JP4376560B2 - マイクロ化学チップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な流路を流通する流体や試薬などの被処理流体に対して、反応や分析などの予め定める処理を施すことのできるマイクロ化学チップに関し、さらに詳しくは、たとえば血液と試薬を混合して反応させる場合のように、異なる複数の被処理流体を混合させてから加熱して化学反応させて反応生成物を生成することができるマイクロ化学チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化学技術やバイオ技術の分野では、試料に対する反応や試料の分析などを微小な領域で行うための研究が行われており、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(Micro Electro Mechanical Systems;略称:MEMS)技術を用いて化学反応や生化学反応、試料の分析などのシステムを小型化したマイクロ化学システムが研究開発されている。
【0003】
マイクロ化学システムにおける反応や分析は、マイクロ流路、マイクロポンプおよびマイクロリアクタなどが形成されたマイクロ化学チップと呼ばれる1つのチップを用いて行われる。たとえば、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る1つの基体に、試料や試薬などの流体を供給するための供給口と、処理後の流体を導出するための採取口とを形成し、この供給口と採取口とを断面積が微小なマイクロ流路で接続し、流路の適当な位置に送液のためのマイクロポンプを配置したマイクロ化学チップが提案されている(特許文献1参照)。また、送液の手段として、マイクロポンプに代えて、電気浸透現象を利用したキャピラリ泳動型のものも提案されている(特許文献2参照)。これらのマイクロ化学チップでは、流路は所定の位置で合流しており、合流部で流体の混合が行われる。
【0004】
マイクロ化学システムでは、従来のシステムに比べ、機器や手法が微細化されているので、試料の単位体積あたりの反応表面積を増大させ、反応時間を大幅に削減することができる。また流量の精密な制御が可能であるので、反応や分析を効率的に行うことができる。さらに反応や分析に必要な試料や試薬の量を少なくすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−214241号公報(第4−5頁,第1図)
【特許文献2】
特開2001−108619号公報(第4−5頁,第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したマイクロ化学チップでは、複数の供給部からそれぞれ供給された複数の被処理流体を混合して化学反応させて反応生成物を生成することができる。反応生成物を得るための化学反応としては、常温よりも高い温度でなければ進行しないものがあり、このような化学反応を行うためには被処理流体を加熱する必要がある。また、反応生成物を得るために、加熱が必要な化学反応を複数回行わなければならない場合もある。
【0007】
マイクロ化学チップにおいて、加熱が必要な化学反応を複数回行って反応生成物を生成する場合は、複数個の加熱処理部を設ける必要がある。しかし、マイクロ化学チップは構成自体が小さいものであるので、複数個の加熱処理部を設けると、各加熱処理部からの熱が他の加熱処理部に作用し、各加熱処理部での精密な温度制御が困難になる。そのため、従来のマイクロ化学チップには、加熱が必要な化学反応を複数回行って反応生成物を生成しようとした場合に、各化学反応が不完全になり、所望の反応生成物を高い収率で得ることができないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、複数の各加熱処理部での精密な温度制御を可能とし、これによって加熱が必要な化学反応を複数回行って生成される反応生成物を高い収率で得ることができるマイクロ化学チップを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被処理流体を流通させる流路と、該流路に接続され、前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させる複数の供給部と、合流された複数の被処理流体を加熱する複数の加熱処理部とが形成された基体を有し、前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させてから各加熱処理部で加熱して化学反応させて反応生成物を生成するマイクロ化学チップであって、
前記基体は、前記加熱処理部から発生した熱を基体外部に放出する放熱板を備え
前記放熱板は、前記基体の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料からなるとともに、前記基体の表面に接続され、前記基体の放熱が必要な部分に対応する部位おいてその厚みが大きくなっていることを特徴とするマイクロ化学チップである。
