JP4378475B2 - 金属製多孔質材料の表面強化方法 - Google Patents

金属製多孔質材料の表面強化方法 Download PDF

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Description

本発明は、摩擦力と塑性加工を応用した金属製多孔質材料の表面強化方法、特に、金属製多孔質材料の表面近傍の強度を高めるともに、その表面を平滑にして意匠性を高めることを可能とする技術に関するものであり、更に詳しくは、気孔率100%未満の金属製多孔質材料の表層部に、工具を回転させながら接触させ、更に、圧力を加えて押し込み、金属製多孔質材料の表面近傍を圧縮及び塑性変形させることにより局所的に空孔(セル)を押しつぶして緻密化し、金属製多孔質材料表面に強化層を形成することを特徴とする金属製多孔質材料の表面強化方法等に関するものである。
本発明は、気孔の大きさ、形態、量に応じて様々な特徴を発揮する材料として、超軽量材料、エネルギー吸収材料、振動吸収材料、防音材料、及び断熱材料等に利用される金属製多孔質材料の製造技術の分野において、また、新機能の発現や、機能の高度化の可能性の大きい次世代材料として注目されている金属製多孔質材料の利用技術の分野において、表面が強化された新しい金属製多孔質材料及びその表面強化方法を提供するものとして有用である。
発泡アルミニウム合金に代表される金属製多孔質材料は、従来は、断熱、振動、及び吸収等を目的として、例えば、部屋の内装、建物の外壁、高速道路等の騒音発生源の遮音壁等に貼付されて用いられることが多い。また、この材料は、一般の金属材料に比較して、単位体積あたりの質量が極めて軽いので、自動車等の軽量化による燃料消費率の向上が期待でき、また、エネルギー吸収性に優れていることから、耐衝突用自動車部品としても有望視されている材料である。
一般に、金属製多孔質材料の強度は、非常に低いことから、金属製多孔質材料の両面を薄いアルミニウム合金等の金属板で挟み、金属板と当該多孔質材料とを、ロウ付けや樹脂系接着剤等で接着してサンドイッチ構造を形成することが行われてきた。これらは、多孔体の強度を補い、破壊を防止すると同時に、表面を平滑な金属板とすることで壁などに固定しやすくすること、表面塗装等の意匠性を高めるための後工程を容易にすること等のために行われる。例えば、金属製多孔質材料の板材は、それ自体を曲げ変形させようとすると容易に壊れてしまい変形させることができないが、両面を金属薄板で挟んだサンドイッチ構造にすると、金属製多孔質材料のみでは不可能だった曲げ加工が可能になる。
しかしながら、一般に、金属製多孔質材料と金属薄板とを接着する場合、その接触面積は非常に小さくなるため、両者を強固に接着するには相当量のロウ付け、あるいは樹脂系接着剤が必要になる。また、接触面積が小さいことは、ひいては接着力の低下の原因となるため、多孔体と表面に接着している金属薄板の間には、常に剥離の危険が存在する。更に、簡便な樹脂系接着剤を用いた場合には、高温部位等の接着剤の強度を低下させ得る環境下では使用できないという欠点があり、これらが、金属製多孔質材料の適用範囲を狭めている要因の一つとなっていた。
先行文献に示されているような、金属パイプの内部等の閉鎖空間を多孔質金属で満たし、その一部分を概知の接着方法で固定する方法(特許文献1)は、外側の金属パイプと多孔質材料の分離が容易に起きない部材、形状の組み合わせにおいては効果を発揮するものの、多孔質材料の一面のみを緻密化し、残りの面がオープンになっている部材の製造に対しては適用できない。また、塑性加工と放電加工を併用することにより、金属製多孔質材料の気孔率分布を制御する方法が提案されている(特許文献2)。これは、金属製多孔質材料に対して型彫り放電加工による除去加工を行い、板材の厚さに分布が有る多孔質体板材を製造し、その後で一軸圧縮又は圧延加工を行うことで任意の気孔率分布を有する多孔質体の板材を得るものである。しかし、この方法では、板材の水平方向の嵩密度の分布を得ることは可能であるが、板厚方向の分布を制御することは不可能である。即ち、多孔質材料の表面のみを緻密化して内部が多孔質の状態を維持することは不可能である。
