ポリカーボネイトを材料とした高分子フィルムを延伸処理したもので、1/4波長板40は可視光の範囲(400nm〜700nm)において、波長に依存しないほぼ完全な1/4波長板として機能すると開示されている。そして、1/4波長板40の作用を、ポアンカレ球を用いて説明している。
また、高次モードを用いた1/4波長板が特許文献2に開示されている。図9(a)は1/4波長板50を入射方向からみた平面図、同図(b)はその概略斜視図である。1/4波長板50は、波長785nm(CDに用いるレーザ光の波長)に対して位相差が1695°(4次モード255°)で、光学軸方位角(波長板に入射する直線偏光の偏光方向と光学軸とのなす角度)θ1が25.5°(ここでは反時計回りが正)の水晶板51と、波長785nmに対して位相差が850°(2次モード130°)で光学軸方位角が79.8°の水晶板52と、を各々の光学軸53、54の交差角θ3が54.3°で交差するように積層し、全体として波長655nm帯(DVDに用いるレーザ光の波長)及び785nm帯において1/4波長板として機能することが開示されている。
1/4波長板50のおおよその作用はポアンカレ球を用いて説明されるが、詳細な解析は水晶板51、52の夫々のミューラ行列A1、A2と、入射及び出射偏光状態を示す夫々のストークスベクトルT、Sを用いて、次式のように表される。
S=A2・A1・T・・・(1)
ストークスベクトルSの成分から1/4波長板50の位相差を求めることができる。
波長785nmに対して、各水晶板の位相差及び光学軸方位角が、(δ1、θ1、δ2、θ2)=(1695°,25.5°,850°,79.8°)、各々の光学軸が54.3°の角度で交差するように設定したとき、積層された1/4波長板50の位相差Γは、波長655nmで位相差270°、785nmで位相差90°になるとことが開示されている。
また、第2の実施例として、波長655nmに対して位相差が1980°(5次モード180°)で光学軸方位角14°の水晶板と、位相差が990°(2次モード270°)で光学軸方位角が72°の水晶板と、を各々の光学軸が58°の角度で交差するように積層した1/4波長板の位相差Γは、波長655nmで位相差が270°、785nmで位相差が90°になるとことが開示されている。
特開平10−68816号公報 WO2003/091768号公報
ここで、理解を容易にするために位相差の概念について説明すると、位相差の測定方法としては幾つかの方法があり、位相差を比較的容易に測定する方法としては回転検光子法が知られている。回転検光子法は、位相差測定対象物から出射された光を検光子にて各方位の光量を取り出し、当該光量を測定することにより位相差を算出する手法である。本願においては、回転検光子法の測定値との整合性を取るために回転検光子法と同じ計算手法を用いて位相差の計算を行った。
回転検光子法はその原理上、ストークスパラメータの要素S3の正負符号を判別できないので、0°〜180°の範囲内の位相差と180°〜360°の範囲内の位相差とを区別することができない。シミュレーションにおける位相差の表記は、180°〜360°の範囲内の位相差を0°〜180°の範囲内の位相差に折り曲げて表示する。この結果、シミュレーションにおける位相差は、90°と270°の両方を90°として表示する。
例えば、前述の特許文献2における第2の実施例において、ストークスベクトルSを求め、その成分を用いてシミュレーションして得られた波長−位相差特性は図10に示すようになり、波長655nm帯の位相差270°が位相差90°として表示されていることが分る。
ところで、半導体レーザダイオード(以下、LDと称する)が出射するレーザ光の波長はLD本体の温度が上昇すると、所謂温度ドリフトにより、波長が長波長側にシフトするという欠点がある。波長が夫々655nm、785nmの2つのLDと、図10に示した位相差特性を有する高次モードの積層1/4波長板と、を用いて光ピックアップ装置を構成する場合、当該光ピックアップ装置内の温度が常温(25℃)から変化して高温になると、波長655nmのLDにおいてLD本体の温度ドリフトによりLDから出射するレーザ光の波長が長波長側へ変化するが、図10に示す1/4波長板の位相差特性は675nm程度までほぼ位相差90°を保持しているのでレーザ光の偏光状態の変換に何ら問題は生じない。
しかしながら、図10に示すように1/4波長板の位相差特性は、790nmより位相差が変化しはじめ、800nmでは位相差が85°まで変化するという波長依存性を有している。つまり、このような波長依存性を有する1/4波長板を光ピックアップ装置に用いた場合、波長785nmのLD本体の温度ドリフトによりLDから出射するレーザ光の波長が長波長側へ変化して800nmになったとすると、前記LDから出射した波長800nmの直線偏光のレーザ光が前記1/4波長板に入射すると、当該1/4波長板は位相差85°として機能するため直線偏光を楕円偏光に変換して前記1/4波長板から当該楕円偏光のレーザ光を出射することになり、光ピックアップ装置の性能が低下してしまうという問題があった。