【0010】
本発明に従えば、複数の供給部から被処理流体を流入させると、流入された被処理流体は合流されて流路を流通し、各加熱処理部で加熱されて化学反応が進行する。したがって、複数の供給部からそれぞれ異なる複数の被処理流体を流入させれば、流入された複数の被処理流体が合流されて流路を流通し、各加熱処理部で化学反応して反応生成物が生成される。複数の供給部と流路との接続は、すべてを流路の同一位置たとえば最上流部に接続させてもよいし、互いに位置をずらして接続させてもよい。
【0011】
本発明では、基体は、加熱処理部から発生した熱を基体外部に放出する放熱を備えるので、各加熱処理部からの熱が他の加熱処理部に及ぼす影響を抑制することができ、各加熱処理部での精密な温度制御が可能となる。そのため、加熱が必要な化学反応を複数回行って反応生成物を生成しようとした場合に、各化学反応が充分に進行し、所望の反応生成物を高い収率で得ることができる。
【0012】
また本発明は、前記放熱部は、前記加熱処理部の間に対応する部位がその他の部位よりも厚みが大きいことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記放熱板は、前記加熱処理部に近接する基体表面に対向する領域に貫通孔を有することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記放熱板は、前記基体の表面のうち、前記加熱処理部の形成領域を前記基板の表面に対して垂直に投影して得られる領域の表面を除き、前記基板の残余の表面に接続されていることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記放熱板は、前記基体よりも熱伝導率が高い接着剤を用いて該基体に接続されていることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記基体は、前記流路に接続され、処理後の流体を外部に導出する採取部をさらに有し、該採取部から反応生成物を外部に導出することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の実施の一形態であるマイクロ化学チップ1の構成を簡略化して示す平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すマイクロ化学チップ1の切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を示す部分断面図である。なお、図1(b)では、切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を並べて示す。
【0021】
マイクロ化学チップ1は、被処理流体を流通させる流路12と、流路12に被処理流体をそれぞれ流入させる2つの供給部13a,13bと、混合された被処理流体を加熱して化学反応させる加熱処理部14a,14bと、反応後の流体を外部に導出する採取部15とが設けられた基体11を有する。基体11は、一表面に溝部33が形成された基体本体20と被覆部材である蓋体21とを含み、基体本体20の溝部33の形成された表面を蓋体21で覆うことによって流路12が形成されている。
【0022】
供給部13aは、流路12に接続される供給流路17aと、供給流路17aの端部に設けられる供給口16aと、流路12に接続する位置22よりも被処理流体の流通方向上流側に設けられるマイクロポンプ18aとを含む。同様に、供給部13bは、供給流路17bと、供給口16bと、マイクロポンプ18bとを含む。供給口16a,16bは、外部から供給流路17a,17bに被処理流体を注入することができるように開口されている。また採取部15は、流路12から被処理流体を外部に取り出すことができるように開口で実現されている。
【0023】
また、基体本体20の内部であって、加熱処理部14a,14bの流路12の下方には、ヒータ19a,19bが設けられる。加熱処理部14a,14bの流路12は、ヒータ19a,19bの上方を複数回数通過するようにたとえば葛折り状に屈曲して形成される。基体11の表面には、ヒータ19a,19bと外部電源とを接続するための図示しない配線がヒータ19a,19bから導出されている。この配線は、ヒータ19a,19bよりも電気抵抗値の低い金属材料で形成される。
【0024】
マイクロ化学チップ1では、2つの供給部13a,13bから流路12に2種類の被処理流体をそれぞれ流入させて合流させ、必要に応じて加熱処理部14a,14bにおいてヒータ19a,19bを用いて流路12を所定の温度で加熱し、流入された2種類の被処理流体を反応させ、得られた反応生成物を採取部15から導出させる。
