JP4378781B2 - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセットドレインを有する高耐圧半導体装置およびその製造方法に関し、特に、ドレイン領域近傍のドリフト領域面におけるキャリア蓄積層の形成が促進され、オン抵抗(ドリフト領域の抵抗)の低減により電流駆動能力が改善された、高い接合降伏電圧および高速性が両立した高耐圧MOSトランジスタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの普及や家庭用テレビジョンの大型化に伴い、ディスプレイ市場が急速に拡大している。現在のディスプレイ市場においては、高精細度、高輝度、広視野角、高コントラストを有する陰極線管(CRT)が最も一般的となっている。しかしながら、陰極線管を大型化すると占有面積および重量の増大が問題となる。そこで、次世代ディスプレイとして、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等、薄型化および軽量化が可能なフラットパネルディスプレイ(FPD)に対する期待が高まっている。
【0003】
これらのフラットパネルディスプレイにおいては、画素セルへの電界強度を制御する電界駆動基板の製造工程において、プラズマを制御するための数百Vの高耐圧を有する電界駆動回路を半導体基板に形成する必要がある。
図21(a)および(b)に従来の高耐圧MOSトランジスタの基本構造を表した断面図を示す。図21に示すような高耐圧MOSトランジスタはLOD(LOCOS offset drain)型LD(lateral double−diffused)MOSトランジスタと呼ばれている。
【0004】
LOD型LDMOSトランジスタにおいては、高い接合降伏電圧(BVds;Breakdown Voltage)を確保するため、n+ 型ドレイン領域8は素子分離層(LOCOS)5によりpウェル3から隔てられて形成されている。一方、n+ 型ソース領域6とp+ 型pウェル電位取り出し領域7はソース電極13によって短絡されているため、ソース/ドレイン間に逆バイアスが印加されるとpウェル3とn型ドリフト領域26の接合からn型ドリフト領域26へ空乏層が延びる。このn型ドリフト領域26への空乏層の延びを利用して電界集中を抑制(電界緩和)することにより、トランジスタの耐圧が確保されている。
【0005】
さらに、図21に示すトランジスタにおいてはRESURF(REducedSURface Field)技術、すなわち、p型基板1とn型エピタキシャル層2の接合における表面方向への空乏層の延びを利用した電界緩和によっても高耐圧化が図られている。
RESURF構造は、pn接合分離と簡単に組み合わせることが可能であり、また、ドリフト領域長さの調節により耐圧の制御が可能であることから、高耐圧トランジスタの構造として有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の高耐圧半導体装置において、BVdsは通常、トランジスタがオフ状態(ゲート電位VG =0V)の耐圧であり、実際にゲートに高電圧が印加された場合の耐圧はそれよりも低下することが知られている。
ゲートに正の高電圧が印加されるとゲート酸化膜10直下のpウェル3表面にチャネルが形成される。これと同時に、素子分離層5まで張り出した形状のゲートポリシリコン電極9により、素子分離層5直下のn型ドリフト領域26表面に電子が集中する。
【0007】
n型ドリフト領域26に電子が蓄積された状態においては、見かけ上pウェル3とn型ドリフト領域26との接合濃度が上がるため、これによりトランジスタの耐圧が低下すると考えられている。
したがって、トランジスタを高耐圧化するには、n型ドリフト領域26における電子の蓄積を抑制する目的で、n型ドリフト領域26の不純物濃度を極力下げる必要がある。しかしながら、n型ドリフト領域26の不純物濃度が下がると、それに伴ってシート抵抗は増加し、オン抵抗が増加することになる。
以上のように、トランジスタの高耐圧化とオン抵抗の低減とは両立させることが困難となっている。
【0008】
図21(b)に示すように、トランジスタをオン状態とした場合の抵抗を低減させるため、n型ドリフト領域にn型不純物拡散層26’を形成することによりn型ドリフト領域を低抵抗化させた高耐圧MOSトランジスタもある。この場合、上記のようなゲートに高電圧が印加された場合の耐圧低下は、より顕著になる。
