JP4068015B2 - マイクロ化学チップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な流路を流通する流体や試薬などの被処理流体に対して、反応や分析などの予め定める処理を施すことのできるマイクロ化学チップに関し、さらに詳しくは、たとえば血液と試薬を混合して反応させる場合のように、異なる複数の被処理流体を混合させて予め定める処理を施すことができるマイクロ化学チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化学技術やバイオ技術の分野では、試料に対する反応や試料の分析などを微小な領域で行うための研究が行われており、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(Micro Electro Mechanical Systems;略称:MEMS)技術を用いて化学反応や生化学反応、試料の分析などのシステムを小型化したマイクロ化学システムが研究開発されている。
【0003】
マイクロ化学システムにおける反応や分析は、マイクロ流路、マイクロポンプおよびマイクロリアクタなどが形成されたマイクロ化学チップと呼ばれる1つのチップを用いて行われる。たとえば、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る1つの基体に、試料や試薬などの流体を供給するための供給口と、処理後の流体を導出するための採取口とを形成し、この供給口と採取口とを断面積が微小なマイクロ流路で接続し、流路の適当な位置に送液のためのマイクロポンプを配置したマイクロ化学チップが提案されている(特許文献1参照)。また、送液の手段として、マイクロポンプに代えて、電気浸透現象を利用したキャピラリ泳動型のものも提案されている(特許文献2参照)。これらのマイクロ化学チップでは、流路は所定の位置で合流しており、合流部で流体の混合が行われる。
【0004】
マイクロ化学システムでは、従来のシステムに比べ、機器や手法が微細化されているので、試料の単位体積あたりの反応表面積を増大させ、反応時間を大幅に削減することができる。また流量の精密な制御が可能であるので、反応や分析を効率的に行うことができる。さらに反応や分析に必要な試料や試薬の量を少なくすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−214241号公報(第4−5頁,第1図)
【特許文献2】
特開2001−108619号公報(第4−5頁,第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したマイクロ化学チップには、複数の供給部からそれぞれ供給されて混合された複数の被処理流体を加熱して予め定める反応処理を行う加熱処理部を備えたものがある。このような加熱処理部を備えたマイクロ化学チップでは、混合された複数の被処理流体の反応性を制御するために加熱処理部での温度を変化させる場合がある。
【0007】
加熱処理部での温度が変化すると、混合された複数の被処理流体の体積が変化し、この体積変化によって流路を流れる被処理流体の流量が変化し、この流量変化によって加熱処理部における反応性が低下してしまうという問題がある。特に、温度が上昇して混合された複数の被処理流体の体積が増加した場合、体積増加によって流路を流れる被処理流体が逆流するなどして流量が減少し、この流量減少によって加熱処理部における反応性が低下してしまうという問題がある。また、反応性の低下は、反応生成物の収率を低下させるという問題を招来する。
【0008】
本発明の目的は、混合された複数の被処理流体の反応性を低下させることなく、反応生成物の収率が高いマイクロ化学チップを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被処理流体を流通させる流路と、該流路に接続され、前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させる複数の供給部と、前記供給部と前記流路とが接続される位置よりも前記被処理流体の流通方向下流側に、合流された前記被処理流体を加熱して予め定める処理を施す加熱処理部とが形成された基体を有し、前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させて予め定める処理を施すマイクロ化学チップであって、
前記流路は、前記供給部が接続される位置と前記加熱処理部との間に、前後の流路部分の断面積よりも大きな断面積を持つ拡張部分を有することを特徴とするマイクロ化学チップである。
【0010】
本発明に従えば、複数の供給部から被処理流体を流入させると、流入された被処理流体は合流されて流路を流通し、加熱処理部で加熱されて予め定める処理が施される。したがって、複数の供給部からそれぞれ異なる複数の被処理流体を流入させれば、流入された複数の被処理流体が合流されて流路を流通し、予め定める処理が施されることになる。複数の供給部と流路との接続は、すべてを流路の同一位置たとえば最上流部に接続させてもよいし、互いに位置をずらして接続させてもよい。