基体は、前記流路に接続され、処理後の流体を外部に導出する採取部をさらに有し、該採取部から反応生成物を外部に導出するので、複数の供給部から流路にそれぞれ流入される複数の被処理流体を混合して化学反応させて反応生成物が得られ、得られた反応生成物は採取部から外部に導出される。したがって、たとえば2つの供給部を有し、一方の供給部から原料となる化合物を流入させ、他方の供給部から試薬を流入させ、化合物と試薬とを充分に混合させて反応させた後、得られた化合物を採取部から取り出すことのできる小型のマイクロ化学チップを得ることができる。
【0025】
本実施形態では、基体11は、加熱処理部14a,14bから発生した熱を基体11外部に放出する放熱部として、基体本体20に対して蓋体21が固着された表面とは反対側表面に固着された放熱板23を備える。放熱板23は、基体11の熱伝導率よりも高い熱伝導率の材料で形成される。たとえば、基体11をセラミックスで形成した場合は、放熱板23は、銅、アルミニウム、銅−タングステン合金、銅−モリブデン合金などで形成する。放熱板23は、基体11との密着性を高めるために、熱伝導率が基体11よりも高い接着剤を用いて基体11に固定することが好ましい。接着剤としては、たとえばシリコーン樹脂(信越化学製のG750)が用いられる。また、高熱伝導率グリースを介在してロウ付けをして固定してもよく、銀を含んだエポキシ樹脂やシリコーングリースを用いて固定してもよい。
【0026】
このように、基体11に放熱板23を固着したので、加熱処理部14a,14bから発生した熱は放熱板23を介して基体11外部に放出される。これによって、各加熱処理部14a,14bからの熱が他の加熱処理部14b,14aに及ぼす影響を抑制することができ、各加熱処理部14a,14bでの精密な温度制御が可能となる。そのため、加熱が必要な化学反応を複数回行って反応生成物を生成しようとした場合に、各化学反応が充分に進行し、所望の反応生成物を高い収率で得ることができる。
【0027】
また、放熱板23を配置するだけで放熱部が構成されるので、簡単に放熱部を構成することができる。また基体の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料から成る放熱板が、基体の表面に接続されているので、加熱処理部から周囲に伝導した熱は放熱板から外部に放出される。また、放熱板を配置するだけで放熱できるので、簡単に放熱を実現することができる。なお、放熱板は、基体との密着性を高めるために、熱伝導率が基体よりも高い接着剤を用いて基体に固定することが好ましい。
【0028】
さらに、放熱板23に、加熱処理部14a,14bに近接する基体表面に対向する領域に貫通孔23a,23bを形成してもよい。加熱処理部に近接する基体表面としては、加熱処理部からの距離が最も近い表面が好ましく、図1に示すように基体11が平板状である場合は、加熱処理部14a,14bの形成領域を、基体11の表面に対して垂直方向に投影して得られる領域の表面が好ましい。
【0029】
加熱処理部14a,14bに近接する基体表面に対向する領域に貫通孔23a,23bを有する放熱板23を用いると、加熱処理部14a,14bに近接する基体11表面からの放熱は抑えられるとともに、加熱処理部14a,14bから周囲に伝導した熱が放熱板23によって基体11外部に放熱され、加熱処理部14a,14bからの熱が他の加熱処理部14b,14aに及ぼす影響を抑えることができる。したがって、加熱処理部14a,14bでは他の加熱処理部14b,14aからの影響を受けることなく充分な熱が確保されるので、化学反応に好適な温度を維持することができる。これによって、高い収率で反応生成物を生成することができる。
【0030】
また、放熱板23は、貫通孔23aと貫通孔23bとの間の部位がその他の部位よりも厚いことが好ましい。この場合、加熱処理部14aと加熱処理部14bとの間に位置する放熱板23の部位で放熱性がより向上し、加熱処理部14aと加熱処理部14bとの間で熱的な影響を及ぼし合うのを有効に抑えることができる。
【0031】
流路12および供給流路17a,17bの断面積は、供給部13a,13bから流入される検体、試薬または洗浄液などを効率よく送液し混合するためには、2.5×10−3mm以上1mm以下であることが好ましい。しかしながら、断面積が2.5×10−3mm〜1mm程度の流路を流通する流体は、一般に層流状態で流れるので、2つの供給流路17a,17bを合流させただけでは、供給部13a,13bから流路12にそれぞれ流入され合流された2種類の被処理流体は、拡散のみによって混合される。したがって、合流された2種類の被処理流体を完全に混合させるためには長い流路を設ける必要があり、マイクロ化学チップの小型化には限界がある。
【0032】
