JP4377542B2 - 高電圧機器の内部部分放電監視装置 - Google Patents

高電圧機器の内部部分放電監視装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高電圧機器の内部で発生する部分放電を監視する高電圧機器の内部部分放電監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高電圧機器における部分放電を検出し、全路破壊的な事故を未然に防止するために、部分放電の常時監視システムの確立が必要であり、そのようなニーズを満足するシステムの一つとして、音響法による内部部分放電監視装置が開発されている。
【0003】
図12は、特開平3−56028号公報や電気協同研究第46巻第4号「電力設備へのセンサ技術適用」に記載された音響法による高電圧機器の内部部分放電監視装置の代表的な構成例である。図12(a)に示した内部部分放電監視装置は、高電圧機器として油絶縁変圧器の密閉タンク1を監視対象としている。この装置は、油絶縁変圧器の密閉タンク1の外壁面に複数の超音波マイク2が取り付けられ、密閉タンク1の接地線に電流検出器3が接続されている。超音波マイク2には、図12(b)にその詳細を示した電気−光変換器101を有する信号変換部4がそれぞれ接続され、さらに、信号変換部4は光ファイバ106によってデータ収集部5に接続されている。
【0004】
データ収集部5は、超音波マイク2にそれぞれ対応して設けられる光−電気変換器102、信号処理器103及びアナログ−デジタル変換器104と、これらのアナログ−デジタル変換器104に接続された演算ユニット105とを備えている。
【0005】
ここで、データ収集部5に光伝送されたアナログ信号は、信号処理器103、アナログ−デジタル変換器104を経て演算ユニット105で処理される。信号処理器103としては共振型フィルタや検波整流器やレベル検出器などが使われ、超音波マイクと電流検出器の波形データを、特定周波数や波高値などの、より簡易なデータに置き換えるものである。演算ユニット105は、種々の方法により部分放電の有無の判定や、超音波マイクの出力と電流検出器の出力との時間差から部分放電位置標定を計算するなどの処理を行う。
【0006】
また、特開平7−167908号公報に記載されたように、超音波マイクの出力を共振型フィルタを通してデジタル変換して、信号をデジタル伝送する構成も知られている。さらに、より簡便な構成例として、超音波マイクの出力及び電流検出器の出力を光信号に変換せずに、アナログ電気信号をそのままデータ収集部5に伝送するシステム構成も知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のデジタル演算を指向した高電圧機器の内部部分放電監視装置では、超音波マイクや電流センサの出力を特定周波数の出力や波高値などの、より簡易なデータに置き換えたうえで、その信号をデジタル変換して演算に使用している。このため、演算ユニットが行う部分放電の有無の判定、超音波マイクの出力と電流検出器の出力との時間差から部分放電位置標定を計算するなどの処理において、誤判定を引き起こす可能性があった。
【0008】
例えば、超音波マイクの出力を特定周波数の出力や波高値などの、より簡易なデータに置き換える処理を行った場合、波形データの一部が不適切にカットされ、超音波マイクの出力波形の正確な立ち上がり時刻の判定を妨げる可能性があった。これは、部分放電位置標定結果の誤差に結びつくことになる。
【0009】
また、超音波マイクや電流センサの出力を特定周波数の出力や波高値などの、より簡易なデータに置き換える処理を行った場合、超音波マイクや電流センサの出力の波形データが保存できないという問題もあった。つまり、波形データがデジタルデータとして保存されない場合、波形分析、周波数分析等の信号処理を通した部分放電情報の定量的な評価を行うことができず、さらに、計測終了後の分析により、内部部分放電の新たな情報や、関連知識を得ることができないことになる。
【0010】
ところで、論文などにおいて、超音波マイクや電流センサの出力をデジタルデータとして扱い、各種信号処理を行う例は多数見られるが、これは開発を目的として計測した場合で、測定器として汎用のデジタルオシロスコープなどを使ったケースである。データ収集装置として汎用のデジタルオシロスコープを使用することは、高電圧機器において据付固定型、もしくは可搬携帯型の内部部分放電監視装置を目的とする場合には、必ずしもシステム構成上必要十分な機能が得られないばかりか、その機動性、機器としての柔軟性、経済的な観点からも不適当であった。
【0011】
一方、超音波マイクや電流センサの出力をそのまま伝送し、これをアナログ信号として処理する場合には、アナログ回路により波形を再現性良く処理することができるが、アナログ伝送における耐ノイズ性は脆弱であり、誤判定を引き起こす可能性があった。また、アナログ信号として処理する場合、超音波マイクや電流センサの出力を波形データとして保存することができないため、波形情報としては、測定器の画面上、もしくは紙にプリントされたものなどから超音波マイクの出力を読み取ることになる。従って、波形から得られる情報は視覚によるものだけであるため、パラメータの演算ができず、定性的な評価はできても定量的な解析はできないという問題があった。
【0012】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的はデジタルデータとして波形データを保存できる高電圧機器の内部部分放電監視装置を提供するにある。また、他の目的は、保存したデジタル波形データに、所望の信号処理を施すことにより、高精度な部分放電位置標定を実現する高電圧機器の内部部分放電監視装置を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、
絶縁媒体を充填した密閉タンクを有する高電圧機器の密閉タンク内で生ずる部分放電を監視するに当たり、部分放電によって発生する超音波を互いに異なる箇所で検出する複数の超音波マイクと、部分放電によって発生する電流パルスを検出する電流検出器と、超音波マイクと電流検出器の出力をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器を有する信号変換部と、デジタル信号を受信するデータ収集部とを備える高電圧機器の内部部分放電監視装置において、
データ収集部は、デジタル信号を順次書き込んでいくバッファメモリ及びバッファメモリ管理機能と波高値判定機能と同期制御機能とを持つマイクロプロセッサを有し、マイクロプロセッサはバッファメモリに書き込まれた複数の超音波マイクと電流検出器の出力のうちのいずれか一方の出力が閾値を超過した場合に、同期制御機能によりバッファメモリが同時に複数のデジタル信号を書き込むことを停止させ、かつ、バッファメモリに書き込まれている複数の同時刻のデジタル信号を部分放電のデジタル波形データとして外部記憶装置に転送する機能を持つ、
ことを特徴とするものである。
【0014】
以上のような構成を有する請求項1に係る各発明によれば、マイクロプロセッサが制御する、アクセス間隔が速く、高速にデータの読み書きができるバッファメモリに、デジタルデータを一時的に保存するので、高速のデジタルデータ取り込みレートを実現できる。また、バッファメモリに一時保存されるデータをバッファメモリ管理用のマイクロプロセッサが制御して外部記憶装置に転送するので、膨大なデータ量となる超音波マイクや電流センサの出力波形をデジタル波形データとして保存することができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、信号変換部は、複数の超音波マイクの各出力と電流検出器の出力とを個別にデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器を有し、データ収集部はアナログ−デジタル変換器毎にバッファメモリを有することを特徴とする。
【0016】
以上のような構成を有する請求項2に係る発明によれば、耐ノイズ性に優れたデジタル伝送で波形伝送するので、高精度な部分放電位置標定に必要な、再現性の良いデジタル波形データを保存でき、これを部分放電位置標定の演算や、波形分析、周波数分析等の信号処理を通した部分放電情報の定量的な評価に供することができる。また、各超音波マイクと電流検出器毎にデジタル変換機能、デジタル波形データ保存機能を有するので、より大量のデータをより高速に扱うことが可能となる。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、信号変換部はデジタル信号のデータ圧縮エンコード機能を備えた通信LSIを有し、データ収集部は圧縮して送信されたデジタル信号のデコード機能を備えた通信LSIを有することを特徴とする。
【0018】