また、金属製多孔質材料の表面に、緻密な構造体を圧入する方法が提案されている(特許文献3)。この方法は、プレスを用いて、多孔質材料の表面にタイル等の緻密な板材等を圧入するものである。しかし、この方法では、多孔質金属材料の全面にわたる圧入を行うことは原理上不可能であり、構造体の表層部に占める板材等の割合は、50%以下であることが好ましいとされている。更に、圧入した構造体と多孔質材料は、物理的、化学的に結合していないため、結合力は弱く、結合力を高めるためは、高温に加熱しながら圧入する等の工程が必要である。また、全く別の、多孔質―金属複合板の作製方法として、緻密な金属の表面を腐食し、選択的に金属を溶出させることにより、表面のみ多孔質化する方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法では、適用できる合金系がCu−Fe合金などに限られるほか、得られる多孔質層の厚さは一般に1〜2mm程度であるため、遮音パネルに用いられる多孔質材料厚板には適用できない。
一方、回転工具を用いた表面改質手法に関しては、他の文献において、アルミニウム及びアルミニウム合金の組織制御法が提案されている(特許文献5、非特許文献1〜4)。これらの方法は、回転する工具を被加工材に押し付け、機械的撹拌による巨大な塑性ひずみと摩擦熱による温度上昇により動的な再結晶を誘起するものであり、基本的には、緻密な金属材料を対象としたミクロレベルの組織制御手法である。しかし,この方法では、本発明の工具の圧入による空孔(セル)のマクロレベルの変形と、摩擦による表面平滑化を利用するものと、その目的もメカニズムも根本的に異なっている。
特表平11−512171号公報 特開2002−254253号公報 特開平6−269851号公報 特開平6−100959号公報 特開2002−249860号公報 重松一典,齋藤尚文,中村 守,玉木崇晴,駒谷武史,山内五郎,「摩擦撹拌を利用した工業用純アルミニウムの組織微細化」,軽金属学会第99回秋期大会講演概要,(2000), P161 駒谷武史,齋藤尚文,重松一典,玉木崇晴,山内五郎,中村 守,「摩擦撹拌を利用した工業用純アルミニウムの組織制御」,軽金属学会第100回春期大会講演概要,(2000), P141 斎藤 尚文,重松一典,駒谷 武史,玉木 崇晴,山内 五郎,中村 守, 「Grain Refinement of 1050 AluminumAlloy by Friction Stir Processing」, Journal of Materials Science Letters ,Vol.20,No.20,(2001) p1913 権 湧宰,斎藤尚文,重松一典,中村守,駒谷武史,小野宗憲,「摩擦撹拌プロセスによる1050アルミニウム合金の結晶粒微細化」,日本金属学会第129回秋期大会講演概要,(2001)p.499
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、金属製多孔質材料の新しい表面強化方法を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、回転工具による摩擦を利用した特定の表面強化及び平滑化方法を採用し、更に、表面強化及び表面平滑化に必要な条件を特定することで所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の目的は、金属製多孔質材料の表面に金属板等を接着することなく高強度層を形成することにより、表面の強度が高められた金属製多孔質材料及びその表面強化方法を提供することである。
また、本発明の目的は、表面の強化層と金属製多孔質材料の間は強固に結合しているため剥離の危険が無く、かつ、樹脂系接着剤を用いないため、従来使用が不可能であった、高温部位等の、接着材の強度を低下させ得る環境下においても使用可能な金属製多孔質材料の表面強化方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、金属製多孔質材料に、表面塗装等による意匠性の向上を容易に行い得る平滑面をもった強化層が形成可能な表面強化方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)表層部の表面近傍の気孔率が0超〜100%未満であって、回転工具の圧入により該表面近傍に含まれる空孔の変形が可能な金属製多孔質材料の表層部に、工具を回転させながら接触させ、更に、圧力を加えて押し込み、金属製多孔質材料の表面近傍を圧縮及び塑性変形させることにより該表面近傍の空孔を押しつぶして緻密化し、強化する金属製多孔質材料の表面強化方法であって、
工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが45度以下の範囲であり、かつ、工具の押し込み量hがh<d・Sinθ(ただし、dは工具底面の直径、θは0ではない)を満たし、更に、工具を水平方向に、かつ工具が進行方向に対して後方に傾いている状態で移動させること、あるいは工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが0度であり、かつ工具を水平方向に移動することなく、垂直方向に押し込むことにより任意の範囲を強化することを特徴とする金属製多孔質材料の表面強化方法。