そこで、流路12と供給部13a,13bとの接続位置22よりも被処理流体の流通方向下流側に、被処理流体を撹拌するための撹拌部を形成してもよい。撹拌部は、たとえば流路12に壁面に凹凸が形成された凹凸部分を形成することによって実現してもよいし、流路12に壁面が親水性または疎水性を有する親水性部分または疎水性部分を形成することによって実現してもよいし、被処理流体に振動を加えるための振動素子を配置して実現してもよいし、流路12を屈曲させて形成することによって実現してもよい。これによって、複数の被処理流体が合流された後、撹拌部によって合流した被処理流体内に乱流が発生する。
【0033】
このように合流した被処理流体内に乱流を発生させることによって、複数の被処理流体を混合することができる。これによって、拡散のみによって混合させる場合に比べて、短い流路で複数の被処理流体を充分に混合させることができる。したがって、流路12の長さを短くすることができるので、マイクロ化学チップ1の小型化を成すことができ、マイクロ化学チップ1を用いたマイクロ化学システムの小型化が可能となる。また、複数の被処理流体が充分に混合された状態で予め定める処理が施されるので、混合が不充分な場合に比べて、予め定める処理を確実に施すことができる。
【0034】
また、接続位置22と加熱処理部14aとの間に撹拌部を形成したことによって、合流された被処理流体は、加熱処理部14a,14bに達する際には充分に混合されている。したがって、たとえば供給部13aから原料となる化合物を流入させ、供給部13bから試薬を流入させ、化合物と試薬とを合流させて加熱処理部14a,14bのヒータ19a,19bで加熱することによって反応させる場合、化合物と試薬とが充分に混合された状態で加熱することができるので、化合物と試薬とを効率よく反応させ、採取部15から取り出される反応生成物の収率を向上させることができる。
【0035】
基体本体20には、セラミック材料、シリコン、ガラスまたは樹脂などから成るものを用いることができ、これらの中でもセラミック材料から成るものを用いることが好ましい。セラミック材料は、樹脂などに比べ、耐薬品性に優れるので、基体本体20がセラミック材料から成ることによって、耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップ1を得ることができる。基体本体11を構成するセラミック材料としては、たとえば酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体などを用いることができる。
【0036】
蓋体21には、ガラスまたはセラミック材料から成るものを用いることができるが、蓋体21がガラスから成る場合、被処理流体の混合状態や反応状態等を確認できるため好ましい。
【0037】
流路12および供給流路17a,17bの断面積は、前述のように、供給部13a,13bから流入される検体、試薬または洗浄液などを効率よく送液し混合するために、2.5×10−3mm以上1mm以下であることが好ましい。流路12および供給流路17a,17bの断面積が1mmを超えると、送液される検体、試薬または洗浄液の量が多くなり過ぎるので、単位体積あたりの反応表面積を増大させ、反応時間を大幅に削減させるというマイクロ化学チップの効果を充分に得ることができない。また流路12および供給流路17a,17bの断面積が2.5×10−3mm未満であると、マイクロポンプ18a,18bによる圧力の損失が大きくなり、送液に問題が生じる。したがって、流路12および供給流路17a,17bの断面積を2.5×10−3mm以上1mm以下とするのがよい。
【0038】
また、流路12および供給流路17a,17bの幅wは、50〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜500μmである。また流路12および供給流路17a,17bの深さdは、50〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜500μmであって、上記断面積の範囲となるようにすればよい。そして、流路12および供給流路17a,17bの断面形状が長方形である場合、幅(長辺)と深さ(短辺)の関係は、短辺長/長辺長≧0.4が好ましく、より好ましくは短辺長/長辺長≧0.6である。短辺長/長辺長<0.4では、圧力損失が大きくなり、送液に問題が生じる。
【0039】
マイクロ化学チップ1の外形寸法は、たとえば、幅Aが約40mmであり、奥行きBが約70mmであり、高さCが1〜2mmであるが、これにかかわらず、必要に応じ適切な外形寸法とすればよい。
【0040】
なお、使用後のマイクロ化学チップ1は、供給部13a,13bから洗浄液を流入させて洗浄すれば、再度使用することができる。
【0041】
次に、図1に示すマイクロ化学チップ1の製造方法を説明する。本実施形態では、基体本体20がセラミック材料から成る場合について説明する。図2は、セラミックグリーンシート31,32の加工状態を示す平面図である。図3は、セラミックシート31,32の積層状態を示す断面図である。
【0042】