【0009】
また、LOD型LDMOSトランジスタには、耐圧低下を防止するためにn型ドリフト領域26の不純物濃度を下げると、電流駆動能力が制限されるという重大な問題がある。
図21(a)および(b)に示す半導体装置においては、通常、ソース電極13とドレイン電極14との間に、ある一定の逆バイアス電圧(ソース・ドレイン間電圧、あるいはドレイン電圧(VDS))が印加されている。
【0010】
ゲートポリシリコン電極9に正電圧が印加されると、ゲート酸化膜10直下のpウェル3表面にチャネルが形成され、電子がn+ 型ソース領域6からチャネルを通ってn型ドリフト領域26へ流れ、n+ 型ドレイン領域8に到達する。
これに伴い、ドレイン電極14からソース電極13へドレイン電流(ID )が流れる。したがって、ゲートポリシリコン電極9に印加する正電圧(ゲート電圧(VG ))を大きくすることにより、ドレイン電流(ID )を増加させることができる。
【0011】
しかしながら、上記のようなLOD型LDMOSトランジスタは、高耐圧化のためn型ドリフト領域26が低不純物濃度となっており、n型ドリフト領域26の抵抗成分が大きい。特に、ゲート電圧(VG )が大きいほど接合降伏電圧の降下が顕著になるため、ゲート電圧(VG )を大きくしてもドレイン電流(ID )が増加しなくなる。すなわち、電流駆動能力が制限されるという現象が起こる。
【0012】
上記のような電流駆動能力の問題について、図22を参照して説明する。図22は、図21に示すような従来構造のLOD型LDMOSトランジスタの電圧電流特性(静特性)を表したグラフであり、ソース・ドレイン間電圧(VDS)−ドレイン電流(ID )特性を、ゲート電圧(VG )をパラメータにプロットしてある。図22は、ゲート電極が素子分離層上を被覆する長さが1.4μmの場合の例である。
図22に示すように、ゲート電圧(VG )が10V以上になると、ゲート電圧(VG )を大きくしても、ドレイン電流(ID )の変化量(増加量)が小さくなる。このように、図22の例では、ゲート電圧(VG )が10Vを超えると電流駆動能力の限界がみられる。
【0013】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、LOCOSオフセットドレインを有する高耐圧トランジスタにおいて、ドレイン領域近傍のドリフト領域面におけるキャリア蓄積層の形成を促進させることによりドリフト領域抵抗が低減され、電流駆動能力が改善された、高耐圧と高速性が両立する高耐圧半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、高耐圧で、オン抵抗が低い、オフセットドレイン型MOSトランジスタを有する半導体装置であって、
当該トランジスタは、
第1導電型の基板と、当該第1導電型の基板に接して形成された、第2導電型のエピタキシャル層と、当該第2導電型のエピタキシャル層に形成された、第1導電型の第1ウェルと、前記第2導電型のエピタキシャル層に、前記第1導電型の第1ウェルと並列し、一端が前記第1導電型の第1ウェルの一端と接合して形成された、第2導電型の第2ウェルと、前記第2ウェルにドリフト層を形成し、前記第2ウェルの一部が露出するように、前記第2ウェルの表面領域に、ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記第1ウェルと前記第2ウェルとが接合する面から所定の距離まで形成された、ドリフト層形成用絶縁層と、前記第2ウェルの表面領域に、前記ドリフト層形成用絶縁層が形成されない部分に規定された、第2導電型ドレイン領域と、前記第1ウェルの表面領域に、前記接合面に隣接する当該第1ウェルの表面が露出される部分に続けて、前記接合面から離間する方向に、並列し、かつ、接して形成された、第2導電型ソース領域と、第1導電型の第1ウェル電位取出領域と、前記ドリフト層形成用絶縁層の一端から、前記接合面から離間する方向に、前記エピタキシャル層の表面、および、前記第2導電型ソース領域の表面および前記第1ウェル電位取出領域の表面部分に形成された、第1ゲート絶縁膜と、前記ドリフト層形成用絶縁層の他端に隣接して連続し、前記ドレイン領域の表面部分に形成された、第2ゲート絶縁膜と、前記エピタキシャル層の上に形成された前記第1ゲート絶縁膜から前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部までの第1距離だけ延在して形成された、ゲート電極層とを有し、
