JP4379253B2 - トラッキングエラー信号生成回路 - Google Patents
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Description
これらのうち、DPD法では、複数の受光素子からの受光信号の位相差を検出し、その結果に基づいてトラッキングエラー信号を生成するようにされる。そして、このようなDPD法は、記録トラックの高密度化に対しても比較的良好なトラッキングエラー信号が生成できることから、近年の高密度ディスクに対応する光ディスク装置に対して採用される機会が多くなってきている。
そして、このように高密度化に伴いピットの長さが短くなった場合、受光信号は高周波となり、特に受光信号中に得られる最短ピット長による信号成分は充分な信号振幅が得られなくなる可能性が高くなる。
そして、このように正確に信号検出ができなくなることに伴っては、上記したDPD法を採用する場合において正確な位相差情報を得ることができなくなって、トラッキングエラー信号としても精度が悪化してしまう虞がある。
つまり、本発明のトラッキングエラー信号生成回路は、光ディスク記録媒体の記録面に対して照射されたレーザ光の反射光を複数の受光素子で受光して得られる複数の受光信号について、それらの位相差を検出した結果に基づきトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成回路であって、
上記受光信号中に得られる最短ピット長による信号成分の平均振幅レベルと同等のヒステリシス幅を有するように設定された第1の閾値及び第2の閾値に基づき上記複数の受光信号についての2値化を行う2値化手段を備える。
さらに、上記2値化手段から出力される2値化信号の位相差を検出した結果に基づき、トラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成手段を備えるものである。
このようにして、信号成分であってもノイズ成分に埋もれてしまう可能性が高い部分については2値化を行わないようにすれば、例えば最短ピット長による信号成分のすべてについて2値化を行う場合のように各2値化信号の位相差がノイズにより不正確となってしまうことを防止できる。つまり、これによってトラッキングエラー信号としても正確な信号を生成することができる。
図1は、本発明における実施の形態としてのトラッキングエラー信号生成回路1の構成を示すブロック図である。
先ず、実施の形態のトラッキングエラー信号生成回路1としては、DPD(Differential Phase Detection)法によるトラッキング方式に対応した構成が採られる。
また、この場合のトラッキングエラー信号生成回路1としては、例えばブルーレイディスク(Blu-ray Disc)の再生専用ディスクについて再生を行う光ディスク装置に適用される場合を例に挙げる。
そして、2値化回路4は、イコライザ3より供給される受光信号について2値化を行う。
ここで、この場合においては、ディテクタAとディテクタCとに得られる受光信号の位相が同相とされる関係にあり、ディテクタBとディテクタDとに得られる受光信号の位相が同相とされる関係にあるものとする。つまり、ディテクタA、ディテクタC側に得られる受光信号の位相と、ディテクタB、ディテクタD側に得られる受光信号の位相とが異なるようにされているものである。
そして、実施の形態の場合、一方の位相比較回路5は、ディテクタAとディテクタBとに得られた受光信号に基づく2値化信号を入力するようにされる。また、他方の位相比較回路5としても、ディテクタCとディテクタDとに得られた受光信号に基づく2値化信号を入力するようにされる。
しかしながら、先にも述べたように光ディスク記録媒体の高記録密度化によって、記録ピットの長さが短かくなるようにされた場合には、受光信号の高周波化が助長され、特に最短ピット長の信号成分としては充分な振幅レベルが得られなくなる可能性がある。
例えば、実施の形態において想定するブルーレイディスクの場合では、最短で2Tによるピット長が存在し、受光信号中におけるこのような2Tのピット長による信号成分の振幅レベルは相当に低いものとなっている。
