JP4376665B2 - エンジンの粒子状物質排出量推定方法及び排気浄化制御装置 - Google Patents

エンジンの粒子状物質排出量推定方法及び排気浄化制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、燃焼室から排出される粒子状物質の量を推定するエンジンの粒子状物質排出量推定方法、及び排気浄化装置に堆積した粒子状物質の浄化をその推定値に基づいて実行するエンジンの排気浄化制御装置に関する。
車載用ディーゼルエンジン等の排気浄化装置として、排気フィルタによって捕集された排気中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を浄化する装置が実用化されている。
こうした排気浄化装置の採用されたエンジンでは、捕集された粒子状物質によって排気フィルタの詰まりをまねくことがある。この場合、排気フィルタの通気性が損なわれることにより、エンジンの背圧の増大をまねくようになる。そのため、上記排気浄化装置においては、排気フィルタの詰まりが発生する前に、堆積した粒子状物質を除去して排気フィルタを再生させる必要がある。
そこで従来、例えば特許文献1に見られるように、排気フィルタ前後の差圧を差圧センサにより検出し、この検出値を通じて把握される排気フィルタの詰まり度合いに基づいて同フィルタの再生の開始時期を設定するエンジンの排気浄化制御装置が提案されている。
特開2003−166412号公報
ところで、排気フィルタの再生の開始時期は、上記差圧センサの検出値の他に、排気フィルタ上における粒子状物質の堆積量(粒子状物質堆積量)の推定値に基づいて設定することもできる。
粒子状物質堆積量は、燃焼室から排出される粒子状物質の量(粒子状物質排出量)に応じてその増加度合いが変動するため、推定値の算出に際しては粒子状物質排出量を適切に把握することが要求される。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃焼室からの粒子状物質の排出量を的確に推定することのできるエンジンの粒子状物質排出量推定方法及びエンジンの排気浄化制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する
(1)請求項1に記載の発明は、排気浄化装置を備えたエンジンに適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を推定するエンジンの粒子状物質排出量推定方法であって、前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定することを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。ちなみに、粒子状物質の排出量は、基本的には、エンジンの回転速度及び負荷に基づいて把握することができる。ただし、エンジンの過渡運転状態においては、実吸気量と基準吸気量(本来得られるべき吸入空気量)とにずれが生じることにより、基準排出量と実際の排出量とが異なることも考えられる。
この点、上記構成においては、実吸気量と基準吸気量とのずれを加味して粒子状物質排出量の推定値を算出するようにしているため、粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンの粒子状物質排出量推定方法において、前記吸気量偏差率が小さくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正することを要旨としている。
粒子状物質排出量は、混合気の空燃比が小さくなるほど増大する傾向を示す。一方で、吸気量偏差率が小さくなるほど混合気の空燃比が小さい状態となる。そこで、上記構成のように基準排出量の補正を行うことにより、粒子状物質の排出量をより適切に推定することができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、排気浄化装置を備えたエンジンに適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を推定するエンジンの粒子状物質排出量推定方法であって、前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定することを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のエンジンの粒子状物質排出量推定方法において、前記偏差が正側に大きくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正し、前記偏差が負側に大きくなるほど前記基準排出量を減少側へ補正することを要旨としている。
上記偏差が正側に大きくなるほど混合気の空燃比が小さい状態となるため、粒子状物質排出量は増大する傾向を示す。一方で、上記偏差が負側に大きくなるほど混合気の空燃比が大きい状態となるため、粒子状物質排出量は減少する傾向を示す。そこで、上記構成のように基準排出量の補正を行うことにより、粒子状物質の排出量をより適切に推定することができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備えたことを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。さらには、粒子状物質の浄化の開始時期が適切に設定されるようになるため、排気浄化装置における粒子状物質の詰まりを好適に回避することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったとき、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第1昇温処理へ切り替えることを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。さらには、粒子状物質の浄化の開始時期が適切に設定されるようになるため、排気浄化装置における粒子状物質の詰まりを好適に回避することができるようになる。
また、上記第1昇温処理による集中的な間欠燃料添加を行うことにより、排気浄化装置への未燃燃料成分及び酸素の単位時間あたりの供給量が、それまでの昇温処理(堆積量の推定値が変換判定値よりも大きいときに実行される昇温処理)では十分に燃焼することのできなかった粒子状物質の燃焼が可能となる値まで増量されるようになる。これにより、粒子状物質を確実に除去することができるようになる。
(7)請求項7に記載の発明は、エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに前記昇温処理の実行を開始し、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったことを条件に、差圧センサによる前記排気浄化装置の上流側と下流側との排気圧力差が基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値を前記変換判定値よりも大きい値へ変換することを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。さらには、粒子状物質の浄化の開始時期が適切に設定されるようになるため、排気浄化装置における粒子状物質の詰まりを好適に回避することができるようになる。
また、推定堆積量が変換判定値以下のとき、排気圧力差と基準差圧との比較を通じて、推定堆積量と実堆積量とに乖離が生じているか否かを判定し、排気圧力差が基準差圧よりも大きいときには、推定堆積量を変換判定値よりも大きい値へ変換するようにしている。これにより、推定堆積量を実堆積量に近づけるあるいは一致させることが可能となるため、推定堆積量と実堆積量との乖離を補償して粒子状物質を適切な態様をもって浄化することができるようになる。そして、こうした処理を通じて、大量の粒子状物質が急激に燃焼する事態を好適に回避することができるようになる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記推定手段は、前記吸気量偏差率が小さくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正することを要旨としている。こうした構成を採用することによっても、請求項2に記載の発明と同様に、粒子状物質の排出量をより適切に推定することができるようになる。
(9)請求項9に記載の発明は、エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備えたことを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。さらには、粒子状物質の浄化の開始時期が適切に設定されるようになるため、排気浄化装置における粒子状物質の詰まりを好適に回避することができるようになる。
(10)請求項10に記載の発明は、エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったとき、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第1昇温処理へ切り替えることを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。さらには、粒子状物質の浄化の開始時期が適切に設定されるようになるため、排気浄化装置における粒子状物質の詰まりを好適に回避することができるようになる。
また、上記第1昇温処理による集中的な間欠燃料添加を行うことにより、排気浄化装置への未燃燃料成分及び酸素の単位時間あたりの供給量が、それまでの昇温処理(堆積量の推定値が変換判定値よりも大きいときに実行される昇温処理)では十分に燃焼することのできなかった粒子状物質の燃焼が可能となる値まで増量されるようになる。これにより、粒子状物質を確実に除去することができるようになる。
(11)請求項11に記載の発明は、エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに前記昇温処理の実行を開始し、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったことを条件に、差圧センサによる前記排気浄化装置の上流側と下流側との排気圧力差が基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値を前記変換判定値よりも大きい値へ変換することを要旨としている。
上記構成では、基準排出量を吸気量偏差率に基づいて補正し、この補正後の値を粒子状物質の排出量の推定値として採用するようにしている。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1に記載の発明と同様に粒子状物質の排出量を的確に推定することができるようになる。さらには、粒子状物質の浄化の開始時期が適切に設定されるようになるため、排気浄化装置における粒子状物質の詰まりを好適に回避することができるようになる。