前記ゲート電極層は、前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部までの第1距離として、当該トランジスタのオン抵抗の値が急激に増加することを示す、前記接合面から2μm以上まで、前記ドリフト層形成用絶縁層に延在して形成されており、前記ゲート電極層の前記第2導電型ドレイン領域側の端部から前記第2導電型ドレイン領域までの第2距離を4μm以下とした、
半導体装置が提供される。
【0017】
好ましくは、前記ドリフト層形成用絶縁層は、当該トランジスタを他の素子と電気的に分離する素子分離層として形成されている。
【0018】
好ましくは、前記第1、第2ゲート酸化膜の厚さは同じ厚さである。
【0019】
また本発明によれば、上記トランジスタを含む半導体装置の製造方法が提供される。
当該製造方法において、前記第1導電型の基板に、前記第2導電型のエピタキシャル層を形成し、当該形成された第2導電型のエピタキシャル層に、前記第1導電型の第1ウェルを形成し、前記第2導電型のエピタキシャル層に、前記第1導電型の第1ウェルと並列し、一端が前記第1導電型の第1ウェルの一端と接合させて、第2導電型の第2ウェルを形成し、前記第1、第2ウェルの表面に、前記第1、第2ゲート酸化膜を形成し、前記第2ウェルの表面領域に、前記第1ウェルと前記第2ウェルとが接合する面から所定の距離だけ、前記ドリフト層形成用絶縁層を形成し、前記第1ウェルの上に形成された前記第1ゲート絶縁膜から前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部まで延在させて、前記ゲート電極層を形成し、前記第1ウェルの表面の前記ゲート電極層が形成されていない前記第1ゲート酸化膜を削除して前記第1ウェルの表面を露出させ、前記第2ウェルの表面に形成された前記第2ゲート酸化膜を削除して前記第2ウェルの表面を露出させ、前記露出された第2ウェルの表面領域で、前記ドリフト層形成用絶縁層が形成されない部分に前記第2導電型ドレイン領域を形成し、前記第1ウェルの露出部に、前記接合面に隣接する当該第1ウェルの表面が露出される部分に続けて、前記接合面から離間する方向に、並列し、かつ、接して、前記第2導電型ソース領域と、前記第1導電型の第1ウェル電位取出領域とを形成する。
前記ゲート電極の形成工程において、前記ゲート電極層は、前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部までの第1距離として、当該トランジスタのオン抵抗の値が急激に増加することを示す、前記接合面から2μm以上まで、前記ドリフト層形成用絶縁層に延在して形成し、前記ゲート電極層の前記第2導電型ドレイン領域側の端部から前記第2導電型ドレイン領域までの第2距離を4μm以下とする。
好ましくは、前記ドリフト層形成用絶縁層は、当該トランジスタを他の素子と電気的に分離する素子分離層を形成する工程において、当該素子分離層の形成と同様に形成する。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法は、好適には、前記導電体層はポリシリコンからなることを特徴とする。また、本発明の半導体装置の製造方法は、好適には、前記第1導電型はp型であることを特徴とする。本発明の半導体装置の製造方法は、好適には、前記第2導電型半導体層は、エピタキシャル成長により形成させることを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法は、好適には、前記絶縁膜は酸化シリコン膜であることを特徴とする。本発明の半導体装置の製造方法は、さらに好適には、前記第1導電型不純物拡散層に拡散させる不純物は、ホウ素であることを特徴とする。本発明の半導体装置の製造方法は、さらに好適には、前記第2導電型不純物拡散層に拡散させる不純物は、リンであることを特徴とする。
【0021】
上記の本発明の半導体装置の製造方法によれば、例えばポリシリコンからなる導電体層にパターニングを行い、ゲート電極を形成する工程において、ゲート電極が第2導電型半導体層(好適には第2導電型不純物拡散層)を、接合面から少なくとも2μm離れた領域まで被覆するようにパターニングを行う。
これにより、ゲート電極直下のドリフト領域表面にキャリア蓄積層が積極的に形成される、ドリフト領域の抵抗が低減された半導体装置を製造することができる。