(2)金属製多孔質材料の表面近傍を塑性変形させると同時に表面を摩擦して平滑化する、前記(1)に記載の金属製多孔質材料の表面強化方法。
)工具の回転数が1000〜2000rpmである、前記(1)又は(2)に記載の金属製多孔質材料の表面強化方法。
)金属製多孔質材料が、発泡アルミニウム合金である、前記(1)から()のいずれかに記載の金属製多孔質材料の表面強化方法。
)回転工具の圧入により該表面近傍に含まれる空孔の変形が可能な金属製多孔質材料の表層部に、工具を回転させながら接触させ、更に、圧力を加えて押し込み、工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが45度以下の範囲であり、かつ、工具の押し込み量hがh<d・Sinθ(ただし、dは工具底面の直径、θは0ではない)を満たし、更に、工具を水平方向に、かつ工具が進行方向に対して後方に傾いている状態で移動させること、あるいは工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが0度であり、かつ、工具を水平方向に移動することなく、垂直方向に押し込むことで作製してなる金属製多孔質材料であって、表層部の表面近傍の気孔率が0超〜100%未満であり、金属製多孔質材料の表面近傍が圧縮及び塑性変形されて該表面近傍の空孔が押しつぶされて緻密化され、強化された構造を有することを特徴とする金属製多孔質材料。
)金属製多孔質材料の表面近傍が塑性変形され、かつ表面が摩擦されて平滑化された構造を有する、前記()に記載の金属製多孔質材料。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
以下、本発明を、図面を参照しつつ、その具体的構成について詳細に説明する。
図1に、本発明の、金属製多孔質材料の表層部に工具を回転させながら接触させ、同時に圧力を加えて金属製多孔質材料の表面近傍を塑性変形させることにより局所的に空孔(セル)を押しつぶして緻密化し、表面を摩擦して平滑化する工程を概念的に示す。図1において、回転工具1は、高速で回転しながら、工具底面1aで金属製多孔質材料被加工材2の表面に、垂直に押し付けられ、その表面近傍を塑性変形させることにより局所的に空孔(セル)を押しつぶして緻密化する、と同時に、緻密化された部分を工具底面1aにより高速で摩擦し、緻密化を促進するとともに平滑化する。この時、工具1の押し込み量を変化させることにより、使用目的に応じて緻密化の程度及び平滑化の程度を変化させることができる。
図2に、工具1の回転軸と金属製多孔質材料の表面の成す角度θを45度以下の範囲とし、同時に工具を水平方向に移動させ、広い範囲に渉って金属製多孔質材料の表面を強化する方法について概念的に示す。工具は進行方向に対して後方に傾いている。この時、工具の傾き角は、45度以下が望ましく、これは、傾き角が45度以上では表面粗さが非常に大きくなり、表面の平滑性が失われるためである。また、工具の押し込み量は、工具底面の縁部上端が被加工材である金属製多孔質材料の表面より上部にあることが望ましい。これは、工具縁部が多孔質材料の表面より上部にある場合には、工具の水平方向への移動の際、多孔質材料は工具底面1aに沿って下部に押し下げられ、緻密化が行われるが、逆に、工具上縁部が多孔質材料の表面より下部にある場合には、工具の縁部より上部にある多孔質金属材料は、工具底面に沿って下部に移動せず、上部に排除されることになるためである。したがって、押し込み量hは、工具の直径をd、工具の回転軸の傾きをθとすると、h<d・Sinθ(θは0ではない。)を満たすことが望ましい。図2に、h=d・Sinθのときの模式図を示す。工具の回転数は1000〜2000rpmが望ましい。これは、この範囲外では表面あらさが大きくなると同時に、充分な強度を持った強化層が形成されないためである。
一方、処理に用いられる工具の材質としては、JISに規定された工具鋼、ダイス鋼等が任意に用いられるが、金属製多孔質材料に接触する工具底面は平滑に仕上げられていることが望ましい。また、アルミニウム合金製多孔質材料の処理を行う際に、しばしば、工具底面にアルミニウム合金が付着し、工具底面の表面あらさが大きくなる場合があるが、これは、速やかに除去し、工具底面を常に平滑に保つことが望ましい。
次に、このようにして作製される本発明の金属製多孔質材料の表面構造について簡単に説明する。
