JP4380070B2 - 半導体電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、整流装置やインバータ装置などの半導体電力変換装置に関し、特に、スナバ抵抗の本数が従来より少なくても済む半導体電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、半導体電力変換装置の回路図である。サイリスターやダイオードなどの半導体素子1と限流ヒューズ2との直列回路(ここでは、主回路と言う)が複数設けられ、前記主回路が互いに並列接続されている。さらに、前記主回路にスナバヒューズ3とスナバ抵抗4とスナバコンデンサ5との直列回路(ここでは、スナバ回路と言う)が並列接続されている。限流ヒューズ2は、半導体素子1を過電流から保護し、スナバヒューズ3は、スナバ抵抗4とスナバコンデンサ5とを過電流から保護している。前記スナバ回路は、半導体素子1にかかる過電圧を吸収するためのものである。
【0003】
図3は、従来の半導体電力変換装置のスナバ回路の構成を示す平面図である。取付け板6にスナバヒューズ3とスナバ抵抗4とスナバコンデンサ5とがそれぞれ複数個ずつ取り付けられてあり、図示されていないリード線でもって互いに結線されている。
図4は、従来の半導体電力変換装置の主回路の構成を示す平面図である。仕切り板7には半導体素子用の第1の冷却導体10と限流ヒューズ用の第2の冷却導体9とが取り付けられている。第1の冷却導体10には、冷媒通路10Bとなる穴が図の上下に点線のように通されている。また、第2の冷却導体9にも、冷媒通路9Bとなる穴が図の上下に点線のように通されている。
【0004】
図4において、図示されていない半導体素子1とヒートシンクとが第1の冷却導体10と冷却体8との間に介装されている。なお、半導体素子1は第1の冷却導体10とヒートシンクとの間に配設されている。また、図示されていない限流ヒューズ2が第2の冷却導体9と冷却体8との間に介装されている。冷却体8には冷媒通路8Bとなる穴が点線のようにU字状に通されている。この冷媒通路8Bに冷媒を流すホース8Aが接続され、強制的に冷媒を冷却体8内に流すことができるようになっている。一方、図示されていないヒートシンクにも冷媒通路となる穴が通されている。その冷媒通路に冷媒を流すホース14Aが接続され、強制的に冷媒をヒートシンク内に流すことができるようになっている。また、第1の冷却導体10の冷媒通路10Bに冷媒を流すホース10Aが接続され、強制的に冷媒を第1の冷却導体10内に流すことができるようになっている。さらに、第2の冷却導体9の冷媒通路9Bにも冷媒を流すホース9Aが接続され、強制的に冷媒を第2の冷却導体9内に流すことができるようになっている。
【0005】
なお、第1の冷却導体10や第2の冷却導体9および冷却体8は銅など電気伝導性の良好な材料からなり、冷却に加えて通電の役目も担っている。冷却体8を介して直列接続された半導体素子1および限流ヒューズ2の回路に、第1の冷却導体10および第2の冷却導体9を介して、仕切り板7とは別の取付け板6に設けられた図3のスナバ回路が接続される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の半導体電力変換装置は、スナバ抵抗の本数が多いという問題があった。
すなわち、従来のスナバ抵抗は風冷であるためにその並列接続本数を多くしておかないと、半導体電力変換装置が高温になった時に許容温度を越えてしまうことになる。図3の例では、スナバ抵抗4が8本も使用されている。そのために、スナバ抵抗4の取り付け時間が多大であるとともに、スナバ抵抗4の取り付けに広いスペースが必要であった。