【0022】
また、本発明の半導体装置の製造方法を、従来の高耐圧トランジスタ(LOD型LDMOSトランジスタ)の製造方法と比較すると、ゲート電極のパターンのみ異なるため、従来の製造方法に新たな装置や製造工程を追加することなく、実施することができる。したがって、本発明の半導体装置の製造方法は、実施が容易であるという利点も有する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の半導体装置およびその製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は本実施形態の半導体装置の断面図である。図1の半導体装置はLOD(LOCOS offset drain)型LD(Lateral double−diffused)MOSトランジスタであり、p型基板1の上層にn型エピタキシャル層2が形成されている。n型エピタキシャル層2の表面にはpウェル3およびnウェル4が形成され、pウェル3とnウェル4の接合面からnウェル4上部に、素子分離層(LOCOS)5が形成されている。
【0024】
pウェル3の表層にはn+ 型ソース領域6およびp+ 型pウェル電位取り出し領域(バックゲート取り出し領域)7が形成されている。nウェル4の表層にはn+ 型ドレイン領域8が形成されており、n+ 型ソース領域6とn+ 型ドレイン領域8は、素子分離層5により隔てられている。
ポリシリコンからなるゲート電極9は、n+ 型ソース領域6とn+ 型ドレイン領域8との間の、ゲート酸化膜10および素子分離層5の上部に形成されている。
n+ 型ソース領域6およびn+ 型ドレイン領域8の上部には、層間絶縁膜11にコンタクトホール12が設けられ、ソース電極13およびドレイン電極14がそれぞれ形成されている。
【0025】
上記の本実施形態の半導体装置において、図1に示すように、pウェル3とnウェル4の接合面の位置をXとする。また、ゲート電極9のn+ 型ドレイン領域8近傍にある端部の位置をYとし、n+ 型ドレイン領域8のゲート電極9近傍にある端部の位置をZとする。
X−Y間の距離、すなわち、接合面とゲートポリシリコン電極9端部との距離をaで表し、Y−Z間の距離、すなわち、n+ 型ドレイン領域8とゲートポリシリコン電極9との距離をbで表すと、本実施形態の半導体装置においてはaが2μm以上となっている。また、ゲート長が長い場合には、bが4μm以内となるようにゲート電極9を形成し、ゲート電極9が第2導電型不純物拡散層(nウェル4)を被覆する部分を、十分に確保することが好ましい。
【0026】
図2に、上記のような本実施形態の半導体装置の電圧電流特性(静特性)を示す。図2は、ドレイン電圧(VDS)−ドレイン電流(ID )特性を、ゲート電圧(VG )をパラメータにプロットしたグラフである。
図2は、ゲート電極がnウェルを被覆する部分(a)が5μmの場合の例である。
【0027】
図22に示す従来構造の場合、ゲート電圧(VG )が10Vを超えると、ゲート電圧(VG )を大きくしてもドレイン電流(ID )の変化量(増加量)が小さくなり、電流駆動能力の限界がみられるが、図2に示す本発明の半導体装置の場合には、少なくともゲート電圧(VG )が20V以下の範囲で、ゲート電圧(VG )にほぼ比例してドレイン電流(ID )が増加する。
本実施形態の半導体装置は、ドリフト領域表面に蓄積層を積極的に形成することにより、ドリフト領域の抵抗が低減されており、従来構造の半導体装置に比較して電流駆動能力の低下が起きにくい。
【0028】
また、図2に示す本発明の半導体装置の場合と、図22に示す従来構造の半導体装置の場合とを比較すると、同一のドレイン電圧(VDS)に対し、図2に示す本発明の場合の方が、より大きいドレイン電流(ID )が得られることがわかる。このように、本実施形態の半導体装置においては、接合降伏電圧(BVds)の向上も実現されている。
【0029】
さらに、図2に示す本発明の半導体装置の場合と、図22に示す従来構造の半導体装置の場合の波形を比較すると、図2に示す本発明の半導体装置の場合、ドレイン電圧(VDS)が増加して、ある一定の値(ピンチオフ点)を超えると、ドレイン電流(ID )は飽和し、ほぼ一定値となる。それに対し、図22に示す従来構造の半導体装置の場合には、ドレイン電圧(VDS)の増加とともにドレイン電流(ID )も漸増する。