また、推定堆積量が変換判定値以下のとき、排気圧力差と基準差圧との比較を通じて、推定堆積量と実堆積量とに乖離が生じているか否かを判定し、排気圧力差が基準差圧よりも大きいときには、推定堆積量を変換判定値よりも大きい値へ変換するようにしている。これにより、推定堆積量を実堆積量に近づけるあるいは一致させることが可能となるため、推定堆積量と実堆積量との乖離を補償して粒子状物質を適切な態様をもって浄化することができるようになる。そして、こうした処理を通じて、大量の粒子状物質が急激に燃焼する事態を好適に回避することができるようになる。
(12)請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記推定手段は、前記偏差が正側に大きくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正し、前記偏差が負側に大きくなるほど前記基準排出量を減少側へ補正することを要旨としている。
こうした構成を採用することによっても、請求項4に記載の発明と同様に、粒子状物質の排出量をより適切に推定することができるようになる。
(13)請求項13に記載の発明は、請求項5または7または8または9または11または12に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったとき、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第1昇温処理へ切り替えることを要旨としている。
上記第1昇温処理による集中的な間欠燃料添加を行うことにより、排気浄化装置への未燃燃料成分及び酸素の単位時間あたりの供給量が、それまでの昇温処理(堆積量の推定値が変換判定値よりも大きいときに実行される昇温処理)では十分に燃焼することのできなかった粒子状物質の燃焼が可能となる値まで増量されるようになる。これにより、粒子状物質を確実に除去することができるようになる。
(14)請求項14に記載の発明は、請求項5または6または8または9または10または12または13に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに前記昇温処理の実行を開始し、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったことを条件に、差圧センサによる前記排気浄化装置の上流側と下流側との排気圧力差が基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値を前記変換判定値よりも大きい値へ変換することを要旨としている。
ところで、堆積量の推定値(推定堆積量)に基づいて昇温処理の開始を設定する装置においては、外乱により推定堆積量との実際の堆積量(実堆積量)との間に著しい乖離が生じることも考えられる。この場合、昇温処理が適切に実行されないことにより、排気浄化装置の熱劣化をまねくことが懸念される。
上記請求項5〜13のいずれか一項に記載の発明が適用された排気浄化装置においては、推定堆積量がより高い精度をもって算出されるため、上述のような問題をまねくことは比較的少なくなるものの、そうした問題が完全に回避されるとは言い難い。従って、排気浄化装置における粒子状物質の浄化をより適切に行ううえで、上記問題への対策を講じることが望ましいといえる。
排気の流動抵抗は排気浄化装置における粒子状物質の堆積度合いに応じて増加するため、排気圧力差は粒子状物質の実際の堆積量(実堆積量)に応じて増大する傾向を示す。従って、堆積量の推定値(推定堆積量)と実堆積量とに乖離が存在していないとき、排気圧力差は推定堆積量に対応していることになる。
こうしたことから、推定堆積量が変換判定値以下に達したときに、差圧センサの検出データに基づいて把握される排気圧力差が変換判定値を上限とする推定堆積量の領域に対応した値であれば推定堆積量は正確に推定されていることになる。
しかし、排気圧力差が上記領域に対応した値よりも大きな値であれば、実堆積量が推定堆積量よりも大きいことになる。この場合、そのときの推定堆積量に基づいて粒子状物質の浄化を完了させたとすると、実際には粒子状物質が残存しているにもかかわらずその除去が行われないようになる。そして、こうした処理が繰り返されたとすると、推定堆積量と実堆積量との乖離が次第に大きくなり、最終的には予定よりも大量の粒子状物質が急激に燃焼することにより排気浄化装置の熱劣化をまねくようになる。
この点、上記請求項14に記載の発明においては、推定堆積量が変換判定値以下のとき、排気圧力差と基準差圧との比較を通じて、推定堆積量と実堆積量とに乖離が生じているか否かを判定し、排気圧力差が基準差圧よりも大きいときには、推定堆積量を変換判定値よりも大きい値へ変換するようにしている。これにより、推定堆積量を実堆積量に近づけるあるいは一致させることが可能となるため、推定堆積量と実堆積量との乖離を補償して粒子状物質を適切な態様をもって浄化することができるようになる。そして、こうした処理を通じて、大量の粒子状物質が急激に燃焼する事態を好適に回避することができるようになる。
(15)請求項15に記載の発明は、請求項7または11または14に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記制御手段は、前記堆積量の推定値が前記基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、前記堆積量の推定値の変換後、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第2昇温処理へ切り替えることを要旨としている。
上記第2昇温処理による集中的な間欠燃料添加を行うことにより、排気浄化装置への未燃燃料成分及び酸素の単位時間あたりの供給量が、それまでの昇温処理(堆積量の推定値が変換判定値よりも大きいときに実行される昇温処理)では十分に燃焼することのできなかった粒子状物質の燃焼が可能となる値まで増量されるようになる。これにより、粒子状物質を確実に除去することができるようになる。
(16)請求項16に記載の発明は、請求項7または11または14または15に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記制御手段は、前記堆積量の推定値の変換後、前記堆積量の推定値が変換後の値から減少して前記変換判定値以下となったことを条件に、前記排気圧力差が前記基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値の変換を再度実行することを要旨としている。
上記構成によれば、前回実行された推定堆積量の変換処理によって推定堆積量と実堆積量との乖離が十分に解消されなかった場合にあっても、こうした乖離の解消を図ることができるようになる。
(17)請求項17に記載の発明は、請求項16に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記制御手段は、前記排気圧力差が前記基準差圧よりも大きい状態が継続していることにより、前記堆積量の推定値の変換を実行した回数が停止判定値に達したとき、そのときに継続されている昇温処理が一旦完了するまでは前記堆積量の推定値の変換を停止することを要旨としている。
排気浄化装置においては、非可燃性物質が堆積していることにより、排気圧力差が基準差圧より大きい状態が継続することもある。このような場合に、推定堆積量の変換を繰り返して昇温処理を継続したとすると、燃費の悪化をまねくようになる。この点、上記構成を採用することにより、推定堆積量の変換の回数が制限されるため、上述のように燃費の悪化をまねくことを好適に回避することができるようになる。
(18)請求項18に記載の発明は、請求項7または11または14〜17のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、前記制御手段は、前記排気浄化装置から硫黄成分を放出させて硫黄被毒から回復させる処理の実行中あるいは該処理の実行要求があるときには、前記堆積量の推定値の変換を実行しないことを要旨としている。
ちなみに、硫黄被毒からの回復を図る処理が行われている場合には、同処理を通じて粒子状物質の浄化が行われるため、推定堆積量と実堆積量との乖離の解消が図られるようになる。即ち、上記回復処理の実行中は、推定堆積量の変換を実行しなくとも推定堆積量と実堆積量との乖離度合いが低減される。そこで、上記構成のように、硫黄被毒からの回復処理の実行中は推定堆積量の変換を実行しないことにより、昇温処理を抑制して燃費の向上を図ることができるようになる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。
<エンジンの構造>
図1に、本発明が適用されたディーゼルエンジン(エンジン1)の概略構造を示す。
エンジン1は、ターボチャージャ2、コモンレール式燃料供給装置3、排気再循環装置4及び排気浄化装置5を備えて構成される。
エンジン1のシリンダ11内には、ピストン12が往復動可能に収容されている。
シリンダ11内には、ピストン12の頂面とシリンダ11の壁面とにより燃焼室13が区画形成されている。
シリンダ11には、吸気管14及び排気管15が接続されている。
吸気管14には、吸気流通方向の上流側から順に、エアクリーナ16、ターボチャージャ2のコンプレッサ21、インタークーラ17及び吸気絞り弁18が配設されている。
排気管15には、ターボチャージャ2の排気タービン22が設けられている。
〔1〕「排気浄化装置の構造」
排気浄化装置5は、NOx触媒コンバータ51、PMフィルタ52及び酸化触媒コンバータ53を備えて構成される。また、排気管15の排気タービン22下流に配設されている。
NOx触媒コンバータ51は、窒素酸化物(NOx)を浄化する。
PMフィルタ52は、粒子状物質(PM)及びNOxを浄化する。
酸化触媒コンバータ53は、炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)を浄化する。
これら各装置は、排気管15において、排気流通方向の上流側からNOx触媒コンバータ51、PMフィルタ52、酸化触媒コンバータ53の順に配設されている。
NOx触媒コンバータ51には、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。
NOx触媒コンバータ51においては、次のような態様をもってNOxの浄化が行われる。
エンジン1の通常の運転状態において、排気が酸化雰囲気(リーン)の状態にあるとき、排気中のNOxがNOx触媒に吸蔵される。そして、排気が還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)の状態となったとき、NOx触媒に吸蔵されているNOxが一酸化窒素(NO)として離脱してHCやCOにより還元される。なお、「ストイキ」は、空燃比が理論空燃比に相当する状態を示す。また、「リッチ」は、空燃比が理論空燃比よりも小さい状態を示す。
PMフィルタ52は、多孔質材料によって形成されており、排気中のPMを捕集することが可能となっている。また、PMフィルタ52には、NOx触媒コンバータ51と同様に吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。これにより、PMフィルタ52においても排気中のNOxの浄化が行われる。