そして、このようにノイズ成分の影響により正確な2値化が行われなければ、上記した位相比較信号としても正確な信号を得ることができなくなってトラッキングエラー信号TEの精度としても悪化してしまうことになる。
そして、その実現にあたり実施の形態では、次に説明するようにして2値化回路4において所要のヒステリシス幅を持たせた閾値を設定するものとしている。
図2において、図2(a)では、例えば実際には図2(b)に示すような波形により得られる受光信号について、例えば2T、3T、5Tといった各ピット長に対応して得られる信号成分の波形を同時に示している。
そして、図2(b)では、2値化回路4に対して入力される受光信号(図中入力信号)と、その結果得られる2値化信号との関係を示している。
先ず、実施の形態の2値化回路4においては、この図2に示されるようにして、2つの閾値th1、th2を設定するものとしている。
この場合、閾値th1、閾値th2の値は、受光信号の0レベルを中心としてそれぞれ絶対値が同じ値となるように設定される。
すなわち、図2に示される2Tの信号成分のうち、破線により囲ったように充分な振幅が得られずノイズ成分に埋もれてしまう可能性があるものについては、これを検出しないための閾値th1、閾値th2を設定する。
換言すれば、この場合の閾値th1、閾値th2によるヒステリシス幅としては、上記のような2Tの信号成分のうちの充分な振幅が得られない場合の振幅よりは広く、且つ正常な2Tの信号成分に想定される振幅よりは狭くなるように設定するものである。
具体的には、2Tによるピット長(つまり最短ピット長)による信号成分の平均の振幅レベルと同等のヒステリシス幅を持たせることのできる閾値th1、閾値th2を設定する。
さらに、上記のような閾値th1、閾値th2の設定によれば、2T(最短ピット長)以上の信号成分であっても同様にノイズに埋もれてしまう程度に振幅が低下してしまっている信号成分についても、2値化を行わないようにすることが可能となる。
すなわち、上記各閾値の設定によれば、ノイズ成分によって正確に2値化を行うことができない可能性のある信号成分については2値化を行わず、ノイズ成分よりも充分に大きな振幅が得られて正確に2値化を行うことができるとされる信号成分については2値化を行うことができるものである。
そして、このように位相比較信号として正確な信号が得られることで、トラッキングエラー信号TEの精度悪化の防止が図られる。
例えば、ディテクタ2に対するレーザスポットのポジションずれ等が生じた場合には、各ディテクタA〜Dから出力される受光信号の振幅レベルとしても偏りが生じてしまう。
なお、この場合も先の図2(a)と同様に、各図では2T、3T、5Tといった各ピット長に対応して得られる信号成分の波形を同時に示している。
ディテクタ2に対するレーザスポットのポジションずれが生じた場合、ディテクタA〜Dのうち一方の組のディテクタ側から出力される受光信号の振幅レベルが増大し、他方の組のディテクタ側から出力される受光信号の振幅レベルは低下するようにされる。
この図3では、それぞれ隣り合うディテクタA、ディテクタBの組が出力する受光信号の振幅レベルが増大し、他のディテクタC、ディテクタDから出力される受光信号の振幅レベルが低下する場合が示されている。
つまり、例えばポジションずれがない場合に対応した各閾値の設定によっては、図3(a)、図3(b)に示す振幅レベルが大きく変化した場合、図示するように各閾値thのレベルは受光信号レベルに対して相対的に小さくなってしまい、所望する振幅レベル以下の信号成分を除去することができなくなってしまう。
また、図3(c)、図3(d)に示す振幅レベルが小さく変化する場合では、各閾値thのレベルは受光信号レベルに対して相対的に大きくなり、例えば本来は除去されるべきでない3Tの信号成分まで除去されてしまうといった可能性がある。
先ず、ピークホールド回路11、ボトムホールド回路12に対しては、図1に示したイコライザ3を介して受光信号が供給される。これらピークホールド回路11、ボトムホールド回路12は、供給される受光信号のピークレベルをホールドした信号Peak、ボトムレベルをホールドした信号Bottomを各々生成し、これをエンベロープ幅検出回路13に供給する。
ローパスフィルタ15は、上記乗算回路14からの出力信号を平滑化し、これを閾値指令信号として可変ヒステリシスコンパレータ10に対して供給する。