これは、ドレイン電圧(VDS)の増加により、ドレイン近傍の空乏層幅が増加して、実効的なチャネル長がわずかに減少することに起因している。図2に示す本発明の半導体装置の場合、ドレイン電圧(VDS)が大きい領域において、ドレイン電流(ID )の漸増が抑制されており、高耐圧トランジスタとして、より理想的な波形が得られている。
【0030】
図3に、図1の半導体装置のnウェル4上部のゲート電極の長さ(a)、あるいは、n+ 型ドレイン領域8とゲート電極9の距離(b)を変化させた場合の、オン抵抗(Ron;トランジスタが動作状態にあるときのソース・ドレイン間の抵抗)の変化について示す。
図3から、aが小さい程、あるいはbが大きい程、オン抵抗(Ron)は大きくなることがわかる。特に、aが2μm以下の場合、あるいはbが4μm以上の場合には、オン抵抗(Ron)は指数関数的に増大する。
【0031】
nウェル4の表面において、ゲートポリシリコン電極9の直下には、積極的に蓄積層が形成されてドリフト領域の抵抗が低減されるが、ゲートポリシリコン電極9により被覆されない部分では、蓄積層が形成されず高抵抗ドリフト領域となる。したがって、aが2μm以下の場合、あるいはbが4μm以上の場合には、高抵抗ドリフト領域の比率が高くなり、ドレイン電流(ID )の低下が顕著になる。
本実施形態の半導体装置においては、aを2μm以上(例えば、図2の場合は5μm)、あるいはbを4μm以内とすることにより、ドリフト領域の抵抗が著しく低減されている。
【0032】
(実施形態2)
次に、上記の本実施形態の半導体装置の製造方法について、図1および図4〜図20を参照して説明する。
まず、図4に示すように、p型基板1上に抵抗率5〜10Ω・cm程度のn型エピタキシャル層2を形成する。n型エピタキシャル層2の膜厚は、要求される耐圧に合わせて、一般的に100V当たり10μm程度を目安として決定される。さらに、n型エピタキシャル層2の表面に900〜1000℃程度のスチーム酸化により、膜厚60〜100nmのSiO2 膜15を形成する。
【0033】
次に、図5に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術により、素子分離拡散層形成領域に開口を有するフォトレジスト17を形成する。フォトレジスト17をマスクとしてホウ素(B)あるいはAlを1×1014〜1×1015/cm2 程度、イオン注入する。不純物が注入された領域は、後述する工程でアニール化を行うことによりp型基板1に接続し、p−n接合分離のための素子分離拡散層16となる。
【0034】
次に、図6に示すように、フォトレジスト17を除去し、公知のフォトリソグラフィ技術により、pウェル3形成領域に開口を有するフォトレジスト18を形成する。フォトレジスト18をマスクとしてホウ素(B)を1×1013〜1×1014/cm2 程度、イオン注入する。不純物が注入された領域は、後述する工程でアニール化を行うことによりpウェル3となる。
【0035】
次に、図7に示すように、フォトレジスト18を除去し、公知のフォトリソグラフィ技術により、nウェル4形成領域に開口を有するフォトレジスト19を形成する。フォトレジスト19をマスクとしてリン(P)を1×1013〜1×1014/cm2 程度、イオン注入する。不純物が注入された領域は、後述する工程でアニール化を行うことによりnウェル4となる。
【0036】
図8に示すように、フォトレジスト19を除去し、減圧CVD法により全面に膜厚80〜100nm程度のSi3 N4 膜20を形成する。続いて、1100〜1200℃程度の熱処理を行ってアニール化を行い、素子分離拡散層16、pウェル3およびnウェル4を形成する。これにより、図9に示すような構造となる。
【0037】
本実施形態の半導体装置において、nウェル4はn型ドリフト領域として作用する。したがって、nウェル4を形成するかわりに、図21(B)に示すように、チャネル形成領域にn型ドリフト領域としての不純物拡散層を形成することもできる。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、同一基板上にPMOS(pチャネル型MOS)トランジスタを製造する場合に、PMOSのnウェルと製造工程を共有化させ、同一工程でnウェル4を製造することができる。
【0038】
また、nウェル4を形成しない場合には、高濃度の不純物を含有するn+ 型ドレイン領域8と、低不純物濃度のn型エピタキシャル層2との間に、急峻な濃度勾配が形成される。このため、p型基板1へ空乏層が拡がりにくくなり、電界集中によるブレークダウンが起こりやすくなる。