PMフィルタ52においては、高温の酸化雰囲気でNOx吸蔵時に発生する活性酸素によりPMの酸化が開始され、さらに周囲の過剰酸素によりPMが除去(燃焼)される。このように、PMフィルタ52ではNOxの浄化とともにPMの浄化が行われる。
酸化触媒コンバータ53には、酸化触媒が担持されている。この酸化触媒は、排気中のHCやCOを酸化して浄化する。
〔2〕「排気再循環装置の構造」
エンジン1においては、排気再循環装置4を通じて、排気の一部を吸気管14内の空気に再循環させる排気再循環(EGR)が行われる。
排気再循環装置4は、排気管15と吸気管14とを連通するEGR通路41を備えて構成されている。
EGR通路41において、排気流通方向の最上流部は、排気管15の排気タービン22の上流側に接続されている。
EGR通路41には、排気流通方向の上流側から順に、EGR触媒42、EGRクーラ43、EGR弁44が配設されている。
EGR触媒42は、再循環される排気を改質する。
EGRクーラ43は、再循環される排気を冷却する。
EGR弁44は、再循環される排気の流量を調整する。
EGR通路41において、排気流通方向の最下流部は、吸気管14の吸気絞り弁18の下流側に接続されている。
排気再循環装置4では、EGR弁44の開度制御を行うことにより、EGR通路41を介して排気管15から吸気管14へ再循環されるEGRガスの流量を調整することが可能となっている。
〔3〕「コモンレール式燃料供給装置の構造」
燃料供給装置3は、燃料噴射弁DI、添加弁EI、燃料タンク31、燃料ポンプ32及びコモンレール33を備えて構成されている。
燃料噴射弁DIは、シリンダ11毎に設けられており、燃焼室13へ燃料を噴射する。
添加弁EIは、各シリンダ11の排気管15に設けられており、排気中へ燃料を添加する。
エンジン1においては、添加弁EIの制御を通じて、排気浄化装置5にかかる以下の各処理が行われる。
(a)燃料の添加を通じて排気を一時的に還元雰囲気とすることにより、NOx触媒コンバータ51及びPMフィルタ52に吸蔵されているNOxを還元する処理。
(b)燃料の添加を通じて排気を高温化することにより、PMフィルタ52に堆積したPMの除去を行う処理。
(c)燃料の添加を通じてNOx触媒コンバータ51及びPMフィルタ52を高温化することにより、NOx触媒コンバータ51及びPMフィルタ52の硫黄被毒(S被毒)からの回復を図る処理。
燃料ポンプ32は、高圧燃料を燃料噴射弁DIへ供給する一方で、低圧燃料を添加弁EIへ供給することが可能となっている。燃料ポンプ32により加圧された燃料は、コモンレール33により畜圧される。
燃料タンク31と燃料ポンプ32とは、第1燃料配管34aにより接続されている。
燃料ポンプ32とコモンレール33とは、第2燃料配管34bにより接続されている。
コモンレール33と燃料噴射弁DIとは、第3燃料配管34cにより接続されている。
燃料ポンプ32と添加弁EIとは、第4燃料配管34dにより接続されている。
〔4〕「制御系の構造」
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行するCPU、エンジン制御に必要なプログラムや情報の記憶するためのメモリ、外部との信号の入出力を行うための入力ポート及び出力ポートを備えて構成される。
電子制御装置9の入力ポートには、エンジン運転状況を検出する以下の各種センサが接続されている。
流入ガス温度センサ91は、PMフィルタ52に流入する排気の温度(流入ガス温度thci)を検出する。流入ガス温度センサ91は、排気管15のPMフィルタ52の上流側に設けられる。
流出ガス温度センサ92は、PMフィルタ52から流出した排気の温度(流出ガス温度thco)を検出する。流出ガス温度センサ92は、排気管15のPMフィルタ52の下流側に設けられる。
差圧センサ93は、PMフィルタ52の排気上流側と排気下流側との圧力差(差圧△P)を検出する。差圧センサ93は、排気管15のPMフィルタ52の近傍に設けられる。
空燃比センサ94は、PMフィルタ52と酸化触媒コンバータ53との間を流通する排気の空燃比(空燃比AF)を検出する。空燃比センサ94は、PMフィルタ52と酸化触媒コンバータ53との間に設けられる。
エアフロメータ95は、吸気管14内を流通する空気の流量(吸入空気量GA)を検出する。エアフロメータ95は、吸気管14のエアクリーナ16とコンプレッサ21との間に設けられる。
吸気温センサ96は、燃焼室13に導入される空気の温度(吸気温度tha)を検出する。吸気温センサ96は、排気管15のインタークーラ17の下流側に設けられる。
回転速度センサ97は、エンジン1のクランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度NE)を検出する。回転速度センサ97は、クランクシャフトの近傍に設けられる。
電子制御装置9の出力ポートには、吸気絞り弁18、EGR弁44、燃料ポンプ32、燃料噴射弁DI及び添加弁EI等の駆動回路が接続されている。
電子制御装置9は、上記各センサから入力される検出信号より把握されるエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。
電子制御装置9は、こうした駆動回路の制御を通じて、吸気絞り弁18の開度制御、EGR弁44の開度制御に基づくEGR制御、燃料噴射弁DIからの燃料噴射量、燃料噴射時期及び燃料噴射圧の制御、添加弁EIからの燃料添加の制御等の各種制御を実行する。
<燃焼制御>
本実施形態では、エンジン1の燃焼モードとして、低温燃焼モード及び通常燃焼モードの2種類を設定している。電子制御装置9は、エンジン1の運転状態に応じてこれら各燃焼モードのいずれかを適宜選択し、選択した燃焼モードを実行する。
(A)低温燃焼モードでは、EGRガスの流量を大きくすることにより、燃焼温度の上昇を緩慢にしてNOx及びスモークの発生を同時に低減する。
(B)通常燃焼モードでは、低温燃焼モード以外の通常のEGR制御(EGR制御を実行しない場合も含む)を行う。
<触媒制御>
本実施形態では、排気浄化装置5の触媒制御モードとして、PM再生制御モード、S被毒回復制御モード、NOx還元制御モード及び通常制御モードの4種類を設定している。電子制御装置9は、エンジン1の運転状態に基づいて各触媒制御モードを適宜実行する。
(A)PM再生制御モードは、PMフィルタ52に捕集されたPMを燃焼することにより、PMを二酸化炭素(CO2)及び水(H2O)にして排出するために行われる。
PM再生制御モード時には、添加弁EIから排気への燃料添加を継続的に繰り返すことにより、添加された燃料を排気中や触媒上で酸化させる。そして、その酸化反応に伴う発熱で触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)することにより、PMの燃焼を図るようにしている。
(B)S被毒回復制御モードは、NOx触媒が硫黄酸化物(SOx)の吸蔵によりNOx吸蔵能力の低下(S被毒)をまねいたとき、NOx触媒から硫黄成分を放出させることによりS被毒を解消するために行われる。
S被毒回復制御モード時には、添加弁EIから排気への燃料添加を継続的に繰り返すことにより、添加された燃料を排気中や触媒上で酸化させる。そして、その酸化反応に伴う発熱で触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)する昇温制御を行う。
その後、添加弁EIからの燃料添加を一定の時間をおいて間欠的に行うことにより、NOx触媒周囲の排気の空燃比を一時的にストイキまたはストイキよりも小さいリッチの状態にする。そして、NOx触媒からのSOxの放出及びその還元を促進して、NOx吸蔵能力の回復を図るようにしている。
(C)NOx還元制御モードは、NOx触媒コンバータ51及びPMフィルタ52に吸蔵されたNOxをN2、CO2及びH2Oに還元して放出するために行われる。
NOx還元制御モード時には、添加弁EIからの燃料添加を一定の時間をおいて間欠的に行うことにより、NOx触媒周囲の排気の空燃比を一時的にストイキまたはストイキよりも小さいリッチの状態にする。これにより、NOx触媒からのNOxの放出及びその還元を促進して、上記NOxの還元浄化を図るようにしている。
ちなみに、エンジン1では、上記PM再生制御モードやS被毒回復制御モードの実行時における触媒床温の高温化中、必要に応じて燃料噴射弁DIによる昇温マルチ噴射を行うようにしている。この昇温マルチ噴射では、パイロット噴射及びメイン噴射がなされた後の圧縮行程中や排気行程中に燃料の噴射(アフター噴射)を実施するようにしている。
このアフター噴射は、パイロット噴射やメイン噴射のような燃焼室13での燃焼に供される燃料の噴射とは別の燃料の副噴射となっている。アフター噴射において噴射された燃料の多くは、燃焼室13内で燃焼されることなく排気系に排出される。そのため、こうした昇温マルチ噴射の実施によっても、排気中の未燃燃料成分を増量して触媒床温の高温化を図ることができる。
<PM再生制御>
図2〜図12を参照して、PM再生制御モードにかかる処理の詳細について説明する。
本実施形態では、PM再生制御モードにかかる処理として、以下の[a]〜[d]の処理が電子制御装置9を通じて行われる。なお、PM再生制御モードは、「PM再生制御処理」を含めて構成される。
[a]「PM再生制御モード実行判定処理」(図2):「PM再生制御処理」を実行するための条件が満たされているか否かを判定するための処理。
[b]「PM堆積量推定処理」(図3):PMフィルタ52に堆積しているPMの量を推定するための処理。
[c]「PM排出量補正処理」(図5):「PM堆積量推定処理」において推定されたPM排出量(エンジン1の燃焼室13から排出されるPMの量)を適正値へ補正するための処理。
[d]「PM再生制御処理」(図11及び図12):PMフィルタ52に堆積しているPMを酸化して浄化するための処理。
電子制御装置9は、「PM再生制御モード実行判定処理」を通じて「PM再生制御処理」の実行条件が満たされている旨判定したとき、同「PM再生制御処理」を通じてPMフィルタ52に堆積しているPMの除去を行うようにしている。「PM堆積量推定処理」及び「PM排出量補正処理」は、「PM再生制御モード実行判定処理」の一貫として行われる。
なお、上記[a][b]及び[d]の処理は制御手段を通じて行われる処理に相当する。また、上記[c]の処理は推定手段を通じて行われる処理に相当する。また、制御手段及び推定手段は、それぞれ電子制御装置9を含めて構成される。
以下、上記各処理の詳細について説明する。
<PM再生制御モード実行判定処理>
図2に、「PM再生制御モード実行判定処理」の処理手順を示す。
本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
[ステップS100]「PM堆積量推定処理」(図3)の実行を開始する。「PM堆積量推定処理」では、PMフィルタ52に堆積しているPMの量の推定値(PM堆積量PMs)を算出する。なお、「PM堆積量推定処理」の詳細については後述する。
[ステップS200]「PM堆積量推定処理」の実行後、同処理を通じて算出されたPM堆積量PMsに基づいて、PM堆積量PMsが基準堆積量PMst以上か否かを判定する。即ち、下記条件