本発明は、LDの温度ドリフトによりLDから出射するレーザ光の波長が、所定の値から変化しても、当該レーザ光に対して確実に1/4波長板として機能する積層波長板、及びこれを用いた光ピックアップ装置を提供することにある。
本発明の積層波長板は、複屈折性を有する材料で形成された第1の波長板と第2の波長板とを各々の光学軸が交差するよう積層してなり、入射する直線偏光を変換して円偏光として出射し、又は入射する円偏光を変換して直線偏光として出射する積層波長板であって、前記第1の波長板の入射面及び出射面に立てた法線と前記第1の波長板の光学軸とのなす角度を90°とすると共に、前記第2の波長板の入射面及び出射面に立てた法線と前記第2の波長板の光学軸とのなす角度を90°とし、波長λに対する前記第1の波長板の位相差をΓ1、前記第2の波長板の位相差をΓ2とし、前記第1の波長板の光学軸方位角をθ1とし、前記第2の波長板の光学軸方位角をθ2とし、波長λ11のときの前記第1の波長板の位相差をΓ11aとし、波長λ12のときの前記第1の波長板の位相差をΓ12aとし、波長λ11のときの前記第2の波長板の位相差をΓ11bとし、波長λ12のときの前記第2の波長板の位相差をΓ12bとしたとき、下式(1)〜(6)を満足するよう構成したことを特徴とする。
Γ1=360×(n1+1)・・・(1)
Γ2=90×(2×n2+1)・・・(2)
ΔΓ1=(Γ12a−Γ11a)/(λ12−λ11)・・・(3)
ΔΓ2=(Γ12b−Γ11b)/(λ12−λ11)・・・(4)
cos2θ1=1−(1−cosΔΓ2)/{2(1−cosΔΓ1)}・・・(5)
θ2=45°±5°・・・(6)
但し、λ11≦λ≦λ12、n1及びn2はそれぞれ1から始まる自然数である。
このように構成することにより、1/4波長板として機能する複数の波長帯において帯域幅を広くすることができる。
また本発明の積層波長板は、n1=8、n2=4、ΔΓ1=4.34、ΔΓ2=1.09とした。このように構成した積層1/4波長板は、DVDの波長帯では14%、CDの波長帯では30%程度、帯域幅を広げることができた。
また本発明の積層波長板は、n1=10、n2=5、ΔΓ1=5.43、ΔΓ2=1.36とした。このように構成した積層1/4波長板は、DVDの波長帯、CDの波長帯ともに、積層1/4波長板に入射する直線偏光の光を円偏光の光に変換して出射することができた。
また本発明の光ピックアップ装置は、本発明の積層波長板を備えていることを特徴とする。このように構成した2波長対応光ピックアップ装置は、積層1/4波長板は所望の波長655nm帯、785nm帯において位相差が90°となる帯域が大幅に広がり、温度ドリフトによりLDから出射したレーザ光の有する波長が長波長側へ変動しても、当該レーザ光に対して十分に1/4波長板として機能することができる。更に、光ピックアップ装置に搭載される1/4波長板として楕円率0.9以上を要求するような厳しい仕様においても、本発明に係る2波長対応光ピックアップ装置は要求仕様を十分満足することができる。
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本願発明者が本発明に至った経緯について以下に説明する。
本願発明者は、光ピックアップ装置等の光学装置に使用する1/4波長板が、CD(785nm)、DVD(655nm)或いはBlu−rayやHDDVD等のブルーレーザ(405nm)等の複数の波長帯において、直線偏光を円偏光に変換するための構造について鋭意検討し、PCT/JP2006/319926号において、位相差Γ1=360°の第1波長板と位相差Γ2=90°の第2波長板とを各々の光学軸が所定の角度で交差するように積層することにより、所望の波長範囲で広帯域1/4波長板として機能する構造を提案した。これは、積層波長板が広帯域で所望の位相差、例えば位相差90°となる1/4波長板となるように、前記第1波長板の位相差を360°、前記第2波長板の位相差を当該所望の位相差として設計したことに特徴がある。
図6に示すポアンカレ球を用いて、前記広帯域1/4波長板に入射した直線偏光の偏光状態の光学的変化を解説する。点P0から入射した直線偏光は、前記第1波長板の光軸R1を中心にして360°回転して点P1(点P0)の位置に到達し、更に前記第2波長板の光軸R2を中心にして90°回転して点P2に到達する。点P2はポアンカレ球の北極に位置するから、前記広帯域1/4波長板に入射した直線偏光は右回りの円偏光となって当該広帯域1/4波長板から出射することとなる。
ここで、前記広帯域1/4波長板へ入射する入射光の波長が変化することにより、前記第1波長板の位相差Γ1がΔΓ1の位相変化を生じ、前記第2波長板の相差Γ2がΔΓ2の位相変化を生じたとすると、ΔΓ1とΔΓ2とが相殺するように光軸R1の角度を設定することにより広帯域で位相差を補償する1/4波長板を実現することができる。