以上のような構成を有する請求項3に係る発明によれば、デジタル波形データを圧縮符号化することにより、波形伝送中のビットエラーの可能性を低減でき、かつ高速にデータ伝送することを可能にする。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、データ収集部は、複数回分の部分放電のデジタル波形データを一時的に保存できるデータ保存メモリを有し、バッファメモリに書き込まれている部分放電のデジタル波形データをデータ保存メモリに一時的に保存し、データ保存メモリに書き込んだ複数回分の部分放電のデジタル波形データをまとめて外部記憶装置に転送する機能を有することを特徴とする。
【0020】
以上のような構成を有する請求項4に係る発明によれば、デジタル波形データをバッファメモリに書き込むために要する時間に対して、デジタル波形データを外部記憶装置に保存するために要する時間の方が遥かに長いため、外部記憶装置に保存する時間がシステムとしての波形取得のデットタイムとなってしまうが、バッファメモリと外部記憶装置の中間に、アクセス間隔が速く、高速にデータの読み書きができ、複数回分の部分放電の波形データを書き込むことができるデータ保存メモリを置くことにより、このデットタイムを回避でき、連続して発生する部分放電のデジタル波形データの保存が可能になる。
【0021】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、外部記憶装置に転送したデジタル波形データを、上位システムに転送する機能を有することを特徴とする。
【0022】
以上のような構成を有する請求項5に係る発明によれば、上位システムを備える遠隔地で、部分放電位置標定の演算や、波形分析、周波数分析等の信号処理を通した部分放電情報の定量的な評価を行うことができる。
【0023】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、データ収集部が複数の超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差を計算し、その時間差から部分放電位置標定を計算するに当たり、時間差と部分放電位置標定を計算する演算部を複数個備え、複数回の部分放電の位置標定の計算を並列に計算することを特徴とする。
【0024】
以上のような構成を有する請求項6に係る発明によれば、複数の部分放電位置標定の演算部が,バッファメモリに書き込まれた波形データを順次並列処理するので、連続して発生する部分放電に対して部分放電位置標定を計算できる。特に、データ保存メモリを経由して外部記憶装置にデジタル波形データを保存する場合、連続して発生する部分放電のデジタル波形データをデータ保存メモリに保存する間も、並列処理により、効率的に部分放電位置標定の演算処理が可能となる。
【0025】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、超音波マイクとして、所定の周波数に共振点を持つ共振型の超音波マイクと、特定の共振点を持たず広い周波数帯域で平坦な特性を持つ広帯域型の超音波マイクの両方で同時に測定することを特徴とする。
【0026】
請求項8に係る発明は、請求項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、共振型の超音波マイクと広帯域型の超音波マイクの出力を、信号変換部からデータ収集部に時分割多重伝送することを特徴とする。
【0027】
以上のような構成を有する請求項7又は8に係る各発明によれば、超音波マイクを次のように使い分けることで、誤動作の防止とデータ収集の品質向上が実現できる。共振型超音波マイクは、検出感度が広帯域型の10倍程度と高く、また、LTC(負荷時タップ切換器)の動作音などあらかじめ発生が予想されるノイズ音の周波数を避けて共振点を設定できるので、その出力をトリガーとして使用し、また、部分放電の発生有無の判定、超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差の計算、部分放電位置標定の計算などに使用する。一方、超音波マイクの出力と電流検出器の出力のデジタル波形データと、それから計算される部分放電の周波数特性などの保存には、広い周波数帯域で平坦な特性を持つ広帯域型の超音波マイク出力を使い、元波形に近い波形を保存する。
【0028】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、複数の超音波マイクの波形データが入力される経路に、各々通過帯域の異なった複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタ出力の波高値比較装置を備え、波高値比較装置が比較したバンドパスフィルタ出力の波高値から超音波マイクの波形データに含まれる周波数成分比を得て、この周波数成分比から部分放電検出かノイズ検出かを判別することを特徴とする。
【0029】
以上のような構成を有する請求項9に係る発明によれば、あらかじめ発生が予想されるLTC動作音などのノイズ音の周波数成分比を、データベースとして内蔵しておき、部分放電発生時の超音波マイク検出出力の周波数成分比とデータベースの周波数成分比を比較することにより、実際に部分放電が発生しているのか、外部ノイズにより動作したのかを判定できる。これにより、内部部分放電監視装置の誤動作を防止することができる。
【0030】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置において、超音波マイクの波形データを高速フーリエ変換する高速フーリエ変換機能を備え、超音波マイクの波形データを高速フーリエ変換した結果として得られる内部部分放電音の周波数特性をデータベースとして保存することを特徴とする。
【0031】
以上のような構成を有する請求項10に係る発明によれば、部分放電の放電形態により異なる様々な部分放電の周波数特性が蓄積でき、これと過去の測定で蓄積した周波数特性と比較することにより、放電形態などの予想ができる。また、ノイズ音の周波数特性のデータベースも順次増やしていくことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第1の実施の形態のシステム構成図である。この実施の形態は高電圧機器として、油絶縁変圧器の密閉タンクを監視対象としているが、その他、油絶縁分岐リアクトル、ガス絶縁変圧器、ガス密閉開閉装置など、密閉タンク内に絶縁物が封入されるあらゆる高電圧機器に適用できる。
【0033】
図1において、密閉タンク1の外壁面に複数の超音波マイク2が取り付けられ、この密閉タンク1の接地線に電流検出器3が接続されている。これら超音波マイク2及び電流検出器3の各出力端にそれぞれ信号変換部4Aの入力端が接続され、これらの信号変換部4Aの各出力端がデータ収集部5Aの入力端に接続されている。データ収集部5Aの入出力端は、入出力インターフェース13を介して、パソコン6に接続されている。
【0034】
ここで、電流検出器3として、例えば、高周波CTもしくはロゴスキーコイルを使用する。信号変換部4Aは超音波マイク2及び電流検出器3のそれぞれの近傍に取り付けられている。信号変換部4Aの内部構成は、図2にその詳細な構成を示すように、増幅器11と、その出力信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器21と、変換されたデジタル信号を送信する通信LSI22と、これらを動作させる電源としてのバッテリ12とで構成されている。なお、信号変換部4Aの電源は太陽電池でも良い。また、内部部分放電監視装置に光給電装置を付帯的に設け、その光給電によって信号変換部4Aへ動作電力を供給するようにしても良い。
【0035】
データ収集部5Aは、信号変換部4Aに対応して設けられる通信LSI23及びバッファメモリ24と、これらのバッファメモリ24に共通にバス接続されたマイクロプロセッサ25と、バッファメモリ管理用プログラムや部分放電位置標定プログラムなどを内蔵したROM、マイクロプロセッサ25のワーキングエリアまたは入出力バッファとして用いられるRAM、入出力装置(SIO)などで構成され、このうち、通信LSI23が一つのチップセットとして、これ以外の要素が一つ又は複数のチップセットとして構成される。そして、入出力装置に入出力インターフェース13が接続されている。
【0036】
上述した信号変換部4Aとデータ収集部5Aとは、通信LSI22、通信LSI23を介してデジタル伝送を行う。また、ノイズ環境に問題がありデジタル伝送に支障を来す場合には、電気−光変換器と光−電気変換器とを介して、光ファイバを使って光デジタル伝送としても良い。データ収集部5Aの入出力インターフェース13はGPIBやRS−232Cなどを採用する。図示していないが入出力インターフェース13は複数個でなり、データ伝送は、パラレル伝送でもシリアル伝送でも、またはその両方を採用してもよく、用途に応じて使い分ける。ここでは、データ保存用の外部記憶装置としてパソコン6のハードディスクを採用し、GPIBやRS−232Cなどでデータ収集部5Aと接続する。外部記憶装置として、光磁気ディスクやCD−R(Compact Disc-Recordable)等を使用しても良い。