【0011】
本発明では、流路は、前記供給部が接続される位置と前記加熱処理部との間に、前後の流路部分の断面積よりも大きな断面積を持つ拡張部分を有しているので、加熱処理部における温度変化によって生じる流量変化が前記拡張部分によって吸収され、混合された複数の被処理流体の流量変化による反応性の低下を防ぐことができる。すなわち、加熱処理部での温度が変化すると、混合された複数の被処理流体の体積が変化するけれども、拡張部分によって体積変化が吸収されるので、流路を流れる被処理流体の流量が変化することはなく、加熱処理部における反応性が低下することを防ぐことができる。特に、温度が上昇して混合された複数の被処理流体の体積が増加した場合、増加した体積は拡張部分によって吸収されるので、流路を流れる被処理流体が逆流するなどして流量が減少することはなく、加熱処理部における反応性が低下することを防止することができる。また、加熱処理部における反応性が低下しないので、反応生成物の収率が高いマイクロ化学チップを実現することができる。
【0012】
また本発明は、前記拡張部分の長さは、3〜10mmであることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記拡張部分の断面積は、前後の流路部分の断面積の1.5倍以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、拡張部分の長さを3〜10mmおよび/または拡張部分の断面積を前後の流路部分の断面積の1.5倍以上とすることによって、加熱処理部における温度変化によって生じる流量変化の吸収を確実に実行することができ、混合された複数の被処理流体の流量変化による反応性の低下を確実に防ぐことができる。
【0015】
また本発明は、前記基体は、前記加熱処理部よりも前記被処理流体の流通方向下流側で前記流路に接続され、処理後の流体を外部に導出する採取部をさらに有し、
前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させて前記加熱処理部で加熱して予め定める処理を施した後に、前記採取部から処理後の流体を外部に導出することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、複数の供給部から流路にそれぞれ流入される複数の被処理流体は、合流されてから加熱処理部で加熱されて予め定める処理が施された後に、採取部から外部に導出される。したがって、たとえば2つの供給部を有し、一方の供給部から原料となる化合物を流入させ、他方の供給部から試薬を流入させ、化合物と試薬とを充分に混合させて反応させた後、得られた化合物を採取部から取り出すことのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の実施の一形態であるマイクロ化学チップ1の構成を簡略化して示す平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すマイクロ化学チップ1の切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を示す部分断面図である。なお、図1(b)では、切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を並べて示す。
【0018】
マイクロ化学チップ1は、被処理流体を流通させる流路12と、流路12に被処理流体をそれぞれ流入させる2つの供給部13a,13bと、混合された2つの被処理流体を加熱して予め定める処理を行う加熱処理部14と、処理後の流体を外部に導出する採取部15とが設けられた基体11を有する。基体11は、一表面に溝部が形成された基体本体20と被覆部材である蓋体21とを含み、基体本体20の溝部33の形成された表面を蓋体21で覆うことによって流路12が形成されている。
【0019】
このマイクロ化学チップ1では、流路12は、供給部13a,13bが接続される位置22と加熱処理部14との間に、前後の流路部分の断面積よりも大きな断面積を持つ拡張部分12aを有している。図2は、拡張部分12aの形状を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。拡張部分12aは、図2に示すように、断面形状が矩形である流路12において、幅を前後の流路部分の幅よりも大きくすることによって形成されている。
【0020】
また、拡張部分12aは、図3に示すように、断面形状が矩形である流路12において、深さを前後の流路部分の深さよりも大きくすることによって形成してもよいし、図4に示すように、断面形状が矩形である流路12において、幅および深さの両方を前後の流路部分の幅および深さよりも大きくすることによって形成してもよい。
【0021】
供給部13aは、流路12に接続される供給流路17aと、供給流路17aの端部に設けられる供給口16aと、流路12に接続する位置22よりも被処理流体の流通方向上流側に設けられるマイクロポンプ18aとを含む。同様に、供給部13bは、供給流路17bと、供給口16bと、マイクロポンプ18bとを含む。供給口16a,16bは、外部から供給流路17a,17bに被処理流体を注入することができるように開口されている。また採取部15は、流路12から被処理流体を外部に取り出すことができるように開口で実現されている。