次に、発散光のレーザ光を出射するLDを備えた光ピックアップ装置に前記広帯域1/4波長板を搭載する場合、光ピックアップ装置のレイアウトによっては、LDから出射したレーザ光は前記広帯域1/4波長板の入射面に対して斜めに入射することがある。この場合、前記広帯域1/4波長板の有する入射角度依存性が小さければ、前記広帯域1/4波長板の入射面に対して垂直に入射する光の位相差Γaと、前記広帯域1/4波長板の入射面に対して斜めに入射する光の位相差Γbとの位相差変化ΔΓ=(Γa−Γb)が小さくなるので、直線偏光のレーザ光が前記広帯域1/4波長板に斜めに入射した場合においても当該広帯域1/4波長板はほぼ位相差90°の1/4波長板として機能し、前記広帯域1/4波長板に斜めに入射した直線偏光のレーザ光は円偏光のレーザ光に変換されて当該広帯域1/4波長板から出射されることとなる。
ここで、前記広帯域1/4波長板を構成する第1波長板と第2波長板の材料として水晶等の単結晶を用いて、且つ、前記入射角度依存性を小さくするためには、水晶の切断角度を、水晶の光学軸が波長板の入射面及び出射面と平行となるような切断角度、即ち、前記光学軸が波長板の入射面及び出射面の法線に対して垂直となる角度(以下、90°Zと称す)とすればよい。
しかしながら、波長655nmに対して位相差が90°となる水晶波長板を切断角度90°Zで実現しようとすると、当該水晶波長板の厚みは約18μmの超薄板となってしまうという問題が生じる。ここで、水晶波長板の製造において歩留や生産効率を考慮すると、一般的な水晶波長板の厚みとして、50μm〜1mm程度は必要であり、この厚みの範囲で水晶波長板を加工すれば安価に提供できる。従って、水晶波長板の厚みを約18μmに研磨加工しようとすると、加工コストが高価となってしまうので、安価な積層型1/4波長板を提供することが困難となってしまう。
そこで、本願発明者は、前述の如き問題を鑑みて、波長板の入射角度依存性を小さく、且つ、波長板の厚みを加工し易い厚みに設定した第1波長板と第2波長板とを積層してなる1/4波長板について鋭意検討した。
切断角度90°Zの水晶波長板の厚みを厚くするためには、水晶波長板の有する位相差を大きく、所謂、高次モードの波長板とすれば水晶波長板の厚みを厚くすることができる。つまり、前述の位相差Γ1=360°の第1波長板と位相差Γ2=90°の第2波長板とを積層してなる1/4波長板において、前記第1波長板、前記第2波長板の厚みを厚くした場合について検討した。
ここで、波長板の厚みを単に厚くしただけでは、前記第1波長板の位相差変化ΔΓaと前記第2波長板の位相差変化ΔΓbとを相殺する関係を実現することはできないので、波長板の位相差を大きくし、且つ、前記第1波長板の位相差変化ΔΓaと前記第2波長板の位相差変化ΔΓbとを相殺することを実現できる構造について検証した。
図1(c)と(d)に示すように、点P0から入射した直線偏光を前記第1波長板により点P0から点P1へ変換するためには、前記第1波長板の位相差Γ1を360degの倍数とすれば良い。また、点P1に到達した直線偏光を前記第2波長板により円偏光に変換するためには、点P1から変換された点P2がポアンカレ球の北極(図1(c))或いは南極(図1(d))に到達すれば良いので、前記第2波長板の位相差Γ2は、90°(=90°×1)、270°(=90°×3)、450°(=90°×5)、630°(=90°×7)・・・の値であれば良い。尚、前記第2波長板の位相差を90゜としてしまうと、前述の如くそのときの前記第2波長板の厚みは約18μmの超薄板となり加工が困難となってしまうので構成から省くこととした。また、位相差Γ2=90°の第2波長板と組み合される第1波長板の位相差Γ1は360°となるので、位相差Γ1=360°の第1波長板も構成から省くこととした。
従って、設計波長λにおいて、第1波長板の位相差Γ1と第2波長板の位相差Γ2は以下のように表すことができる。
Γ1=360×(n1+1)・・・(2)
Γ2=90×(2×n2+1)・・・(3)
但し、次数n1、n2はそれぞれ1から始まる自然数である。
図2(a)は、本発明に係る積層波長板1を構成する第2の波長板3の機能について説明するための図であって、図1(c)に示したポアンカレ球において積層波長板1に入射した光線の偏光状態の軌跡をS2軸方向から見た図(S1S3平面に投影した図)である。図2(b)は、本発明に係る積層波長板の第1の波長板2の機能について説明するための図であって、前記偏光状態の軌跡をS1軸方向から見た図(S2S3平面に投影した図)である。図2(a)、(b)に示すように、直線偏光の光線がポアンカレ球の赤道上の所定の位置P0に入射すると、第1の波長板2によって光軸R1を中心にして360°の倍数分だけ回転してP1に到達し(P0=P1)、さらに第2の波長板3によって光軸R2を中心にして90°(+360°の倍数)だけ回転してP2(北極)に到達することによって、円偏光の光線となって積層波長板1を出射する。
ここで、第2の波長板3の位相差Γ2が入射光の波長の変化によりΔΓ2の位相変化を生じた場合、この位相変化ΔΓ2を第1の波長板2の波長による位相変化ΔΓ1で相殺すれば、積層波長板1の波長依存性を抑圧し複数の波長で1/4波長板として機能できる。