スナバ抵抗4のそれぞれを冷却水でもって冷却する方法も考えられるが、冷却ホースが増すとともにその配管に時間がかかるという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、スナバ抵抗の本数が少なくても済むとともに、新たな冷却配管を必要としない半導体電力変換装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば、半導体素子と限流ヒューズとの直列回路からなる主回路にスナバ抵抗とスナバコンデンサとの直列回路からなるスナバ回路が並列接続され、前記半導体素子が、冷媒を強制的に流す冷媒通路を備える第1の冷却導体に取り付けられ、前記限流ヒューズが、冷媒を強制的に流す冷媒通路を備える第2の冷却導体に取り付けられてなる半導体電力変換装置において、前記スナバ抵抗を、金属体の内部に抵抗体が収納されるとともにこの抵抗体の両端が金属体に設けられたブッシングの中心導体を介して外部に引き出される構成とし、前記金属体の底面を第1の冷却導体あるいは第2の冷却導体に接触させてなるようにするとよい(請求項1の発明)。それによって、スナバ抵抗が冷却導体に接触しているので、風冷の場合より冷却効率が向上し、スナバ抵抗の本数を従来より少なくすることができる。しかも、スナバ抵抗を従来から備えられていた冷却導体でもって冷却するので、新たな冷却配管は全く必要としない。また、スナバ抵抗の金属体として熱伝導性の良好な材料を使用すれば、スナバ抵抗の内部の発熱が素早く冷却導体へ伝わり、スナバ抵抗の冷却性能がさらに向上する。
【0009】
また、上記請求項1の発明において、前記金属体としてアルミニウム材を用いてなる構成とするとよい(請求項2)。
また、上記請求項1または2の発明において、仕切り板を備えたものであって、この仕切り板に第1の冷却導体と第2の冷却導体とが取り付けられるとともに、第1の冷却導体および第2の冷却導体の上面に絶縁材料よりなるチャンネル部材が前記両冷却導体上を横断するようにして取り付けられ、前記チャンネル部材にスナバコンデンサが取り付けられてなる構成とすることができる(請求項3の発明)。
また、上記請求項1または2の発明において、前記スナバ回路は、さらにスナバヒューズを備えたものであって、スナバヒューズとスナバ抵抗とスナバコンデンサとがこの接続順にて直列接続された直列回路からなる構成とすることができる(請求項4の発明)。
また、上記請求項4の発明において、仕切り板を備えたものであって、この仕切り板に第1の冷却導体と第2の冷却導体とが取り付けられるとともに、第1の冷却導体および第2の冷却導体の上面に絶縁材料よりなるチャンネル部材が前記両冷却導体上を横断するようにして取り付けられ、前記チャンネル部材にスナバコンデンサが取り付けられてなり、さらに前記仕切り板にスナバヒューズが取付けられてなる構成とすることができる(請求項5の発明)。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施例に基づいて説明する。図1は、この発明の実施例にかかる半導体電力変換装置の主回路の構成を示す平面図である。スナバ抵抗16が第2の冷却導体9上に固定されている。また、スナバヒューズ3が仕切り板7に取り付けられている。また、第1の冷却導体10および第2の冷却導体9の上面に、例えばFRPなどの絶縁材料よりなるコの字断面のチャンネル部材41が前記両第1の冷却導体10,9上を横断するようにして取り付けられており、図の下部の方のチャンネル部材41の左側の部分の側面にスナバコンデンサ5が取り付けられている。スナバ抵抗16とスナバコンデンサ5とスナバヒューズ3とは、図示されていないリード線でもって直列接続されスナバ回路が形成されている。図1のその他は、図4の従来の構成と同じであり、従来と同じ部分は同一参照符号を付けることによって詳細な説明は省略する。
【0011】
また、スナバ抵抗16は、金属体の内部に抵抗体が収納されるとともにこの抵抗体の両端が金属体に設けられたブッシング16Aの中心導体を介して外部に引き出される構成となっており、この金属体の底面に第2の冷却導体が接触するようにして半導体電力変換装置に組み込まれる。
図1に戻り、スナバ抵抗16が第2の冷却導体9に接触しているので風冷の場合より冷却効率が向上し、スナバ抵抗16の本数を従来の場合より少なくすることができる。しかも、スナバ抵抗16を従来から備えられていた第2の冷却導体9でもって冷却するので、新たな冷却配管は全く必要としない。そのために、半導体電力変換装置がコンパクトになるとともに取り付け時間も大幅に短縮される。
【0012】
なお、図1において、スナバ抵抗16を第1の冷却導体10側に接触させてもよい。また、スナバ抵抗16が複数個の場合、第1の冷却導体10および第2の冷却導体9の双方に分配させてもよい。