まず、原料粉末に適当な有機バインダおよび溶剤を混合し、必要に応じて可塑剤または分散剤などを添加して泥奬にし、これをドクターブレード法またはカレンダーロール法などによってシート状に成形することによって、セラミックグリーンシート(別称:セラミック生シート)を形成する。原料粉末としては、たとえば、基体本体20が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムなどを用いる。
【0043】
本実施形態では、このようにして形成されるセラミックグリーンシートを2枚用いて基体本体20を形成する。まず、図2(a)に示すように、セラミックグリーンシート31の表面に型を押圧し、溝部33を形成する。このとき、型には、所望の溝部33の形状が転写された形状の型を用いる。なお、溝部33の形状として所定の壁面に対応する部分に凹凸形状が転写されている型を用いることによって、上述した撹拌部である凹凸部分を構成する溝部33の壁面に凹凸を形成することができる。
【0044】
また型を押圧する際の押圧力は、セラミックグリーンシートに成形される前の泥漿の粘度に応じて調整される。たとえば、泥漿の粘度が1〜4Pa・sである場合には、2.5〜7MPaの押圧力で押圧する。なお、型の材質は特に制限されるものではなく、金型であっても木型であってもよい。
【0045】
また、図2(b)に示すように、セラミックグリーンシート32の表面に、導電性ペーストをスクリーン印刷法などによって所定の形状に塗布することによって、ヒータ19a,19bおよび外部電源接続用の配線となる配線パターン34a,34bを形成する。ヒータ19a,19bを構成する配線パターン34a,34bは、加熱処理部14a,14bに対応する部分ではたとえば葛折り状に屈曲して形成される。導電性ペーストは、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、ニッケル、パラジウムまたは金などの金属材料粉末に、適当な有機バインダおよび溶剤を混合して得られる。なお、ヒータ19a,19bとなる配線パターン34a,34bを形成する導電性ペーストには、焼結後に所定の電気抵抗値になるように、前述の金属材料粉末にセラミック粉末が5〜30重量%添加されたものが用いられる。
【0046】
次に、図3に示すように、ヒータ19a,19bとなる配線パターン34a,34bが形成されたセラミックグリーンシート32の表面に、溝部33の形成されたセラミックグリーンシート31を積層する。積層されたセラミックグリーンシート31,32を温度約1600℃で焼結させる。以上のようにして、図1に示す基体本体20を形成する。
【0047】
図4は、蓋体21の構成を簡略化して示す平面図である。図4に示すように、たとえばガラスまたはセラミック材料などから成る基板41の供給口16a,16bおよび採取部15となるべく予め定められる位置に、図2(a)に示すセラミックグリーンシート31の溝部33に連通する貫通孔42a,42b,43を形成し、蓋体21を得る。
【0048】
基体本体20の溝部33が露出した表面に、蓋体21を接着する。蓋体21と基体本体20とは、たとえば蓋体21がガラスから成る場合には加熱および加圧によって接着され、蓋体21がセラミック材料から成る場合にはガラス接着剤などによって接着される。
【0049】
蓋体21の表面の予め定められる位置に、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT;組成式:Pb(Zr,Ti)O)などの圧電材料44a,44bを貼り付けるとともに、圧電材料44a,44bに電圧を印加するための図示しない配線を形成する。圧電材料44a,44bは、印加された電圧に応じて伸縮することによって供給流路17a,17bの上方の蓋体21を振動させることができるので、圧電材料44a,44bを供給流路17a,17bの上方の蓋体21に貼り付けることによって、送液を行うマイクロポンプ18a,18bを形成することができる。
【0050】
図5は、放熱板23の平面図である。放熱板23は、基体本体11の平面形状と同じ大きさの矩形の平板状の部材であり、矩形状に形成される加熱処理部14a,14b(図1(a)参照)に対応する位置に、それぞれ矩形状の貫通孔23a,23bを有する。基体本体20と蓋体21とを貼り合わせた後に、基体本体20に対して蓋体21を貼り合わせた表面とは反対側表面に、放熱板23をシリコーン樹脂などの接着剤を用いて固着する。
【0051】
以上のようにして、図1に示すマイクロ化学チップ1を得る。このように、基体本体20と蓋体21とを貼り合わせた後に、放熱板23を固着することによって、加熱処理部14a,14bからの熱を基体11外部に放出する放熱部である放熱板23を備えたマイクロ化学チップ1を製造することができる。
【0052】