更に、第2の波長板3の波長による位相変化ΔΓ2は、基板材料の波長分散で決まる一定の数値を有しており、第1の波長板2の波長による位相変化ΔΓ1は、第1の波長板2の面内方位角θ1を調整することで、その大きさを可変することが可能である。
そこで、第1の波長板2と第2の波長板3との関係式を以下に導出する。
入射光の波長が基準波長(設計波長)λから波長λ11〜λ12の間(λ11≦λ≦λ12)で変化すると、波長板の有する波長依存性により第1の波長板2及び第2の波長板3の位相差が夫々Γ1及びΓ2より変化する。
このとき、第1の波長板2の位相差において、
Γ11a:波長λ11のときの位相差
Γ12a:波長λ12のときの位相差
また、第2の波長板3の位相差において、
Γ11b:波長λ11のときの位相差
Γ12b:波長λ12のときの位相差
と定義すると、第1の波長板2の波長による位相変化ΔΓ1及び第2の波長板3の波長による位相変化ΔΓ2は、以下の式を満足する。
ΔΓ1=(Γ12a−Γ11a)/(λ12−λ11)・・・(4)
ΔΓ2=(Γ12b−Γ11b)/(λ12−λ11)・・・(5)
ここで、Γ11a、Γ12a、Γ11b、Γ12bは、第1の波長板2の板厚:t1、第2の波長板3の板厚:t2、切断角度90°Zの水晶の異常光屈折率:neおよび常光屈折率:noとしたとき、以下のように表すことができる。
Γ11a=2π/λ11×(ne−no)×t1 ・・・(6)
Γ12a=2π/λ12×(ne−no)×t1 ・・・(7)
Γ11b=2π/λ11×(ne−no)×t2 ・・・(8)
Γ12b=2π/λ12×(ne−no)×t2 ・・・(9)
図2(a)において、第2の波長板3に生じた位相変化ΔΓ2により、ポアンカレ球上の座標P0(P1)がP1”に変化したものとし、このP0→P1”の距離を近似的に直線x2で表すと、ΔΓ2とx2は下式(10)の関係を満足する。
x22=2k2−2k2cosΔΓ2 ・・・・(10)
但し、kは、ポアンカレ球の半径を示す。
次に同様に、図2(b)において、第1の波長板2に生じた位相変化ΔΓ1により、ポアンカレ球上の座標P0(P1)がP1’に変化したものとし、このP0→P1’の距離を近似的に直線x1で表すと、ΔΓ1とx1は下式(11)の関係を満足する。
x12=2r2−2r2cosΔΓ1 ・・・・(11)
但し、rは、R1を回転軸としてΓ1回転させる時の半径である。
また、rは、第1の波長板2の面内方位角θ1を用いて下式(12)により表すことができる。
2=2k2−2k2cos2θ1 ・・・・(12)
更に、式(12)を式(11)に代入すると、式(13)が得られる。
x12=4k2(1−cos2θ1)(1−cosΔΓ1)・・・・(13)
そこで、第1の波長板2と第2の波長板3の位相変化がお互いに相殺しあうためには、 x1≒x2
である必要があり、式(10)と式(13)より
x12=x22
2k2−2k2cosΔΓ2=4k2(1−cos2θ1)(1−cosΔΓ1)
の関係が成立する。
そこで、kを正規化してまとめると式(14)が得られる。
cos2θ1=1−(1−cosΔΓ2)/{2×(1−cosΔΓ1)}・・・(14)
従って、式(14)に式(4)、(5)を代入すれば、第1の波長板2の光学軸方位角(面内方位角)θ1を算出することができる。このとき、第2の波長板3の光学軸方位角θ2ついては、ポアンカレ球上の点P1から点P2へ変換することを考慮すればθ2を45°付近に設定することが最適である。
以上の設計思想に基づいて、積層1/4波長板1を構成する第1の波長板2の位相差Γ1及び光学軸方位角θ1、第2の波長板3の位相差Γ2及び光学軸方位角θ2を算出すれば良い。
次に、Γ1、Γ2、θ1、θ2の具体的な算出方法について説明する。材料を切断角度90°Zの水晶とし、設計波長を655nmとして、波長範囲600nm〜850nmにおいて、第1の波長板2の位相差変化量ΔΓ1、第2の波長板3の位相差変化量ΔΓ2、並びに第1の波長板2の板厚t1、第2の波長板3の板厚t2を算出した。
第1の波長板2において、Γ1、ΔΓ1及びt1は次の表1に示すような値を取り得る。
Figure 0004380725
第2の波長板3において、Γ2、ΔΓ2及びt2は次の表2に示すような値を取り得る。
Figure 0004380725
表1及び表2から例えば、Γ1=1080deg、Γ2=270degと設定したとき、式(14)にΔΓ1=1.54、ΔΓ2=0.29を代入してθ1を算出すると、θ1は約5.5°となる。また、θ2は45°であるから、近似的に求められる設計条件は下記の通りとなる。
Γ1=1080deg
Γ2=270deg
θ1=5.5°
θ2=45°
これらの設計条件は近似を含んでいるので、更に詳細な計算を行って設計条件を最適化することが好ましい。詳細な計算はジョーンズ行列やミューラ行列を用いて計算することができる。ここではミューラ行列を用いた計算を行った。
はじめに、計算手法を簡単に説明する。直線偏光が2枚の波長板を透過した後の偏光状態は、ミューラ行列を用いて表すことができる。