また、スナバ抵抗16の抵抗体を収納する金属体として熱伝導性の良好な材料、例えば、アルミニウム材を使用すれば、スナバ抵抗16の内部の発熱が素早く第2の冷却導体へ伝わる。それによって、スナバ抵抗16の冷却性能がさらに向上し、スナバ抵抗16をさらに縮小化することができる。それに伴って、半導体電力変換装置もさらにコンパクト化される。
【0013】
なお、スナバ抵抗16の構成は、上述のような、抵抗体が金属板の内部に収納される構成に限定されるものではない。
また、上述の実施例では、スナバヒューズ3を設けた構成としているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、スナバヒューズを設けない構成にも適用することができる。
【0014】
【発明の効果】
この発明は前述のように、スナバ抵抗を半導体素子が取り付けられる第1の冷却導体あるいはヒューズが取り付けられる第2の冷却導体に接触させてなるようにすることによって、半導体電力変換装置がコンパクトになるとともにスナバ抵抗の組み立て時間が大幅に短縮される。
【0015】
また、かかる構成において、スナバ抵抗が金属体でもって覆われてなり、前記金属体を第1の冷却導体あるいは第2の冷却導体に接触させてなるようにすることによって、冷却性能がさらに向上し半導体電力変換装置をさらにコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる半導体電力変換装置の主回路の構成を示す平面図
【図2】半導体電力変換装置の回路図
【図3】従来の半導体電力変換装置のスナバ回路の構成を示す平面図
【図4】従来の半導体電力変換装置の主回路の構成を示す平面図
【符号の説明】
1:半導体素子、2:限流ヒューズ、3:スナバヒューズ、5:スナバコンデンサ、8:冷却体、9:第2の冷却導体、10:第1の冷却導体、16:スナバ抵抗

Claims (5)

  1. 半導体素子と限流ヒューズとの直列回路からなる主回路にスナバ抵抗とスナバコンデンサとの直列回路からなるスナバ回路が並列接続され、前記半導体素子が、冷媒を強制的に流す冷媒通路を備える第1の冷却導体に取り付けられ、前記限流ヒューズが、冷媒を強制的に流す冷媒通路を備える第2の冷却導体に取り付けられてなる半導体電力変換装置において、
    前記スナバ抵抗を、金属体の内部に抵抗体が収納されるとともにこの抵抗体の両端が金属体に設けられたブッシングの中心導体を介して外部に引き出される構成とし、前記金属体の底面を第1の冷却導体あるいは第2の冷却導体に接触させてなることを特徴とする半導体電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の半導体電力変換装置において、前記金属体としてアルミニウム材を用いてなることを特徴とする半導体電力変換装置。
  3. 請求項1または2に記載の半導体電力変換装置において、仕切り板を備えたものであって、この仕切り板に第1の冷却導体と第2の冷却導体とが取り付けられるとともに、第1の冷却導体および第2の冷却導体の上面に絶縁材料よりなるチャンネル部材が前記両冷却導体上を横断するようにして取り付けられ、前記チャンネル部材にスナバコンデンサが取り付けられてなることを特徴とする半導体電力変換装置。
  4. 請求項1または2に記載の半導体電力変換装置において、前記スナバ回路は、さらにスナバヒューズを備えたものであって、スナバヒューズとスナバ抵抗とスナバコンデンサとがこの接続順にて直列接続された直列回路からなることを特徴とする半導体電力変換装置。
  5. 請求項4に記載の半導体電力変換装置において、仕切り板を備えたものであって、この仕切り板に第1の冷却導体と第2の冷却導体とが取り付けられるとともに、第1の冷却導体および第2の冷却導体の上面に絶縁材料よりなるチャンネル部材が前記両冷却導体上を横断するようにして取り付けられ、前記チャンネル部材にスナバコンデンサが取り付けられてなり、さらに前記仕切り板にスナバヒューズが取付けられてなることを特徴とする半導体電力変換装置。
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