金属製多孔体の表面に押し付けられた工具は、金属製多孔質材料の表面近傍の空孔(セル)を押し潰すことで緻密化し、嵩密度を上昇させる。この時、押しつぶされる空孔(セル)は表面近傍に限定され、工具先端から1mm程度内部から下部では空孔は潰されておらず、当初のセル構造を維持している。このため、金属製多孔体に付与された遮音、断熱等の有益な特性は全く損なわれない。更に、工具は、非常に高速で回転しているため、工具底面で金属製多孔質材料表面を高速で摩擦し、緻密化を更に進行させると同時に、表面に平滑性を付与する。本発明の方法は、金属多孔製材料であれば材質を選ばないが、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金で製造された発泡金属、多孔質金属の原材料に好適に適用される。これらの原材料を製造する方法及び手段については、特に制限されるものではなく、その使用目的に応じて適宜の方法及び手段を使用することができる。
本発明は、気孔率100%未満の金属製多孔質材料の表層部に、工具を回転させながら接触させ、更に、圧力を加えて押し込み、金属製多孔質材料の表面近傍を圧縮及び塑性変形させることにより局所的に空孔(セル)を押しつぶして緻密化し、金属製多孔質材料表面に強化層を形成した金属製多孔質材料及びその表面強化方法に係るものであり、本発明により、(1)金属製多孔質材料の表面に金属板等を接着することなく、金属高強度層を表面に形成することができる、(2)表面の緻密化した強化層により強度が高められた金属製多孔質材料を製造することができる、(3)表面の強化層と金属製多孔体の間は強固に結合しているため剥離の危険が無い、(4)樹脂系接着剤を用いないため、従来は使用が不可能であった高温部位等の接着剤の強度を低下させ得る環境下においても使用可能な金属製多孔質材料が製造できる、(5)金属性多孔製材料の表面の強化された平滑な表面には、塗装等による意匠性の向上を容易に行うことができる、という効果が奏される。
次に、実施例として、アルミニウム合金発泡材料を対象とした本発明による表面強化層の作製例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが0度であり、かつ、工具を水平方向に移動することなく、垂直方向に任意の量押し込むことにより金属製多孔体の表面近傍を緻密化し、金属製多孔質材料表面に強化層を形成した。
図3に、厚さ約30mmの発泡アルミニウム合金板材に、本発明により回転工具で表面強化層の作製を行った例(左図)と、比較のため、回転を伴わない工具で単純圧縮加工を行った比較例(右図)を並べて示す。表面強化層を作製する実施例での条件は、工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向との成す角度は0度、スチール製で、直径が15mmの工具を使用し、回転数1550rpmで、押し込み量は約15mmであった。比較例は、回転を伴わない工具で単純圧縮を行った以外は、実施例1と同様の条件で表面強化層を作製した。図3の左図によると、本発明による回転工具による摩擦圧縮では、処理部の表面にセル構造は殆ど残存しておらず、非常に緻密化、平滑化されていることが分かる。一方、比較例の、図3の右図によると、表面には多孔質材料のセル構造がそのまま残存しており、殆ど緻密化が行われていないことが分かる。
本実施例では、工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが45度以下の範囲であり、かつ、工具の押し込み量hがh<d・Sinθ(ただし、dは工具底面の直径、θは0ではない。)を満たし、更に、工具を水平方向に移動させることにより任意の範囲に強化層を形成した。表面強化層の作製は、工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向との成す角度を20度とし、工具の回転数1390rpmで、速度155mm/minで水平方向に移動させ、幅約15mm×長さ約100mmの長方形領域に強化処理を行った。
得られた強化層に対し鋼球圧入試験を行い、圧入量と荷重の関係を調べた。鋼球の直径は10mm、圧入量は最大5mmとし、圧入時の荷重と圧入量の関連を調べた。本発明の上記条件で、処理されたアルミニウム合金製多孔質金属材料の荷重−圧入量曲線(9)と、非処理の多孔質材料との荷重−圧入量曲線(10)を図4に示す。同一圧入量で比較した場合、本発明を適用した試料は、適用しなかった試料の約3倍の荷重を示していることが図4より分かる。これは、本発明を適用した試料は、外部応力に対して材料強度が約3倍まで高められたことを示しており、本発明の効果が顕著であることが実証される。