【0037】
また、パソコン6にはデジタルカメラ等の市販測定器が接続されており、部分放電計測情報と併せて、その他の計測情報を保存する。さらに、パソコン6にはモデム7が接続されており、モデム7を介して、電話回線8を接続する。電話回線8は、一般電話回線、一般携帯電話、衛星通信携帯電話のいずれでも良い。また、電話回線8の代わりにモデム7を介してテレコンと称される専用の通信回線を接続しても良い。これによって、内部部分放電監視装置は、電話回線8を通して上位システム9と接続される。
【0038】
上記のように構成された第1の実施の形態の動作を以下に説明する。超音波マイク2と電流検出器3の微弱な電圧出力は、信号変換部4Aの増幅器11で増幅された後、アナログ−デジタル変換器21でデジタル信号に変換される。このデジタル信号は通信LSI22のデータ圧縮エンコード機能で圧縮符号化され、データ収集部5Aへデジタル伝送する。
【0039】
データ収集部5Aでは、この圧縮符号化されたデジタル信号を通信LSI23でデコードする。バッファメモリ24は環状バッファとして実装されており、超音波マイク2と電流検出器3の各出力に対応するデジタル信号はバッファメモリ24に順次書き込まれていく。なお、デジタル伝送における圧縮符号化は、システム構成によっては必ずしも必要ではない。
【0040】
バッファメモリ管理機能と波高値判定機能と同期制御機能とを持つマイクロプロセッサ25は、バッファメモリ24に順次書き込まれるデジタル波形データを波高値判定機能により常時監視しており、超音波マイク2と電流検出器3のうちのいずれかの出力が予め定めた閾値を超過した場合は、波形保存のためのトリガーとして働く。すなわち、マイクロプロセッサ25は、バッファメモリ管理機能と同期制御機能により、全てのデジタル信号に対して同時にバッファメモリ24に書き込むのを停止させ、かつその時点でバッファメモリ24に書き込まれている全てのデジタル信号を、部分放電のデジタル波形データとして外部記憶装置に転送する。ここでは、外部記憶装置としてパソコン6のハードディスクを採用しているので、システムとしての最終的なデータの保存は、パソコン6のハードディスクで行われる。
【0041】
部分放電のデジタル波形データの外部記憶装置への転送が完了すると、バッファメモリ24への超音波マイク2と電流検出器3の各出力に対応するデジタル信号の順次書き込みが再開され、マイクロプロセッサ25は波高値判定機能による常時監視状態に復帰する。
【0042】
また、マイクロプロセッサ25は、バッファメモリ24に書き込まれた部分放電のデジタル波形データを外部記憶装置に転送する際に、デジタル波形データをRAMに書き込んで、部分放電の有無判定、電流検出器3の出力と超音波マイク2の出力の時間差、部分放電位置標定などの演算を行う。部分放電の有無判定、電流検出器3の出力と超音波マイク2の出力の時間差、部分放電位置標定などの演算結果は、波形データと対応させて外部記憶装置に保存する。
【0043】
パソコン6の画面には部分放電発生警報、部分放電位置の標定結果、その他の計測情報などが表示され、部分放電発生時には警報を出力する。パソコン6にはモデム7が接続されており、電話回線8を通して部分放電発生警報、部分放電位置の標定結果、その他の計測情報を上位システム9に転送することができる。上位システム9とオンライン接続状態であれば、部分放電発生時には警報を出力し、デジタル波形データ、部分放電位置の標定結果などを上位システム9に転送する。また、上位システム9からのリクエストで、パソコン6のハードディスクに保存したデジタル波形データ、部分放電位置の標定結果などを上位システム9に伝送する。
【0044】
なお、部分放電の有無判定、電流検出器3の出力と超音波マイク2の出力の時間差、部分放電位置標定などの演算用に別のマイクロプロセッサを実装して、バッファメモリ管理用マイクロプロセッサと演算用マイクロプロセッサの並列処理を行っても良い。あるいは、部分放電の有無判定、電流検出器3の出力と超音波マイク2の出力の時間差、部分放電位置標定などの演算は、パソコン6のCPUが分担しても良い。この場合はパソコン6のハードディスクに保存されたデジタル波形データをパソコン6のCPUが読み込んで演算する。
【0045】
また、本発明の高電圧機器の内部部分放電監視装置は、部分放電位置の標定を計算する機能において、部分放電位置の標定を次のアルゴリズムで計算する。
【0046】
超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差を計算し、その時間差から部分放電発生点と超音波マイク取付位置の距離を計算し、その部分放電発生点から超音波マイクの取付位置の距離と部分放電発生点の座標と超音波マイクの取付位置の座標の関係を表す連立方程式を部分放電発生点の座標について解くことにより、部分放電位置標定を計算する。電流検出器2の出力波形に於いて電流パルスが計測されている場合は、次の連立方程式を(x、y、z)について解く。
【0047】
【数1】
Figure 0004377542
ただし、
(x,y,z) :部分放電点の座標
(xi,yi,zi):超音波マイクiの座標
Ti :部分放電点〜超音波マイクiの超音波の伝搬時間
Vs :超音波の伝搬速度
である。
【0048】
上記(1)〜(3)式は非線形連立方程式であるので、計算機により数値計算で解く。ここではニュートン・ラプソン法のアルゴリズムで計算する。ところで、(1)〜(3)式は3元の連立方程式であるため、3個の超音波マイクから出力があれば、部分放電位置の標定を計算できるが、ここでは4個以上の超音波マイクを使用して、4個以上の超音波マイクのうち任意の3個の超音波マイクの組合せ全てに対して部分放電位置の標定を計算する。例えば、6個の超音波マイクを使用する場合は、20通りの超音波マイクの組合せの全てに対して部分放電位置標定を計算する。そして、20通りの部分放電位置の標定結果を統計処理して、標定頻度の高い位置を部分放電発生位置と標定する。例えば、20通りの部分放電位置の標定結果の平均値と標準偏差を計算し、平均値を中心としてx、y、z各方向の標準偏差を主軸とする楕円体を部分放電発生位置と標定する。なお、20通りの部分放電位置標定結果のうち、標定結果が密閉タンクの外側の座標の場合や、平均値から大きくはずれた座標が得られた場合、これを除いた残りの標定結果に対して統計処理を行うようにしても良い。
【0049】
一方、電流検出器2の出力波形に於いて電流パルスが計測されていない場合には、次の連立方程式を(x、y、z、T)について解く。
【0050】
【数2】
Figure 0004377542
ただし、
(x,y,z) :部分放電点の座標
(xi,yi,zi):超音波マイクiの座標
T :部分放電点〜超音波マイク1の超音波の伝搬時間、
ΔT1j :超音波マイク1と超音波マイクjの超音波の伝搬時間差、
Vs :超音波の伝搬速度
である。
【0051】
上記(4)〜(7)式は非線形連立方程式であるので、計算機により数値計算で解く。ここではニュートン・ラプソン法のアルゴリズムで計算する。ところで、(4)〜(7)式は4元の連立方程式であるため、超音波マイクの出力が4個あれば、部分放電位置標定を計算できるが、ここでは5個以上の超音波マイクを使用して、5個以上の超音波マイクのうち任意の4個の超音波マイクの組合せの全てに対して部分放電位置標定を計算する。例えば、6個の超音波マイクを使用する場合には、10通りの超音波マイクの組合せの全てに対して部分放電位置標定を計算する。そして、10通りの部分放電位置の標定結果を統計処理して、標定頻度の高い位置を部分放電の発生位置と標定する。例えば、10通りの部分放電位置標定結果の平均値と標準偏差を計算し、平均値を中心としてx、y、z各方向の標準偏差を主軸とする楕円体を部分放電発生位置と標定する。なお、10通りの部分放電位置の標定結果のうち、標定結果が密閉タンクの外側の座標の場合や、平均値から大きくはずれた座標が得られた場合には、これを除いた残りの標定結果に対して統計処理を行っても良い。
【0052】
図3は上記の実施の形態における部分分放電位置標定の計算アルゴリズムのフローチャートである。ここで、ステップ200で部分放電位置標定を開始し、ステップ201で電流検出器2の出力波形において電流パルスが計測されているか否かを判定し、電流パルスが計測されている場合には、ステップ202にて各超音波マイク2の出力信号の立上がり時刻の候補が複数個有るか否かを判定し、立ち上がり時刻の候補が2個以上有る場合にはステップ203で超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差の候補を複数個計算して、その任意の組み合わせ全てに対して、上記(1)〜(3)式の連立方程式を使って位置標定を計算し、全ての超音波マイクの立ち上がり時刻のAの超音波マイクの立ち上がり時刻の候補が1個の場合にはステップ204で(1)〜(3)式の連立方程式を使って位置標定を計算する。
【0053】