PMs≧PMst

が満たされているか否かを判定する。
基準堆積量PMstは、PMフィルタ52の詰まりをまねくおそれがあることを判定するための値として予め設定される。
上記判定処理においては、PM堆積量PMsが基準堆積量PMst以上のとき、PMの堆積によりPMフィルタ52の詰まりをまねくおそれがあると判定される。一方で、PM堆積量PMsが基準堆積量PMst未満のときは、PMフィルタ52によるPMの捕集を継続して行うことができると判定される。
[ステップS300]PM堆積量PMsが基準堆積量PMst以上のとき、「PM再生制御処理」(図11及び図12)において、S被毒回復制御モードによるPM浄化用昇温処理の停止が設定されているか否かを判定する。
[ステップS400]S被毒回復制御モードによるPM浄化用昇温処理の停止が設定されていないとき、「PM再生制御処理」(図11)の実行を開始する。
<PM堆積量推定処理>
図3に、「PM堆積量推定処理」の処理手順を示す。
本処理は、「PM再生制御モード実行判定処理」のステップS100の処理を通じて開始される。そして、以下のステップS110〜S140の処理を実行した後、「PM再生制御モード実行判定処理」のステップS200の処理へ復帰する。
[ステップS110]本処理の1制御周期の間にエンジン1の全ての燃焼室13から排出されるPMの量(PM排出量PMe)を算出する。ここでは、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷(本実施形態では、エンジン負荷の相当値として燃料噴射弁DIからの燃料噴射量qiを採用する)を基準排出量演算マップ(図4)に適用して基準排出量PMebaseの算出を行う。そして、この基準排出量PMebaseをPM排出量PMeとして設定する。
なお、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷をパラメータとして、これらパラメータとPM排出量PMeとの関係を試験等から把握することにより、この把握された関係に基づいて基準排出量演算マップを予め設定することができる。
[ステップS120]「PM排出量補正処理」(図5)の実行を開始する。「PM排出量補正処理」では、主にエンジン1の吸入空気量に基づいて基準排出量PMebaseを適正値へ補正する。同補正処理において、補正後の値がPM排出量PMeとして設定される。なお、「PM排出量補正処理」の詳細については後述する。
[ステップS130]「PM排出量補正処理」の実行後、PMフィルタ52に堆積しているPMが本処理の1制御周期の間に酸化を通じて浄化される量(PM酸化量PMc)を算出する。ここでは、流出ガス温度thco及び吸入空気量GAを酸化量演算マップに適用してPM酸化量PMcの算出を行う。
なお、流出ガス温度thco及び吸入空気量GAをパラメータとして、これらパラメータとPM酸化量PMcとの関係を試験等から把握することにより、この把握された関係に基づいて酸化量演算マップを予め設定することができる。
[ステップS140]PM排出量PMe及びPM酸化量PMcに基づいて、PM堆積量PMsを算出する。即ち、下記計算式

PMs ← Max{PMsL+PMe−PMc,0}

を通じてPM堆積量PMsの算出を行う。
上記計算式において、PM堆積量PMsLは、本処理の前回の実行周期に算出されたPM堆積量PMsを示す。また、「Max」は、{ }内の数値の内で大きい方の数値を抽出する演算子を示す。
これにより、PM堆積量PMsは、「PMs+PMe−PMc」の演算結果に応じて次のように設定される。
(a)「PMsL+PMe−PMc>0」のとき、「PMsL+PMe−PMc」の演算結果がPM堆積量PMsとして設定される。
(b)「PMsL+PMe−PMc<0」のとき、「0」がPM堆積量PMsとして設定される。
<PM排出量補正処理>
図5に、「PM排出量補正処理」の処理手順を示す。
本処理は、「PM堆積量推定処理」のステップS120の処理を通じて開始される。そして、以下のステップS121〜S124の処理を実行した後、「PM堆積量推定処理」のステップS130の処理へ復帰する。
[ステップS121]エンジン1の吸入空気量の推定値(基準吸気量GAbase)を算出する。基準吸気量GAbaseは、エンジン1の定常運転状態時に得られる吸入空気量に相当する。ここでは、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷(燃料噴射弁DIの燃料噴射量qi)を基準吸気量演算マップ(図6)に適用して基準吸気量GAbaseを算出する。
なお、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷をパラメータとして、これらパラメータと吸入空気量との関係を試験等から把握することにより、この把握された関係に基づいて基準吸気量演算マップを予め設定することができる。
[ステップS122]エアフロメータ95の検出データ(吸入空気量GA)を実吸気量GAactとして設定する。
[ステップS123]実吸気量GAactと基準吸気量GAbaseとの比(吸気量偏差率dGA)を算出する。即ち、下記計算式

dGA ← GAact/GAbase

を通じて吸気量偏差率dGAの算出を行う。
[ステップS124]基準排出量PMebaseの補正係数(排出量補正係数ekPM)を算出する。ここでは、吸気量偏差率dGA及び大気圧PAを補正係数演算マップ(図7)に適用して排出量補正係数ekPMの算出を行う。
排出量補正係数ekPMは、基準吸気量GAbaseに対応したPM排出量(定常排出量PMeA)と実吸気量GAactに対応したPM排出量(実排出量PMeB)との比(排出量比PMeB/PMeA)に相当する。即ち、排出量補正係数ekPMは、基準吸気量GAbaseに対する実吸気量GAactの偏差度合いに応じて基準排出量PMebaseを補正することにより、適切なPM排出量PMeを把握するための値として設定されている。
ここで、補正係数演算マップの設定態様について説明する。
図8に、吸気量偏差率dGAと排出量補正係数ekPMとの関係を示す。
吸気量偏差率dGAが「1」のとき、実吸気量GAactと基準吸気量GAbaseとが等しい状態にあるため、基準排出量PMebaseに対する補正は不要となる。従って、吸気量偏差率dGAが「1」のときに対応する排出量補正係数ekPMは「1」に設定される。
吸気量偏差率dGAが「dGA<1」のとき、実吸気量GAactが基準吸気量GAbaseを下回った状態にあるため、実際の混合気の空燃比は基準吸気量GAbaseに基づいて把握される空燃比よりも小さい値となる。空燃比が小さい値となるほどPM排出量は増大する傾向にあるため、「dGA<1」のときには、実排出量PMeBが基準排出量PMebaseを上回っていることになる。
従って、排出量補正係数ekPMは「dGA<1」の領域において、基準排出量PMebaseを増大側へ補正する値(「1」よりも大きい値)に設定される。また、「dGA<1」の領域において、吸気量偏差率dGAが「1」から離れるほど(吸気量偏差率dGAが小さくなるほど)排出量補正係数ekPMは大きな値に設定される。これにより、「dGA<1」の領域においては、吸気量偏差率dGAが小さな値となるほど基準排出量PMebaseは増大側へ補正される。
吸気量偏差率dGAが「dGA>1」のとき、実吸気量GAactが基準吸気量GAbaseを上回った状態にあるため、実際の混合気の空燃比は基準吸気量GAbaseに基づいて把握される空燃比よりも大きい値となる。空燃比が大きい値となるほどPM排出量は減少する傾向にあるため、「dGA>1」のときには、実排出量PMeBが基準排出量PMebaseを下回っていることになる。
従って、排出量補正係数ekPMは「dGA>1」の領域において、基準排出量PMebaseを減少側へ補正する値(「1」よりも小さい値)に設定される。また、「dGA>1」の領域において、吸気量偏差率dGAが「1」から離れるほど(吸気量偏差率dGAが大きくなるほど)排出量補正係数ekPMは小さな値に設定される。これにより、「dGA>1」の領域においては、吸気量偏差率dGAが大きな値となるほど基準排出量PMebaseは減少側に補正される。
図9に、大気圧PAと排出量補正係数ekPMとの関係を示す。なお、ここでは、基準吸気量GAbaseが標準大気圧PAbaseを基準として設定されている場合を想定している。
大気圧PAが標準大気圧PAbaseのとき、実吸気量GAactと基準吸気量GAbaseとが等しい状態にあるため、排出量補正係数ekPMは「1」に設定される。
「PA<PAbase」のとき、実吸気量GAactが基準吸気量GAbaseを下回った状態にあるため、実排出量PMeBは基準排出量PMebaseを上回っていることになる。
従って、排出量補正係数ekPMは「PA<PAbase」の領域において、基準排出量PMebaseを増大側へ補正する値に設定される。また、「dGA<1」の領域において、吸気量偏差率dGAが小さくなるほど排出量補正係数ekPMは大きな値に設定される。これにより、「PA<PAbase」の領域においては、大気圧PAが小さな値となるほど基準排出量PMebaseは増大側に補正される。
「PA<PAbase」のとき、実吸気量GAactが基準吸気量GAbaseを下回った状態にあるため、実排出量PMeBは基準排出量PMebaseを上回っていることになる。
従って、排出量補正係数ekPMは「PA<PAbase」の領域において、基準排出量PMebaseを増大側へ補正する値に設定される。また、「dGA<1」の領域において、吸気量偏差率dGAが小さくなるほど排出量補正係数ekPMは大きな値に設定される。これにより、「PA<PAbase」の領域においては、大気圧PAが小さな値となるほど基準排出量PMebaseは減少側に補正される。
補正係数演算マップ(図7)は、こうした吸気量偏差率dGAと排出量補正係数ekPMとの関係、及び大気圧PAと排出量補正係数ekPMとの関係に基づいて、吸気量偏差率dGA及び大気圧PAと排出量補正係数ekPMとの対応関係が設定されている。即ち、補正係数演算マップ(図7)においては、吸気量偏差率dGAが大きくなるほど排出量補正係数ekPMは小さい値を示す。また、大気圧PAが大きくなるほど排出量補正係数ekPMは小さい値を示す。
[ステップS125]排出量補正係数ekPMに基づいて基準排出量PMebaseを補正する。そして、この補正後の値をPM排出量PMeとして設定する。即ち、下記計算式