【0022】
基体本体20の内部であって、加熱処理部14の流路12の下方には、ヒータ19が設けられる。加熱処理部14の流路12は、ヒータ19の上方を複数回数通過するようにたとえば葛折り状に屈曲して形成される。基体11の表面には、ヒータ19と外部電源とを接続するための図示しない配線がヒータ19から導出されている。この配線は、ヒータ19よりも電気抵抗値の低い金属材料で形成される。
【0023】
マイクロ化学チップ1では、2つの供給部13a,13bから流路12に2種類の被処理流体をそれぞれ流入させて合流させ、必要に応じて加熱処理部14においてヒータ19を用いて流路12を所定の温度で加熱し、流入された2種類の被処理流体を反応させ、得られた反応生成物を採取部15から導出させる。
【0024】
流路12および供給流路17a,17bの断面積は、供給部13a,13bから流入される検体、試薬または洗浄液などを効率よく送液し混合するためには、2.5×10−3mm以上1mm以下であることが好ましい。
【0025】
本実施形態では、流路12は、接続位置22と処理部14との間に拡張部分12aを有するので、加熱処理部14における温度変化によって生じる流量変化が拡張部分12aによって吸収され、混合された複数の被処理流体の流量変化による反応性の低下を防ぐことができる。すなわち、加熱処理部14での温度が変化すると、混合された複数の被処理流体の体積が変化するけれども、拡張部分12aによって体積変化が吸収されるので、流路12を流れる被処理流体の流量が変化することはなく、加熱処理部14における反応性が低下することを防ぐことができる。特に、温度が上昇して混合された複数の被処理流体の体積が増加した場合、増加した体積は拡張部分12aによって吸収されるので、流路12を流れる被処理流体が逆流するなどして流量が減少することはなく、加熱処理部14における反応性が低下することを防止することができる。また、加熱処理部14における反応性が低下しないので、反応生成物の収率が高いマイクロ化学チップ1を実現することができる。
【0026】
拡張部分12aの長さL1は、3〜10mmが好ましい。また、拡張部分12aの断面積は、前後の流路部分の断面積の1.5〜10倍であることが好ましく、1.5〜2倍であることがより好ましい。
【0027】
基体本体20には、セラミック材料、シリコン、ガラスまたは樹脂などから成るものを用いることができ、これらの中でもセラミック材料から成るものを用いることが好ましい。セラミック材料は、樹脂などに比べ、耐薬品性に優れるので、基体本体20がセラミック材料から成ることによって、耐薬品性に優れ、種々の条件で使用することのできるマイクロ化学チップ1を得ることができる。基体本体11を構成するセラミック材料としては、たとえば酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体などを用いることができる。
【0028】
蓋体21には、ガラスまたはセラミック材料から成るものを用いることができるが、蓋体21がガラスから成る場合、被処理流体の混合状態や反応状態等を確認できるため好ましい。
【0029】
流路12および供給流路17a,17bの断面積は、前述のように、供給部13a,13bから流入される検体、試薬または洗浄液などを効率よく送液し混合するために、2.5×10−3mm以上1mm以下であることが好ましい。流路12および供給流路17a,17bの断面積が1mmを超えると、送液される検体、試薬または洗浄液の量が多くなり過ぎるので、単位体積あたりの反応表面積を増大させ、反応時間を大幅に削減させるというマイクロ化学チップの効果を充分に得ることができない。また流路12および供給流路17a,17bの断面積が2.5×10−3mm未満であると、マイクロポンプ18a,18bによる圧力の損失が大きくなり、送液に問題が生じる。したがって、流路12および供給流路17a,17bの断面積を2.5×10−3mm以上1mm以下とするのがよい。
【0030】
また、流路12および供給流路17a,17bの幅wは、50〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜500μmである。また流路12および供給流路17a,17bの深さdは、50〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜500μmであって、上記断面積の範囲となるようにすればよい。そして、流路12および供給流路17a,17bの断面形状が長方形である場合、幅(長辺)と深さ(短辺)の関係は、短辺長/長辺長≧0.4が好ましく、より好ましくは短辺長/長辺長≧0.6である。短辺長/長辺長<0.4では、圧力損失が大きくなり、送液に問題が生じる。
【0031】
マイクロ化学チップ1の外形寸法は、たとえば、幅Aが約40mmであり、奥行きBが約70mmであり、高さCが1〜2mmであるが、これにかかわらず、必要に応じ適切な外形寸法とすればよい。
【0032】