一方、ステップ201で電流パルスが計測されていない場合には、ステップ205にて各超音波マイク2の出力信号の立上がり時刻の候補が複数個有るか否かを判定し、立ち上がり時刻の候補が2個以上有る場合にはステップ206で超音波マイク1と超音波マイクjの伝搬時間差の候補を複数個計算して、その任意の組み合わせ全てに対して、上記(4)〜(7)式の連立方程式を使って位置標定を計算し、全ての超音波マイクの立ち上がり時刻の候補が1個の場合にはステップ207で(4)〜(7)式の連立方程式を使って位置標定を計算する。
【0054】
次に、ステップ203又はステップ204で位置標定を計算した場合にはステップ208及び209にてその結果を統計処理し、ステップ206又はステップ207で位置標定を計算した場合にはステップ210及び211にてその結果を統計処理する。この統計処理は、全ての組合せの部分放電位置標定結果の平均値と標準偏差を計算し、平均値を中心としてx、y、z各方向の標準偏差を主軸とする楕円体を部分放電発生位置と標定する。このとき、高電圧機器の内部構造からも検討を加え、内部構造の観点から部分放電発生位置となり得ないものは除く処理を実行し、ステップ212で部分放電位置標定結果を得る。
【0055】
続いて、ステップ213にて次の部分放電が連続して発生しているか否かを判定し、発生している場合には、次の部分放電に対しても以上のルーチンを繰り返して部分放電位置標定を計算する。
【0056】
次に、次の部分放電が発生していないと判定した場合にはその結果を統計処理する。すなわち、ステップ214にて複数回の標定結果のバラツキが所定の範囲内であるか否かを判定し、所定の範囲内に収まっている場合は、ステップ215にてその位置を部分放電発生位置と見なしてその結果を出力する。反対に、バラツキが大きく所定の範囲内に収まらない場合には、ステップ216にて超音波マイクは外部ノイズにより動作したと見なす。
【0057】
この実施の形態では、標定精度向上を目的とした標定ガイダンス機能をソフトウエアに実装している。この標定ガイダンス機能ソフトウエアはマイクロプロセッサ25で実行しても良いが、ここでは画面表示との連携を考慮してパソコン6のCPU上で動作するのもとする。
【0058】
図4は本実施の形態に係る標定ガイダンス機能のフローチャートである。ここで、ステップ301で標定ガイダンスを開始する。部分放電位置標定開始時は、部分放電発生源が不明のため、超音波マイク2はどこが部分放電発生源であっても超音波を検出できるように、ステップ302にて複数の超音波マイク2を密閉タンク1の四方の壁面全てに取り付けるようにガイダンス指示する。そして、ステップ303にて部分放電位置標定を開始し、ステップ304にて部分放電位置標定の標定結果を統計処理する。
【0059】
次に、ステップ305にて統計処理した位置標定結果のバラツキが大きいか、あるいは、位置標定ができないか否かの判定を行い、位置標定結果のバラツキが大きい場合には、超音波マイクの取付位置を変更して再度位置標定を実行するようにガイダンス指示する。この場合、ステップ306で有効な標定結果が多く集まっている側のタンク壁面を検索し、これを部分放電発生位置近傍のタンク壁面と見なし、このタンク壁面に超音波マイク2を取り付けることにする。次に、ステップ307にて有効な標定結果の平均値の座標を、部分放電発生位置近傍のタンク壁面に投影した座標Aを計算する。座標Aを中心として半径3σ(σは有効な標定結果の標準偏差)の円周上の位置に等間隔に並ぶように超音波マイク2の取付座標を計算する。次に、ステップ308にて、ステップ307で計算した取付座標に超音波マイク2の取付位置を変更するようにガイダンス指示する。
【0060】
この過程を部分放電位置標定結果のバラツキが小さくなるまで、繰り返しガイダンス指示する。部分放電発生源の範囲が目標まで小さくなったら、ステップ309で部分放電位置標定を終了し、ステップ310で部分放電位置標定結果を出力する。
【0061】
上記のように構成された第1の実施の形態によれば次の効果が得られる。マイクロプロセッサが制御する、アクセス間隔が速く、高速にデータの読み書きができるバッファメモリに、デジタルデータを一時的に保存するので、高速のデジタルデータ取り込みレートを実現でき、かつ、バッファメモリに一時保存されるデータをバッファメモリ管理用のマイクロプロセッサが制御して外部記憶装置に転送するので、膨大なデータ量となる超音波マイクや電流センサの出力波形をデジタル波形データとして保存できる。
【0062】
また、耐ノイズ性に優れたデジタル伝送で波形伝送するので、高精度な部分放電位置標定に必要な、再現性の良いデジタル波形データを保存でき、これを部分放電位置標定の演算や、波形分析、周波数分析等の信号処理を通した部分放電情報の定量的な評価に供することができる。
【0063】
各超音波マイクと電流検出器毎にデジタル変換機能、デジタル波形データ保存機能を有しているので、より大量のデータをより高速に扱うことが可能となる。また、デジタル波形データを圧縮符号化することにより、波形伝送中のビットエラーの可能性を低減でき、かつ高速にデータ伝送することを可能とする。
【0064】
上位システムを備える遠隔地で、部分放電位置標定の演算や、波形分析、周波数分析等の信号処理を通した部分放電情報の定量的な評価を行うことができる。また、外部記憶装置として特にノートパソコンを使ったときは携帯型の内部部分放電監視装置が実現できる。これによって電気所間のプール運用が可能となり、例えば油中ガス分析などで異常の兆候が見られる変圧器など、異常の兆候が見られる高電圧機器に機動的に取り付け、監視することにより、寿命がくるまで機器が使えるようになる。
【0065】
デジタルカメラ等の市販測定器のデータをパソコンに取り込み、内部部分放電監視装置のデータと併せて評価することにより、総合的な機器の寿命診断が可能となる。また、複数の超音波マイクの組み合わせによる部分放電位置標定を行うので、タンク内の機器の配置により超音波が大きく減衰して、ある超音波マイクが信号を捕らえられない場合でも、それ以外の超音波マイクの出力から位置標定ができる。かつ、複数の超音波マイクの組み合わせによる部分放電位置標定結果を統計処理して標定頻度の高い位置を部分放電発生位置と見なすので、部分放電発生源の範囲をより正確に限定できる。
【0066】
検出対象とする超音波が超音波マイクに到達する以前に低レベルの超音波が継続して伝搬しているケースなどのように、超音波マイクの出力波形の立ち上がり時刻の候補が複数存在して一つの立ち上がり時刻に限定することが困難な場合に、超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差の候補を複数個計算して、その任意の組合せに対して部分放電位置標定を計算し、その結果を統計的な観点、および高電圧機器の内部構造を考慮して検討することにより、部分放電発生源の範囲をより正確に特定できる。
【0067】
複数回の部分放電の位置標定を行い、そのバラツキから外部ノイズか否かを判断するので、外部ノイズに対する誤動作の防止ができ、かつ、真に部分放電が発生している場合には、複数の部分放電位置標定結果から判断するので、部分放電発生源の範囲をより正確に特定できる。
【0068】
計算機のガイダンスに従って超音波マイクの取付位置を部分放電発生源近傍に近づけていくので、超音波マイク取付位置の変更回数に従い、標定精度は向上していき、部分放電発生源の範囲をより正確に限定できるようになる。
【0069】
図5は本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第2の実施の形態のシステム構成図である。図中、第1の実施の形態を示す図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。この実施の形態はデータ収集部5Bのマイクロプロセッサ25とそのバスまわりのシステム構成を変更したものである。すなわち、図1に示した構成に対してデータ保存メモリ31を追設した点が図1と構成を異にしている。
【0070】
上記のように構成された第2の実施の形態の動作について、特に、図1と構成を異にする部分を中心にして以下に説明する。
【0071】
超音波マイク2と電流検出器3の出力のデジタル信号はバッファメモリ24に順次書き込まれていく。バッファメモリ管理機能と波高値判定機能と同期制御機能を持つマイクロプロセッサ25は、バッファメモリ24に順次書き込まれるデジタル波形データを波高値判定機能により常時監視しており、超音波マイク2と電流検出器3のうちのいずれかの出力が予め定めた閾値を超過した場合は、波形保存のためのトリガーとして働く。すなわち、マイクロプロセッサ25は、バッファメモリ管理機能と同期制御機能により、全てのデジタル信号に対して同時にバッファメモリ24に書き込むのを停止させ、かつ、その時点でバッファメモリ24に書き込まれている全てのデジタル信号を、部分放電のデジタル波形データとしてデータ保存メモリ31に転送する。
【0072】