PMe ← PMebase×ekPM

を通じてPM排出量PMeの算出を行う。
これにより、吸気量偏差率dGA及び大気圧PAに応じて補正された基準排出量PMebaseがPM排出量PMeとして採用されることになるめ、実吸気量GAactと基準吸気量GAbaseとにずれが生じている場合にあっても、こうしたずれが補償されて適切なPM排出量PMeを得ることができるようになる。
<バーンアップ型昇温処理>
「PM再生制御処理」の説明に先立ち、「PM再生制御処理」における昇温処理の一形態として実施されるバーンアップ型昇温処理について、図10を参照して説明する。なお、本実施形態で実行されるバーンアップ型昇温処理が第2昇温処理に相当する。
図10に、バーンアップ型昇温処理における添加弁EIの燃料添加態様、及び同添加態様に対応した排気の空燃比の推移を示す。
同図に示すように、バーンアップ型昇温処理では、添加弁EIからの集中的な間欠燃料添加(Aの期間)及び同燃料添加の停止(Bの期間)を繰り返し実行するようにしている。
集中的な間欠燃料添加によれば、主にPMフィルタ52への未燃燃料成分及び酸素の時間当たりの供給量を、通常の昇温処理では燃焼しきらないPMを燃焼することのできる値まで上昇させることができる。これにより、PMフィルタ52に堆積しているPMが確実に除去されるようになる。
ただし、上述のような集中的な間欠添加を実施すると、触媒床温の上昇が顕著になるため、バーンアップ型昇温処理においては、燃料添加を定期的に停止して触媒床温が過度に上昇することを抑制するようにしている。その結果、集中的な間欠燃料添加及び停止が繰り返されることになり、これに対応して排気の空燃比がリッチとリーンとの間で反転するようになる。
<PM再生制御処理>
図11及び図12に、「PM再生制御処理」の処理手順を示す。
本処理は、「PM再生制御モード実行判定処理」のステップS400の処理を通じて開始される。また、PM再生制御モード実行判定処理(図2)と同じ周期で実行され、同判定処理の処理の次に実行される。
[ステップS401]PM堆積量PMsが変換判定基準範囲(変換判定値PMnd以下)内か否かを判定する。即ち、下記条件

PMs≦PMnd

が満たされているか否かを判定する。
変換判定基準範囲は、バーンアップ型昇温処理の実行が許容される範囲として設定される。ただし、基準堆積量PMstが変換判定基準範囲にある場合であっても、予め設定されている条件が満たされていないときは、バーンアップ型昇温処理が実行されることはない。
変換判定値PMndは、基準堆積量PMstよりも十分に小さく、且つ後述する終了判定値PMrd(ここでは「0」)よりもわずかに大きい値として予め設定される。
[ステップS402]PM堆積量PMsが変換判定値PMndよりも大きいとき(PM堆積量PMsが変換判定基準範囲外のとき)、PM浄化用昇温処理の実行が開始される。なお、ここで実行されるPM浄化用昇温処理を、バーンアップ型昇温処理(ステップS412)と区別するために、適宜「通常の昇温処理」として示す。
このPM浄化用昇温処理(通常の昇温処理)では、排気がストイキよりも大きい空燃比にある状態で、添加弁EIからの燃料添加を繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)する処理を行う。
これにより、PM酸化量PMcが大きくなるため、PM堆積量PMsは次第に小さくなる。なお、PM堆積量PMsが変換判定値PMndよりも大きいときは、上記燃料添加によるPMの浄化処理が継続して行われる。
[ステップS403]PM浄化用昇温処理によりPM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下となったとき(PM堆積量PMsが変換判定基準範囲内となったとき)、次の(a)及び(b)の条件のいずれかが満たされているか否かを判定する。
(a)S被毒回復制御モードの実行中。
(b)S被毒回復制御モードの実行要求がある。
[ステップS404]「S被毒回復制御モードの実行中」あるいは「S被毒回復制御モードの実行要求がある」の条件のいずれかが満たされているとき、PM浄化用昇温処理を停止する。なお、ここでは、S被毒回復制御モードを通じて、PM浄化用昇温処理と類似の処理が実行されることを考慮して、PM浄化用昇温処理を停止するようにしている。
[ステップS405]「S被毒回復制御モードの実行中」あるいは「S被毒回復制御モードの実行要求がある」の条件のいずれもが満たされていないとき、PMフィルタ52の排気上流側と排気下流側との差圧(差圧センサ93の検出データ(差圧△P))と吸入空気量GAとの比(排気差圧PG)を算出する。即ち、下記計算式

PG ← △P/GA

を通じて排気差圧PGの算出を行う。なお、排気差圧PGは、排気圧力差に相当する。
[ステップS406]排気差圧PGが基準差圧Dp以上か否かを判定する。即ち、下記条件

PG≧Dp

が満たされているか否かを判定する。
基準差圧Dpは、排気差圧PGが以下の(a)及び(b)の条件を満たす領域にあるか否かを判定するための値として予め設定される。
(a)PMフィルタ52にPMの詰まりが生じていない。
(b)PMフィルタ52における実際のPMの堆積量(実堆積量)がPM堆積量PMsと乖離していない。
上記判定処理においては、排気差圧PGが基準差圧Dp以上のとき、上記各条件が満たされた状態にあると判定される。一方で、排気差圧PGが基準差圧Dp未満のとき、上記各条件のいずれもが満たされていない状態にあると判定される。
なお、こうした「PMの詰まり」及び「実堆積量とPM堆積量PMsとの乖離」についての判定に際しては、差圧△Pと排気流量との比に基づいて判定することもできるが、吸入空気量GAは排気流量と正比例関係にあるため、上記態様をもって判定処理を行った場合にあってもその判定結果の精度は確保される。
[ステップS407]排気差圧PGが基準差圧Dp未満のとき、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下か否かを判定する。即ち、下記条件