なお、使用後のマイクロ化学チップ1は、供給部13a,13bから洗浄液を流入させて洗浄すれば、再度使用することができる。
【0033】
次に、図1に示すマイクロ化学チップ1の製造方法を説明する。本実施形態では、基体本体20がセラミック材料から成る場合について説明する。図5は、セラミックグリーンシート31,32の加工状態を示す平面図である。図6は、セラミックシート31,32の積層状態を示す断面図である。
【0034】
まず、原料粉末に適当な有機バインダおよび溶剤を混合し、必要に応じて可塑剤または分散剤などを添加して泥奬にし、これをドクターブレード法またはカレンダーロール法などによってシート状に成形することによって、セラミックグリーンシート(別称:セラミック生シート)を形成する。原料粉末としては、たとえば、基体本体20が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムなどを用いる。
【0035】
本実施形態では、このようにして形成されるセラミックグリーンシートを2枚用いて基体本体20を形成する。まず、図5(a)に示すように、セラミックグリーンシート31の表面に型を押圧し、溝部33を形成する。このとき、型には、所望の溝部33の形状が転写された形状の型を用いる。さらに、この型には、溝部の形状として、拡張部分12aを構成する幅が広い幅広部分33aに対応する形状が転写されている。このような形状の型を用いることによって、拡張部分12aを構成する幅広部分33aを有する溝部33aを形成することができる。
【0036】
また型を押圧する際の押圧力は、セラミックグリーンシートに成形される前の泥漿の粘度に応じて調整される。たとえば、泥漿の粘度が1〜4Pa・sである場合には、2.5〜7MPaの押圧力で押圧する。なお、型の材質は特に制限されるものではなく、金型であっても木型であってもよい。
【0037】
また、図5(b)に示すように、セラミックグリーンシート32の表面に、導電性ペーストをスクリーン印刷法などによって所定の形状に塗布することによって、ヒータ19および外部電源接続用の配線となる配線パターン34を形成する。導電性ペーストは、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、ニッケル、パラジウムまたは金などの金属材料粉末に、適当な有機バインダおよび溶剤を混合して得られる。なお、ヒータ19となる配線パターン34を形成する導電性ペーストには、焼結後に所定の電気抵抗値になるように、前述の金属材料粉末にセラミック粉末が5〜30重量%添加されたものが用いられる。
【0038】
次に、図6に示すように、ヒータ19となる配線パターン34が形成されたセラミックグリーンシート32の表面に、溝部33の形成されたセラミックグリーンシート31を積層する。積層されたセラミックグリーンシート31,32を温度約1600℃で焼結させる。以上のようにして、流路12と供給部13a,13bとが接続される接続位置22と加熱処理部14との間に拡張部分12aとなる部分、すなわち幅広の部分を有する溝部33が形成された図1に示す基体本体20を形成する。
【0039】
図7は、蓋体21の構成を簡略化して示す平面図である。図7に示すように、たとえばガラスまたはセラミック材料などから成る基板41の供給口16a,16bおよび採取部15となるべく予め定められる位置に、図5(a)に示すセラミックグリーンシート31の溝部33に連通する貫通孔42a,42b,43を形成し、蓋体21を得る。
【0040】
基体本体20の溝部33が露出した表面に、蓋体21を接着する。蓋体21と基体本体20とは、たとえば蓋体21がガラスから成る場合には加熱および加圧によって接着され、蓋体21がセラミック材料から成る場合にはガラス接着剤などによって接着される。
【0041】
蓋体21の表面の予め定められる位置に、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT;組成式:Pb(Zr,Ti)O)などの圧電材料44a,44bを貼り付けるとともに、圧電材料44a,44bに電圧を印加するための図示しない配線を形成する。圧電材料44a,44bは、印加された電圧に応じて伸縮することによって供給流路17a,17bの上方の蓋体21を振動させることができるので、圧電材料44a,44bを供給流路17a,17bの上方の蓋体21に貼り付けることによって、送液を行うマイクロポンプ18a,18bを形成することができる。
【0042】
以上のようにして、図1に示す基体11を形成し、マイクロ化学チップ1を得る。このように、接続位置22と加熱処理部14との間に拡張部分12aとなる幅広部分33aを有する溝部33が形成された基体本体20と蓋体21とを貼り合せることによって、供給部13a,13bが接続される位置22と加熱処理部14との間に拡張部分12aを有する流路12を備えたマイクロ化学チップ1を製造することができる。
【0043】