また本実施形態では、型を押圧して溝部33が表面に形成されたセラミックグリーンシート31と、ヒータ19a,19bとなる配線パターン34a,34bが形成されたセラミックグリーンシート32とを積層したものを焼結させることによって基体本体20を形成し、基体本体20の表面の溝部33を蓋体21で覆うことによって、流路12を有する基体11を形成する。したがって、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップ1を製造することができる。
【0053】
また、放熱部の他の形態として、放熱板23を固着することに代えて、図6に示すように、基体本体21の裏面側(蓋体21が貼り付けられる表面とは反対側)であって、加熱処理部14a,14bの間の領域に、溝部24を形成してもよい。
【0054】
溝部24は、図6に示すように基体本体21の幅方向全体にわたって形成してもよいし、幅方向の一部に凹部のように形成してもよい。幅方向の一部に溝部24を形成するときは、加熱処理部14aと加熱処理部14bとを結ぶ帯状の領域を横切る位置に形成することが好ましい。また、幅方向の一部に形成される溝部24の形状は、細長い矩形に限らず、楕円形や円形であってもよい。つまり、溝部の形状は、加熱処理部14aと加熱処理部14bとを結ぶ帯状の領域内に空間が存在するような形状であれば特に限定されるものではない。
【0055】
加熱処理部14a,14b間の領域に放熱部としての溝部24を形成したことによって、加熱処理部14a,14bから他の加熱処理部14b,14aに向かう方向に伝導した熱は、溝部24の壁面および底面から基体11外部に放出される。したがって、放熱板23を固着した場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、基体11を構成する基体本体20に溝部24を形成することによって放熱部を構成するので、放熱板23のような別部品を用いる場合に比べて構成の小型化および軽量化を成すことができる。
【0057】
以上に述べたように、本実施形態のマイクロ化学チップ1は、2つの供給部13a,13bを有するけれども、これに限定されることなく、3つ以上の供給部を有してもよい。また供給部が2つ以上設けられる場合、供給部は、1点で合流するように設けられる必要はなく、それぞれ流路12の異なる位置に接続されるように設けられてもよい。
【0058】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ1では、採取部15を設け、反応生成物を採取部15から導出させるけれども、採取部15または採取部15よりも被処理流体の流通方向上流側に検出部を設ければ、化学反応や抗原抗体反応、酵素反応などの生化学反応の反応生成物を検出することができる。
【0059】
また、本実施形態では、送液手段として、マイクロポンプ18a,18bを設ける構成であるけれども、マイクロポンプ18a,18bを設けない構成も可能である。この場合には、供給口16a,16bから被処理流体を注入する際に、マイクロシリンジなどで被処理流体を押込むことによって、被処理流体を供給口16a,16bから採取部15まで送液することができる。また注入する際に、外部に設けられるポンプなどで被処理流体に圧力を加えながら注入することによって送液することもできる。また供給口16a,16bから被処理流体を注入した後に、開口で実現されている採取部15からマイクロシリンジなどで吸引することによって送液することもできる。
【0060】
また、蓋体21は基体本体20に接着されているけれども、これに限定されることなく、基体本体20から取外し可能に取り付けられていてもよい。たとえば、基体本体20と蓋体21との間にシリコーンゴムなどを挟み、マイクロ化学チップ全体に圧力を加えるような構成であってもよい。
【0061】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ1の製造方法では、基体本体20は、溝部33が形成されたセラミックグリーンシート31と、ヒータ19a,19bとなる配線パターン34a,34bが形成されたセラミックグリーンシート32との2枚のセラミックグリーンシートから形成されるけれども、これに限定されることなく、3枚以上のセラミックグリーンシートから形成されてもよい。
【0062】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ1の製造方法では、基体11は、セラミックグリーンシート31の表面の溝部33を露出させたまま焼結させて基体本体20を形成した後、基体本体20の表面の溝部33を蓋体21で覆うことによって形成されるけれども、これに限定されることなく、セラミックグリーンシート31の表面に、溝部33に連通する蓋体21と同様の貫通孔が形成されたセラミックグリーンシートをさらに積層して焼結させることによって形成されてもよい。このようにして基体を形成すれば、基体本体20を形成した後に蓋体21を取り付ける必要がなくなるので、生産性を向上させることができる。また、マイクロポンプ18a,18bを構成する圧電材料44a,44bに前述のPZTのようなセラミック圧電材料を用いる場合には、溝部33に連通する貫通孔が形成されたセラミックグリーンシートの予め定められる位置にセラミック圧電材料を取り付けた後、同時に焼結させることもできる。