E=R2・R1・I (15)
ここで、Iは入射光の偏光状態、Eは出射光の偏光状態を表すベクトルである。R1は積層1/4波長板1における第1の波長板2のミューラ行列、R2は第2の波長板3のミューラ行列で、夫々次式で表される。
Figure 0004380725

(16)
Figure 0004380725

(17)
第1及び第2の波長板2、3の高次モード次数n1、n2を決め、夫々の位相差Γ1、Γ2、光学軸方位角度θ1、θ2を設定して、式(16)、(17)よりミューラ行列R、Rを求める。そして、入射光の偏光状態Iを設定すると、式(15)より出射光の偏光状態Eを算出することができる。
出射光の偏光状態Eは次式で表される。
Figure 0004380725
Eの行列要素S01、S11、S21、S31はストークスパラメータと呼ばれ、偏光状態を表している。このストークスパラメータを用いて、波長板の位相差Γは次式のように表される。
Figure 0004380725
このように、式(19)を用いて位相差を算出することができる。
図7は、まず近似的に求めた設計条件を用いてシミュレーションした結果(一点鎖線)と、これを最適化した結果(実線)をグラフに示す。尚、第1の波長板2と第2の波長板3の各設計条件を表3に示す。


Figure 0004380725
第1の波長板2の光学軸方位角θ1と第2の波長板3の光学軸方位角θ2を調整することにより、655nm付近の帯域において位相差の傾きを小さく、且つ、楕円率が0.9以上となるようにしたものである。この設計条件では、積層1/4波長板1は単一の波長655nm帯のみでしか1/4波長板として機能していないので、複数の波長帯で1/4波長板として機能するようにΓ1とΓ2の組合せを選択して、ジョーンズ行列やミューラ行列を用いて最適な設計条件を以下に導出する。
本願発明者は前述の設計思想に基づいて、所望の複数の波長帯において位相差が90°となり、且つ、その帯域幅が広くなるように、積層1/4波長板の諸パラメータである第1及び第2の波長板2、3の夫々の次数n1、n2と、設計波長での夫々の位相差Γ1、Γ2と、夫々の光学軸方位角θ1、θ2と、を種々変化させ、シミュレーションを行った。DVDの655nm帯の帯域幅を確保しつつ、CDの785nm帯において780nmから800nmの波長帯において、図10に示した従来の1/4波長板の波長−位相差特性よりも帯域が広くなるようにパラメータを算出した。
図1に示す積層1/4波長板1を構成する第1及び第2の波長板2、3に切断角度を夫々90°Z(水晶板の主面における法線方向と光学軸(z軸)との交差角度が90°)の水晶を用いて、次数n1=8、n2=4、設計波長λを642nmとしたとき、第1の波長板2の位相差Γ1と第2の波長板3の位相差Γ2は、式(2)、(3)からそれぞれ
Γ1=360°×(8+1)=3240°
Γ2=90°×(2×4+1)=810°
となり、このときのΔΓ1とΔΓ2はそれぞれ
ΔΓ1=4.34
ΔΓ2=1.09
となるので、式(14)にΔΓ1、ΔΓ2を代入して第1の波長板2の光学軸方位角θ1を算出すると、
θ1=−7.2°
と求まる。第2の波長板3の光学軸方位角θ2は、
θ2=45°
であるから、これらの近似条件を設計条件としてシミュレーションを行った。更に、シミュレーションより得られた解(位相差特性、等)を基にして帯域幅が広帯域化するように最適化を実施した。図3(a)は、積層1/4波長板1の位相差の波長依存性を示す特性図であり、一点鎖線は最適化前(近似条件)の特性を示し、実線は最適化後の特性を示している。
尚、最適化後の第1の波長板2と第2の波長板3の各設計条件は、
Γ1=3240°
Γ2=810°
θ1=−8.5°
θ2=44°
となった。尚、このときの第1の波長板2の厚みt1と第2の波長板3の厚みt2は、
t1=639(μm)
t2=160(μm)
である。
DVD、CDの波長範囲において、最適化前後を比較すると、最適化前に比べて最適化後の位相差90°となる帯域が広帯域化しているのが分る。最適化後の位相差特性と、従来構造の図10に示した位相差特性とを、位相差90°±5°の範囲で比較すると、DVD波長範囲では、従来例が640nm〜675nm(帯域幅35nm)であるのに対して、本発明は630nm〜670nm(帯域幅40nm)と帯域を広くすることができた。また、CD波長範囲では、従来例が750nm〜800nm(帯域幅50nm)であるのに対して、本発明は765nm〜830nm(帯域幅65nm)と広くすることができた。
尚、図3(a)に示した位相差特性のグラフは、前述したように回転検光子法に基づいて表現している。つまり、本願の設計思想に基づいて、積層1/4波長板1が複数の波長帯(ここでは、655nm帯と785nm帯)で1/4波長板として機能するために、設計波長λ=642nmのときに第2の波長板3の位相差を高次モードの90°(=810°−360°×2)として設計しているので、積層1/4波長板1の波長655nm帯における実際の位相差は810°となる。