この可変ヒステリシスコンパレータ10により得られた2値化信号は、2値化回路4の2値化出力として位相比較回路5に対して供給される。
図5において、図5(a)では、先の図3(a)(b)と同様に例えばレーザスポットのポジションずれ等により振幅レベルが増大した場合の受光信号の波形を示し、図5(b)では、先の図3(c)(d)のように振幅レベルが低下した場合の受光信号の波形について示している。
つまり、これらの図を比較してわかるように、この場合は図5(a)に示す受光信号の振幅レベル(エンベロープ幅)の増加に応じては、閾値th1と閾値th2とによるヒステリシス幅も拡大する傾向となり、図5(b)に示す受光信号の振幅レベルの減少に応じては閾値th1と閾値th2とによるヒステリシス幅は縮小する傾向となるものである。
従って、この係数Aの値として、上記信号Peak-Bottomに対して乗算されることで、最短ピット長による信号成分に想定される正常な振幅レベルよりも狭く、且つノイズ成分に想定される振幅レベルよりも広くなるヒステリシス幅を設定可能な値が設定されれば、例えばポジションずれ等による受光信号の振幅レベルの変化に対しても、最短ピット長による信号成分のうちの振幅レベルが所定以下に低下している部分については確実に2値化を行わなないようにすることができる。
具体的に、このような係数Aとしては、上記信号Peak-Bottomに対して乗算されることで最短ピット長による信号成分の平均の振幅レベルと同等のヒステリシス幅を設定可能な値を設定することとしている。
なお、このような係数Aの値は、予め受光信号のエンベロープ幅と最短ピット長による信号成分の振幅レベルとの比を割り出した結果に基づいて設定することができる。
これによれば、例えばポジションずれによりディテクタ2に対する反射光のスポット位置ズレが生じた場合にも、トラッキングエラー信号TEの精度悪化を防止できる。
また、このように受光信号のエンベロープ幅に応じたヒステリシス幅を設定することができれば、ポジションずれ以外の要因で受光信号のレベルが変化する場合に対しても、トラッキングエラー信号TEの精度悪化を防止できる。
この変形例では、上記したトラッキングエラー信号生成回路1の構成に加え、さらにイコライザ3の周波数特性を従来とは異なるように設定したものである。
通常、受光信号についてイコライジングを行う場合には、最も高周波であり最も振幅レベルが小さくなるとされる高周波の信号成分の振幅レベルを確保するような周波数特性が与えられる。このため、従来のイコライザ3においては、ブースト帯域の中心を、図示するように最も高周波となる2Tのピット長による信号成分の周波数に一致させるように設定されている。
例えば、ブルーレイディスクの場合、図示するように2Tの信号成分の周波数は16.5MHz程度、3Tの信号成分の周波数は11MHz程度、4Tの信号成分の周波数は8MHz程度とされているが、2Tに対応する16.5MHz付近がブースト帯域の中心となるようにされていたものである。
また、これに伴い、3Tに対応する11MHz、4Tに対応する8MHz付近は、ブースト帯域におけるゲインのピーク値(例えばこの場合は14dB)よりも低いゲインが与えられるようにされていた。
図7において、図6に示したイコライザ3の設定によると、摂動がない通常時においては、図7(a)に示すような受光信号の波形が得られる。つまり、この場合は最も高周波寄りにブーストがかけられることで、2Tの信号成分が最も増加する傾向とされている。
また、3Tの信号成分は、2Tの信号成分よりもブーストがかけられていない状態となっているが、2Tの信号成分よりも充分な振幅が得られる。
そして、このように摂動時において受光信号のレベルが低下した際、上記のように高周波成分にブーストの中心を設定する場合では、2Tの信号成分はブーストされるものの元々振幅が小さいものとされることから、充分な振幅が得られなくなる部分が生じる可能性が高い。
また、3Tによる中周波成分は、2Tによる高周波成分よりは振幅が得られるが、例えば図示する5Tによる信号成分のような低周波成分と比較すると充分な振幅が得られず、よって2Tの場合と同様に充分な振幅が得られなくなる部分が生じる可能性がないとはいえない。