部分放電のデジタル波形データのデータ保存メモリ31への書き込みが完了すると、バッファメモリ24への超音波マイク2と電流検出器3の出力のデジタル信号の順次書き込みが再開され、マイクロプロセッサ25は波高値判定機能による常時監視状態に復帰する。マイクロプロセッサ25は一定間隔でデータ保存メモリ31に保存したデジタル波形データを外部記憶装置、ここではパソコン6のハードディスクに転送する指令を出力する。さらに、データ保存メモリ31が一杯になったときに、データ保存メモリ31に保存したデジタル波形データをパソコン6のハードディスクに転送する指令を出力する。システムとしての最終的なデータの保存はパソコン6のハードディスクで行う。なお、データ保存メモリ31からパソコン6のハードディスクへのデータ転送機能は、パソコン6のCPUが分担しても良い。
【0073】
かくして、第2の実施の形態によれば、デジタル波形データをバッファメモリに書き込むために要する時間に対して、デジタル波形データを外部記憶装置に保存するために要する時間の方が遥かに長いため、外部記憶装置に保存する時間がシステムとしての波形取得のデットタイムとなってしまうが、バッファメモリと外部記憶装置の中間に、アクセス間隔が速く、高速にデータの読み書きができ、複数回分の部分放電の波形データを書き込むことができるデータ保存メモリ31を置くことにより、このデットタイムを回避でき、連続して発生する部分放電のデジタル波形データの保存が可能となる。
【0074】
図6は本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第3の実施の形態のシステム構成図である。ここでは、第2の実施の形態を示す図5と構成を異にするデータ収集部5Cの構成のみを示し、これ以外の構成は図5と同一であるので省略している。この図6において、データ収集部5Cは、前述した通信LSI23、バッファメモリ24、マイクロプロセッサ25及びバッファメモリ管理用プログラムや部分放電位置標定プログラムなどを内蔵したROM、RAM、入出力装置(SIO)及びデータ保存メモリ31の他に、複数の位置標定ユニット32、バスコントロールユニット34、スターカップラ(星型の接続具)35、部分放電判定ユニット36を追設してなる、例えば複数のチップセットで構成されている。
【0075】
このうち、位置標定ユニット32は、位置標定用マイクロプロセッサ33と部分放電の有無判定、電流検出器出力と超音波マイク出力の時間差、部分放電位置標定などの演算プログラムを内蔵したROM、RAMなどの一つ又は複数のチップセットから構成されている。部分放電判定ユニット36は、部分放電判定用マイクロプロセッサ37と部分放電判定用バッファメモリ38と部分放電判定などの演算プログラムを内蔵したROM、RAMなどの一つ又は複数のチップセットから構成されている。
【0076】
上記のように構成された第3の実施の形態の動作について、特に、図5と構成を異にする部分を中心にして以下に説明する。バスコントロールユニット34はデータ保存メモリ31に保存されたデジタル波形データを常時監視しており、データ保存メモリ31にデータが書き込まれると、その最新データを、スターカップラ35を介して、順次ジョブ待ち状態の位置標定ユニット32に転送する。バスコントロールユニット34から演算指令を受けた位置標定ユニット32は、RAMに転送されたデータを読み込んで、位置標定用マイクロプロセッサ33で、電流検出器出力と超音波マイク出力の時間差、部分放電位置標定などの演算を行う。電流検出器出力と超音波マイク出力の時間差、部分放電位置標定などの演算結果は、デジタル波形データと対応させてデータ保存メモリ31に書き込む。また、バスコントロールユニット34は位置標定ユニット32で計算した位置標定結果を部分放電判定ユニット36の部分放電判定用バッファメモリ38に転送する。
【0077】
部分放電判定用マイクロプロセッサ37は一定時間毎に部分放電判定用バッファメモリ38のデータを読み込み、連続して発生する部分放電の各々の標定結果を統計処理して、標定結果のばらつきが所定の値以内に収まっている場合は、その位置を部分放電発生位置と見なし、ばらつきが大きく所定の値に収まらない場合は超音波センサは外部ノイズにより動作したと判断する。一定時間が経過しても部分放電判定用バッファメモリ38に新しいデータが書き込まれない場合にはデータをリセットする。また、部分放電判定用バッファメモリ38はメモリが一杯になると順次上書き保存していく。部分放電の判定結果は、データ保存メモリ31に書き込まれる。マイクロプロセッサ25が一定時間毎にデータ保存メモリ31を読みに行き、その時、部分放電が発生している場合は、その結果を上位システムへ転送し、警報を発生する。
【0078】
なお、部分放電位置標定の演算処理中も、並列処理によって、部分放電のデジタル波形データはデータ保存メモリ31に書き込まれ、一定時間毎に外部記憶装置に転送される。また、部分放電位置標定の計算が可能な全ての超音波センサ2の組合せに対して、位置標定計算を行い、その結果を統計処理して標定頻度の高い位置を部分放電発生位置と見なすシステムを採用する場合、超音波センサ2の個数を増やすと計算量が飛躍的に増加する。非常に高速な位置標定演算を必要とする場合には、この対策として、図示していないが、標定位置演算用マイクロプロセッサの個数を、位置標定の計算が可能な全ての超音波センサ2の組合せの各々に対して用意する標定位置の並列計算システムを採用しても良い。さらに、統計処理専用のマイクロプロセッサを加えた並列計算システムを採用しても良い。
【0079】
また、図示していないが、超音波センサ2の出力と電流検出器の出力の時間差を演算する時間差演算用マイクロプロセッサを超音波センサ2の個数分だけ用意して時間差を並列計算する、時間差の並列計算システムを採用しても良い。さらに、標定位置の並列計算システムを各々の位置標定ユニット32に内蔵してもよいし、時間差の並列計算システムを各々の位置標定ユニット32に内蔵してもよい。このように並列計算のマイクロプロセッサの段数を増やすことにより、図5のシステム構成に対して更に高速の位置標定演算が可能となる。しかし、並列の段数を増やせば、それだけ高価になるので、並列計算の段数の設計は、連続して発生する部分放電の位置標定をどこまで欠落することなく行う必要があるかによって検討する。
【0080】
かくして、第3の実施の形態によれば、複数の部分放電位置標定の演算部が,バッファメモリに書き込まれた波形データを順次並列処理するので、連続して発生する部分放電に対して部分放電位置標定を計算できる。特に、データ保存メモリを経由して外部記憶装置にデジタル波形データを保存する場合、連続して発生する部分放電のデジタル波形データをデータ保存メモリに保存する間も、並列処理により、効率的に部分放電位置標定の演算処理が可能となる。
【0081】
図7は本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第4の実施の形態のシステム構成図である。この実施の形態は図1に示した超音波マイク2及び信号変換部4の代わりに共振型超音波マイク41、広帯域型超音波マイク42及び信号変換部43を設けた点が図1に示した第1の実施の形態と構成を異にしている。
【0082】
すなわち、高電圧機器の密閉タンク1の壁面に、共振型超音波マイク41と広帯域型超音波マイク42とを対にしてこれらが複数組設けられ、これに信号変換部43が接続されている。信号変換部43は図8にその詳細を示したように、共振型超音波マイク41及び広帯域型超音波マイク42の出力をそれぞれ増幅する合計2組の増幅器11と、これらの増幅器の出力信号をそれぞれデジタル信号に変換する合計2組のアナログ−デジタル変換器21と、これらのアナログ−デジタル変換器21の出力信号をデータ収集部5に伝送する通信LSI22と、増幅器11、アナログ−デジタル変換器21及び通信LSI22の動作電力を供給するバッテリ12とで構成されている。
【0083】
上記のように構成された第4の実施の形態の動作について、特に、図1と構成を異にする部分を中心にして以下に説明する。
【0084】
共振型超音波マイク41と広帯域型超音波マイク42の微弱な電圧出力を、信号変換部43の2組の増幅器11で増幅して、2組のアナログ−デジタル変換器21でデジタル信号に変換する。この2組のデジタル信号を通信LSI22のデータ圧縮エンコード機能で圧縮符号化し、データ収集部5へ時分割多重によって伝送する。
【0085】
この第4の実施の形態によれば、共振型超音波マイク41及び広帯域型超音波マイク42を使い分けることができるため、誤動作の防止とデータ収集の品質向上が実現できるという新たな効果が得られる。
【0086】
すなわち、共振型超音波マイク41は検出感度が広帯域型超音波マイク42の10倍程度と高く、また、LTC音などあらかじめ発生が予想されるノイズ音の周波数を避けて共振点を設定できるので、その出力をトリガーとして使用し、また、部分放電の発生有無の判定、超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差の計算、部分放電位置標定の計算などに使用する。一方、超音波マイクの出力と電流検出器の出力のデジタル波形データと、それから計算される部分放電の周波数特性などの保存には、広い周波数帯域で平坦な特性を持つ広帯域型超音波マイク42の出力を使い、元波形に近い波形を保存する。また、共振型超音波マイクの出力と広帯域型超音波マイクの出力を1本の線路で伝送できるので、リソースの節約ができ、配線の単純化が可能となる。