PMs≦PMrd

が満たされているか否かを判定する。
なお、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となるまでは、PM浄化用昇温処理(ステップS402)が継続されるため、PM堆積量PMsは減少する傾向を示す。
[ステップS408]「PG<Dp」の状態が継続している状況下において、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となったとき(ここではPM堆積量PMsが「0」となったときに相当する)、PM浄化用昇温処理を停止する。
[ステップS409]PM再生制御モードを完了状態に設定する。
こうした態様をもって、PMフィルタ52内に捕集されていたPMの浄化が完了する。そして、「PM再生制御モード実行判定処理」(図2)において、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下の値から増加して基準堆積量PMst以上となったとき、S被毒回復制御モードによる「PM再生制御処理」の停止が設定されていないことを条件に、「PM再生制御処理」が上記態様をもって行われる。
一方で、PMフィルタ52にPMの詰まりが生じており、実堆積量がPM堆積量PMsと乖離しているとき(排気差圧PGが基準差圧Dp以上のとき)、以下の態様をもってPMの浄化が行われる。
[ステップS410]「PG≧Dp」であることを連続して判定した回数(判定回数Nc)が停止判定値NcX(例えば2回)以下か否かを判定する。即ち、下記条件

Nc≦NcX

が満たされているか否かを判定する。
停止判定値NcXは、PM浄化用昇温処理を通常の昇温処理からバーンアップ型昇温処理へ切り替える必要があることを判定するための値として予め設定される。
上記判定処理においては、判定回数Ncが停止判定値NcX以下のとき、バーンアップ型昇温処理の実行要求がないと判定される。一方で、判定回数Ncが停止判定値NcXよりも大きいときは、バーンアップ型昇温処理の実行要求があると判定される。
[ステップS411]判定回数Ncが停止判定値NcX以下のとき、PM堆積量PMsを増加変換量UPpmに変換する。即ち、下記処理