次に、波長785nm帯での積層1/4波長板1の位相差について説明する。図3(c)は、第2の波長板3が有する位相差の波長依存性を示した特性図である。図3(c)において、点線は第2の波長板3が有する実際の位相差(高次モードの位相差)を表しており、実線は実質上の位相差(実際の位相差から360°の倍数分を差し引いた値である)を表している。図3(c)に示すように785nm帯で第2の波長板3が1/4波長板として機能するのは実線で示した曲線より810nmのときの位相差90°であり、このときの実際の位相差は点線より630°でることが分る。従って、810nmにおける実質上の位相差は630°から360°の倍数分を差し引いた270°(=630°−360°)であることが分る。
次に、本願発明者は、積層1/4波長板1の楕円率について検証を行った。図3(b)は、積層1/4波長板1の楕円率の波長依存性を示す特性図であり、一点鎖線は最適化前の特性を示し、実線は最適化後の特性を示している。
積層1/4波長板1の楕円率について最適化前後で比較すると、両者はほぼ同等であるが最適化を行った後の方が、楕円率が7.0以上で帯域が若干広くなっているのが分った。
しかし、DVD、CDの波長範囲において、楕円率が0.6〜0.7となっており、積層1/4波長板1に入射した直線偏光は円偏光ではなく楕円偏光となって積層1/4波長板1から出射していることが判明した。積層1/4波長板1を次数n1=8、n2=4で設計してしまうと、光ピックアップ装置において1/4波長板に求められる楕円率が0.9であることが求められた場合に、要求仕様を十分満足できないという課題が新たに生じた。
そこで、本願発明者は、積層1/4波長板1について、次数n1=10、n2=5、設計波長λを655nmとして、あらためてシミュレーションを行った。次数n1=10、n2=5のとき、第1の波長板2の位相差Γ1と第2の波長板3の位相差Γ2は、式(2)、(3)からそれぞれ
Γ1=360°×(10+1)=3960°
Γ2=90°×(2×5+1)=990°
となり、このときのΔΓ1とΔΓ2はそれぞれ
ΔΓ1=5.43
ΔΓ2=1.36
となるので、式(14)にΔΓ1、ΔΓ2を代入して第1の波長板2の光学軸方位角θ1を算出すると、
θ1=−7.2°
と求まる。第2の波長板3の光学軸方位角θ2は、
θ2=45°
であるから、これらの近似条件を設計条件としてシミュレーションを行った。更に、シミュレーションより得られた解(位相差特性、等)を基に帯域幅を広帯域化するために最適化を実施した。図4(a)は、積層1/4波長板1の位相差の波長依存性を示す特性図であり、一点鎖線は最適化前の特性を示し、実線は最適化後の特性を示している。
尚、最適化後の第1の波長板2と第2の波長板3の各設計条件は、
Γ1=3960°
Γ2=990°
θ1=−8.5°
θ2=44°
となった。尚、このときの第1の波長板2の厚みt1と第2の波長板3の厚みt2は、
t1=800(μm)
t2=200(μm)
である。
DVD、CDの波長範囲において、最適化前後を比較すると、最適化前に比べて最適化後の位相差90°となる帯域が広帯域化しているのが分る。最適化後の位相差特性と、従来構造の図10に示した位相差特性とを、位相差90°±5°の範囲で比較すると、DVD波長範囲では、従来例が640nm〜675nm(帯域幅35nm)であるのに対して、本発明は630nm〜667nm(帯域幅47nm)と帯域を広くすることができた。また、CD波長範囲では、従来例が750nm〜800nm(帯域幅50nm)であるのに対して、本発明は772nm〜832nm(帯域幅60nm)と広くすることができた。
図4(b)は、積層1/4波長板1の楕円率の波長依存性を示す特性図であり、一点鎖線は最適化前の特性を示し、実線は最適化後の特性を示している。最適化後の楕円率の波長依存性において、DVDについては647nm〜663nmの帯域で、CDについては780nm〜802nmの帯域で楕円率0.9以上を確保することができ、積層1/4波長板1に入射した直線偏光をほぼ円偏光に変換して積層1/4波長板1から出射させることができた。
以上のように、本発明に係る積層1/4波長板は所望の波長655nm帯、785nm帯において位相差が90°となる帯域が大幅に広がり、温度ドリフトによりLDから出射したレーザ光の有する波長が長波長側へ変動しても、当該レーザ光に対して十分に1/4波長板として機能することが判明した。更に、光ピックアップ装置に搭載される1/4波長板として楕円率0.9以上を要求するような厳しい仕様においても十分満足する積層1/4波長板を提供することが可能となった。
以上の説明では複屈折板に水晶板を用いて説明したが、BBO、方解石、ニオブ酸リチウム、YVO4、等の他の結晶でもよく、また、樹脂等を用いた複屈折板であってもよい。
また、水晶光学軸方位角については、要求仕様に基づいて、近似値から±5°程度の範囲で適宜、設定すれば良い。