【0087】
図9は本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第5の実施の形態のシステム構成図である。この実施の形態は第2の実施の形態を構成するデータ収集部5Bの内部構成を変更したものである。ここで、データ収集部5Dは、通信LSI23と周波数成分検出器51とバッファメモリ24とデータ保存メモリ31とマイクロプロセッサ25とデータ収集プログラムや部分放電位標定プログラムなどを内蔵したROM、RAM、入出力装置(SIO)などで構成するチップセットなどから構成されている。周波数成分検出器51は、図10にその詳細な構成を示したように、複数のバンドパスフィルタ52と、これらのバンドパスフィルタ52の出力端にそれぞれ接続された最大値検出回路53と、これらの最大値検出回路53の出力端にそれぞれ接続された最大値保持回路54と、全ての最大値保持回路54に接続された波高値比較回路55及び同期制御回路56とで構成されている。データ収集部5D以外の構成は図5に示した第2の実施の形態と同一であるので省略している。
【0088】
上記のように構成された第5の実施の形態の動作について、特に、図5と構成を異にする部分を中心にして以下に説明する。
【0089】
通信LSI23で受信した超音波マイク2のデジタル信号は、バッファメモリ24と周波数成分検出器51とに転送される。バッファメモリ24に転送されたデジタル信号は第2の実施の形態と同様な動作を行う。一方、周波数成分検出器51は次に説明する動作をする。
【0090】
周波数成分検出器51で、デジタル信号は通過帯域、遮断周波数の異なる複数のバンドパスフィルタ52に転送される。バンドパスフィルタ52の通過帯域、遮断周波数は、電気所毎にあらかじめ想定されるノイズ音の周波数成分が異なるので、測定対象毎に適宣設定する。バンドパスフィルタ52をそれぞれ通過したデジタル信号は、最大値検出回路53に転送されて最大波高値が検出され、最大値保持回路54で最大波高値が一次保存される。最大値保持回路54のデータは随時更新されていく。
【0091】
同期制御回路56は、マイクロプロセッサ25がデジタル波形データをデータ保存メモリ31に書き込む時に出力する同期制御信号を受け取り、データ保存メモリ31に書き込むデジタル波形データに対応する最大波高値を検出するように指令を出す。波高値比較回路55は各バンドパスフィルタ52を通過した波形の最大波高値を比較して周波数成分比を検出する。検出した周波数成分比は保存したデジタル波形データと対応させてデータ保存メモリ31に書き込まれる。
【0092】
なお、ここでは周波数成分検出器51はデジタルフィルタを備えたデジタルプロセッシングユニットを実装することを想定しているが、デジタル信号をデジタル−アナログ変換器でアナログ信号に変換して、これをアナログ回路で構成した周波数成分検出器に入力する構成としても良い。
【0093】
ROMには、あらかじめ発生が予想されるLTC動作音などの外部ノイズ音の周波数成分比をデータベースとして内蔵させておく。マイクロプロセッサ25はデータ保存メモリ31に書き込んだ部分放電音の周波数成分比とデータベースの周波数成分比を読み込んで比較し、その大小パターンから、実際に部分放電が発生しているのか、あるいは、外部ノイズにより動作したのかを判定する。
【0094】
なお、部分放電発生判定用に別のマイクロプロセッサを実装して、並列処理を行っても良い。また、予め発生が予想されるLTC動作音などの外部ノイズ音の周波数成分比のデータベースはパソコン6のハードディスクに保存し、ここからデータベースの周波数成分比を読み込んでも良い。
【0095】
かくして、第5の実施の形態によれば、予め発生が予想されるLTC動作音などのノイズ音の周波数成分比を、データベースとして内蔵しておき、部分放電発生時の超音波マイク検出出力の周波数成分比とデータベースの周波数成分比を比較することにより、実際に部分放電が発生しているのか、あるいは、外部ノイズにより動作したのかを判定できる。これにより、内部部分放電監視装置の誤動作を防止することができる。
【0096】
ところで、図5に示した第2の実施の形態のデータ収集部5Bを構成するマイクロプロセッサ25に高速フーリエ変換(FFT)演算処理機能を実装し、データ保存メモリ31に書き込んだデジタル波形データを読み込んで部分放電音の周波数特性を演算し、その結果データをデータ保存メモリ31に書き込むように構成することもできる。この場合、ROMには、予め発生が予想されるLTC動作音などの外部ノイズ音の周波数特性をデータベースとして内蔵させておく。これに対応してマイクロプロセッサ25はデータ保存メモリ31に書き込んだ部分放電音の周波数特性とデータベースの周波数特性を読み込んで比較し、周波数特性のパターン認識により、実際に部分放電が発生しているか否か、外部ノイズにより動作したか否かを判定する。
【0097】
なお、高速フーリェ変換(TFT)演算用、部分放電発生判定用として別々のマイクロプロセッサを実装して、並列処理を行っても良い。また、予め発生が予想されるLTC動作音などの外部ノイズ音の周波数特性のデータベースはパソコン6のハードディスクに保存し、ここからデータベースの周波数特性を読み込んでも良い。さらに、データ保存メモリ31に書き込まれた部分放電音の周波数特性は、デジタル波形データと共にパソコン6のハードディスクに転送される。試験条件、部分放電発生状況、周波数特性のパターン、部分放電位置標定結果などの条件の下で整理され、周波数特性はデジタル波形データと共に、部分放電音の周波数特性のデータベースとして保存する。
【0098】
このように構成することによって、あらかじめ発生が予想されるLTC動作音などのノイズ音の周波数特性のデータベースと部分放電発生時の超音波マイク検出出力の周波数特性を比較することにより、実際に部分放電が発生しているのか、外部ノイズにより動作したのかを判定できる。これにより、内部部分放電監視装置の誤動作を防止することができる。
【0099】
図11は本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第6の実施の形態のシステム構成図である。図中、図5に示した第2の実施の形態と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。この実施の形態は複数台の密閉タンク1の内部部分放電を監視するように構成したものである。この場合、それぞれの密閉タンク1に超音波マイク2と電流検出器3と信号変換部4Aとデータ収集部5Bとを取り付ける。そして、データ保存メモリ31に書き込んだデジタル波形データの転送先であるパソコン6のハードディスクは1台とし、全ての高電圧機器の共通のデータ保存場所とする。さらに、データ収集部5Bに実装した高速フーリエ変換機能の演算結果である部分放電音の周波数特性も同じパソコン6に保存する。パソコン6に保存されるそれぞれの高電圧機器の部分放電のデータは共通のデータベースとして構築され、それぞれの高電圧機器のデータ収集部5のマイクロプロセッサ25から共通の情報として参照することができる。
【0100】
また、モデム7、電話回線8を介してパソコン6から上位システム9に接続した場合、上位システム9を介して別の電気所の部分放電のデータも共通のデータベースとして参照できるようになる。
【0101】
この図11に示した第6の実施の形態によれば、部分放電の放電形態により異なる様々な部分放電の周波数特性が蓄積でき、これと過去の測定で蓄積した周波数特性と比較することにより、放電形態などの予想ができる。また、ノイズ音の周波数特性のデータベースも順次増やしていくことができる。さらに。複数の高電圧機器で得られた部分放電の周波数特性を共通のデータベースとして共有するので、より効率的に部分放電のデータベースを活用できる。また、あらかじめ発生が予想されるLTC動作音などのノイズ音の周波数特性のデータベースと部分放電発生時の超音波マイク検出出力の周波数特性を比較することにより、実際に部分放電が発生しているのか、外部ノイズにより動作したのかを判定できる。これにより、内部部分放電監視装置の誤動作を防止することができる。
【0102】
以上、本発明を第1乃至第6の実施の形態によって説明したが、以下に種々の変形例を説明することとする。
【0103】
第1乃至第6の実施の形態では、非線形方程式である(1)〜(3)式の非線形連立方程式をニュートン・ラプソン法で数値計算で解くが、この代わりに最小2乗法による代数方程式の解として計算することもできる。すなわち、超音波マイクiについて、次の(8)式で表される誤差の2乗和が最小となるように部分放電位置標定を計算する。
【数3】
Figure 0004377542
ただし、