また本実施形態では、型を押圧して溝部33が表面に形成されたセラミックグリーンシート31と、ヒータ19となる配線パターン34が形成されたセラミックグリーンシート32とを積層したものを焼結させることによって基体本体20を形成し、基体本体20の表面の溝部33を蓋体21で覆うことによって、流路12を有する基体11を形成する。したがって、シリコン、ガラスまたは樹脂から成る基体に流路を形成する際に必要となるエッチング加工のような複雑な加工を行うことなく、簡単な加工を行うだけでマイクロ化学チップ1を製造することができる。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態のマイクロ化学チップ1は、2つの供給部13a,13bを有するけれども、これに限定されることなく、3つ以上の供給部を有してもよい。供給部が2つ以上設けられる場合、供給部は、1点で合流するように設けられる必要はなく、それぞれ流路12の異なる位置に接続されるように設けられてもよい。流路12に対して複数の供給部が異なる位置で接続される場合は、被処理流体の流通方向の最も下流側の接続位置と加熱処理部14との間に、拡張部分12aを形成すればよい。
【0045】
本発明の拡張部分12aは、1つの流路12に対して複数設けてもよい。また、拡張部分12aの平面視形状は、図2のような四角形状に限らず、円形、楕円形、長円形等の曲線状のものとすることもできる。この場合、拡張部分12aにおいて被処理流体が体積膨張して拡張部分12aの内面に圧力が加わった際に、それを緩和することができる。さらに、拡張部分12aの平面視形状が円形、楕円形、長円形等の曲線状であって、流路12に対して滑らかにつながるような形状であることがよい。この場合、拡張部分12aで被処理流体の流れが滞ることを防ぐことができる。
【0046】
また加熱処理部14は、1箇所に設けられる構成であるけれども、これに限定されることなく、2箇所以上に設けられてもよい。このように、3つ以上の供給部を設け、加熱処理部14を2箇所以上に設けることによって、複雑な反応を制御することができる。加熱処理部14が複数個設けられる場合は、加熱処理部ごとに、被処理流体の流通方向上流側に拡張部分を形成してもよい。
【0047】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ1では、採取部15を設け、反応生成物を採取部15から導出させるけれども、採取部15または採取部15よりも被処理流体の流通方向上流側に検出部を設ければ、化学反応や抗原抗体反応、酵素反応などの生化学反応の反応生成物を検出することができる。
【0048】
また、本実施形態では、送液手段として、マイクロポンプ18a,18bを設ける構成であるけれども、マイクロポンプ18a,18bを設けない構成も可能である。この場合には、供給口16a,16bから被処理流体を注入する際に、マイクロシリンジなどで被処理流体を押込むことによって、被処理流体を供給口16a,16bから採取部15まで送液することができる。また注入する際に、外部に設けられるポンプなどで被処理流体に圧力を加えながら注入することによって送液することもできる。また供給口16a,16bから被処理流体を注入した後に、開口で実現されている採取部15からマイクロシリンジなどで吸引することによって送液することもできる。
【0049】
また、蓋体21は基体本体20に接着されているけれども、これに限定されることなく、基体本体20から取外し可能に取り付けられていてもよい。たとえば、基体本体20と蓋体21との間にシリコーンゴムなどを挟み、マイクロ化学チップ全体に圧力を加えるような構成であってもよい。
【0050】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ1の製造方法では、基体本体20は、溝部33が形成されたセラミックグリーンシート31と、ヒータ19となる配線パターン34が形成されたセラミックグリーンシート32との2枚のセラミックグリーンシートから形成されるけれども、これに限定されることなく、3枚以上のセラミックグリーンシートから形成されてもよい。
【0051】
また、本実施形態のマイクロ化学チップ1の製造方法では、基体11は、セラミックグリーンシート31の表面の溝部33を露出させたまま焼結させて基体本体20を形成した後、基体本体20の表面の溝部33を蓋体21で覆うことによって形成されるけれども、これに限定されることなく、セラミックグリーンシート31の表面に、溝部33に連通する蓋体21と同様の貫通孔が形成されたセラミックグリーンシートをさらに積層して焼結させることによって形成されてもよい。このようにして基体を形成すれば、基体本体20を形成した後に蓋体21を取り付ける必要がなくなるので、生産性を向上させることができる。また、マイクロポンプ18a,18bを構成する圧電材料44a,44bに前述のPZTのようなセラミック圧電材料を用いる場合には、溝部33に連通する貫通孔が形成されたセラミックグリーンシートの予め定められる位置にセラミック圧電材料を取り付けた後、同時に焼結させることもできる。
【0052】