本実施形態の半導体装置は、n型エピタキシャル層2の表面に、n型エピタキシャル層2よりも高濃度の不純物を含有するnウェル4を介して、n+ 型ドレイン領域8を形成する。これにより、n+ 型ドレイン領域8とp型基板1の間の電界が緩和されるため、上記のようなブレークダウンが抑制される。
【0039】
次に、図10に示すように、アクティブ領域を形成するため、公知のフォトリソグラフィ技術により、アクティブ領域(ソース/ドレイン領域)上にフォトレジスト21を形成する。フォトレジスト21をマスクとして公知のエッチング方法、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)によりSi3 N4 膜20のエッチングを行う。これにより、アクティブ領域上のSi3 N4 膜20のみ残して、Si3 N4 膜20が除去される。
【0040】
図11に示すように、フォトレジスト21を除去してから、950〜1000℃程度のスチーム酸化を行う。これにより、素子分離領域に膜厚500〜700nm程度の酸化膜からなる素子分離層(LOCOS)5が形成される。
続いて、ホットリン酸によりSi3 N4 膜20を除去する。さらに、フッ酸(HF)系薬液を用いて、n型エピタキシャル層2表面のSiO2 膜15を除去する。
【0041】
次に、図12に示すように、950〜1000℃のスチーム酸化を行い、n型エピタキシャル層2の表面に、膜厚20〜50nmのゲート酸化膜10を形成する。続いて、図13に示すように、CVD法により膜厚400nm程度のn+ 型ポリシリコン層22を形成する。
その後、図14に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によりゲート形成領域にフォトレジスト(不図示)を形成し、フォトレジストをマスクとしてn+ 型ポリシリコン層22およびゲート酸化膜10のエッチングを行うと、ゲートポリシリコン電極9が形成される。
【0042】
このエッチング工程では、pウェル3とnウェル4の接合面から少なくとも2μm離れた領域まで、n+ 型ポリシリコン層22が素子分離層5を被覆する形状となるように、ゲート電極9の加工を行う。これにより、ゲート電極9に正電圧が印加された場合に、ゲート電極9直下のnウェル4表面に蓄積層が形成される。一方、素子分離層5下部のnウェル4は不純物濃度が低く、高抵抗となっているが、蓄積層からの横方向拡散(lateral diffusion)により、抵抗が低減される。これらの効果により、半導体装置の電流駆動能力が改善される。
【0043】
次に、図15に示すように、800〜900℃程度のスチーム酸化を行い、n型エピタキシャル層2の表面およびゲート電極9の上部に、膜厚10〜20nm程度の酸化膜(SiO2 膜)23を形成する。
続いて、図16に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術により、p+ 型pウェル電位取り出し領域(バックゲート領域)7を形成する領域に開口を有するフォトレジスト24を形成する。フォトレジスト24をマスクとして、1×1015〜1×1016/cm2 程度のホウ素(B)をイオン注入する。その後、フォトレジスト24を除去する。
【0044】
次に、図17に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術により、n+ 型ソース領域6およびn+ 型ドレイン領域8を形成する領域に開口を有するフォトレジスト25を形成する。フォトレジスト25をマスクとして、1×1015〜1×1016/cm2 程度のヒ素(As)をイオン注入する。その後、フォトレジスト25を除去する。
続いて、図18に示すように、CVD法により全面に膜厚600nm程度のSiO2 膜(層間絶縁膜)11を堆積させる。
【0045】
その後、図19に示すように、850〜950℃程度の熱処理を行って不純物を拡散させ、n+ 型ソース領域6、pウェル電位取り出し領域7およびn+ 型ドレイン領域8を形成する。
次に、図20に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術により層間絶縁膜11のソース、ゲート、ドレインの各電極形成領域に開口を有するフォトレジスト(不図示)を形成し、フォトレジストをマスクとして公知のエッチング方法、例えばRIEにより層間絶縁膜11のエッチングを行ってコンタクトホール12を形成する。