以上詳述したように、本発明は、摩擦力と塑性加工を応用した金属製多孔質材料の表面強化方法、特に、表面近傍の強度を高め、表面を平滑にして意匠性を高めることを可能とする表面強化方法及びその方法により製造された金属製多孔質材料に係るものであり、本発明により、気孔の大きさ、形態、量に応じて様々な特徴を発揮する魅力ある材料として、超軽量材料、エネルギー吸収材料、振動吸収材料、防音材料、断熱材料等として利用される金属製多孔質材料を提供できる。また、本発明は、新機能の発現や、機能の高度化の可能性の大きい将来性のある材料として使用し得る金属製多孔質材料を提供できる。また、本発明の表面強化金属製多孔質材料は、一般の金属材料に比較して、単位体積あたりの質量が極めて軽いので、自動車等の軽量化による燃料消費率の向上が期待でき、また、エネルギー吸収性に優れていることから、例えば、耐衝突用自動車部品としての利用が可能である。
回転工具を水平方向に移動させずに金属製多孔質材料に圧入し、多孔質材料表面近傍に強化層を形成する工程の模式図を示す。 回転工具を水平方向に移動させ、広い範囲に渉って金属製多孔質材料の表面を強化する工程の模式図を示す。 実施例1で本発明を適用した試料(左図)と、回転を伴わない工具で圧縮した試料(右図)の外観写真を示す。 鋼球圧入試験の結果を示す。
符号の説明
(図1、2の符号)
1:回転工具
1a:回転工具の底面
2:金属製多孔質材料
2a:空孔
3:強化部
(図3の符号)
2:金属製多孔質材料
3:回転を伴う工具で圧縮した試料
4:回転を伴わない工具で圧縮した試料
(図4の符号)
9:回転を伴う工具で圧縮強化された金属製多孔質材料の荷重−圧入量曲線
10:回転を伴わない工具で圧縮された金属製多孔質材料の荷重−圧入量曲線

Claims (6)

  1. 表層部の表面近傍の気孔率が0超〜100%未満であって、回転工具の圧入により該表面近傍に含まれる空孔の変形が可能な金属製多孔質材料の表層部に、工具を回転させながら接触させ、更に、圧力を加えて押し込み、金属製多孔質材料の表面近傍を圧縮及び塑性変形させることにより該表面近傍の空孔を押しつぶして緻密化し、強化する金属製多孔質材料の表面強化方法であって、
    工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが45度以下の範囲であり、かつ、工具の押し込み量hがh<d・Sinθ(ただし、dは工具底面の直径、θは0ではない)を満たし、更に、工具を水平方向に、かつ工具が進行方向に対して後方に傾いている状態で移動させること、あるいは工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが0度であり、かつ工具を水平方向に移動することなく、垂直方向に押し込むことにより任意の範囲を強化することを特徴とする金属製多孔質材料の表面強化方法。
  2. 金属製多孔質材料の表面近傍を塑性変形させると同時に表面を摩擦して平滑化する、請求項1に記載の金属製多孔質材料の表面強化方法。
  3. 工具の回転数が1000〜2000rpmである、請求項1又は2に記載の金属製多孔質材料の表面強化方法。
  4. 金属製多孔質材料が、発泡アルミニウム合金である、請求項1からのいずれかに記載の金属製多孔質材料の表面強化方法。
  5. 回転工具の圧入により該表面近傍に含まれる空孔の変形が可能な金属製多孔質材料の表層部に、工具を回転させながら接触させ、更に、圧力を加えて押し込み、工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが45度以下の範囲であり、かつ、工具の押し込み量hがh<d・Sinθ(ただし、dは工具底面の直径、θは0ではない)を満たし、更に、工具を水平方向に、かつ工具が進行方向に対して後方に傾いている状態で移動させること、あるいは工具の回転軸と金属製多孔質材料表面の法線方向の成す角度θが0度であり、かつ、工具を水平方向に移動することなく、垂直方向に押し込むことで作製してなる金属製多孔質材料であって、表層部の表面近傍の気孔率が0超〜100%未満であり、金属製多孔質材料の表面近傍が圧縮及び塑性変形されて該表面近傍の空孔が押しつぶされて緻密化され、強化された構造を有することを特徴とする金属製多孔質材料。
  6. 金属製多孔質材料の表面近傍が塑性変形され、かつ表面が摩擦されて平滑化された構造を有する、請求項に記載の金属製多孔質材料。
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