PMs ← UPpm

を通じて増加変換量UPpmをPM堆積量PMsとして設定する。
増加変換量UPpmは、変換判定値PMndよりも大きく、且つ基準堆積量PMstよりも小さい値を有する一定値として予め設定される。従って、ステップS411の処理を通じて、PM堆積量PMsは変換判定値PMndよりも大きい値へ増加することになる。
[ステップS412]PM浄化用昇温処理を通常の昇温処理からバーンアップ型昇温処理に切り替えて、同昇温処理を実行する。
このバーンアップ型昇温処理では、添加弁EIからの燃料添加を集中的に行う期間と添加弁EIからの燃料添加量を「0」にする期間を規定の回数にわたって交互に繰り返す。
これにより、NOx触媒コンバータ51の前端面のPM詰まりが解消されるとともに、PMフィルタ52内に堆積しているPM(PM堆積量PMsよりも多い量のPM)を燃焼し尽くす処理が行われる。また、PM堆積量PMsと実堆積量との乖離の解消が図られる。
上記処理においては、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下となった後にPM堆積量PMsの変換を通じてバーンアップ型昇温処理を実行するようにしているため、PM堆積量PMsと実堆積量とが乖離していている場合にあっても大量のPMが急激に燃焼される事態を回避することが可能となる。
そして、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以上の間は、バーンアップ型昇温処理に切り替えられたPM浄化用昇温処理が実行される(ステップS402)。
<PM再生制御処理の実行態様>
図13及び図14を参照して、「PM再生制御処理」の実行態様の一例について説明する。
ここでは、「PM再生制御処理」によるPMの浄化態様を、〔1〕「通常の昇温処理を通じてPMの除去が行われる場合」と〔2〕「バーンアップ型昇温処理を通じてPMの除去が行われる場合」とに分類し、それぞれの浄化態様について説明する。
〔1〕「通常の昇温処理によるPMの浄化態様」
図13に、通常の昇温処理を通じてPM堆積量PMsを終了判定値PMrd以下まで減少させた場合のPM堆積量PMsの推移を示す。
時刻t131において、PM堆積量PMsが基準堆積量PMst以上であることが検出されたとすると(図2:ステップS200→Yes)、S被毒回復制御モードによりPM浄化用昇温処理が停止されていないことを条件に(図2:ステップS300→Yes)、「PM再生制御処理」の実行が開始される(図2:ステップS400)。
時刻t131以降は、PM堆積量PMsが変換判定値PMndよりも大きいことに基づいて(図10:ステップS401→No)、PM浄化用昇温処理(通常の昇温処理)が実行される(図11:ステップS402)。そして、この昇温処理を通じてPMの浄化が図られるため、PM堆積量PMsは減少する傾向を示す。
時刻t132において、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下であることが検出されて(図11:ステップS401→Yes)、さらにS被毒回復制御モードの実行/実行要求がオフ(図11:ステップS403→Yes)であることが判定されたとすると、バーンアップ型昇温処理の実行要求があるか否かについての判定が行われる。
ここで、排気差圧PGが基準差圧Dp未満(図11:ステップS406→No)であることが判定されたとすると、PM堆積量PMsが終了判定値PMrdよりも大きいことを条件に(図12:ステップS407→No)、通常の昇温処理が継続して実行される(図12:ステップS402)。
時刻t133において、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下であることが検出されたとすると(図12:ステップS407→Yes)、PM浄化用昇温処理の停止(図12:ステップS408)、及びPM再生制御モードの完了状態の設定(図12:ステップS409)が行われる。
時刻t133以降は、PM浄化用昇温処理が停止されたことにより、PM堆積量PMsが増加する傾向を示す。そして、再度、PM堆積量PMsが基準堆積量PMst以上となったとき、上記時刻tX0以降と同様の態様をもってPMの浄化処理が再開される。
〔2〕「バーンアップ型昇温処理によるPMの浄化態様」
図14に、バーンアップ型昇温処理を通じてPM堆積量PMsを終了判定値PMrd以下まで減少させた場合のPM堆積量PMsの推移を示す。
時刻t141において、PM堆積量PMsが基準堆積量PMst以上であることが検出されたとすると(図2:ステップS200→Yes)、S被毒回復制御モードによりPM浄化用昇温処理が停止されていないことを条件に(図2:ステップS300→Yes)、「PM再生制御処理」の実行が開始される(図2:ステップS400)。
時刻t141以降は、PM堆積量PMsが変換判定値PMndよりも大きいことに基づいて(図11:ステップS401→No)、PM浄化用昇温処理(通常の昇温処理)が実行される(図12:ステップS402)。そして、この昇温処理を通じてPMの浄化が図られるため、PM堆積量PMsは減少する傾向を示す。
時刻t142において、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下であることが検出され(図11:ステップS401→Yes)、さらにS被毒回復制御モードの実行/実行要求がオフ(図11:ステップS403→Yes)であることが判定されたとすると、バーンアップ型昇温処理の実行要求があるか否かについての判定が行われる。
ここで、排気差圧PGが基準差圧Dp以上であるとすると(図11:ステップS406→Yes)、判定回数Nc(1回)が停止判定値NcX(2回)以下であることに基づいて(図11:ステップS410→Yes)、PM堆積量PMsが増加変換量UPpmに変換される(図11:ステップS411)。これにより、PM堆積量PMsは変換判定値PMndよりも大きい値へ増加するようになる。
そして、PM浄化用昇温処理が通常の昇温処理からバーンアップ型昇温処理に切り替えられる(図11:ステップS412)。これにより、NOx触媒コンバータ51におけるPM詰まりが解消されるとともに、PMフィルタ52内のPMの燃焼によりPM堆積量PMsと実堆積量との乖離の解消が図られるようになる。
時刻t142以降において、PM堆積量PMsが変換判定値PMndよりも大きいことが検出されている間は(図11:ステップS401→No)、バーンアップ型昇温処理に切り替えられたPM浄化用昇温処理が継続して実行される(図12:ステップS402)。
時刻t143において、再度、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下となったときに(図11:ステップS401→Yes)、排気差圧PGが基準差圧Dp未満であることが検出されたとすると(図11:ステップS406→No)、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となるまで(図12:ステップS407→Yes)、PM浄化用昇温処理が継続して実行される(図12:ステップS402)。なお、こうした態様でPM浄化用昇温処理が実行された場合は、時刻t143以降、一点鎖線で示すようにPM堆積量PMsが推移する。
時刻t143aにおいて、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下であることが検出されたとすると(図12:ステップS407→Yes)、PM浄化用昇温処理の停止(図12:ステップS408)、及びPM再生制御モードの完了状態の設定(図12:ステップS409)が行われる。
一方、時刻t143において、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下となったときに(図11:ステップS401→Yes)、排気差圧PGが基準差圧Dp以上であることが検出されたとすると(図11:ステップS406→Yes)、判定回数Nc(2回)が停止判定値NcX(2回)以下であることに基づいて(図11:ステップS410→Yes)、PM堆積量PMsが増加変換量UPpmに変換される(図11:ステップS411)。
そして、バーンアップ型昇温処理が継続して実行される(図11:ステップS412)。なお、こうした態様でPM浄化用昇温処理が実行された場合は、時刻t143以降、実線で示すようにPM堆積量PMsが推移する。
時刻t143以降において、PM堆積量PMsが変換判定値PMndよりも大きい間は(図11:ステップS401→No)、PM浄化用昇温処理(バーンアップ型昇温処理)が継続される(図12:ステップS402)。
時刻t144において、再度、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下となったときに(図11:ステップS401→Yes)、排気差圧PGが基準差圧Dp以上であることが検出されたとする(図11:ステップS406→Yes)。
このとき、判定回数Nc(3回)が停止判定値NcX(2回)よりも大きいため、PM堆積量PMsの増加変換量UPpmへの変換は実行されず(図11:ステップS410→No)、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となるまでバーンアップ型昇温処理が継続される(図12:ステップS402)。
そして、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となったことに基づいて(図12:ステップS407→Yes)、PM浄化用昇温処理の停止(図12:ステップS408)、及びPM再生制御モードの完了状態の設定(図12:ステップS409)が行われる。
一方、時刻t144において、排気差圧PGが基準差圧Dp未満であることが検出されたとすると(図11:ステップS406→No)、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となるまでバーンアップ型昇温処理が継続される(図12:ステップS402)。
そして、PM堆積量PMsが終了判定値PMrd以下となったことに基づいて(図12:ステップS407→Yes)、PM浄化用昇温処理の停止(図12:ステップS408)、及びPM再生制御モードの完了状態の設定(図12:ステップS409)が行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第1実施形態にかかるエンジンの排気浄化制御装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)排気の流動抵抗はPMフィルタ52におけるPMの堆積度合いに応じて増加するため、排気差圧PGはPMの実堆積量に応じて増大する傾向を示す。従って、PM堆積量PMsと実堆積量とに乖離が存在していないとき、排気差圧PGはPM堆積量PMsに対応していることになる。
こうしたことから、PM堆積量PMsが変換判定基準範囲内(変換判定値PMnd以下)に達したとき、差圧センサ93の検出データに基づいて把握される排気差圧PGが変換判定基準範囲に対応した値であればPM堆積量PMsは正確に推定されていることになる。
しかし、排気差圧PGが変換判定基準範囲に対応した値よりも大きな値であれば、実堆積量がPM堆積量PMsよりも大きいことになる。この場合、そのときのPM堆積量PMsに基づいてPM再生制御モードを完了させたとすると、実際にはPMが残存しているにもかかわらずPMの除去が行われないようになる。そして、こうした処理が繰り返されたとすると、PM堆積量PMsと実堆積量との乖離が次第に大きくなり、最終的には予定よりも大量のPMが急激に燃焼することによりPMフィルタ52の熱劣化をまねくようになる。
この点、本実施形態では、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下のとき、排気差圧PGと基準差圧Dpとの比較を通じて、PM堆積量PMsと実堆積量とに乖離が生じているか否かを判定する。そして、「PG≧Dp」のときは、PM堆積量PMsを増加変換量UPpmへ変換するようにしている。これにより、PM堆積量PMsを実堆積量に近づけるあるいは一致させることが可能となるため、PM堆積量PMsと実堆積量との乖離を補償してPMを適切な態様をもって浄化することができるようになる。そして、こうした処理を通じて、大量のPMが急激に燃焼する事態が好適に回避されるようになる。
(2)本実施形態では、PM再生制御モードが完了される直前の領域(終了判定値PMrdの直前の領域)を変換判定基準範囲として設定するようにしている。
これにより、バーンアップ型昇温処理は、PM浄化用昇温処理(通常の昇温処理)を通じてPMフィルタ52のPMが十分に除去された後、PM堆積量PMsと実堆積量との乖離を解消すべく実行されることになる。従って、大量のPMが急激に燃焼する事態が防止されるようになるため、PMフィルタ52の過熱状態を好適に回避することができるようになる。
(3)本実施形態では、PM堆積量PMsを増加変換量UPpmに変換した後において、再度、排気差圧PGが基準差圧Dp以上であることを判定したとき、PM堆積量PMsから増加変換量UPpmへの変換をもう一度実行するようにしている。
これにより、前回のPM堆積量PMsの変換処理によってPM堆積量PMsと実堆積量との乖離が十分に解消されなかった場合にあっても、こうした乖離を的確に解消することができるようになる。
(4)本実施形態では、判定回数Ncが停止判定値NcXを上回ったとき、排気差圧PGが基準差圧Dp以上であっても、PM堆積量PMsから増加変換量UPpmへの変換を実行しないようにしている。
ちなみに、アッシュなどの非可燃性物質がPMフィルタ52へ堆積していることにより、「PG≧Dp」の状態が継続することもある。このような場合に、PM堆積量PMsの変換を繰り返してPM再生制御モードを継続したとすると、燃費の悪化をまねくようになる。
この点、上記本実施形態の構成を採用することにより、PM堆積量PMsの変換の回数が制限されるため、上述のように燃費の悪化をまねくことを好適に回避することができるようになる。
(5)本実施形態では、S被毒回復制御モードの実行中(あるいはその実行要求があるとき)、PM浄化用昇温処理(バーンアップ型昇温処理を含む)を停止するようにしている。
ちなみに、S被毒回復制御は、バーンアップ型昇温処理と同様の効果を伴う制御であるため、このS被毒回復制御が実行されているときは、バーンアップ型昇温処理を実行しなくともPM堆積量PMsと実堆積量との乖離の解消が図られることになる。
従って、上記本実施形他の構成を採用することにより、PM浄化用昇温処理(本実施形態では特にバーンアップ型昇温処理)の実行の抑制を通じて、燃費の向上を図ることができるようになる。
(6)本実施形態では、エンジン回転速度NE及び燃料噴射量qiから算出されたPM排出量(基準排出量PMebase)を吸気量偏差率dGAに基づいて補正して、PM堆積量PMsを算出するようにしている。
ちなみに、エンジン1の過渡運転状態には、実吸気量GAactと基準吸気量GAbaseと間にずれが生じるようになる。また、環境条件(例えば大気圧)が変化することによっても、実吸気量GAactと基準吸気量GAbaseとのずれが生じるようになる。
上記本実施形態の構成を採用することにより、こうした基準吸気量GAbaseと実吸気量GAactとのずれが生じた場合にあっても、PM堆積量の推定誤差を補償して、適切なPM堆積量を把握することができるようになる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図15を参照して説明する。
本実施形態は、前記第1実施形態の「PM再生制御処理」(図11及び図12)に対して、図15の破線内の処理をさらに追加した構成となっている。
本実施形態では、PMフィルタ52にPMの詰まりが生じていない場合にバーンアップ型昇温処理を実行することにより、通常の昇温処理では燃焼しきらないPMを確実に除去することができるようにしている。なお、本実施形態で実施されるバーンアップ型昇温処理を前記第1実施形態のバーンアップ型昇温処理と区別するため、以降では定常バーンアップ型昇温処理とする。なお、定常バーンアップ処理が第1昇温処理に相当する。
本実施形態の定常バーンアップ型昇温処理も、集中的な間欠燃料添加により、主にPMフィルタ52への未燃燃料成分及び酸素の時間当たりの供給量を、通常の昇温処理では燃焼しきらないPMを燃焼することのできる値まで上昇させるようにしている。
<PM再生制御処理>
[ステップS421]PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下のとき、バーンアップ型昇温処理の停止中か否かを判定する。
[ステップS422]バーンアップ型昇温処理が停止中のとき、PM浄化用昇温処理を通常の昇温処理から定常バーンアップ型昇温処理に切り替えて、同昇温処理を実行する。
このように、定常バーンアップ型昇温処理は、バーンアップ型昇温処理の停止中であることを条件に実行される。即ち、バーンアップ型昇温処理が実行されているときは、PM再生制御モードが一旦完了されるまで、同昇温処理が継続されるとともに定常バーンアップ型昇温処理が実行されない。
[ステップS423]定常バーンアップ型昇温処理における間欠燃料添加及び停止の実行回数(実行回数Nf)が停止判定値NfX(例えば3回)以下か否かを判定する。即ち、下記条件