(x,y,z) :部分放電点の座標
(xi,yi,zi) :超音波マイクiの座標
Li = Vs・Ti :部分放電点〜超音波マイクiの距離、
Ti :部分放電点〜超音波マイクiの超音波の伝搬時間、
Vs :超音波の伝搬速度
である。
【0104】
超音波マイクをN個使用したときには、(8)式で表される誤差δiの2乗和を次の(9)式のδとする。
【0105】
【数4】
Figure 0004377542
ここで、2次以上の未知数の項の和を新しい変数uで置き直して、(9)式を整理すると、次式が得られる。
【0106】
【数5】
Figure 0004377542
上記の(10)式を未知数(x、y、z、u)で偏微分して、零と置くと、次の線形連立方程式が得られる。
【0107】
【数6】
Figure 0004377542
この(13)式を(x、y、z、u)について解けば、部分放電位置標定結果が計算できる。なお、(13)式は線形代数方程式なので、解析的に解いても良いし、計算機により数値計算しても良い。
【0108】
一方、(4)〜(7)式の非線形連立方程式についても同様に最小2乗法による代数方程式の解として計算できる。また、超音波の伝搬速度に関して次により最適化処理を行うようにしてもよい。
【0109】
つまり、(10)〜(12)式に部分放電位置標定結果の座標を代入した時、この(10)〜(12)式のδの値が最小になるように、超音波の伝搬速度の最適値を直接探索法により計算する。すなわち、伝搬速度の初期値から出発して、伝搬速度をプラス方向とマイナス方向に僅かに変化させて、部分放電位置標定を計算し、その結果を(10)〜(12)式に代入する。このとき、(10)〜(12)式のδの値がより小さくなる伝搬速度を新しい伝搬速度とする。伝搬速度を変化させても(10)〜(12)式のδが変化しなくなるまで、以上の計算を繰り返して、超音波の伝搬速度の最適値を計算する。伝搬速度の最適化処理は、複数の超音波マイクに伝搬する超音波の伝搬速度を、1つの伝搬速度に代表させて最適化しても良い。あるいは、複数の超音波マイクに伝搬する超音波が別々の伝搬速度を持つとして、それぞれの超音波に対して個々に伝搬速度を最適化しても良い。
【0110】
以上のようなアルゴリズムを有する高電圧機器の内部部分放電監視装置によれば、次の効果が得られる。
【0111】
3元以上の非線形連立方程式を線形代数方程式の解として計算するので、部分放電位置標定座標を解析的に解くことが可能になる。また、計算機により数値計算する場合においても、線形代数方程式の場合は初期値問題、収束問題を伴わないので安定した解が得られる。また、計算アルゴリズムが単純になり、必要とする計算時間を大幅に短縮できる。
【0112】
また、超音波の伝搬速度は、部分放電発生点と超音波マイクの間に存在するタンク内の機器の配置によって決まり、伝搬速度の誤差は、超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差から計算する部分放電発生点と超音波マイク取付位置の距離の誤差となり、これは部分放電位置標定の誤差に結びつくが、連立方程式の解を連立方程式に代入したときの、連立方程式の残差の二乗和が最小になるように、超音波の伝搬速度を最適化することにより、部分放電発生点と超音波マイク取付位置の距離の誤差を小さくすることができ、これにより部分放電位置標定の精度を向上することができる。
【0113】
また、部分放電発生点と複数の超音波マイクの間に存在するタンク内の機器の配置は、超音波マイクの取付位置により各々異なり、各々の超音波マイクに伝搬する超音波の伝搬速度は各々異なるので、各々の超音波の伝搬速度を最適化することにより、部分放電発生点と超音波マイク取付位置の距離の誤差をより小さくすることができ、これにより部分放電位置標定の精度を向上することができる。
【0114】
次に、第1乃至第第6の各実施の形態の変形例として、部分放電によって発生する超音波波形の立ち上がり時刻、及び電流パルスの検出について説明する。
【0115】
ここでは、超音波の立ち上がり時刻を検出するために、ある時刻において超音波マイク2の出力のデジタル波形データから演算して得られる適当な物理量と、その時刻より前の波形データから得られるその物理量の移動平均値を計算し、その比を計算する。これは、超音波波形に関わる適当な物理量が、超音波波形の立ち上がりの時刻と、その時刻より前の移動平均値とでは、急激に値が変化することを応用したもので、その比が有る閾値を越えたとき、その時刻を部分放電によって発生する超音波波形の立ち上がり時刻と見なすことができる。
【0116】
具体的には、物理量として超音波波形の振幅の絶対値の累積時間積分を考える。すなわち、N個のデジタルサンプリングからなる超音波マイク2の出力波形U(n)について、時刻nにおける振幅の絶対値の累積時間積分と、1サンプル前の時刻n−1における振幅の絶対値の移動平均の累積時間積分の比A(n)は次式で与えられる。
【数7】
Figure 0004377542
ただし、
n:時刻n、U(n):時刻nにおける超音波マイクの出力波形、
N:全デジタルサンプリング数、
:移動平均値の計算範囲(m≦n≦N)
である。
【0117】
(14)式のA(n)の値は、超音波波形の立ち上がりの時刻で、それ以前の時刻での値と比べて急激に増加するので、(14)式のA(n)の値がある閾値を越えたとき、その時刻を部分放電によって発生する超音波波形の立ち上がり時刻と見なすことができる。また、経験則により部分放電発生点から超音波マイクへ直接伝搬する超音波波形の立ち上がり波形の周波数は、それ以前の波形の周波数より高いことが解っているので、短時間フーリエ変換により波形データの周波数分布の時間変化を取得することで、部分放電発生点から超音波マイクへ直接伝搬する超音波の立ち上がり時刻を取得できる。
【0118】
また、高電圧機器の密閉タンク内の機器などを伝搬したために大きく減衰して、ノイズに埋もれてしまった部分放電による超音波を検出する場合には、超音波マイク出力波形のウェーブレット変換により時間―スケール特性を得て、時間―スケール特性の変化から部分放電による立ち上がり波形の相似相関検出を行うことにより、ノイズに埋もれてしまった部分放電による超音波の立ち上がり時刻を与えることができる。また、この変形例では、連続するノイズ電流に埋もれた不連続な電流パルスを検出するために短時間フーリエ変換、およびウェーブレット展開係数の手法を採用する。連続するノイズ電流の中に不連続な電流パルスが存在する場合は、短時間フーリエ変換による電流出力の周波数分布の時間変化、及び電流出力のウェーブレット展開係数の時間変化の中に、鋭いピークをもつ周波数、及びウェーブレット展開係数を見いだすことができ、これにより不連続な電流パルスを検出することができる。
【0119】
特に、ウェーブレット展開係数を使った電流パルスの検出では、ウエーブレット解析におけるスケールファクタの変化に対するウェーブレット展開係数の時間変化を検出すればよいので、短時間フーリエ変換を使った方法より容易な操作で、不連続な電流パルスを検出することができる。しかし、一方で短時間フーリエ変換を使った方法は、窓関数の幅と検出する周波数が決まれば、不連続な電流パルスの検出能力は信号/ノイズ比の観点から、ウェーブレット展開係数を使った方法より優れる。
【0120】
従って、連続するノイズ電流に埋もれた不連続な電流パルスを検出する手段として、不連続な電流パルスの連続監視状態では、ウェーブレット展開係数を使った方法で不連続な電流パルスを検出し、より精密に検出時間を見るときに、短時間フーリエ変換を使った方法で不連続な電流パルスを検出するという、ウェーブレット展開係数と短時間フーリエ変換の手段を組み合わせて使用することにより、不連続な電流パルスの検出精度をより向上することができる。
【0121】
以上のようなアルゴリズムを有する高電圧機器の内部部分放電監視装置によれば、計算機がアルゴリズムに基づいて、超音波波形の立ち上がり時刻、及び電流パルスを検出する手段を与える。また、ある時刻における超音波波形データを演算して得られる適当な物理量と、その時刻より前の波形データから得られるその物理量の移動平均値を計算し、その比を計算する方法では、超音波波形に関わるある物理量を適当に選択することにより、部分放電発生点から超音波マイクへ直接伝搬する超音波と、高電圧機器の密閉タンク壁面を伝搬する超音波の立ち上がり時刻を区別することができる。
【0122】
また、短時間フーリエ変換により波形データの周波数分布の時間変化を取得して、波形の周波数の変化から立ち上がり時刻を判断することは、これだけでは立ち上がり時刻の判断材料として不十分であるが、超音波出力の波高値の大きさから立ち上がり時刻を判断する場合や、また、ある時刻における超音波波形データを演算して得られる適当な物理量とその時刻より前の波形データから得られるその物理量の移動平均値を計算し、その比を計算することで立ち上がり時刻を判断する場合など、他の有効な方法と組み合わせて、その補助データとして活用する場合に、波形データの周波数分布の時間変化は有用な判断材料となる。
【0123】