【0063】
本発明のマイクロ化学チップは、血液、唾液、尿等の体液中のウイルス、細菌または体液成分の試薬による検査、ウイルス、細菌や薬液と体細胞との生体反応実験、ウイルス、細菌と薬液との反応実験、ウイルス、細菌と他のウイルス、細菌との反応実験、血液鑑定、遺伝子の薬液による分離抽出や分解、溶液中の化学物質の析出等による分離抽出、溶液中の化学物質の分解、複数の薬液の混合等の用途に用いることができ、他の生体反応や化学反応等の目的のために使用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基体は、加熱処理部から発生した熱を基体外部に放出する放熱を備えるので、各加熱処理部からの熱が他の加熱処理部に及ぼす影響を抑制することができ、各加熱処理部での精密な温度制御が可能となる。これによって、加熱が必要な化学反応を複数回行って反応生成物を生成しようとした場合に、各化学反応が充分に進行し、所望の反応生成物を高い収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の一形態であるマイクロ化学チップ1の構成を簡略化して示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を示す断面図である。
【図2】(a),(b)は、セラミックグリーンシート31,32のそれぞれの加工状態を示す平面図である。
【図3】セラミックグリーンシート31,32を積層した状態を示す部分断面図である。
【図4】蓋体21の構成を簡略化して示す平面図である。
【図5】放熱板23の平面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の実施の他の形態であるマイクロ化学チップ1の構成を簡略化して示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 マイクロ化学チップ
11 基体
12 流路
13a,13b 供給部
14a,14b 加熱処理部
15 採取部
16a,16b 供給口
17a,17b 供給流路
18a,18b マイクロポンプ
19a,19b ヒータ
20 基体本体
21 蓋体
22 接続位置
23 放熱板
23a,23b 貫通孔
24 溝部
31,32 セラミックグリーンシート
33 溝部
34a,34b 配線パターン
41 基板
42a,42b,43 貫通孔
44a,44b 圧電材料

Claims (6)

  1. 被処理流体を流通させる流路と、該流路に接続され、前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させる複数の供給部と、合流された複数の被処理流体を加熱する複数の加熱処理部とが形成された基体を有し、前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させてから各加熱処理部で加熱して化学反応させて反応生成物を生成するマイクロ化学チップであって、
    前記基体は、前記加熱処理部から発生した熱を基体外部に放出する放熱板を備え
    前記放熱板は、前記基体の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料からなるとともに、前記基体の表面に接続され、前記基体の放熱が必要な部分に対応する部位おいてその厚みが大きくなっていることを特徴とするマイクロ化学チップ。
  2. 前記放熱部は、前記加熱処理部の間に対応する部位がその他の部位よりも厚みが大きいことを特徴とする請求項1記載のマイクロ化学チップ。
  3. 前記放熱板は、前記加熱処理部に近接する基体表面に対向する領域に貫通孔を有することを特徴とする請求項2記載のマイクロ化学チップ。
  4. 前記放熱板は、前記基体の表面のうち、前記加熱処理部の形成領域を前記基板の表面に対して垂直に投影して得られる領域の表面を除き、前記基板の残余の表面に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ化学チップ。
  5. 前記放熱板は、前記基体よりも熱伝導率が高い接着剤を用いて該基体に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロ化学チップ。
  6. 前記基体は、前記流路に接続され、処理後の流体を外部に導出する採取部をさらに有し、該採取部から反応生成物を外部に導出することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のマイクロ化学チップ。
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