Nf≦NfX

が満たされているか否かを判定する。なお、上記処理においては、図10にて示したAの期間及びBの期間を間欠燃料添加及び停止の1回の実行としてカウントする。
停止判定値NcXは、PMフィルタ52に堆積しているPMをすべて燃焼した状態まで定常バーンアップ処理を継続するための値として予め設定される。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかるエンジンの排気浄化制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(6)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(7)本実施形態では、PM堆積量PMsが変換判定値PMnd以下のとき、バーンアップ型昇温処理の停止中であることを条件に、定常バーンアップ型昇温処理を実行するようにしている。これにより、PMフィルタ52への未燃燃料成分及び酸素の単位時間あたりの供給量が、通常の昇温処理では十分に燃焼することのできなかった粒子状物質の燃焼が可能となる値まで増量されるようになる。これにより、粒子状物質を確実に除去することができるようになる。
<変更例>
なお、上記第2実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第2実施形態において、バーンアップ型昇温処理を廃止し、定常バーンアップ型昇温処理のみを通じてPMフィルタ52に堆積しているPMの完全な除去を図ることもできる。この場合、「PM再生制御処理」においては、ステップS405,S406,S410,S411,S412の処理が省略されるとともに、ステップS403の判定結果が「Yes」のときは常にステップS407へ移行するように変更される。また、バーンアップ型昇温処理の廃止にあわせてステップS421の処理も省略される。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することができる要素を以下に列挙する。
・上記各実施形態では、吸気量偏差率dGA及び大気圧PAをパラメータとして排出量補正係数ekPMを算出する構成としたが、吸気量偏差率dGAのみをパラメータとして排出量補正係数ekPMを算出することもできる。こうした構成を採用した場合にあっても、PM排出量PMeの推定精度が好適に確保されるようになる。
・上記各実施形態では、「PM排出量補正処理」において、吸気量偏差率dGAに基づいて排出量補正係数ekPMを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、吸気量偏差率dGAに換えて、基準吸気量GAbaseに対する実吸気量GAactの偏差(吸気量偏差△GA=GAbase−GAact)を算出し、この吸気量偏差△GAをパラメータとして排出量補正係数ekPMを算出することもできる。この場合、吸気量偏差△GAと排出量補正係数ekPMとは次のような関係に設定される。
(a)吸気量偏差△GAが正側に大きくなるほど粒子状物質排出量が増大する傾向を示すため、排出量補正係数ekPMは吸気量偏差△GAに応じて基準排出量PMebaseを増大側へ補正する値に設定される。
(b)吸気量偏差△GAが負側に大きくなるほど粒子状物質排出量が減少する傾向を示すため、排出量補正係数ekPMは吸気量偏差△GAに応じて基準排出量PMebaseを減少側へ補正する値に設定される。
本発明にかかるエンジンの排気浄化制御装置を具体化した第1実施形態について、装置の全体構成を示す概略構成図。 同実施形態において行われる「PM再生制御モード実行判定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において行われる「PM堆積量推定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の「PM堆積量推定処理」にて用いられる基準排出量演算マップの一例を示す図。 同実施形態において行われる「PM排出量補正処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の「PM排出量補正処理」にて用いられる基準吸気量演算マップの一例を示す図。 同実施形態の「PM排出量補正処理」にて用いられる補正係数演算マップの一例を示す図。 同実施形態の補正係数演算マップについて、吸気量偏差率と排出量補正係数との関係を示す図。 同実施形態の補正係数演算マップについて、大気圧と排出量補正係数との関係を示す図。 同実施形態のバーンアップ型昇温処理にともなう燃料添加量及び排気空燃比の推移を示すタイミングチャート。 同実施形態において行われる「PM再生制御処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。 同実施形態において行われる「PM再生制御処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。 同実施形態の「PM再生制御処理」によるPMの除去態様の一例を示すタイムチャート。 同実施形態の「PM再生制御処理」によるPMの除去態様の一例を示すタイムチャート。 本発明にかかるエンジンの排気浄化制御装置を具体化した第2実施形態について、同実施形態にて行われる「PM再生制御処理」の処理手順の一部を示すフローチャート。
符号の説明
1…ディーゼルエンジン、11…シリンダ、12…ピストン、13…燃焼室、14…吸気管、15…排気管、16…エアクリーナ、17…インタークーラ、18…吸気絞り弁、2…ターボチャージャ、21…コンプレッサ、22…排気タービン、3…コモンレール式燃料供給装置、31…燃料タンク、32…燃料ポンプ、33…コモンレール、34a…第1燃料配管、34b…第2燃料配管、34c…第3燃料配管、34d…第4燃料配管、DI…燃料噴射弁、EI…添加弁、4…排気再循環装置、41…EGR通路、42…EGR触媒、43…EGRクーラ、44…EGR弁、5…排気浄化装置、51…NOx触媒コンバータ、52…PMフィルタ、53…酸化触媒コンバータ、9…電子制御装置、91…流入ガス温度センサ、92…流出ガス温度センサ、93…差圧センサ、94…空燃比センサ、95…エアフロメータ、96…吸気温センサ、97…回転速度センサ。

Claims (18)

  1. 排気浄化装置を備えたエンジンに適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を推定するエンジンの粒子状物質排出量推定方法であって、
    前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、
    前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの粒子状物質排出量推定方法。
  2. 請求項1に記載のエンジンの粒子状物質排出量推定方法において、
    前記吸気量偏差率が小さくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正する
    ことを特徴とするエンジンの粒子状物質排出量推定方法。
  3. 排気浄化装置を備えたエンジンに適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を推定するエンジンの粒子状物質排出量推定方法であって、
    前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、
    前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの粒子状物質排出量推定方法。
  4. 請求項3に記載のエンジンの粒子状物質排出量推定方法において、
    前記偏差が正側に大きくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正し、前記偏差が負側に大きくなるほど前記基準排出量を減少側へ補正する
    ことを特徴とするエンジンの粒子状物質排出量推定方法。
  5. エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、
    前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備えた
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  6. エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、
    前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、
    該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったとき、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第1昇温処理へ切り替える
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  7. エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記実吸気量を前記基準吸気量で除算することにより得られる吸気量偏差率を算出する処理と、
    前記吸気量偏差率に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに前記昇温処理の実行を開始し、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったことを条件に、差圧センサによる前記排気浄化装置の上流側と下流側との排気圧力差が基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値を前記変換判定値よりも大きい値へ変換する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記推定手段は、前記吸気量偏差率が小さくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  9. エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、前記エンジンの定常運転状態における前記粒子状物質の排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記エンジンの定常運転状態における前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、
    前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備えた
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  10. エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、
    前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、
    該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったとき、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第1昇温処理へ切り替える
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  11. エンジンの排気系に設けられた排気浄化装置に適用されて、燃焼室からの粒子状物質の排出量を前記エンジンの運転状態に基づいて推定し、該排出量の推定値である基準排出量を加味して前記排気浄化装置における前記粒子状物質の堆積量を推定し、該堆積量の推定値に基づいて、前記排気浄化装置に堆積している粒子状物質を浄化するための昇温処理を実行する制御手段を備えたエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記エンジンの吸入空気量の推定値である基準吸気量を前記エンジンの回転速度及び前記エンジンの負荷に基づいて算出する処理と、
    前記エンジンの実際の吸入空気量である実吸気量を前記エンジンの吸気センサの検出データから把握する処理と、
    前記基準吸気量に対する前記実吸気量の偏差を算出する処理と、
    前記偏差に基づいて前記基準排出量を補正する処理とを含めて前記粒子状物質の排出量を推定する推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに前記昇温処理の実行を開始し、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったことを条件に、差圧センサによる前記排気浄化装置の上流側と下流側との排気圧力差が基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値を前記変換判定値よりも大きい値へ変換する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記推定手段は、前記偏差が正側に大きくなるほど前記基準排出量を増大側へ補正し、前記偏差が負側に大きくなるほど前記基準排出量を減少側へ補正する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  13. 請求項5または7または8または9または11または12に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、
    該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったとき、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第1昇温処理へ切り替える
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  14. 請求項5または6または8または9または10または12または13に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が基準堆積量以上となったときに前記昇温処理の実行を開始し、該昇温処理の実行により前記堆積量の推定値が前記基準堆積量よりも小さく設定された変換判定値以下となったことを条件に、差圧センサによる前記排気浄化装置の上流側と下流側との排気圧力差が基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値を前記変換判定値よりも大きい値へ変換する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  15. 請求項7または11または14に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値が前記基準堆積量以上となったときに、前記昇温処理として前記排気浄化装置へ未燃燃料成分を供給する燃料添加を開始するものであり、
    前記堆積量の推定値の変換後、前記昇温処理を、前記排気浄化装置への集中的な間欠燃料添加及び該燃料添加の停止を繰り返し実行する第2昇温処理へ切り替える
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  16. 請求項7または11または14または15に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記制御手段は、前記堆積量の推定値の変換後、前記堆積量の推定値が変換後の値から減少して前記変換判定値以下となったことを条件に、前記排気圧力差が前記基準差圧よりも大きいことを検出したとき、前記堆積量の推定値の変換を再度実行する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  17. 請求項16に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記制御手段は、前記排気圧力差が前記基準差圧よりも大きい状態が継続していることにより、前記堆積量の推定値の変換を実行した回数が停止判定値に達したとき、そのときに継続されている昇温処理が一旦完了するまでは前記堆積量の推定値の変換を停止する
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  18. 請求項7または11または14〜17のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化制御装置において、
    前記制御手段は、前記排気浄化装置から硫黄成分を放出させて硫黄被毒から回復させる処理の実行中あるいは該処理の実行要求があるときには、前記堆積量の推定値の変換を実行しない
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
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