本発明のマイクロ化学チップは、血液、唾液、尿等の体液中のウイルス、細菌または体液成分の試薬による検査、ウイルス、細菌や薬液と体細胞との生体反応実験、ウイルス、細菌と薬液との反応実験、ウイルス、細菌と他のウイルス、細菌との反応実験、血液鑑定、遺伝子の薬液による分離抽出や分解、溶液中の化学物質の析出等による分離抽出、溶液中の化学物質の分解、複数の薬液の混合等の用途に用いることができ、他の生体反応や化学反応等の目的のために使用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、流路は供給部が接続される位置と加熱処理部との間に前後の流路部分の断面積よりも大きな断面積を持つ拡張部分を有しているので、加熱処理部における温度変化によって生じる流量変化が前記拡張部分によって吸収され、混合された複数の被処理流体の流量変化による反応性の低下を防ぐことができる。また、加熱処理部における反応性が低下しないので、反応生成物の収率が高いマイクロ化学チップを実現することができる。
【0054】
また本発明によれば、拡張部分の長さを3〜10mmおよび/または拡張部分の断面積を前後の流路部分の断面積の1.5倍以上とすることによって、加熱処理部における温度変化によって生じる流量変化の吸収を確実に実行することができ、混合された複数の被処理流体の流量変化による反応性の低下を確実に防ぐことができる。
【0055】
また本発明によれば、複数の供給部から流路にそれぞれ流入される複数の被処理流体は、合流されてから加熱処理部で加熱されて予め定める処理が施された後に、採取部から外部に導出される。したがって、たとえば2つの供給部を有し、一方の供給部から原料となる化合物を流入させ、他方の供給部から試薬を流入させ、化合物と試薬とを充分に混合させて反応させた後、得られた化合物を採取部から取り出すことのできるマイクロ化学チップを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の一形態であるマイクロ化学チップ1の構成を簡略化して示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すマイクロ化学チップ1の切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIにおける断面構成を示す断面図である。
【図2】拡張部分12aの形状を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)断面図である。
【図3】拡張部分12aの他の形状を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)断面図である。
【図4】拡張部分12aの他の形状を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)断面図である。
【図5】(a),(b)は、セラミックグリーンシート31,32のそれぞれの加工状態を示す平面図である。
【図6】セラミックグリーンシート31,32を積層した状態を示す部分断面図である。
【図7】蓋体21の構成を簡略化して示す平面図である。
【符号の説明】
1 マイクロ化学チップ
11 基体
12 流路
12a 拡張部分
13a,13b 供給部
14 加熱処理部
15 採取部
16a,16b 供給口
17a,17b 供給流路
18a,18b マイクロポンプ
19 ヒータ
20 基体本体
21 蓋体
22 接続位置
31,32 セラミックグリーンシート
33 溝部
33a 幅広部分
34 配線パターン
41 基板
42a,42b,43 貫通孔
44a,44b 圧電材料
L1 拡張部分の長さ

Claims (4)

  1. 被処理流体を流通させる流路と、該流路に接続され、前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させる複数の供給部と、前記供給部と前記流路とが接続される位置よりも前記被処理流体の流通方向下流側に、合流された前記被処理流体を加熱して予め定める処理を施す加熱処理部とが形成された基体を有し、前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させて予め定める処理を施すマイクロ化学チップであって、
    前記流路は、前記供給部が接続される位置と前記加熱処理部との間に、前後の流路部分の断面積よりも大きな断面積を持つ拡張部分を有することを特徴とするマイクロ化学チップ。
  2. 前記拡張部分の長さは、3〜10mmであることを特徴とする請求項1記載のマイクロ化学チップ。
  3. 前記拡張部分の断面積は、前後の流路部分の断面積の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロ化学チップ。
  4. 前記基体は、前記加熱処理部よりも前記被処理流体の流通方向下流側で前記流路に接続され、処理後の流体を外部に導出する採取部をさらに有し、
    前記複数の供給部から前記流路に複数の被処理流体をそれぞれ流入させ、流入された複数の被処理流体を合流させて前記加熱処理部で加熱して予め定める処理を施した後に、前記採取部から処理後の流体を外部に導出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ化学チップ。
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