つまり、これによると、上記したような従来のイコライザ3の設定では、確実に振幅レベルが得られるのは4T、5Tといった低周波成分のみとなってしまう可能性がないとはいえず、仮に、このようにして4T、5Tといった低域の信号成分しか得られなくなってしまった場合には、受光信号中の低周波成分のみを利用してしかトラッキングエラー信号TEを生成することができず、その分トラッキングエラー信号TEの精度が悪化する虞がある。
つまり、図8に示されるように、イコライザ3によるブースト帯域を従来よりも低周波寄りにシフトさせるようにしたものである。
具体的には、ブースト帯域の中心が、2Tの信号成分の周波数と3Tの信号成分の周波数とのほぼ中間に一致するようにして設定している。つまり、この場合には、2Tによる信号成分の周波数(16.5MHz)と、3Tによる信号成分の周波数(11MHz)のほぼ中間となる、13〜14MHz付近にブースト帯域の中心を合わせるようにしている。
先ず、このようにブースト帯域が低周波寄りに設定されたことで、図9(a)に示す通常時において、2Tの信号成分の振幅レベルP−2Tは、先の図7(a)に示した2Tの信号成分の振幅レベルP−2Tよりも若干低下するものとなる。
また、図9(a)において、この場合の3Tの信号成分の振幅レベルP−3Tとしては、先の図7(a)に示したP−3Tよりも増大するようにされる。
これに対し、3Tの信号成分としては、先の図7(b)に示した従来の場合よりもブーストがかけられたことで、従来よりも大きな振幅レベルを保つことができる。
つまり、このことからも理解されるように、実施の形態では、2Tの信号成分のうち充分な振幅が得られているもののみを検出するようにされることから、2Tの信号成分についてすべて検出するようにされていた従来の場合とは異なり、より低周波側にブースト帯域をシフトさせることができたものである。
そして、このようなブースト帯域の低周波寄りの設定が可能となったことで、図7(b)に示した従来の摂動時では、2Tと共に3Tの信号成分についても充分な振幅を得ることができなくなる可能性があったものを、実施の形態では摂動に対しても3Tの信号成分は振幅を充分に保つことが可能となる。
例えば、実施の形態では、再生専用のブルーレイディスクについて再生を行う光ディスク装置にトラッキングエラー信号生成回路が適用される場合を例示したが、記録可能なブルーレイディスクに対する記録再生が可能な光ディスク装置に適用することも可能である。
また、ブルーレイディスクに限らず、他の光ディスク記録媒体に対応する光ディスク装置に対しても好適に適用できる。
また、2値化回路の構成としても、図4に示した構成に限定されるものでなく、受光信号のエンベロープ幅と係数Aとに応じてヒステリシス幅を可変することができる構成とされれば他の構成を採ることも可能である。
Claims (3)
- 光ディスク記録媒体の記録面に対して照射されたレーザ光の反射光を複数の受光素子で受光して得られる複数の受光信号について、それらの位相差を検出した結果に基づきトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成回路であって、
上記受光信号中に得られる最短ピット長による信号成分の平均振幅レベルと同等のヒステリシス幅を有するように設定された第1の閾値及び第2の閾値に基づき上記複数の受光信号についての2値化を行う2値化手段と、
上記2値化手段から出力される2値化信号の位相差を検出した結果に基づき、トラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成手段と
を備えるトラッキングエラー信号生成回路。 - 上記2値化手段は、
上記受光信号のエンベロープ幅に応じて上記ヒステリシス幅を可変するように構成される請求項1に記載のトラッキングエラー信号生成回路。 - さらに、上記受光信号についてイコライジング処理を行うイコライザを備え、
上記イコライザは、ブースト帯域の中心が上記受光信号中に得られる最短ピット長による信号成分の周波数よりも低周波寄りにシフトされるように設定されている
請求項1に記載のトラッキングエラー信号生成回路。
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