図5(a)は、本発明に係る第1の実施例の2波長対応光ピックアップ10の構成を示すブロック図である。2波長対応光ピックアップ10は、CDに対応した785nm帯の波長のレーザ光を出射するレーザダイオード(LD)11と、DVDに対応した655nm帯の波長の直線偏光のレーザ光のレーザ光を出射するLD13と、前記LD13から出射した直線偏光のレーザ光を反射すると共に、前記LD11から出射した直線偏光のレーザ光を透過する波長分離素子12と、波長分離素子12を反射、及び透過したレーザ光の位相を180°変換して出射する1/2波長板14と、1/2波長板14から出射したレーザ光を所定の比率で反射、及び透過するミラー15と、ミラー15を透過したレーザ光をモニターするフロントモニター(FM)16と、ミラー16を反射したレーザ光を平行光とするコリメートレンズ17と、コリメートレンズ17を透過した直線偏光を円偏光に変換する本発明に係る積層1/4波長板18と、光ディスク19に形成されたピット20にレーザ光を集光する集光レンズ21と、ピット20にて反射したレーザ光を、集光レンズ21と、積層1/4波長板18と、コリメートレンズ17と、ミラー15と、を経由して検出する光検出素子PD22と、により構成されている。
本発明に係る2波長対応光ピックアップ装置は、当該2波長対応光ピックアップ装置に用いた積層1/4波長板が位相差90°として機能する波長帯域を広くしたので、温度ドリフトによりLDから出射するレーザ光の波長が長波長側へ変動しても、当該レーザ光に対して十分に1/4波長板として機能し、2波長対応光ピックアップ装置の性能を向上させるという効果がある。
更に、最近開発された2波長発光レーザダイオードと、本発明の積層1/4波長板を用いることにより、新たな2波長対応光ピックアップ装置を構成することができる。図5(a)と同じ光学素子には同じ符号を用いることにする。図5(b)は本発明に係る第2の実施例の2波長対応光ピックアップ25のブロック図である。2波長対応光ピックアップ25は、CD、DVDに夫々対応した785nm帯、655nm帯の波長の直線偏光のレーザ光を出射するLD26a、26bを備えた複合LD26と、複合LD26から出射した785nm帯、660nm帯のいずれか1つのレーザ光の位相を180°変換して出射する1/2波長板14と、1/2波長板14から出射したレーザ光を所定の比率で反射、及び透過するミラー15と、ミラー15を透過したレーザ光をモニターするフロントモニター(FM)16と、ミラー16を反射したレーザ光を平行光とするコリメートレンズ17と、コリメートレンズ17を透過した直線偏光を円偏光に変換する本発明に係る積層1/4波長板18と、光ディスク19に形成されたピット20にレーザ光を集光する集光レンズ21と、ピット20にて反射したレーザ光を、集光レンズ21と、積層1/4波長板18と、コリメートレンズ17と、ミラー15と、を経由して検出する光検出素子PD22と、により構成されている。
本発明に係る2波長対応光ピックアップ装置は、当該2波長対応光ピックアップ装置に用いた積層1/4波長板が位相差90°として機能する波長帯域を広くしたので、温度ドリフトによりLDから出射するレーザ光の波長が長波長側へ変動しても、当該レーザ光に対して十分に1/4波長板として機能し、2波長対応光ピックアップ装置の性能を向上させるという効果がある。
図5(c)は本発明に係る第3の実施例の2波長対応光ピックアップ27のブロック図である。2波長対応光ピックアップ25は、CD、DVDに夫々対応した785nm帯、655nm帯の波長の直線偏光のレーザ光を出射するLD26a、26bを備えた複合LD26と、複合LD26から出射した785nm帯、660nm帯のいずれか1つのレーザ光の直線偏光を円偏光に変換する本発明に係る積層1/4波長板18と、積層1/4波長板18から出射した円偏光のレーザ光を平行光とするコリメートレンズ17と、コリメートレンズ17を透過したレーザ光を所定の比率で反射、及び透過するミラー15と、ミラー15を透過したレーザ光をモニターするフロントモニター(FM)16と、ミラー16を反射したレーザ光を光ディスク19に形成されたピット20に集光する集光レンズ21と、ピット20にて反射したレーザ光を、集光レンズ21と、ミラー15と、集光レンズ28を経由して検出する光検出素子PD22と、により構成されている。
本発明に係る2波長対応光ピックアップ装置は、当該2波長対応光ピックアップ装置に用いた積層1/4波長板が位相差90°として機能する波長帯域を広くしたので、温度ドリフトによりLDから出射するレーザ光の波長が長波長側へ変動しても、当該レーザ光に対して十分に1/4波長板として機能し、2波長対応光ピックアップ装置の性能を向上するという効果がある。
更に、本発明に係る積層1/4波長板18は、切断角度90Zの水晶板からなる第1の波長板と第2の波長板と積層して構成されており入射角度依存性が極めて小さい特性を有しているので、複合LD26から出射した発散光であるレーザ光が積層1/4波長板18に入射する、即ちレーザ光が積層1/4波長板18の入射面に斜めに入射しても位相変動が生じることなく、位相差90°の1/4波長板として機能して、積層1/4波長板18に入射する直線偏光のレーザ光を確実に円偏光として出射するので、2波長対応光ピックアップ装置の性能を格段に向上させるという効果がある。