【0046】
フォトレジストを除去後、層間絶縁膜11に形成された各コンタクトホール12に、AlまたはTi/TiON/Ti/Al−Si等、バリアメタル層を含む配線金属層を蒸着させる。その後、公知のフォトリソグラフィ技術およびRIEにより、配線金属層のパターニングを行って、図1に示すように、ソース電極13およびドレイン電極14を形成する。
これにより、図1に示す構造の本実施形態の半導体装置が得られる。
【0047】
上記の本発明の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、オフセットドレインを有する高耐圧半導体装置(LOD型LDMOSトランジスタ)のゲート電極9を、pウェル3とnウェル4の接合面から少なくとも2μm離れた位置までnウェル4を被覆するように形成する。これにより、ゲート電極9直下のドリフト領域表面に蓄積層が積極的に形成され、ドリフト領域の抵抗が低減された高耐圧トランジスタを製造することが可能となる。
また、本発明の半導体装置の製造方法は、従来の高耐圧トランジスタの製造方法に新たな装置や製造工程を追加する必要がなく、ゲート電極のパターニング(レジストパターン)のみ変更すればよいため、容易に実施することが可能である。
【0048】
本発明の半導体装置およびその製造方法は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、p型基板1の表面領域に、p型素子分離拡散層16と接続する、p型不純物が拡散されたp型埋め込み層を形成して、素子間のp−n接合分離を行うこともできる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明の半導体装置によれば、ドレイン領域近傍のゲート電極直下に蓄積層が積極的に形成され、ドリフト領域の抵抗(オン抵抗)が低減される。これにより、半導体装置の電流駆動能力が改善され、高耐圧と高速動作の両立が可能となる。
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、従来の高耐圧トランジスタの製造方法に新たな装置や製造工程を追加せずに、高耐圧・高速動作が実現された高耐圧トランジスタを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の静特性を表すグラフである。
【図3】本発明の半導体装置のゲート電極構造とオン抵抗の相関を表すグラフである。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図20】本発明の半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図21】(a)および(b)は従来の半導体装置の断面図である。
【図22】従来の半導体装置の静特性を表すグラフである。
【符号の説明】
1…p型基板、2…n型エピタキシャル層、3…pウェル、4…nウェル、5…素子分離層(LOCOS)、6…n+ 型ソース領域、7…p+ 型pウェル電位取り出し領域(バックゲート領域)、8…n+ 型ドレイン領域、9…ゲート電極(ゲートポリシリコン電極)、10…ゲート酸化膜(SiO2 膜)、11…層間絶縁膜、12…コンタクトホール、13…ソース電極、14…ドレイン電極、15、23…酸化膜(SiO2 膜)、16…素子分離拡散層、17、18、19、21、24、25…フォトレジスト、20…窒化膜(Si3 N4 膜)、22…n+ 型ポリシリコン層、26…n型ドリフト領域、26’…n型ドリフト領域不純物拡散層。
Claims (5)
- 高耐圧で、オン抵抗が低い、オフセットドレイン型MOSトランジスタを有する半導体装置であって、
当該トランジスタは、
第1導電型の基板と、
当該第1導電型の基板に接して形成された、第2導電型のエピタキシャル層と、
当該第2導電型のエピタキシャル層に形成された、第1導電型の第1ウェルと、
前記第2導電型のエピタキシャル層に、前記第1導電型の第1ウェルと並列し、一端が前記第1導電型の第1ウェルの一端と接合して形成された、第2導電型の第2ウェルと、
前記第2ウェルにドリフト層を形成し、前記第2ウェルの一部が露出するように、前記第2ウェルの表面領域に、ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記第1ウェルと前記第2ウェルとが接合する面から所定の距離まで形成された、ドリフト層形成用絶縁層と、