また、高電圧機器の密閉タンク内の機器などを伝搬したために大きく減衰して、ノイズに埋もれてしまった部分放電による超音波についても、ウェーブレット変換で時間―スケール特性を計算することにより、時間―スケール特性の変化から厳密でないまでも超音波の立ち上がり時刻を知ることができる。このことは、ノイズに埋もれてしまった超音波についても、ウェーブレット変換で波形をノイズから浮かび上がらせることにより、図4で示した内部部分放電監視装置の標定ガイダンス機能における有効なデータになり得ることを示している。
【0124】
また、超音波波形の状態により各々の立ち上がり時刻の検出手段を使い分ける、もしくは各々の検出手段を組み合わせて使用することにより、立ち上がり時刻の検出精度をより向上することができる。さらに、短時間フーリエ変換、およびウェーブレット展開係数の手法を採用することにより、外部ノイズ、接地線ノイズなどが大きい環境下で、電流検出器が連続して出力するノイズ電流出力から、部分放電によって発生する不連続な電流パルスを検出することができる。このことは、ノイズ電流が大きい環境のため、電流パルスをトリガーとして使えない場合に、超音波マイクの出力信号をトリガーとする内部部分放電監視装置のシステムを構成した場合でも、(1)〜(3)式の連立方程式により部分放電位置標定を可能とすることを示している。すなわち、超音波マイクの出力信号をトリガーとした場合の部分放電位置標定の精度を向上することができる。
【0125】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、バッファメモリとこれを制御するマイクロプロセッサを組込み、順次バッファメモリに書き込まれるデジタルデータをマイクロプロセッサが制御して外部記憶装置に転送するシステム構成とすることにより、デジタルデータとして波形データを保存できる高電圧機器の内部部分放電監視装置を提供することができる。また、保存したデジタル波形データに、所望の信号処理を施すことにより、高精度な部分放電位置標定を実現する高電圧機器の内部部分放電監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第1の実施の形態のシステム構成図。
【図2】図1に示した第1の実施の形態を構成する信号変換部の詳細な構成を示すブロック図。
【図3】図1に示した第1の実施の形態の部分放電位置標定の計算アルゴリズムのフローチャート。
【図4】図1に示した第1の実施の形態の標定ガイダンス機能のフローチャート。
【図5】本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第2の実施の形態のシステム構成図
【図6】本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第3の実施の形態のデータ収集部の構成を示すブロック図。
【図7】本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第4の実施の形態のシステム構成図。
【図8】図7に示す第3の実施の形態を構成する信号変換部の詳細な構成を示すブロック図。
【図9】本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第5の実施の形態のシステム構成図。
【図10】図9に示した第5の実施の形態を構成する周波数成分検出器の詳細な構成を示すブロック図。
【図11】本発明に係る高電圧機器の内部部分放電監視装置の第6の実施の形態のシステム構成図。
【図12】従来の高電圧機器の内部部分放電監視装置のシステム構成図
【符号の説明】
1 高電圧機器の密閉タンク
2 超音波マイク
3 電流検出器
4,4A 信号変換部
5,5A,5B,5C,5D データ収集部
6 パソコン
13 入出力インターフェース
25 マイクロプロセッサ
31 データ保存メモリ
32 位置標定ユニット
35 スターカップラ
36 部分放電判定ユニット
41 共振型超音波マイク
42 広帯域型超音波マイク
43 信号変換部
51 周波数成分検出器
105 演算ユニット

Claims (10)

  1. 絶縁媒体を充填した密閉タンクを有する高電圧機器の密閉タンク内で生ずる部分放電を監視するに当たり、部分放電によって発生する超音波を互いに異なる箇所で検出する複数の超音波マイクと、部分放電によって発生する電流パルスを検出する電流検出器と、超音波マイクと電流検出器の出力をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器を有する信号変換部と、前記デジタル信号を受信するデータ収集部とを備える高電圧機器の内部部分放電監視装置において、
    前記データ収集部は、前記デジタル信号を順次書き込んでいくバッファメモリ及びバッファメモリ管理機能と波高値判定機能と同期制御機能とを持つマイクロプロセッサを有し、前記マイクロプロセッサは前記バッファメモリに書き込まれた複数の前記超音波マイクと電流検出器の出力のうちのいずれか一方の出力が閾値を超過した場合に、同期制御機能により前記バッファメモリが同時に複数の前記デジタル信号を書き込むことを停止させ、かつ、前記バッファメモリに書き込まれている複数の同時刻の前記デジタル信号を部分放電のデジタル波形データとして外部記憶装置に転送する機能を持つ、
    ことを特徴とする高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  2. 前記信号変換部は、前記複数の超音波マイクの各出力と前記電流検出器の出力とを個別にデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器を有し、前記データ収集部は前記アナログ−デジタル変換器毎に前記バッファメモリを有することを特徴とする請求項1に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  3. 前記信号変換部は前記デジタル信号のデータ圧縮エンコード機能を備えた通信LSIを有し、前記データ収集部は圧縮して送信された前記デジタル信号のデコード機能を備えた通信LSIを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  4. 前記データ収集部は、複数回分の前記部分放電のデジタル波形データを一時的に保存できるデータ保存メモリを有し、前記バッファメモリに書き込まれている前記部分放電のデジタル波形データを前記データ保存メモリに一時的に保存し、データ保存メモリに書き込んだ複数回分の前記部分放電のデジタル波形データをまとめて外部記憶装置に転送する機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  5. 前記外部記憶装置に転送した前記デジタル波形データを、上位システムに転送する機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  6. 前記データ収集部が前記複数の超音波マイクの出力と電流検出器の出力の時間差を計算し、その時間差から部分放電位置標定を計算するに当たり、時間差と部分放電位置標定を計算する演算部を複数個備え、複数回の部分放電の位置標定の計算を並列に計算することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  7. 前記超音波マイクとして、所定の周波数に共振点を持つ共振型の超音波マイクと、特定の共振点を持たず広い周波数帯域で平坦な特性を持つ広帯域型の超音波マイクの両方で同時に測定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  8. 前記共振型の超音波マイクと前記広帯域型の超音波マイクの出力を、前記信号変換部から前記データ収集部に時分割多重伝送することを特徴とする請求項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  9. 前記複数の超音波マイクの波形データが入力される経路に、各々通過帯域の異なった複数のバンドパスフィルタと、前記各バンドパスフィルタ出力の波高値比較装置を備え、前記波高値比較装置が比較した前記バンドパスフィルタ出力の波高値から前記超音波マイクの波形データに含まれる周波数成分比を得て、この周波数成分比から部分放電検出かノイズ検出かを判別することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
  10. 前記超音波マイクの波形データを高速フーリエ変換する高速フーリエ変換機能を備え、前記超音波マイクの波形データを高速フーリエ変換した結果として得られる内部部分放電音の周波数特性をデータベースとして保存することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の高電圧機器の内部部分放電監視装置。
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