また、本発明を実施するための最良の方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、使用する材料、形状、数量、波長その他の詳細な事項において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。したがって、上記に開示した材料、形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材料、形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した記載は、本発明に含まれるものである。
(a)は本発明に係る積層1/4波長板の構成を示す平面図、(b)は斜視図、(c)、(d)は本発明を説明するためのポアンカレ球を示す斜視図。 (a)、(b)は本発明を説明するためのポアンカレ球を示す平面図。 (a)は本発明に係る積層1/4波長板の波長−位相差特性を示す図、(b)は楕円率の波長依存特性を示す図、(c)第2の波長板の波長−位相差特性を示す図。 (a)は本発明に係る他の積層1/4波長板の波長−位相差特性を示す図、(b)は楕円率の波長依存特性を示す図。 (a)は本発明に係る第1の実施例の光ピックアップ装置の構成を示すブロック図、(b)は本発明に係る第2の実施例の光ピックアップ装置の構成を示すブロック図、(c)は本発明に係る第3の実施例の光ピックアップ装置の構成を示すブロック図。 補正機能を有する積層波長板の光学特性を説明するためのポアンカレ球を示す斜視図。 (a)は積層1/4波長板の波長−位相差特性を示す図、(b)は楕円率の波長依存特性を示す図。 (a)、(b)は従来の1/4波長板の構成を示す図。 (a)、(b)は従来の高次モード1/4波長板の構成を示す図。 従来の高次モード1/4波長板の波長−位相差特性を示す図。
符号の説明
1…高次モード1/4波長板、2,3…波長板、4,5…光学軸、10,25…光ピックアップ装置、11,13…LD、12…波長分離素子、14…1/2波長板、15…ミラー、16…フロントモニター、17…コリメートレンズ、18…積層1/4波長板、21…集光レンズ、22…光検出素子。

Claims (4)

  1. 複屈折性を有する材料で形成された第1の波長板と第2の波長板とを各々の光学軸が交差するよう積層してなり、
    入射する直線偏光を変換して円偏光として出射し、又は入射する円偏光を変換して直線偏光として出射する積層波長板であって、
    前記第1の波長板の入射面及び出射面に立てた法線と前記第1の波長板の光学軸とのなす角度を90°とすると共に、
    前記第2の波長板の入射面及び出射面に立てた法線と前記第2の波長板の光学軸とのなす角度を90°とし、
    波長λに対する前記第1の波長板の位相差をΓ1、前記第2の波長板の位相差をΓ2とし、
    前記第1の波長板の光学軸方位角をθ1とし、
    前記第2の波長板の光学軸方位角をθ2とし、
    波長λ11のときの前記第1の波長板の位相差をΓ11aとし、
    波長λ12のときの前記第1の波長板の位相差をΓ12aとし、
    波長λ11のときの前記第2の波長板の位相差をΓ11bとし、
    波長λ12のときの前記第2の波長板の位相差をΓ12bとしたとき、
    下式(1)〜(6)を満足するよう構成したことを特徴とする積層波長板。
    Γ1=360×(n1+1) ・・・(1)
    Γ2=90×(2×n2+1)・・・(2)
    ΔΓ1=(Γ12a−Γ11a)/(λ12−λ11)・・・(3)
    ΔΓ2=(Γ12b−Γ11b)/(λ12−λ11)・・・(4)
    cos2θ1=1−(1−cosΔΓ2)/{2(1−cosΔΓ1)}・・・(5)
    θ2=45°±5°・・・(6)
    但し、λ11≦λ≦λ12、n1及びn2はそれぞれ1から始まる自然数
  2. 請求項1において、
    n1=8、
    n2=4、
    ΔΓ1=4.34、
    ΔΓ2=1.09
    であることを特徴とする積層波長板。
  3. 請求項1において、
    n1=10、
    n2=5、
    ΔΓ1=5.43、
    ΔΓ2=1.36
    であることを特徴とする積層波長板。
  4. 光源と、
    前記光源から出射した光を光記録媒体に集光するための対物レンズと、
    前記光記録媒体により反射された光を検出するための光検出器とを備えた光ピックアップ装置であって
    前記光源から前記対物レンズに至る光路中、または前記対物レンズから前記光検出器へ至る光路中に請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層波長板を設置したことを特徴とする光ピックアップ装置。
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