前記第2ウェルの表面領域に、前記ドリフト層形成用絶縁層が形成されない部分に規定された、第2導電型ドレイン領域と、
前記第1ウェルの表面領域に、前記接合面に隣接する当該第1ウェルの表面が露出される部分に続けて、前記接合面から離間する方向に、並列し、かつ、接して形成された、第2導電型ソース領域と、第1導電型の第1ウェル電位取出領域と、
前記ドリフト層形成用絶縁層の一端から、前記接合面から離間する方向に、前記エピタキシャル層の表面、および、前記第2導電型ソース領域の表面および前記第1ウェル電位取出領域の表面部分に形成された、第1ゲート絶縁膜と、
前記ドリフト層形成用絶縁層の他端に隣接して連続し、前記ドレイン領域の表面部分に形成された、第2ゲート絶縁膜と、
前記エピタキシャル層の上に形成された前記第1ゲート絶縁膜から前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部までの第1距離だけ延在して形成された、ゲート電極層と
を有し、
前記ゲート電極層は、前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部までの第1距離として、当該トランジスタのオン抵抗の値が急激に増加することを示す、前記接合面から2μm以上まで、前記ドリフト層形成用絶縁層に延在して形成されており、前記ゲート電極層の前記第2導電型ドレイン領域側の端部から前記第2導電型ドレイン領域までの第2距離を4μm以下とした、
半導体装置。 - 前記ドリフト層形成用絶縁層は、当該トランジスタを他の素子と電気的に分離する素子分離層として形成されている、
請求項1に記載の半導体装置。 - 前記第1、第2ゲート酸化膜の厚さは同じ厚さである、
請求項1または2に記載の半導体装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のトランジスタを含む半導体装置の製造方法であって、
前記第1導電型の基板に、前記第2導電型のエピタキシャル層を形成し、
当該形成された第2導電型のエピタキシャル層に、前記第1導電型の第1ウェルを形成し、
前記第2導電型のエピタキシャル層に、前記第1導電型の第1ウェルと並列し、一端が前記第1導電型の第1ウェルの一端と接合させて、第2導電型の第2ウェルを形成し、
前記第1、第2ウェルの表面に、前記第1、第2ゲート酸化膜を形成し、
前記第2ウェルの表面領域に、前記第1ウェルと前記第2ウェルとが接合する面から所定の距離だけ、前記ドリフト層形成用絶縁層を形成し、
前記第1ウェルの上に形成された前記第1ゲート絶縁膜から前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部まで延在させて、前記ゲート電極層を形成し、
前記第1ウェルの表面の前記ゲート電極層が形成されていない前記第1ゲート酸化膜を削除して前記第1ウェルの表面を露出させ、前記第2ウェルの表面に形成された前記第2ゲート酸化膜を削除して前記第2ウェルの表面を露出させ、
前記露出された第2ウェルの表面領域で、前記ドリフト層形成用絶縁層が形成されない部分に前記第2導電型ドレイン領域を形成し、前記第1ウェルの露出部に、前記接合面に隣接する当該第1ウェルの表面が露出される部分に続けて、前記接合面から離間する方向に、並列し、かつ、接して、前記第2導電型ソース領域と、前記第1導電型の第1ウェル電位取出領域とを形成し、
前記ゲート電極の形成工程において、前記ゲート電極層は、前記接合面を越えて前記ドリフト層形成用絶縁層の一部までの第1距離として、当該トランジスタのオン抵抗の値が急激に増加することを示す、前記接合面から2μm以上まで、前記ドリフト層形成用絶縁層に延在して形成し、前記ゲート電極層の前記第2導電型ドレイン領域側の端部から前記第2導電型ドレイン領域までの第2距離を4μm以下とした、
半導体装置の製造方法。 - 前記ドリフト層形成用絶縁層は、当該トランジスタを他の素子と電気的に分離する素子分離層を形成する工程において、当該素子分離層の形成と同様に形成する、
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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